(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シート移動手段は、前記第1のシートの搬送方向における長さと前記第2のシートの搬送方向における長さに基づいて、前記第1のシートと前記第2のシートの移動を開始させるタイミング、又は前記第1のシートと前記第2のシートを移動させる速度を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
前記シート移動手段は、前記第1のシートを前記開口部から露出させる長さと前記第2のシートを前記開口部から露出させる長さに基づいて、前記第1のシートと前記第2のシートの移動を開始させるタイミング、又は前記第1のシートと前記第2のシートを移動させる速度を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
前記シート移動手段は、前記第1の収容部のシートの搬送方向における上流位置から前記開口部までの距離と前記第2の収容部のシートの搬送方向における上流位置から前記開口部までの距離に基づいて、前記第1のシートと前記第2のシートの移動を開始させるタイミング、又は前記第1のシートと前記第2のシートを移動させる速度を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
前記シート移動手段は、少なくとも前記第1のシートと前記第2のシートが接触した時点から、同じ速度で且つ同じ時間、前記第1のシートと前記第2のシートを移動させ、前記露出状態で停止させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記シート移動手段は、少なくとも前記第1のシートと前記第2のシートが接触した時点から、前記第1のシートと前記第2のシートの速度差によって生じる、前記第1のシートによる前記第2のシートの押し出しの長さ、又は前記第2のシートによる前記第1のシートの押し出しの長さが所定の範囲に収まるように、前記第1のシートと前記第2のシートを異なる速度で移動させ、前記露出状態で停止させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記シート移動手段は、少なくとも前記第1のシートと前記第2のシートが接触した時点から、前記第1のシートと前記第2のシートが移動している時間の差によって生じる、前記第1のシートによる前記第2のシートの押し出しの長さ、又は前記第2のシートによる前記第1のシートの押し出しの長さが所定の範囲に収まるように、前記第1のシートと前記第2のシートを異なる時間、移動させ、前記露出状態で停止させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記第1のシートが普通紙である時の前記第2のシートによる前記第1のシートの押し出しの長さよりも、前記第1のシートが薄紙である時の前記第2のシートによる前記第1のシートの押し出しの長さの方が長いことを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(画像形成装置の構成図)
図1は、本発明の第1の実施例に係る収容部を備えた画像形成装置の構成を示した図である。なお、本実施例では画像形成装置として、レーザビームプリンタの例を示す。
【0012】
画像形成装置100は、画像形成部101と、シートSを画像形成部101に供給する供給部102と、装置本体103と、画像形成部101によって画像が形成されたシートSを排出する排出部104を有している。ここで、シートSとは画像形成装置100によって画像が形成されるものであって、例えば、紙、OHPシート、布等が含まれる。また、画像形成装置100は、画像が形成されたシートSを装置内に一旦収容する複数のシート収容部201〜203を備えたシート収容装置200を画像形成部101の上方に有している。さらに画像形成装置100は、画像が形成されたシートSを収容装置200へ搬送する搬送手段105を有している。
【0013】
画像形成部101は、
図1において時計回り(CW方向)に回転する感光ドラム111と、感光ドラム111の表面を帯電する帯電ローラ112と、感光ドラム111に光を照射して静電潜像を形成する露光装置113を有している。さらに画像形成部101は、静電潜像にトナーを付着させて、感光ドラム111にトナー像を形成する現像装置114と、搬送されてきたシートSにトナー像を転写する転写ローラ115を有している。さらに画像形成部101は、定着ローラ116と、定着ローラ116に当接した加圧ローラ117と、定着排出ローラ118を有しており、シートSに転写されたトナー像をシートSに定着させる。画像形成部101は、このような電子写真画像形成プロセスによってシートSにトナー像を形成する。
【0014】
ここで、本実施例の画像形成装置100においては、感光ドラム111、帯電ローラ112、現像装置114、トナーを収容するトナー収容部(不図示)がカートリッジCとして一体化されており、装置本体103に対して着脱可能になっている。ユーザーはトナーがなくなると、カートリッジCを新しいカートリッジCと交換することができる。これによって、サービスマンによらずに、ユーザー自身で装置のメンテナンスを行うことができる。また、本発明はこのようなカートリッジタイプの画像形成装置100に限定されず、感光ドラム111、帯電ローラ112、現像装置114等の部材が装置本体103に据え付けられた構成(部材の交換が不要なタイプ)にも適用することができる。
【0015】
供給部102は、画像形成に用いられるシートSが複数枚、積層状態で収納されている供給カセット106と、供給ローラ107と、搬送ガイド109と、レジストレーションローラ110を有している。また、ローラ110の近傍にレジストレーションセンサ119が設けられており、センサ119によって搬送されるシートの先端を検知されたことに応じて画像形成部101によって画像形成を開始するタイミングが決定される。センサ119は、不図示のフラグとフォトインタラプタから構成され、搬送されるシートによってフラグが作動することにより、フォトインタラプタからオン/オフ信号が出力される構成である。
【0016】
排出部104は、第1の切り換え部材120と、搬送ローラ121と、排出ガイド122と、排出ローラ123と、排出トレイ124(積載部)を有している。切り換え部材120は、画像形成後のシートSを収容装置200に向かわせる
図1の実線で示した位置と、排出トレイ124に向かわせる破線で示した位置に不図示のアクチュエータによって切り換え可能な構成となっている。排出トレイ124は画像形成装置100の上面に設けられており、複数のユーザーが共同して使用することができる。排出トレイ124には画像が形成された面(表面)が下向きの状態(フェイスダウン)でシートが排出される。
【0017】
搬送手段105は、シートSの搬送先を切り換えるための第2の切り換え部材133、第3の切り換え部材134、そして各収容部201〜203へとシートSをガイドする搬送ガイド128〜132を有している。ここで、切り換え部材133と切り換え部材134は、
図1中の実線の位置と破線の位置に不図示のアクチュエータによって切り換え可能な構成となっている。例えば、第1の収容部201にシートSを搬送する場合には、切り換え部材133と切り換え部材134をそれぞれ
図1中の実線にて示された位置に位置させる。シートSは、搬送ガイド128から、搬送ガイド129、130の順に通過して、収容部201に搬送される。また、第2の収容部202にシートSを搬送する場合には、切換え部材134のみを破線にて示された位置に切換える。この場合、シートSは、搬送ガイド128、129、131の順に通過して、収容部202に搬送される。なお、排出トレイ124と同様に、各収容部201〜203にもシートSはフェイスダウンの状態で収容される。
【0018】
(シート収容装置の構成図)
図2は、シート収容装置200の構成を示した図である。本実施例の収容装置200においては、複数段のシート収容部201〜203が鉛直方向に積み重なって配置されている。それぞれの収容部の構成は同じであり、ここでは、第1の収容部201の構成について説明する。
【0019】
収容部201は、シートSを搬送するための搬送ローラ211と、シートSを装置本体103の内部に積載し一旦収容するための積載トレイ221と、積載トレイ221上にシートSが収容されているか否かを検知するシート有無センサ231を有している。さらに収容部201は、内部に収容されたシートSの後端(シートSの搬送方向の上流側の端部)を押圧し、収容されたシートSの一部を装置本体103の外部に露出させるシート移動手段241を有している。シート移動手段241はユーザーがシートSを受け取ることができる位置まで、すなわち、シートSの先端(シートSの搬送方向の下流側の端部)が開口部250を通過するまで、シートSを移動させる。これにより、シートSを装置本体103の外部に所定の長さの分、露出させることができる。なお、シートSを装置100の外部に露出させる所定の長さは、本実施例では30mmに設定している。この所定の長さは一例であり、ユーザーが露出したシートSを掴むことができ、かつ、シートSが大きくたわまないような長さに設定すればよい。
【0020】
また、トレイ221は、収容部201に収容しうる最大サイズのシートSを積載した場合にも、シートSの先端が開口部250から露出しないような長さに設定されている。トレイ221にシートSが積載されて、積載されたシートSによってシート有無センサ231を破線の位置まで倒すと、シート有無センサ231はオンの状態となる。シート移動手段241によりシートSが移動されて、シート有無センサ231が実線の位置まで戻ると、シート有無センサ231はオフの状態となる。また、移動されたシートSの先端が、開口部250付近に設置されている開口部センサ236を破線の位置まで倒すことによって、開口部センサ236はオンの状態となる。装置本体103の外部に露出されたシートSが取り除かれて、開口部センサ236が実線の位置まで戻ると、開口部センサ236はオフの状態となる。シート移動手段241は、収容部201にシートSが順次搬送されている場合には、実線で示した積載位置に位置している。一方、収容されたシートSを露出させる時は、シート移動手段241がシートSの搬送方向に沿って開口部250に向かって移動し、破線で示した露出位置へと移動可能な構成となっている。露出位置の場所、すなわちシート移動手段241の移動する距離はシートSを露出させる長さとシートSの搬送方向のサイズに応じて決定される。
【0021】
図3は、収容部201の斜視図である。
図3において、シート移動手段241は、積載位置と露出位置との間に位置している。シート移動手段241は、シートSの幅方向において2つのシート後端押圧部241a及び241bを有している。また、シート移動手段241は、一体的にラック246を有し、ラック246はピニオン247と噛みあい、ピニオン247は
図3においては不図示の駆動手段であるアクチュエータに接続されている。アクチュエータを正方向又は逆方向に駆動させることによって、シート移動手段241は積載位置と露出位置の間で往復運動することができる。
【0022】
(制御部と機能構成のブロック図)
図4は、本実施例における制御部と機能構成を示すブロック図である。画像形成装置100は制御部として画像形成装置制御部301を有しており、制御部301は、コントローラ302、エンジン制御部303、収容装置制御部304を備えている。
【0023】
コントローラ302は、ホストコンピュータ等の外部機器300と通信を行って印刷データ352を受信し、受信した印刷データ352を、メモリ305(例えば、RAM等)に記憶する。コントローラ302は、メモリ305に記憶した印刷データ352を解析して印刷条件を作成する。印刷条件とは、シートSの供給枚数、画像が形成されたシートSの排出先(排出トレイ124又は収容装置200)、印刷する画像濃度等を示す情報である。そして、コントローラ302はシリアルI/Fにより、エンジン制御部303に対して印刷データ352から作成した印刷条件を指定する。エンジン制御部303は、コントローラ302から受信した印刷条件に従って各機構を制御する。具体的には、画像形成部101を制御してシートSに画像を形成し、供給部102や排出部104を制御してシートSの供給や排出を行う。
【0024】
また、コントローラ302は、メモリ305に記憶した印刷データ352を解析して各収容部201〜203の収容条件や排出条件を作成する。そして、コントローラ302はシリアルI/Fにより、収容装置制御部304に対して印刷データ352から作成した収容条件や排出条件を指定する。収容条件とは、画像が形成されたシートSの収容先、収容するシートSの枚数等の情報である。また、排出条件とは、開口部250からシートSを露出させるためにシート移動手段241〜243を移動させる距離等の情報である。収容装置制御部304は、コントローラ302から受信した収容条件や排出条件に従って各機構を制御する。具体的には、搬送手段105を制御して画像形成されたシートを各収容部201〜203へ搬送し、シート移動手段241を有する収容装置200を制御して各収容部201〜203に収容されたシートを開口部250まで移動させる。また、操作表示部コントローラ306は、ユーザーが操作表示部307にて各種設定や、排出指示を行ったものをコントローラ302に通知する制御を行う。あるいは、IDカード読み取り手段308によってIDカードから得たユーザー情報に基づいて、コントローラ302にシートの排出指示を行う。
【0025】
(収容装置制御部の詳細)
図5は、本実施例における収容装置制御部304の詳細図である。収容装置制御部304はCPU350を有しており、シリアル通信手段351を介してコントローラ302と通信する。通信手段351は、CPU350とコントローラ302を複数の信号線で接続する。本実施例では、以下に説明する搬入予告信号353、収容先信号354、排出指示信号357送信するための3本の信号線を有している。
【0026】
収容装置200にシートSを収容する際の制御について説明する。外部機器300を通じて印刷データ352がコントローラ302に通知されると、コントローラ302はメモリ305に印刷データ352を一旦記憶する。その後、コントローラ302は記憶した印刷データ352を解析し、通信手段351を介して搬入予告信号353、収容先信号354をCPU350に通知する。CPU350は通知された信号をもとに後述する各アクチュエータを制御し、印刷したシートSを各収容部201〜203へ搬送する。
【0027】
次に、収容装置200からシートSを露出させる際の制御について説明する。ユーザーが外部機器300又は操作表示部307、IDカード読み取り手段308にて収容部に収容されたシートSの排出を指示すると、排出指示信号357がコントローラ302に通知される。コントローラ302は排出する収容部を決定した後、通信手段351を介してCPU350に排出指示信号357を通知し、該当する収容部に収容されたシートSの排出を指示する。CPU350は通知された収容部のシートSを開口部250から装置外に露出させるように後述する各アクチュエータを制御する。
【0028】
次にCPU350に接続される各アクチュエータについて説明する。
【0029】
CPU350の出力端子には、モータドライバ358が接続されている。モータドライバ358は搬送モータ359を駆動する。モータ359が回転することにより、搬送ローラ211、212、213が回転し、シートSを各収容部201〜203へ搬送する。
【0030】
CPU350の出力端子には、モータドライバ360が接続されている。モータドライバ360は排出モータ361を駆動する。モータ361を時計回り(CW方向)に回転させると、収容部201のシート移動手段241は開口部250に向かって移動する。モータ361を反時計回り(CCW方向)に回転させると、収容部201のシート移動手段241は開口部250とは反対の方向に向かって移動する。また同様に、CPU350の出力端子には、モータドライバ362、364が接続されており、それぞれ排出モータ363、365を駆動する。モータ363は収容部202のシート移動手段242を制御し、モータ365は収容部203のシート移動手段243を制御する。
【0031】
シート有無センサ231は、プルアップ抵抗366を使用し、バッファ367を介して収容部201にシートSが収容されているか否かの情報をCPU350に入力する。また同様に、センサ232は収容部202にシートSが収容されているか否かの情報をCPU350に入力し、センサ233は収容部203にシートSが収容されているか否かの情報をCPU350に入力する。
【0032】
開口部センサ236は、プルアップ抵抗375を使用し、バッファ376を介して開口部250から装置100の外部にシートSが露出されているか否かの情報をCPU350に入力する。
【0033】
CPU350の出力端子には、第2の切り換え部材133を切り換えるアクチュエータ(不図示)が接続されている。アクチュエータがONの状態では、シートSが搬送ガイド129の方向に搬送されるように切り換え部材133が切り換わる。アクチュエータがOFFの状態では、シートSが搬送ガイド132の方向に搬送されるように切り換え部材133が切り換わる。また、同様にCPU350の出力端子には第3の切り換え部材134を切り換えるアクチュエータ(不図示)が接続される。アクチュエータがONの状態ではシートSを搬送ガイド130の方向に搬送するように、OFFの状態では搬送ガイド131の方向に搬送するように切り換え部材134が切り換わる。CPU350はコントローラ302から通知される収容先信号354に基づいて、切り換え部材133と134を切り換える。
【0034】
(収容装置の動作の説明)
以上、説明した画像形成装置において、ユーザーは外部機器300又は操作表示部307から、収容装置200にシートSを一旦収容させるバッファモード、又は排出トレイ124にシートSを排出させる通常モードのどちらか一方を選択することができる。選択されたモードはメモリ305に記憶される。ユーザーがシートSの印刷を指示した時のフローチャートを
図6に示す。なお、これらのフローチャートに基づく制御は、
図4で説明したコントローラ302等がメモリ305に記憶されているプログラムに基づき実行する。
【0035】
まず、ユーザーが外部機器300を通じてシートSの印刷を指示すると、印刷データ352がコントローラ302に送信される(S401)。印刷データ352を受信すると、コントローラ302はメモリ305に記憶されている情報を参照し、バッファモードが選択されているかを確認する(S402)。バッファモードが選択されている場合、コントローラ302は収容装置200にシートSを一旦収容させる(S403)。通常モードが選択されている場合、コントローラ302は排出トレイ124にシートSを排出させる(S404)。以上で本フローチャートの制御は終了する。また、
図6のフローチャートにおいては、予めユーザーがモードを選択する構成を前提としていたがこれに限定されない。例えば、ユーザーが印刷を指示する度にどちらのモードで排出させるかを決定する構成であってもよい。
【0036】
本実施例において、収容装置200にシートSを収容する際は、シートSのジョブ番号毎に異なる収容部へシートSを振り分ける。また、収容装置200からシートSを露出させる際は、シートSの排出を指示したユーザーのシートSを開口部250から装置外に露出させる。ユーザーは外部機器300又は操作表示部307に、予め設定しておいたパスワードを入力することによって排出指示を出すことができる。または、IDカード読み取り手段308に自分のIDカードを読み取らせ、ユーザー認証を行うことによって排出指示を出すこともできる。本実施例においては上記の通り、各収容部201〜203にそれぞれのシート移動手段241〜243を駆動する個別のアクチュエータが設けられている。したがって、複数の収容部に同じユーザーのシートSが収容されている場合にも、それぞれのアクチュエータを駆動させることで、ユーザーがまとめてシートSを受け取ることが可能である。また、シートSのジョブ番号やシートSの印刷を指示したユーザーの情報等はコントローラ302に設けられたメモリ305に記憶されている。コントローラ302はユーザーが排出を指示するのに応じて、メモリ305を参照して排出対象のシートSを特定して収容装置200に対して排出を指示する。
【0037】
図7は、収容装置200の動作例を示す図である。
図7の(a)において、収容部201にはユーザーAのシートSが収容されており、収容部203にはユーザーBのシートSが収容されている。収容部202にはシートSが収容されていない。
図7の(b)において、ユーザーBのシートSの排出が指示されると、収容部203のシート移動手段243が開口部250に向かって移動し、シートの束SBを開口部250から露出させる。このように、シートの一部が収容部の内部にあり、シートが開口部250から外部に露出している状態を露出状態と定義する。
【0038】
図8に、このときの画像形成装置100の斜視図を示す。開口部250からは収容部203から露出されたシートの束SBの先端SB2が露出している。ユーザーは、この装置外に露出した先端SB2を掴んで引き抜くことでシートの束SBを受け取ることができる。
【0039】
また、ユーザーが1つの収容部に収容できる枚数よりも多くのシートSを収容する指示を出した場合は、同じジョブ番号であっても異なる収容部へシートSを振り分ける。例えば、
図7の(a)において、収容部203にはジョブ番号1のユーザーBのシートSが収容されているが、ジョブ番号1のシート枚数が収容部203の上限枚数よりも多い場合、収容部202にもジョブ番号1のシートSを振り分ける。ただし、このとき収容部202には他のシートSが収容されていないことが前提である。他のシートとは、異なるジョブ番号をもつシート、異なるユーザーのシートなどがあてはまる。
【0040】
ここで、収容装置200はシートSを搬送するための搬送口(不図示)と収容したシートSを露出させるための開口部250を除いて、周囲を囲まれている。そして、収容装置200の周囲を囲む部材は不透明な材質でできている。従って、各収容部201〜203に収容されている状態では、各収容部のシートSに印刷された情報はユーザーには見ることができない。これによって、ユーザーは自分のシートSに印刷された情報を他のユーザーに見られることがなくなり、情報の機密性を高めることができる。
【0041】
一方、情報の機密性を高めるという意味では、IDカード等によってユーザー認証を行った後に画像形成を開始する画像形成装置が存在する。しかし、このような装置と比べて本実施例の画像形成装置100は、既に画像が形成されたシートSを各収容部201〜203から露出させる動作だけでよい。従って、ユーザー認証を行った後、画像が形成される時間を待つことなく素早くシートSを取り出すことができる。
【0042】
さらに、ユーザーが画像形成装置100に対して排出を指示すると、自分のシートのみを取り出すことができる。これにより、ユーザーは自分のシートと他人のシートが混載した排出トレイ124から自分のシートを探す手間が無くなる。
【0043】
(複数のシート収容部からシートを露出させる動作の説明)
以上、説明した画像形成装置において、複数の収容部からシートを露出させる動作について説明する。本実施例のフローチャートを
図9に示す。なお、このフローチャートに基づく制御は、
図4で説明したコントローラ302等がメモリ305に記憶されているプログラムに基づき実行する。
【0044】
図9のS501は、ユーザーからの排出指示の有無を確認する処理である。コントローラ302は、ユーザーからシートの排出指示を受けると、制御部304に排出指示を伝える。またコントローラ302は、S502にてユーザー情報を受信済みであるかどうか判断する。まだ受信していない場合、再度S501を実施する。受信済みである場合、S503にてコントローラ302は受信したユーザー情報を基に排出対象となる収容部の確定処理を行う。次に、S504にてコントローラ302は排出対象の収容部に積載されたシートが排出可能かどうかを判断する。つまり、コントローラ302は排出対象となった収容部へのシートの搬送が完了しているか否かを判断する。コントローラ302は各収容部201〜203に搬送されるシートの枚数をカウントしており、メモリ305(RAM等)に記憶している。そのため、コントローラ302は収容部に搬送する予定のシートの枚数とメモリ305に記憶されている枚数を比較することで、シートの搬送が完了しているか否かを判断することができる。シートの搬送が完了していると判断した収容部は排出可として、シートが積載されていない空の収容部や、シートの搬送が完了していないと判断された収容は排出可としない。シートが積載されているか否かは、シート有無センサ231〜233の検知結果に基づいて判断することができる。
【0045】
その後、S505でコントローラ302は排出対象の収容部が複数かどうかを判断する。排出対象の収容部が複数の場合はS506へ進み、排出対象の収容部が一つの場合は、S512にて排出対象のシートを排出する。S506では、〔式1〕より排出対象の収容部(n)の排出完了時間(n)をそれぞれ算出する。ここで、排出完了時間(n)とは排出対象の収容部(n)に収容されたシートをシート移動手段によって移動させてから、そのシートを開口部250から所定長露出させるまで(露出状態とするまで)の時間である。〔式1〕において「距離」とは各収容部201〜203の上流位置から開口部250までの距離を示している。すなわち、積載位置にあるシート移動手段241〜243から開口部250までの距離である。本実施例においては各収容部201〜203の距離は略同じ値であり、その差は無視できるとする。また、「シートの長さ(n)」とは収容部(n)に収容されたシートの搬送方向における長さを示している。また、「露出長」とは、各収容部201〜203に収容されたシートを開口部250から露出させる長さを示しており、本実施例においては各収容部201〜203から露出させるシートは同じ露出長で露出させるものとする。(例えば30mm)これらのパラメータから算出される、シート移動手段によって実際にシートを移動させる距離を「シート移動距離(n)」と定義している。また、「移動速度」は各収容部201〜203に収容されたシートを開口部250に向けて移動させるシート移動手段の速度を示しており、本実施例においては各収容部201〜203の移動速度は同じ速度であるとする。以上より、本実施例において排出完了時間はシートの長さに反比例する関係にある。
〔式1〕
排出完了時間(n)=(距離−シートの長さ(n)+露出長)÷移動速度
=シート移動距離(n)÷移動速度
(n=収容部201、収容部202、収容部203)
【0046】
S506においてコントローラ302は、排出対象の収容部(n)の排出完了時間(n)をそれぞれ算出した後に、最大の排出完了時間が算出された収容部を決定する。この収容部を収容部(max)と表す。そして、コントローラ302は収容部(max)の排出完了時間と各排出対象の収容部の排出完了時間の差をそれぞれ算出する。次にS507でコントローラ302はシート移動手段によって収容部(max)に収容されたシートの移動を開始するように、制御部304に指示を出す。それと同時にS508でコントローラ302はタイマーをスタートする。その後、S509において、タイマー値がS506で算出された排出完了時間の差の時間が経過すると、S510でコントローラ302は対応する収容部に収容されたシートの移動を開始するように、制御部304に指示を出す。その後、排出対象の排出が全て完了するまでS509〜S511を繰り返し、排出対象の収容部に収容されたシートの排出が全て完了したらフローを終了する。
【0047】
図10は、複数の収容部からシートを露出させる際に、本実施例の制御を適用しない場合と適用した場合の動作について示したものである。まず、
図10(a)は、収容部201にユーザーAのシートが、収容部202にユーザーBのシートがそれぞれ収容されており、収容部203にユーザーBのシートを収容中の状態を示している。ここで収容部201と収容部202は排出可の状態であり、収容部203は排出可の状態ではない。
図10(b)は、
図10(a)の状態からユーザーAによって排出指示を受信し、収容部201のシートを開口部250から露出させた状態を示している。
図10(c)は、露出されたユーザーAのシートが引き抜かれた後の状態で、収容部201は空き状態、収容部202、収容部203にユーザーBのシートがそれぞれ収容されている。
図10(c)においては、収容部203は排出可の状態となっている。
【0048】
図10(d)(e)は、本実施例の制御を適用しない場合の動作例を示している。具体的には、複数の収容部からシートを露出させる際に、各収容部に収容されたシートを同じタイミングで移動させる。
図10(d)は
図10(c)の状態からユーザーBによって排出指示を受信して、同時に開口部250へ向けて収容部202と収容部203のシートの移動を開始した後、収容部203のシートの排出が完了した状態を示している。
図10(d)においては、収容部202に収容されているシートの長さよりも収容部203に収容されているシートの長さの方が長いので、収容部203のシートの排出が先に完了する。そして、
図10(e)は、
図10(d)の状態から、収容部202のシートの移動を継続した後、収容部202のシートの排出が完了した状態を示している。ここで、
図10(e)に示したように、収容部202のシートによって収容部203のシートの一部が押し出されてしまっている。これは既に排出が完了して停止している収容部203のシートの上を収容部202のシートが移動することにより、収容部202のシートと収容部203のシートの間に摩擦力が発生することに起因する。
【0049】
一方、
図10(d’)(e’)は、本実施例の制御を適用した場合の動作例を示している。具体的には、複数の収容部からシートを露出させる際に、各収容部に収容されたシートを異なるタイミングで移動させる。
図10(d’)は、
図10(c)の状態からユーザーBによって排出指示を受信して、まず排出完了時間が長い収容部202のシートの移動を開始した状態を示している。
図10(d’)においては、収容部202に収容されているシートの長さよりも収容部203に収容されているシートの長さの方が長いので、〔式1〕より排出完了時間は収容部203よりも収容部202の方が長い。また、
図10(d’)に記載された直前地点とは、収容部202のシートと収容部203のシートが合流して接触する直前の地点である。収容部203のシートは
図9のS509によりシートの長さを考慮して計算されたタイミングまでは待機している。
図10(e’)は、
図10(d’)の状態から収容部203のシートの移動を開始し、その後収容部202及び収容部203のシートの排出が完了した状態を示している。本実施例の制御を適用した場合は、収容部202のシートと収容部203のシートを移動させるタイミングを調整しているので、直前地点から収容部202のシートと収容部203のシートを同時に同じ時間だけ移動させることができる。従って、
図10(d)(e)の動作例と比較すると、収容部203のシートに対する収容部202のシートの相対的な速度差は0である。そのため、収容部202のシートによって収容部203のシートが押し出されにくくなる。
【0050】
以上より、本実施例では各収容部のシートが合流して接触する地点から各収容部のシートが移動する速度と時間が同じになるように、各収容部のシートの移動を開始するタイミングを調整する。これにより、各収容部に収容されたシートの搬送方向における長さが異なる場合であっても、複数の収容部に収容されたシートを共通の開口部から露出させる時に、シートの押し出しによる影響を低減することができる。
【0051】
また、実施例1においては、排出対象の収容部のシートを移動させるタイミングを、最大の排出完了時間との差に基づいて決定していた。しかし、このタイミングで必ずシートを移動させなければならないものではなく、シートの押し出しが許容される範囲内でシートの移動開始タイミングにある程度幅をもたせてもよい。
【0052】
例えば、シートの押し出しが許容できる範囲を5mmと定義する。ユーザビリティーやシートの状態に応じて、この許容できる範囲は5mmよりも小さい値を定義することも、5mmよりも大きい値を定義することも可能である。次に、押し出し許容時間について
図11を用いて説明する。
【0053】
図11はLTRサイズのシート(普通紙)とB5サイズのシート(普通紙)を開口部250から重ねて露出させる場合において、後続するシートの残搬送距離と後続するシートによって先行するシートが押し出される長さについての関係を示している。ここで、シートの搬送方向における長さは、LTRサイズの方がB5サイズよりも長いので、排出完了時間はB5サイズの方が長い。従って、先に移動されるシートはB5サイズのシートである。以降、先に移動されるシート(B5サイズのシート)を先行するシート、後に移動されるシート(LTRサイズのシート)を後続するシートと表現する。また、残搬送距離とは、先行するシートが停止している状態で、先行するシートに重ねて後続するシートを移動させる距離のことである。
図11(a)からわかるように、後続シートの残搬送距離が大きくなればなるほど、先行シートの押し出し長は長くなっている。また、後続シートの枚数が多くなればなるほど、先行シートの押し出し長は長くなっている。
【0054】
図11(b)は、B5サイズのシートの移動を開始してから、LTRサイズのシートの移動を開始するタイミングを変化させた時に、後続するシートの残搬送距離と先行するシートの押し出し長を測定してプロットし、線形近似式の直線を追加したものである。実線はLTRサイズのシートが1枚の場合、点線はLTRサイズのシートが5枚の場合の線形近似式である。本実施例において、押し出しが許容できる範囲を5mm以下、移動速度を164mm/sとすると、押し出しが許容される範囲での後続シートの残搬送距離は、LTRサイズのシートが1枚の場合は129mm、シートが5枚の場合は60mmと算出される。押し出し許容時間はこれらを移動速度で割った値となり、LTRサイズのシートが1枚の場合は0.786[s]、シートが5枚の場合は0.364[s]と算出される。このように、シートの枚数によって押し出し許容時間は異なる。そのため、露出させるシートの枚数に応じて、シートを移動させるタイミングを変えてもよい。
【0055】
以上より、シートの押し出しが許容される範囲内までシートの移動開始タイミングを広げると、タイマー値が以下の〔式2〕を満たす範囲でシートの移動を開始してもよい。
〔式2〕
(排出完了時間差−押し出し許容時間)≦タイマー値≦(排出完了時間差+押し出し許容時間)
【0056】
なお、
図11の関係表は本実施例での一例であり、収容装置200の形状、シートの長さや枚数によって関係が変化するが、事前に画像形成装置ごとに関係を測定しておけば対応することができる。
【0057】
また、
図11において、押し出し許容時間がシートの枚数によって変化することを説明したが、押し出し許容時間はシートの種類によっても変化する。
【0058】
図12は普通紙と普通紙(1枚)を開口部250から重ねて露出させる場合と、薄紙と普通紙(1枚)を開口部250から重ねて露出させる場合において、後続するシートの残搬送距離と先行するシートの押し出し長の関係を示した表とグラフである。ここで、シートの搬送方向における長さはどちらも同じであり、露出させるシートの枚数も同じであるとする。
図12においては、先行するシートが普通紙であり、後続するシートが普通紙である組み合わせの結果を「普通紙」の欄に示しており、先行するシートが薄紙であり、後続するシートが普通紙である組み合わせの結果を「薄紙」の欄に示している。
図12(a)からわかるように、後続シートの残搬送距離が大きくなればなるほど、先行シートの押し出し長は長くなっている。また、先行シートが普通紙である場合は先行シートが薄紙である場合よりも、先行シートの押し出し長が短くなっている。
【0059】
図12(b)は、普通紙あるいは薄紙の移動を開始してから、普通紙の移動を開始するタイミングを変化させた時に、後続するシートの残搬送距離と先行するシートの押し出し長を測定してプロットし、線形近似式の直線を追加したものである。実線は先行シートが普通紙の場合、点線は先行シートが薄紙である場合の線形近似式である。本実施例において、押し出しが許容できる範囲を5mm以下、移動速度を164mm/sとすると、押し出しが許容される範囲での後続シートの残搬送距離は、先行シートが普通紙の場合は58mm、先行シートが薄紙の場合は34mmと算出される。押し出し許容時間はこれらを移動速度で割った値となり、先行シートが普通紙の場合は0.354[s]、先行シートが薄紙の場合は0.205[s]と算出される。このように、シートの種類によって押し出し許容時間は異なる。そのため、露出させるシートの種類に応じて、シートを移動させるタイミングを変えてもよい。
【0060】
(実施例2)
実施例2では、複数の収容部からシートを露出させる場合において、各収容部から露出させるシートの露出長が異なる場合について説明する。主な部分の説明は実施例1と同様であり、ここでは実施例1と異なる部分のみを説明する。本実施例のフローチャートは、実施例1の
図9のフローチャートと同様であるため説明を省略する。
【0061】
実施例1と異なるのはS506における排出完了時間の算出方法である。本実施例では以下の〔式3〕に基づいて、排出対象の収容部(n)の排出完了時間(n)をそれぞれ算出する。ここで〔式3〕は〔式1〕と比較して、「露出長」が収容部(n)毎に異なる値となっている。
〔式3〕
排出完了時間(n)=(距離−シートの長さ(n)+露出長(n))÷移動速度
(n=収容部201、収容部202、収容部203)
【0062】
S506においてコントローラ302は、排出対象の収容部(n)の排出完了時間(n)をそれぞれ算出した後に、最大の排出完了時間が算出された収容部を決定する。この収容部を収容部(max)と表す。そして、コントローラ302は収容部(max)の排出完了時間と各排出対象の収容部の排出完了時間の差をそれぞれ算出する。
【0063】
図13は、複数の収容部からシートを露出させる際に、本実施例の制御を適用しない場合と適用した場合の動作について示したものである。まず、
図13(a)は、収容部202と収容部203にユーザーBのシートがそれぞれ収容されている状態を示している。ここで、
図13(a)においては、収容部202にはジョブ番号1のシートが収容されており、収容部203にはジョブ番号2のシートが収容されている。収容部202と収容部203のシートを開口部250から重ねて露出させる場合、それぞれの露出長を同じにすると、ユーザーは収容部202のシートと収容部203のシートを区別することができない。ゆえに、ユーザーがシートを開口部250から取り出した後、ジョブ番号1のシートとジョブ番号2のシートを仕分ける手間が生じる。そのため、本実施例では収容部202のシートと収容部203のシートの露出長を変えて、ユーザーが2つのシート束を区別できるようにする。
【0064】
図13(b)(c)は、本実施例の制御を適用しない場合の動作例を示している。具体的には、複数の収容部からシートを露出させる際に、各収容部に収容されたシートを同じタイミングで移動させる。
図13(b)は
図13(a)の状態からユーザーBによって排出指示を受信して、同時に開口部250へ向けて収容部202と収容部203のシートの移動を開始した後、収容部202のシートの排出が完了した状態を示している。そして、
図13(c)は、
図13(b)の状態から収容部203のシートの移動を継続した後、収容部202のシートの露出長と異なる露出長で収容部203のシートの排出が完了した状態を示している。ここで、
図13(c)に示したように、収容部203のシートによって収容部202のシートの一部が押し出されてしまっている。これは既に排出が完了して停止している収容部202のシートの下を収容部203のシートが移動することにより、収容部202のシートと収容部203のシートの間に摩擦力が発生することに起因する。
【0065】
一方、
図13(b’)(c’)は、本実施例の制御を適用した場合の動作例を示している。具体的には、複数の収容部からシートを露出させる際に、各収容部に収容されたシートを異なるタイミングで移動させる。
図13(b’)は、
図13(a)の状態からユーザーBによって排出指示を受信して、まず排出完了時間が長い収容部203のシートの移動を開始した状態を示している。収容部202のシートは、
図9のS509によりシートの長さと露出長の差を考慮して計算されたタイミングまでは待機している。
図13(c’)は、
図13(b’)の状態から収容部202のシートの移動を開始し、その後収容部202及び収容部203のシートの排出が完了した状態を示している。本実施例の制御を適用した場合は、収容部202のシートと収容部203のシートを移動させるタイミングを調整しているので、直前地点から収容部202のシートと収容部203のシートを同時に同じ時間だけ移動させることができる。従って、
図13(b)(c)の動作例と比較すると、収容部202のシートに対する収容部203のシートの相対的な速度差は0である。そのため、収容部203のシートによって収容部202のシートが押し出されにくくなる。
【0066】
以上より、本実施例では各収容部のシートが合流して接触する地点から各収容部のシートが移動する速度と時間が同じになるように、各収容部のシートの移動を開始するタイミングを調整する。これにより、各収容部のシートが開口部から露出する長さが異なる場合であっても、複数の収容部に収容されたシートを共通の開口部から露出させる時に、シートの押し出しによる影響を低減することができる。
【0067】
また、実施例2においても実施例1と同様に、シートの押し出しが許容される範囲内でシートの移動開始タイミングにある程度の幅をもたせてもよい。また、実施例1においては押し出し許容範囲を5mm以下と設定していたが、本実施例においては各収容部の露出長の差に基づいて設定してもよい。これによって、仮に押し出しが発生しても露出長による境界が確保された状態となっているため、ユーザーはシート束を区別することができる。例えば、2組のシートの露出長の差が6mmである場合、どちらかのシートの露出長が3mm以上ずれると、ユーザーが2組のシートを区別することが難しくなる。そのため、露出長の差の半分の長さを押し出し許容範囲と設定してもよい。
【0068】
(実施例3)
実施例3では、各収容部201〜203の上流位置から開口部250までの距離が異なる構成について説明する。主な部分の説明は実施例1と同様であり、ここでは実施例1と異なる部分のみを説明する。本実施例のフローチャートは、実施例1の
図9のフローチャートと同様であるため説明を省略する。
【0069】
実施例1と異なるのはS506における排出完了時間の算出方法である。本実施例では以下の〔式4〕に基づいて、排出対象の収容部(n)の排出完了時間(n)をそれぞれ算出する。ここで〔式4〕は〔式1〕と比較して、「距離」が収容部(n)毎に異なる値となっている。
〔式4〕
排出完了時間(n)=(距離(n)−シートの長さ(n)+露出長)÷移動速度
(n=収容部201、収容部202、収容部203)
【0070】
S506においてコントローラ302は、排出対象の収容部(n)の排出完了時間(n)をそれぞれ算出した後に、最大の排出完了時間が算出された収容部を決定する。この収容部を収容部(max)と表す。そして、コントローラ302は収容部(max)の排出完了時間と各排出対象の収容部の排出完了時間の差をそれぞれ算出する。
【0071】
図14は、本実施例における「距離」が収容部(n)毎に異なる構成において、本実施例の制御を適用しない場合と適用した場合の動作について示したものである。まず、
図14(a)は、収容部201と収容部202にユーザーAのシートがそれぞれ収容されている状態を示している。
図14(a)において、収容部201の距離(1)はL1+L2+L3、収容部202の距離(2)はL1+L2’+L3’であり、距離(1)>距離(2)の関係が成り立つ。また、本実施例において収容部201と202に収容されたシートの長さは同じであるとする。
【0072】
図14(b)(c)は、本実施例の制御を適用しない場合の動作例を示している。具体的には、複数の収容部からシートを露出させる際に、各収容部に収容されたシートを同じタイミングで移動させる。
図14(b)は
図14(a)の状態からユーザーAによって排出指示を受信して、同時に開口部250へ向けて収容部201と収容部202のシートの移動を開始した後、収容部202のシートの排出が完了した状態を示している。そして、
図14(c)は、
図14(b)の状態から収容部201のシートの移動を継続した後、収容部201のシートの排出が完了した状態を示している。
図14(c)に示したように、収容部201のシートによって収容部202のシートの一部が押し出されてしまっている。これは既に排出が完了して停止している収容部202のシートの上を収容部201のシートが移動することにより、収容部201のシートと収容部202のシートの間に摩擦力が発生することに起因する。
【0073】
一方、
図14(b’)(c’)は、本実施例の制御を適用した場合の動作例を示している。具体的には、複数の収容部からシートを露出させる際に、各収容部に収容されたシートを異なるタイミングで移動させる。
図14(b’)は、
図14(a)の状態からユーザーAによって排出指示を受信して、まず排出完了時間が長い収容部201のシートの移動を開始した状態を示している。収容部202のシートは、
図9のS509によりシートの長さと距離の差を考慮して計算されたタイミングまでは待機している。
図14(c’)は、
図14(b’)の状態から収容部202のシートの移動を開始し、その後収容部202及び収容部203のシートの排出が完了した状態を示している。本実施例の制御を適用した場合は、収容部201のシートと収容部202のシートを移動させるタイミングを調整しているので、直前地点から収容部201のシートと収容部202のシートを同時に同じ時間だけ移動させることができる。従って、
図14(b)(c)の動作例と比較すると、収容部201のシートに対する収容部202のシートの相対的な速度差は0である。そのため、収容部201のシートによって収容部202のシートが押し出されにくくなる。
【0074】
以上より、本実施例では各収容部のシートが合流して接触する地点から各収容部のシートが移動する速度と時間が同じになるように、各収容部のシートの移動を開始するタイミングを調整する。これにより、各収容部の上流位置から開口部までの距離が異なる収容装置においても、複数の収容部に収容されたシートを共通の開口部から露出させる時に、シートの押し出しによる影響を低減することができる。
【0075】
(実施例4)
実施例4では、上記の実施例1乃至3と異なり、各収容部のシートの移動を開始するタイミングを調整せずに、各収容部のシートの移動速度を調整する。画像形成装置100の構成などは実施例1と同様であり、ここでは実施例1と異なる部分のみを説明する。
【0076】
図15は、本実施例における動作の具体例を示している。
図15(a)は、収容部202、203にユーザーAのシートが収容された状態を示している。収容部202に収容されたシートの搬送方向における長さは、収容部203に収容されたシートの搬送方向における長さよりも長い。
図15(b)は、
図15(a)の状態からユーザーAによって排出指示を受信して収容部202から半速でシートを移動させ、収容部203から全速でシートを移動させた動作を示している。本実施例においては、2組のシートを同じタイミングで開口部250に向かって移動させている。また、シートを移動させる速度は、〔式1〕のシート移動距離に基づいて決定される。このシート移動距離が長い収容部に対して、高速のシート移動速度を設定し、シート移動距離が短い収容部に対して、低速のシート移動速度を設定する。すなわち、シートを移動させる速度はシート移動距離に反比例する。
図15(c)は、
図15(b)の状態からシートの移動を継続し、合流して接触する前に一時停止させた状態を示している。すなわち、実施例1における直前地点にそれぞれのシートが到達した時点で停止させる。
図15(d)は、
図15(c)の状態から収容部202と収容部203の速度差をゼロにしてシートの移動を再開し、排出完了した動作を示している。
【0077】
以上より、本実施例では各収容部のシートが合流して接触する地点から各収容部のシートが移動する速度と時間が同じになるように、各収容部のシートの移動速度を調整する。これにより、各収容部に収容されたシートの搬送方向における長さが異なる場合であっても、複数の収容部に収容されたシートを共通の開口部から露出させる時に、シートの押し出しによる影響を低減することができる。
【0078】
また、実施例4においては、
図15(c)でシートを一時停止させているがこれに限定されない。シートを一時停止させずに途中で速度を切り替えることで、直前地点からのシートの速度差をゼロにしてもよい。また、直前地点からのシートの速度差も必ずゼロにしなくてもよく、シートの押し出しが許容される範囲において速度差を小さくすればよい。この時、実施例1に記載したように、シートの枚数、シートの種類によってその速度差を調整してもよい。
【0079】
また、実施例4においては、シートの搬送方向における長さが異なる場合を例に説明をしたが、実施例2や実施例3のように露出長の長さや距離が収容部毎に異なる場合であっても適用できる。これらの場合も同様に、算出されたシート移動距離(n)に応じて、シートの移動速度を設定すればよい。
【0080】
また、上記の実施例においては、各収容部のシートの移動を開始するタイミング又は各収容部のシートの移動速度を調整することで、シートが合流して接触する前に各シートの先端位置を揃えたが、これに限定されない。移動の開始タイミング、移動速度が別々であったとしても、各収容部のシートを直前地点の前で一旦停止させ、シートの先端位置がそろった段階で、再度移動させる構成であってもよい。
【0081】
上記の実施例においては、各収容部のシート移動手段について個別のアクチュエータを有しているため、それらを同時に駆動させることで、複数の収容部に収容されたシートを重ねて露出させることができる。一方で、アクチュエータを収容部の数よりも少ない数だけ設け、例えばクラッチ(不図示)等の駆動伝達切り換え手段を設けることで、1つのアクチュエータで複数の移動手段を選択的に移動させる構成としてもよい。
【0082】
また、上記の実施例においては、オプション制御部304にメモリ340が設けられていた。しかし、メモリ340はコントローラ制御部302、エンジン制御部303に設けられていてもよい、又は画像形成装置制御部100内で独立して設けられていてもよい。
【0083】
また、上記の実施例においては、エンジン制御部303とオプション制御部304を分けて構成していたが、エンジン制御部303のみの構成としてもよい。その場合は、エンジン制御部303が搬送手段105と収容装置200を制御すればよい。
【0084】
また、上記の実施例においては、各収容部の下流側でシートの搬送路が合流しており、開口部を1つだけ有する構成を説明したが、複数の開口部を別途設けてもよい。その時は、複数ある内のどれか1つの開口部に複数の収容部のシートを重ねて露出させる場合に上記実施例の動作を適用することができる。
【0085】
また、上記の実施例においては、3つの収容部が設けられている構成について説明したが、収容部の個数は3つに限定されるものではない。装置本体が使用される環境、共同して使用するユーザーの人数あるいは装置本体のスペックに合わせて、収容部の個数を設定すればよい。
【0086】
また、上記の実施例においては、収容装置200が画像形成装置100と一体となって構成されている例について説明した。一方で、収容装置200が画像形成装置100に対して着脱可能又は単に装着可能な状態で設けられていてもよい。その場合は、画像形成装置100に設けられた制御部が収容装置200の動作を制御してもよい。また、収容装置200に独立した制御部を設けて、画像形成装置100に設けられた制御部と通信して動作を制御してもよい。
【0087】
また、上記の実施例においては、レーザビームプリンタの例を示したが、本発明を適用する画像形成装置はこれに限られるものではなく、インクジェットプリンタ等、他の印刷方式のプリンタ、又は複写機でもよい。