(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置は、画像形成部にシートを供給するためのシート給送装置を備えている。シート給送装置には、給送するためのシートを収納するシート収納手段が設けられている。このシート収納手段の一例として、画像形成装置に装着及び引き出し可能に設けられた給紙カセットを挙げることができる。
【0003】
ここで、このような給紙カセットが設けられた画像形成装置において、給紙カセットを、シート搬送方向に直交する幅方向に引き出すように構成したものが知られている。このように、幅方向に引き出す構成とすると、給紙カセットの引き出し方向を画像形成装置本体(以下、装置本体ともいう)の正面にすることができる。そのため、紙詰まり(ジャム)などが発生した場合に、ユーザが装置側面に回り込んで処理する必要がなく、ユーザアクセスが行い易いという利点がある。
【0004】
そして、そのような給紙カセットのシート分離部において、シートを分離するために用いる代表的な方式として、分離ローラ方式がある。この分離ローラ方式の装置として、逆転駆動しない分離ローラを用いてシートを分離する構成を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
分離ローラ方式を採用したシート給送装置では、給紙カセット上に積載されるシートに対して分離ローラ(分離回転体)を近くに配置する必要があること、また、分離ローラの交換作業を行い易くする必要がある。そのため、分離ローラを給紙カセットに搭載することが多い。一方、分離ローラに対向する給送ローラ(給送回転体)は、装置本体に配置されている。
【0006】
ここで、給紙カセットを装置本体から引き出す場合には、引き出し中に分離ローラと給送ローラとが摺擦して摩耗することを防止するため、分離ローラを給送ローラから退避させる必要がある。分離ローラを退避させる機構として、分離ローラと分離バネを支持するケーシングごと給紙カセットに対し揺動させる構成を備えた装置が提案されている。この装置では、給紙カセットを装置本体に装着する場合、分離ローラはケーシングごと装置本体の給送ローラ方向に向けて移動して給送ローラに当接する(特許文献2参照)。
【0007】
この分離ローラは、ゴム等のローラ本体と、ローラ本体を支持する分離ローラ軸と、分離ローラ軸の逆転駆動を規制するトルクリミッタとにより構成される。シート給送中、トルクリミッタの規定トルクを超えるトルクがトルクリミッタにかかると、トルクリミッタと分離ローラ軸との間で滑りが生じ、両者が摺動しながらローラ本体が回転する。両者が摺擦することで分離ローラ軸は摩擦帯電するが、再度帯電する前において時間経過とともに自然放電で除電される。
【0008】
ここで、自然放電ではなく積極的に除電する方式を採用し、画像形成装置本体に除電ブラシを配置して、ピックアップローラを給送中に除電するように構成した装置が提案されている。この装置では、電気的に接地された装置本体の剛性向上用のフレームに、ピックアップローラに帯電した静電気を除去するための除電部材(除電ブラシ)が固定支持されている(特許文献3参照)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置、及びこの画像形成装置に搭載されるシート給送装置を例に挙げて説明する。
【0018】
[画像形成装置の全体構成]
まず、画像形成装置の全体構成について
図1を参照して説明する。なお、
図1は、本実施形態に係るシート給送装置70を搭載したフルカラーレーザビームプリンタ等の画像形成装置50の概略構成を示す断面図である。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置50は、大別して画像形成部58、シート給送装置70、シート搬送部、定着装置30、シート排出部40、及び電源部200を有している。画像形成装置50では、中央部に画像形成部58が設けられ、正面に向かって右手下方から右手上方にかけて給送搬送部が配置され、右手最上方に定着装置30が配置されている。
【0020】
画像形成装置50は、画像形成装置本体(以下、装置本体という)50aを備えている。この装置本体50aには、導電性部材から構成される本体フレームが設けられ、給紙カセット71を収納可能な収納空間Spが設けられ、水平方向に並設された4個の感光ドラム1(1a,1b,1c,1d)が設けられている。感光ドラム1は、駆動手段(不図示)によって、同図中、時計回り方向に回転駆動されるように支持されている。装置本体50aには、各部を制御する、CPU、RAM、ROMを有する制御手段としての制御部55が設けられている。
【0021】
なお、本実施形態における導電性の部材は、金属材料、或いは、カーボンを練り込んだり表面に金属箔を蒸着したりするなどの加工を施すことで抵抗値を下げた樹脂材料から構成される。
【0022】
感光ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、帯電ローラ2(2a,2b,2c,2d)と、スキャナユニット3(3a,3b,3c,3d)と、現像装置4(4a,4b,4c,4d)と、中間転写ベルトユニット5とが配置されている。さらに、ベルトクリーニング装置8と、廃トナー搬送装置19及び回収容器10と、ドラムクリーニング装置6(6a,6b,6c,6d)等が配置されている。なお、符号8aはベルトクリーニング装置8のトナー掻き取り部材を示し、8bはトナー搬送用スクリューを示し、8cはケーシングを示している。
【0023】
帯電ローラ2(2a,2b,2c,2d)は、感光ドラム1表面を均一に帯電する。また、スキャナユニット3(3a,3b,3c,3d)は、画像情報に基づいてレーザビームを照射して感光ドラム上の静電潜像を形成する。現像装置4(4a,4b,4c,4d)は、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する。中間転写ベルトユニット5は、感光ドラム上のトナー像を転写させる。
【0024】
クリーニング装置8は、中間転写ベルト11の表面に残ったトナー(以下、廃トナーという)を除去する。廃トナー搬送装置19及び回収容器10は、クリーニング装置8から排出された廃トナーWTを搬送する。クリーニング装置6(6a,6b,6c,6d)は、転写後の感光ドラム1表面に残った転写残トナーを除去する。
【0025】
スキャナユニット3は、感光ドラム1の下方向に配置され、レーザダイオード(不図示)によって画像信号に対応する画像光が、スキャナモータ(不図示)によって高速回転されるポリゴンミラー9(9a,9b,9c,9d)に照射される。
【0026】
現像装置4a,4b,4c,4dは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーをそれぞれ収納した現像器から構成されている。
【0027】
中間転写ベルトユニット5は、感光ドラム1a,1b,1c,1dに対向した転写ローラ12a,12b,12c,12dと、2軸のローラにて水平方向に支持される中間転写ベルト11とを有している。中間転写ベルト11の右端部には、搬送路を介して2次転写ローラ21が所定の圧にて当接するように配置されている。
【0028】
シート給送装置70は、画像形成部58に向けてシートSを給送搬送するものであり、複数枚のシートSが収納される給紙カセット71と、ピックアップローラ18と、給送ローラ14と、分離ローラ81とを有している。シート給送装置70の搬送方向下流には、分離されたシートSを搬送するレジストレーションローラ対20が配置されている。
【0029】
装置本体50a内の下部には、電源部200が配置されている。電源部200は、導電性部材から構成されるケーシングに収納され、導電性部材から構成される装置本体50aの本体フレームに締結されて導通している。電源部200には電源コードが接続され、電源コードの一端は、画像形成装置50の設置場所のインレット等を通して大地と電気的に接続されて接地(アース)されている。このように、画像形成装置50の装置本体50aが、電源部200を介して電気的に接地されている。
【0030】
[画像形成動作]
次に、画像形成動作について説明する。まず、プロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dが、印字タイミングに合わせて順次駆動され、その駆動に応じて感光ドラム1a,1b,1c,1dが、時計回り方向に回転駆動される。そして、各々のプロセスカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。
【0031】
この駆動により、帯電ローラ2は、感光ドラム1の周面に一様な電荷を付与し、スキャナユニット3は、その感光ドラム1周面に画像信号に応じて露光を行って感光ドラム1周面上に静電潜像を形成する。現像装置4内の現像ローラは、静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光ドラム1周面上にトナー像を形成(現像)する。
【0032】
シート給送装置70にて給送動作が開始されると、ピックアップローラ18によってシートSが繰り出され、給送ローラ14によって給送方向下流側に給送される。給送されたシートSは、レジストレーションローラ対20にて、搬送方向に対する傾きを補正されて搬送される。
【0033】
各感光ドラム1のトナー像は、各感光ドラム1と転写ローラ12との間に形成される電界によって、中間転写ベルト11上に順次転写される。その後、中間転写ベルト11上に転写されたトナー像は、中間転写ベルト11と2次転写ローラ21間の2次転写ニップ部N2に形成された電界により、搬送されてきたシート上に2次転写される。
【0034】
4色のトナー像を転写されたシートSは、定着装置30に搬入され、定着装置30で上記トナー像が熱定着された後、排出ローラ対31により搬送される。そして、このシートSは、排出ローラ対32から排出直後に除電部材(不図示)にて一部除電をされた後、シート排出部40に排出される。なお、画像形成部58、2次転写ニップ部N2及び定着装置30により、シート給送装置70から給送されたシートSに画像を形成する画像形成手段57が構成される。
【0035】
[シート給送装置の構成]
次に、シート給送装置70の概略構成について、
図2(a),(b)、
図3(a)〜(c)、及び
図4を用いて説明する。なお、
図2(a)は、本実施形態に係るシート給送装置70の概略断面図、
図2(b)は、シート給送装置70の分離手段を概略的に示す斜視図である。
図3(a)は、分離ユニット80を外側から見た状態で示す斜視図、
図3(b)は、
図3(a)の分離ユニット80を内側から見た状態で示す斜視図、
図3(c)は、
図3(a)の分離ユニットを手前側から見た状態で示す側面断面図である。
図4は、本実施形態に係る分離ローラ81の構成を分解した状態で示す分解斜視図である。
【0036】
図2(a),(b)に示すように、シート給送装置70は、シートSを積載し装置本体50aから引き出し可能に構成された給紙カセット71と、給紙カセット71内に収納されたシートSを繰り出すピックアップローラ18とを有している。さらに、シート給送装置70は、ピックアップローラ18で繰り出されたシートSを下流に給送する給送ローラ14を有している。なお、給紙カセット71は、装置本体50aに対して装着及び引き出し可能に設けられ、シートSを収納するシート収納手段を構成している。また、給送ローラ14は、ゴム製のローラから構成され、ピックアップローラ18の下流側に配置されている。給送ローラ14は、装置本体50aに設けられ、給紙カセット71からのシートSを給送する給送回転体を構成する。
【0037】
給紙カセット71は、枠体であるカセット本体72と、シートSが積載されるシート積載板73と、リフタ74と、サイド規制板75,76と、後端規制板77と、分離ユニット80とを有している。サイド規制板75,76は、積載されたシートSの幅方向の位置を規制する。サイド規制板75,76は、ユーザ操作によりシートSの横幅に合わせて移動可能に支持される。積載されたシートSの側面にサイド規制板75,76が突き当たることで、シート端部の位置が整合される。
【0038】
後端規制板77は、積載されたシートSの後端位置を規制する部材である。後端規制板77は、カセット本体72の後方から分離ユニット80の方向にユーザ操作により移動可能となるように構成される。後端規制板77は、積載されたシートSの後端に当接してこの後端を整合することに伴い、シートSを移動させてその先端をカセット本体72の先端面78に当接させて整合する。
【0039】
図3(a)〜(c)に示すように、分離ユニット80は、分離ローラ81、分離ローラホルダ82、カバー83、ニップガイド84、分離バネ85、離間レバー86、離間バネ87、及びアース板88を有している。この分離ユニット80は、給紙カセット71のカセット本体72に対して着脱可能に支持されるように構成されている。
【0040】
分離ローラ81は、給紙カセット71に設けられ、給送ローラ14により搬送されるシートSを、給送ローラ14との当接で形成される分離ニップ部Nで1枚ずつ分離して搬送する分離回転体を構成する。また、分離ユニット80は、給紙カセット71に設けられ、装置本体50aに対する給紙カセット71の装着及び引き出し時に分離ローラ81を給送ローラ14に対して当接及び離間可能となるように支持し、導電性を有する導電性支持手段を構成する。この分離ユニット80は、給紙カセット71の装置本体50aへの装着時に、接地された装置本体50aにレール部96(
図5)の係合凸部93を介して分離ローラ81を導通させることができる。
【0041】
ここで、
図4は、本実施形態に係る分離ローラ81の構成を分解した状態で示す分解斜視図である。
図4に示すように、分離ローラ81は、ローラ本体81a、ローラハウジング81b、分離ローラ軸81c、コイルバネ81d、及びキャップ81eにより構成されている。
【0042】
分離ローラ81は、分離ローラ軸81cのDカット面81fを介して回転を規制された状態で、分離ローラ軸81cの両端が分離ローラホルダ82の支持孔(不図示)にて支持されている。分離ローラホルダ82は導電性部材から構成され、
図3(a)〜(c)に示すように、上部の軸部82bの両端に、軸状に突出した突起部82aを有している。分離ローラホルダ82は、軸部82b両端の突起部82aを、カバー83に形成された孔部83aにそれぞれ回動可能に係合させ、分離ローラ81を支持した分離ローラホルダ82ごとカバー83に対して揺動可能となるように支持される。
【0043】
以上のように、本実施形態の分離ローラ81は、分離ローラ軸81cと、ローラハウジング81bと、ローラ本体81aと、コイルバネ81dとを有し、分離ローラ軸81cがその両端部を分離ローラホルダ82に固定支持される。そして、ローラハウジング81bは分離ローラ軸81cに回転可能に嵌合され、ローラ本体81aはローラハウジング81bに回転不能に嵌合される。
【0044】
ローラハウジング81bは一端部の内周面に係止部81gを有しており、この係止部81gに対し、分離ローラ軸81cに嵌合したコイルバネ81dの一端部81hが係止される。コイルバネ81dは、分離ローラ軸81cとローラハウジング81bとの間に介在される。そして、コイルバネ81dは、ローラハウジング81bにシート給送方向の所定以上の回転トルクが作用すると内径が拡張してローラハウジング81bの分離ローラ軸81cに対する回転を許容するトルクリミッタを構成している。
【0045】
また、
図3(a)〜(c)に示すように、分離ローラホルダ82の下面には、突起部82cが形成されていると共に、分離ローラホルダ82を上方向に付勢する圧縮バネから構成される分離バネ85が縮めて設けられている。分離バネ85は導電性部材から構成され、その下端は、カバー83のリブ83dに係合した導電性部材から構成されるアース板88に突き当たるように支持される。
【0046】
カバー83の内面に突出形成されたリブ83dの下方には、導電性部材から構成される離間レバー86が配置されている。離間レバー86は、レバー部86a、回転止めリブ86b及び突き当てリブ86cを一体に有し、両端がカバー83のリブ83eに回動可能に支持されている。
【0047】
レバー部86aのカバー83側には、レバー部86aを
図3(b)の手前側に付勢する離間バネ87が縮めて設けられている。
図3(c)に示すように、アース板88の先端には、下方に所定角度折り曲げられた折曲部88aが設けられており、この折曲部88aは、離間レバー86の上部後端に設けられた稜線部86dと当接する。
【0048】
分離ユニット80に備えた分離ローラホルダ82は、レール部96に沿った給紙カセット71の移動時に、分離ローラ81を給送ローラ14に対し当接及び離間可能に支持する分離回転体保持部を構成している。また、離間レバー86は、給紙カセット71の移動時に係合凸部93に係合することで分離ローラホルダ82を介して分離ローラ81を給送ローラ14に当接させる被係合部を構成する。
【0049】
係合凸部93は、装置本体50aに設けられ、給紙カセット71の装置本体50aへの装着時に分離ユニット80を給送ローラ14に向けて移動させ、分離ローラ81を、給送ローラ14に当接させると共に装置本体50aに導通させる当接導通手段を構成する。このため、当接導通手段としての係合凸部93は、レール部96の長手方向に沿って移動してくる分離ユニット80の突き当てリブ86cを乗り越えさせるだけで、分離ローラ81を給送ローラ14に確実に当接させると共に確実に除電することができる。
【0050】
[シート給送装置近傍の構成]
次に、
図5(a)〜(c)を参照して、画像形成装置50における装置本体50a内の下部側に配置されたシート給送装置70の近傍の構成について説明する。なお、
図5(a)は、本実施形態に係る給紙カセット71を装置本体50aから引き出した状態を示す斜視図、
図5(b)は、給紙カセット71を装置本体50aから引き出した状態での給紙カセット71及びレール部90,96を示す斜視図である。
図5(c)は、給紙カセット71を装置本体50aから引き出した状態のレール部90,96のみを示す斜視図である。
【0051】
図5(a)〜(c)に示すように、レール部90,96は、それぞれ伸縮式に構成され、画像形成装置50に対する給紙カセット71の装着及び引き出しを案内する。レール部90は、給紙カセット71の後端規制板77側に配置されており、レール部96は、分離ユニット80側に配置されている。レール部90は、装置本体50aに固定されている外側レール91と、給紙カセット71と共に外側レール91から引き出される内側レール92とを有している。また、レール部96は、装置本体50aに固定されている外側レール97と、給紙カセット71と共に外側レール97から引き出される内側レール98とを有している。レール部96の外側レール97は、その所定の位置(略中央部)に、台形状に突出形成された係合凸部(当接導通手段)93を有している。
【0052】
外側レール97の後端部94は、装置本体50aの本体フレーム(不図示)に差し込まれ、他端のタブ95にネジが螺入されることで本体フレームに締結固定される。装置本体50aの本体フレーム(不図示)は、電源部200、この電源部200のケーシング、及び電源ケーブル(不図示)を介して、大地と電気的に接続され接地されている。これにより、本体フレームに締結された外側レール97も大地と電気的に接続される(接地される)。
【0053】
レール部96は、装置本体50aに導通され、給紙カセット71を装置本体50aに移動案内すると共に係合凸部(当接導通手段)93を有するガイド手段を構成している。これにより、レール部96は、その長手方向に沿って移動してくる分離ユニット80の突き当てリブ86cを係合凸部93に乗り越えさせるだけで、分離ローラ81を給送ローラ14に確実に当接させると共に確実に除電することが可能になる。
【0054】
[シート給送装置による給送動作]
次に、
図6〜
図9を参照して、シート給送装置70による給送動作について説明する。
図6は、給紙カセット71を装置本体50aから引き出した状態の分離ユニット80を示す側面断面図である。
図7(a)は、給紙カセット71を装置本体50aに装着完了する直前の分離ユニット80と外側レール97との位置関係を示す側面図である。
図7(b)は、給紙カセット71を装置本体50aに装着完了する直前の分離ユニット80とレール部との位置関係を示す断面図である。
【0055】
図6及び
図7(a),(b)に示すように、離間レバー86は、離間バネ87の付勢力により、突き当て回転止めリブ86bがカバー83内面に突き当たる角度まで突起部82aを支点として回動させられる。そして、離間レバー86のレバー部86aの先端は、分離ローラホルダ82の下部から斜め前方に突出する突起部82cに突き当たり、分離バネ85の付勢力に抗して分離ローラホルダ82をカバー83に対して所定角度回動させた状態を保持する。
【0056】
以上のように、分離ローラホルダ82は、分離ローラ81を、回転可能に保持した状態で給送ローラ14に接近する接近方向に付勢している。また、離間レバー86は、分離ローラホルダ82の給送ローラ14への接近動作を規制する規制方向に付勢され、給紙カセット71が係合凸部93に係合すると、規制方向と逆方向に移動して分離ローラホルダ82を解放して接近方向に移動させる。この構成により、突き当てリブ86cと係合凸部93との係合によって離間レバー86を回動させるだけで、分離ローラホルダ82の規制を解除し、分離ローラ81を給送ローラ14に確実に当接させることが可能になる。
【0057】
ここで、ユーザが、引き出した給紙カセット71にシートをセットし、装置本体50aに給紙カセット71を挿入すると、以下のようになる。即ち、給紙カセット71の装置本体50aへの挿入により、離間レバー86の突き当てリブ86cが外側レール97の上面に当接し、離間レバー86は、所定の角度に回転した姿勢を維持する。離間レバー86のレバー部86aの位置が
図6の状態より回動するため、分離ローラホルダ82も、レバー部86aを介して
図6の状態よりカバー83に対し僅かに回動した姿勢になる。
【0058】
この状態において、分離ローラホルダ82に支持された分離ローラ81は、
図7(b)に示すように分離ローラホルダ82の上面部より下方に退避した位置にある。そのため、給紙カセット71を装置本体50aに挿入する過程において、分離ローラ81が給送ローラ14に当接することは無い。
【0059】
次いで、
図8(a),(b)に、給紙カセット71を装置本体50aに挿入した際の途中状態を示し、
図9(a),(b)に、装着が完了した状態を示す。即ち、離間レバー86の突き当てリブ86cは、
図8(a),(b)に示すように外側レール97の係合凸部93を登り始めると、離間レバー86が、離間バネ87の付勢力に抗して更に回動してカバー83内面に接近する。これにより、分離ローラ81は給送ローラ14に近接する。
【0060】
そして、給紙カセット71が更に装置本体50aの収納空間Spに挿入されると、突き当てリブ86cは、
図9(a),(b)に示すように係合凸部93の頂上部に達する。そのため、離間レバー86が、レバー部86aを介して分離ローラホルダ82の突起部82cから離間する位置まで回動する。この状態で、分離ローラ81は、分離バネ85のバネ圧によって給送ローラ14への当接を完了する。その後、装置本体50aに備えられた制御部55(
図1参照)の制御で、シート積載板73がシートSを載せたままリフタ74に持ち上げられ、シート積載板73に積載されたシートSがピックアップローラ18(
図2(a)参照)に当接させられる。
【0061】
次に、制御部55から給送指示が出力されて給送動作が開始された際の動作について、
図2(a)及び
図4を参照して説明する。
【0062】
まず、制御部55から給送指示が出力されて給送動作が開始されると、不図示の駆動源によりピックアップローラ18が反時計回り方向(
図2(a)の矢印A方向)に回転する。これにより、給紙カセット71内のシート積載板73上に積載されたシートSの最上位のシートS1が、給送ローラ14と分離ローラ81との間のニップ部Nに繰り出される。
【0063】
この際、給送ローラ14と分離ローラ81間のニップ部Nに複数枚のシートSが繰り出された場合には、最上部のシートS1のみが給送ローラ14の回転で搬送され、分離ローラ81には、搬送されるシートS1とその下のシートとの間の摩擦力が作用する。作用する摩擦力は、
図4に示すコイルバネ81dが分離ローラ軸81cに対して締まる力よりも小さいため、コイルバネ81dの内径を押し広げることができない。そのため、コイルバネ81dと分離ローラ軸81cとの間で滑りが生じることはなく、ローラ本体81a及びハウジング81bがシート搬送中に分離ローラ軸81cに対して回転することはない。
【0064】
これに対し、給送ローラ14と分離ローラ81間のニップ部NにシートSが1枚のみ導入された場合には、給送ローラ14の回転に従動するシートSを介して、分離ローラ81のローラ本体81aに所定以上の大きな回転トルクが作用する。そのため、コイルバネ81dは、ハウジング81bを介してその内径が開くように力が作用し、コイルバネ81dと分離ローラ軸81cとの間の摩擦力が低下し、ハウジング81b、コイルバネ81d及びキャップ81eが分離ローラ軸81cに対し滑り回転する。
【0065】
本実施形態では、分離ローラ81の分離ローラ軸81cは、シート給送中に3部品との摺擦によって摩擦帯電して電荷が発生する。しかし、この帯電で生じた電荷は、導電性部材から構成される分離ローラホルダ82、分離バネ85、アース板88及び離間レバー86を順次介して、装置本体50aの本体フレームに接地された外側レール97へと移動する。
【0066】
従って、分離ローラ81の分離ローラ軸81cに対して給送中に生じる電荷は常に除電され、分離ローラ軸81cに電荷が蓄積することは無いので、分離ローラ81での放電に起因する装置本体50aの誤動作等を確実に防止することができる。また、給送中及び給紙カセット71の装着及び引き出しによって分離ローラ81等に紙粉が集積することが無く、分離性能の低下や搬送不良を防止することが可能になる。
【0067】
即ち、本実施形態によれば、給紙カセット71に分離ローラ81を備えた構成において、分離ローラ81は、シート給送中には常に除電されて帯電されることがないので、放電ノイズを発生させることがない。従って、装置本体側での誤動作等の不都合の発生を確実に防止することが可能になる。また、給紙カセット71を装置本体50aに対して移動させる際にも、退避した分離ローラ81に、装置本体内に蓄積した紙粉等が付着することはなく、給紙カセット71からのシート給送での紙詰まりや斜行等の給送不良等の発生を防止することが可能になる。これにより、給送性能や分離性能を損なうような不都合を生じさせないシート給送装置70及び画像形成装置50を提供することが可能になる。
【0068】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るシート給送装置70について、
図10(a)を参照して説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態と機能的に共通する部材には同一符号を付すと共に、構成、機能が同じものについてはその説明を省略する。
【0069】
即ち、第1の実施形態では、給紙カセット71の装着及び引き出し時に分離ローラ81を給送ローラ14に対し当接及び離間させる構成例を示したが、本実施形態では、
図10(a)のように、第1の実施形態のアース板88等を省いて構成している。
【0070】
本実施形態では、分離ローラホルダ(分離回転体保持部)82は、分離ローラ(分離回転体)81を回転可能に保持して給送ローラ(給送回転体)14から離間した位置に分離バネ(付勢手段)85を介して保持している。そして、離間レバー(被係合部)86は、突き当てリブ86cが係合凸部93に乗り上げると、分離ローラホルダ82を分離バネ85を介して押し込むことで、分離ローラ81を給送ローラ14に当接させる。
【0071】
このような本実施形態によると、第1の実施形態と略同様の効果が得られると共に、第1の実施形態におけるアース板88等を省いて分離ユニット80を構成したことで、構成をより簡略化してコストダウンを期待することができる。
【0072】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係るシート給送装置70について、
図10(b)を参照して説明する。なお、本実施形態においても、第1の実施形態と機能的に共通する部材には同一符号を付すと共に、構成、機能が同じものについてはその説明を省略する。
【0073】
即ち、本実施形態では、
図10(b)に示すように、分離バネ(付勢手段)85がその下部側に突出形成されたバネ掛け部(被係合部)85aを有している。カバー83の内面には、貫通長穴部56aを有する支持プレート56が固定されている。上部を分離ローラホルダ82の下部に当接させた分離バネ85が、そのバネ掛け部85aを貫通長穴部56aから突出させた状態で支持プレート56に支持されている。本実施形態では、分離バネ85のバネ掛け部85aに、第1の実施形態における離間レバー86の突き当てリブ86cと同様の機能を持たせている。
【0074】
本実施形態では、分離ローラホルダ(分離回転体保持部)82は、分離ローラ81を回転可能に保持して給送ローラ14から離間した位置に分離バネ85を介して保持している。分離バネ85の先端部であるバネ掛け部85aが係合凸部93に係合すると、分離ローラホルダ82を分離バネ85を介して押し込むことで、分離ローラ81を給送ローラ14に当接させる。
【0075】
このような本実施形態によると、第1の実施形態と略同様の効果が得られると共に、第1の実施形態におけるアース板88及び離間レバー86を省いて分離ユニット80を構成したことで、構成をより簡略化してコストダウンを期待することができる。