(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記仕切壁に形成された前記開口部のうち、前記弁室の高さ方向における前記仕切壁の中央位置よりも下方に位置する部分の開口面積の合計S1が、該中央位置よりも上方に位置する部分の開口面積の合計S2よりも大きくなるように、前記開口部が形成される請求項2に記載の蒸気弁装置。
前記連絡路は、前記何れか2つの弁ポートのうち一方の弁ポートから、前記何れか2つの弁ポートを通過した蒸気が合流する合流位置まで延在する連絡路一方側部と、前記何れか2つの弁ポートのうち他方の弁ポートから前記合流位置まで延在する連絡路他方側部とを含み、
前記一方の弁ポートは、前記他方の弁ポートの他に前記第1〜第4弁ポートの何れか1つに隣接しており、
前記第1連絡路一方側部は、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて前記弁室の長手方向において前記第1〜第4弁ポートの前記何れか1つから離れるように設けられている請求項6に記載の蒸気弁装置。
前記伝達部材は、前記アクチュエータの駆動力を前記第1弁揚板に伝達するための第1伝達部材と、前記アクチュエータの駆動力を前記第2弁揚板に伝達するための第2伝達部材とを含む請求項1乃至7の何れか1項に記載の蒸気弁装置。
前記弁ハウジングは、前記蒸気タービンが備えるタービンケーシングに載せられ、該タービンケーシングと一体的に構成されている請求項2乃至8の何れか1項に記載の蒸気弁装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、蒸気タービンの大型化に伴って蒸気弁装置が備える弁ハウジングや弁揚板も大型化する傾向にある。弁揚板が大型化した場合、弁揚板の温度分布が不均一になりやすいため、弁揚板が熱変形によって曲がりやすくなる。熱変形の影響によって弁揚板が曲がると、弁棒が傾いて弁棒や弁体に偏摩耗や振動が生じてしまい、蒸気弁装置の寿命や蒸気量の調整に影響を与える可能性がある。
【0007】
この点、特許文献1には、上述した熱変形の影響による弁揚板の曲がりを抑制するために蒸気弁装置を如何に構成すべきかについての知見は何ら開示されていない。
【0008】
上述に事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、熱変形の影響による弁揚板の曲がりを抑制することを可能とする蒸気弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気弁装置は、蒸気タービンに供給する蒸気量を調整するための蒸気弁装置であって、弁室を有するとともに該弁室に面して第1〜第4弁ポートが直列に配設された弁ハウジングと、前記弁室内に設けられ、前記第1〜第4弁ポートに対してそれぞれ接離可能に構成された第1〜第4弁体と、前記第1〜第4弁体にそれぞれ連結された第1〜第4弁棒と、前記弁室内に設けられ、前記第1弁体及び前記第2弁体を前記第1弁ポート及び第2弁ポートからそれぞれ離間させるように前記第1弁棒及び前記第2弁棒をリフトするための第1弁揚板と、前記弁室内に設けられ、前記第3弁体及び前記第4弁体を前記第3弁ポート及び第4弁ポートからそれぞれ離間させるように前記第3弁棒及び前記第4弁棒をリフトするための第2弁揚板と、前記弁室外に設けられ、前記第1弁揚板及び前記第2弁揚板をリフトするための駆動力を発生させるよう構成された少なくとも1つのアクチュエータと、前記弁室外から前記弁室内に亘って設けられ、前記アクチュエータの駆動力を前記第1弁揚板及び前記第2弁揚板に伝達するための少なくとも1つの伝達部材と、を備える。
【0010】
上記(1)に記載の蒸気弁装置によれば、第1弁棒及び第2弁棒を第1弁揚板でリフトするとともに第3弁棒及び第4弁棒を第2弁揚板でリフトするため、第1〜第4弁棒を1枚の弁揚板でリフトする場合と比較して、各弁揚板の長さを短くすることができる。このため、これにより、熱変形による弁揚板の曲りを抑制することができる。したがって、弁揚板の曲がりに起因する弁棒の傾きが抑制され、弁棒や弁体の偏摩耗や振動が抑制される。このため、蒸気弁装置の高寿命化を実現するとともに、蒸気量の細かな調整が可能となる。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の蒸気弁装置において、前記弁室を第1弁室部と第2弁室部とに仕切る仕切壁を更に備え、前記第1弁ポート及び前記第2弁ポートは前記第1弁室部に面して配設され、前記第3弁ポート及び前記第4弁ポートは前記第2弁室部に面して配設され、前記仕切壁には、前記第1弁室部と前記第2弁室部とを連通する少なくとも1つの開口部が形成されている。
【0012】
上記(2)に記載の蒸気弁装置によれば、弁室を第1弁室部と第2弁室部とに仕切る仕切壁によって弁室の剛性を高めることにより、弁室の変形を抑制することができる。また、第1弁室部と第2弁室部とを連通する少なくとも一つの開口部が仕切壁に形成されているため、第1弁室部と第2弁室部との間の蒸気通路を簡易な構成で確保しつつ弁室の変形を抑制することができる。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の蒸気弁装置において、前記仕切壁に形成された前記開口部のうち、前記弁室の高さ方向における前記仕切壁の中央位置よりも下方に位置する部分の開口面積の合計S1が、該中央位置よりも上方に位置する部分の開口面積の合計S2よりも大きくなるように、前記開口部が形成される。
【0014】
上記(3)に記載の蒸気弁装置によれば、弁室の底部に設けられた全ての弁ポートへのよりスムーズな蒸気流れを実現することができる。
【0015】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の蒸気弁装置において、前記仕切壁の厚みは、前記仕切壁における前記弁室の内周壁との接続部において、前記内周壁に近づくにつれて増大する。
【0016】
上記(4)に記載の蒸気弁装置によれば、仕切壁の厚みが、仕切壁における弁室の内周壁との接続部において、該内周壁に近づくにつれて増大するため、弁室の変形を効果的に抑制することができる。
【0017】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(4)に記載の蒸気弁装置において、前記少なくとも1つの開口部を開閉可能に構成された少なくとも1つの開閉部材を更に備える。
【0018】
上記(5)に記載の蒸気弁装置によれば、第1弁室部と第2弁室部との連通状態と開閉部材によって容易に調節することができる。例えば全ての開口部を開閉部材によって閉鎖すれば、第1弁室部と第2弁室部とは非連通状態となるため、第1弁室部と第2弁室部のうち一方の弁室部にのみ蒸気を流すことができる。また、全ての開口部を開放すれば、第1弁室部と第2弁室部とは連通状態となるため、第1弁室部と第2弁室部の両方に蒸気を流すことができる。このため、簡易な構成で、弁室の変形を抑制しつつ蒸気の流量調節を容易化することができる。
【0019】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の蒸気弁装置において、前記第1〜第4弁ポートは、前記弁室の長手方向に沿って直列に配設され、前記弁ハウジングは、前記第1〜第4弁ポートを通過した蒸気を前記弁ハウジングの外部に排出するための複数の排出路を含み、前記複数の排出路のうち少なくとも1つは、前記第1〜第4弁ポートのうち互いに隣接する何れか2つの弁ポートを通過した蒸気を合流させるように、前記何れか2つの弁ポートを連絡するよう構成された連絡路を有する。
【0020】
上記(6)に記載の蒸気弁装置によれば、複数の排出路の少なくとも1つが「第1〜第4弁ポートのうち互いに隣接する何れか2つの弁ポートを通過した蒸気を合流させるように、何れか2つの弁ポートを連絡するよう構成された連絡路」を有するため、弁ポート毎に1つの排出路が設けられている場合(第1弁ポート〜第4弁ポートを通過した蒸気を4つの排出路でそれぞれ排出する場合)と比較して、排出路同士を仕切る流路壁を削減した分、連絡路で連絡する2つの弁ポートの間隔を狭くすることが容易となる。このため、弁室を長手方向に短くすることが容易となり、熱変形の影響による弁室の曲がりを抑制することができる。したがって、弁室の曲がりに起因する弁棒の傾きが抑制され、弁棒や弁体の偏摩耗や振動が抑制される。これにより、蒸気弁装置の高寿命化を実現するとともに、蒸気量の細かな調整が可能となる。
【0021】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)に記載の蒸気弁装置において、前記連絡路は、前記何れか2つの弁ポートのうち一方の弁ポートから、前記何れか2つの弁ポートを通過した蒸気が合流する合流位置まで延在する連絡路一方側部と、前記何れか2つの弁ポートのうち他方の弁ポートから前記合流位置まで延在する連絡路他方側部とを含み、前記一方の弁ポートは、前記他方の弁ポートの他に前記第1〜第4弁ポートの何れか1つに隣接しており、前記連絡路一方側部は、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて前記弁室の長手方向において前記第1〜第4弁ポートの前記何れか1つから離れるように設けられている。
【0022】
上記(7)に記載の蒸気弁装置によれば、連絡路一方側部が、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて弁室の長手方向において第1〜第4弁ポートの上記何れか1つ(上記他方の弁ポートの他に上記一方の弁ポートが隣接しているポート)から離れるように設けられているため、上記第1〜第4弁ポートの上記何れか1つと上記一方の弁ポートとの間隔を狭くすることが容易となる。このため、上記(6)に記載の効果(弁室を長手方向に短くすることによって、熱変形の影響による弁室の曲がりを抑制する効果)を高めることができる。
【0023】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れか1項に記載の蒸気弁装置において、前記伝達部材は、前記弁室外から前記弁室内に亘って設けられ、前記アクチュエータの駆動力を前記第1弁揚板に伝達するための第1伝達部材と、前記弁室外から前記弁室内に亘って設けられ、前記アクチュエータの駆動力を前記第2弁揚板に伝達するための第2伝達部材とを含む。
【0024】
上記(8)に記載の蒸気弁装置によれば、第1弁揚板への駆動力を伝達するための第1伝達部材と第2弁揚板へ駆動力を伝達するための第2伝達部材とを有するため、第1、第2伝達部材による駆動力の伝達タイミングを互いに一致させれば第1弁揚板と第2弁揚板とを同時に昇降させることができ、互いに異ならせれば第1弁揚板と第2弁揚板とを異なるタイミングで昇降させることができる。このため、1枚の弁揚板で第1〜第4弁揚棒をリフトする場合と比較して、蒸気流量を調節するための構成の設計自由度を高めることができる。
【0025】
(9)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(8)に記載の蒸気弁装置において、前記弁ハウジングは、前記蒸気タービンが備えるタービンケーシング上に載せられ、該タービンケーシングと一体的に構成されている。
【0026】
上記(9)に記載のように、蒸気タービンが備えるタービンケーシング上に弁ハウジングが載せられている場合には、蒸気タービン側での弁室の熱伸び量が相対的に大きくなるため、弁室の曲がりが特に大きくなりやすい。このような場合であっても、上記(2)乃至(8)に記載の構成によって熱変形による弁室の曲りを抑制することができる。
【0027】
なお、幾つかの実施形態では、熱変形の影響による弁揚板の曲がりを抑制することを可能とする蒸気弁装置を提供することを目的の一つとしているが、幾つかの実施形態では、熱変形の影響による弁室の曲がりを抑制することを可能とする蒸気弁装置を提供することを目的としてもよい。
【0028】
この場合、(10)本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気弁装置は、蒸気タービンに供給する蒸気量を調整するための蒸気弁装置であって、弁室を有するとともに該弁室に面して第1〜第3弁ポートが直列に配設された弁ハウジングと、前記弁室内に設けられ、前記第1〜第3弁ポートに対してそれぞれ接離可能に構成された第1〜第3弁体と、前記第1〜第3弁体にそれぞれ連結され、前記弁室内から前記弁室外に亘って延在する第1〜第3弁棒と、前記弁室外に設けられ、前記第1〜第3弁棒をリフトするための駆動力を発生させるよう構成された少なくとも1つのアクチュエータと、を備え、前記第1〜第3弁ポートは、前記弁室の長手方向に沿って直列に配設され、前記弁ハウジングは、前記第1〜第3弁ポートを通過した蒸気を前記弁ハウジングの外部に排出するための複数の排出路を含み、前記複数の排出路のうち少なくとも1つは、前記第1〜第3弁ポートのうち互いに隣接する何れか2つの弁ポートを通過した蒸気を合流させるように、前記何れか2つの弁ポートを連絡するよう構成された連絡路を有する。
【0029】
上記(10)に記載の蒸気弁装置によれば、弁ポート毎に1つの排出路が設けられている場合(第1弁ポート〜第3弁ポートを通過した蒸気を3つの排出路でそれぞれ排出する場合)と比較して、連絡路を設けて排出路の数を減らしたことにより、排出路同士を仕切る流路壁を削減できる分、連絡路で連絡する2つの弁ポートの間隔を狭くすることが容易となる。このため、弁室を長手方向に短くすることが容易となり、熱変形の影響による弁室の曲がりを抑制することができる。したがって、弁室の曲がりに起因する弁棒の傾きが抑制され、弁棒や弁体の偏摩耗や振動が抑制される。これにより、蒸気弁装置の高寿命化を実現するとともに、蒸気量の細かな調整が可能となる。
【0030】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)に記載の蒸気弁装置において、前記連絡路は、前記何れか2つの弁ポートのうち一方の弁ポートから、前記何れか2つの弁ポートを通過した蒸気が合流する合流位置まで延在する連絡路一方側部と、前記何れか2つの弁ポートのうち他方の弁ポートから前記合流位置まで延在する連絡路他方側部とを含み、 前記一方の弁ポートは、前記他方の弁ポートの他に前記第1〜第3弁ポートの何れか1つに隣接しており、前記第1連絡路一方側部は、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて前記弁室の長手方向において前記第1〜第3弁ポートの前記何れか1つから離れるように設けられている。
【0031】
上記(11)に記載の蒸気弁装置によれば、連絡路一方側部が、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて、隣接する弁ポート(連絡路一方側部が接続する弁ポートに隣接する弁ポートのうち、連絡路他方側部が接続する弁ポートとは異なる弁ポート)から弁室の長手方向に離れるように設けられているため、該隣接する弁ポートと連絡路一方側部が接続する弁ポートとの間隔を狭くして弁室を短くすることが容易になる。これは、蒸気の排出性の観点から排出路の流路面積が下流側に向かうにつれて大きくなる場合に特に効果的である。
【発明の効果】
【0032】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、熱変形の影響による弁揚板の曲がりを抑制することを可能とする蒸気弁装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0035】
図1は、一実施形態に係る蒸気弁装置100aの全体構成を概略的に示す断面図である。
図2は、
図1に示した蒸気弁装置100aにおけるA−A断面の一例を示す図である。
図3は、
図1に示した蒸気弁装置100aのB−B断面の一例を示す図である。
図4は、一実施形態に係る蒸気弁装置100bの全体構成を概略的に示す断面図である。
図5は、一実施形態に係る蒸気弁装置100cの全体構成を概略的に示す断面図である。
図6は、
図5に示した蒸気弁装置100bにおけるC−C断面の一例を示す図である。
図7は、
図5に示した蒸気弁装置100bのC−C断面の他の一例を示す図である。
【0036】
図1〜
図7に示す幾つかの実施形態に係る蒸気弁装置100(100a〜100c)は、蒸気タービン200に供給する蒸気量を調整するための蒸気弁装置である。蒸気弁装置100(100a〜100c)は、例えば
図1、
図4及び
図5に示すように、弁ハウジング4、複数の弁体8、複数の弁棒10、複数の弁揚板16、少なくとも1つのアクチュエータ18及び少なくとも一つの伝達部材20を備える。
【0037】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、弁ハウジング4は弁室2を有しており、該弁ハウジング4には、弁室2に面して複数の弁ポート6が弁室2の長手方向に沿って直列に配設されている。
図1、
図4及び
図5において、弁ハウジング4の入口ポート22を介して弁室2へ流入した蒸気は、複数の弁ポート6を介して弁ハウジング4の複数の出口ポート24から蒸気タービン200へ供給される。蒸気弁装置100(100a〜100c)では、複数の弁体8について、対応する弁ポート6からのリフト量(弁ポート6と弁体8との間の流路面積)を調節することによって、蒸気タービン200へ供給する蒸気量が調整される。
図1〜
図7に示す蒸気弁装置100(100a〜100c)では、弁ハウジング4には、弁室2に面して第1〜第4弁ポート6(第1弁ポート6a、第2弁ポート6b、第3弁ポート6c及び第4弁ポート6d)が弁室2の長手方向に沿って直列に配設されている。
【0038】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、複数の弁体8は、第1〜第4弁体8(第1弁体8a、第2弁体8b、第3弁体8c及び第4弁体8d)を含んでいる。第1〜第4弁体8は、弁室2内に設けられ、第1〜第4弁ポート6に対してそれぞれ接離可能に構成されている。すなわち、第1弁体8aは第1弁ポート6aに対し接離可能に構成され、第2弁体8bは第2弁ポート6bに対し接離可能に構成され、第3弁体8cは第3弁ポート6cに対し接離可能に構成され、第4弁体8dは第4弁ポート6dに対し接離可能に構成されている。
【0039】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図4及び
図5に示すように、複数の弁棒10は、第1〜第4弁棒10(第1弁棒10a、第2弁棒10b、第3弁棒10c及び第4弁棒10d)を含んでいる。第1〜第4弁棒10は、それぞれ第1〜第4弁体8にそれぞれ連結されている。すなわち、第1弁棒10aは第1弁体8aに連結され、第2弁棒10bは第2弁体8bに連結され、第3弁棒10cは第3弁体8cに連結され、第4弁棒10dは第4弁体8dに連結されている。
【0040】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図3、
図4及び
図5に示すように、複数の弁揚板16は、第1弁揚板16a及び第2弁揚板16bを含む。第1弁揚板16aは、弁室2内に設けられ、第1弁体8a及び第2弁体8bを第1弁ポート6a及び第2弁ポート6bからそれぞれ離間させるように第1弁棒10a及び第2弁棒10bをリフト可能に構成されている。第2弁揚板16bは、弁室2内に設けられ、第3弁体8c及び第4弁体8dを第3弁ポート6c及び第4弁ポート6dからそれぞれ離間させるように第3弁棒10c及び第4弁棒10dをリフト可能に構成されている。
【0041】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図4及び
図5に示すように、弁揚板16の各々には、複数の貫通孔30が設けられている。弁棒10の各々は、貫通孔30の各々を貫通して設けられており、貫通孔30の各々を挟んで弁体8とは反対側に貫通孔30の径よりも大きな径を有する大径部32を含んでいる。この構成において、弁揚板16は上昇すると対応する弁棒10の大径部32に当接するため、弁揚板16の更なる上昇によって弁揚板16が大径部32を介して弁棒10及び弁体8をリフトする。
【0042】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図4及び
図5に示すように、複数の弁棒10における大径部32と弁体8との間の部分の軸方向長Lを弁棒毎に異ならせてもよい。これにより、複数の弁棒10の上昇タイミングを異なるタイミングにすることが可能となり、簡易な構成で蒸気タービン200に供給する蒸気の流量を細やかに調整することができる。なお、大径部32は、弁棒10の棒材と一体で(一つの部材で)形成されてもよいし、別体で(別の部材で)形成されてもよい。別体で形成する場合は、例えば、大径部32は、棒材に設けられたネジ部と螺合するナットであってもよい。
【0043】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図4及び
図5に示すように、少なくとも一つのアクチュエータ18は、弁室2外に設けられ、第1弁揚板16a及び第2弁揚板16bをリフトするための駆動力を発生させるよう構成されている。
【0044】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図4及び
図5に示すように、少なくとも1つの伝達部材20は、弁室2外から弁室2内に亘って設けられ、アクチュエータ18の駆動力を第1弁揚板16a及び第2弁揚板16bに伝達するよう構成されている。
【0045】
上述した蒸気弁装置100(100a〜100c)によれば、第1弁棒10a及び第2弁棒10bを第1弁揚板16aでリフトするとともに第3弁棒10c及び第4弁棒10dを第2弁揚板16bでリフトするため、第1〜第4弁棒10を1枚の弁揚板16でリフトする場合(
図12参照)と比較して、弁室2の長手方向における弁揚板16の1枚当たりの長さを短くすることができる。これにより、熱変形による弁揚板16の曲りを抑制することができる。したがって、弁揚板16の曲がりに起因する各弁棒10の傾きが抑制され、各弁棒10や各弁体8の偏摩耗や振動が抑制される。このため、蒸気弁装置100(100a〜100c)の高寿命化を実現するとともに、蒸気量の細かな調整が可能となる。
【0046】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図4及び
図5に示すように、少なくとも1つの伝達部材20は、弁室2外から弁室2内に亘って設けられ、アクチュエータ18の駆動力を第1弁揚板16aに伝達するための第1伝達部材20aと、弁室2外から弁室2内に亘って設けられ、アクチュエータ18の駆動力を第2弁揚板16bに伝達するための第2伝達部材20bとを含む。
【0047】
これにより、第1弁揚板16aへの駆動力を伝達するための第1伝達部材20aと第2弁揚板16bへ駆動力を伝達するための第2伝達部材20bとを有するため、第1、第2伝達部材20a,20bによる駆動力の伝達タイミングを互いに一致させれば第1弁揚板16aと第2弁揚板16bとを同時に昇降させることができ、互いに異ならせれば第1弁揚板16aと第2弁揚板16bとを異なるタイミングで昇降させることができる。このため、1枚の弁揚板16で第1〜第4弁揚棒10をリフトする場合(
図12参照)と比較して、蒸気流量を調節するための構成の設計自由度を高めることができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、例えば、
図1、
図4及び
図5に示すように、少なくとも一つのアクチュエータ18は、第1アクチュエータ18a及び第2アクチュエータ18bを含む。第1伝達部材20aは、第1アクチュエータ18aの駆動力を利用して第1弁揚板16aをリフトするよう構成された第1リフト棒であり、第2伝達部材20bは、第2アクチュエータ18bの駆動力を利用して第2弁揚板16bをリフトするよう構成された第2リフト棒である。
【0049】
図1〜
図4に示す蒸気弁装置100aによれば、第1リフト棒20aによって第1弁揚板16aを昇降させることにより、第1弁棒10aに対応する第1弁体8a及び第2弁棒10bに対応する第2弁体8bを第1弁ポート6a及び第2弁ポート6bに対してそれぞれ接離させることができる。また、第2リフト棒20bによって第2弁揚板16bを昇降させることにより、第3弁棒10cに対応する第3弁体8c及び第4弁棒10dに対応する第4弁体8dを第3弁ポート6c及び第4弁ポート6dに対してそれぞれ接離させることができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図4及び
図5に示すように、弁ハウジング4は、第1〜第4弁ポート6を通過した蒸気を弁ハウジング4の外部に排出するための複数の排出路26を含み、複数の排出路26のうち少なくとも1つは、第1〜第4弁ポート6のうち互いに隣接する何れか2つの弁ポート6を通過した蒸気を合流させるように、該何れか2つの弁ポート6を連絡するよう構成された連絡路28を有する。なお、排出路26は、蒸気の排出性の観点から下流側に向かうにつれて流路面積が大きくなるよう構成されている。
【0051】
図1及び
図5に示す蒸気弁装置100(100a,100c)では、複数の排出路26は、第1弁ポート6a及び第2弁ポート6bを通過した蒸気を弁ハウジング4の外部に排出するための排出路26aと、第3弁ポート6c及び第4弁ポート6dを通過した蒸気を弁ハウジング4の外部に排出するための排出路26bとを含む。ここで、排出路26aは、互いに隣接する第1弁ポート6a及び第2弁ポート6bを通過した蒸気を合流させるように、第1弁ポート6a及び第2弁ポート6bを連絡するよう構成された連絡路28(28a)を有する。また、排出路26bは、互いに隣接する第3弁ポート6c及び第4弁ポート6dを通過した蒸気を合流させるように、第3弁ポート6c及び第4弁ポート6dを連絡する連絡路28(28b)を有する。
【0052】
また、
図4に示す蒸気弁装置100(100b)では、複数の排出路26は、第1弁ポート6aを通過した蒸気を弁ハウジング4の外部に排出するための排出路26aと、第2弁ポート6b及び第3弁ポート6cを通過した蒸気を弁ハウジング4の外部に排出するための排出路26bと、第4弁ポート6dを通過した蒸気を弁ハウジング4の外部に排出するための排出路26cと、を含む。複数の排出路26のうち排出路26bは、互いに隣接する第2弁ポート6b及び第3弁ポート6cを通過した蒸気を合流させるように、第2弁ポート6b及び第3弁ポート6cを連絡する連絡路28(28c)を有する。
【0053】
図1、
図4及び
図5に示した蒸気弁装置100(100a,100b,100c)では、弁ポート6毎に1つの排出路26が設けられている場合(第1弁ポート6a〜第4弁ポート6dを通過した蒸気を4つの排出路26でそれぞれ排出する場合。
図12参照)と比較して、連絡路28を設けて排出路26の数を減らしたことにより、排出路26同士を仕切る流路壁54を削減できる分、連絡路28で連絡する2つの弁ポート6の間隔を狭くすることが容易となる。このため、弁室2を長手方向に短くすることが容易となり、熱変形の影響による弁室2の曲がりを抑制することができる。したがって、弁室2の曲がりに起因する弁棒10の傾きが抑制され、弁棒10や弁体8の偏摩耗や振動が抑制される。これにより、蒸気弁装置100の高寿命化を実現するとともに、蒸気量の細かな調整が可能となる。
【0054】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図4及び
図5に示すように、連絡路28は、該連絡路28によって連絡する2つの弁ポート6のうち一方の弁ポート6から、該2つの弁ポート6を通過した蒸気が合流する合流位置まで延在する連絡路一方側部46と、該2つの弁ポート6のうち他方の弁ポート6から上記合流位置まで延在する連絡路他方側部48とを含む。上記一方の弁ポート6は、上記他方の弁ポート6の他に第1〜第4弁ポート6の何れか1つに隣接しており、連絡路一方側部46は、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて弁室2の長手方向において第1〜第4弁ポート6の上記何れか1つから離れるように設けられている。
【0055】
具体的には、例えば
図1及び
図5に示す蒸気弁装置100(100a,100c)では、連絡路28(28a)は、該連絡路28(28a)によって連絡する2つの弁ポート6a,6bのうち一方の弁ポート6bから、該2つの弁ポート6a,6bを通過した蒸気が合流する合流位置まで延在する連絡路一方側部46aと、該2つの弁ポート6のうち他方の弁ポート6aから上記合流位置まで延在する連絡路他方側部48aとを含む。そして、連絡路一方側部46aは、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて弁室2の長手方向において第3弁ポート6cから離れるように設けられている。また、連絡路28(28b)は、該連絡路28(28b)によって連絡する2つの弁ポート6c,6dのうち一方の弁ポート6cから、該2つの弁ポート6c,6dを通過した蒸気が合流する合流位置まで延在する連絡路一方側部46bと、該2つの弁ポート6のうち他方の弁ポート6dから上記合流位置まで延在する連絡路他方側部48bとを含む。そして、第1連絡路一方側部46bは、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて弁室2の長手方向において第2弁ポート6bから離れるように設けられている。
【0056】
また、例えば
図4に示す蒸気弁装置100(100b)では、連絡路28(28c)は、該連絡路28cによって連絡する2つの弁ポート6b,6cのうち一方の弁ポート6bから、該2つの弁ポート6b,6cを通過した蒸気が合流する合流位置まで延在する連絡路一方側部46cと、該2つの弁ポート6のうち他方の弁ポート6cから上記合流位置まで延在する連絡路他方側部48cとを含む。第1連絡路一方側部46cは、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて弁室2の長手方向において第1弁ポート6aから離れるように設けられている。また、連絡路他方側部48cは、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて弁室2の長手方向において第4弁ポート6dから離れるように設けられている。
【0057】
図1、
図4及び
図5に示した蒸気弁装置100(100a〜100c)では、連絡路一方側部46が、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて、隣接する弁ポート6(連絡路一方側部46が接続する弁ポートに隣接する弁ポート6のうち、連絡路他方側部48が接続する弁ポートとは異なる弁ポート)から弁室2の長手方向に離れるように設けられているため、該隣接する弁ポート6と連絡路一方側部46が接続する弁ポート6との間隔を狭くして弁室2を短くすることが容易になる。これは、蒸気の排出性の観点から排出路26の流路面積が下流側に向かうにつれて大きくなる場合に特に効果的である。
【0058】
幾つかの実施形態では、例えば
図5に示すように、蒸気弁装置100(100b)は、弁室2を第1弁室部2aと第2弁室部2bとに仕切る仕切壁12を更に備えている。この場合、第1弁ポート6a及び第2弁ポート6bは第1弁室部2aに面して配設され、第3弁ポート6c及び第4弁ポート6dは第2弁室部2bに面して配設されている。また、仕切壁12には、第1弁室部2aと第2弁室部2bとを連通する少なくとも1つの開口部14が形成されている。
【0059】
このように、弁室2を第1弁室部2aと第2弁室部2bとに仕切る仕切壁12によって弁室2の剛性を高めることにより、弁室2の変形を抑制することができる。また、第1弁室部2aと第2弁室部2bとを連通する少なくとも一つの開口部14が仕切壁12に形成されているため、第1弁室部2aと第2弁室部2bとの間の蒸気通路を簡易な構成で確保しつつ弁室2の変形を抑制することができる。
【0060】
上述の開口部14の数や位置は特に限定されないが、例えば
図6に示すように、弁室2の高さ方向における仕切壁12の中央位置Mh、且つ弁室2の幅方向(弁室2の長手方向と高さ方向の各々に直交する方向)における仕切壁12の中央位置Mwに1つの開口部14を設けてもよい。
【0061】
また、例えば
図7Aに示すように複数の開口部14を設けてもよい。
図7Aに示す複数の開口部14は、第1〜第3開口部14(第1開口部14a、第2開口部14b及び第3開口部14cを含む。
図7Aに示すように、仕切壁12に設けられた全ての開口部14a〜14cのうち、弁室2の高さ方向における仕切壁12の中央位置Mhよりも下方に位置する部分の開口面積(流路断面積)の合計S1が、該中央位置Mhよりも上方に位置する部分の開口面積(流路断面積)の合計S2よりも大きくなるように、各開口部14が設けられてもよい。これにより、弁室2の底部34に設けられた全ての弁ポート6a〜6d(
図5参照)へのよりスムーズな蒸気流れを実現することができる。なお、
図7Bに示すように、1つの開口部14が上記中央位置Mhの上方から下方に亘って設けられている場合には、該1つの開口部14のうち中央位置Mhより下方部分をS1に加算し、該1つの開口部14のうち中央位置Mhより上方部分をS2に加算することとする。
【0062】
幾つかの実施形態では、例えば
図8及び
図9に示すように、仕切壁12の厚みWは、仕切壁12における弁室2の内周壁36との接続部38において、内周壁36に近づくにつれて増大する。これにより、弁室2の変形を効果的に抑制することができる。なお、接続部38には、例えば
図8に示すようにRが設けられていてもよいし、
図9に示すように一定の傾きを有する傾斜面40を有していてもよい。また、仕切壁12と弁室2の内周壁36とは、例えば鋳造により一体成型してもよいし、
図9に示すようにボルト42等によって連結してもよい。
【0063】
幾つかの実施形態では、例えば
図10及び
図11に示すように、蒸気弁装置100(100c)は、少なくとも1つの開口部14をそれぞれ開閉可能に構成された少なくとも1つの開閉部材44を更に備える。開閉部材44は、例えば弁室2外に設けられたアクチュエータ18cから伝達部材(例えばリフト棒)20cを介して伝達された駆動力によって開閉するシャッターであってもよい。
【0064】
これにより、第1弁室部2aと第2弁室部2bとの連通状態を開閉部材44によって調節することができる。例えば全ての開口部14を開閉部材44によって閉鎖すれば、第1弁室部2aと第2弁室部2bとは非連通状態となり、第1弁室部2aと第2弁室部2bのうち一方の弁室部(
図5に示す実施形態では第1弁室部2a)にのみ蒸気を流すことができる。また、全ての開口部14を開放すれば、第1弁室部2aと第2弁室部2bとは連通状態となり、第1弁室部2aと第2弁室部2bの両方に蒸気を流すことができる。このため、簡易な構成で、弁室2の変形を抑制しつつ蒸気の流量調節を容易化することができる。
【0065】
幾つかの実施形態では、例えば
図1,
図4及び
図5に示すように、弁ハウジング4は、蒸気タービン200が備えるタービンケーシング202上に載せられ、タービンケーシング202と一体的に構成されている。
【0066】
このように、蒸気タービン200が備えるタービンケーシング202上に弁ハウジング4が載せられている場合には、蒸気タービン200側での弁室2の熱伸び量が相対的に大きくなるため、弁室2の曲がりが特に大きくなりやすい。したがって、このような場合に、上述のように互いに隣接する弁ポートを連絡する連絡路を弁ハウジングに設けることにより、弁ポート6毎に1つの排出路26が設けられている場合(第1弁ポート6a〜第4弁ポート6dを通過した蒸気を4つの排出路26でそれぞれ排出する場合。
図12参照)と比較して、弁室の長さを短くして熱変形の影響による弁室の曲がりを抑制することができる。
【0067】
図13は、一実施形態に係る蒸気タービンに供給する蒸気量を調整するための蒸気弁装置300である。
【0068】
蒸気弁装置300は、例えば
図13に示すように、弁ハウジング4、複数の弁体8、複数の弁棒10、少なくとも1つのアクチュエータ18を備える。
【0069】
一実施形態では、
図13及び
図14に示すように、弁ハウジング4は弁室2を有しており、該弁ハウジング4には、弁室2に面して複数の弁ポート6が弁室2の長手方向に沿って直列に配設されている。
図13において、弁ハウジング4の入口ポート22を介して弁室2へ流入した蒸気は、複数の弁ポート6を介して弁ハウジング4の複数の出口ポート24から蒸気タービン200へ供給される。蒸気弁装置300では、複数の弁体8について、対応する弁ポート6からのリフト量(弁ポート6と弁体8との間の流路面積)を調節することによって、蒸気タービン200へ供給する蒸気量が調整される。
【0070】
一実施形態では、
図13及び
図14に示すように、蒸気弁装置300の弁ハウジング4には、弁室2に面して第1〜第3弁ポート6(第1弁ポート6a、第2弁ポート6b、第3弁ポート6c)が弁室2の長手方向に沿って直列に配設されている。複数の弁体8は、弁室2内に設けられ、第1〜第3弁ポート6に対してそれぞれ接離可能に構成された第1〜第3弁体8(第1弁体8a、第2弁体8b、第3弁体8c)を含む。
【0071】
一実施形態では、
図13に示すように、複数の弁棒6は、第1〜第3弁体8にそれぞれ連結され、弁室2内から弁室2外に亘って設けられた第1〜第3弁棒10(第1弁棒10a、第2弁棒10b、第3弁棒10c)を含む。少なくとも1つのアクチュエータ18は、弁室2外に設けられ、第1〜第3弁棒10をリフトするための駆動力を発生させるよう構成されている。
図13に示す例示的な実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータ18は、第1〜第3アクチュエータ18(第1アクチュエータ18a、第2アクチュエータ18b及び第3アクチュエータ18c)を含み、第1〜第3アクチュエータ18は、それぞれ第1弁棒〜第3弁棒をリフトするための駆動力を発生させるよう構成されている。
【0072】
一実施形態では、
図13に示すように、弁ハウジングは、第1〜第3弁ポート6を通過した蒸気を弁ハウジング4の外部に排出するための複数の排出路26を含む。複数の排出路26のうち少なくとも1つは、第1〜第3弁ポート6のうち互いに隣接する何れか2つの弁ポート6を通過した蒸気を合流させるように、該何れか2つの弁ポート6を連絡するよう構成された連絡路28を有する。なお、排出路26は、蒸気の排出性の観点から下流側に向かうにつれて流路面積が大きくなるよう構成されている。
【0073】
一実施形態では、
図13に示すように、複数の排出路26は、第1弁ポート6aを通過した蒸気を弁ハウジング4の外部に排出するための排出路26aと、第2弁ポート6b及び第3弁ポート6cを通過した蒸気を弁ハウジング4の外部に排出するための排出路26bとを含む。ここで、排出路26bは、互いに隣接する第2弁ポート6b及び第3弁ポート6cを通過した蒸気を合流させるように、第2弁ポート6b及び第3弁ポート6cを連絡する連絡路28を有する。
【0074】
図13及び
図14に示した蒸気弁装置300では、弁ポート6毎に1つの排出路26が設けられている場合(第1弁ポート6a〜第3弁ポート6cを通過した蒸気を3つの排出路26でそれぞれ排出する場合。
図15参照)と比較して、連絡路28を設けて排出路26の数を減らしたことにより、排出路26同士を仕切る流路壁54を削減できる分、連絡路28で連絡する2つの弁ポート6の間隔を狭くすることが容易となる。このため、弁室2を長手方向に短くすることが容易となり、熱変形の影響による弁室2の曲がりを抑制することができる。したがって、弁室2の曲がりに起因する弁棒10の傾きが抑制され、弁棒10や弁体8の偏摩耗や振動が抑制される。これにより、蒸気弁装置300の高寿命化を実現するとともに、蒸気量の細かな調整が可能となる。
【0075】
一実施形態では、例えば
図13に示すように、連絡路28は、該連絡路28によって連絡する2つの弁ポート6b、6cのうち一方の弁ポート6bから、該2つの弁ポート6b、6cを通過した蒸気が合流する合流位置まで延在する連絡路一方側部46と、該2つの弁ポート6b、6cのうち他方の弁ポート6cから上記合流位置まで延在する連絡路他方側部48とを含む。上記一方の弁ポート6bは、上記他方の弁ポート6cの他に第1〜第3弁ポート6の何れか1つ(弁ポート6a)に隣接しており、連絡路一方側部46は、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて弁室2の長手方向において第1〜第3弁ポート6の上記何れか1つ(弁ポート6a)から離れるように設けられている。
【0076】
図13に示した蒸気弁装置300では、連絡路一方側部46が、蒸気流れ方向下流側に向かうにつれて、隣接する弁ポート6a(連絡路一方側部46が接続する弁ポート6bに隣接する弁ポート6a、6cのうち、連絡路他方側部48が接続する弁ポート6cとは異なる弁ポート6a)から弁室2の長手方向に離れるように設けられているため、該隣接する弁ポート6aと連絡路一方側部46が接続する弁ポート6bとの間隔を狭くして弁室2を短くすることが容易になる。これは、蒸気の排出性の観点から排出路26の流路面積が下流側に向かうにつれて大きくなる場合に特に効果的である。
【0077】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0078】
例えば、
図4に示す実施形態では、第1〜第4弁ポート6のうち、第2弁ポート6bと第3弁ポート6cのみを連絡路28で連絡する形態を例示したが、第1弁ポート6aと第2弁ポート6bのみを連絡路28で連絡してもよいし、第3弁ポート6cと第4弁ポート6dのみを連絡路28で連絡してもよい。すなわち、第1〜第4弁ポート6のうち互いに隣接する弁ポート6を連絡路28で連絡することにより、弁室2の長手方向の大きさを小さくして熱変形の影響による弁室2の曲がりを抑制することができる。
【0079】
また、
図13に示す実施形態では、第1〜第3弁ポート6のうち、第2弁ポート6bと第3弁ポート6cのみを連絡路28で連絡する形態を例示したが、第1弁ポート6aと第2弁ポート6bのみを連絡路28で連絡してもよい。すなわち、第1〜第3弁ポート6のうち互いに隣接する弁ポート6を連絡路28で連絡することにより、弁室2の長手方向の大きさを小さくして熱変形の影響による弁室2の曲がりを抑制することができる。
【0080】
また、
図1〜
図11に示した蒸気弁装置100(100a〜100c)では、弁ハウジング4が4つの弁ポート6を有する形態を例示し、
図13及び
図14に示した蒸気弁装置300では、弁ハウジング4が3つの弁ポート6を有する形態を例示したが、弁ハウジング4は、5つ以上の弁ポート6を有していても良い。