特許第6429621号(P6429621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6429621光センサ装置および光センサ装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429621
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】光センサ装置および光センサ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/02 20060101AFI20181119BHJP
   C03C 12/00 20060101ALI20181119BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20181119BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20181119BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   H01L31/02 B
   C03C12/00
   H01L23/36 A
   H01L23/30 F
   H01L23/08 A
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-262223(P2014-262223)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-173254(P2015-173254A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2017年10月10日
(31)【優先権主張番号】特願2014-28570(P2014-28570)
(32)【優先日】2014年2月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515078497
【氏名又は名称】株式会社五鈴精工硝子
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】塚越 功二
(72)【発明者】
【氏名】東 紀吉
【審査官】 嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−168510(JP,A)
【文献】 特開2012−238812(JP,A)
【文献】 特開2002−344006(JP,A)
【文献】 特開2013−191834(JP,A)
【文献】 特開2013−011818(JP,A)
【文献】 特開昭62−251616(JP,A)
【文献】 特開昭62−279680(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0207130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L31/00−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子実装部と、
前記素子実装部に固着された光センサ素子と、
一端が前記光センサ素子とワイヤーにより接続され、他端が外部端子となるリードフレームと、
前記素子実装部、前記光センサ素子および前記リードフレームを覆う樹脂封止部と、
を有する光センサ装置であって、
前記樹脂封止部は、全て、感度特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕したガラスフィラーが分散混合された樹脂からなり、
前記視感度特性を有するリン酸塩系ガラスの組成は、重量%換算で、
1)P 40〜60%
2)BaO 20〜40%
3)Al、La、およびYを含み、
さらに Al+La+Y 1〜8%
4)ZnO、MgO、CaOおよびSrOを含み、
さらに ZnO+MgO+CaO+SrO 1〜15%
5)LiO、NaO、KOを含み、
さらに LiO+NaO+KO 1〜15%
6)CuO 3〜10%
7)V 1〜5%
8)NiO 1〜5%
を含むことを特徴とする光センサ装置。
【請求項2】
前記樹脂封止部は、540nmから560nmの波長範囲を透過率の中心ピークに持ち、700nmから1200nmの波長範囲の透過率が2%以下であり、300nmから430nmの波長範囲の透過率が3%以下である特性を有することを特徴とする請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項3】
前記ガラスフィラーは粒径が1μmから20μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の光センサ装置。
【請求項4】
前記素子実装部の一部が前記樹脂封止部から露出している請求項1乃至のいずれか1項に記載の光センサ装置。
【請求項5】
素子実装部と、
前記素子実装部に固着された光センサ素子と、
一端が前記光センサ素子とワイヤーにより接続され、他端が外部端子となるリードフレームと、
前記素子実装部、前記光センサ素子および前記リードフレームを覆う樹脂封止部と、
を有する光センサ装置であって、
前記樹脂封止部は、感度特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕したガラスフィラーが分散混合された樹脂からなる第1の樹脂封止部と、光特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕したガラスフィラーが分散混合された樹脂からなる第2の樹脂封止部とからなり、
前記視感度特性を有するリン酸塩系ガラスの組成は、重量%換算で、
1)P 40〜60%
2)BaO 20〜40%
3)Al、La、およびYを含み、
さらに Al+La+Y 1〜8%
4)ZnO、MgO、CaOおよびSrOを含み、
さらに ZnO+MgO+CaO+SrO 1〜15%
5)LiO、NaO、KOを含み、
さらに LiO+NaO+KO 1〜15%
6)CuO 3〜10%
7)V 1〜5%
8)NiO 1〜5%
を含み、
前記遮光特性を有するリン酸塩系ガラスの組成は、重量%換算で、
1)P 40〜60%
2)BaO 20〜40%
3)Al、La、およびYを含み、
さらに Al+La+Y 1〜8%
4)ZnO、MgO、CaOおよびSrOを含み、
さらに ZnO+MgO+CaO+SrO 1〜15%
5)LiO、NaO、KOを含み、
さらに LiO+NaO+KO 1〜15%
6)CoO 1〜5%
7)CuO 3〜10%
8)V 5〜15%
9)NiO 1〜5%
を含むことを特徴とする光センサ装置。
【請求項6】
前記第1の樹脂封止部は、540nmから560nmの波長範囲を透過率の中心ピークに持ち、700nmから1200nmの波長範囲の透過率が2%以下であり、300nmから430nmの波長範囲の透過率が3%以下である特性を有し、
前記第2の樹脂封止部は、300nmから1200nmの波長範囲の透過率が2%以下である特性を有することを特徴とする請求項に記載の光センサ装置。
【請求項7】
光センサ素子と、
前記光センサ素子が載置された実装基板と、
前記実装基板を貫通して設けられ、前記光センサ素子と一端で接続され、多端が外部接続端子となる貫通電極と、
前記実装基板および前記光センサ素子の上面を覆う樹脂封止部と、
を有する光センサ装置であって、
前記樹脂封止部は、全て、感度特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕したガラスフィラーが分散混合された樹脂からなり、
前記視感度特性を有するリン酸塩系ガラスの組成は、重量%換算で、
1)P 40〜60%
2)BaO 20〜40%
3)Al、La、およびYを含み、
さらに Al+La+Y 1〜8%
4)ZnO、MgO、CaOおよびSrOを含み、
さらに ZnO+MgO+CaO+SrO 1〜15%
5)LiO、NaO、KOを含み、
さらに LiO+NaO+KO 1〜15%
6)CuO 3〜10%
7)V 1〜5%
8)NiO 1〜5%
を含むことを特徴とする光センサ装置。
【請求項8】
前記樹脂封止部は、540nmから560nmの波長範囲を透過率の中心ピークに持ち、700nmから1200nmの波長範囲の透過率が2%以下であり、300nmから430nmの波長範囲の透過率が3%以下である特性を有することを特徴とする請求項に記載の光センサ装置。
【請求項9】
前記実装基板には、前記光センサ素子が実装される面から反対の面まで貫通して一部が外部へ露出している素子実装部が設けられている請求項7または8に記載の光センサ装置。
【請求項10】
前記貫通電極は、前記実装基板の内部で屈曲しているリードフレームであって、前記実装基板の幅内に収まると共に、前記リードフレームの先端部分と裏面部分とが前記実装基板の表面から露出している請求項乃至のいずれか1項に記載の光センサ装置。
【請求項11】
キャビティを有する実装部と、
前記実装部の有底面に固着された光センサ素子と、
一端が前記有底面において露出し、前記光センサ素子とワイヤーにより接続され、他端が前記実装部から露出して外部端子となるリードフレームと、
前記キャビティを充填している樹脂封止部と、
を有する光センサ装置であって、
前記樹脂封止部は、全て、感度特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕したガラスフィラーが分散混合された樹脂からなり、
前記視感度特性を有するリン酸塩系ガラスの組成は、重量%換算で、
1)P 40〜60%
2)BaO 20〜40%
3)Al、La、およびYを含み、
さらに Al+La+Y 1〜8%
4)ZnO、MgO、CaOおよびSrOを含み、
さらに ZnO+MgO+CaO+SrO 1〜15%
5)LiO、NaO、KOを含み、
さらに LiO+NaO+KO 1〜15%
6)CuO 3〜10%
7)V 1〜5%
8)NiO 1〜5%
を含むことを特徴とする光センサ装置。
【請求項12】
前記実装部には、前記光センサ素子が固着される前記有底面から反対の面まで貫通して一部が外部へ露出している素子実装部が設けられている請求項11に記載の光センサ装置。
【請求項13】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光センサ装置の製造方法であって、
前記視感度特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕してフィラーとしたものを混合した樹脂を用いて、トランスファーモールド法により前記樹脂封止部を形成する工程を有することを特徴とする光センサ装置の製造方法。
【請求項14】
請求項5または6に記載の光センサ装置の製造方法であって、
前記遮光特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕してフィラーとしたものを混合した樹脂を用いて、トランスファーモールド法により前記第2の樹脂封止部を形成する工程を有することを特徴とする光センサ装置の製造方法。
【請求項15】
請求項7〜10のいずれか1項に記載の光センサ装置の製造方法であって、
前記視感度特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕してフィラーとしたものを混合した樹脂を用いて、トランスファーモールド法またはポッテッィングにより前記樹脂封止部を形成する工程を有することを特徴とする光センサ装置の製造方法。
【請求項16】
請求項11または12に記載の光センサ装置の製造方法であって、
前記視感度特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕してフィラーとしたものを混合した樹脂を用いて、ポッテッィングにより前記樹脂封止部を形成する工程を有することを特徴とする光センサ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸塩系ガラスを用いた光センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の生活環境は、従来には無い新しい機能を搭載した電子機器や家電製品、車載製品等によって一段と利便性が向上してきている。この背景の一つとしては、人間の持つ五感機能を補うセンサ機能の働きが大きいといえる。これらの製品は今後、多岐に渡って著しい拡大が見込まれる。センサには半導体を用いたセンサも多く、圧力センサ、流量センサ、人感センサ、照度センサ、測距センサなどを代表として、多種多様なものが製品化されている。
【0003】
中でも照度センサを含む光センサは数多く使われており、オフィスや家庭用の照明器具から携帯端末、パソコンなど低消費電力を伴う用途へ搭載が増えたことによって著しく普及している。こうしたセンサ部品が搭載される製品には、アプリケーションの多様化、機能の豊富さ、携帯性に富んだデザインが好まれるといったことが挙げられ、小型化、薄型化、低コスト、そして信頼性要求は例外なく求められ、その実現にはパッケージに関する要求が多くの割合を占めている。このためパッケージの開発では従来技術の応用や新しい試みが一層重要になっている。
【0004】
図14は、パッケージされた光センサの断面図の一例である。メタライズにより配線パターン21が形成された絶縁性基板22の上へ光センサ素子24が実装されており、光センサ素子24の周囲に透光性エポキシ樹脂29がモールドされている(特許文献1の図2)。パッケージは光センサ素子の周囲を透光性のエポキシ樹脂でモールドしており、透光性のエポキシ樹脂の外側表面において光センサ素子直上方向平坦面に赤外光をカットする組成を用いた樹脂23を層状に重ねて設けた構造からなっている。
【0005】
実装される光センサ素子24には受光センサ素子が用いられる。メタライズによる配線パターン21は光センサ素子24上面に設けられた電極とワイヤー25により電気的に接続され、外部への接続端子として使用される。受光光センサ素子へ入射した光によって発生した起電力は、ワイヤー25を介して外部接続端子へと伝えられる。外部から光センサ素子の直上方向に入射する光は、樹脂23により赤外光をカットされて透光性エポキシ樹脂中を透過することになり、光センサ素子が人間の視感度特性に近づけた光を受光することが可能となっている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたパッケージ構造は、透明な透光性の樹脂により全体がモールドされていること、そして赤外光をカットする組成を有する樹脂は、光センサ素子の周囲をモールドする透光性樹脂の外側表面の一部である光センサ素子直上にしか設けられていない。この為、斜めから入射する光や横方向から入射する光に対しては、赤外光をカットすることができず、視感度特性を反映した特性を有する光だけを光センサ素子が受光することができない。この為、横方向や斜め方向から入射する光に対しては十分な視感度特性が得られ難くなり、所望の受光特性を得ることが難しい。
【0007】
従来のパッケージは光センサ素子の周囲を透光性のエポキシ樹脂のみによりモールドした構造である。透光性のエポキシ樹脂は熱や水分や紫外線に弱いことが知られており、熱によって樹脂の分解劣化が発生すると樹脂の変色も伴って発生してしまう。変色は光の吸収を招く為、透過率の低下を生ずるので、外部から入射した光が減衰してしまい、光センサ素子へ受光される光強度も低下し、受光感度の低下に繋がる。また、熱に曝され続けることにより樹脂は脆化していき剥離やクラックを発生しやすくなる。強度低下を生ずると共に外部から入射する光は減衰し、光センサ素子が受光する光強度の低下と受光感度の低下に繋がる。
【0008】
透光性のエポキシ樹脂は一般的にIC用パッケージの封止に使用するシリカフィラーが多く含まれるエポキシ樹脂と比べて、シリカやカーボンやアルミナなどのフィラーが入らない為、膨張係数は樹脂本来の値のままである。この為、フィラーの入る樹脂に比べて膨張係数は高く、高温と低温を繰り返す熱衝撃環境や、急激に高温雰囲気に曝されるリフロー雰囲気では、モールドした樹脂には著しい膨張収縮が起き、樹脂の剥離、クラックの発生に繋がる。これにより外部から入射する光が減衰し、光センサ素子に受光される光強度の低下と共に、モールド樹脂の部分的な破壊へと至るなど、高い信頼性を得ることが難しい。
【0009】
また、透光性モールド樹脂の外表面に設けられた赤外光をカットする樹脂も同様に熱や水分により容易に樹脂の特性低下を起こす懸念がある。特に樹脂の組成や構造のうちの染料に分類される部分の特性によって赤外光をカットするという特有な性質を設けた樹脂の場合、熱や水分などの外部要因に対して染料成分の劣化により特性が不安定となる傾向が一般的に指摘されている。光センサ素子周囲をモールドしている透光性樹脂と、赤外光をカットする樹脂の両方が劣化することにより、信頼性に影響する樹脂要因が複数存在することとなり、高い信頼性を得ることが難しい。
【0010】
さらに、エポキシ樹脂は、樹脂構造中にベンゼン環を含んでいる。エポキシ樹脂は紫外線に曝され続けることにより、ベンゼン環はダメージを受け開環分解に至る。これは樹脂が分解を起こしていることであり、紫外線によってエポキシ樹脂が分解することとなる。この結果、外部から入射する光が減衰し光センサ素子へ受光される光強度が低下することに繋がると共に、モールド樹脂の分解を伴うことから高い信頼性を得ることが難しい。
【0011】
加えてパッケージの小型化、薄型化を行うことにより、モールド樹脂はより薄肉厚化していく。これにより前述した樹脂の剥離、クラック、変色等はさらに発生し易くなると同時に機械的な強度低下や変形し易さも伴うことから、一段とパッケージの信頼性低下に繋がり易い。
【0012】
この様な中、透光性のエポキシ樹脂であっても、封止樹脂中へフィラーを入れることにより樹脂の強度向上や耐熱性向上や膨張係数を低下させる方法、あるいは、樹脂中へ紫外線吸収効果のある物質や光安定剤を入れることにより紫外線対策を講じるなどの信頼性向上を計る方法が試みられている。樹脂中へフィラーを入れることにより樹脂の外部からの衝撃に対する強度向上と膨張係数の低下に効果があることから製品の信頼性向上を計ることができる。また、紫外線吸収効果のある物質の導入により、樹脂が紫外線に曝された場合のダメージを緩和して樹脂の劣化を遅らせる働きを有することができ、樹脂の分解や剥離、クラックといった樹脂要因に伴う視感度特性の変化や光センサ素子受光感度の低下が緩和され、特性の安定と高い信頼性を有したパッケージ実現に繋げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−36264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで本発明は、高い信頼性をもち視感度特性を有した組成のガラスを新規に作成すると共に、得られた新規ガラスを粉砕してフィラー状態にしたものを樹脂中へ分散混合した封止樹脂を用いて、パッケージとして小型化も可能な、信頼性の高い光センサ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の光センサ装置においては、組成を調整することで視感度特性を有するリン酸塩系ガラスを用いるとともに、得られたリン酸塩系ガラスを粉砕してフィラー状態としたものを樹脂中へ混合したガラスフィラー入り樹脂を、樹脂封止パッケージ構造の封止用樹脂として用いた構造であることを特徴としている。
【0016】
これにより光センサ素子は周囲を特定の視感度特性を有したガラスフィラーが混合された樹脂により封止されたパッケージとすることができる為、上面だけではなく斜めからの外光入射や側面方向からの外光入射に対しても、十分な視感度特性を得ることができる。また染料に代表される樹脂のみにより視感度特性を得ていたものに対してガラスフィラーによって視感度特性を得ていることから、パッケージは高い耐熱性を併せ持った視感度特性を有することができるとともに、封止樹脂の膨張係数を下げることができ、高温と低温を繰り返す熱衝撃環境や、高温雰囲気に曝されるリフロー雰囲気によるモールド樹脂の膨張収縮を緩和することができるため、樹脂の剥離、クラックを発生し難くすることができる。また、紫外線に強いガラスからなるフィラーを用いていることにより、紫外線に弱い樹脂染料によって視感度特性を有していた場合に対して、樹脂の紫外線劣化を発生し難くすることができ、紫外線劣化を発生することがなくなる。これにより光センサ装置は、視感度特性をもった樹脂封止構造において、樹脂の変色や剥離、クラックの発生を緩和することができ、視感度特性の変化や受光感度の低下を減少することができる。
【0017】
また、前記視感度特性を有するリン酸塩系ガラスには540nmから560nmの波長範囲を透過率の中心ピークに持ち、700nmから1200nmの波長範囲の透過率が2%以下であり、300nmから430nmの波長範囲の透過率が3%以下の透過率特性を有したものを用いる。
【0018】
また、前記封止樹脂には、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、及び、これらの混合物、また、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなど透光性を有する樹脂を用いる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光センサ装置は、光センサ素子周囲を樹脂により封止する構造において、視感度特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕したガラスフィラーを混合した樹脂により光センサ素子周囲を封止した構造を用いることにより、有機物系の染料を用いる視感度特性を有した樹脂材料に対して、熱や水分、紫外線に強く安定した視感度特性を継続的に得ることができる樹脂封止構造を有するパッケージとすることができるものである。パッケージは組成を調整することにより視感度特性を有するリン酸塩系ガラスを微粉砕化したものを樹脂中へ混合した樹脂封止構造としており、光センサ素子周囲は視感度特性を有したガラスフィラーの混合された樹脂により封止される。視感度特性を有したリン酸塩系ガラスフィラーは540nmから560nmの波長範囲を透過率の中心ピークに持ち、700nmから1200nmの波長範囲の透過率が2%以下であり、300nmから430nmの波長範囲の透過率が3%以下の透過率特性を有したガラスからなり、粒径が約1μmから20μm、望ましくは、1μmから3μmの寸法から構成された粉砕ガラスフィラーである。
【0020】
視感度特性を有するリン酸塩系ガラスは、高温高湿環境などの耐候性に対して強い信頼性を併せ持つ。これによりガラスフィラー混合樹脂封止構造の光センサ装置は、光センサ素子直上方向だけではなく斜め方向や横方向から入射する光に対しても視感度特性が得られた光を受光することができるとともに、高い耐候性を有したガラス組成を持ち合わせていることから、信頼性の高い光センサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図2】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す正面図である。
図3】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図4】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図5】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図6】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図7】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図8】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図9】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図10】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図11】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図12】本発明の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
図13】本発明の半導体装置のスペクトル特性を示す図である。
図14】従来公知の半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の光センサ装置は、特有な組成により視感度特性を有したリン酸塩系ガラスを粉砕してフィラー化したものを樹脂中へ混合した樹脂により素子実装部周囲を封止した構造からなる。図1に本発明の光センサ装置の断面構成を模式的に示す。
【0023】
樹脂封止部分は組成の調整をすることにより視感度特性を有しているリン酸塩系ガラスを粉砕することによりガラスフィラーとしたものが分散混合された樹脂により構成されている。光センサ素子と素子実装部の周囲は視感度特性を有したガラスフィラーが混合された樹脂からなり、光センサ素子および素子実装部は樹脂と密着している。密着した樹脂は硬化し、パッケージを構成する。
【0024】
視感度特性を有するリン酸塩系ガラスの組成は、
1)P25 40〜60%
2)BaO 20〜40%
3)Al23、La23、およびY23を含み、
さらに Al23+La23+Y23 1〜8%
4)ZnO、MgO、CaOおよびSrOを含み、
さらに ZnO+MgO+CaO+SrO 1〜15%
5)Li2O、Na2O、K2Oを含み、
さらに Li2O+Na2O+K2O 1〜15%
6)CuO 3〜10%
7)V25 1〜5%
8)NiO 1〜5%
からなる。前記組成により、従来のリン酸塩系ガラスに比べて、視感度特性と高い耐候性とを有したものとしている。
【0025】
視感度特性を有するリン酸塩系ガラスは粒径が約1μmから20μm、望ましくは、1μmから3μmの寸法から構成された粉砕ガラスフィラーである。粉砕した後のガラスフィラーを樹脂に混合して練り、脱泡と相溶化を行いペースト状態またはスラリー状態にすることによりガラスフィラーが混合した液状樹脂形態としている。光センサ素子が実装されたリードフレームまたは基板を樹脂封止型へセットした後、液状樹脂形態としたガラスフィラー入り樹脂を充填した後に硬化させてパッケージ形態としている。
【0026】
素子実装部の上方にキャビティを有していないリードフレームおよび基板に実装された光センサ素子の周囲を樹脂封止した構造とすることが可能である。リードフレームには金属、樹脂にメタライズをしたものが使用可能であり、基板には樹脂、セラミック、金属、ガラス、シリコンにより形成されたものが使用可能である。さらに、キャビティを有したリードフレームおよび基板に実装された光センサ素子の周囲を樹脂により充填した構造とすることも可能である。
【0027】
以下、図面に基づいて光センサ装置の構成を実施例により説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本実施例の光センサ装置14の模式的な縦断面図である。光センサ素子4はダイアタッチ剤3により素子実装部7へ固着され、固定されており、光センサ素子4の上面には図示しない電極が設けられ、ワイヤー5により光センサ素子4に設けられた電極とリードフレーム6a、6bとは電気的に接続されている。ここで、素子実装部7は通常リードフレーム6a、6bと同じ材質から形成されており、ダイパッドとも呼ばれる。そして、光センサ素子4と、素子実装部7と、光センサ素子4とワイヤー5により接続されたリードフレーム6a、6bの一部とを、粉砕してフィラーとした視感度特性を有するリン酸塩系ガラスを樹脂中へ分散混合した樹脂封止部1により、周囲を覆うことで外装パッケージとした構造となっている。リードフレーム6a、6bの一部は樹脂封止部1より外部へ露出しており、外部端子として機能する。
【0029】
製造方法の一例としては、視感度特性を有したガラスを微粉砕してガラスフィラーとしたものを樹脂中へ分散混合してから成型したタブレットとし、トランスファーモールド法を用いて光センサ素子の周囲を封止することで樹脂封止部1をパッケージとすることができる。
【0030】
ガラスフィラーとしたリン酸塩系ガラスは視感度特性を有しており、その組成は重量%換算で、
1)P25 40〜60%
2)BaO 20〜40%
3)Al23、La23、およびY23を含み、
さらに Al23+La23+Y23 1〜8%
4)ZnO、MgO、CaOおよびSrOを含み、
さらに ZnO+MgO+CaO+SrO 1〜15%
5)Li2O、Na2O、K2Oを含み、
さらに Li2O+Na2O+K2O 1〜15%
6)CuO 3〜10%
7)V25 1〜5%
8)NiO 1〜5%
により構成されている。
【0031】
この組成により図13に示すような、540nmから560nmの波長範囲を透過率の中心ピークに持ち、700nmから1200nmの波長範囲の透過率が2%以下であり、300nmから430nmの波長範囲の透過率が3%以下の特性を持つ視感度特性を有すると共に従来のリン酸塩系ガラスに比べて高い耐候性も有することができている。
【0032】
この組成の有効性を示す本実施例と比較例との比較結果を表1に示す。表1中の本実施例に基づく本実施例Aの組成と添加量により、図13に示す視感度特性と高い耐候性とを両立させることが可能であることを相対評価ではあるが確認できた。比較実験では比較例BにおけるBaOの不存在、あるいは比較例CあるいはDにおけるB23またはSiO2の存在が、好ましくない影響を与えているように見える。
【0033】
【表1】
【0034】
このようなリン酸塩系ガラスによるフィラー化したガラスを樹脂中へ分散混合した樹脂を用いる封止構造により、樹脂封止構造でありながら300nmから430nmの短波長領域の透過率が3%以下であり700nmから1200nmの長波長領域の透過率が2%以下であるとともに、540nmから560nmの波長範囲の透過率が50%以上を有する視感度特性を得ることが可能である。加えて樹脂の膨張係数を30%以上減少することができるとともに、樹脂染料や従来のガラスを用いたものによる540nmから560nmの波長範囲の透過率を上回ると同時に視感度熱や紫外線に強いガラスによる視感度特性を得ることができ、高い信頼性を有した樹脂封止構造のパッケージを得ることができる。
【0035】
視感度特性を有する樹脂は、700nmから1200nmの波長範囲の透過率が2%以下の波長特性を持つリン酸塩系ガラスを粉砕してフィラー化したものと、前記300nmから430nmの波長範囲の透過率が3%以下の波長特性を有するリン酸塩系ガラスを粉砕してフィラー化したものを一定の割合にて樹脂に混合しても得ることが可能である。
【実施例2】
【0036】
図2は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。樹脂封止部1は視感度特性を有したガラスを微粉砕してガラスフィラー化したものを樹脂中へ分散混合したものをトランスファーモールド法により封止したパッケージ構造からなる部分は図1の実施例と変わらないものの、放熱性を有する素子実装部8を断面方向に厚くし、一部を樹脂封止部1より露出させた構造としている。これにより放熱性を有する素子実装部8は光センサ素子4で発生した熱を樹脂封止部1の外部へ放出することができるため、低熱抵抗なパッケージとすることができる。
【実施例3】
【0037】
図3は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。樹脂封止部2は遮光特性を有したガラスを微粉砕してガラスフィラー化したものを樹脂中へ分散したしたものをトランスファーモールド法により封止しており、樹脂封止部2が硬化した後の状態には光センサ素子4の上面方向には開口箇所が設けられた構造とし、開口箇所には視感度特性を有したガラスフィラーを樹脂中へ分散混合した液状樹脂を充填して硬化させ、視感度特性を有する樹脂封止部1を設けた構造としている。これによりパッケージは光センサ素子4の直上方向にのみ視感度特性を得ることができる構造とすることができ、光センサ素子4に対して斜め方向や横方向からの視感度特性が不要な使い方が求められる用途に対して有効な構造を有したパッケージとすることができる。
【0038】
ここで樹脂封止部2は遮光特性を有したガラスを微粉砕してガラスフィラー化したものを樹脂中へ分散混合したものにより封止したパッケージ構造からなる。ガラスフィラー化したリン酸塩系ガラスは遮光特性を有し、300nmから1200nmの波長範囲の透過率が2%以下の特性を持つ遮光特性を有することを目的としており、その組成は重量%換算で、
1)P25 40〜60%
2)BaO 20〜40%
3)Al23、La23、およびY23を含み、
さらに Al23+La23+Y23 1〜8%
4)ZnO、MgO、CaOおよびSrOを含み、
さらに ZnO+MgO+CaO+SrO 1〜15%
5)Li2O、Na2O、K2Oを含み、
さらに Li2O+Na2O+K2O 1〜15%
6)CoO 1〜5%
7)CuO 3〜10%
8)V25 5〜15%
9)NiO 1〜5%
により構成されている。
【0039】
この組成により従来のリン酸塩系ガラスに比べて高い耐候性も有することができている。また、遮光特性を有するリン酸塩系ガラスは膨張係数をはじめとした物性は視感度特性を有するリン酸塩系ガラスと近似したものとなり、樹脂封止部1と樹脂封止部2とは膨張係数の差が問題になることが無く、同じ様な高い耐候性水準を持ち合わせた樹脂封止構造を有したパッケージとすることができる。
【実施例4】
【0040】
図4は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。樹脂封止部2は遮光特性を有したガラスを微粉砕してガラスフィラー化したものを樹脂中へ分散混合したものをトランスファーモールド法により封止したパッケージ構造からなる。開口部へ充填される樹脂封止部1は、視感度特性を有したガラスを微粉砕してガラスフィラー化したものを樹脂中へ分散混合した液状樹脂からなり、図3の実施例と同様の構造である。異なる点は、リードフレーム6a、6bと同じ材質からなる放熱性を有するを断面方向に厚くし、一部を樹脂封止部1より露出させた構造としていることである。これにより放熱性を有するは光センサ素子4で発生した熱を樹脂封止部1の外部へ放出することができるため、熱抵抗の小さなパッケージとすることができる。
【実施例5】
【0041】
図5は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。樹脂封止部9には透光性樹脂をトランスファーモールド法により封止しており、樹脂封止部9が硬化した後の形状は光センサ素子4の上面方向には光センサ素子の寸法よりも小さい開口箇所が設けられた構造とし、開口箇所には視感度特性を有したガラスフィラーを樹脂中へ分散混合した液状樹脂を充填して硬化させ、視感度特性を有する樹脂封止部1を設けた構造としている。ここで樹脂封止部9は外周表面にシボ状を有した上に粗い加工痕を残した光散乱効果を有する粗な面としており、外部からの光は反射または表面で散乱して大幅に減衰する表面構造としている。これにより遮光特性を有するガラスフィラーを樹脂中へ分散混合していない透光性樹脂を用いる場合であっても、外部からの光に対して一定の散乱、反射効果を得ることができるとともに、光センサ素子4の直上方向は視感度特性を有することができる構造のパッケージとすることができる。
【0042】
樹脂封止部の外周表面で光を反射あるいは散乱させるのではなく、樹脂封止部の内部で反射あるいは散乱させることも可能である。たとえば、素子の周囲を、シリカ、アルミナ、曇りガラス等、屈折率の異なる粒子が一定量分散混合された樹脂により封止する。これにより光センサ素子の上面方向より入射する光は視感度特性を有した受光感度を得られ、同素子の上面方向以外の周囲から入射する光は散乱、減衰され、素子表面に届くことがなくなる。
【実施例6】
【0043】
図6は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。樹脂封止部1には視感度特性を有したガラスフィラーを樹脂中へ分散混合した樹脂を用いて、トランスファーモールド法またはポッティングにより、光センサ素子が載置されている実装基板12の上面のみを封止したものである。ポッティングの場合はペースト状あるいはスラリー状とした樹脂が用いられる。光センサ素子が実装される実装基板12には樹脂やセラミック、ガラス、シリコンからなる基板が用いられる。また、光センサ素子が実装される実装基板12には外部端子の役割となる貫通電極11a、11bが設けられており、光センサ素子4が実装される面と反対側の面とは11a、11bが貫通した構造を有し、11a、11bの光センサ素子4が実装される面側には光センサ素子4の上面に設けられた図示しない電極とをワイヤー5により接続され、電気的な接続を得ており、貫通した構造により外部端子として機能している。これにより外部端子が樹脂封止部1の幅以上の寸法にならず、コンパクトなパッケージとすることができる。また光センサ素子が実装される実装基板12は樹脂やセラミック、ガラス、シリコン、金属などからなるため、薄くすることが容易であり、小型で薄型のパッケージとすることができる。
【実施例7】
【0044】
図7は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。光センサ素子が載置される実装基板12と樹脂封止部1へ視感度特性を有したガラスフィラーを樹脂中へ分散混合した樹脂をポッティングにより充填封止を行うパッケージ構造は図6の実施例と変わらないものの、光センサ素子が実装される実装基板12には、光センサ素子4が実装される面と反対側の面とを貫通して外部へと一部あるいは底面となる一面が露出する厚みを有した放熱性を有するが設けられており、光センサ素子4が固着されている。放熱性を有するは貫通電極11a、11bと同じ材質からなる、または別の金属材からなる。これにより放熱性を有するは光センサ素子4で発生した熱を外部へ放出することができるため、小型化や薄型化が可能であると共に低熱抵抗なパッケージ構造とすることができる。
【実施例8】
【0045】
図8は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。樹脂封止部1は、視感度特性を有したガラスを微粉砕してガラスフィラー化したものを樹脂中へ分散混合したものをトランスファーモールド法または液状樹脂をポッティング充填により封止したパッケージ構造からなり、図6の実施例と同様である。異なるのは、光センサ素子4が実装される素子実装基板12の内部において、外部端子となるリードフレーム6a、6bを屈曲させて素子実装基板12の幅内に収めるとともに、リードフレームの先端部分と裏面部分とが素子実装基板12の表面から露出したノンリードデザインによる貫通電極構造としている点である。
【0046】
これにより光センサ装置14は、実装面積が小さくできるとともに、小型化し易くなる。また実装基板12は樹脂やセラミックなどからなるため、実装にともなう熱履歴や荷重などのストレスや衝撃が直接伝わる基板部分に対して高い強度と耐久性を有するパッケージとすることができる。また素子実装部7を省いた実装基板12としてもよく、この場合は樹脂やセラミックなどからなる実装基板表面へ光センサ素子4が実装されることとなる。
【実施例9】
【0047】
図9は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。樹脂封止部1は視感度特性を有したガラスを微粉砕してガラスフィラー化したものを樹脂中へ分散混合したものをトランスファーモールド法または液状樹脂をポッティング充填により封止したパッケージ構造からなる部分と、光センサ素子4が実装される素子実装基板12が、リードフレーム6a、6bを基板幅内に収納した構造を有しており、この点は図8の実施例と同様である。異なるのは、光センサ素子4が放熱性を有する素子実装部8を有した構造としている点である。放熱性を有する素子実装部8は、リードフレーム6a、6bと同じ金属または高熱伝導率を有した物質からなる。これにより光センサ装置14は、実装面積が小さく小型化し易くなるとともに、また、実装基板部分を高い強度と耐久性を有することに加えて、光センサ素子4で発生した熱を放出できる低熱抵抗なパッケージ構造とすることができる。
【実施例10】
【0048】
図10は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。樹脂封止部1は視感度特性を有したガラスを微粉砕してガラスフィラー化したものを樹脂中へ分散混合したものをトランスファーモールド法または液状樹脂をポッティング充填により封止したパッケージ構造からなる部分は図6の実施例と変わらないが、素子実装部7と外部端子6a、6bとは金属または樹脂やセラミックに金属をメタライズにより設けたものからなり、素子実装部7を断面方向に厚くせずに外部端子6a、6bと同じ厚みとするとともに、光センサ素子4が実装する面と反対側を外部へ露出させた構造としている。これにより基板を用いない金属リードフレームを用いる構造や、樹脂やセラミックに金属をメタライズにより形成したものを用いる場合であっても外形寸法を薄く、小さくできることに加えて、光センサ素子4で発生した熱を外部へ放出できる低熱抵抗なパッケージ構造とすることができる。
【実施例11】
【0049】
図11は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。パッケージはキャビティを有する実装部13とリードフレーム6a、6bと光センサ素子4とにより構成されており、光センサ素子4はダイアタッチ剤3によりキャビティを有する実装部13のキャビティの底となる有底面へ固着実装される。リードフレーム6a、6bの一部はキャビティの底の有底面に露出しており、光センサ素子4の上面に設けられた図示しない電極とワイヤー5により接続され、電気的な接続を得ており、リードフレーム6a、6bの一方はキャビティを有する実装部を貫通して外部に露出し外部端子として機能している。キャビティ内には視感度特性を有するガラスフィラーを樹脂中へ分散混合した樹脂がポッティングにより充填され、キャビティを封止する樹脂封止部1を形成している。樹脂中へ分散混合される視感度特性を有するガラスフィラーには実施例1において示された組成を有するリン酸塩系ガラスを用いることができる。キャビティを有する実装部13は遮光性または反射性を有すると共に耐熱性を有する樹脂、セラミックなどから構成された構造となっている。反射性を有する樹脂は実施例5に記載されたものと同様の方法により得ることが可能である。これによりパッケージは耐熱性や耐候性や外部からの衝撃に強いパッケージとすることができる。
【実施例12】
【0050】
図12は、本実施例の光センサ装置14の断面図である。キャビティを有する実装部13とリードフレーム6a、6bと、キャビティ内に視感度特性を有するガラスフィラーを樹脂中へ分散混合した樹脂をポッティングにより充填封止した樹脂封止部1からなるパッケージ構造は図11の実施例と同様であるが、リードフレーム6a、6bと同じ材質からなる放熱性を有する素子実装部8を断面方向に厚くし、一部をキャビティを有する実装部13の裏面より露出させた構造としている。これにより放熱性を有する素子実装部8は光センサ素子4で発生した熱を外部へ放出することができるため、耐熱性や耐候性や外部からの衝撃に強いことに加えて低熱抵抗なパッケージとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
樹脂により光センサ素子周囲を封止する構造のパッケージを用いた光センサ装置において、樹脂中に、特有な組成により新規開発した視感度特性を有するリン酸塩系ガラスを、粉砕してガラスフィラー化したものを分散混合した樹脂により封止した構造とすることにより、受光光センサ素子が受ける光の視感度特性は光センサ素子直上方向だけでなく、斜め方向や横方向までも含めた広角な指向性を有することができ、角度依存性が大幅に改善できる。
【0052】
本発明に係るリン酸塩系ガラスには視感度特性に紫外領域の波長の光と赤外領域の波長の光を3%から2%以下の透過率特性と同時にガラスであることによる高耐熱性と高耐候性とを有する組成であることから、樹脂によって視感度特性を持たせたものに比べて紫外波長と赤外波長の吸収率が高く、長時間の良好な視感度特性が得られることに加えて、熱や紫外線や水分に対しても影響を受け難い高い信頼性をもつ。これにより周囲環境の影響を受け難く経時変化の少ない特性を有した光センサ装置を提供することができるので、テレビや家電製品、携帯端末をはじめ、より環境の厳しい車載や屋外用途への使用にまで配慮した光センサ装置搭載機器への供給に寄与することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 視感度特性を有したリン酸塩系ガラスフィラーを樹脂中に含んだ樹脂封止部
2 遮光性を有したリン酸塩系ガラスフィラーを樹脂中に含んだ樹脂封止部
3 ダイアタッチ剤
4 光センサ素子
5 ワイヤー
6a,6b リードフレーム
7 素子実装部
8 放熱性を有する素子実装部
9 透光性樹脂
10 光散乱拡散シボ加工面
11a、11b 貫通電極
12 光センサ素子実装基板
13 キャビティを有する実装部
14 光センサ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14