(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429672
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】発光装置及びこれを用いた照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 5/04 20060101AFI20181119BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20181119BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20181119BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20181119BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20181119BHJP
【FI】
F21V5/04 100
F21V5/00 510
F21S9/02 200
H01L33/00 L
F21Y115:10
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-36410(P2015-36410)
(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公開番号】特開2016-157656(P2016-157656A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 健吾
(72)【発明者】
【氏名】石井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】小林 信高
(72)【発明者】
【氏名】桑原 絵里
【審査官】
杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/141029(WO,A1)
【文献】
特開2006−114863(JP,A)
【文献】
特開2007−34307(JP,A)
【文献】
特開2010−15898(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/016199(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/053387(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 5/04
F21S 9/02
F21V 5/00
H01L 33/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する発光モジュールと、
前記発光モジュールから出射される光が入射される入射面と、前記入射面に入射した光が出射する出射面とを有し、前記発光モジュールから出射された光の配光を制御するレンズと
を備え、
前記出射面は、
光軸から外周へ向かって広がり、前記光軸に対する前記発光モジュールから出射された光の出射角度が第1出射角度となり、前記第1出射角度のうち光度が最大になる出射角度が第1光度最大出射角度となる配光の第1出射面と、
前記第1出射面の外周に形成され、前記光軸に対する前記発光モジュールから出射された光の出射角度が第2出射角度となり、前記第2出射角度のうち光度が最大になる出射角度が第2光度最大出射角度となる配光の第2出射面と、
前記第2出射面の外周に形成され、前記光軸に対する前記発光モジュールから出射された光の出射角度が第3出射角度となり、前記第3出射角度のうち光度が最大になる出射角度が第3光度最大出射角度となる配光の第3出射面と
を有し、
前記第3光度最大出射角度は、前記第1光度最大出射角度より大きく前記第2光度最大出射角度より小さいことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1出射面は、前記光軸から外周へ向かうにつれて出射角度が大きくなるように形成され、
前記第1出射面における最大の出射角度が、前記第2出射面における最大の出射角度及び前記第3出射面における最大の出射角度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1出射面は、光の出射方向に凸状の非球面形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第3出射面から出射される光の出射角度は、前記第2出射面から出射される光の出射角度より小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光軸と直交する面に対する前記第2出射面の傾きは、前記第1出射面の傾きより大きく、
前記光軸と直交する面に対する前記第3出射面の傾きは、前記第2出射面の傾きより大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記入射面は、前記出射面側に凹んだ凹形状を有し、
前記凹形状の開口幅は、前記発光モジュールの幅より大きく形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記レンズは、前記第1出射面からの出射光と、前記第2出射面からの出射光と、前記第3出射面からの出射光によりバッドウィング型に配光を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記レンズは、前記光軸を中心に回転させた回転対称に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置が固定された取付部材と、
一方に開口が形成された筒状の部材であって、開口に前記発光装置が固定された前記取付部材が取り付けられる本体部と
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項10】
前記本体部には、非常時に前記発光装置の電力供給源になるバッテリーが収容されていることを特徴とする請求項9に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光モジュールから出射される光を配光するレンズを備えた発光装置及びこれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDなど発光モジュールの前面に、発光モジュールからの光を広角へ配光する光学部材(レンズ)を設けた発光装置が知られている。例えば、床面などの平面を照らす非常灯などの照明器具は、広範囲に法規で定められた照度で照射面を照らすことが求められている。そこで、従来から、出射面の光軸周辺に凹部が形成されており、正面方向から角度が大きいほど光度が大きくなる、いわゆるバッドウィング状の配光特性が可能な光学部材が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の照明器具は、発光モジュールの前面に略円柱状の光学部材が照明器具内部に配設されている。この光学部材は、発光モジュールの前面に位置する入射面と、入射面と対向する出射面と、入射面と出射面を接続し円柱形状の側方である側面とを有している。発光モジュールから出射する光は、出射面より直接出射する光と、光学部材の内側で側面に反射し出射面より広角方向へ出射される光によりバッドウィング状の配光になるよう制御されている。
【0004】
特許文献2に記載の発光装置は、発光モジュールの前面に略半球形状な光学部材が配設されている。この光学部材は、発光モジュールから出射する光と基準光軸とがなす角度が大きくなるに従い光学部材からの出射光が基準光軸に対して垂直方向に出射し、広範囲に出射する配光になるよう制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−26933号公報
【特許文献2】特開2006−92983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の照明器具は、光学部材が略円柱状に形成されており、側面の高さと出射面の直径は略同等の大きさに形成されている。このため、LEDにCOBなど大型なものを用いると出射面も大きくする必要があり光学部材全体も大きくなる。そのため、光学部材が内部に配設される照明器具が大型化し、材料、重量及びコストが増加する。
【0007】
また、特許文献2に記載の発光装置は、発光モジュールから出射する光と基準光軸とがなす角度が大きくなるに従い、発光モジュールから出射する光と基準光軸とがなす角度に対して、発光装置から出射する光と基準光軸とがなす角度の比率が徐々に小さくなる方向に変化させる形状に形成されている。そのため、レンズ径が光源の発光径と比べて非常に大きくなっており、照明器具本体そのものも大型化され、材料、重量、コストが増加する。
【0008】
そこで、本発明では上記のような問題点を解決するためになされたものであり、所望の配光特性を得ながら装置の大型化を抑制することができる発光装置及びこれを用いた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発光装置は、光を出射する発光モジュールと、発光モジュールから出射される光が入射される入射面と、入射面に入射した光が出射する出射面とを有し、発光モジュールから出射された光の配光を制御するレンズとを備え、出射面は、光軸から外周へ向かって広がり、光軸に対する発光モジュールから出射された光の出射角度が第1出射角度となり、第1出射角度のうち光度が最大になる出射角度が第1光度最大出射角度となる配光の第1出射面と、第1出射面の外周に形成され、光軸に対する発光モジュールから出射された光の出射角度が第2出射角度となり、第2出射角度のうち光度が最大になる出射角度が第2光度最大出射角度となる配光の第2出射面と、第2出射面の外周に形成され、光軸に対する発光モジュールから出射された光の出射角度が第3出射角度となり、第3出射角度のうち光度が最大になる出射角度が第3光度最大出射角度となる配光の第3出射面とを有し、第3光度最大出射角度は、第1光度最大出射角度より大きく第2光度最大出射角度より小さいものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発光装置によれば、第3光度最大出射角度が第1光度最大出射角度より大きく第2光度最大出射角度より小さいことにより、レンズを大型化することなく所望の配光特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る発光装置を用いた照明器具を示す斜視図である。
【
図3】
図1の照明器具の一例を示す分解斜視図である。
【
図4】
図1の発光モジュールにおける光軸からの角度と光度との関係を示すグラフである。
【
図5】本発明の発光装置の好ましい実施の形態を示す断面図である。
【
図6】
図4の発光装置におけるレンズの一例を示す模式図である。
【
図7】
図5及び
図6における発光モジュールから出射される光の出射角度に対する第1出射面、第2出射面及び第3出射面から出射される光の配光特性を示すグラフである。
【
図8】
図5及び
図6に示すレンズにおける、発光モジュールから出射される光の角度とレンズ40から出射される出射角度との関係を示すグラフである。
【
図10】本発明の別の実施の形態に係る発光装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の発光装置及びこれを用いた照明器具の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る発光装置を用いた照明器具を示す斜視図、
図2は
図1に示す照明器具の断面図、
図3は
図1の照明器具の一例を示す分解斜視図である。
図1の照明器具1は、例えば非常用の照明器具を例示したものであり、照明器具1は、本体部10と、本体部10に取り付けられた光源である発光装置20とを備える。
【0013】
本体部10は、円筒形の形状を有するものであり、一方が開口した筒部10Aと、筒部10Aの開口縁部に設けられたフランジ部10Bを有する。筒部10Aは、天井など被取付部に形成された埋込穴に挿し込まれ、フランジ部10Bが埋込穴の室内側面と接触した状態で取り付けられる。筒部10Aの側壁には係止具11が設けられており、筒部10Aが埋込穴に挿入された際、係止具11が被取付部に係止することにより、本体部10が被取付部に固定される。
【0014】
本体部10の筒部10Aには、非常時に発光装置20に電力を供給するバッテリー12が収容されている。バッテリー12は、通常時は点灯装置(図示なし)を介して電力が供給され充電される。そして、バッテリー12は、非常時に発光装置20に充電した電力を供給する。なお、バッテリー12の充電状態は、点検スイッチ(図示なし)により確認をすることができる。
【0015】
また、照明器具1は、発光装置20が固定される取付部材13と、取付部材13を本体部10に取り付ける外枠14とを備えている。取付部材13は、例えば放熱性に優れたアルミニウム合金等からなっており、発光装置20を収容するための凹状の収容部13aを有している。収容部13aには発光装置20上からソケット15が取り付けられるようになっており、発光装置20は、取付部材13とソケット15とに挟まれた状態で取付部材13に固定される。なお、取付部材13には、外気に触れる表面積を大きくし放熱性を高めるための複数のフィンが形成されてもよい。
【0016】
外枠14は、例えば円形状に形成されており、発光装置20の前面にレンズ40からの光を放射するための開口14aを有している。外枠14には、輪形状に形成されたリング部14bが形成されている。リング部14bは、取付部材13が収容可能な内径を有しているとともに、フランジ部10Bの外周縁と略同径になるような外径を有している。そして、リング部14bがフランジ部10Bの外周を覆うように筒部10Aの開口に固定されることにより、本体部10に発光装置20が取り付けられる。
【0017】
発光装置20は、光を出射する発光モジュール30と、発光モジュール30が出射する光の配光を制御するレンズ40とを備える。発光モジュール30は、基板31と、基板31に実装された発光部32とを有する。上述したように、基板31は取付部材13に取り付けられており、基板31から取付部材13へ熱が伝達されるようになっている。発光部32は、例えばLEDからなる複数の発光素子からなり、COB(Chip On Board)技術により基板31の配線パターンに実装されている。このとき、発光部32は、青色光を出射する発光素子と、発光素子を封止する透光性の波長変換部材とを有し、発光素子から出射した青色光が波長変換部材において波長変換されて白色光が出射されるようにしてもよい。
【0018】
レンズ40は、例えば広角配光レンズからなるものであって、発光モジュール30から照射される光を所望の配光に制御する配光制御部材である。レンズ40は、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート又はガラス等の透明な材料を用いて形成されており、発光モジュール30を覆うようにソケット15の前面側に配置されている。
【0019】
ここで、発光モジュール30は、光軸に最も強い光度の光を照射し、光軸からの角度が大きいほど光度が低くなる回転対称な配光特性を有する。光軸CLからの出射角度θに照射する光の光度IL(θ)は、例えば下記式(1)のように表すことができる。なお、式(1)におけるI0は、正面方向(θ=0)の光度であり、Lは発光素子が発する全光束である。
【0021】
図4は、
図1の発光モジュールにおける光軸からの角度と光度との関係を示すグラフである。なお、
図4において、横軸は、光軸CLからの出射角度θを示し、左端が光軸CL(θ=0°)を示し、右端が光軸CLに直交する方向(θ=90度)を示す。また、
図4における光度IS(θ)は所定の照明空間において必要な必要光度である。
【0022】
図4及び式(1)に示すように、出射角度θが大きくなるにつれて光度IL(θ)は小さくなっていく。出射角度θが角度θ1より小さい領域では、光度IL(θ)が必要光度IS(θ)より大きく、十分な照度が得られている。これに対し、出射角度θが角度θ1〜θ2の間の領域では、光度IL(θ)が必要光度IS(θ)より小さく、十分な照度が得られていない。一方、出射角度θが角度θ2より大きい必要光度IS(θ)がない領域についても光が照射されている。
【0023】
そこで、レンズ40は、発光部32から出射される光のうち、出射角度θがθ2より大きい方向へ出射した光を角度θ1〜θ2の間の方向へ出射して照度不足を補い、必要な照度を得るような配光特性を有している。
【0024】
図5は本発明の発光装置の好ましい実施の形態を示す断面図、
図6は
図4の発光装置におけるレンズの一例を示す模式図であり、
図1から
図6を参照して発光装置20について説明する。なお、
図5及び
図6においては、レンズ40の光軸CLと発光モジュール30の光軸CLとは一致しており、レンズ40は光軸CLを中心に回転させた回転体形状である場合について例示する。レンズ40は、発光モジュール30が出射する光が入射される入射面41と、入射面41から入射した光が出射する出射面42とを有している。そして、発光モジュール30からの光は、入射面41から入射した後にレンズ40の内部を伝播し、出射面42から外部(空気中)にスネルの法則にしたがって出射する。
【0025】
入射面41は、略擂り鉢状の凹部であり、発光モジュール30から出射される光のうち、光軸CLから特定の角度の範囲の光が入射されるように形成されている。なお、特定の角度範囲は、発光モジュール30までの距離もしくは発光モジュール30の配置構造などにより適時変更することができる。また、入射面41における凹部の開口側の径寸法は、発光部32の径寸法より大きく形成されており、レンズ40が発光モジュール30から出射される光束の配光を制御するようになっている。
【0026】
出射面42は、外方に向かって凸形状に形成されており、光軸CLから外周へ向かって広がる第1出射面42Aと、第1出射面42Aの外周に形成された第2出射面42Bと、第2出射面の外周に形成された第3出射面42Cとを有している。第1出射面42A、第2出射面42B及び第3出射面42Cは、それぞれの異なる形状式で定義される非球面形状で形成されており、出射する最大強度の光がそれぞれ異なる出射角度になるように形成されている。なお、第1出射面42A、第2出射面42B、第3出射面42Cの各境目は滑らかに接続せず交差している場合について例示している。また、一例として、各出射面の光軸CLに対する傾きに関して、光軸CLと垂直な水平線と各出射面に類似した直線(もしくは任意の点における接線)に形成される角度IAを用いて説明を行う。
【0027】
第2出射面42Bの傾きIA2は、第1出射面42Aの傾きIA1より大きく形成されている。さらに、第3出射面42Cの傾きIA3は、第2出射面42Bの傾きIA2より大きく形成されている。なお、第1出射面42A、第2出射面42B、第3出射面42Cは非球面形状を有しているため、第1出射面42A、第2出射面42B及び第3出射面42Cが面全体として上記関係を有するものではなく、第1出射面42A、第2出射面42B及び第3出射面42Cの各境目における関係について例示したものである。
【0028】
図7は、
図5及び
図6における発光モジュール30から出射される光の出射角度に対する第1出射面、第2出射面及び第3出射面から出射される光の配光特性を示すグラフである。
図5〜
図7を参照して第1出射面42A、第2出射面42B及び第3出射面42Cの光学特性について説明する。
【0029】
次に、各出射面における配光特性について説明を行う。なお、各出射面の任意において、光軸CLおよび光軸CLと平行な軸線との出射光との間に形成される角度を出射角度θLとする。第1出射面42Aは、光軸CLに対する発光モジュール30から出射された光の出射角度が第1出射角度θL1となるように配光するものである。第1出射面42Aは、例えば発光モジュール30から出射される光のうち、角度α=0°(光軸CL)から角度α1(例えば48°)の光の配光を制御する。第1出射面42Aは、例えば光の出射方向に凸状の非球面形状を有するものである。第1出射面42Aは、
図7における光度IL1(θ)で示すように、第1出射角度θL1のうち光度が最大になる出射角度が第1光度最大出射角度θL1maxになる配光特性を有する。
【0030】
第2出射面42Bは、光軸CLに対する発光モジュール30から出射された光の出射角度が第2出射角度θL2となるように配光するものであり、第2出射面42Bは、例えば発光モジュール30から出射される光のうち角度α=α1〜α2(例えば48°〜59°)の光の配光を制御する。第2出射面42Bは、
図7における光度IL2(θ)で示すように、第2出射角度θL2のうち光度が最大になる出射角度が第2光度最大出射角度θL2maxになる配光特性を有する。また、第2出射面42Bは、第2光度最大出射角度θL2maxが第1光度最大出射角度θL1maxより大きい値になるように形成されている。
【0031】
第3出射面42Cは、光軸CLに対する発光モジュール30から出射された光の出射角度が第3出射角度θL3となるように配光するものである。第3出射面42Cは、例えば発光モジュール30から出射される光のうち角度α2〜α3(例えば59°〜65°)の光の配光を制御する。第3出射面42Cは、
図7における光度IL3(θ)に示すように、第3出射角度θL3のうち光度が最大になる出射角度が第3光度最大出射角度θL3maxになる配光特性を有する。
【0032】
ここで、
図7に示すように、第3出射面42Cの最大強度の光の第3光度最大出射角度θL3maxが、第1出射面42Aの第1光度最大出射角度θL1maxより大きく、第2出射面42Bの第2光度最大出射角度θL2maxより小さくなっている。言い換えれば、第3出射面42Cから出射される光が第1出射面42A及び第2出射面42Bから出射される光を補間する。その結果、レンズ40全体の配光特性は、
図7の光度IL0(θ)のようなバッドウィング型になり、例えば所望の必要光度IS(θ)(
図4参照)を得ることができる。
【0033】
図8は、
図5及び
図6に示すレンズにおける、発光モジュールから出射される光の角度とレンズ40から出射される出射角度との関係を示すグラフである。なお、
図8の横軸及び縦軸の出射角度は光軸CLに対する角度を示す。
図8に示すように、第1出射面42Aにおける最大の出射角度が、第2出射面42Bにおける最大の出射角度及び第3出射面42Cにおける最大の出射角度よりも大きくなっている。なお、
図8において、第1出射面42Aにおける最大の出射角度は、第1出射面42Aと第2出射面42Bとの接続部分に位置しており、第2出射面42Bにおける最大の出射角度は、第2出射面42Bと第3出射面42Cとの接続部分に位置している場合について例示している。
【0034】
特に、角度α2〜α3の範囲における任意の角度αと第3出射面42Cから出射される光の第3出射角度θL3は、(θL3/α)<1の関係を有している。したがって、発光モジュール30から出射した光は、第3出射面42Cにおいて角度αよりも小さい第3出射角度θL3に配光され、光軸CL側に屈折して出射される。第3出射面42Cから出射される光の第3出射角度θL3は、第2出射面42Bから出射される光の第2出射角度θL2より小さくなっている。
【0035】
上記実施の形態によれば、第3光度最大出射角度θL3maxが、第1光度最大出射角度θL1maxより大きく、第2光度最大出射角度θL2maxより小さいことにより、レンズ40を大きくすることなく、第3出射面42Cから出射される光が第1出射面42A及び第2出射面42Bから出射される光を補間することができる。このため、発光モジュール30から入射した光を所定の配光(バッドウィング型)に制御することができる。
【0036】
図9は従来の発光装置の一例を示す断面図である。
図9の従来の発光装置50において、レンズ60は光軸周辺が凹状に形成されており、発光モジュール30から出射する光と基準光軸とがなす角度が大きくなるに従い、発光モジュールから出射する光と基準光軸とがなす角度に対して、発光装置から出射する光と基準光軸とがなす角度の比率が徐々に小さくなる方向に変化させる形状を有する。そのため、レンズ径が光源の発光径と比べて非常に大きくなっている。また、この発光装置50が照明器具に用いられるとき、出射光をロスしないよう光学部材を覆う外枠の開口は大きくする必要があり、意匠性に影響があるとともに照明器具本体そのものも大型化され、材料、重量、コストが増加する。
【0037】
一方、
図5及び
図6の発光装置20においては、レンズ40の大型化を防ぎながら所望の配光特性(バッドウィング型)を実現することができる。その結果、出射される光のロスを抑制し化粧枠の開口を小さくすることができ、照明器具1の意匠面への影響を少なくすることができる。
【0038】
また、
図5に示すように、光軸CLに直交する方向に対し、第2出射面42Bの傾きIA2は、第1出射面42Aの傾きIA1より大きく形成されており、第3出射面42Cの傾きIA3は、第2出射面42Bの傾きIA2より大きく形成されているとき、レンズ40の外径を小さくすることができるため、レンズ40の大型化をさらに抑制することができる。
【0039】
さらに、
図8に示すように、第3出射面42Cから出射される光の第3出射角度θL3は、第2出射面42Bから出射される光の第2出射角度θL2より小さいとき、レンズ40を小さくすることができるため、照明器具1の小型化をすることができるとともに、レンズ40の一部を筒部10Aの内側に配設することができる。
【0040】
また、入射面41は、出射面42側に凹んだ凹形状を有し、凹形状の開口幅は、発光モジュール30の幅より大きく形成されているとき、発光モジュール30から出射される光のロスを抑制することができる。
【0041】
本発明の発光装置20及びこれを用いた照明器具1の実施の形態は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で例えば以下のように種々変形実施可能である。例えば、本実施の形態では、レンズ40を備えた照明器具1の一例として非常用の照明器具を用いて説明を行っているが、ダウンライトもしくはスポットライトのような発光モジュール30から照射される光を所望の配光に制御する照明器具1であってもよい。
【0042】
また、本実施の形態では、第2出射面42B及び第3出射面42Cが非球面形状である場合について例示しているが、直線形状(テーパー形状)であっても良いし円弧状であってもよい。
【0043】
さらに、本実施の形態では、発光モジュール30の光軸CLとレンズ40の光軸CLとが一致する場合について例示しているが、互いの光軸が異なるように配置された場合についても適用することができる。
図10は、本発明の別の実施の形態に係る発光装置の一例を示す断面図である。
図10の発光装置120における発光モジュール130は、基板31の端部に発光部32が配置されており、発光モジュール130の端部からの光に対しても配光制御を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 照明器具、10 本体部、10A 筒部、10B フランジ部、11 係止具、12 バッテリー、13 取付部材、13a 収容部、14 外枠、14a 開口、14b リング部、15 ソケット、20、50、120 発光装置、30、130 発光モジュール、31 基板、32 発光部、40、60 レンズ、41 入射面、42 出射面、42A 第1出射面、42B 第2出射面、42C 第3出射面、CL 光軸、IL0(θ)、IL1(θ)、IL2(θ)、IL3(θ)、IL10(θ) 光度、IS(θ) 必要光度、α 角度、θ 出射角度、θL1 第1出射角度、θL2 第2出射角度、θL3 第3出射角度、θL1max 第1光度最大出射角度、θL2max 第2光度最大出射角度、θL3max 第3光度最大出射角度。