【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の紫外線硬化型接着剤組成物は、25℃における粘度が50mPa・s以上であり且つ芳香環を含有する単官能アクリレート化合物100質量部、ロジンアクリレート化合物5質量部以上、軟化点が75℃以上である粘着付与剤10〜90質量部及び紫外線重合開始剤を含むことを特徴とする。
【0011】
紫外線硬化型接着剤組成物は、25℃における粘度が50mPa・s以上であり且つ芳香環を含有する単官能アクリレート化合物を含有する。
【0012】
単官能アクリレート化合物の25℃における粘度は、蒸散性を抑制し臭気を抑えることができるので、50mPa・s以上とされ、100mPa・s以上が好ましく、150mPa・s以上がより好ましい。単官能アクリレート化合物の25℃における粘度は、紫外線硬化型接着剤組成物の硬化後の粘着性に優れているので、2000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより好ましく、500mPa・s以下が特に好ましい。なお、単官能アクリレート化合物の25℃における粘度は、JIS K7111−1:1999に準拠して、25℃においてBM粘度計を用いて測定された値である。なお、No.2のローターを使用し測定を行う。
【0013】
単官能アクリレート化合物は、分子中に芳香環を含有している。単官能アクリレート化合物が、分子中に芳香環を含有していることによって、紫外線硬化型接着剤組成物は、硬化後に優れた粘着性を発現する。芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられ、ベンゼン環が好ましい。
【0014】
単官能アクリレート化合物は、硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の粘着性が優れているので、分子中に極性基を有することが好ましい。このような極性基としては、水酸基及びカルボキシ基が好ましく、水酸基がより好ましい。
【0015】
単官能アクリレート化合物としては、25℃における粘度が50mPa・s以上であり且つ芳香環を含有すれば、特に限定されず、例えば、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシプロピルフタレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどが挙げられ、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレートが好ましい。なお、単官能アクリレート化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0016】
なお、紫外線硬化型接着剤組成物には、硬化後の粘着性の低下及び臭気による取扱性の低下の原因となるので、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは含有しないことが好ましい。
【0017】
紫外線硬化型接着剤組成物は、ロジンアクリレート化合物を含有している。ロジンアクリレート化合物は、蒸散性が低く臭気を抑制することができる。更に、ロジンアクリレート化合物を含有していることによって、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物を透明に維持することができる。
【0018】
ロジンアクリレート化合物は、ロジン骨格を有する化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とのエステル化合物、又は、ロジン骨格を有する化合物と、グリシジル基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応物などが挙げられ、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とのエステル化合物が好ましい。
【0019】
ロジン骨格を有する化合物としては、未変性ロジン(例えば、トールロジン、ガムロジン、及びウッドロジンなど)、重合ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマール酸変性ロジン、並びにこれらのエステル(例えば、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、及びエチレングリコールエステルなど)などが挙げられる。なお、ロジン骨格を有する化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0020】
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,2−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、1,2−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、1,2−ジヒドロキシエチルアクリレートがより好ましい。水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。グリシジル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されず、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。グリシジル基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0021】
ロジンアクリレート化合物としては、式(1)に示した化合物が好ましい。
【0022】
【化1】
【0023】
ロジンアクリレート化合物の40℃における粘度は、10000〜300000mPa・sが好ましく、50000〜200000mPa・sがより好ましい。ロジンアクリレート化合物の40℃における粘度が上記範囲内であると、蒸散性がより低く臭気をより抑制することができる。更に、このような粘度を有するロジンアクリレート化合物を含有していることによって、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物を透明に維持することがより容易になる。
【0024】
ロジンアクリレート化合物の40℃における粘度は、JIS K7111−1:1999に準拠して、40℃においてB型粘度計を用いて測定された値である。なお、No.4−29のスピンドルを使用し測定を行う。
【0025】
紫外線硬化型接着剤組成物中におけるロジンアクリレート化合物の含有量は、単官能アクリレート化合物100質量部に対して5質量部以上であり、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましい。ロジンアクリレート化合物の含有量が5質量部以上でると、単官能アクリレート化合物と粘着付与剤との相溶性が改善され、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の透明性が向上し、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物は優れた粘着性を発現する。紫外線硬化型接着剤組成物中におけるロジンアクリレート化合物の含有量は、単官能アクリレート化合物100質量部に対して150質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、50質量部以下が特に好ましい。ロジンアクリレート化合物の含有量を150質量部以下とすると、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物は優れた粘着性を発揮する。
【0026】
紫外線硬化型接着剤組成物は、軟化点が75℃以上である粘着付与剤を含有する。粘着付与剤の軟化点は、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物に適度な硬さを付与し、紫外線硬化型接着剤組成物は優れた粘着性を発現するので、75℃以上とされ、75〜110℃が好ましく、80〜110℃がより好ましい。なお、粘着付与剤の軟化点は、JIS K2207(石油アスファルト)に規定されている6.4軟化点試験法に準拠して測定された温度をいう。
【0027】
粘着付与剤としては、軟化点が75℃以上であれば、特に限定されず、例えば、ロジン系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、フェノール系粘着付与剤、スチレン系粘着付与剤、エポキシ系粘着付与剤、クマロン−インデン系粘着付与剤、ポリアミド粘着付与剤、エラストマー系粘着付与剤、ナフテンオイル系粘着付与剤、及びケトン系粘着付与剤などが挙げられ、ロジン系粘着付与剤が好ましい。なお、粘着付与剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0028】
ロジン系粘着付与剤としては、未変性ロジン(例えば、トールロジン、ガムロジン、及びウッドロジンなど)、重合ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマール酸変性ロジン、並びにこれらのエステル(「ロジンエステル」という。例えば、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、及びエチレングリコールエステルなど)などが挙げられる。ロジン系粘着付与剤としては、単官能アクリレート化合物との相溶性に優れており、紫外線硬化により紫外線硬化型接着剤組成物がより優れた粘着性を発現し且つ紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の透明性により優れているので、未変性ロジン、水素添加ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジンエステルが好ましい。
【0029】
石油樹脂系粘着付与剤としては、石油樹脂(例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5−C9共重合系石油樹脂、及びジシクロペンタジエン系石油樹脂)、並びに水素添加石油樹脂などが挙げられる。
【0030】
テルペン系粘着付与剤としては、テルペン樹脂(例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、及びジペンテン重合体など)、並びに変性テルペン樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、及び水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
【0031】
フェノール系粘着付与剤としては、フェノール類(例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、及びロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。
【0032】
スチレン系粘着付与剤としては、スチレン単独重合体、α−メチルスチレン単独重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体などのスチレン系樹脂が挙げられる。
【0033】
紫外線硬化型接着剤組成物中における粘着付与剤の含有量は、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物が優れた粘着性を発現するので、単官能アクリレート化合物100質量部に対して10〜90質量部が好ましく、20〜70質量部がより好ましい。
【0034】
紫外線硬化型接着剤組成物は、紫外線重合開始剤を含有している。紫外線重合開始剤は、特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン系、アルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン系などの紫外線重合開始剤が好ましい。
【0035】
紫外線重合開始剤は、単官能アクリレート化合物との相溶性に優れており、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物が優れた粘着性を発現し且つ紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の透明性に優れているので、ベンゾフェノン系、アルキルフェノン系及びアシルフォスフィンオキサイド系の紫外線重合開始剤が好ましく、アルキルフェノン系の紫外線重合開始剤がより好ましい。紫外線重合開始剤は、例えば、BASF社より商品名「IRGACURE(商標登録)」にて市販されている。
【0036】
ベンゾフェノン系の紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0037】
アルキルフェノン系の紫外線重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
【0038】
アシルフォスフィンオキサイド系の紫外線重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0039】
チタノセン系の紫外線重合開始剤としては、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
【0040】
紫外線硬化型接着剤組成物中における紫外線重合開始剤の含有量は、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物が優れた粘着性を発現し且つ紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の透明性に優れているので、単官能アクリレート化合物100質量部に対して5質量部以下が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。
【0041】
なお、紫外線硬化型接着剤組成物は、その物性を損なわない範囲内において、多官能アクリレート化合物、液状の粘着付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0042】
紫外線硬化型接着剤組成物の製造方法としては、特に限定されず、例えば、単官能アクリレート化合物、ロジンアクリレート化合物及び粘着付与剤、並びに、必要に応じて含有されるその他の成分を汎用の混練装置に供給して加熱しながら攪拌、混練することによって紫外線硬化型接着剤組成物を製造する方法が挙げられる。
【0043】
紫外線硬化型接着剤組成物は被着体に塗工された後、紫外線を照射されて、単官能アクリレート化合物が重合して硬化し、優れた粘着性を発現する。紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物は優れた透明性を有している。