特許第6429679号(P6429679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429679
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】紫外線硬化型接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20181119BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   C09J4/02
   C09J11/06
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-40887(P2015-40887)
(22)【出願日】2015年3月3日
(65)【公開番号】特開2016-160361(P2016-160361A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】305044143
【氏名又は名称】積水フーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】川端 和裕
【審査官】 上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/046120(WO,A1)
【文献】 特開2002−003799(JP,A)
【文献】 特開2002−003796(JP,A)
【文献】 特開2010−083939(JP,A)
【文献】 特開2009−13322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃における粘度が50mPa・s以上であり且つ芳香環を含有する単官能アクリレート化合物100質量部、ロジンアクリレート化合物5質量部以上、軟化点が75℃以上である粘着付与剤10〜90質量部及び紫外線重合開始剤を含むことを特徴とする紫外線硬化型接着剤組成物。
【請求項2】
単官能アクリレート化合物は、25℃における粘度が100mPa・s以上であり、且つ、水酸基又はカルボキシ基を有することを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化型接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線硬化型接着剤組成物が、省エネルギー及び優れた生産性などの観点から各分野にて広く利用されている。紫外線硬化型接着剤組成物は、ディスプレイ関連の粘着フィルム、半導体ウェハのダイシングテープ及びラベルなどの製造にも用いられるようになってきている。
【0003】
一般的に粘着剤として用いる場合、粘着性及び粘着付与剤との相溶性の観点から、単官能アクリレート化合物として、炭素数が2〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類を主体にする場合が多い。
【0004】
粘着付与剤としては、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、及びテルペンフェノール樹脂などの粘着付与剤が用いられることが多い。特に、アクリル樹脂組成物の場合は、相溶性が良好なことからロジン樹脂、ロジンエステル樹脂が好適に用いられている。
【0005】
先行文献1には、炭素数2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を50重量%以上含有する活性エネルギー線硬化型単量体(a)100重量部に対し、光重合開始剤(b)0.01〜5重量部を含む活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物であって、軟化点115℃以上の水素化ロジン系樹脂(c)2〜30重量部を含む活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5370811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、炭素数2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を重合して得られる重合体は、柔軟で粘着剤に好適であるが非極性な材料であるため、十分な接着性が得られない。
【0008】
又、炭素数2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類は、蒸散しやすく、臭気が強く、取扱性に劣る。そのために一部の分野では、炭素数2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類以外の単官能アクリレート化合物が用いられているものの、この単官能アクリレート化合物は、粘着付与剤との相溶性が良好でないため、紫外線照射後に白濁するという別の問題点を生じる。
【0009】
本発明は、臭気が少なく、紫外線照射による硬化によって優れた粘着性を発現し且つ紫外線硬化後も透明である紫外線硬化型接着組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の紫外線硬化型接着剤組成物は、25℃における粘度が50mPa・s以上であり且つ芳香環を含有する単官能アクリレート化合物100質量部、ロジンアクリレート化合物5質量部以上、軟化点が75℃以上である粘着付与剤10〜90質量部及び紫外線重合開始剤を含むことを特徴とする。
【0011】
紫外線硬化型接着剤組成物は、25℃における粘度が50mPa・s以上であり且つ芳香環を含有する単官能アクリレート化合物を含有する。
【0012】
単官能アクリレート化合物の25℃における粘度は、蒸散性を抑制し臭気を抑えることができるので、50mPa・s以上とされ、100mPa・s以上が好ましく、150mPa・s以上がより好ましい。単官能アクリレート化合物の25℃における粘度は、紫外線硬化型接着剤組成物の硬化後の粘着性に優れているので、2000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより好ましく、500mPa・s以下が特に好ましい。なお、単官能アクリレート化合物の25℃における粘度は、JIS K7111−1:1999に準拠して、25℃においてBM粘度計を用いて測定された値である。なお、No.2のローターを使用し測定を行う。
【0013】
単官能アクリレート化合物は、分子中に芳香環を含有している。単官能アクリレート化合物が、分子中に芳香環を含有していることによって、紫外線硬化型接着剤組成物は、硬化後に優れた粘着性を発現する。芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられ、ベンゼン環が好ましい。
【0014】
単官能アクリレート化合物は、硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の粘着性が優れているので、分子中に極性基を有することが好ましい。このような極性基としては、水酸基及びカルボキシ基が好ましく、水酸基がより好ましい。
【0015】
単官能アクリレート化合物としては、25℃における粘度が50mPa・s以上であり且つ芳香環を含有すれば、特に限定されず、例えば、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシプロピルフタレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどが挙げられ、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレートが好ましい。なお、単官能アクリレート化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0016】
なお、紫外線硬化型接着剤組成物には、硬化後の粘着性の低下及び臭気による取扱性の低下の原因となるので、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは含有しないことが好ましい。
【0017】
紫外線硬化型接着剤組成物は、ロジンアクリレート化合物を含有している。ロジンアクリレート化合物は、蒸散性が低く臭気を抑制することができる。更に、ロジンアクリレート化合物を含有していることによって、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物を透明に維持することができる。
【0018】
ロジンアクリレート化合物は、ロジン骨格を有する化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とのエステル化合物、又は、ロジン骨格を有する化合物と、グリシジル基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応物などが挙げられ、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とのエステル化合物が好ましい。
【0019】
ロジン骨格を有する化合物としては、未変性ロジン(例えば、トールロジン、ガムロジン、及びウッドロジンなど)、重合ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマール酸変性ロジン、並びにこれらのエステル(例えば、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、及びエチレングリコールエステルなど)などが挙げられる。なお、ロジン骨格を有する化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0020】
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,2−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、1,2−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、1,2−ジヒドロキシエチルアクリレートがより好ましい。水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。グリシジル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されず、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。グリシジル基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0021】
ロジンアクリレート化合物としては、式(1)に示した化合物が好ましい。
【0022】
【化1】
【0023】
ロジンアクリレート化合物の40℃における粘度は、10000〜300000mPa・sが好ましく、50000〜200000mPa・sがより好ましい。ロジンアクリレート化合物の40℃における粘度が上記範囲内であると、蒸散性がより低く臭気をより抑制することができる。更に、このような粘度を有するロジンアクリレート化合物を含有していることによって、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物を透明に維持することがより容易になる。
【0024】
ロジンアクリレート化合物の40℃における粘度は、JIS K7111−1:1999に準拠して、40℃においてB型粘度計を用いて測定された値である。なお、No.4−29のスピンドルを使用し測定を行う。
【0025】
紫外線硬化型接着剤組成物中におけるロジンアクリレート化合物の含有量は、単官能アクリレート化合物100質量部に対して5質量部以上であり、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましい。ロジンアクリレート化合物の含有量が5質量部以上でると、単官能アクリレート化合物と粘着付与剤との相溶性が改善され、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の透明性が向上し、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物は優れた粘着性を発現する。紫外線硬化型接着剤組成物中におけるロジンアクリレート化合物の含有量は、単官能アクリレート化合物100質量部に対して150質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、50質量部以下が特に好ましい。ロジンアクリレート化合物の含有量を150質量部以下とすると、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物は優れた粘着性を発揮する。
【0026】
紫外線硬化型接着剤組成物は、軟化点が75℃以上である粘着付与剤を含有する。粘着付与剤の軟化点は、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物に適度な硬さを付与し、紫外線硬化型接着剤組成物は優れた粘着性を発現するので、75℃以上とされ、75〜110℃が好ましく、80〜110℃がより好ましい。なお、粘着付与剤の軟化点は、JIS K2207(石油アスファルト)に規定されている6.4軟化点試験法に準拠して測定された温度をいう。
【0027】
粘着付与剤としては、軟化点が75℃以上であれば、特に限定されず、例えば、ロジン系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、フェノール系粘着付与剤、スチレン系粘着付与剤、エポキシ系粘着付与剤、クマロン−インデン系粘着付与剤、ポリアミド粘着付与剤、エラストマー系粘着付与剤、ナフテンオイル系粘着付与剤、及びケトン系粘着付与剤などが挙げられ、ロジン系粘着付与剤が好ましい。なお、粘着付与剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0028】
ロジン系粘着付与剤としては、未変性ロジン(例えば、トールロジン、ガムロジン、及びウッドロジンなど)、重合ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマール酸変性ロジン、並びにこれらのエステル(「ロジンエステル」という。例えば、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、及びエチレングリコールエステルなど)などが挙げられる。ロジン系粘着付与剤としては、単官能アクリレート化合物との相溶性に優れており、紫外線硬化により紫外線硬化型接着剤組成物がより優れた粘着性を発現し且つ紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の透明性により優れているので、未変性ロジン、水素添加ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジンエステルが好ましい。
【0029】
石油樹脂系粘着付与剤としては、石油樹脂(例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5−C9共重合系石油樹脂、及びジシクロペンタジエン系石油樹脂)、並びに水素添加石油樹脂などが挙げられる。
【0030】
テルペン系粘着付与剤としては、テルペン樹脂(例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、及びジペンテン重合体など)、並びに変性テルペン樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、及び水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
【0031】
フェノール系粘着付与剤としては、フェノール類(例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、及びロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。
【0032】
スチレン系粘着付与剤としては、スチレン単独重合体、α−メチルスチレン単独重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体などのスチレン系樹脂が挙げられる。
【0033】
紫外線硬化型接着剤組成物中における粘着付与剤の含有量は、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物が優れた粘着性を発現するので、単官能アクリレート化合物100質量部に対して10〜90質量部が好ましく、20〜70質量部がより好ましい。
【0034】
紫外線硬化型接着剤組成物は、紫外線重合開始剤を含有している。紫外線重合開始剤は、特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン系、アルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン系などの紫外線重合開始剤が好ましい。
【0035】
紫外線重合開始剤は、単官能アクリレート化合物との相溶性に優れており、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物が優れた粘着性を発現し且つ紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の透明性に優れているので、ベンゾフェノン系、アルキルフェノン系及びアシルフォスフィンオキサイド系の紫外線重合開始剤が好ましく、アルキルフェノン系の紫外線重合開始剤がより好ましい。紫外線重合開始剤は、例えば、BASF社より商品名「IRGACURE(商標登録)」にて市販されている。
【0036】
ベンゾフェノン系の紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0037】
アルキルフェノン系の紫外線重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
【0038】
アシルフォスフィンオキサイド系の紫外線重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0039】
チタノセン系の紫外線重合開始剤としては、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
【0040】
紫外線硬化型接着剤組成物中における紫外線重合開始剤の含有量は、紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物が優れた粘着性を発現し且つ紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の透明性に優れているので、単官能アクリレート化合物100質量部に対して5質量部以下が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。
【0041】
なお、紫外線硬化型接着剤組成物は、その物性を損なわない範囲内において、多官能アクリレート化合物、液状の粘着付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0042】
紫外線硬化型接着剤組成物の製造方法としては、特に限定されず、例えば、単官能アクリレート化合物、ロジンアクリレート化合物及び粘着付与剤、並びに、必要に応じて含有されるその他の成分を汎用の混練装置に供給して加熱しながら攪拌、混練することによって紫外線硬化型接着剤組成物を製造する方法が挙げられる。
【0043】
紫外線硬化型接着剤組成物は被着体に塗工された後、紫外線を照射されて、単官能アクリレート化合物が重合して硬化し、優れた粘着性を発現する。紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物は優れた透明性を有している。
【発明の効果】
【0044】
本発明の紫外線硬化型接着剤組成物は、上述の如き構成を有しているので、臭気が少なく、取扱性に優れている。更に、本発明の紫外線硬化型接着剤組成物は、紫外線硬化によって優れた粘着性を発現し且つ紫外線硬化後も優れた透明性を維持する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【実施例】
【0046】
実施例及び比較例で用いられた各成分の詳細を以下に記載する。
【0047】
(単官能アクリレート化合物)
・単官能アクリレート化合物(1)[3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、25℃における粘度:200mPa・s、日本化薬社製 商品名「KAYARAD R−128H」]
・単官能アクリレート化合物(2)[2−アクリロイロキシエチルフタレート、25℃における粘度:3000mPa・s、東亞合成社製 商品名「アロニックス M−5400」]
・単官能アクリレート化合物(3)[ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレート、25℃における粘度:70mPa・s、共栄社製 商品名「ライトアクリレート BA−104」]
・単官能アクリレート化合物(4)[フェノキシエチルアクリレート、25℃における粘度:15mPa・s、新中村化学工業社製 商品名「AMP−10G」]
・単官能アクリレート化合物(5)[カプロラクトンアクリレート、25℃における粘度:80mPa・s、アルケマ株式会社 商品名「SR495」]
【0048】
(ロジンアクリレート化合物)
・ロジンアクリレート化合物[式(1)に示された構造式を有する、40℃における粘度:100000mPa・s、荒川化学工業社製 商品名「ビームセット101」]
【0049】
(粘着付与剤)
・粘着付与剤(1)[水素添加されたロジンエステル、軟化点:100℃、荒川化学社製 商品名「パインクリスタル KE−100」]
・粘着付与剤(2)[水素添加されたロジンエステル、軟化点:85℃、イーストマン社製 商品名「Foral 85−E」]
・粘着付与剤(3)[ロジンエステル、軟化点:25℃以下、アリゾナケミカル社製 「RE−10L」]
【0050】
(紫外線重合開始剤)
・紫外線重合開始剤[1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASF社製 商品名「IRGACURE 184」]
【0051】
(実施例1〜7、比較例1〜6)
表1に示した所定量の単官能アクリレート化合物(1)〜(5)、ロジンアクリレート化合物及び粘着付与剤(1)〜(3)を加熱装置を備えた攪拌機に投入した後、80℃で1時間に亘って加熱しながら攪拌した。次に、25℃まで冷却した後、攪拌機に表1に示した所定量の紫外線重合開始剤を添加して攪拌し紫外線硬化型接着剤組成物を得た。
【0052】
得られた紫外線硬化型接着剤組成物について、透明性、接着性並びに臭気及び刺激性を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0053】
(透明性)
紫外線硬化型接着剤組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み50μm)に塗工量20g/m2で塗工し、紫外線硬化型接着剤組成物上に、コロナ処理OPPフィルム(厚み25μm)をラミネーターにて貼り合せた。次に、紫外線照射装置(ヘレウス社製 商品名「Light Hammer6 Dバルブ」)を用いて、出力50%、高さ600mmの条件下にて紫外線硬化型接着剤組成物に5秒間に亘って紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤組成物を硬化させて試験片を作製した。得られた試験片における紫外線硬化後の紫外線硬化型接着剤組成物の透明性を目視にて観察し、下記基準に基づいて評価した。
○:透明
△:半透明
×:白濁
【0054】
(接着性)
透明性の場合と同様の要領で試験片を作製した。次に、25℃条件下にて、300mm/minの速度で、紫外線硬化型接着剤組成物からのコロナ処理OPPフィルムのT剥離を行って剥離強度の測定を行い、その結果を表1に示した。
【0055】
(臭気及び刺激性)
紫外線硬化型接着剤組成物を40℃条件下にて2時間に亘って放置し、臭気及び目に対する刺激性の有無を観測し、下記基準に基づいて評価した。
○:臭気及び目に対する刺激性なし
△:臭気はあるものの、目に対する刺激性はなし
×:臭気及び目に対する刺激性あり
【0056】
【表1】