特許第6429691号(P6429691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6429691太陽光発電システムおよびパワーコンディショナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429691
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】太陽光発電システムおよびパワーコンディショナ
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20181119BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20181119BHJP
【FI】
   H02J3/38 130
   H02M7/48 J
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-54950(P2015-54950)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2016-178719(P2016-178719A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】田中 清俊
(72)【発明者】
【氏名】田嶌 大介
(72)【発明者】
【氏名】長田 和哉
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−207862(JP,A)
【文献】 特開2016−158434(JP,A)
【文献】 特開2016−165214(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0068012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00−5/00
13/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を受けて発電をする太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールが発電した直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナと、
前記パワーコンディショナの出力を抑制するための出力抑制情報を有する制御機器と、
を備え、
前記パワーコンディショナは、
当該パワーコンディショナの出力抑制が実施済みであるか否かを判定し、
前記出力抑制が実施済みではない場合は、前記制御機器と通信可能か否かを判定し、前記制御機器と通信可能でかつ前記制御機器から前記出力抑制情報を取得可能であるときは、前記出力抑制情報を前記制御機器から取得した後に、前記出力抑制が実施済みであることを記憶すると共に、当該出力抑制情報に基づき当該パワーコンディショナの出力を抑制し、
前記出力抑制が実施済みである場合は、前記制御機器と通信可能か否かを判定し、前記制御機器と通信可能であるときは、前記出力抑制情報を前記制御機器から取得した後に、当該出力抑制情報に基づき当該パワーコンディショナの出力を抑制し、前記制御機器と通信可能でないときは、当該パワーコンディショナの出力を停止することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
太陽光を受けて発電をする太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールが発電した直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナと、
前記パワーコンディショナの出力を抑制するための出力抑制情報を有する制御機器と、
を備え、
前記パワーコンディショナは、当該パワーコンディショナの出力抑制を許可するか否かの設定が可能な出力抑制許可設定部を有し、
前記パワーコンディショナは、
前記出力抑制許可設定部により当該パワーコンディショナの出力抑制が許可されている場合は、前記制御機器と通信可能か否かを判定し、前記制御機器と通信可能であるときは、前記出力抑制情報を前記制御機器から取得した後に、当該出力抑制情報に基づき当該パワーコンディショナの出力を抑制し、前記制御機器と通信可能でないときは、当該パワーコンディショナの出力を停止することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項3】
前記制御機器は、前記パワーコンディショナの制御情報を表示可能な表示ユニットであることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記パワーコンディショナは、商用電源に接続され、
前記制御機器は、前記パワーコンディショナと前記商用電源との接続点における電流および電圧を計測する計測ユニットであることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記パワーコンディショナは、商用電源に接続され、
前記制御機器は、前記パワーコンディショナと前記商用電源との接続点における電流および電圧を計測する計測ユニットと、前記パワーコンディショナの制御情報を表示可能な表示ユニットであることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記パワーコンディショナは、前記計測ユニットおよび前記表示ユニットの一方との通信に支障が生じた場合でも、前記計測ユニットおよび前記表示ユニットの他方と通信可能な場合は、当該他方から前記出力抑制情報を取得することを特徴とする請求項5に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
前記パワーコンディショナは、前記制御機器との通信が異常であることを報知する報知部を備え、
前記報知部は、前記パワーコンディショナと前記制御機器とが通信可能でなく、前記パワーコンディショナの出力が停止したときは、警報を発することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項8】
太陽光を受けて発電をする太陽電池モジュールが発電した直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナであって、
当該パワーコンディショナの出力抑制が実施済みであるか否かを判定し、
前記出力抑制が実施済みではない場合は、当該パワーコンディショナの出力を抑制するための出力抑制情報を有する制御機器と通信可能か否かを判定し、前記制御機器と通信可能でかつ前記制御機器から前記出力抑制情報を取得可能であるときは、前記出力抑制情報を前記制御機器から取得した後に、前記出力抑制が実施済みであることを記憶すると共に、当該出力抑制情報に基づき当該パワーコンディショナの出力を抑制し、
前記出力抑制が実施済みである場合は、前記制御機器と通信可能か否かを判定し、前記制御機器と通信可能であるときは、前記出力抑制情報を前記制御機器から取得した後に、当該出力抑制情報に基づき当該パワーコンディショナの出力を抑制し、前記制御機器と通信可能でないときは、当該パワーコンディショナの出力を停止することを特徴とするパワーコンディショナ。
【請求項9】
太陽光を受けて発電をする太陽電池モジュールが発電した直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナであって、
当該パワーコンディショナの出力抑制を許可するか否かの設定が可能な出力抑制許可設定部を有し、
前記出力抑制許可設定部により当該パワーコンディショナの出力抑制が許可されている場合は、当該パワーコンディショナの出力を抑制するための出力抑制情報を有する制御機器と通信可能か否かを判定し、前記制御機器と通信可能であるときは、前記出力抑制情報を前記制御機器から取得した後に、当該出力抑制情報に基づき当該パワーコンディショナの出力を抑制し、前記制御機器と通信可能でないときは、当該パワーコンディショナの出力を停止することを特徴とするパワーコンディショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムおよびパワーコンディショナに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、例えば2009年1月より新たな補助金制度、さらに同年11月からは余剰電力買取制度が導入されたことで、急速に設置が進められている。また、2012年7月からは固定価格買取制度が始められたことで、メガソーラーのような大型システムの導入も多くなっている。
【0003】
太陽光発電システムが大量に普及することで、国内の太陽光発電システムの発電電力と、発電の中断ができないようなその他の発電システムの発電電力との合計が、国内における電力需要を上回る状況が発生し得る。このような状況が発生した場合は、電力系統の周波数が上昇することで、電力系統の全ての発電システムが停止してしまう系統崩壊と呼ばれる現象が起こる可能性がある。
【0004】
このような系統崩壊を防止するため、平成22年6月8日に経済産業省で開催された「次世代送配電システム制度検討会第1ワーキンググループ」において対処手段が検討された。その際の参考資料であった下記の非特許文献1には、具体的な対処手段として、パワーコンディショナにカレンダー機能を設けることが記載されている。パワーコンディショナは、太陽光発電システムの構成要素の一つであって、太陽電池からの直流電力を交流電力に変換する装置である。パワーコンディショナのカレンダー機能によると、太陽光発電システムの発電電力が多くかつ電力需要の少ない5月の連休日を「特異日」として、特異日にはパワーコンディショナの出力の上限がパワーコンディショナの定格出力の例えば50%に設定される。また、その他の対処手段として、電力会社が設置した指令所から、通信網を介して太陽光発電システムへ、必要に応じて出力抑制指令を送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】出力抑制合同検討会(電気事業連合会/社団法人 日本電機工業会/一般社団法人 太陽光発電協会)著、「「出力抑制合同検討会」検討結果最終報告 出力抑制機能の具体的な方策(技術論の検討)(次世代送配電システム制度検討会第1ワーキンググループ(WG1)(第1回)配布資料 資料6)」、経済産業省 2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、カレンダー機能または出力抑制指令のような出力抑制情報によって太陽光発電システムの出力を制限することで系統崩壊を効果的に回避し得る。一方、太陽光発電システムが大量に普及する前で、かつ、出力抑制情報の仕様が決まっていない過渡期では、パワーコンディショナに出力抑制の基本機能のみを設け、上記仕様が決まった後、出力抑制情報を有する制御機器をパワーコンディショナに後付けし、将来、太陽光発電システムが大量に普及したときに、制御機器を介して出力抑制を実施することが想定される。
【0007】
すなわち、パワーコンディショナは、制御機器が取り付けられる前には、出力抑制を実施しないが、制御機器が取り付けられた後には、出力抑制情報に従い、確実に出力抑制を実施することが要求され、たとえ制御機器が故障し、出力抑制情報が得られない場合であっても、パワーコンディショナの出力が抑制され、系統崩壊が回避される必要がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、パワーコンディショナの出力を抑制するための出力抑制情報を有する制御機器が設置された後は、たとえ制御機器が故障した場合でも、パワーコンディショナの出力を抑制し、系統崩壊を回避することが可能な太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る太陽光発電システムは、太陽光を受けて発電をする太陽電池モジュールと、前記太陽電池モジュールが発電した直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナと、前記パワーコンディショナの出力を抑制するための出力抑制情報を有する制御機器と、を備え、前記パワーコンディショナは、当該パワーコンディショナの出力抑制が実施済みであるか否かを判定し、前記出力抑制が実施済みではない場合は、前記制御機器と通信可能か否かを判定し、前記制御機器と通信可能でかつ前記制御機器から前記出力抑制情報を取得可能であるときは、前記出力抑制情報を前記制御機器から取得した後に、前記出力抑制が実施済みであることを記憶すると共に、当該出力抑制情報に基づき当該パワーコンディショナの出力を抑制し、前記出力抑制が実施済みである場合は、前記制御機器と通信可能か否かを判定し、前記制御機器と通信可能であるときは、前記出力抑制情報を前記制御機器から取得した後に、当該出力抑制情報に基づき当該パワーコンディショナの出力を抑制し、前記制御機器と通信可能でないときは、当該パワーコンディショナの出力を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パワーコンディショナの出力を抑制するための出力抑制情報を有する制御機器が設置された後は、たとえ制御機器が故障した場合でも、パワーコンディショナの出力を抑制し、系統崩壊を回避することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る太陽光発電システムの構成図
図2】実施の形態1におけるパワーコンディショナの構成を示すブロック図
図3】実施の形態1における制御部のハードウェア構成を示す図
図4】実施の形態1における表示ユニットの構成を示すブロック図
図5】実施の形態1におけるパワーコンディショナの動作を示すフローチャート
図6】実施の形態1におけるパワーコンディショナの制御部の機能構成を示すブロック図
図7】実施の形態1における出力抑制情報の一例を示した図
図8】実施の形態2に係る太陽光発電システムの構成図
図9】実施の形態2における計測ユニットの構成を示すブロック図
図10】実施の形態3に係る太陽光発電システムの構成図
図11】実施の形態4におけるパワーコンディショナの構成を示すブロック図
図12】実施の形態4におけるパワーコンディショナの動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る太陽光発電システムおよびパワーコンディショナの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る太陽光発電システムの構成図である。図1に示すように、本実施の形態に係る太陽光発電システムは、太陽電池モジュール1と、太陽電池モジュール1に接続されると共に分電盤3を介して負荷8および商用電源10に接続されたパワーコンディショナ2と、パワーコンディショナ2に接続されると共にルーター5を介してインターネット13に接続された表示ユニット4とを備える。
【0014】
太陽電池モジュール1は、例えば住宅の屋上に設置されている。太陽電池モジュール1は、太陽光を受けて発電をする。具体的には、太陽電池モジュール1は、太陽光を受けて直流電力を発生させる。なお、太陽電池モジュール1は、1枚で構成されてもよく、あるいは複数枚を組み合わせて構成されていてもよい。本実施の形態では、いずれの場合も含めて太陽電池モジュール1と称する。
【0015】
パワーコンディショナ2は、太陽電池モジュール1が発電した直流電力を交流電力へ変換し、この交流電力を出力する。パワーコンディショナ2は、例えば住宅内に設置される。パワーコンディショナ2には交流電力の出力用に出力線11が接続され、出力線11は、住宅内の分電盤3を介して商用電源10に接続されている。また、出力線11は、分電盤3内の連系ブレーカー3aおよび分岐ブレーカー3bを介して住宅内の電気機器である負荷8に接続される。また、出力線11は、分電盤3内の連系ブレーカー3aおよび主幹ブレーカー3cを介して商用電源10に接続される。パワーコンディショナ2から出力された交流電力は、分電盤3内の連系ブレーカー3aおよび分岐ブレーカー3bを経由して負荷8に供給され、負荷8で消費される。また、パワーコンディショナ2から出力された交流電力が負荷8で消費されずに余った場合は、余った分は住宅外の商用電源10に供給される。これを逆潮流という。なお、パワーコンディショナ2は、分電盤3を介さずに商用電源10に接続される構成も可能である。また、太陽光発電システムの設置形態には、パワーコンディショナ2の発電電力を負荷8に供給することなく、発電電力を全て商用電源10に供給する形態がある。これを全量買取方式という。本実施の形態は、全量買取方式が採用された太陽光発電システムにも適用可能である。
【0016】
図2は、パワーコンディショナ2の構成を示すブロック図である。パワーコンディショナ2は、直流電力を交流電力に変換する電力変換部20と、電力変換部20を制御するための制御信号を出力する制御部21と、外部と通信をする通信部22と、故障または障害が発生したことを報知可能な報知部である出力部23とを備えている。電力変換部20は、DC/DC変換機能を有するコンバータ20a、コンバータ20aの後段に配置され、DC/AC変換機能を有するインバータ20b、およびインバータ20bの後段に配置され、ノイズを抑制するフィルタ処理を施すフィルタ回路20cを備えている。制御部21は、コンバータ20aを制御するために制御信号をコンバータ20aに出力すると共に、インバータ20bを制御するために制御信号をインバータ20bに出力する。制御部21は、コンバータ20aおよびインバータ20bの通常の制御の他、後述する電力抑制制御も含めてパワーコンディショナ2の全体の制御を司る。図3は、制御部21のハードウェア構成を示す図である。制御部21は、プロセッサ30およびメモリ31を備える。プロセッサ30は、メモリ31に記憶された制御プログラムに従って動作する。通信部22は、送受信装置である。出力部23は、例えば、表示装置、鳴動装置、またはこれらの双方で実現される。
【0017】
表示ユニット4は、有線である信号線12を介してパワーコンディショナ2と接続されており、信号線12を介してパワーコンディショナ2との間で通信可能である。また、表示ユニット4は、無線通信を介してルーター5と接続され、ルーター5を介して、通信網であるインターネット13に接続される。表示ユニット4は、ルーター5およびインターネット13を介して各種情報を取得する。特に、表示ユニット4は、ルーター5およびインターネット13を介して、例えば電力会社により設置された指令所から出力抑制情報15を取得する。ここで、出力抑制情報15は、パワーコンディショナ2の出力を抑制するための情報である。すなわち、表示ユニット4は、パワーコンディショナ2の出力を抑制するための出力抑制情報15を有する。表示ユニット4は、出力抑制情報15をパワーコンディショナ2に出力することでパワーコンディショナ2に出力抑制を実施させる制御機器である。
【0018】
図4は、表示ユニット4の構成を示すブロック図である。図4に示すように、表示ユニット4は、表示部4a、記憶部4b、制御部4cおよび通信部4dを備えている。表示部4aは、表示ユニット4が保有する情報を表示することができる。ここで、表示ユニット4が保有する情報には、出力抑制情報15およびパワーコンディショナ2から取得された制御情報が含まれる。記憶部4bは、表示ユニット4が保有する情報を記憶する記憶装置である。特に、出力抑制情報15は記憶部4bに記憶される。制御部4cは、表示ユニット4の全体の制御を司る。制御部4cのハードウェア構成は、パワーコンディショナ2の制御部21と同様に、図3で示すプロセッサ30およびメモリ31で与えられる。通信部4dは、パワーコンディショナ2またはルーター5と通信をする。通信部4dは、送受信装置である。制御部4cは、通信部4dを介して指令所から出力抑制情報15を取り込み、取り込まれた出力抑制情報15を通信部4dを介してパワーコンディショナ2に送信することでパワーコンディショナ2の出力抑制を実施する。
【0019】
現段階では、国内の太陽光発電システムの発電電力と、発電の中断ができないようなその他の発電システムの発電電力との合計が、国内における電力需要を上回る状況が発生していないため、電力会社が設置した指令所からの出力抑制情報15の仕様が決まっておらず、検討段階である。従って、この仕様が決まるまでは、出力抑制情報15を取り込む表示ユニット4の設置はなされない。このため、パワーコンディショナ2には、表示ユニット4から出力抑制情報15を取得し、出力抑制情報15に従って出力抑制を実施する基本機能のみを実装しておき、指令所からの出力抑制情報15の仕様が決まった後に、表示ユニット4を取り付け、または、出力抑制情報15を取り込むことのできない従来の表示ユニットに代えて表示ユニット4を取り付けることにより、パワーコンディショナ2による出力抑制動作を実現する。
【0020】
このような構成の太陽光発電システムでは、出力抑制情報15を取り込む表示ユニット4の設置が必要となるまでは、系統崩壊が発生する恐れがないため、パワーコンディショナ2が表示ユニット4との間で通信ができない場合でも、出力抑制を実施する必要はない。しかし、出力抑制情報15を取り込む表示ユニット4を設置した後は、出力抑制情報15に従いパワーコンディショナ2の出力を抑制し、系統崩壊を回避する必要がある。
【0021】
図5は、パワーコンディショナ2の動作を示すフローチャートである。ここでは、表示ユニット4がインターネット13を介して出力抑制情報15を取得するものとする。なお、表示ユニット4はフローチャートでは制御機器と表現する。また、パワーコンディショナ2は、本フローチャートに示す動作を一定周期で実施する。この周期は、例えば1秒周期とする。また、図6は、パワーコンディショナ2の制御部21の機能構成を示すブロック図である。制御部21は、判定部2a、判定部2b、出力抑制実施部2cおよび出力停止部2dを備える。
【0022】
パワーコンディショナ2は、出力抑制が実施済みか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、パワーコンディショナ2は、過去一度でもパワーコンディショナ2の出力抑制が実施されたことがないかを調べる。この処理は、制御部21における第1の判定部である判定部2aが実施する。この際、出力抑制が実施済みの場合は、メモリ31に出力抑制実施済み情報が記憶されているので、判定部2aは、メモリ31を参照することにより、出力抑制が実施済みか否かを判定することができる。
【0023】
ステップS1での判定の結果、出力抑制が実施済みではない場合、すなわち、過去一度も出力抑制が実施されたことがない場合(ステップS1、No)、パワーコンディショナ2は、制御機器と通信可能か否かの判定をする(ステップS2)。ステップS2での判定の結果、制御機器と通信不可である場合は(ステップS2、No)、パワーコンディショナ2は、パワーコンディショナ2に制御機器が接続されていないと判定し、パワーコンディショナ2の出力抑制を実施せずに、処理を終える。ステップS2での判定の結果、制御機器と通信可能であれば(ステップS2、Yes)、パワーコンディショナ2は、出力抑制情報15を制御機器から取得可能か否かを判定する(ステップS3)。ステップS3での判定の結果、出力抑制情報15が制御機器から取得可能でない場合は、パワーコンディショナ2は、出力抑制を実施する必要性がないと判断し、処理を終える(ステップS3、No)。なお、制御機器との通信が可能でありながら、出力抑制情報15を制御機器から取得可能でない場合とは、指令所から制御機器に出力抑制情報15が発令されていない場合である。ステップS3での判定の結果、出力抑制情報15が制御機器から取得可能である場合(ステップS3,Yes)は、パワーコンディショナ2は、出力抑制情報15を制御機器から取得し(ステップS4)、出力抑制実施済みとし、メモリ31に出力抑制実施済み情報を記憶させる(ステップS5)。パワーコンディショナ2は、ステップS5で出力抑制実施済みとした後、出力抑制情報15に基づき出力を抑制する(ステップS11)。なお、ステップS2、S3およびS4の処理は、制御部21における第2の判定部である判定部2bが実施する。また、ステップS5,S11の処理は、制御部21における出力抑制実施部2cが実施する。
【0024】
図7は、出力抑制情報15の一例を示した図である。出力抑制情報15は、例えば、出力抑制を実施する「年月日」、「時刻」および「抑制量」をリストにしたものである。ここで、「抑制量」は、例えば、パワーコンディショナ2の定格出力に対する割合で与えられる。例えば、「年月日」が2015/05/10、「時刻」が10:00〜10:59のときは、「抑制量」が70%とされているので、パワーコンディショナ2の定格出力の70%を最大値として、パワーコンディショナ2はこれ以上の発電電力を出力しないように制御される。
【0025】
ステップS1での判定の結果、過去に出力抑制が実施済みであると判定した場合(ステップS1、Yes)、パワーコンディショナ2は、制御機器と通信可能か否かの判定をする(ステップS7)。ステップS7での判定の結果、制御機器と通信不可である場合は(ステップS7、No)、パワーコンディショナ2は、制御機器の故障または信号線12の障害により通信ができない状態と判断し、出力を停止する(ステップS9)。続いて、パワーコンディショナ2は、制御機器の故障または信号線12の障害により通信ができない状態にあることを太陽光発電システムの管理者に報知するため警報を発する。すなわち、パワーコンディショナ2は、制御機器との通信が異常であることを警報する(ステップS10)。この警報は、パワーコンディショナ2の出力部23が実施する。例えば、出力部23がランプの場合には、ランプの点滅により通信異常であることを報知する。また、出力部23がブザーの場合には、ブザー音により通信異常であることを報知する。なお、ランプは表示部の一例であり、ブザーは鳴動装置の一例である。
【0026】
ステップS7での判定の結果、制御機器と通信可能である場合は(ステップS7、Yes)、パワーコンディショナ2は、出力抑制情報15を制御機器から取得し(ステップS8)、出力抑制情報15に基づき出力を抑制し(ステップS11)、処理を終える。なお、ステップS7およびS8の処理は、制御部21における判定部2bが実施し、ステップS9は、制御部21における出力停止部2dが実施する。
【0027】
なお、図5において、ステップS10の処理を省略することも可能である。また、図5では、ステップS5の処理の後にステップS11の処理を実施しているが、ステップS4の処理の後にステップS11、ステップS5の順に処理を実施することも可能である。
【0028】
本実施の形態によれば、パワーコンディショナ2の出力を抑制するための出力抑制情報15を有する制御機器である表示ユニット4が設置される前は、パワーコンディショナ2は出力抑制を実施しないが、表示ユニット4が設置された後には、パワーコンディショナ2は、表示ユニット4との通信が可能な場合には、出力抑制情報15に従って出力抑制を実施し、表示ユニット4との通信に支障が生じ、出力抑制情報15が取得できなかった場合は、出力を停止する。従って、系統崩壊を回避することが可能になる。
【0029】
なお、機器間の通信は上記した具体例に限定されない。すなわち、表示ユニット4とパワーコンディショナ2との間の通信および表示ユニット4とルーター5との間の通信は、無線および有線のいずれでもよい。この場合の通信は、RS485のような標準インターフェース、有線LAN、または電力線搬送の有線によるものであってもよいし、無線LANまたはBluetooth(登録商標)の無線によるものであってもよい。また、表示ユニット4とパワーコンディショナ2との間の通信は、デジタル通信が一般的であるが、これに限定されるものではなく、例えば0−5Vまたは4−20mAのアナログ信号によっても可能である。
【0030】
また、本実施の形態では、出力抑制情報15はインターネット13を介して表示ユニット4に取り込まれるが、これに限定されず、専用線によって表示ユニット4に取り込まれるようにしてもよい。また、出力抑制情報15は予め表示ユニット4に記憶させておき、例えばメモリーカードの記憶手段を用いて更新するようにしてもよい。
【0031】
本実施の形態では、パワーコンディショナ2の台数は1台としたが、パワーコンディショナ2の台数は2台以上でもよい。パワーコンディショナ2の台数が2台以上の場合については実施の形態2,3で具体的に説明する。
【0032】
また、本実施の形態では、パワーコンディショナ2、表示ユニット4およびルーター5が互いに異なる筐体内に設けられるが、これらは同一の筐体内に設けられていてもよい。
【0033】
実施の形態2.
図8は、本実施の形態に係る太陽光発電システムの構成図である。図8に示すように、本実施の形態に係る太陽光発電システムは、2台の太陽電池モジュール1と、2台の太陽電池モジュール1にそれぞれ接続されると共に分電盤3を介して負荷8および商用電源10に接続された2台のパワーコンディショナ2と、2台のパワーコンディショナ2に接続され、表示ユニット4およびルーター5を介してインターネット13に接続されると共に、分電盤3と商用電源10との接続点における電流および電圧を計測する計測ユニット7とを備える。
【0034】
パワーコンディショナ2の出力線11は、分電盤3を介して商用電源10に接続されている。詳細には、出力線11は、分電盤3内の連系ブレーカー3aおよび主幹ブレーカー3cを介して商用電源10に接続される。分電盤3には、分電盤3と商用電源10との接続点における電流を計測する電流センサー6が設置されている。電流センサー6は計測ユニット7に接続され、電流センサー6の出力は計測ユニット7に入力される。また、計測ユニット7は、分電盤3に接続され、分電盤3と商用電源10との接続点における電圧、すなわち、商用電源10の電圧を計測する。なお、実施の形態1で説明したように、パワーコンディショナ2は分電盤3を介さずに商用電源10に接続されていてもよく、この場合は、計測ユニット7は、パワーコンディショナ2と商用電源10との接続点における電流および電圧を計測することとなる。
【0035】
計測ユニット7は、電流計測値および電圧計測値から電力を算出する。これにより、計測ユニット7は、逆潮流が発生しているのか否かを判定することができる。このように、計測ユニット7は、太陽光発電システムの発電電力が負荷8で消費されず、発電電力が余った場合は、太陽光発電システムから商用電源10に流れる電力を計測し、逆に太陽光発電システムの発電電力が負荷8の消費電力より少ない場合は、商用電源10から負荷8に流れる電力を計測することとなる。
【0036】
計測ユニット7は、有線である信号線12を介して2台のパワーコンディショナ2の各々と接続されており、信号線12を介して2台のパワーコンディショナ2の各々との間で通信可能である。計測ユニット7は、信号線12を介してパワーコンディショナ2の各々から制御情報を取得する。また、計測ユニット7は、無線通信を介して表示ユニット4と接続されている。
【0037】
表示ユニット4は、実施の形態1と同様に、無線通信を介してルーター5と接続され、ルーター5を介して、通信網であるインターネット13に接続される。表示ユニット4は、ルーター5およびインターネット13を介して各種情報を取得する。特に、表示ユニット4は、ルーター5およびインターネット13を介して、例えば電力会社により設置された指令所から出力抑制情報15を取得する。表示ユニット4は、指令所から出力抑制情報15を取り込んだ後、出力抑制情報15を計測ユニット7に送信する。これにより、計測ユニット7は、出力抑制情報15を取得することができる。表示ユニット4は、出力抑制情報15を計測ユニット7に転送するだけで、出力抑制情報15を記憶しない。
【0038】
計測ユニット7は、出力抑制情報15を取得した後、出力抑制情報15を2台のパワーコンディショナ2の各々に出力することで2台のパワーコンディショナ2の各々に出力抑制を実施させる制御機器である。なお、表示ユニット4は、パワーコンディショナ2の制御情報と計測ユニット7による計測値情報を表示することができる。ここで、計測ユニット7による計測値情報には、電流計測値情報、電圧計測値情報および電力計測値情報が含まれる。
【0039】
このように、本実施の形態では、制御機器である計測ユニット7は、表示ユニット4を介して指令所から出力抑制情報15を取得することを前提としており、表示ユニット4を設置しない場合は、インターネット13を介して指令所から出力抑制情報15を取得することはできない。
【0040】
図9は、計測ユニット7の構成を示すブロック図である。図9に示すように、計測ユニット7は、電流計測部7a、電圧計測部7b、記憶部7c、制御部7dおよび通信部7eを備えている。電流計測部7aは、電流センサー6の出力をもとに、分電盤3と商用電源10との接続点における電流を計測する。電圧計測部7bは、分電盤3と商用電源10との接続点における電圧を計測する。記憶部7cは、計測ユニット7が保有する情報を記憶する記憶装置である。特に、指令所からの出力抑制情報15およびパワーコンディショナ2からの制御情報が記憶部7cに記憶される。制御部7dは、計測ユニット7の全体の制御を司る。特に、制御部7dは、電流計測値および電圧計測値から電力計測値を算出する。制御部7dのハードウェア構成は、パワーコンディショナ2の制御部21と同様に、図3で示すプロセッサ30およびメモリ31で与えられる。通信部7eは、2台のパワーコンディショナ2の各々または表示ユニット4と通信をする。通信部7eは、送受信装置である。制御部7dは、通信部7eを介して指令所から出力抑制情報15を取り込み、取り込まれた出力抑制情報15を通信部7eを介して2台のパワーコンディショナ2の各々に送信することで2台のパワーコンディショナ2の各々の出力抑制を実施する。
【0041】
実施の形態1で説明した通り、現段階では、電力会社が設置した指令所からの出力抑制情報15の仕様が決まっておらず、この仕様が決まるまでは、出力抑制情報15を取り込む表示ユニット4および計測ユニット7の設置はなされない。このため、パワーコンディショナ2には、計測ユニット7から出力抑制情報15を取得し、出力抑制情報15に従って出力抑制を実施する基本機能のみを実装しておき、指令所からの出力抑制情報15の仕様が決まった後に、表示ユニット4および計測ユニット7を取り付け、または、出力抑制情報15を取り込むことのできない従来の表示ユニットおよび計測ユニットに代えて表示ユニット4および計測ユニット7を取り付けることにより、パワーコンディショナ2による出力抑制動作を実現する。
【0042】
また、実施の形態1と同様に、出力抑制情報15を取り込む表示ユニット4および計測ユニット7の設置が必要となるまでは、系統崩壊が発生する恐れがないため、パワーコンディショナ2が計測ユニット7との間で通信ができない場合でも、出力抑制を実施する必要はない。しかし、出力抑制情報15を取り込む表示ユニット4および計測ユニット7を設置した後は、出力抑制情報15に従いパワーコンディショナ2の出力を抑制し、系統崩壊を回避する必要がある。
【0043】
2台のパワーコンディショナ2の各々の動作は、実施の形態1と同様に図5のフローチャートで示される。ただし、本実施の形態では、表示ユニット4がルーター5およびインターネット13を介して出力抑制情報15を取得し、表示ユニット4が取得された出力抑制情報15を計測ユニット7に送信し、計測ユニット7は表示ユニット4から送信された出力抑制情報15を受信してこれを記憶する。なお、本実施の形態では、図5のフローチャートにおける制御機器は計測ユニット7である。
【0044】
本実施の形態によれば、パワーコンディショナ2の出力を抑制するための出力抑制情報15を有する制御機器である計測ユニット7が設置される前は、パワーコンディショナ2は出力抑制を実施しないが、計測ユニット7が設置された後には、パワーコンディショナ2は、計測ユニット7との通信が可能な場合には、出力抑制情報15に従って出力抑制を実施し、計測ユニット7との通信に支障が生じ、出力抑制情報15が取得できなかった場合は、出力を停止する。従って、系統崩壊を回避することが可能になる。
【0045】
なお、本実施の形態では、計測ユニット7および表示ユニット4の双方を設ける構成としたが、計測ユニット7のみを設け、計測ユニット7がルーター5およびインターネット13を介して指令所から出力抑制情報15を取得するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、計測ユニット7は、太陽光発電システムから商用電源10に流れる電力を計測することができる。太陽光発電システムから商用電源10に電力を供給しなければ、国内の電力が需要を上回ることはなく、系統崩壊は回避できるため、太陽光発電システムにおける出力抑制は、逆潮流を抑制するものであればよく、必要以上に太陽光発電システムが負荷8に供給する電力を抑制する必要はない。このため、パワーコンディショナ2が出力抑制情報15に従って出力抑制を実施したときに、計測ユニット7の電流および電圧の計測により逆潮流が発生しないと判定された場合には、計測ユニット7は、パワーコンディショナ2に出力抑制を低減しまたは停止する指令を送信することができる。つまり、計測ユニット7は、逆潮流が発生しない発電電力を上限としてパワーコンディショナ2に出力抑制の指令を送信し制御することができる。
【0047】
なお、本実施の形態のようにパワーコンディショナ2が複数台設置された場合は、出力抑制は、複数台のパワーコンディショナ2の出力の合計に対して実施されればよく、計測ユニット7と通信ができないパワーコンディショナ2は出力を停止するため、出力が停止したパワーコンディショナ2の発電電力をゼロとみなして、通信可能なパワーコンディショナ2の出力の合計を出力抑制情報15に示される抑制量を満足する範囲で抑制することができる。
【0048】
なお、機器間の通信は上記した具体例に限定されない。すなわち、計測ユニット7とパワーコンディショナ2との間の通信、計測ユニット7と表示ユニット4との間の通信および表示ユニット4とルーター5との間の通信は、無線および有線のいずれでもよい。この場合の通信は、RS485のような標準インターフェース、有線LAN、または電力線搬送の有線によるものであってもよいし、無線LANまたはBluetooth(登録商標)の無線によるものであってもよい。また、計測ユニット7とパワーコンディショナ2との間の通信および計測ユニット7と表示ユニット4との間の通信は、デジタル通信が一般的であるが、これに限定されるものではなく、例えば0−5Vまたは4−20mAのアナログ信号によっても可能である。
【0049】
また、本実施の形態では、出力抑制情報15はインターネット13を介して計測ユニット7に取り込まれるが、これに限定されず、専用線によって計測ユニット7に取り込まれるようにしてもよい。また、出力抑制情報15は予め計測ユニット7に記憶させておき、例えばメモリーカードの記憶手段を用いて更新するようにしてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、パワーコンディショナ2、表示ユニット4、計測ユニット7およびルーター5が互いに異なる筐体内に設けられるが、これらは同一の筐体内に配置されていてもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、パワーコンディショナ2の設置台数を2台としたが、1台または3台以上でもよい。
【0052】
本実施の形態のその他の構成、動作および効果は、実施の形態1で説明した通りである。
【0053】
実施の形態3.
図10は、本実施の形態に係る太陽光発電システムの構成図である。本実施の形態は、実施の形態2と比較して、表示ユニット4も出力抑制情報15を記憶する点と、表示ユニット4は無線通信を介して2台のパワーコンディショナ2の各々と接続される点が異なる。
【0054】
表示ユニット4は、実施の形態1,2と同様に、ルーター5およびインターネット13を介して、指令所から出力抑制情報15を取得し、出力抑制情報15を記憶する。また、表示ユニット4は、取得された出力抑制情報15を計測ユニット7に送信する。計測ユニット7は、表示ユニット4から出力抑制情報15を取得し、取得された出力抑制情報15を記憶する。このように、本実施の形態では、表示ユニット4および計測ユニット7の双方が出力抑制情報15を記憶する一方で、2台のパワーコンディショナ2の各々は表示ユニット4および計測ユニット7の双方と通信可能に接続されている。すなわち、2台のパワーコンディショナ2の各々は表示ユニット4または計測ユニット7から出力抑制情報15を取得することができる。
【0055】
2台のパワーコンディショナ2の各々の動作は、実施の形態1,2と同様に図5のフローチャートで示される。ただし、本実施の形態では、図5のフローチャートにおける制御機器は表示ユニット4および計測ユニット7である。これに関連して、ステップS2では、パワーコンディショナ2は、まず、計測ユニット7と通信可能か否かを判定し、計測ユニット7と通信可能でない場合には、次に、表示ユニット4と通信可能か否かを判定し、表示ユニット4とも通信可能でない場合には、パワーコンディショナ2の出力抑制を実施せずに、処理を終える。他方、ステップS2において、計測ユニット7と通信可能な場合は、パワーコンディショナ2は、以降の処理を計測ユニット7に対して実施する。また、ステップS2において、計測ユニット7と通信可能でない場合でも、表示ユニット4と通信可能な場合には、パワーコンディショナ2は、以降の処理を表示ユニット4に対して実施する。以上は、ステップS7についても同様である。つまり、パワーコンディショナ2は、より信頼性の高い有線通信で接続される計測ユニット7から優先的に出力抑制情報15を取得するが、計測ユニット7との通信に障害が発生した場合は、表示ユニット4との通信に切り替えることにより、表示ユニット4から出力抑制情報15を取得するようにする。これにより、より信頼性の高い制御が可能となる。なお、パワーコンディショナ2は、表示ユニット4から優先的に出力抑制情報15を取得し、表示ユニット4との通信に障害が発生した場合は、計測ユニット7から出力抑制情報15を取得するようにしてもよい。
【0056】
また、本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、パワーコンディショナ2が出力抑制情報15に従って出力抑制を実施したときに、計測ユニット7の電流および電圧の計測により逆潮流が発生しないと判定された場合には、計測ユニット7は、パワーコンディショナ2に出力抑制を低減しまたは停止する指令を送信することができる。
【0057】
なお、機器間の通信は上記した具体例に限定されない。すなわち、計測ユニット7とパワーコンディショナ2との間の通信、表示ユニット4とパワーコンディショナ2との間の通信、計測ユニット7と表示ユニット4との間の通信および表示ユニット4とルーター5との間の通信は、無線および有線のいずれでもよい。この場合の通信は、RS485のような標準インターフェース、有線LAN、または電力線搬送の有線によるものであってもよいし、無線LANまたはBluetooth(登録商標)の無線によるものであってもよい。また、計測ユニット7とパワーコンディショナ2との間の通信、表示ユニット4とパワーコンディショナ2との間の通信、および計測ユニット7と表示ユニット4との間の通信は、デジタル通信が一般的であるが、これに限定されるものではなく、例えば0−5Vまたは4−20mAのアナログ信号によっても可能である。
【0058】
また、本実施の形態では、出力抑制情報15はインターネット13を介して表示ユニット4および計測ユニット7に取り込まれるが、これに限定されず、専用線によって表示ユニット4および計測ユニット7に取り込まれるようにしてもよい。また、出力抑制情報15は予め表示ユニット4および計測ユニット7に記憶させておき、例えばメモリーカードの記憶手段を用いて更新するようにしてもよい。
【0059】
本実施の形態のその他の構成、動作および効果は、実施の形態1,2で説明した通りである。
【0060】
実施の形態4.
図11は、本実施の形態におけるパワーコンディショナ2の構成を示すブロック図である。図11に示すパワーコンディショナ2は、図2に示す構成に加えて、出力抑制許可設定部50を備えている。ここで、出力抑制許可設定部50は、パワーコンディショナ2の出力抑制を許可するか否かの設定を可能にするものである。すなわち、出力抑制許可設定部50は、出力抑制を許可するか否かの設定がされる。出力抑制許可設定部50は、例えばパワーコンディショナ2の内部に設けたスイッチであり、当該スイッチを操作することにより、出力抑制を許可し、あるいは、出力抑制を不許可とすることができる。なお、本実施の形態に係る太陽光発電システムの構成は、図1と同様とする。
【0061】
図12は、本実施の形態におけるパワーコンディショナの動作を示すフローチャートである。図12では、制御機器は表示ユニット4である。
【0062】
まず、パワーコンディショナ2は、出力抑制が許可されているか否かを判定する(ステップS1)。これは、出力抑制許可設定部50の設定を確認することで判定される。
【0063】
ステップS1での判定の結果、出力抑制が許可されていない場合(ステップS1、No)、パワーコンディショナ2は、パワーコンディショナ2の出力抑制を実施せずに、処理を終える。ステップS1での判定の結果、出力抑制が許可されている場合(ステップS1、Yes)、パワーコンディショナ2は、制御機器と通信可能か否かの判定する(ステップS7)。ステップS7での判定の結果、制御機器と通信不可である場合は(ステップS7、No)、パワーコンディショナ2は、制御機器の故障または信号線12の障害により通信ができない状態と判断し、出力を停止する(ステップS9)。続いて、パワーコンディショナ2は、出力部23により制御機器との通信が異常であることを警報する(ステップS10)。
【0064】
ステップS7での判定の結果、制御機器と通信が可能である場合は(ステップS7、Yes)、パワーコンディショナ2は、出力抑制情報15を制御機器から取得し(ステップS8)、出力抑制情報15に基づき出力を抑制し(ステップS11)、処理を終える。
【0065】
本実施の形態では、パワーコンディショナ2の出力を抑制するための出力抑制情報15を有する制御機器である表示ユニット4が設置される前は、出力抑制許可設定部50により出力抑制を不許可に設定しておき、表示ユニット4が設置された後には、出力抑制許可設定部50により出力抑制を許可に設定する。これにより、パワーコンディショナ2は、表示ユニット4との通信が可能な場合には、出力抑制情報15に従って出力抑制を実施し、表示ユニット4との通信に支障が生じ、出力抑制情報15が取得できなかった場合は、出力を停止する。従って、系統崩壊を回避することが可能になる。
【0066】
なお、本実施の形態では、出力抑制許可設定部50は、例えばスイッチにより実現されるとしたが、出力抑制を許可しまたは出力抑制を不許可とする設定情報を不揮発性メモリに記憶させた電子的手段により実現することもできる。
【0067】
本実施の形態のその他の構成、動作および効果は、実施の形態1で説明した通りである。また、本実施の形態を実施の形態2または3と組み合わせることもできる。
【0068】
実施の形態1から4では、太陽光発電システムは住宅に設置されているが、これに限定されず、住宅以外の建造物、例えば、店舗、工場、事務所、および倉庫のいずれに設置されるものであってもよい。また、建造物に限らず、例えば空地等の地上に設置されるものであってもよい。いずれの建造物または地上に設置された場合でも、実施の形態1から4と同様の効果を奏する。
【0069】
実施の形態1から4では、太陽光発電システムについて説明しているが、例えば風力発電の再生可能エネルギーによる発電設備にも同様に適用可能である。
【0070】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 太陽電池モジュール、2 パワーコンディショナ、2a,2b 判定部、2c 出力抑制実施部、2d 出力停止部、3 分電盤、3a 連系ブレーカー、3b 分岐ブレーカー、3c 主幹ブレーカー、4 表示ユニット、4a 表示部、4b 記憶部、4c 制御部、4d 通信部、5 ルーター、6 電流センサー、7 計測ユニット、7a 電流計測部、7b 電圧計測部、7c 記憶部、7d 制御部、7e 通信部、8 負荷、10 商用電源、11 出力線、12 信号線、13 インターネット、15 出力抑制情報、20 電力変換部、20a コンバータ、20b インバータ、20c フィルタ回路、21 制御部、22 通信部、23 出力部、30 プロセッサ、31 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12