特許第6429717号(P6429717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6429717回転軸部品、軸封装置及び回転軸部品の組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429717
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】回転軸部品、軸封装置及び回転軸部品の組立方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20181119BHJP
   F16C 3/02 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   F16J15/10 T
   F16C3/02
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-86822(P2015-86822)
(22)【出願日】2015年4月21日
(65)【公開番号】特開2016-205502(P2016-205502A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】津田 剛志
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/112546(WO,A1)
【文献】 特開2002−174341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/10
F16C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部品を貫通させた穴部品と前記軸部品との隙間をOリングで封止し、前記軸部品及び前記穴部品が一緒に回転するように固定した回転軸部品であって、
前記穴部品は、前記軸部品が貫通した状態において、前記Oリングのつぶし率が設定範囲内となる内径を有するOリング固定部と、前記Oリングが前記Oリング固定部よりも前記軸部品の挿入方向後方へ移動することを規制する位置決め部とが形成された内筒面を有し、
前記Oリング固定部よりも前記軸部品の挿入方向前方での前記穴部品の内径は、前記Oリング固定部の内径以下であり、かつ前記軸部品が貫通した状態で、前記Oリングのつぶし率が予め定められた上限値以下となる寸法であることを特徴とする回転軸部品。
【請求項2】
前記Oリング固定部及び前記位置決め部は、前記穴部品の内筒面に設けられた溝によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転軸部品。
【請求項3】
軸部品を貫通させた穴部品と前記軸部品との隙間をOリングで封止し、前記軸部品及び前記穴部品が一緒に回転するように固定した回転軸部品であって、
前記穴部品は、前記軸部品が貫通した状態において、前記Oリングのつぶし率が設定範囲内となる内径を有するOリング固定部が形成された内筒面を有し、
前記軸部品は、前記穴部品を貫通させた状態において、前記Oリングが前記Oリング固定部よりも前記軸部品の挿入方向後方へ移動することを規制する位置決め部を有し、
前記Oリング固定部よりも前記軸部品の挿入方向前方での前記穴部品の内径は、前記Oリング固定部の内径以下であり、かつ前記軸部品が貫通した状態で、前記Oリングのつぶし率が予め定められた上限値以下となる寸法であることを特徴とする回転軸部品。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記軸部品の先端部よりも径を拡大した大径部によって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の回転軸部品。
【請求項5】
軸部品を貫通させた穴部品と前記軸部品との隙間をOリングで封止し、前記軸部品及び前記穴部品が一緒に回転するように固定した回転軸部品であって、
前記穴部品は、前記軸部品が貫通した状態において、前記Oリングのつぶし率が設定範囲内となる内径を有するOリング固定部と、前記Oリングが前記Oリング固定部よりも前記軸部品の挿入方向後方へ移動することを規制する第1の位置決め部とが形成された内筒面を有し、
前記軸部品は、前記穴部品を貫通させた状態において、前記Oリングが前記Oリング固定部よりも前記軸部品の挿入方向後方へ移動することを規制する第2の位置決め部を有し、
前記Oリング固定部よりも前記軸部品の挿入方向前方での前記穴部品の内径は、前記Oリング固定部の内径以下であり、かつ前記軸部品が貫通した状態で、前記Oリングのつぶし率が予め定められた上限値以下となる寸法であることを特徴とする回転軸部品。
【請求項6】
前記Oリング固定部及び前記第1の位置決め部は、前記穴部品の内筒面に設けられた溝によって形成されており、前記第2の位置決め部は、前記軸部品の先端部よりも径を拡大した大径部によって形成されていることを特徴とする請求項5に記載の回転軸部品。
【請求項7】
前記軸部品は、前記穴部品への挿入方向を限定する形状を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の回転軸部品。
【請求項8】
前記穴部品は、前記軸部品の挿入方向前方の開口の縁に面取り面が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の回転軸部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の回転軸部品を用いた軸封装置であって、
前記軸部品はモータの軸であり、前記穴部品の外周は、前記モータ側に潤滑油が浸入することを防止するオイルシールのリップの摺動面であることを特徴とする軸封装置。
【請求項10】
前記Oリングは、前記潤滑油により前記軸部品の挿入方向後方に付勢されることを特徴とする請求項9に記載の軸封装置。
【請求項11】
軸部品の挿入方向前方の開口径が前記軸部品の径よりも大きい穴部品と前記軸部品との隙間をOリングで封止し、前記軸部品及び前記穴部品が一緒に回転するように固定した回転軸部品の組立方法であって、
前記穴部品に前記軸部品を挿入する工程と、
前記穴部品に挿入した前記軸部品を固定する工程と、
前記軸部品に挿入方向前方から前記Oリングを被せる工程と、
前記穴部品の前記軸部品の挿入方向前方の開口と前記軸部品との隙間を通して、前記穴部品と前記軸部品との間に前記Oリングを挿入する工程とを有することを特徴とする回転軸部品の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部品を貫通させた穴部品が軸部品と一緒に回転するようにした回転軸部品、軸封装置及び回転軸部品の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸部品を貫通させた穴部品が軸部品と一緒に回転するようにした回転軸部品を油圧又は水圧がかかる装置に用いる場合には、軸部品と穴部品との間をOリングで封止する軸封構造が適用されている。回転軸部品に適用される軸封構造は、軸部品又は穴部品の一方にOリング挿入用の溝を設け、溝にOリングを挿入してから軸部品を穴部品に挿入する構成がとられている。
【0003】
特許文献1には、Oリングを変形させて穴に挿入し、テーパガイドと押し治具とを用いて溝部へ導入させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−174341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術によれば、軸部品にキー溝又はDカットのようなエッジを伴う形状が設けられており、軸部品を穴部品に挿入する際に、溝がエッジの部分を通過しなければならない構造であると、挿入時にOリングが圧縮されて軸部品に押し当たりながら摺動する。そのため、エッジ部によってOリングに傷が付くという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、軸部品のエッジ部でOリングに傷が付くことを防止した軸封構造の回転軸部品を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、軸部品を貫通させた穴部品と軸部品との隙間をOリングで封止し、軸部品及び穴部品が一緒に回転するように固定した回転軸部品であって、穴部品は、軸部品が貫通した状態において、Oリングのつぶし率が設定範囲内となる内径を有するOリング固定部と、OリングがOリング固定部よりも軸部品の挿入方向後方へ移動することを規制する位置決め部とが形成された内筒面を有する。本発明は、Oリング固定部よりも軸部品の挿入方向前方での穴部品の内径は、Oリング固定部の内径以下であり、かつ軸部品が貫通した状態で、Oリングのつぶし率が予め定められた上限値以下となる寸法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軸部品のエッジ部でOリングに傷が付くことを防止した軸封構造の回転軸部品を得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1にかかる回転軸部品の概略構成を示す断面図
図2】実施の形態1にかかる回転軸部品の概略構成を示す分解図
図3】実施の形態1にかかる回転軸部品の組立手順を示す図
図4】実施の形態1にかかる回転軸部品を適用した軸封装置の構成を示す図
図5】本発明の実施の形態2にかかる回転軸部品の概略構成を示す図
図6】本発明の実施の形態3にかかる回転軸部品の概略構成を示す図
図7】実施の形態3にかかる回転軸部品の変形構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態にかかる回転軸部品、軸封装置及び回転軸部品の組立方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる回転軸部品の概略構成を示す断面図である。図2は、実施の形態1にかかる回転軸部品の概略構成を示す分解図である。回転軸部品50は、軸部品1を貫通させた穴部品2と軸部品1との隙間をOリング3で封止し、軸部品1及び穴部品2が一緒に回転するように固定されている。回転軸部品50は、エッジ部が形成された軸部品1と、軸部品1が挿入される穴部品2と、軸部品1と穴部品2との隙間を封止するOリング3とを有する。後述するように、Oリング3は、軸部品1を穴部品2に挿入した後で、軸部品1と穴部品2との間に挿入される。
【0012】
穴部品2の内筒面22には、Oリング3を配置するための溝4が設けられている。溝4の径aは、軸部品1の軸径bよりも大きい。Oリング3の断面は、無負荷状態では直径eの断面である。Oリング3は、溝4に配置され、軸部品1が挿入されている状態でのつぶし率は((a−b)/2e)×100[%]で表される。溝4は、軸部品1が貫通した状態において、Oリング3のつぶし率が設定範囲内となる内径を有するOリング固定部23と、Oリング3がOリング固定部23を形成する溝4よりも軸部品1の挿入方向後方へ移動することを規制する位置決め部24とを穴部品2の内筒面22に形成している。
【0013】
穴部品2は、挿入側2aの内径cよりも貫通側2bの内径dの方が大きくなっている。ここで、挿入側2aは、軸部品1が挿入される側であり、貫通側2bは、挿入された軸部品1が突出する側である。挿入側2aの内径cは、溝4での内径aよりも小さく、軸部品1の軸径bに対して隙間嵌め程度となる寸法である。貫通側2bの内径dは、溝4での内径aよりも小さく、かつOリング3の外径fよりも小さい寸法である。Oリング3が穴部品2の貫通側2bの部分に配置されている状態でのOリング3のつぶし率は、((d−b)/2e)×100[%]で表される。
【0014】
Oリング3は、溝4に配置されている状態でのつぶし率がOリング3の製造者の推奨する範囲内となり、かつ貫通側2bを通過する際のつぶし率が、Oリング3の製造者が設定した最大つぶし率以下となるように選定される。換言すると、Oリング固定部23よりも軸部品1の挿入方向前方での穴部品2の内径は、Oリング固定部23の内径以下であり、かつ軸部品1が貫通した状態で、Oリング3のつぶし率が最大つぶし率以下となる寸法である。一般的には、つぶし率は10%から30%の範囲が推奨値とされるが、この範囲は一例であり、本発明はこれに限定されない。最大つぶし率は、Oリング3の復元が保証されるつぶし率の上限値であり、Oリング3の製造者によって予め定められる。最大つぶし率を超えてOリング3を変形させると、Oリング3が破損したり、負荷を取り除いても元通りに復元しなくなったりして、Oリング3の隙間を封止する機能が損なわれる恐れがある。
【0015】
穴部品2の貫通側2bには、面取り面5,6が形成されている。穴部品2の軸部品1の挿入方向前方の開口の縁に形成された面取り面5の部分での穴部品2の開口径gは、無負荷状態でのOリング3の外径fよりも大きくなっている。
【0016】
軸部品1の先端部1aには、キー溝7及びDカット8が設けられているため、軸部品1の軸の側面にはエッジが存在している。また、軸部品1には、穴部品2の挿入側2aの径cよりも大径のフランジ9が設けられており、軸部品1は、フランジ9が穴部品2の挿入側2aに突き当たるところまでしか挿入できないようになっている。なお、軸部品1には、穴部品2の挿入側2bを通過できない形状をフランジ9の代わりに設けても良い。すなわち、軸部品1は、穴部品2への挿入方向を限定する形状を備えるが、フランジ状である必要はない。軸部品1は、フランジ9が形成されているため、穴部品2の挿入側2aから貫通側2bに向かって軸部品1を貫通させる向きでのみ穴部品2に挿入可能である。
【0017】
実施の形態1にかかる回転軸部品50の組立手順について説明する。図3は、実施の形態1にかかる回転軸部品の組立手順を示す図である。まず、図3(a)に示すように、穴部品2の挿入側2aに軸部品1を先端側から挿入し、貫通側2bから軸部品1を突出させる。なお、貫通後の軸部品1と穴部品2との間に隙間があり、軸部品1を回転させても穴部品2が一緒に回転しない場合は、セットスクリューのような締結部品を用いて穴部品2を軸部品1に固定し、穴部品2が軸部品1と一緒に回転するようにする。次に、図3(b)に示すように、軸部品1に先端側からOリング3を被せ、キー溝7及びDカット8を通過させる。この際には、Oリング3は、穴部品2によって軸部品1に押しつけられている状態ではないため、キー溝7及びDカット8を通過させてもOリング3に傷が付きにくい。その後、キー溝7及びDカット8を通過したOリング3を、穴部品2と接触させる。次に、図3(c)に示すように、軸部品1に治具60を被せてOリング3を挿入側2aの方へ押し込み、穴部品2の貫通側2bを通過させる。治具60の先端部61は、軸部品1と穴部品2の貫通側2bの隙間(d−b)/2よりも薄肉の円筒状であるため、軸部品1と穴部品2の貫通側2bとの隙間に差し込むことができる。貫通側2bでの穴部品2の開口径gは、Oリング3の外径fよりも大きいため、貫通側2bと軸部品1との間にOリング3を押し込む際にOリング3に傷が付きにくい。また、穴部品2の貫通側2bを通過する際のつぶし率は、Oリング3の製造者が設定する最大つぶし率以下であるため、穴部品2の貫通側2bを通過する際にOリング3が破損することはない。図3(d)に示すように、治具60で押し込んだOリング3が溝4に配置されることにより、回転軸部品50の組立が完了する。
【0018】
図4は、実施の形態1にかかる回転軸部品を適用した軸封装置の構成を示す図である。軸部品1と穴部品2との間をOリング3で封止する軸封構造を有する軸封装置70において、軸部品1はモータ71の軸である。穴部品2の外周面21には、モータ71側に潤滑油が浸入することを防止するオイルシール40のリップ41が接しており気密性が保たれている。穴部品2の外周はオイルシール40のリップ41の摺動面である。また、穴部品2の内筒面22は、Oリング3が設置されているため、気密性が保たれている。したがって、減速機72の潤滑油がモータ71側に浸入することを防止できる。Oリング3は、潤滑油により軸部品1の挿入方向後方に付勢され、位置決め部24に押し当てられるため、潤滑油の圧力でOリング3がOリング固定部23から脱落することはない。
【0019】
穴部品の溝にOリングを嵌めてから軸部品を通す特許文献1のような従来構造は、Oリングに傷が付く可能性があるため、潤滑油を使用する減速機のような装置には適用できない。したがって、穴部品の外周側及び内周側には、コーキング材を塗布して気密性を持たせる必要があり、軸封装置の組立作業に時間を要する原因となっていた。実施の形態1にかかる回転軸部品50は、穴部品2に軸部品1を貫通させてからOリング3を配置できるため、Oリング3が破損する恐れがない。したがって、実施の形態1にかかる回転軸部品50を適用した軸封装置70は、潤滑油を使用する装置にも適用することができる。
【0020】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2にかかる回転軸部品の概略構成を示す図である。実施の形態2にかかる回転軸部品の軸部品10は、フランジ9よりも先端側に大径部10bが形成されている。一方、穴部品13は、挿入側13aの径が、大径部10bの直径に対して隙間嵌め程度となる寸法になっている。
【0021】
溝16は、軸部品10が貫通した状態において、Oリング3のつぶし率が設定範囲内となる内径を有するOリング固定部161と、Oリング3がOリング固定部161を形成する溝16よりも軸部品10の挿入方向後方へ移動することを規制する第1の位置決め部162とを穴部品13の内筒面131に形成している。大径部10bは、軸部品10が穴部品13を貫通した状態において、Oリング3がOリング固定部161よりも軸部品10の挿入方向後方へ移動することを規制する第2の位置決め部101を形成している。
【0022】
実施の形態2にかかる回転軸部品は、Oリング3が配置される溝16の挿入側13aの壁が、軸部品10と穴部品13とを組み合わせることによって形成される点で、実施の形態1の回転軸部品とは構造が異なるが、軸部品10と穴部品13との隙間を気密封止できる。実施の形態2にかかる回転軸部品の穴部品13は、溝16の深さが実施の形態1の穴部品2の溝4よりも浅いため、穴部品2よりも加工が容易である。
【0023】
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3にかかる回転軸部品の概略構成を示す図である。実施の形態3にかかる回転軸部品の穴部品14は、軸部品11が貫通した状態において、Oリング3のつぶし率が設定範囲内となる内径を有するOリング固定部141が形成された内筒面142を有する。穴部品14は、挿入側14aの径がOリング固定部141と同じである。また、軸部品11は、フランジ9よりも先端側に大径部11bを備えている。大径部11bは、穴部品14の内径に対して隙間嵌めとなる程度の寸法である。大径部11bは、穴部品14に軸部品11を貫通させた状態において、Oリング3がOリング固定部141よりも軸部品11の挿入方向後方へ移動することを規制する位置決め部112を形成する。
【0024】
実施の形態3にかかる回転軸部品は、穴部品14の内筒面に溝加工を施す必要がない。このため、穴部品14は、内筒面に溝加工を施す実施の形態1,2の穴部品2,13と比較して加工が容易である。
【0025】
図7は、実施の形態3にかかる回転軸部品の変形構成を示す図である。実施の形態3の変形構成では、穴部品15の挿入側15aの径は貫通側15bの径よりも大きくなっている。穴部品15は、軸部品12が貫通した状態において、Oリング3のつぶし率が設定範囲内となる内径を有するOリング固定部151が形成された内筒面152を有する。穴部品15は、挿入側15aの径がOリング固定部151よりも大径である。Oリング固定部151よりも軸部品12の挿入方向前方での穴部品15の内径は、軸部品12が貫通した状態で、Oリング3のつぶし率が最大つぶし率以下となる寸法である。また、軸部品12は穴部品15の挿入側15aに対して隙間嵌めとなる程度の寸法のフランジ19が設けられている。フランジ19は、穴部品15に軸部品12を貫通させた状態において、Oリング3がOリング固定部151よりも軸部品12の挿入方向後方へ移動することを規制する位置決め部122を形成する。
【0026】
実施の形態3の変形構成においても、穴部品15の内筒面に溝加工を施す必要がない。このため、穴部品15は、内筒面に溝加工を施す実施の形態1,2の穴部品2,13と比較して加工が容易である。
【0027】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0028】
1,10,11,12 軸部品、2,13,14,15 穴部品、2a,13a,14a,15a 挿入側、2b,13b,14b,15b 貫通側、3 Oリング、4,16 溝、5,6 面取り面、7 キー溝、8 Dカット、9,19 フランジ、10b,11b 大径部、21 外周面、22,131,142,152 内筒面、23,141,151,161 Oリング固定部、24,112,122 位置決め部、40 オイルシール、41 リップ、50 回転軸部品、60 治具、61 先端部、70 軸封装置、71 モータ、101 第2の位置決め部、162 第1の位置決め部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7