(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による乗客コンベアの歩行防止装置および乗客コンベアを、好適な実施の形態にしたがって図面を用いて説明する。なお、図面の説明においては、同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、各実施の形態では、乗客コンベアの一例であるエスカレータに本願発明を適用した場合を例示する。
【0014】
はじめに、乗客がエスカレータの踏段上を歩行する状況の一例について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、従来において、乗客3がエスカレータ1の踏段2上を歩行する状況の一例を示す説明図である。なお、
図5は、エスカレータ1を上から見たときの平面図に相当する。
【0015】
図5において、エスカレータ1が設置される地域によって、各踏段2の踏板の一側に乗客3が乗り、踏板の他側を空けておく習慣がある。なお、
図5では、各踏段2の踏板の左側に乗客3が乗り、踏板の右側を空けている場合を例示している。この場合、
図5に示すように、各踏段2の踏板の他側には歩行スペースが存在するので、乗客3が踏板上を矢印方向に歩行する状況が発生しやすくなる。
【0016】
そこで、本願発明では、踏板を有する乗客コンベアへの乗客の乗り位置を適切に誘導することでこのような歩行スペースをなくすことによって、踏板上での乗客の歩行を防止する乗客コンベアの歩行防止装置を提供する。
【0017】
実施の形態1.
次に、本実施の形態1における乗客コンベアの歩行防止装置4について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における乗客コンベアの歩行防止装置4を示す構成図である。なお、
図1では、乗客コンベアの歩行防止装置4が適用される乗客コンベアの一例として、エスカレータ1も併せて図示している。また、
図1は、エスカレータ1と、エスカレータ1の乗り口に設置された乗客コンベアの歩行防止装置4とを上から見たときの平面図に相当する。
【0018】
図1において、エスカレータ1における各踏段2の踏板の幅は、2人以上の乗客3が幅方向に並んで乗ることが可能な長さである。乗客コンベアの歩行防止装置4(以下、歩行防止装置4と略す)は、第1のゲート部5と、第2のゲート部6と、第1の乗客検出センサ11と、第2の乗客検出センサ12と、第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれの動作状態を制御する制御部(図示せず)とを備える。
【0019】
第1のゲート部5は、エスカレータ1の乗り口の幅方向一側に設けられ、第2のゲート部6は、その乗り口の幅方向他側に設けられている。なお、
図1では、第1のゲート部5が乗り口の左側に設けられ、第2のゲート部6が乗り口の右側に設けられている場合を例示している。
【0020】
第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれは、動作状態が開状態であるときには乗客3を通過させ、動作状態が閉状態であるときには乗客3を通過させないようにする。そのため、第1のゲート部5および第2のゲート部6の少なくとも一方が開状態でないと、乗客3は、乗り口からエスカレータ1に乗り込むことができない。
【0021】
第1のゲート部5は、第1の支柱7と、第1の支柱7に回動可能に支持されている第1の開閉扉8とを有する。第1の開閉扉8は、制御部からの制御信号に従って開閉動作を行う。
【0022】
第1の開閉扉8は、制御部によって閉状態に制御される場合、
図1に示すように、乗り口の幅方向と平行に位置する。この場合、第1のゲート部5が閉状態となるので、乗客3は、第1のゲート部5を通過することができない。
【0023】
一方、第1の開閉扉8は、制御部によって開状態に制御される場合、第1の支柱7側に回動し、乗り口の幅方向と垂直に位置する。この場合、第1のゲート部5が開状態となるので、乗客3は、第1のゲート部5を通過することができる。
【0024】
第2のゲート部6は、第1のゲート部5と同様の構成であり、第2の支柱9と、第2の支柱9に回動可能に支持されている第2の開閉扉10とを有する。第2の開閉扉10は、制御部からの制御信号に従って開閉動作を行う。
【0025】
第2の開閉扉10は、制御部によって閉状態に制御される場合、
図1に示すように、乗り口の幅方向と平行に位置する。この場合、第2のゲート部6が閉状態となるので、乗客3は、第2のゲート部6を通過することができない。
【0026】
一方、第2の開閉扉10は、制御部によって開状態に制御される場合、第2の支柱9側に回動し、乗り口の幅方向と垂直に位置する。この場合、第2のゲート部6が開状態となるので、乗客3は、第2のゲート部6を通過することができる。
【0027】
なお、第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれの構成例として、支柱および開閉扉を用いて構成する場合を例示したが、これは一例に過ぎない。すなわち、動作状態が開状態であるときには乗客3を通過させ、動作状態が閉状態であるときには乗客3を通過させないようにすることが可能であれば、第1のゲート部5および第2のゲート部6は、上記の構成例に限定されず、どのような構成であってもよい。
【0028】
第1の乗客検出センサ11は、物体を検出する検出範囲11aが第1のゲート部5の前方に位置するように第1の支柱7に取り付けられている。このように構成することで、第1の乗客検出センサ11は、第1のゲート部5の前方に存在する乗客3を検出可能となる。また、第1の乗客検出センサ11は、検出結果を制御部に出力する。
【0029】
第2の乗客検出センサ12は、物体を検出する検出範囲12aが第2のゲート部6の前方に位置するように第2の支柱9に取り付けられている。このように構成することで、第2の乗客検出センサ12は、第2のゲート部6の前方に存在する乗客3を検出可能となる。また、第2の乗客検出センサ12は、検出結果を制御部に出力する。
【0030】
なお、第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれの前方に存在する乗客を検出する乗客検出部の構成例として、第1の乗客検出センサ11および第2の乗客検出センサ12を用いて構成する場合を例示したが、これは一例に過ぎない。すなわち、第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれの前方に存在する乗客を検出することができれば、乗客検出部は、上記の構成例に限定されず、どのような構成であってもよい。
【0031】
制御部は、例えば、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUと、システムLSI等の処理回路とによって実現される。なお、制御部は、エスカレータ1の駆動を制御する制御盤内に設けてもよいし、制御盤とは別に設けてもよい。
【0032】
また、制御部は、第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれの動作状態を統括制御する制御モードとして、第1の制御モード、第2の制御モード、第3の制御モードおよび第4の制御モードを有する。
【0033】
まず、第1の制御モードおよび第2の制御モードについて説明する。第1の制御モードは、第1のゲート部5を開状態とし、かつ第2のゲート部6を閉状態とするものである。制御部は、第1の制御モードを実行することで、第1のゲート部5を開状態とし、かつ第2のゲート部6を閉状態とする。
【0034】
この場合、乗客3は、閉状態である第2のゲート部6を通過することができないので、第2のゲート部6ではなく、開状態である第1のゲート部5を通過してエスカレータ1の踏段2に乗ろうとする。そのため、乗客3は、踏段2における踏板において、第1のゲート部5側に位置しやすくなる。このように、制御部は、第1の制御モードを実行することで、乗り口の幅方向一側から踏段2における踏板の幅方向一側へ乗客3が乗り込むように誘導する。
【0035】
第2の制御モードは、第1のゲート部5を閉状態とし、かつ第2のゲート部6を開状態とするものである。制御部は、第2の制御モードを実行することで、第1のゲート部5を閉状態とし、かつ第2のゲート部6を開状態とする。
【0036】
この場合、乗客3は、閉状態である第1のゲート部5を通過することができないので、第1のゲート部5ではなく、開状態である第2のゲート部6を通過してエスカレータ1の踏段2に乗ろうとする。そのため、乗客3は、踏段2の踏板において、第2のゲート部6側に位置しやすくなる。このように、制御部は、第2の制御モードを実行することで、乗り口の幅方向他側から踏段2における踏板の幅方向他側へ乗客3が乗り込むように誘導する。
【0037】
また、制御部は、第1の制御モードと、第2の制御モードとを交互に切り替え実行する。この場合、第1のゲート部5および第2のゲート部6は、交互に開状態となるので、
図1に示すように、各踏段2において、踏板の幅方向一側と幅方向他側の交互に乗客3が位置するように、乗客3の乗り位置を誘導することができる。
【0038】
このように、乗客3の乗り位置が、各踏段2において、踏板の幅方向一側と幅方向他側の交互となるように乗客3を誘導することで、歩行スペースをなくすことができ、その結果、踏段上の歩行を防止することができる。換言すると、ある乗客3が踏段上を歩行しようとしても、前方に別の乗客3が存在するので、踏段上を歩行することができない。また、先の
図5とは異なり、各踏段2の踏板の片側に乗客3が偏って乗ることがないので、機械的な摩耗による片減りが発生するのを防ぐこともできる。
【0039】
続いて、第3の制御モードおよび第4の制御モードについて説明する。第3の制御モードは、第1のゲート部5および第2のゲート部6のいずれも開状態とするものである。制御部は、第3の制御モードを実行することで、第1のゲート部5および第2のゲート部6のいずれも開状態とする。この場合、乗客3は、第1のゲート部5および第2のゲート部6のいずれも通過することができる。
【0040】
第4の制御モードは、第1のゲート部5および第2のゲート部6のいずれも閉状態とするものである。制御部は、第4の制御モードを実行することで、第1のゲート部5および第2のゲート部6のいずれも閉状態とする。この場合、乗客3は、第1のゲート部5および第2のゲート部6のいずれも通過することができない。
【0041】
また、制御部は、第1の乗客検出センサ11および第2の乗客検出センサ12のそれぞれから入力された検出結果から、第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれの前方に乗客3が存在すると判断した場合、第3の制御モードと、第4の制御モードとを交互に切り替え実行する。この場合、第1のゲート部5および第2のゲート部6において、それぞれが同時に開状態となるときと、同時に閉状態となるときとが交互に現れる。
【0042】
したがって、第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれの前方に乗客3が存在する場合、すなわち、乗り口の幅方向に乗客3が並んでいる場合において、各踏段2の踏板の幅方向に並んで乗客3が位置するように、乗客3の乗り位置を誘導することができる。
【0043】
このように、乗客3の乗り位置が、各踏段2において、踏板の幅方向に並ぶように乗客3を誘導することで、歩行スペースをなくすことができ、その結果、踏段上の歩行を防止することができる。また、先の
図5とは異なり、各踏段2の踏板の片側に乗客3が偏って乗ることがないので、機械的な摩耗による片減りが発生するのを防ぐこともできる。
【0044】
なお、乗り口の幅方向に乗客3が並んでいる場合、一定時間、第1のゲート部5および第2のゲート部6のいずれも開状態としておくだけで、踏板の幅方向に並んで乗客3がエスカレータ1に乗ると考えられる。また、第1のゲート部5および第2のゲート部6において、それぞれが同時に開状態となるときと、同時に閉状態となるときとが交互に現れるようにすることで、エスカレータ1への乗り込み率が下がる可能性が考えられる。
【0045】
そこで、上記の考察を踏まえて、制御部は、第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれの前方に乗客3が存在すると判断した場合、第3の制御モードと第4の制御モードとを交互に切り替え実行するのではなく、第3の制御モードのみを実行するように構成されてもよい。
【0046】
このように構成された場合、乗り口の幅方向に乗客3が並んでいるとき、一定時間、第1のゲート部5および第2のゲート部6のいずれも開状態となるので、エスカレータ1への乗り込み率を下げることなく、歩行スペースをなくすことができる。
【0047】
次に、歩行防止装置4の動作について、
図2を参照しながらさらに説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における乗客コンベアの歩行防止装置4の一連の動作を示すフローチャートである。なお、
図2のフローチャートの処理は、例えば、あらかじめ設定されたタイミングで実行される。
【0048】
ステップS101において、制御部は、第1の乗客検出センサ11から入力された検出結果に基づいて、第1のゲート部5の前方に乗客3が存在するか否かを判断する。制御部は、第1の乗客検出センサ11が乗客3を検出した場合には、第1のゲート部5の前方に乗客3が存在すると判断し、ステップS102へと進む。一方、制御部は、第1の乗客検出センサ11が乗客3を検出していない場合には、第1のゲート部5の前方に乗客3が存在しないと判断し、ステップS104へと進む。
【0049】
ステップS102において、制御部は、第2の乗客検出センサ12から入力された検出結果に基づいて、第2のゲート部6の前方に乗客3が存在するか否かを判断する。制御部は、第2の乗客検出センサ12が乗客3を検出した場合には、第2のゲート部6の前方に乗客3が存在すると判断し、ステップS103へと進む。一方、制御部は、第2の乗客検出センサ12が乗客3を検出していない場合には、第2のゲート部6の前方に乗客3が存在しないと判断し、ステップS104へと進む。
【0050】
ステップS103において、制御部は、第3の制御モードと第4の制御モードとを交互に切り替え実行し、一連の処理を終了する。なお、第3の制御モードと第4の制御モードとを交互に切り替え実行する際において、切り替えタイミングおよび切り替え回数はあらかじめ設定しておけばよい。
【0051】
このように、第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれの前方に乗客3が存在する場合、すなわち、乗り口の幅方向に乗客3が並んでいる場合、第3の制御モードと第4の制御モードが交互に切り替え実行される。また、第3の制御モードと第4の制御モードが交互に切り替え実行されることで、第1のゲート部5および第2のゲート部6の両方が同時に開状態および閉状態に切り替えられ、その結果、乗り口の幅方向に並んでいる乗客3が踏板の左右に同時に乗るように誘導可能となる。
【0052】
なお、第3の制御モードと第4の制御モードとを交互に切り替え実行するのではなく、第3の制御モードのみを実行するように制御部を構成する場合、制御部は、ステップS103において、第3の制御モードを一定時間実行し、一連の処理を終了する。
【0053】
ステップS104において、制御部は、第1の制御モードと第2の制御モードとを交互に切り替え実行し、一連の処理を終了する。なお、第1の制御モードと第2の制御モードとを交互に切り替え実行する際において、切り替えタイミングおよび切り替え回数はあらかじめ設定しておけばよい。
【0054】
このように、第1のゲート部5および第2のゲート部6の少なくとも一方の前方に乗客3が存在しない場合、すなわち、乗り口の幅方向に乗客3が並んでいない場合、第1の制御モードと第2の制御モードが交互に切り替え実行される。また、第1の制御モードと第2の制御モードとが交互に切り替え実行されることで、第1のゲート部5および第2のゲート部6が交互に開状態に切り替えられ、その結果、乗客3が各踏段2の踏板の左右に交互に乗るように誘導可能となる。
【0055】
なお、制御部は、ステップS101、S102およびS103を省略し、ステップS104だけを実行するように構成してもよい。この場合、第1の乗客検出センサ11および第2の乗客検出センサ12を設ける必要はなく、制御部は、第1の制御モードと、第2の制御モードとを交互に切り替え実行することとなる。このように構成した場合であっても、乗客3の乗り位置が、踏板の幅方向一側と幅方向他側の交互となるように乗客3を誘導することができる。
【0056】
以上、本実施の形態1によれば、第1のゲート部を開状態とし、かつ第2のゲート部を閉状態とすることで、乗り口の幅方向一側から踏板の幅方向一側へ乗客が乗り込むように誘導する第1の制御モードと、第1のゲート部を閉状態とし、かつ第2のゲート部を開状態とすることで、乗り口の幅方向他側から踏板の幅方向他側へ乗客が乗り込むように誘導する第2の制御モードとを交互に切り替え実行する第1の構成を有する。
【0057】
これにより、乗客の乗り位置が、踏板の幅方向一側と幅方向他側の交互となるように乗客を誘導することができるので、従来と比べて、踏板上を乗客が歩行することを効果的に防止することができる。
【0058】
また、第1の構成に対して、乗客検出部による検出結果から、乗り口の幅方向に乗客が並んでいると判断した場合において、第1のゲート部および第2のゲート部のいずれも開状態とする第3の制御モードを実行する第2の構成をさらに有する。また、第1の構成に対して、乗客検出部による検出結果から、乗り口の幅方向に乗客が並んでいると判断した場合において、第1のゲート部および第2のゲート部のいずれも開状態とする第3の制御モードと、第1のゲート部および第2のゲート部のいずれも閉状態とする第4の制御モードとを交互に切り替え実行する第3の構成をさらに有する。
【0059】
このように、第1の構成に対して、第2の構成または第3の構成をさらに有するようにすることで、上記と同様の効果が得られる。また、第2の構成を採用する方が、第3の構成を採用するのと比べて、乗り口の幅方向に乗客が並んでいる場合であっても、乗客コンベアへの乗り込み率を下げないようにすることができる。
【0060】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2では、先の実施の形態1の構成に対して、乗客検出部の代わりに、検出範囲に存在する乗客の数を検出する乗客数検出部を備えた歩行防止装置4について説明する。なお、本実施の形態2では、先の実施の形態1と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0061】
図3は、本発明の実施の形態2における乗客コンベアの歩行防止装置4を示す構成図である。なお、
図3は、先の
図1と同様に、エスカレータ1と、エスカレータ1の乗り口に設置された歩行防止装置4とを上から見たときの平面図に相当する。
【0062】
図3において、歩行防止装置4は、第1のゲート部5と、第2のゲート部6と、カメラ13と、制御部(図示せず)とを備える。なお、第1のゲート部5および第2のゲート部6のそれぞれは、先の実施の形態1と同様の構成である。
【0063】
カメラ13は、物体を検出する検出範囲13aが第1のゲート部5および第2のゲート部6の前方に位置するように設けられている。このように構成することで、カメラ13は、検出範囲13aに存在する乗客3を撮影可能となる。また、カメラ13は、撮影結果を制御部に出力する。
【0064】
制御部は、カメラ13の撮影結果から、検出範囲13aに存在する乗客3の人数をカウントすることで、第1のゲート部5および第2のゲート部6の前方に存在する乗客の数を検出する。なお、カメラ13の撮影結果から、検出範囲13aに存在する乗客3の人数を検出する技術は、従来技術であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0065】
なお、第1のゲート部5および第2のゲート部6の前方に存在する乗客の数を検出する乗客数検出部の構成例として、カメラ13を用いて構成する場合を例示したが、これは一例に過ぎない。すなわち、第1のゲート部5および第2のゲート部6の前方に存在する乗客の数を検出することができれば、乗客数検出部は、上記の構成例に限定されず、どのような構成であってもよい。
【0066】
制御部は、検出した乗客数が設定値未満である場合、第1の制御モードと第2の制御モードとを交互に切り替え実行する。一方、制御部は、検出した乗客数が設定値以上である場合、第1のゲート部5および第2のゲート部6の前方が混雑していると判断し、第3の制御モードと第4の制御モードとを交互に切り替え実行する。なお、設定値については、例えば、あらかじめ設定しておけばよい。
【0067】
このように、第1のゲート部5および第2のゲート部6の前方に存在する乗客の数に応じて、各制御モードを切り替え実行するように構成しても、先の実施の形態1と同様に効果が得られる。
【0068】
以上、本実施の形態2によれば、先の実施の形態1の構成に対して、第1のゲート部5および第2のゲート部6の前方に存在する乗客の数に応じて、各制御モードを切り替え実行するように構成する。これにより、先の実施の形態1と同様に効果が得られる。
【0069】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3では、先の実施の形態1の構成に対して、乗客が踏板上を歩行しているか否かを判断する乗客監視部をさらに備えた歩行防止装置4について説明する。なお、本実施の形態3では、先の実施の形態1と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0070】
図4は、本発明の実施の形態3における乗客コンベアの歩行防止装置4を示す構成図である。なお、
図4は、先の
図1と同様に、エスカレータ1と、エスカレータ1の乗り口に設置された歩行防止装置4とを上から見たときの平面図に相当する。
【0071】
図4において、歩行防止装置4は、第1のゲート部5と、第2のゲート部6と、第1の乗客検出センサ11と、第2の乗客検出センサ12と、第3の乗客検出センサ14と、第4の乗客検出センサ15と、第1のスピーカ16と、第2のスピーカ17とを備える。なお、第1のゲート部5、第2のゲート部6、第1の乗客検出センサ11、および第2の乗客検出センサ12のそれぞれは、先の実施の形態1と同様の構成である。
【0072】
第3の乗客検出センサ14は、検出範囲14aが踏板の幅方向他側に位置するように設けられ、第4の乗客検出センサ15は、検出範囲15aが踏板の幅方向他側に位置するように設けられている。また、第3の乗客検出センサ14および第4の乗客検出センサ15は、互いに間隔を設けて、エスカレータ1に取り付けられている。このように構成することで、第3の乗客検出センサ14および第4の乗客検出センサ15のそれぞれは、踏板の幅方向他側に乗っている乗客3を検出する。また、第3の乗客検出センサ14および第4の乗客検出センサ15のそれぞれは、検出結果を制御部に出力する。
【0073】
制御部は、第3の乗客検出センサ14および第4の乗客検出センサ15の検出結果から、乗客3が踏板上を歩行しているか否かを判断する。なお、乗客コンベアの乗客を検出するセンサを用いて乗客3が踏板上を歩行しているか否かを判断する技術は、特許文献1および特許文献2に開示されているとおり、従来技術であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0074】
なお、乗客が踏板上を歩行しているか否かを判断する乗客監視部の構成例として、第3の乗客検出センサ14および第4の乗客検出センサ15を用いて構成する場合を例示したが、これは一例に過ぎない。すなわち、乗客が踏板上を歩行しているか否かを判断することができれば、乗客監視部は、上記の構成例に限定されず、どのような構成であってもよい。
【0075】
制御部は、乗客監視部によって乗客3が踏段2の踏板上を歩行していると判断された場合、歩行をやめるように乗客3に対して注意喚起する。具体的には、例えば、制御部は、乗り口に設けられた第1のスピーカ16と、降り口に設けられた第2のスピーカ17との少なくとも一方を介して、音声アナウンスを出力する、または警告音を鳴動することによって、歩行をやめるように乗客3に対して注意喚起する。
【0076】
ここで、乗客3が最初にエスカレータ1に乗り込む場合、またはある乗客3がエスカレータ1に乗り込んでから次の乗客3がエスカレータ1に乗り込むまでの時間差が大きい場合、歩行スペースが存在するので、乗客3が歩行する可能性がある。これに対して、乗客監視部をさらに備えた歩行防止装置4を構成することで、乗客3が歩行する可能性にも対応することができる。
【0077】
なお、乗客監視部によって乗客3が踏段2の踏板上を歩行していると判断された場合、乗客3の乗り位置を適切に誘導することができておらず、歩行スペースが存在していると考えられる。そこで、制御部は、乗客検出部による検出結果から、乗り口の幅方向に乗客が並んでいると判断した場合であっても、第1の制御モードと、第2の制御モードとを交互に切り替え実行するように構成されていてもよい。
【0078】
また、第3の乗客検出センサ14および第4の乗客検出センサ15の一方の検出範囲が踏板の幅方向一側に位置し、他方の検出範囲が踏板の幅方向他側に位置するように、これらを設けることで、実際のエスカレータ1での乗客3の乗り位置を監視するように構成してもよい。この場合、制御部は、監視結果から、乗客3の乗り位置を適切に誘導することができておらず、歩行スペースが存在していると判断したとき、第1の制御モードと、第2の制御モードとを交互に切り替え実行するように構成される。
【0079】
以上、本実施の形態3によれば、先の実施の形態1の構成に対して、乗客が踏板上を歩行しているか否かを判断する乗客監視部をさらに備え、制御部は、乗客監視部によって乗客が踏板上を歩行していると判断された場合、歩行をやめるように乗客に対して注意喚起する構成をさらに有する。これにより、先の実施の形態1に対して、踏板上を乗客が歩行することをより効果的に防止することができる。
【0080】
なお、本実施の形態3における歩行防止装置4では、先の実施の形態1の構成に対して、乗客監視部をさらに備えて構成した場合を説明したが、先の実施の形態2の構成に対して、乗客監視部をさらに備えて構成した場合であっても同様の効果が得られる。
【0081】
なお、本実施の形態1〜3では、エスカレータに本願発明を適用した場合を例示したが、踏板を有する動く歩道等の乗客コンベアに対しても本願発明を適用することができる。