特許第6429812号(P6429812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6429812高い光線透過率を具有する断熱織物とその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429812
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】高い光線透過率を具有する断熱織物とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/00 20060101AFI20181119BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20181119BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20181119BHJP
   D02G 3/06 20060101ALI20181119BHJP
   F16L 59/04 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   D03D15/00 A
   D03D1/00 Z
   B32B7/02 103
   B32B7/02 105
   D02G3/06
   F16L59/04
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-15980(P2016-15980)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-82371(P2017-82371A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年1月29日
(31)【優先権主張番号】104135416
(32)【優先日】2015年10月28日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】596076975
【氏名又は名称】ズーホォースウイェークウフェンヨウシェンコンスー
(74)【代理人】
【識別番号】100111442
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 英一
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ツァンフー
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−055002(JP,A)
【文献】 特開昭62−236735(JP,A)
【文献】 台湾特許第I417192号公報,TW,2013年12月 1日,第1174頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 1/00−27/18
D02G 1/00− 3/48
D02J 1/00−13/00
B32B 1/00−43/00
F16L 59/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料準備ステップ及び編織ステップを含み、
(a)材料準備ステップ:少なくとも一つの可視光線透過率が50%より大きい断熱膜を選び、赤外線遮蔽及び紫外線遮蔽の二つの効果の少なくとも一つを具有し、且つ該断熱膜を断熱膜糸に加工し、
(b)編織ステップ:複数本の縦糸及び複数本の横糸の少なくとも一つは、前記断熱膜糸を撚り込んで複数種からなる撚糸を作り、この撚糸により縦横の編織作業を行い一つの断熱織物を形成し、該断熱織物が光線透過率を具有することを特徴とする断熱織物の製造方法。
【請求項2】
前記断熱膜糸は、前記断熱膜を長さ35mm〜45mm、細さ1.5d〜2dの長さが異なる繊維に加工し撚糸して断熱膜糸を作ることを特徴とする請求項1記載の断熱織物の製造方法。
【請求項3】
材料準備ステップ及び編織ステップを含み、
(a)材料準備ステップ:少なくとも一つの可視光線透過率が50%より大きい断熱膜を選び、且つ該断熱膜を細糸に加工し、
(b)編織ステップ:複数本の縦糸及び複数本の横糸の一部を、該断熱膜細糸と交換して縦横の編織作業を行うことで、一つの断熱織物に形成し、
該断熱織物が光線透過率を具有することを特徴とする断熱織物の製造方法。
物に形成することを特徴とする高い光線透過率を具有する断熱織物とその製造方法。
【請求項4】
前記断熱膜細糸の幅は、0.1mm〜10mmの間にあることを特徴とする請求項3記載の高い光線透過率を具有する断熱織物とその製造方法。
【請求項5】
前記断熱膜の外表面に一つの耐スクラッチ性磨耗層を具有することを特徴とする請求項1〜請求項4記載の如何なる一つの項目にて述べる高い光線透過率を具有する断熱織物とその製造方法。
【請求項6】
前記断熱膜は一つの基層ユニットを含み、該基層ユニットは20〜200層の少なくとも二つの異なる材料で形成する第一基層膜及び第二基層膜を複合してできるものであり、該基層ユニットは一つの第一表面及び一つの第二表面を具有し、該第一表面及び第二表面の少なくとも一つの表面上に赤外線遮蔽層を設けることを特徴とする請求項1〜請求項5記載の如何なる一つの項目にて述べる高い光線透過率を具有する断熱織物とその製造方法。
【請求項7】
前記断熱膜の赤外線遮蔽率及び紫外線遮蔽率の少なくとも一つは、80%より大きいことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の断熱織物の製造方法。
【請求項8】
複数本の縦糸と複数本の横糸を具有して編織して形成する織物は、該複数本の縦糸及び複数本の横糸の少なくとも一つは、可視光線透過率が50%より大きく赤外線遮蔽及び紫外線遮蔽の二つの効果の少なくとも一つを具有した断熱膜を撚り込んで複数種からなる撚糸を形成し、該形成した断熱膜糸で断熱織物として光線透過率を具有することを特徴とする断熱織物。
【請求項9】
前記断熱膜糸は、断熱膜を長さ35mm〜45mm、細さ1.5d〜2dの長さが異なる繊維に加工した、撚糸して断熱膜糸を作り、該形成した断熱膜糸で断熱織物として光線透過率を具有することを特徴とする請求項8記載の断熱織物。
【請求項10】
複数本の縦糸及び複数本の横糸で編織して形成する一つの織物は、該複数本の縦糸及び複数本の横糸の一部を、可視光線透過率が50%より大きく赤外線遮蔽及び紫外線遮蔽の二つの効果の少なくとも一つを具有した断熱細糸に交換し、該断熱細糸で断熱織物として光線透過率を具有することを特徴とする断熱織物。
【請求項11】
前記断熱膜細糸の幅は、0.1mm〜10mmの間にあることを特徴とする請求項10記載の高い光線透過率を具有する断熱織物。
【請求項12】
前記断熱膜の外表面に別途一つの耐スクラッチ栓磨耗層を具有することを特徴とする請求項8〜請求項11記載の如何なる一つの項目にて述べる高い光線透過率を具有する断熱織物。
【請求項13】
前記断熱膜は一つの基層ユニットを含み、該基層ユニットは20〜200層の少なくとも二つの異なる材料で形成する第一基層膜及び第二基層膜を複合してできるものであり、該基層ユニットは一つの第一表面及び一つの第二表面を具有し、該第一表面及び第二表面の少なくとも一つの表面上に赤外線遮蔽層を設けることを特徴とする請求項8〜請求項12記載の如何なる一つの項目にて述べる高い光線透過率を具有する断熱織物。
【請求項14】
前記断熱膜の赤外線遮蔽率及び紫外線遮蔽率の少なくとも一つは、80%より大きいことを特徴とする請求項8〜請求項13記載の如何なる一つの項目にて述べる高い光線透過率を具有する断熱織物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は断熱と編織物の編織技術に関し、特に素晴らしい断熱効果を具有し、且つ可視光線に対して高い光線透過率を具有する断熱織物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経済が世界的に加速している中、紡績業界は大きな競争と方向転換のプレッシャーに直面しているため、絶えず伝統的な紡績技術を引き上げて統合すると共に、付加価値のある新しい製品開発を行うことで、業界での競争力を高める必要がある。近年、人々は紡績用品の外観の美しさを求めるほか、異なる環境のニーズに応じ、更に様々な快適さとプロテクト機能を要求している。このような趨勢の中で、多機能性を具有する編織物はもはや、紡績業界にて開発される人気製品となっている。
【0003】
従来技術の中で、編織物に赤外線、紫外線を遮蔽する機能を具有するために、よく見かけるのは、様々な光線遮蔽添加物を高重合体の中に入れ、更に該重合体を繊維に作ってからその繊維を使って編織物を作成する(台湾特許公告第I418676号公報、台湾特許公告第I445684号公報、中国特許公開第103668512号公報、台湾特許公告第448254号公報、中国特許公開第104195709号公報)。或いは光線を遮蔽する繊維(台湾特許公告第I425129号公報)及び光反射フィルム(台湾特許公告第424811号公報)と合わせて編むことで、断熱効果を得る。しかし、添加物を高分子に入れると、凝集作用により分散が悪く、更に赤外線、紫外線を遮蔽する効果にも影響する。また、異なる添加物を一緒に高分子に入れるのは不適切であるため、この方法によって作成される繊維や編織物は、達成したい赤外線遮蔽及び紫外線遮蔽の数値が制限されてしまう。更に上述の光反射フィルムと合わせて編織して作る編織物は、使用する光反射フィルムは適切な厚みのあるポリエステル(polyester,略してPET)フィルムを具有するため、該PETフィルムの表面に、例えばニッケル、銀、アルミニウム、クロムなどの金属の薄い層を覆い、或いは無機染料を含む一層の染色の薄い層を増やす。それは赤外線、紫外線を遮蔽する素晴らしい効果を具有するが、同時に可視光線をも完全に遮断するため、光線透過率が大きく制限されてしまう。同じく、光反射繊維と一緒に作成する編織物も、理想的ではない部分がある。
【0004】
一般的に市販されている断熱フィルムは、断熱、省エネ効果に達するために、断熱フィルムを建築物のガラスや車窓など、ガラス或いは透明且つ堅い材料に固定する必要がある。当該構造、材料の特性により、断熱フィルム上に図案を描くことができず、セレクトできる色をも制限されてしまう。また、断熱フィルムを一旦ガラスの上に貼り付けると、随意に外すことができないため、断熱の必要がない場合では(例えば冬の比較的寒く、太陽の照射が必要なとき)、逆に該断熱フィルムによって太陽光が遮られてしまい、使用上理想的ではないことを鑑みて、更なる改善が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許公告第I418676号公報
【特許文献2】台湾特許公告第I445684号公報
【特許文献3】中国特許公開第103668512号公報
【特許文献4】台湾特許公告第448254号公報
【特許文献5】中国特許公開第104195709号公報
【特許文献6】台湾特許公告第I425129号公報
【特許文献7】台湾特許公告第424811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、可視光線エリアにて高い光線透過率を具有する断熱織物とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を解決するために、本発明は高い光線透過率を具有する断熱織物とその製造方法を提供するものである。その編織方は下記のステップを含む。
【0008】
a)材料準備ステップ:少なくとも一つの省エネの断熱膜を選び、且つ該複数の断熱膜を断熱膜細糸に裁断し、断熱膜は最良の赤外線遮蔽率(80%より大きい)及び/或いは紫外線遮蔽率(80%より大きい)を具有し、且つ可視光線透過率が50%より大きい。
【0009】
b)編織ステップ:複数本の縦糸或いは/及び複数本の横糸を選んで編み、編織装置と合わせて上述の断熱膜細糸と共に縦横糸の編織作業を行い、本発明の断熱織物を形成することができる。
【0010】
本発明は上述のステップに基づくと、一種の断熱及び高い光線透過率を具有する織物を提供することができる。選択した少なくとも一つの省エネの断熱膜細糸を使って、複数本の縦糸及び/或いは複数本の横糸で編織して成型すると、断熱効果及び可視光線透過効果を具有する断熱織物を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の断熱織物は高い断熱効果のある断熱膜を細糸に加工し、更に編織装置を使って、細糸を他の糸と編織して断熱織物を作成する。異なる断熱膜糸の結合方法により、断熱織物の可視光線透過率と断熱効果に影響を与えることができ、それにより高い光線透過率を具有する素晴らしい断熱織物を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一種の最良断熱織物の構造形態略図である。
図2】本考案の図1で示す実施例の製造方法のフローチャートである。
図3-1】本発明の図1で示す断熱織物を、図2で示す流れに基づき対応する織物構造略図である。
図3-2】本発明の図1で示す断熱織物を、図2で示す流れに基づき対応する織物構造略図である。
図4】本発明で運用する断熱フィルムの実行可能実施例の構造略図である。
図5-1】本発明の第二種の最良断熱織物の構造形態略図である。
図5-2】本発明の第三種の最良断熱織物の構造形態略図である。
図6】本発明の図5―1及び図5―2で示す実施例の製造フローチャート図である。
図7】本発明の第四種の最良断熱織物の構造形態略図である。
図8】本発明の第五種の最良断熱織物の構造形態略図である。
図9】本発明の第六種の最良断熱織物の構造形態略図である。
図10】本発明の断熱織物の実行可能実施例と従来の織物の比較例の特性比較表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【実施例1】
【0014】
図1に示すのは、本発明が可視光線に対して、高い光線透過率を具有する断熱織物1の構造略図である。図2及び図3(即ち図3―1と図3―2)に示すのは、上述の断熱織物1の製造方法フローチャート図及び、該フローチャート図に対応する織物構造略図である。その中で示す製造方法は下記のステップを含む。
【0015】
ステップS10:材料準備ステップ(図3−1を参照):少なくとも一つの断熱膜11を選び、該断熱膜11のベストは、80%より大きい赤外線の遮蔽率及び/或いは80%より大きい紫外線の遮蔽率、及び/或いは50%より大きい可視光線透過率を具有する。例えば本発明申請者が以前に案出した台湾公知の特許申請案第I417192号の「多層断熱膜シート」の断熱膜11(図4に示す通り)は、該断熱膜11を利用し、含まれるのは一つの基層ユニット111であり、それは合計20〜200層で成り立つ第一基層膜1111及び第一基層膜1111と材料が異なる第二基層膜1112の複合で構成している。前記第一基層膜1111及び第二基層膜1112を複合した後の厚みは、尚も可視光線の波長範囲内である。且つ該基層ユニット111は一つの第一表面1113及び間隔を開けた一つの第二表面1114を具有する。また、該第一基本膜1111はアクリル樹脂であり、第二基層膜1112はポリブチレンテレフタラート或いは該共重合体である。更に一つの赤外線遮蔽層112と基層ユニット111と結合し、赤外線を遮蔽するナノ級の塗料を含む、例えばアンチモンスズ酸化物及びインジウムスズ酸化物の樹脂を含む。一つの紫外線遮蔽層114はまた基層ユニット111と結合し、該赤外線遮蔽層112及び該紫外線遮蔽層114はそれぞれ該基層ユニット111の第一表面1113及び第二表面1114上に結合し、紫外線遮蔽剤を含むのは、例えばベンゾトリアゾールの樹脂がある。一つの耐スクラッチ性磨耗層113は赤外線遮蔽層112或いは紫外線遮蔽層114を選んで固定して粘着することができる。それには耐スクラッチ性磨耗剤を含み、該耐スクラッチ性磨耗剤は六ホウ化ランタンを含む樹脂とすることができる。該断熱膜11はダブルビームUV/VIS/NIR分光光度計(PerkinElmer LAMBDA 750)を使ってテストを行い、可視光線透過率が70%、赤外線遮蔽率が90%、紫外線遮蔽率が90%である。
【0016】
断熱膜11をまず幅125mmのフィルムロールに裁断してローラーカッターに送り、長さ35mm〜45mm、細さ1.5d〜2dの長さが異なる繊維に加工してから、撚糸過程(撚り係数10)を経て、繊維を英式綿番手15/1(以下、英式綿番手を単に「番手」とする。)の断熱膜糸110に作る。
【0017】
ステップS11:編織ステップ:複数本の縦糸12及び/或いは複数本の横糸13を取って編織し、該断熱膜糸110と合わせて編織装置で縦横糸の編織作業を行う際、上述の断熱膜糸110をそれぞれ該複数本の縦糸12及び/或いは該複数本の横糸13の中に撚り込んで複数種からなる撚糸を作り、この撚糸により打ち込み本数が42×42の断熱織物1に仕上がる。その中のステップS11まで来た場合、該断熱織物1は該複数本の縦糸12及び/或いは複数本の横糸13を織物或いは編み物の如何なる一つの織り方で編織する(図面では織物で表す)。このように、仮に該断熱織物1にテストを行い、当該可視光線透過率が54%、赤外線遮断率が74%、紫外線遮断率が86%である。該テスト結果は図10の実施1の欄に記載した。
【実施例2】
【0018】
本発明の実施例2の実施ステップ及び組成する材料及び構造は、大まか実施例1と同じである。異なる部分は:ステップS10の材料準備ステップにおいて、断熱膜繊維は、撚糸過程を経て、番手30/1の断熱膜糸110を作り、再び編織作業を行う。断熱織物1ができると同様にテストを行い、該可視光線透過率が60%、赤外線遮断率が69%、紫外線遮蔽率が80%である。該テスト結果は図10の実施例2の欄に記載する。
【実施例3】
【0019】
本発明の実施例3の実施ステップ及び組成する材料及び構造は、大まか実施例と同じである。異なる部分は:ステップS10の材料準備ステップにおいて、断熱膜繊維は、撚糸過程を経て、番手10/1の断熱膜糸110を作り、再び編織作業を行う。断熱織物1ができると同様にテストを行い、該可視光線透過率が52%、赤外線遮断率が84%、紫外線遮蔽率が89%である。該テスト結果は図10の実施例3の欄に記載する。
【実施例4】
【0020】
本発明の実施例4の実施ステップは大まか実施例1と同じである。異なる部分は:選択した断熱膜11は3M極光M70の断熱膜を使用する。該断熱膜11をまず幅125mmのフィルムロールに裁断してローラーカッターに送り、断熱膜を長さ35mm〜45mm、細さ1.5d〜2dの長さが異なる繊維に加工してから、撚糸過程(撚り係数10)を経て、繊維を番手15/1の断熱膜糸110に作る。該断熱膜糸110を実施例1と同じ編織ステップを経た後、即ち断熱織物1ができ、該断熱織物1に対してテストを行い、当該可視光線透過率が54%、赤外線遮断率が77%、紫外線遮断率が85%である。該テスト結果は図10の実施4の欄に記載した。
【実施例5】
【0021】
本発明の実施例5の実施ステップは大まか実施例1と同じである。異なる部分は:選択した断熱膜11はSouthwall V―CooL v70の断熱膜を使用する。該断熱膜11をまず幅125mmのフィルムロールに裁断してローラーカッターに送り、断熱膜を長さ35mm〜45mm、細さ1.5d〜2dの長さが異なる繊維に加工してから、撚糸過程(撚り係数10)を経て、繊維を番手15/1の断熱膜糸110に作る。該断熱膜糸110を実施例1と同じ編織ステップを経た後、即ち断熱織物1ができ、該断熱織物1に対してテストを行い、当該可視光線透過率が55%、赤外線遮断率が79%、紫外線遮断率が86%である。該テスト結果は図10の実施5の欄に記載した。
【実施例6】
【0022】
本発明の実施例6の実施ステップは大まか実施例1と同じである。異なる部分は:選択した断熱膜11はLintec FSKII 800の断熱膜を使用する。該断熱膜11をまず幅125mmのフィルムロールに裁断してローラーカッターに送り、断熱膜を長さ35mm〜45mm、細さ1.5d〜2dの長さが異なる繊維に加工してから、撚糸過程(撚り係数10)を経て、繊維を番手15/1の断熱膜糸110に作る。該断熱膜糸110を実施例1と同じ編織ステップを経た後、即ち断熱織物1ができ、該断熱織物1に対してテストを行い、当該可視光線透過率が56%、赤外線遮断率が70%、紫外線遮断率が85%である。該テスト結果は図10の実施6の欄に記載した。
【実施例7】
【0023】
図5から図6に示すのは、本発明の断熱織物1の別の一つの最良編織方法であり、それに含まれるステップは下記の通りである。
【0024】
ステップS20:材料準備のステップ:一つの断熱膜11を選び、該断熱膜11は実施例1の記述の断熱膜と同じ材質及び構造を具有し(図4を参照)、且つ同じ可視光線の透過率、赤外線遮断率、紫外線遮断率を具有する。まず該断熱膜11を幅145mmのフィルムロールに裁断してから細切機に送り、90M/minの糸を送る速さで断熱膜を幅1mmの細糸115に加工する。
【0025】
ステップS21:編織ステップ:該断熱膜細糸115と複数本の縦糸12(或いは横糸13、図5―2を参照)の少なくとも一部を交換し、編織装置と合わせて縦横の編織作業を行うことで、打ち込み本数が64X42の断熱織物1に仕上がる。
【0026】
ステップS21にて、縦糸12は番手30s/2のスパンポリエステル糸を使用し、且つ該断熱織物1は該断熱膜11の細糸115と複数本の縦糸12(或いは横糸13)で織物或いは編み物の如何なる一つの織り方で編織する(図面では織物で表す)。編織が完成した後は、該断熱織物1にテストを行い、当該可視光線透過率が61%、赤外線遮蔽率が76%、紫外線遮蔽率が85%である。該テスト結果は、図10の実施例7の欄に記載した。
【実施例8】
【0027】
本発明の実施例8の実施ステップ及び組成する材料及び構造は、大まか実施例7と同じである。異なる部分は:ステップS20の材料準備ステップにおいて、断熱膜は、細切機によって幅0.254mmの細糸115に加工されて、再び編織作業を行う。断熱織物1ができると同様にテストを行い、該可視光線透過率が54%、赤外線遮断率が70%、紫外線遮蔽率が81%である。該テスト結果は図10の実施例8の欄に記載する。
【実施例9】
【0028】
本発明の実施例9の実施ステップ及び組成する材料及び構造は、大まか実施例7と同じである。異なる部分は:ステップS20の材料準備ステップにおいて、断熱膜は、細切機によって幅2mmの細糸115に加工されて、再び編織作業を行う。最後に、断熱織物1ができるとテストを行い、該可視光線透過率が65%、赤外線遮断率が87%、紫外線遮蔽率が91%である。該テスト結果は図10の実施例9の欄に記載する。
【実施例10】
【0029】
本発明の実施例10の実施ステップは大まか実施例7と同じである。異なる部分は:選択した断熱膜11は3M極光M70の断熱膜を使用する。該断熱膜11をまず幅145mmのフィルムロールに裁断して細切機に送り、90M/minの糸を送る速さで断熱膜を幅1mmの細糸115に加工する。該断熱膜細糸115を実施例7と同じ編織ステップを経た後にできる断熱織物1に対してテストを行い、当該可視光線透過率が60%、赤外線遮断率が76%、紫外線遮断率が84%である。該テスト結果は図10の実施10の欄に記載した。
【実施例11】
【0030】
本発明の実施例11の実施ステップは大まか実施例7と同じである。異なる部分は:選択した断熱膜11はSouthwall V―CooL v70の断熱膜を使用する。該断熱膜11をまず幅145mmのフィルムロールに裁断して細切機に送り、90M/minの糸を送る速さで断熱膜を幅1mmの細糸115に加工する。該断熱膜細糸115を実施例7と同じ編織ステップを経た後にできる断熱織物1に対してテストを行い、当該可視光線透過率が61%、赤外線遮断率が77%、紫外線遮断率が85%である。該テスト結果は図10の実施11の欄に記載した。
【実施例12】
【0031】
本発明の実施例12の実施ステップは大まか実施例7と同じである。異なる部分は:選択した断熱膜11はLintec FSKII 800の断熱膜を使用する。該断熱膜11をまず幅145mmのフィルムロールに裁断して細切機に送り、90M/minの糸を送る速さで断熱膜を幅1mmの細糸115に加工する。該断熱膜細糸115を実施例7と同じ編織ステップを経た後にできる断熱織物1に対してテストを行い、当該可視光線透過率が61%、赤外線遮断率が71%、紫外線遮断率が83%である。該テスト結果は図10の実施12の欄に記載した。
(比較例1)
【0032】
本発明の比較例1の実施ステップは、大まか実施例1と同じである。異なる部分は:材料準備ステップの中、複数本の縦糸12及び/或いは複数本の横糸13はいずれも番手が15/1のスパンポリエステル糸を使用し、且つ実施例1と同じ編織ステップを経た後に編織品に作成する。テストを行い、該可視光線透過率が51%、赤外線遮断率が33%、紫外線遮蔽率が46%である。該テスト結果は図10の比較例1の欄に記載する。実施例1から実施例6と比較例1のデータで分かるように、断熱膜糸110を使用する織物の赤外線遮蔽率、紫外線遮蔽率及び可視光線透過率は、いずれも比較例1の織物より大きい。また、断熱膜糸の番手が少ないほど、赤外線遮蔽率、紫外線遮蔽率が良くなる。
(比較例2)
【0033】
本発明の比較例2の実施ステップは、大まか実施例7と同じである。異なる部分は:材料準備ステップの中、複数本の縦糸12及び/或いは複数本の横糸13はいずれも番手が30s/2のスパンポリエステル糸を使用し、且つ実施例7と同じ編織ステップを経た後に編織品に作成する。テストを行い、該可視光線透過率が51%、赤外線遮断率が39%、紫外線遮蔽率が51%である。該テスト結果は図10の比較例2の欄に記載する。表1にある実施例7〜12と比較例2のデータで分かるように、断熱膜細糸115を使用する織物の赤外線遮蔽率、紫外線遮蔽率及び可視光線透過率は、いずれも比較例2の織物より大きい。また、断熱膜細糸115の幅が広いほど、当該紫外線遮蔽率、可視光線透過率及び赤外線遮蔽率が良くなる。現在の編織技術により、本発明の断熱膜細糸の幅を仮に0.1mmから10mmの間に設定すれば、最良の実施状態を得ることができる。
【0034】
上記の記述を介し、本発明の主な目的の効果は、一種の断熱力及び高い光線透過率を具有する織物の編織技術を提供することにある。選択した省エネ断熱膜をまず細い糸に加工し、更に複数本の縦糸及び/或いは複数本の横糸で編織して織物を作ると、異なる程度の断熱効果が生まれる。該断熱織物の可視光線透過率、赤外線遮蔽率、紫外線遮蔽率にもかなり明らかな影響が見られる。
【0035】
図7から図9に示すように、該断熱膜細糸115をそれぞれ一部の縦糸12及び/或いは横糸13の代わりに使用して、共に縦横糸として編織してできる断熱織物1は、いずれも素晴らしい可視光線透過率及び紫外線遮蔽率と赤外線遮蔽率に達することができる。
【0036】
以上の実施例による本考案の詳細な説明は本考案の範囲を制限するものではない。本技術に熟知する者が、本考案の範囲内にて行う変更や調整を行っても、本考案の重要な意義は失われず、本考案の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 断熱織物
11 断熱膜
110 断熱膜糸
111 基層ユニット
1111 第一基層膜
1112 第二基層膜
1113 第一表面
1114 第二表面
112 赤外線遮蔽層
113 耐スクラッチ性磨耗層
114 紫外線遮蔽層
115 断熱膜細糸
12 縦糸
13 横糸
S10、S20 材料準備ステップ
S11、s21 編織ステップ
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9
図10