特許第6429890号(P6429890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429890
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】自動二輪車の燃料残量警告装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20181119BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20181119BHJP
   F02D 43/00 20060101ALI20181119BHJP
   F02D 41/22 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   F02D45/00 345K
   F02D45/00 310Z
   F02D29/02 311F
   F02D29/02 311G
   F02D43/00 301A
   F02D43/00 301H
   F02D43/00 301K
   F02D45/00 364L
   F02D29/02 K
   F02D41/22 301C
   F02D41/22 310C
   F02D41/22 330C
   F02D41/22 335C
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-550103(P2016-550103)
(86)(22)【出願日】2015年9月11日
(86)【国際出願番号】JP2015075817
(87)【国際公開番号】WO2016047463
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年3月27日
(31)【優先権主張番号】特願2014-196815(P2014-196815)
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】手塚 貴志
(72)【発明者】
【氏名】松井 康真
(72)【発明者】
【氏名】新村 竜太
(72)【発明者】
【氏名】宮岸 俊一
(72)【発明者】
【氏名】安達 惇
(72)【発明者】
【氏名】黒田 耕介
【審査官】 田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−330787(JP,A)
【文献】 特開2010−24895(JP,A)
【文献】 特開平9−240321(JP,A)
【文献】 特開2013−53587(JP,A)
【文献】 特開2014−24373(JP,A)
【文献】 特開2013−121790(JP,A)
【文献】 特開平8−93615(JP,A)
【文献】 特開2009−250045(JP,A)
【文献】 特開2006−104953(JP,A)
【文献】 特開平2−149750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D29/00 − 29/06
F02D41/00 − 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)の燃焼状態を変更する燃焼状態変更手段(2)を有し、燃料タンク(13)の燃料残量を計測する燃料計(6)の出力に基づいて、燃料残量が所定値未満になったことを警告する自動二輪車の燃料残量警告装置において、
前記燃料残量が所定値未満になると、前記燃焼状態変更手段(2)が、前記エンジン(E)に燃料を供給するインジェクタ(10)による燃料噴射量を変化させることで通常運転時と異なる振動を生じさせる残量警告制御を行い、
乗員の操作に基づいて前記残量警告制御を所定時間の間停止する警告確認手段(5)を具備し、
前記燃焼状態変更手段(2)が、前記エンジン(E)の燃焼状態を変化させることで車速制限制御をも行うように構成されており、
前記残量警告制御によって生じる振動が、前記車速制限制御によって生じる振動と異なり、
前記残量警告制御および前記車速制限制御が、それぞれ同一の装置の駆動によって前記エンジン(E)の燃焼状態を変化させるものであり、
前記残量警告制御は、時間経過に応じて変化すると共に、前記残量警告制御を再開する際に、前記警告確認手段(5)を操作した時点の制御状態から再開することを特徴とすることを特徴とする自動二輪車の燃料残量警告装置。
【請求項2】
前記警告確認手段(5)は、車両に設けられた他の機器を操作する操作スイッチと兼用させ、
前記操作スイッチは、前記エンジン(E)を始動させるスタータスイッチまたはウインカの作動を停止するキャンセルスイッチであることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の燃料残量警告装置。
【請求項3】
前記残量警告制御が、車両の走行に伴う燃料残量、燃料消費量、走行距離および経過時間等の変化に応じて前記所定間隔を変化させるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動二輪車の燃料残量警告装置。
【請求項4】
前記残量警告制御が、車両の走行に伴う燃料残量、燃料消費量、走行距離および経過時間等の変化に応じて振動の大きさを変化させるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動二輪車の燃料残量警告装置。
【請求項5】
前記燃料噴射量の変化が、1サイクル中に発生する噴射タイミングのうちの連続する所定回数の噴射を制限する噴射間引きにより実行され、
前記連続する所定回数を、前記エンジン(E)の気筒数に応じて増やすことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の自動二輪車の燃料残量警告装置。
【請求項6】
前記連続する所定回数が、前記エンジン(E)の気筒数(X)÷2の算出式で算出される値以上の回数とされることを特徴とする請求項に記載の自動二輪車の燃料残量警告装置。
【請求項7】
前記残量警告制御は、前記エンジン(E)の回転数が所定値未満の状態では行われないことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の自動二輪車の燃料残量警告装置。
【請求項8】
前記残量警告制御は、車両の速度が所定値未満の状態では行われないことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の自動二輪車の燃料残量警告装置。
【請求項9】
前記残量警告制御の実行履歴を前記エンジン(E)の停止後も維持するメモリ(4)を備え、
前記エンジン(E)の再始動時に前記燃料残量の増加がない場合は、前記実行履歴に基づいて、前記エンジン(E)の停止時から前記残量警告制御を再開することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の自動二輪車の燃料残量警告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の燃料残量警告装置に係り、特に、燃料残量が所定値未満になったことを警告する自動二輪車の燃料残量警告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両には燃料タンク内の燃料残量を表示する燃料計が設けられており、燃料残量が所定値未満になったときにインジケータ等で警告する構造が知られている。
【0003】
特許文献1には、コスト上昇の抑制を考慮した燃料残量警告装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−32279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車種によっては、コスト等の関係からインジケータ(光源)を設けられないものもあり、光源を用いずとも運転者に警告を行うことが望まれていた。また、光源を用いた場合でも、さらに直感的に運転者へ警告を行うことが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、燃料残量が所定値未満であることを直感的に認識させることができる自動二輪車の燃料残量警告装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、燃料タンク(13)の燃料残量を計測する燃料計(6)の出力に基づいて、燃料残量が所定値未満になったことを警告する自動二輪車の燃料残量警告装置において、エンジン(E)の燃焼状態を変更する燃焼状態変更手段(2)を具備し、前記燃料残量が所定値未満になると、前記燃焼状態変更手段(2)によって前記エンジン(E)の燃焼状態を変化させることで通常運転時と異なる振動を生じさせる残量警告制御を行い、乗員の操作に基づいて前記残量警告制御を所定時間の間停止する警告確認手段(5)を具備し、前記警告確認手段(5)は、車両に設けられた他の機器を操作する操作スイッチを兼用させ、前記操作スイッチは、前記エンジン(E)を始動させるスタータスイッチである点に第1の特徴がある。
【0008】
また、燃料タンク(13)の燃料残量を計測する燃料計(6)の出力に基づいて、燃料残量が所定値未満になったことを警告する自動二輪車の燃料残量警告装置において、エンジン(E)の燃焼状態を変更する燃焼状態変更手段(2)を具備し、前記燃料残量が所定値未満になると、前記燃焼状態変更手段(2)によって前記エンジン(E)の燃焼状態を変化させることで通常運転時と異なる振動を生じさせる残量警告制御を行い、乗員の操作に基づいて前記残量警告制御を所定時間の間停止する警告確認手段(5)を具備し、前記警告確認手段(5)は、車両に設けられた他の機器を操作する操作スイッチを兼用させ、前記操作スイッチは、ウインカの作動を停止するキャンセルスイッチである点に第2の特徴がある。
【0011】
また、前記残量警告制御は、所定間隔毎に周期的に行われる点に第の特徴がある。
【0012】
また、前記残量警告制御が、車両の走行に伴う燃料残量、燃料消費量、走行距離および経過時間等の変化に応じて前記所定間隔を変化させるように設定されている点に第の特徴がある。
【0013】
また、前記残量警告制御が、車両の走行に伴う燃料残量、燃料消費量、走行距離および経過時間等の変化に応じて振動の大きさを変化させるように設定されている点に第の特徴がある。
【0014】
また、前記残量警告制御が、前記エンジン(E)に燃料を供給するインジェクタ(10)による燃料噴射量を変化させることで行われる点に第の特徴がある。
【0015】
また、前記燃料噴射量の変化が、1サイクル中に発生する噴射タイミングのうちの連続する所定回数の噴射を制限する噴射間引きにより実行され、前記連続する所定回数を、前記エンジン(E)の気筒数に応じて増やす点に第の特徴がある。
【0016】
また、前記連続する所定回数が、前記エンジン(E)の気筒数(X)÷2の算出式で算出される値以上の回数とされる点に第の特徴がある。
【0017】
また、前記残量警告制御が、前記エンジン(E)の点火装置(11)の駆動態様を変化させることで行われる点に第の特徴がある。
【0018】
また、前記残量警告制御が、前記エンジン(E)への吸気量制限により行われる点に第10の特徴がある。
【0019】
また、前記燃焼状態変更手段(2)が、前記エンジン(E)の燃焼状態を変化させることで車速制限制御をも行うように構成されており、前記残量警告制御によって生じる振動が、前記車速制限制御によって生じる振動と異なる点に第11の特徴がある。
【0020】
また、前記残量警告制御は、前記エンジン(E)の回転数が所定値未満の状態では行われない点に第12の特徴がある。
【0021】
また、前記残量警告制御は、車両の速度が所定値未満の状態では行われない点に第13の特徴がある。
【0022】
さらに、前記残量警告制御の実行履歴を前記エンジン(E)の停止後も維持するメモリ(4)を備え、前記エンジン(E)の再始動時に前記燃料残量の増加がない場合は、前記実行履歴に基づいて、前記エンジン(E)の停止時から前記残量警告制御を再開する点に第14の特徴がある。
【発明の効果】
【0023】
第1の特徴によれば、燃料タンク(13)の燃料残量を計測する燃料計(6)の出力に基づいて、燃料残量が所定値未満になったことを警告する自動二輪車の燃料残量警告装置において、エンジン(E)の燃焼状態を変更する燃焼状態変更手段(2)を具備し、前記燃料残量が所定値未満になると、前記燃焼状態変更手段(2)によって前記エンジン(E)の燃焼状態を変化させることで通常運転時と異なる振動を生じさせる残量警告制御を行い、乗員の操作に基づいて前記残量警告制御を所定時間の間停止する警告確認手段(5)を具備し、前記警告確認手段(5)は、車両に設けられた他の機器を操作する操作スイッチを兼用させ、前記操作スイッチは、前記エンジン(E)を始動させるスタータスイッチであるので、エンジンの燃焼状態が変化することでエンジンおよび車体に通常運転時と異なる振動を生じさせ、燃料残量が低下していることを乗員に認識させることが可能となる。これにより、燃料残量の低下を警告するための専用の装置を追加することなく、車両の走行中であっても燃料残量の低下を効果的に警告することが可能となる。また、乗員の意思により残量警告制御を一時停止できることから、燃料残量警告装置の使い勝手を向上させることができる。また、警告確認手段のために新たな部品を追加する必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。さらに、エンジンの始動後、走行中に使用することのないスタータスイッチを有効利用して警告確認手段を構成し、部品点数およびコストの削減を図ることができる。
【0024】
第2の特徴によれば、燃料タンク(13)の燃料残量を計測する燃料計(6)の出力に基づいて、燃料残量が所定値未満になったことを警告する自動二輪車の燃料残量警告装置において、エンジン(E)の燃焼状態を変更する燃焼状態変更手段(2)を具備し、前記燃料残量が所定値未満になると、前記燃焼状態変更手段(2)によって前記エンジン(E)の燃焼状態を変化させることで通常運転時と異なる振動を生じさせる残量警告制御を行い、乗員の操作に基づいて前記残量警告制御を所定時間の間停止する警告確認手段(5)を具備し、前記警告確認手段(5)は、車両に設けられた他の機器を操作する操作スイッチを兼用させ、前記操作スイッチは、ウインカの作動を停止するキャンセルスイッチであるので、ウインカの非作動中に使用することのないキャンセルスイッチを有効利用して警告確認手段を構成し、部品点数およびコストの削減を図ることができる。
【0027】
の特徴によれば、前記残量警告制御は、所定間隔毎に周期的に行われるので、残量警告制御により生じている振動が、機械的な不具合等ではなく、燃料残量の低下に起因した意図的な制御により生じていることを乗員に認識させることが可能となる。
【0028】
の特徴によれば、前記残量警告制御が、車両の走行に伴う燃料残量、燃料消費量、走行距離および経過時間等の変化に応じて前記所定間隔を変化させるように設定されているので、例えば、残量警告を開始してからの燃料使用量に応じて所定間隔が短くなるように設定することで、乗員に給油を促す効果が高められる。
【0029】
の特徴によれば、前記残量警告制御が、車両の走行に伴う燃料残量、燃料消費量、走行距離および経過時間等の変化に応じて振動の大きさを変化させるので、例えば、残量警告を開始してからの燃料使用量に応じて振動が大きくなるように設定することで、乗員に給油を促す効果が高められる。
【0030】
の特徴によれば、前記残量警告制御が、前記エンジン(E)に燃料を供給するインジェクタ(10)による燃料噴射量を変化させることで行われるので、電子制御される燃料噴射の駆動態様を変更する(例えば、噴射量低減、噴射間引き、噴射タイミング遅延)ことで残量警告制御を行うことから、振動の大きさ等を細かく設定することが可能となる。
【0031】
の特徴によれば、前記燃料噴射量の変化が、1サイクル中に発生する噴射タイミングのうちの連続する所定回数の噴射を制限する噴射間引きにより実行され、前記連続する所定回数を、前記エンジン(E)の気筒数に応じて増やすので、エンジンの気筒数に応じて有効な残量警告制御を行うことが可能となる。
【0032】
の特徴によれば、前記連続する所定回数が、前記エンジン(E)の気筒数(X)÷2の算出式で算出される値以上の回数とされるので、気筒数に応じた有効な振動発生効果を得ることができる。
【0033】
の特徴によれば、前記残量警告制御が、前記エンジン(E)の点火装置(11)の駆動態様を変化させることで行われるので、電子制御される点火装置の駆動態様を変更する(例えば、点火タイミング、点火カット、遅延制御)ことで残量警告制御を行うことから、振動の大きさ等を細かく設定することが可能となる。
【0034】
10の特徴によれば、前記残量警告制御が、前記エンジン(E)への吸気量制限により行われるので、電子制御される点火装置の駆動態様を変更することで残量警告制御を行うことから、振動の大きさ等を細かく設定することが可能となる。
【0035】
11の特徴によれば、前記燃焼状態変更手段(2)が、前記エンジン(E)の燃焼状態を変化させることで車速制限制御をも行うように構成されており、前記残量警告制御によって生じる振動が、前記車速制限制御によって生じる振動と異なるので、残量警告制御と車速制限制御との差異を明確にし、例えば、車速制限制御の振動によって燃料残量が所定値未満となったという誤解が生じることを防ぐことができる。
【0036】
12の特徴によれば、前記残量警告制御は、前記エンジン(E)の回転数が所定値未満の状態では行われないので、アイドリング運転中のエンストを避けたり、また、乗員が燃料残量の低下状態を認識して低回転を維持して走行している間は残量警告を行わないように設定することができる。
【0037】
13の特徴によれば、前記残量警告制御は、車両の速度が所定値未満の状態では行われないので、例えば、車両が停止していたり、乗員が車両を押し歩いている間は残量警告を行わないように設定することができる。
【0038】
14の特徴によれば、前記残量警告制御の実行履歴を前記エンジン(E)の停止後も維持するメモリ(4)を備え、前記エンジン(E)の再始動時に前記燃料残量の増加がない場合は、前記実行履歴に基づいて、前記エンジン(E)の停止時から前記残量警告制御を再開するので、例えば、残量警告制御を開始してからの経過時間に応じて振動発生周期が短くなる変更パターンを用いて残量警告制御を行っていた場合に、前回のエンジン停止までに短くなっていた振動発生周期を引き続き適用して残量警告制御を再開することが可能となる。これにより、給油の必要性をより効果的に乗員に警告することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態に係る車両の燃料残量警告装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】燃焼状態を変更する方法の一覧表である。
図3】残量警告制御の手順を示すフローチャートである。
図4】スヌーズ制御の手順を示すフローチャートである。
図5】自動二輪車用4サイクル4気筒ガソリンエンジンの要部システム構成図である。
図6】複数気筒の燃料噴射サイクルを示す図である。
図7】ECUの要部機能を示すブロック図である。
図8】段階的に燃料カット割合を増やしていく例を示す図である。
図9】燃焼状態変更手段に収納される変更パターンの説明図である。
図10】所定の変更パターンによる残量警告制御の手順を示すフローチャートである。
図11】残量警告制御2の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両の燃料残量警告装置の全体構成を示すブロック図である。制御部1は、車両の動力源であるエンジンEの燃焼状態を制御するECUである。制御部1は、エンジンEの通常運転時においては、主に、乗員が操作するスロットル装置の開度、エンジン回転数および車速の情報に基づいて、燃料噴射装置のインジェクタ10、点火装置11および吸気量制限手段12を制御している。
【0041】
本実施形態に係る制御部1は、燃料タンク13の燃料残量が所定値未満になったときに、これを乗員に警告するためにエンジンEの燃焼状態を通常運転時と異ならせる燃焼状態変更手段2を備えている。燃焼状態変更手段2によって行われる残量警告制御は、エンジンEの燃焼状態を通常運転時と異ならせることで、通常運転時とは異なる振動をエンジンEおよび車体に生じさせる。乗員は、この通常運転時とは異なる振動により、燃料残量が所定値未満になったことを触覚を通じて直感的に認識することができる。
【0042】
制御部1には、燃料残量制御を実行するため、燃料タンク13の燃料計6のほか、車両の走行距離を検知する距離計7、エンジンEの回転数を検知する回転計8、経過時間を検知するタイマ9の情報が入力されている。また、燃焼状態変更手段2には、残量警告制御の振動発生の態様を記憶した変更パターン3が複数収納されており、制御部1には、この変更パターン3の実行履歴を保存できるメモリ4が設けられる。さらに、制御部1には、燃料残量制御による振動の発生を乗員の操作に応じて一時停止する、警告確認手段としての警告確認ボタン5が接続されている。
【0043】
図2は、具体的に燃焼状態を変更する方法の一覧表である。残量警告制御は、インジェクタ10、点火装置11、吸気量制限手段12のいずれかを用いて実行することができる。インジェクタ10を用いる場合は、1回の噴射時間を短くする「噴射量制限」、所定の噴射タイミングで噴射を禁止する「噴射間引き」、または、噴射タイミングを遅らせる「噴射遅延」によって、エンジンEに通常運転時と異なる振動を発生させることができる。
【0044】
また、点火装置11を用いる場合は、所定の点火タイミングで点火プラグの点火を禁止する「点火カット」、または、点火タイミングを遅らせる「遅角制御」が挙げられる。
【0045】
さらに、吸気量制限手段12を用いる場合は、吸気管に設けられたスロットルバルブを閉じ方向に駆動する「吸気管路絞り」、エアクリーナの内部に設けられたバルブ等を駆動して吸気抵抗を大きくする「エアクリーナ通路変更」、または、吸気管に設けられたバイパスエア通路を遮断する「バイパスエア遮断」が挙げられる。
【0046】
なお、燃焼状態を変更する方法は上記した方法に限られず、また、インジェクタ10、点火装置11および吸気量制限手段12の駆動を任意に組み合わせて残量警告制御を実行することも可能である。
【0047】
図3は、残量警告制御の手順を示すフローチャートである。ステップS10で、車両の電源をオンオフするIGスイッチ(イグニッションスイッチ)がオンにされると、ステップS11では、燃料計6の出力に基づいて燃料残量が検知される。
【0048】
続くステップS12では、エンジンEが運転中であるか否かが判定され、肯定判定されるとステップS13に進む。ステップS13では、燃料残量が所定値未満(例えば、3リットル未満)か否かが判定される。そして、ステップS13で肯定されると、ステップS14において、エンジンEの燃焼状態を変更して通常運転時とは異なる振動を生じさせる残量警告制御が実行され、一連の制御を終了する。ステップS12,S13で否定判定されると、ステップS11に戻る。すなわち、このフローチャートに示す残量警告制御は、エンジンEが始動中でかつ燃料残量が所定値未満になったときであれば、停車中であっても走行中であっても実行されることとなる。
【0049】
図4は、スヌーズ制御の手順を示すフローチャートである。本実施形態に係る燃料残量警告装置では、残量警告制御を乗員が任意に一時停止できるようにして使い勝手を向上させると共に、一時停止から所定時間が経過すると自動的に再警告を行うように設定されている。
【0050】
ステップS20では、残量警告制御が実行中であるか否かが判定され、肯定判定されるとステップS21に進む。ステップS21では、警告確認ボタン5が操作されたか否かが判定され、肯定判定されるとステップS22に進んで、残量警告制御を一時停止する。この一時停止に伴って、タイマ9による時間計測が開始される。
【0051】
ここで、警告確認ボタン5を、エンジンEの始動時に用いるスタータスイッチと兼用させると、走行中に使用することのないスイッチを有効利用して警告確認手段を構成し、部品点数およびコストの削減を図ることが可能となる。なお、警告確認ボタンは、ウインカキャンセルスイッチなど他の機器のスイッチを兼用させたものであってもよい。
【0052】
続くステップS23では、残量警告制御を一時停止してから所定時間が経過したか否かが判定され、肯定判定されるとステップS24に進む。ステップS24では、燃料残量が所定値未満であるか否かが判定され、肯定判定されると、ステップS26に進んで残量警告を再開し、乗員に再度給油を促すこととなる。
【0053】
一方、ステップS24で否定判定される、すなわち、乗員が任意に残量警告制御を一時停止した後に給油を行って燃料残量が所定値以上となっている場合には、ステップS25に進んで残量警告をそのまま終了し、一連の制御を終了する。
【0054】
図5は、自動二輪車用4サイクル4気筒ガソリンエンジンの要部システム構成図である。以下では、前記したインジェクタ10、点火装置11、吸気量制限手段12のうち、インジェクタ10を用いて残量警告制御(燃焼状態変更制御)を実行する手順を説明する。
【0055】
エンジンEは、4つの気筒22を備え、各気筒22には、吸気マニホルド(吸気管)15と排気マニホルド26とが接続されている。吸気マニホルド15の各分岐管15a、15b、15c、15dには、それぞれ燃料噴射弁(インジェクタ)10が設けられる。吸気マニホルド15の集合管16には、スロットルバルブ17を有するスロットルボディ18が設けられ、スロットルバルブ17には、スロットル開度θTHを検出するスロットルセンサ19が接続される。
【0056】
集合管16の管壁には負圧センサ20および吸気温センサ21が取り付けられる。一方、排気マニホルド26の集合管27には酸素濃度センサ28が設けられ、その下流には三元触媒29が設けられる。三元触媒29は、排気ガス中のHC、CO、NOx等の浄化を行う。
【0057】
エンジンEには、クランク角センサ24とカム角センサ23とエンジン温度センサ25とが設けられる。クランク角センサ24は、図示しないクランク軸に関して設けられ、所定クランク角度毎にクランクパルスを出力する。カム角センサ23は、図示しない吸気弁または排気弁を開閉するカム軸に関して設けられ、4つの気筒のうち特定の気筒の圧縮上死点でカムパルスを出力するように設定される。他の気筒の圧縮上死点は各気筒間の相対クランク角に基づいて判定される。エンジン温度センサ25は、エンジンEのウォータジャケット壁に設けられ、冷却水温の検出信号を出力する。
【0058】
上記各センサの出力信号は、マイクロコンピュータを備えたECU1に入力され、燃料噴射量および燃料噴射時期の制御に使用されるほか、点火時期制御等にも使用される。ECU1では、通常の燃料噴射制御や点火時期制御のほか、本発明に係る燃焼状態変更制御(残量警告制御)および車速制限制御を行う。
【0059】
本実施形態に係る残量警告制御は、燃料残量が所定値未満になったときに、4つの気筒に対する燃料噴射を所定の割合で休止し、これによってエンジンEに振動を生じさせて乗員に触覚を通じて警告するものである。一方、車速制限制御は、車速が予め設定した速度制限値を超過した時に、4つの気筒に対する燃料噴射を所定の割合で休止し、これによってエンジン出力を低下させ、車速を所定の最高速度以下に制限するものである。
【0060】
このとき、残量警告制御と車速制限制御とにおいて燃料噴射の態様を異ならせて、発生する振動が異なるように設定しておく。これにより、例えば、車速制限制御の振動によって燃料残量が所定値未満となったという誤解が生じることがなくなる。また、残量警告制御においては、振動による警告を与えながらスロットル操作に応じた加速ができるようにしておくことで、車速制限制御との差異をより明確にしてもよい。
【0061】
図6は、複数気筒の燃料噴射サイクルを示す図である。図6において、♯1〜♯4は気筒の識別符号である。図示のように、燃料残量が所定値以上である場合は、♯1、♯2、♯4、♯3の順番にすべての気筒に対して燃料噴射を行い、この順序の繰り返しを維持する。そして、燃料残量が所定値未満となったときに、このサイクルで行われている燃料噴射を所定の割合で休止(燃料カット)する。
【0062】
図7は、ECU1の要部機能を示すブロック図であり、気筒♯1〜♯4に共通するものである。回転数算出部30は、クランク角センサ24から出力されるクランクパルスの周期に基づいてエンジン回転数Neを算出する。燃料噴射量算出部32は、エンジン回転数Neとスロットルセンサ19で検出されるスロットル開度θTHとに基づいて、燃料噴射時間Tiで代表される燃料噴射量を算出する。燃料噴射量は、燃料噴射時間Tiとエンジン回転数Neおよびスロットル開度θTHとの関係を示すマップを使用したり、また、所定の算出式を用いる等の周知の方法で算出できる。燃料噴射時間Tiは、エンジン温度センサ25で検出されるエンジン温度や吸気温センサ21で検出される吸気温度等によって補正できる。
【0063】
燃料噴射時期決定部33は、エンジン回転数Neとスロットル開度θTHとに基づいて燃料噴射開始時期を決定する。燃料噴射タイミングも、エンジン回転数Neやスロットル開度θTH以外のパラメータ、例えば、エンジン温度等によって補正することができる。
【0064】
燃料噴射時期決定部33には、クランク角センサ24およびカム角センサ23からクランクパルスおよびカムパルスが入力され、これらの入力信号に基づいて算出される各気筒のクランク角が、前記燃料噴射時期と一致したときに燃料噴射指令を出力する。ドライバ37は、燃料噴射指令が入力されたときに、前記燃料噴射時間Tiだけインジェクタ10に電流を流して燃料を噴射させる。
【0065】
さらに、本実施形態では、残量警告制御のために、燃料噴射時期決定部33から出力する燃料噴射指令を休止させる燃料カット制御部35と、燃料噴射時期を遅延させる遅延手段34と、燃料カットおよび燃料噴射時期遅延対象の気筒を検出する気筒判定部31とが設けられる。
【0066】
燃料残量判定部36は、燃料計6の出力に基づいて、燃料残量が所定値未満となった場合に、燃料カット制御部35および遅延手段34に車速検出信号を入力する。気筒判別部31はカムパルスとクランクパルスとに基づいて気筒判別を行う。燃料カット制御部35は、気筒判別部31からの気筒識別信号に基づいて予め決定されている燃料カット対象の気筒を判断し、燃料カット指令を出力する。遅延手段34は、気筒識別信号に基づいて燃料噴射時期を遅延させる予定の気筒を判断し、遅延指令を出力する。
【0067】
燃料カット指令が出力されると、燃料噴射指令は休止されてインジェクタ10のドライバ37に入力されない。また、遅延指令が出力されると、燃料噴射指令は遅延されてドライバ37に入力される。
【0068】
図8は、段階的に燃料カット割合を増やしていく例を示す図である。各図において、白丸(○)は通常噴射、黒丸(●)は噴射遅延、バツ印(×)は噴射カットを示す。そして、(a)は10回の燃料噴射動作の2回燃料カットを行った場合、(b)は10回に燃料噴射動作のうち3回燃料カットを行った場合、(c)は10回に燃料噴射動作のうち4回燃料カットを行った場合となる。
【0069】
図示するように、(a)〜(c)のいずれの燃料カット(×)の場合も、少なくとも直前1回の当該気筒の燃料噴射は噴射時期を遅らせる噴射遅延(●)として吸気管の壁面に張り付く燃料量を低減するように制御する。これにより、前回の燃料噴射時に吸気管に付着して残留している少量の燃料が、燃料カット時のサイクルで燃焼室に流入して未燃焼ガスを発生させることを防ぐことができる。
【0070】
噴射カットによる残量警告制御の場合は、燃料カット数が(a)→(b)→(c)へと増えるにつれて、エンジンの回転速度変化が大きくなるので、これに伴ってエンジンEに生じる振動が大きくなり、乗員により強く給油を促すことができる。このように、本実施形態に係る燃焼状態変更手段2は、振動の大きさを任意に変えることができるため、例えば、車両の走行に伴う燃料残量、燃料消費量、走行距離および経過時間等の変化に応じて徐々に振動が大きくなるように設定し、に給油を促す効果が高めることができる。
【0071】
なお、上記では4気筒エンジンの例を示したが、燃料カットによる残量警告制御はエンジンの気筒数に関わらず実行可能である。例えば、1サイクル中に発生する噴射タイミングのうちの連続する所定回数の噴射を制限する噴射間引きによって残量警告制御を実行する場合は、連続する所定回数をエンジンの気筒数に応じて増やすことで、気筒数に応じた残量警告制御を行うことが可能となる。
【0072】
また、上記した噴射間引きは、気筒数X÷2の算出式で算出される値以上の回数連続して実行することで有効な振動発生効果が得られる。例えば、3,4気筒エンジンであれば2回以上、5,6気筒エンジンであれば3回以上、7,8気筒エンジンであれば4回以上連続して噴射間引きを行うのがよい。
【0073】
図9は、燃焼状態変更手段2に収納される変更パターン3の概要説明図である。燃焼状態変更手段2によって実行される残量警告制御は、制御開始から一定の振動を発生し続けるだけでなく、大きさや周期を変化させる種々の変更パターンによって実行することができる。この図では、上側から(a)〜(d)の4つの変更パターンの概要を示している。
【0074】
(a)は、時刻t1での制御開始から所定時間毎に振動を大きくするものである。このような変更パターンによれば、時間の経過に伴って徐々に振動が大きくなることで、乗員に給油を促す効果が高くなる。
【0075】
(b)は、時刻t1での制御開始から振動のオンオフを一定の周期で繰り返すものである。このような変更パターンによれば、エンジンおよび車体に生じている振動が機械的な不具合等ではなく、燃料残量の低下に起因した意図的な制御により生じていることを乗員に認識させることができる。
【0076】
(c)は、振動オンと振動オフとを繰り返す間に振動オフの時間が徐々に短くなる(c1>c2>c3)ものであり、(d)は、振動オンと振動オフとを繰り返す間に振動オンの時間が徐々に長くなる(d1<d2<d3<d4)ものである。これらのような変更パターンによれば、制御開始時からの時間経過に伴って給油の必要性が高まっていることを乗員に認識させることができる。
【0077】
上記した変更パターンは、それぞれ単独で適用するほか、制御開始時とスヌーズ制御で再開する時とで異なる変更パターンを適用する等、種々の方法で適用することができる。
【0078】
また、図9に示した変更パターン(a),(c),(d)は、振動の大きさや振動発生の周期等を時間経過に応じて変更させるものであったが、振動の大きさや振動発生の周期等は、時間経過のほか、車両の走行に伴う燃料残量、燃料消費量、走行距離等に応じて変更することもできる。
【0079】
さらに、上記したような変更パターンは、インジェクタ10、点火装置11、吸気量制限手段12のいずれを適用して形成してもよく、また、これらのうち、2以上の手段を組み合わせて適切な振動を発生させてもよい。
【0080】
図10は、所定の変更パターンによる残量警告制御の手順を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図9で示した変更パターン(c)を用いて残量警告制御の実行中に、警告確認ボタン5が操作され、所定時間の経過に伴って残量警告制御を再開する際に、警告確認ボタン5を操作した時点の制御状態から再開する手順に対応する。
【0081】
ステップS30では、燃焼状態変更の間隔が徐々に短くなる変更パターンで残量警告制御が実行中であるか否かが判定される。ステップS30で肯定判定されると、ステップS31では、警告確認ボタン5が操作されたか否かが判定される。ステップS31で肯定判定されると、ステップS32において残量警告が一時停止される。このとき、制御部1は、残量警告制御の開始からの経過時間や、燃焼状態変更の間隔が制御開始時よりどのくらい短くなったかという実行履歴をメモリ4に記憶する。
【0082】
ステップS33では、一時停止から所定時間が経過したか否かが判定され、肯定判定されるとステップS34に進む。ステップS34では、燃料残量が所定値未満であるか否かが判定される。そして、ステップS34で肯定判定されると、メモリ4に記憶された実行履歴に基づいて、前回一時停止した時点から所定パターンにより残量警告制御が再開されることとなる。なお、ステップS33の判定は、図中に示すように、一時停止した時点から車両が所定距離走行したか否か、または、一時停止した時点から燃料を所定量噴射したか否か、または、一時停止した時点からエンジンのクランクシャフトが所定数回転したか否かによって判定するように構成してもよい。
【0083】
ステップS30,S31で否定判定された場合は、そのまま一連の制御を終了する。また、ステップS33で否定判定されるとステップS33の判定に戻り、ステップS34で否定判定されると、ステップS35で残量警告制御を終了して一連の制御を終了する。
【0084】
なお、メモリ4は不揮発メモリで構成されるため、エンジンEを停止して車両の電源がオフになっても実行履歴を保存できる。これにより、エンジンの再始動時に、前回エンジンを停止した時点で行われていた残量警告制御を再開することも可能である。
【0085】
また、上記のフローチャートでは、残量警告制御中に警告確認ボタンが操作することで任意に残量警告制御を一時停止する例を示したが、この一時停止は、残量警告制御の開始から乗員が認識するために十分な一定時間(例えば、1分)が経過したことをトリガとして自動的に行うように設定することもできる。
【0086】
図11は、残量警告制御2の手順を示すフローチャートである。このフローチャートでは、燃料残量が所定値未満になることに加え、エンジン回転数が所定値以上であるという付加条件が課される点に特徴がある。
【0087】
ステップS40で、車両の電源をオンオフするIGスイッチがオンにされると、ステップS41では、燃料計6の出力に基づいて燃料残量が検知される。
【0088】
続くステップS42では、エンジンEが運転中であるか否かが判定され、肯定判定されるとステップS43に進む。ステップS43では、燃料残量が所定値未満か否かが判定される。ステップS43で肯定されると、ステップS44に進み、エンジン回転数が所定値(例えば、2000rpm)以上であるか否かが判定される。
【0089】
ステップS44で肯定判定される、すなわち、燃料残量が所定値未満でかつエンジン回転数が所定値以上であると判定されると、ステップS45において残量警告制御が実行されることとなる。
【0090】
上記した制御態様によれば、アイドリング運転中のエンストを避けたり、また、乗員が燃料残量の低下状態を認識して低回転を維持して走行している間は残量警告制御を行わないようにすることができる。
【0091】
一方、付加条件としては、車速センサで検知される車速が所定値(例えば、10km/h)以上であることを設定することができる。この設定によれば、車両が停止していたり、乗員が車両を押し歩いている間は残量警告制御を行わないようにすることができる。
【0092】
上記したように、本発明に係る自動二輪車の燃料残量警告装置によれば、燃料計6により検知される燃料残量が所定値未満になると、ECU1に備えられる燃焼状態変更手段2によってエンジンEの燃焼状態を変化させて通常運転時と異なる振動を生じさせる残量警告制御を行うので、燃料残量が低下していることを触覚を通じて直感的に乗員に認識させることが可能となる。これにより、燃料残量の低下を警告するための専用の装置を追加することなく、車両の走行中であっても燃料残量の低下を効果的に警告することが可能となる。
【0093】
なお、エンジンの構造や形態、インジェクタ、点火装置および吸気量制限手段の構造や個数、残量警告制御の変更パターンの態様、残量警告制御を構成するインジェクタ、点火装置および吸気量制限手段の組み合わせ等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。本発明に係る車両の燃料残量警告装置は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…制御部(ECU)、2…燃焼状態変更手段、4…メモリ、3…変更パターン、5…警告確認ボタン(警告確認手段)、6…燃料計、7…距離計、8…回転計、9…タイマ、10…インジェクタ、11…点火装置、12…吸気量制限手段、13…燃料タンク、E…エンジン
図1
図2
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図4
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図10
図11