特許第6429891号(P6429891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6429891ゾルゲル変換コーティング、それを含む基板のためのアミノアルコール処理、およびこの基板を作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429891
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】ゾルゲル変換コーティング、それを含む基板のためのアミノアルコール処理、およびこの基板を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20181119BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20181119BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20181119BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20181119BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20181119BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20181119BHJP
   C23C 28/00 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   B32B9/00 A
   B32B27/40
   B05D1/36 Z
   B05D3/10 H
   B05D7/14 M
   B05D7/24 302A
   B05D7/24 302T
   C23C28/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-551827(P2016-551827)
(86)(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公表番号】特表2017-507812(P2017-507812A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】US2015015816
(87)【国際公開番号】WO2015123520
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2016年9月8日
(31)【優先権主張番号】14/180,918
(32)【優先日】2014年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502328466
【氏名又は名称】ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】キール, チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】アルバース, リチャード
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−258711(JP,A)
【文献】 特開2000−160098(JP,A)
【文献】 特開2010−102234(JP,A)
【文献】 特開平02−175733(JP,A)
【文献】 特表2004−509209(JP,A)
【文献】 特開昭52−141873(JP,A)
【文献】 特開2003−041150(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0308830(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品であって、
基板と、
前記基板の少なくとも一部上のゾルゲル変換コーティングと、
前記ゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部上の処理層であって、アミノアルコールを含む、処理層と、
前記処理層の少なくとも一部上のコーティング層と、
を備え、
前記アミノアルコールが、前記ゾルゲル変換コーティングの官能基と反応し、別個にまたは同時に、前記コーティング層の官能基と反応して、前記コーティング層を前記基板に付着または接着している
物品。
【請求項2】
前記アミノアルコールが、前記ゾルゲル変換コーティングのエポキシ基と反応してアミン結合を形成している、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記アミノアルコールが、前記コーティング層のイソシアネート基と反応して、ウレタン結合を形成している、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
前記コーティング層は、ポリウレタン系コーティング組成物を含む、請求項に記載の物品。
【請求項5】
前記アミノアルコールは、[N(R)(R)]−R−(R’−OH)R”によって表される化合物を含み、式中、
xは、1〜3であって、
yは、0〜2であって、
zは、1〜3であって、
x+y+z=4であって、
およびRはそれぞれ、独立して、水素原子またはC1〜C6のアルキル基を含み、zが1を上回るとき、各Rおよび各Rは、同一であるか、または異なってもよく、
RおよびR’はそれぞれ、独立して、C1〜C30のアルキレン基を含み、xが1を上回るとき、各R’は、同一であるか、または異なってもよく、
R”は、水素原子またはC1〜C30のアルキル基を含み、yが1を上回るとき、各R”は、同一であるか、または異なってもよい、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
xは、1に等しい、請求項に記載の物品。
【請求項7】
前記アミノアルコールは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、アミノメチルプロパノール、ジメチルアミノエタノール、アミノヒドロキシエチルペンタンジオール、アミノペンタンジオール、および/またはアミノメチルブタノールを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記アミノアルコールは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記物品は、航空宇宙機部品を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
請求項に記載の物品を製造する方法であって、
部分的に硬化されたゾルゲル組成物を前記基板の少なくとも一部に塗布するステップと、前記部分的に硬化されたゾルゲル組成物を少なくとも部分的に乾燥し、前記ゾルゲル変換コーティングを形成するステップと、
前記アミノアルコールを含む溶液を前記ゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部に塗布するステップと、
前記アミノアルコールを含む溶液を少なくとも部分的に乾燥させ、前記処理層を形成するステップと、
コーティング組成物を前記処理層の少なくとも一部に塗布するステップと、
前記コーティング組成物を硬化させ、前記コーティング層を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記アミノアルコールは、前記溶液の総重量に基づいて、0.5重量%を上回る量から前記溶液中のアミノアルコールの溶解限界までの量で前記溶液中に存在し、前記方法はさらに、前記アミノアルコールを含む溶液を少なくとも部分的に乾燥させるステップ後、前記物品を濯ぎ溶液で濯ぐステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アミノアルコールは、前記溶液の総重量に基づいて、0超〜0.5重量%の量で前記溶液中に存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記アミノアルコールを含む溶液は、水および/または有機溶媒を含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示の実施形態は、基板と、基板上のゾルゲル(sol−gel)変換コーティングと、ゾルゲル変換コーティング上の処理層であって、アミノアルコールを含む、処理層とを含む、物品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
(背景)
変換コーティング等のコーティングは、金属および/または金属合金基板等の基板を保護するために使用されることができる。変換コーティングは、基板を腐食から保護することができ、トップコートおよび塗料等の他のコーティングのためのプライマーとして使用されることができる。例えば、変換コーティングは、別のコーティングを基板に付着(例えば、接着)することができる。したがって、変換コーティングは、基板と、存在する場合、他のコーティングとに良好な接着性を呈するべきである。ゾルゲルプロセスを介して形成された変換コーティングは、本明細書では、「ゾルゲル変換コーティング」と称される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(要旨)
物品の特定の実施形態は、基板と、基板の少なくとも一部上のゾルゲル変換コーティングと、ゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部上の処理層であって、アミノアルコールを含む、処理層とを含む。
【0004】
物品の別の実施形態は、基板と、基板の少なくとも一部上のゾルゲル変換コーティングと、ゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部上の処理層であって、アミノアルコールを含む、処理層と、処理層の少なくとも一部上のコーティング層であって、ポリウレタン系コーティング組成物を含む、コーティング層とを含む。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
物品であって、
基板と、
前記基板の少なくとも一部上のゾルゲル変換コーティングと、
前記ゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部上の処理層であって、アミノアルコールを含む、処理層と、を備える、物品。
(項目2)
前記処理層の少なくとも一部上のコーティング層をさらに備える、項目1に記載の物品。
(項目3)
前記コーティング層は、ポリウレタン系コーティング組成物を含む、項目2に記載の物品。
(項目4)
前記アミノアルコールは、[N(R)(R)]−R−(R’−OH)R”によって表される化合物を含み、式中、
xは、1〜3であって、
yは、0〜2であって、
zは、1〜3であって、
x+y+z=4であって、
およびRはそれぞれ、独立して、水素原子またはC1〜C6のアルキル基を含み、zが1を上回るとき、各Rおよび各Rは、同一であるか、または異なってもよく、
RおよびR’はそれぞれ、独立して、C1〜C30のアルキレン基を含み、xが1を上回るとき、各R’は、同一であるか、または異なってもよく、
R”は、水素原子またはC1〜C30のアルキル基を含み、yが1を上回るとき、各R”は、同一であるか、または異なってもよい、項目1に記載の物品。
(項目5)
xは、1に等しい、項目4に記載の物品。
(項目6)
前記アミノアルコールは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、アミノメチルプロパノール、ジメチルアミノエタノール、アミノヒドロキシエチルペンタンジオール、アミノペンタンジオール、および/またはアミノメチルブタノールを含む、項目1に記載の物品。
(項目7)
前記アミノアルコールは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、項目1に記載の物品。
(項目8)
物品であって、
基板と、
前記基板の少なくとも一部上のゾルゲル変換コーティングと、
前記ゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部上の処理層であって、アミノアルコールを含む、処理層と、
前記処理層の少なくとも一部上のコーティング層であって、ポリウレタン系コーティング組成物を含む、コーティング層と、を備える、物品。
(項目9)
前記アミノアルコールは、[N(R)(R)]−R−(R’−OH)R”によって表される化合物を含み、式中、
xは、1〜3であって、
yは、0〜2であって、
zは、1〜3であって、
x+y+z=4であって、
およびRはそれぞれ、独立して、水素原子またはC1〜C6のアルキル基を含み、zが1を上回るとき、各Rおよび各Rは、同一であるか、または異なってもよく、
RおよびR’はそれぞれ、独立して、C1〜C30のアルキレン基を含み、xが1を上回るとき、各R’は、同一であるか、または異なってもよく、
R”は、水素原子またはC1〜C30のアルキル基を含み、yが1を上回るとき、各R”は、同一であるか、または異なってもよい、項目8に記載の物品。
(項目10)
前記アミノアルコールは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、項目8に記載の物品。
(項目11)
前記物品は、航空宇宙機部品を含む、項目1に記載の物品。
(項目12)
前記物品は、航空宇宙機部品を含む、項目8に記載の物品。
(項目13)
項目1に記載の物品を製造する方法であって、
部分的に硬化されたゾルゲル組成物を前記基板の少なくとも一部に塗布するステップと、前記部分的に硬化されたゾルゲル組成物を少なくとも部分的に乾燥し、前記ゾルゲル変換コーティングを形成するステップと、
前記アミノアルコールを含む溶液を前記ゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部に塗布するステップと、
前記アミノアルコールを含む溶液を少なくとも部分的に乾燥させるステップと、を含む、方法。
(項目14)
前記アミノアルコールは、前記溶液の総重量に基づいて、0.5重量%を上回る量から前記溶液中のアミノアルコールの溶解限界までの量で前記溶液中に存在し、前記方法はさらに、前記アミノアルコールを含む溶液を少なくとも部分的に乾燥させるステップ後、前記物品を濯ぎ溶液で濯ぐステップを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記アミノアルコールは、前記溶液の総重量に基づいて、0超〜0.5重量%の量で前記溶液中に存在する、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記アミノアルコールを含む溶液はさらに、水および/または有機溶媒を含む、項目13に記載の方法。
(項目17)
項目2に記載の物品を製造する方法であって、
部分的に硬化されたゾルゲル組成物を前記基板の少なくとも一部に塗布するステップと、前記部分的に硬化されたゾルゲル組成物を少なくとも部分的に乾燥し、前記ゾルゲル変換コーティングを形成するステップと、
前記アミノアルコールを含む溶液を前記ゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部に塗布するステップと、
前記アミノアルコールを含む溶液を少なくとも部分的に乾燥させ、前記処理層を形成するステップと、
コーティング組成物を前記処理層の少なくとも一部に塗布するステップと、
前記コーティング組成物を硬化させ、前記コーティング層を形成するステップと、を含む、方法。
(項目18)
前記アミノアルコールは、前記溶液の総重量に基づいて、0.5重量%を上回る量から前記溶液中のアミノアルコールの溶解限界までの量で前記溶液中に存在し、前記方法はさらに、前記アミノアルコールを含む溶液を少なくとも部分的に乾燥させるステップ後、前記物品を濯ぎ溶液で濯ぐステップを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記アミノアルコールは、前記溶液の総重量に基づいて、0超〜0.5重量%の量で前記溶液中に存在する、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記アミノアルコールを含む溶液はさらに、水および/または有機溶媒を含む、項目17に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面は、本明細書とともに、本開示の実施形態を図示し、説明とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
図1図1は、本開示の実施形態による、物品の概略断面図である。
図2図2は、本開示の別の実施形態による、物品の概略断面図である。
図3図3は、本開示の実施形態による、物品を製造する方法を図示する、フロー図である。
図4図4は、本開示の別の実施形態による、物品を製造する方法を図示する、フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(詳細な説明)
以下の詳細な説明では、例証として、特定の実施形態のみが図示および説明される。当業者は、本発明が、多くの異なる形態において具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではないことを認識するであろう。また、本願の文脈では、第1の要素が、第2の要素「上」に存在するように言及されるとき、第2の要素上に直接存在するか、またはその間に介在される1つもしくはそれを上回る介在要素を伴って、第2の要素上に間接的に存在するかであり得る。同一参照番号は、本明細書全体を通して、同一要素を示す。
【0007】
本開示の実施形態は、アミノアルコールを含む処理層を含む物品を対象とする。特定の実施形態では、この物品は、コーティングされた基板を含む。例えば、図1に図示される実施形態では、物品10は、基板12と、基板12上(例えば、基板12の少なくとも一部上)のゾルゲル変換コーティング14と、ゾルゲル変換コーティング14上(例えば、ゾルゲル変換コーティング14の少なくとも一部上)の処理層16とを含む。
【0008】
アミノアルコールを含む処理層は、ゾルゲル変換コーティングへのコーティング層の接着性を改善し、それによって、基板上のコーティング層の接着性を改善することができる。特定の実施形態では、アミノアルコールは、部分的または完全に硬化され得る、ゾルゲル変換コーティングの官能基と反応し、別個に(または同時に)、コーティング層の官能基と反応し、コーティング層を基板に付着(または接着)する。例えば、ゾルゲル変換コーティングは、本明細書に開示されるアミノアルコールのアミン基と反応し得るエポキシ基を含む、表面を有することができる。特定の実施形態では、本明細書で説明されるアミノアルコールのアミン基は、ゾルゲル変換コーティングのエポキシ基と反応し、アミン結合を形成する。アミノアルコールとゾルゲル変換コーティングのアミン結合は、処理層をゾルゲル変換コーティングに付着(例えば、接着)させることができる。
【0009】
処理層のアミノアルコールはさらに、他の層、組成物、または化合物の特定の官能基と反応し得る、ヒドロキシル基を含む。例えば、アミノアルコールのヒドロキシル基は、コーティング組成物のイソシアネート基と反応し、ウレタン結合を形成することができる。アミノアルコールとイソシアネートのウレタン結合は、コーティング組成物から形成されるコーティング層を処理層に付着(例えば、接着)させ、それによって、コーティングを基板に付着させることができる。したがって、特定の実施形態では、処理層は、タイコート(tie coat)(例えば、タイ層)として機能する。例えば、図2に図示される実施形態では、物品100は、基板112を含むコーティングされた基板と、基板112上(例えば、基板112の少なくとも一部上)のゾルゲル変換コーティング114と、ゾルゲル変換コーティング114上(例えば、ゾルゲル変換コーティング114の少なくとも一部上)の処理層116と、処理層116上(例えば、処理層116の少なくとも一部上)のコーティング層118とを含む。
【0010】
特定の実施形態では、コーティング層は、ポリウレタン系コーティング組成物を含むか、またはそれから形成される。例えば、コーティング層は、ヒドロキシル官能性ポリオールおよびポリイソシアネートを含むコーティング組成物から形成されることができ、コーティング層は、ポリウレタンを含むことができる。ポリウレタンは、アミノアルコールと形成されるウレタン結合を介して、処理層に付着(例えば、接着)されることができる。ヒドロキシル官能性ポリオールおよびポリイソシアネートを含むコーティング組成物、およびポリウレタンを含むコーティング層等のそれから形成されるコーティング層は、概して、ゾルゲル変換コーティングのエポキシ基と容易に反応性である、官能基を含まない。したがって、ポリウレタンを含むコーティング層またはヒドロキシル官能性ポリオールおよびイソシアネートを含むコーティング組成物から形成されるコーティング層は、ゾルゲル変換コーティングに良好に接着しない。アミノアルコールを処理層内に含むことによって、本開示の実施形態は、コーティング組成物および/またはコーティング組成物から形成されるコーティング層へのゾルゲル変換コーティングの接着性を改善する。
【0011】
本明細書で使用されるように、用語「アミノアルコール」は、アミン基(例えば、1つまたはそれを上回るアミン基)と、ヒドロキシル基(例えば、1つまたはそれを上回るヒドロキシル基)とを含む、化合物を指す。本開示の文脈では、アミノアルコールのアミン基および/またはヒドロキシル基は、反応済みまたは未反応であることができる。例えば、処理層が、アミノアルコールを含むと言及されるとき、アミノアルコールは、未反応アミン基および/または別の化合物のエポキシ基等の官能基と反応したアミン基を含むことができるが、本開示は、それに限定されない。アミノアルコールはまた、未反応ヒドロキシル基および/またはさらに別の化合物のイソシアネート基等の官能基と反応したヒドロキシル基を含むことができるが、本開示は、それらに限定されない。
【0012】
アミノアルコールは、アミン基(例えば、1つまたはそれを上回るアミン基)と、ヒドロキシル基(例えば、1つまたはそれを上回るヒドロキシル基)とを含む、任意の好適な化合物を含むことができる。例えば、アミノアルコールは、アミン基およびヒドロキシル基を含む、任意の好適なオリゴマーおよび/またはポリマー、もしくはそのようなオリゴマーおよび/またはポリマーの任意の好適な混合物を含むことができる。アミノアルコールは、室温で固体または液体である、化合物を含むことができる。特定の実施形態では、アミノアルコールが室温で液体であるとき、処理層上のコーティング層は、室温で固体であるアミノアルコールを含む、処理層上のコーティング層より優れた処理層(または基板)への湿潤接着性を呈する。本開示は、任意の特定の機構または理論によって限定されないが、室温で液体であるアミノアルコールは、ゾルゲル変換コーティングの表面上の液体アミノアルコールの移動度が改良され、それによって、液体アミノアルコールとゾルゲル変換コーティングの官能基(例えば、エポキシ基)の反応の量を改善させた結果、室温で固体であるアミノアルコールによって提供されるものより優れた接着性を提供し得ると考えられる。それにもかかわらず、アミノアルコールは、室温で固体であるものを含むことができる。
【0013】
アミノアルコールは、任意の好適な数のヒドロキシル基を含むことができる。しかしながら、より多い数のヒドロキシル基を含むアミノアルコールは、比較的に少ない数のヒドロキシル基を含むアミノアルコールを含む処理層上のコーティング層のものより優れた感水性を有する、コーティング層をもたらすであろう。したがって、特定の実施形態では、アミノアルコールは、1〜3個のヒドロキシル基を含み、特定の実施形態では、アミノアルコールは、単一ヒドロキシル基を含むが、アミノアルコールは、それに限定されない。
【0014】
アミノアルコールは、任意の好適な数のアミン基を含むことができる。特定の実施形態では、アミノアルコールは、1〜3個のアミン基を含み、特定の実施形態では、アミノアルコールは、単一アミン基を含むが、アミノアルコールは、それに限定されない。
【0015】
アミノアルコールは、[N(R)(R)]−R−(R’−OH)R”によって表される化合物を含むことが、アミノアルコールは、それに限定されない。前述のように、アミノアルコールは、任意の好適な数のアミン基と、任意の好適な数のヒドロキシル基とを含むことができる。例えば、zは、1〜3であることができ、xも、1〜3であることができる。アミン基では、RおよびRはそれぞれ、独立して、任意の好適な官能基であることができる。例えば、RおよびRはそれぞれ、独立して、水素原子またはC1〜C6のアルキル基であることができる。Zが1を上回るとき、各Rおよび各Rは、同一であるか、または異なってもよい。しかしながら、Rおよび/またはRの立体サイズが増加するにつれて、アミノアルコールのアミン基の反応性は、減少する。例えば、RおよびRがそれぞれ水素原子である前述の化合物を含む、アミノアルコールは、RおよびRがそれぞれt−ブチル基である化合物のものより高い反応性を有する、アミン基を有する。したがって、アミノアルコールのアミン基の反応性は、RおよびRの立体サイズを制御することによって制御されてもよい。特定の実施形態では、RおよびRはそれぞれ、水素原子である。
【0016】
[N(R)(R)]−R−(R’−OH)R”によって表される化合物では、R、R’、およびR”は、任意の好適な炭化水素系連結基であることができる。本明細書で使用されるように、用語「炭化水素系連結基」は、当業者によって理解されるであろうように、水素および炭素を化合物の主原子として含む、連結基を指し、環状、芳香族、および脂肪族連結基を含む。例えば、いくつかの実施形態では、RおよびR’はそれぞれ、独立して、C1〜C30のアルキレン基を含むことができ、R”は、水素原子またはC1〜C30のアルキル基を含むことができる。Xが1を上回るとき、R’はそれぞれ、同一であるか、または異なることができ、yが1を上回るとき、R”はそれぞれ、同一であるか、または異なることができる。特定の実施形態では、yは、0〜2であることができ、x+y+z=4である。
【0017】
アミノアルコールの例として、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、アミノメチルプロパノール、ジメチルアミノエタノール、アミノヒドロキシエチルペンタンジオール、アミノペンタンジオール、およびアミノメチルブタノールが挙げられるが、アミノアルコールは、それらに限定されない。例えば、好適なアミノアルコールのいくつかの付加的非限定的な例として、2−アミノエタノール(すなわち、モノエタノールアミン)、2,2’イミノジエタノール(すなわち、ジエタノールアミン)、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン(すなわち、トリエタノールアミン)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルペンタメチレンジアミン、N−ヒドロキシプロピルテトラメチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、N,N−ジヒドロキシエチルジエチレントリアミン、N,N”−ジヒドロキシエチルジエチレントリアミン、N−ヒドロキシプロピルジエチレントリアミン、N,N−ジヒドロキシプロピルジエチレントリアミン、N,N”−ジヒドロキシプロピルジエチレントリアミン、N−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、N−ヒドロキシプロピルプロピレンジアミン、N−ヒドロキシエチルジプロピレントリアミン、N−ジヒドロキシエチルジプロピレントリアミン、N,N’−ジヒドロキシエチルジプロピレントリアミン、およびトリス−ヒドロキシエチルトリエチレンテトラアミンが挙げられる。特定の実施形態では、アミノアルコールは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む。特定の実施形態では、アミノアルコールは、ジメチルアミノエタノールおよび/またはアミノヒドロキシエチルペンタンジオールを含む。
【0018】
ゾルゲル変換コーティングは、当技術分野において使用される任意の好適なゾルゲル変換コーティングを含むことができる。例えば、ゾルゲル変換コーティングは、米国特許第5,789,085号、第5,814,137号、第5,849,110号、第5,869,140号、第5,869,141号、および第5,939,197号に説明されるゾルゲルフィルムを含むことができるが、ゾルゲル変換コーティングは、それに限定されない。ゾルゲル変換コーティングの例として、アルコキシジルコニウム、酢酸イットリウム三水和物、イットリウム2−エチルヘキサノエート、i−プロポキシイットリウム、メトキシエトキシイットリウム、硝酸イットリウム、酢酸セリウム水和物、セリウムアセチルアセトネート水和物、セリウム2−ヘキサン酸エチル、i−プロポキシセリウム、ステアリン酸セリウム、硝酸セリウム、硝酸ランタン六水和物、酢酸ランタン水和物、アセチルアセトン酸ランタン、またはそれらの混合物を含む、有効量(例えば、ゾルゲル組成物の最大1体積%までの量)の有機金属と、有機金属と錯化するための有効量の反応性有機シランとを含む、ゾルゲル組成物から形成されるものが挙げられるが、ゾルゲル組成物は、それらに限定されない。例えば、ゾルゲル変換コーティングは、ジルコニウムおよび有機シランを含む、ゾルゲル組成物から形成されることができる(例えば、ゾルゲル変換コーティングは、ジルコン酸エポキシシランまたはジルコン酸アミノシランを含むことができる)。ゾルゲル組成物の市販の例として、Desogel EAP−9(PPG Aerospaceから入手可能)が挙げられる。ゾルゲル組成物はさらに、有機酸触媒およびジルコニウム安定化剤を含むことができる。当業者は、そのようなゾルゲル変換コーティングを調製する方法を容易に理解するであろう。例えば、当業者は、ゾルゲル組成物の性能が、Si/Zr比率、ゾルゲル組成物の成分の比率、ゾルゲル組成物の濃度、担体溶媒、溶液の熟成、触媒、表面事前処理、塗布方法、および硬化プロセスを制御することによって制御されることができることを容易に理解するであろう。したがって、ゾルゲル変換コーティングの調製および組成物は、本明細書にさらに説明されない。
【0019】
コーティング層は、任意の好適なポリウレタンを含むことができるが、コーティング層は、それに限定されない。例えば、コーティング層は、ヒドロキシル官能性ポリオールと有機ポリイソシアネートの反応から形成されることができる。好適なポリウレタンコーティングは、2部コーティング組成物を含むが、コーティング層は、それに限定されない。2部組成物は、ベース成分と、活性剤成分とを含むことができる。活性剤成分は、イソシアネート官能性を有する化合物を含むことができ、ベース成分は、ヒドロキシル官能性を有する化合物を含むことができる。ベースおよび活性剤成分は、コーティング組成物の塗布の直前に混合され、コーティング層を形成することができる。混合され、基板上にコーティングされると、コーティング組成物は、活性剤成分中のイソシアネート基が、ベース成分中のヒドロキシル基と反応するにつれて、硬化し、ポリウレタンコーティングをもたらす。活性剤成分中のイソシアネート基のいくつかは、アミノアルコールのヒドロキシル基と反応し、コーティング層をゾルゲル変換層に付着させる。市販のコーティング組成物の実施例として、DEFTHANE(登録商標) ELT(DEFTHANE(登録商標)は、PRC−DeSoto International, Inc.(Sylmar, California)の登録商標である)が挙げられるが、コーティング組成物は、それに限定されない。コーティング組成物はまた、腐食阻害剤を含むことができる。
【0020】
コーティング組成物はさらに、触媒、着色剤、充填剤、UV吸収剤、流動補助剤、およびレオロジー制御剤等のコーティング組成物のための従来の添加剤を含んでもよい。触媒は、硬化反応を助長し、第三級アミン、金属化合物触媒、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。好適な第三級アミン触媒の例として、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、トリエチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、および同等物が挙げられるが、触媒は、それに限定されない。好適な金属化合物触媒の例として、鉛、亜鉛、コバルト、チタネート、鉄、銅、およびスズの化合物が挙げられるが、金属化合物触媒は、それに限定されない。例えば、金属化合物触媒は、2−エチルヘキサン酸鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、チタン酸テトライソプロピル、ナフテン酸鉄、銅ナフテン酸、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、および同等物であってもよい。
【0021】
使用されるとき、触媒は、コーティング組成物中の樹脂固形分の総重量に基づいて、総量0.001〜0.05重量%において存在することができる。例えば、触媒は、コーティング組成物中の樹脂固形分の総重量に基づいて、0.005〜0.02重量%の量で存在することができる。
【0022】
レオロジー調整剤は、コーティング配合物の流動およびレベリング性を調整することができる、化合物を指す。コーティング配合物は、処理層の表面にわたって均一にコーティングされ得るように、好適な流動およびレベリング性を有するべきである。コーティング組成物は、レオロジー、粘度、表面張力、官能性のレベル、および同等物を調節すること等によって、ユーザの必要性を満たす任意の方法で調節されることができる。これらの調節は、例えば、樹脂分子量、溶媒組成物、コーティング配合物固体、塗布プロセス、コーティングフィルム厚さ、コーティング反応性、顔料組成物および濃度、ならびにレオロジー流動添加剤組成物および濃度を調節することによって、行われることができる。
【0023】
本明細書で使用されるように、用語「着色剤」は、色および/または他の不透明度および/または他の視覚的効果をコーティング組成物(またはコーティング層)に付与する、任意の物質を意味する。着色剤は、離散粒子、分散体、溶液、および/または薄片等の任意の好適な形態において、コーティング組成物(またはコーティング層)に添加されることができる。単一着色剤または2つもしくはそれを上回る着色剤の混合物が、本発明のコーティング中で使用されることができる。一方、「充填剤」は、必ずしも、任意の色および/または不透明度ならびに/もしくは他の視覚的効果をコーティング組成物(またはコーティング層)に付与しない。
【0024】
例示的着色剤として塗料産業において使用され、および/またはドライカラー製造者協会(Dry Color Manufacturers Association:DCMA)に列挙されるもの、ならびに特殊効果の組成物等の顔料、染料、および染色剤が挙げられる。着色剤は、例えば、不溶性であるが使用条件下で湿潤性になる、微細に分割された固体粉末を含んでもよい。着色剤は、有機または無機物であることができ、凝集性もしくは非凝集性であることができる。着色剤は、粉砕または単純混合によって、コーティング組成物(もしくはコーティング層)の中に組み込まれることができる。着色剤は、アクリル粉砕ビヒクル等の粉砕ビヒクルの使用によって、コーティング組成物(またはコーティング層)の中に粉砕することによって、組み込まれることができ、その使用は、当業者に周知である。
【0025】
例示的顔料および/または顔料組成物として、限定ではないが、カルバゾールジオキサジン粗製顔料、アゾ、モノアゾ、ジアゾ、ナフトールAS、塩型(レーキ)、ベンゾイミダゾロン、縮合物、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリンおよび多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アンタントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、二酸化チタン、カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛、他の伝導性顔料および/または充填剤、ならびにそれらの混合物が挙げられる。用語「顔料」および「着色充填材」は、本明細書では、同じ意味で使用される。
【0026】
例示的染料として、限定ではないが、酸性染料、アゾイック染料、塩基性染料、直接染料、分散染料、反応性染料、溶媒染料、硫化染料、媒染染料、例えば、バナジン酸ビスマス、アントラキノン、ペリレン、アルミニウム、キナクリドン、チアゾール、チアジン、アゾ、インジゴイド、ニトロ、ニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、キノリン、スチルベン、ならびにトリフェニルメタン等の溶媒系および/または水性系であるものが挙げられる。
【0027】
例示的染色剤として、限定ではないが、Degussa,Inc.から市販のAQUA−CHEM896、Eastman Chemicals,Inc.の子会社であるAccurate Dispersionsから市販のCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTS等の水系または水混和性担体中に分散された顔料が挙げられる。
【0028】
前述のように、着色剤は、限定ではないが、ナノ粒子分散体を含む、分散体の形態であることができる。ナノ粒子分散体は、所望の可視色および/または不透明度ならびに/もしくは視覚的効果をもたらす、1つまたはそれを上回る高度に分散されたナノ粒子着色剤および/または着色剤粒子を含むことができる。ナノ粒子分散体は、70nm未満または30nm未満等の150nm未満の粒子サイズを有する顔料または染料等の着色剤を含むことができる。ナノ粒子は、原料である有機または無機顔料と0.5mm未満の粒子サイズを有する粉砕媒体を製粉化することによって、生成されることができる。例示的ナノ粒子分散体およびそれを作製する方法は、米国特許第6,875,800B2号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に明らかにされている。ナノ粒子分散体はまた、結晶化、沈殿、気相縮合、および化学摩滅(すなわち、部分的溶解)によって生成されることができる。
【0029】
コーティング組成物(またはコーティング層)中のナノ粒子の再凝集を最小限にするために、樹脂コーティングされたナノ粒子の分散体が、使用されることができる。本明細書で使用されるように、「樹脂コーティングされたナノ粒子の分散体」は、ナノ粒子およびナノ粒子上の樹脂コーティングを含む、分散された離散「複合マイクロ粒子」である、連続相を指す。樹脂コーティングされたナノ粒子の例示的分散体およびそれを作製するための方法は、例えば、米国特許第7,605,194号(第3欄第56行から第16欄第25行)に説明されており、その引用部分は、参照することによって本明細書に組み込まれる。二酸化チタンでコーティングされたアルミニウム酸化物等のコーティングされた粒子もまた、使用されることができる。
【0030】
使用され得る例示的特殊効果組成物として、反射率、真珠光沢、金属光沢、リン光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズム、および/または色の変化等の1つまたはそれを上回る外観効果をもたらす、顔料ならびに/もしくは組成物が挙げられる。付加的特殊効果組成物は、不透明度またはテクスチャ等の他の知覚可能な特性を提供することができる。非限定的実施形態では、特殊効果組成物は、コーティングが異なる角度から見られると、コーティングの色が変化するような色シフトをもたらすことができる。例示的色効果組成物は、米国特許第6,894,086号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に明らかにされている。付加的色効果組成物として、透明なコーティングされたマイカおよび/または合成マイカ、コーティングされたシリカ、コーティングされたアルミナ、透明液晶顔料、液晶コーティング、および/または任意の組成物が挙げられ得、干渉は、材料表面と空気との間の屈折率差のためではなく、材料内の屈折率差から生じる。
【0031】
特定の非限定的実施形態では、1つまたはそれを上回る光源に暴露されたときにその色を可逆的に改変する、感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物が、本発明のコーティング組成物(またはコーティング層)において使用されることができる。フォトクロミックおよび/または感光性組成物は、規定された波長の放射への暴露によって活性化されることができる。組成物が励起されると、分子構造は、変化され、改変された構造は、組成物の元の色と異なる新しい色を呈する。放射への暴露が除去されると、フォトクロミックおよび/または感光性組成物は、静止状態に戻ることができ、組成物の元の色が戻る。一非限定的実施形態では、フォトクロミックおよび/または感光性組成物は、非励起状態では、無色であって、励起状態では、色を呈することができる。完全色変化は、20秒〜60秒等、数ミリ秒〜数分以内に現れることができる。例示的フォトクロミックおよび/または感光性組成物として、フォトクロミック染料が挙げられる。
【0032】
非限定的実施形態では、感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は、重合性成分のポリマーおよび/またはポリマー材料に、共有結合等によって会合ならびに/もしくは少なくとも部分的に結合することができる。感光性組成物が、コーティング組成物(またはコーティング層)から移動し、基板の中に結晶化し得る、いくつかのコーティングとは対照的に、本発明の非限定的実施形態による、ポリマーおよび/または重合性成分と会合ならびに/もしくは少なくとも部分的に結合される、感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は、コーティング組成物(またはコーティング層)からの最小限の移動を有する。例示的感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物ならびにそれを作製するための方法は、米国特許第8,153,344B2号において明らかにされており、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0033】
一般に、着色剤は、所望の視覚的および/または色効果を付与するために十分な任意の量で存在することができる。着色剤は、3〜40重量%または5〜35重量%等の本コーティング組成物の1〜65重量%を占めてもよく、重量%は、コーティング組成物の総重量に基づく。
【0034】
「摩耗抵抗粒子」は、コーティング組成物(またはコーティング層)内で使用されると、これら粒子を欠いている同一コーティング層と比較して、特定のレベルの摩耗抵抗をコーティング層に付与し得るものである。好適な摩耗抵抗粒子として、有機および/または無機粒子が挙げられる。好適な有機粒子の例として、限定ではないが、ダイヤモンド粉末粒子等のダイヤモンド粒子および炭化物材料から形成される粒子が挙げられる。炭化物粒子の例として、限定ではないが、炭化チタン、炭化ケイ素、および炭化ホウ素が挙げられる。好適な無機粒子の実施例として、限定ではないが、シリカ;アルミナ;アルミナシリケート;シリカアルミナ;アルカリアルミノシリケート;ホウケイ酸塩ガラス;窒化ホウ素および窒化ケイ素を含む窒化物;二酸化チタンおよび酸化亜鉛を含む酸化物;石英;霞石閃長岩;酸化ジルコニウムの形態等のジルコン;バデレアイト;ならびにユージアライトが挙げられる。任意のサイズの粒子が、使用されることができ、異なる粒子および/または異なるサイズの粒子の混合物も使用することができる。例えば、粒子は、0.1〜50、0.1〜20、1〜12、1〜10、もしくは3〜6ミクロンの平均粒子サイズ、またはこれらの範囲のいずれか内の任意の組み合わせを有する、微粒子であることができる。粒子は、0.8〜500、10〜100、もしくは100〜500ナノメートル、またはこれらの範囲内の任意の組み合わせ等、0.1ミクロン未満の平均粒子サイズを有する、ナノ粒子であることができる。
【0035】
コーティング組成物は、スプレーコーティング、グラビア印刷コーティング、ダイコーティング、浸漬コーティング、または印刷等の任意の好適なコーティング方法を使用して、処理層の少なくとも一部に塗布されることができるが、方法は、それに限定されない。コーティング層は、0.5〜5ミル(例えば、12μm〜130μm)等の任意の好適な乾燥フィルム厚を有することができるが、コーティング層は、それに限定されない。コーティング組成物は、熱、UV、またはNIR(近赤外線放射)等の任意の好適な技法を使用して硬化されることができるが、硬化は、それに限定されない。当業者は、コーティング組成物を硬化するための条件を容易に理解し得るため、したがって、それらの条件は、本明細書にさらに説明されない。
【0036】
本開示は、ゾルゲル変換コーティング層へのポリウレタンを含むコーティング層またはヒドロキシル官能性ポリオールおよびポリイソシアネートを含む組成物から形成されるコーティング層の接着性に関して説明されているが、本開示は、それに限定されず、アミノアルコールを含む処理層および/または溶液は、アミノアルコールの官能基と好適に反応性である官能基を有する、任意の2つの層をともに接着するために使用されることができる。
【0037】
特定の実施形態では、基板は、金属および/または金属合金を含む。例えば、基板は、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、亜鉛−アルミニウム合金)、チタン、チタン合金、複合材料(例えば、炭素繊維補強ポリマー)、鋼鉄(例えば、シート鋼鉄、冷間圧延鋼鉄、電気亜鉛めっき鋼鉄、溶融亜鉛めっき鋼鉄、アルミニウムめっき鋼鉄、アルミニウム合金めっき鋼鉄、および/またはステンレス鋼)、鋳鉄、非鉄金属(例えば、真鍮、青銅、および/またはマグネシウム、銅、銀、金、ならびに/もしくはその合金)、エポキシ、ウレタン、黒鉛、アクリル、および/またはポリカーボネートを含むことができるが、基板は、それに限定されない。本明細書で使用されるように、用語「炭素繊維補強ポリマー」は、任意の好適な炭素繊維補強プラスチック、炭素繊維補強熱可塑性樹脂、または炭素繊維を指し、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、および/またはナイロン等の任意の好適なポリマー(例えば、熱硬化性または熱可塑性ポリマーもしくは樹脂)、ならびに炭素繊維、アラミド繊維、アルミニウム繊維、および/またはガラス繊維等の補強繊維を含み得る。
【0038】
本開示の特定の実施形態による物品を製造する方法が、図3のフロー図によって図示される。本実施形態によると、方法(200)は、部分的に硬化されたゾルゲル組成物を基板の少なくとも一部に塗布するステップ(202)を含む。例えば、基板に塗布されるステップに先立って、ゾルゲル組成物は、混合および触媒され(例えば、30分の時間の間)、部分的に硬化されたゾルゲル組成物を形成してもよい。しかしながら、方法(200)は、部分的に硬化されたゾルゲル組成物を基板の少なくとも一部に塗布するステップ(202)に限定されず、代わりに、未硬化ゾルゲル組成物を基板の少なくとも一部に塗布するステップを含んでもよい。ゾルゲル組成物および基板は、前述のもの等、任意の好適なゾルゲル組成物および基板であることができる。この方法はさらに、ゾルゲル組成物を少なくとも部分的に乾燥させ、ゾルゲル変換コーティング(例えば、部分的または完全に硬化されたゾルゲル変換コーティング)を形成するステップ(204)を含む。方法はまた、部分的に硬化されたゾルゲル組成物をさらに硬化(例えば、さらに部分的に硬化)させ、ゾルゲル変換コーティング(例えば、部分的または完全に硬化されたゾルゲル変換コーティング)を形成するステップを含んでもよい。この方法が、未硬化ゾルゲル組成物を基板の少なくとも一部に塗布するステップを含むとき、この方法は、未硬化ゾルゲル組成物を少なくとも部分的に硬化させるステップを含むことができる。
【0039】
本開示の実施形態によると、物品は、限定ではないが、乗り物または乗り物の部品もしくは構成要素を含むことができる。「乗り物」は、本明細書では、その最大限の広義の意味で使用され、限定ではないが、車、トラック、バス、バン、重作業機、飛行機、ゴルフカート、オートバイ、自転車、鉄道車両、および同等物等のあらゆるタイプの乗り物を含む。例えば、乗り物は、限定ではないが、大型の商業用および貨物用飛行機、ヘリコプター、ロケット、および他の航空機を含む、航空宇宙機(例えば、飛行機)を含むことができる。したがって、物品は、例えば、航空宇宙機部品および構成要素を含む、任意の数の乗り物部品または構成要素を含むことができる。
【0040】
部分的に硬化されたゾルゲル組成物を少なくとも部分的に乾燥および/またはさらに硬化させ、ゾルゲル変換コーティングを形成するステップは、10分〜20時間、または、例えば、10分〜16時間の時間の間、実施されてもよいが、本開示は、それに限定されない。特定の実施形態では、部分的に硬化されたゾルゲル組成物を少なくとも部分的に乾燥および/またはさらに硬化させ、ゾルゲル変換コーティングを形成するステップは、24時間未満の時間の間、実施されてもよい。例えば、ゾルゲル変換コーティングが、ジルコン酸エポキシシランまたはジルコン酸アミノシランを含み(例えば、ゾルゲル変換コーティングが、ジルコニウムおよび有機シランを含むゾルゲル組成物から形成され)、部分的に硬化されたゾルゲル組成物を少なくとも部分的に乾燥および/またはさらに硬化させるステップが、24時間を上回る時間の間、実施される(またはゾルゲル変換コーティングが、完全に硬化される)とき、ゾルゲル変換コーティングを湿潤させるためのアミノアルコールの能力は、低下され得、処理層を形成するためのアミノアルコールの能力は、損なわれ得る。前述の時間は、標準的温度および圧力で行われる、少なくとも部分的に乾燥および/またはさらに硬化させるステップに基づく。したがって、温度および/または圧力の変更は、乾燥および/または硬化時間に影響を及ぼし得、これはまた、相対湿度等の他の条件における変化によっても影響され得る。例えば、温度が、室温を上回って上昇されると、ゾルゲル変換コーティングを少なくとも部分的に乾燥および/またはさらに硬化させるための時間は、短縮され得る。
【0041】
方法(200)はさらに、アミノアルコールを含む溶液をゾルゲル変換コーティング(206)(例えば、部分的または完全に硬化されたゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部上)に塗布するステップを含む。アミノアルコールは、任意の濃度において溶液中に存在してもよい。例えば、特定の実施形態では、処理層は、アミノアルコールから本質的に成るまたは成る溶液から形成される。本文脈では、「本質的に成る」とは、溶液中の任意の付加的成分が、ゾルゲル変換層および/またはコーティング層等の別の層へのこの溶液から形成される処理層の接着性に実質的に影響を及ぼさないことを意味する。
【0042】
他の実施形態では、溶液はさらに、水(例えば、溶液は、水溶液である)または有機溶媒を含む。有機溶媒は、アミノアルコールを溶解可能である任意の好適な溶媒であることができる。例えば、有機溶媒は、溶液の総重量に基づいて、0.5重量%またはそれを上回る量でアミノアルコールを溶解可能である、有機化合物を含むことができるが、有機溶媒は、それに限定されない。
【0043】
アミノアルコールは、水または有機溶媒中へのアミノアルコールの溶解限界までの0を上回る(例えば、0.05w/w%を上回る)量において、溶液中に存在してもよい。水または有機溶媒中のアミノアルコールの溶解限界は、当業者によって容易に判定されることができる。例えば、室温で固体であるアミノアルコールの溶解度を判定するために、溶解限界は、過剰量の固体アミノアルコールを所望の溶媒中に溶解させ、得られたものを濾過し、未溶解アミノアルコールを溶液から除去し、次いで、重量法を使用して溶解度を判定することによって、判定されることができる。長さ4個未満の炭素原子であって、室温で液体である、アミノアルコールは、概して、あらゆる割合において混和性である。
【0044】
いくつかの実施形態では、例えば、アミノアルコールは、溶液の総重量に基づいて、0超〜0.5重量%の量または0.5重量%もしくはそれを上回る量(例えば、0.5重量%から水または有機溶媒中へのアミノアルコールの溶解限界までの量)において存在してもよい。いくつかの実施形態では、アミノアルコールは、溶液の総体積に基づいて、0.4〜40体積%の量で溶液中に存在する。例えば、アミノアルコールは、溶液の総体積に基づいて、0.4体積%の量で溶液中に存在してもよい。アミノアルコールのより高い濃度(例えば、溶液の総重量に基づいて、1.5重量%を上回る濃度)では、室温で固体であるアミノアルコールから形成される処理層は、不良な接着性性能を呈し得る一方、室温で液体であるアミノアルコールから形成される処理層は、改良された接着性を呈し得るが、また、過剰量の未反応ヒドロキシル基が存在する場合、感水性を呈し得る。
【0045】
特定の実施形態によると、アミノアルコールが、溶液の総重量に基づいて、0.5重量%またはそれを上回る量で溶液中に存在するとき、方法はさらに、溶液がゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部上に塗布された後、溶液(または溶液から形成される処理層)を濯ぐステップを含むことができる。例えば、溶液は、ゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部上に塗布されることができ、溶液は、10分〜16時間未満の時間、例えば、30分の時間の間、ゾルゲル変換コーティング上に留まることができる。次いで、ゾルゲル変換コーティング上の溶液(例えば、物品または処理層)は、水または有機溶媒で濯がれることができる。代替として、アミノアルコールが、溶液の総重量に基づいて、0.5重量%またはそれ未満の量で溶液中に存在するとき、濯ぎステップは、省略されてもよい。
【0046】
図3に示される実施形態では、方法(200)はさらに、アミノアルコールを含む溶液を少なくとも部分的に乾燥させ、処理層を形成するステップ(208)を含む。特定の実施形態では、少なくとも部分的に乾燥させるステップは、10分〜16時間未満の時間の間、行われることができる。少なくとも部分的に乾燥させるステップは、14℃〜31℃の温度で行われることができる。代替として、少なくとも部分的に乾燥させるステップは、より短い時間の間、高温で、例えば、10分〜4時間を超えない間、50℃で行われることができる。アミノアルコールが、溶液の総重量に基づいて、0.5重量%またはそれ未満の量で溶液中に存在するとき、前述の溶液(または処理層)を濯ぐステップは、省略されてもよく、溶液は、直接、乾燥され、処理層をゾルゲル変換コーティング上に形成してもよい。
【0047】
本開示の別の実施形態による、物品を製造する方法は、図4のフロー図によって図示される。本実施形態によると、方法(300)は、部分的に硬化されたゾルゲル組成物を基板の少なくとも一部に塗布するステップ(302)と、部分的に硬化されたゾルゲル組成物を少なくとも部分的に乾燥させ、ゾルゲル変換コーティング(例えば、部分的または完全に硬化されたゾルゲル変換コーティング)を形成するステップ(304)と、アミノアルコールを含む溶液をゾルゲル変換コーティングの少なくとも一部に塗布するステップ(306)と、アミノアルコールを含む溶液を少なくとも部分的に乾燥させ、処理層を形成するステップ(308)とを含み、図3に関して前述のように、部分的に硬化されたゾルゲル組成物をさらに硬化させる(または未硬化ゾルゲル組成物を少なくとも部分的に硬化させる)ステップを含んでもよい。方法(300)は、部分的に硬化されたゾルゲル組成物を塗布するステップに限定されず、代わりに、未硬化ゾルゲル組成物を基板の少なくとも一部に塗布するステップを含んでもよい。方法(300)はさらに、コーティング組成物を処理層の少なくとも一部に塗布するステップ(310)を含む。コーティング組成物は、前述のもの等の任意の好適なコーティング組成物または当技術分野において使用される任意の好適なコーティング組成物であることができる。方法(300)はさらに、コーティング組成物を硬化させ、コーティング層を形成するステップ(312)を含む。当業者は、コーティング組成物を硬化させるための条件を容易に理解するであろうため、したがって、それらの条件は、本明細書にさらに説明されない。
【0048】
本開示の実施形態は、以下の実施例を参照して以下にさらに説明される。しかしながら、実施例は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。例えば、実施例は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、アミノアルコールを含むが、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、アミノメチルプロパノール、ジメチルアミノエタノール、アミノヒドロキシエチルペンタンジオール、アミノペンタンジオール、および/またはアミノメチルブタノール等の他のアミノアルコールまたはアミノアルコールの混合物も、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと置換または混合されることができることを理解され得る。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
アルミニウムでクラッディングされた2024T3アルミニウム合金を含む、基板が、水切れのない表面が得られるまで、脱イオン水およびスコッチ・ブライト#7447研磨パッド(3M Companyから入手可能)を使用して基板を研磨洗浄することによって、ゾルゲル前処理のために調製された。本明細書で使用されるように、用語「水切れのない表面」とは、表面が垂直位置に保持されたとき、玉状化または排水しない水の不断シートを表面上に有し得る表面を指す。基板は、脱イオン水で濯がれ、紙タオルで拭き取られ、汚れ(例えば、残留物)を除去した。基板は、再び、濯がれ、紙タオルによって残された糸くずおよび/または粒子状物を除去し、周囲温度で空気中で乾燥された。
【0050】
ゾルゲル組成物(Desogel EAP−9、PPG Aerospaceから入手可能)が、高容量低圧(HVLP)スプレー塗布ガンを使用して、基板に塗布された。ゾルゲル組成物は、周囲温度において、空気中で10分の時間の間、乾燥された。10分の空気乾燥後、過剰な材料は、吸収性紙タオル、糸くずの出ない綿布、またはナイロンパッドを用いて過剰材料を吸い取るまたは拭き取ることによって、基板から除去された。ゾルゲル組成物は、20時間の時間の間、周囲温度において空気中で1晩、部分的に硬化され、部分的に硬化されたゾルゲル変換コーティングを形成した。
【0051】
アミノアルコールを含む処理層が、5分の時間にわたって、HVLPスプレー塗布ガンを使用して、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを40重量%の量(水溶液の総重量に基づいて)で含む水溶液をゾルゲル変換コーティングに塗布することによって、基板上に形成された。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、30分の時間の間、周囲温度において空気中で基板上で乾燥された。過剰トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、1分間の脱イオン水スプレー濯ぎを使用して、基板から濯ぎ落とした。基板は、次いで、15〜30分間、周囲温度において空気中で乾燥された。
【0052】
次いで、コーティング層が、ポリウレタン系コーティング組成物の総重量に基づいて、80〜90重量%(ここでは、84重量%)DEFTHANE(登録商標) ELT(DEFTHANE(登録商標)は、PRC−DeSoto International,Inc.(Sylmar,California)の登録商標である)と10〜20重量%(ここでは、16重量%)重量%珪灰石とを含むポリウレタン系コーティング組成物を使用して、処理層上に形成された。ポリウレタン系コーティング組成物は、HVLPスプレー塗布ガンを使用して、処理層に塗布された。コーティング層は、乾燥フィルム厚2.5〜3.5ミルまで形成され、次いで、14日間、周囲温度において空気中で完全に硬化され、コーティングされた基板を形成した。
(実施例2)
【0053】
コーティングされた基板が、12重量%のHybricor294(Wayne Pigment Corp.(Milwaukee,Wisconsin)から入手可能)が珪灰石の代わりに使用されたことを除き、実施例1におけるように形成された。
(実施例3)
【0054】
コーティングされた基板が、水溶液中のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの量が40重量%の代わりに2重量%であって、過剰のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが基板から濯ぎ落とされなかったことを除き、実施例1におけるように形成された。
(実施例4)
【0055】
コーティングされた基板が、水溶液中のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの量が2重量%の代わりに1.5重量%であったことを除き、実施例3におけるように形成された。
(実施例5)
【0056】
コーティングされた基板が、水溶液中のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの量が2重量%の代わりに1重量%であったことを除き、実施例3におけるように形成された。
(実施例6)
【0057】
コーティングされた基板が、水溶液中のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの量が2重量%の代わりに0.5重量%であったことを除き、実施例3におけるように形成された。
(実施例7)
【0058】
コーティングされた基板が、AC−131(3M Corporationから入手可能)がDesogel EAP−9の代わりに使用され、水溶液中のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの量が40重量%の代わりに水溶液の総体積に基づいて0.5体積%であって、過剰のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが基板から濯ぎ落とされなかったことを除き、実施例1におけるように形成された。
(実施例8)
【0059】
コーティングされた基板が、水溶液中のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの量が0.5体積%の代わりに1.5体積%であったことを除き、実施例7におけるように形成された。
(実施例9)
【0060】
コーティングされた基板が、AC−131(3M Corporationから入手可能)がDesogel EAP−9の代わりに使用され、水溶液が40重量%のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの代わりに水溶液の総体積に基づいて0.5体積%アミノエチルプロパンジオールを含み、過剰のアミノエチルプロパンジオールが基板から濯ぎ落とされなかったことを除き、実施例1におけるように形成された。
(実施例10)
【0061】
コーティングされた基板が、水溶液が0.5体積%の代わりに1.5体積%アミノエチルプロパンジオールを含んだことを除き、実施例9におけるように形成された。
(実施例11)
【0062】
コーティングされた基板が、AC−131(3M Corporationから入手可能)がDesogel EAP−9の代わりに使用され、水溶液が40重量%トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの代わりに水溶液の総体積に基づいて0.5体積%アミノメチルプロパンジオールを含み、過剰のアミノメチルプロパンジオールが基板から濯ぎ落とされなかったことを除き、実施例1におけるように形成された。
(実施例12)
【0063】
コーティングされた基板が、水溶液が0.5体積%の代わりに1.5体積%アミノメチルプロパンジオールを含んだことを除き、実施例11におけるように形成された。
(実施例13)
【0064】
コーティングされた基板が、AC−131(3M Corporationから入手可能)がDesogel EAP−9の代わりに使用され、水溶液が40重量%トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの代わりに水溶液の総体積に基づいて0.5体積%アミノメチルプロパノールを含み、過剰のアミノメチルプロパノールが基板から濯ぎ落とされなかったことを除き、実施例1におけるように形成された。
(実施例14)
【0065】
コーティングされた基板が、水溶液が0.5体積%の代わりに1.5体積%アミノメチルプロパノールを含んだことを除き、実施例13におけるように形成された。
(実施例15)
【0066】
コーティングされた基板が、AC−131(3M Corporationから入手可能)がDesogel EAP−9の代わりに使用され、水溶液が40重量%トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの代わりに水溶液の総体積に基づいて0.5体積%ジメチルアミノエタノールを含み、過剰のジメチルアミノエタノールが基板から濯ぎ落とされなかったことを除き、実施例1におけるように形成された。
(実施例16)
【0067】
コーティングされた基板が、水溶液が0.5体積%の代わりに1.5体積%ジメチルアミノエタノールを含んだことを除き、実施例15におけるように形成された。
(実施例17)
【0068】
コーティングされた基板が、AC−131(3M Corporationから入手可能)がDesogel EAP−9の代わりに使用され、水溶液が40重量%トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの代わりに水溶液の総体積に基づいて0.5体積%アミノメチルブタノールを含み、過剰のアミノメチルブタノールが基板から濯ぎ落とされなかったことを除き、実施例1におけるように形成された。
(実施例18)
【0069】
コーティングされた基板が、水溶液が0.5体積%の代わりに1.5体積%ジメチルアミノエタノールを含んだことを除き、実施例17におけるように形成された。
(実施例19)
【0070】
コーティングされた基板が、AC−131(3M Corporationから入手可能)がDesogel EAP−9の代わりに使用され、水溶液が40重量%トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの代わりに水溶液の総体積に基づいて0.5体積%アミノペンタンジオールを含み、過剰のアミノペンタンジオールが基板から濯ぎ落とされなかったことを除き、実施例1におけるように形成された。
(実施例20)
【0071】
コーティングされた基板が、水溶液が0.5体積%の代わりに、1.5体積%アミノペンタンジオールを含んだことを除き、実施例19におけるように形成された。
(実施例21)
【0072】
コーティングされた基板が、AC−131(3M Corporationから入手可能)がDesogel EAP−9の代わりに使用され、水溶液が40重量%トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの代わりに水溶液の総体積に基づいて0.5体積%アミノヒドロキシエチルペンタンジオールを含み、過剰のアミノヒドロキシエチルペンタンジオールが基板から濯ぎ落とされなかったことを除き、実施例1におけるように形成された。
(実施例22)
【0073】
コーティングされた基板が、水溶液が0.5体積%の代わりに1.5体積%アミノヒドロキシエチルペンタンジオールを含んだことを除き、実施例21におけるように形成された。
(実施例23)
【0074】
コーティングされた基板が、AC−131(3M Corporationから入手可能)がDesogel EAP−9の代わりに使用され、100重量%のDEFTHANE AMC(登録商標)(PRC−DeSoto International,Inc.(Sylmar,California)から入手可能)(DEFTHANE(登録商標)は、PRC−DeSoto International,Inc.(Sylmar,California)の登録商標である)が、ポリウレタン系コーティング組成物の総重量に基づいて、DEFTHANE(登録商標) ELT(DEFTHANE(登録商標)は、PRC−DeSoto International,Inc.(Sylmar,California)の登録商標である)および珪灰石の代わりに使用され、過剰のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが基板から濯ぎ落とされなかったことを除き、実施例1におけるように形成された。
【0075】
(比較実施例1)
コーティングされた基板が、コーティングされた基板が処理層を含まないことを除き、実施例2におけるように形成された。
【0076】
(比較実施例2)
コーティングされた基板が、コーティングされた基板が処理層を含まないことを除き、実施例1におけるように形成された。
【0077】
(比較実施例3)
コーティングされた基板が、処理層が形成されなかったことを除き、実施例23におけるように形成された。
【0078】
(平均乾燥接着性)
実施例1および2ならびに比較実施例1および2に従ってコーティングされた基板と、実施例3−26および比較実施例3−6に従ってコーティングされた基板とが、卑金属(base metal)に硬化されたコーティングを通して45度斜交平行線けがきパターンを切り込み、テープNo.250(3M Companyから入手可能)を貼付し、一連の動作においてテープを除去し、コーティング除去のための試験面積を検査することによって、基板への接着性について試験された。コーティングされた基板は、視覚的に検査され、0〜10の尺度に従って評定され、0は、不良乾燥接着性に対応し、10は、良好な乾燥接着性に対応する。実施例1および2ならびに比較実施例1および2に従ってコーティングされた基板の3つのセット毎の試験の結果は、以下の表1に示される。実施例3−10ならびに比較実施例3および4に従ってコーティングされた基板の結果は、以下の表2に示される。実施例11−26に従ってコーティングされた基板の結果は、以下の表3に示される。実施例27および28ならびに比較実施例5および6に従ってコーティングされた基板の結果は、以下の表4に示される。
【0079】
(平均湿潤接着性)
実施例1および2ならびに比較実施例1および2に従ってコーティングされた基板と、実施例3−26および比較実施例3−6に従ってコーティングされた基板との3つのセットが、最初に、基板を硬化させ、7日間、脱イオン水中に浸漬し、次いで、45度斜交平行線けがきパターンを卑金属へのコーティング中に切り込み、テープNo.250(3M Companyから入手可能)を貼付し、一連の動作においてテープを除去し、コーティング除去のための試験面積を検査することによって、基板への接着性について試験された。コーティングされた基板は、視覚的に検査され、0〜10の尺度に従って評定され、0は、不良湿潤接着性に対応し、10は、良好な湿潤接着性に対応する。実施例1および2ならびに比較実施例1および2に従って3つのコーティングされた基板のセット毎の試験の結果は、以下の表1に示される。実施例3−10ならびに比較実施例3および4に従ってコーティングされた基板の結果は、以下の表2に示される。実施例11−26に従ってコーティングされた基板の結果は、以下の表3に示される。実施例27および28ならびに比較実施例5および6に従ってコーティングされた基板の結果は、以下の表4に示される。
【0080】
(塩スプレー試験)
実施例1および2ならびに比較実施例1および2に従ってコーティングされた基板の3つのセットが、ASTM B−117試験仕様に従って、3,000時間の間、中性塩スプレーを使用して試験された。実施例1および2ならびに比較実施例1および2に従って3つのコーティングされた基板のセット毎の試験の結果は、以下の表1に示される。
【0081】
(糸状腐食試験)
実施例1および2ならびに比較実施例1および2に従ってコーティングされた基板3つのセットと、実施例3−23および比較実施例3に従ってコーティングされた基板とが、パネルを横断して2つの1mm幅の対角線をけがき、1時間、濃縮されたHCl煙霧にけがきされたパネルを暴露し、次いで、暴露されたパネルを720時間、相対湿度80%および温度35℃に維持可能である環境チャンバの中に定置することによって、調製および試験された。
【0082】
均一エッチング腐食(UEC)測定(糸状腐食の測定として)もまた、実施例3−23および比較実施例3に従ってコーティングされた基板に対して行われた。UECは、金属表面上への直接化学攻撃(すなわち、HCl暴露)から生じ、金属表面のみを伴った。研磨された表面上では、本タイプの腐食は、最初は、表面の艶が全般的に消えて見られ、攻撃が継続される場合、表面は、粗面化し、可能性として、外観が曇る。UEC測定は、ASTM D1654−05採点システムに従って採点された。
【0083】
実施例1および2ならびに比較実施例1および2に従って3つのコーティングされた基板のセット毎の接着性および腐食試験結果は、以下の表1に示される。実施例3−6に従ってコーティングされた基板の結果は、以下の表2に示される。実施例7−22に従ってコーティングされた基板の結果は、以下の表3に示される。実施例23および比較実施例3に従ってコーティングされた基板の結果は、以下の表4に示される。
【0084】
【表1】
【0085】
表1に示される結果から分かるように、実施例1および2におけるように調製されたコーティングされた基板は、7日間の脱イオン水中への浸漬後、改良された湿潤接着性を呈し、特に、実施例1において、改良された中性塩スプレー腐食試験結果を呈した。
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
本開示の特定の実施形態が、例証の目的のために前述されたが、本開示の詳細の多数の変形例が、添付の請求項およびその均等物に定義される本発明から逸脱することなく成され得ることが当業者によって理解され得る。例えば、本明細書における実施形態は、「a(ある)」処理層、「a(ある)」コーティング層、および同等物に関連して説明されているが、これらの構成要素もしくは列挙される他の構成要素のいずれかのうちの1つまたはそれを上回るものが、本開示に従って使用されることができる。
【0090】
本開示の種々の実施形態が、「comprising(備える)」または「including(含む)」観点から説明されているが、本質的に成るまたは成る実施形態もまた、本開示の範囲内である。例えば、本開示は、アミノアルコールを含む処理層およびアミノアルコールを含む溶液を説明するが、アミノアルコールから本質的に成るまたは成る処理層および/または溶液もまた、本開示の範囲である。したがって、前述のように、処理層は、アミノアルコールから本質的に成る溶液から形成されてもよい。本文脈では、「consisting essentially of(本質的に成る)」とは、溶液または処理層内の任意の付加的構成要素が、ゾルゲル変換層および/またはコーティング層等の別の層への処理層の接着性に実質的に影響を及ぼさないことを意味する。
【0091】
加えて、本明細書における実施形態は、ポリウレタンを含むおよび/またはヒドロキシル官能性ポリオールおよびポリイソシアネートを含むコーティング組成物から形成される、コーティング層に関連して説明されているが、アミノアルコールのヒドロキシル基と反応可能な官能基を含む他のコーティング層も、使用されることができる。
【0092】
本明細書で使用されるように、別様に明示的に規定されない限り、値、範囲、量、またはパーセンテージを表すもの等の全ての数字は、単語「about(約)」によって前置きされる場合と同様に読まれ得る(本用語が明示的に表出していない場合でも)。さらに、単語「about(約)」の使用は、本開示が関連する当業者によって全て理解されるように、測定値と関連付けられた変動の境界域、有効数字、および互換性を反映する。本明細書に列挙される任意の数値範囲は、本明細書に包摂される全ての下位範囲を含むものと意図される。複数形は、単数形を包含し、また、その逆も同様である。例えば、本開示は、「an(ある)」アミノアルコールを説明するが、そのようなアミノアルコールの混合物も、使用されることができる。また、本明細書で使用されるように、用語「ポリマー」は、プレポリマー、オリゴマー、ならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方を指すことを意味し、接頭辞「poly(ポリ)」は、2つまたはそれを上回るものを指す。範囲が与えられるとき、それらの範囲の任意の端点および/またはそれらの範囲内の数字は、本開示の範囲内で組み合わせられることができる。用語「including(含む)」および類似用語は、「限定ではないが、〜を含む」ことを意味する。同様に、本明細書で使用されるように、用語「on(上に)」、「applied on(上に塗布される)」、および「formed on(上に形成される)」は、上に塗布される、または上に形成されるが、必ずしも、表面と接触しないことを意味する。例えば、基板の「formed on(上に形成される)」コーティング層は、形成されるコーティング層と基板との間に位置する同一または異なる組成物の1つまたはそれを上回る他のコーティング層の存在を除外するものではない。
【0093】
本明細書に記載される数値範囲およびパラメータは、近似値であり得るが、具体的実施例に記載の数値は、可能な限り精密に報告される。しかしながら、数値は、本来、そのそれぞれの試験測定に見出される標準偏差から必然的に生じるある誤差を含む。本説明および請求項において使用される単語「comprising(備える)」およびその変形例は、任意のそのような異型または追加を除外するように本開示を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4