(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429892
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】車載表示手段上にオブジェクトを表示するための方法、並びに、装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20181119BHJP
【FI】
G08G1/09 H
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-553299(P2016-553299)
(86)(22)【出願日】2015年1月28日
(65)【公表番号】特表2017-509067(P2017-509067A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】DE2015200036
(87)【国際公開番号】WO2015144145
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2017年9月6日
(31)【優先権主張番号】102014205511.3
(32)【優先日】2014年3月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】シュレプファー・イェルク
【審査官】
武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−196376(JP,A)
【文献】
特開2005−327250(JP,A)
【文献】
特開2009−255600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを包含することを特徴とする車両(F)の車載表示手段上にオブジェクトを表示するための方法において、
(a)車両(F)の周辺部に存在しているオブジェクト(O)を含む、センサーによっ て捕捉された複数の周辺画像(UB)を提供するステップ(S1);
(b)各オブジェクト(O)のオブジェクトタイプ(O−TYP)を認識するためにオ ブジェクト特徴を基にオブジェクト(O)を分類するステップ(S2);
(c)車両(F)の周辺部を描写する3Dシーンを作成するために、オブジェクト(O )の認識されたオブジェクトタイプ(O−TYP)に応じた三次元データモデル (3D−DM)を挿入するステップ(S3);
(d)作成された3Dシーンを車載表示手段に表示するステップ(S4);
オブジェクト(O)は、車両(F)の周辺部にある車両オブジェクト(FO)であって、その車両オブジェクト(FO)のそれぞれ帰属する3D車両データモデル及び/又は3D車両データモデルの識別子が無線インターフェースを介して車両(F)に伝達される車両オブジェクト(FO)を包含し、
車両(F)の受信手段によって、テレコミュニケーションシステムの無線ダウンリンク接続(DL)を介して受信された3D車両データモデル及び/又は車両(F)の近傍に存在する他の車両オブジェクト(FO)の3D車両データモデルの識別子が、車両(F)の送信手段から、テレコミュニケーションシステムの無線アップリンク接続(UL)を介して、車両(F)の周辺部の他の車両オブジェクト(FO)に転送される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
認識されたオブジェクトタイプ(O−TYP)の三次元データモデル(3D−DM)が、車両(F)のデータ保存手段から読み出されるか、或いは、無線ダウンリンク接続(DL)を介して、遠距離にあるデータベースからダウンロードされる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
周辺画像(UB)が、車両の少なくとも一つの車載センサー、特に、車載カメラから提供される
ことを特徴とする請求項1或いは2に記載の方法。
【請求項4】
他の車両オブジェクト(FO)から提供された3D車両データモデル及び/又は3D車両データモデルの識別子が、車両(F)の受信手段によって、テレコミュニケーションシステムの無線ダウンリンク接続(DL)を介して受信される
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
車両(F)の3D車両データモデル及び/又は3D車両データモデルの識別子が、車両(F)の送信手段から、テレコミュニケーションシステムの無線アップリンク接続(UL)を介して、車両(F)の近傍に存在する他の車両オブジェクト(FO)へ送信される
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
車両(F)、或いは、他の車両オブジェクト(FO)の3D車両データモデル及び/又は3D車両データモデルの識別子が、それぞれの車両(F)、或いは、車両オブジェクト(FO)のその時点の位置と共に伝達される
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
以下を備えている車両(F)用のサラウンド・ビュー・システム(1)において、
− 少なくとも一つの車載センサーユニット(2)、特に好ましくは、車両(F)の周 辺部に存在するオブジェクト(O)を包含する周辺画像を提供する車載カメラ、並 びに、
− 周辺画像内に包含されているオブジェクト(O)を該オブジェクトのタイプを認識 するために分類し、該分類されたオブジェクトの3Dデータモデルを、該計算ユニ ット(8)と接続されている車載表示手段(6)に表示される3Dシーンを作成す るために周辺画像内に挿入する計算ユニット(8)
車両(F)が、車両(F)の周辺部にある分類されたオブジェクトから得た3D車両データモデル及び/又は3D車両データモデルの識別子を、テレコミュニケーションシステムの無線アップリンク接続(UL)を介して、車両(F)の周辺部にある他の車両オブジェクト(FO)に転送する
ことを特徴とするサラウンド・ビュー・システム。
【請求項8】
他のオブジェクト(O)、特に、車両(F)の周辺部にある車両オブジェクト(FO)が、自らの3D車両モデル及び/又は3Dデータモデル識別子を、無線データ接続を介して、車両(F)に伝達する
ことを特徴とする請求項7に記載のサラウンド・ビュー・システム。
【請求項9】
他の車両オブジェクト(FO)から拡散される3Dデータモデル及び/又は3Dデータモデルの識別子が、車両(F)の送信手段から、テレコミュニケーションシステムの無線ダウンリンク接続(DL)を介して受信される
ことを特徴とする請求項8に記載のサラウンド・ビュー・システム。
【請求項10】
車両(F)が、自らの3D車両モデル及び/又は自らの3D車両モデルの識別子を、車両(F)の周辺部にある他の車両に、テレコミュニケーションシステムの無線アップリンク・データ接続(UL)を介して伝達する
ことを特徴とする請求項7から9の何れか一項に記載のサラウンド・ビュー・システム。
【請求項11】
車両(F)が、自らの最新の位置を捕捉し、この位置を、車両(F)の周辺部にある他の車両オブジェクト(FO)に、テレコミュニケーションシステムの無線アップリンク・データ接続(UL)を介して伝達する
ことを特徴とする請求項7から10の何れか一項に記載のサラウンド・ビュー・システム。
【請求項12】
請求項7から11の何れか一項に記載のサラウンド・ビュー・システム(1)と、自らの車両(F)のポジションデータ及び/又は車両(F)の周辺部にある他の車両オブジェクト(FO)のポジションデータを提供するナビゲーション・システムを装備したことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車載表示手段上にオブジェクト、特に車両オブジェクトを表示するための方法、並びに、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、カメラ画像から、車両のドライバーを、例えば、駐車や後進などの運転マヌーバの実施時にサポートするための表示画像を計算するサラウンド・ビュー・システムがますます搭載されるようになってきている。運転中、車両のドライバーは、サラウンド・ビュー・システムのサポートにより、車両を道路交通において安全に操舵するための判断を下す。更に、該サラウンド・ビュー・システムは、ドライバーを、例えば、より容易に目的地に達することができるように、周辺におけるオリエンテーションの際にもサポートする。判断を下す際やオリエンテーションにおいて効率的にドライバーをサポートできるようにするため、そしてそのために、ドライバーに可能な限り現実的な車両周辺部の画像を提供できるようにするため、ますます車載表示手段上に三次元表示画像が表示されるようになってきている。
【0003】
しかしながら、車載センサー類、特に、車載カメラによって捕捉されるオブジェクトは、それぞれの車載センサー類の視角から撮影され、オブジェクトの反対側は認識できない、乃至、見ることができないと言うことが、従来のサラウンド・ビュー・システムの欠点である。更には、他の車両オブジェクトが、完全に、或いは、部分的に、他のオブジェクト、特に他の車両オブジェクトによって覆われ、該覆われた車両オブジェクトの現実的な表示が不可能であるケースが多々ある。
【0004】
これらの問題を、
図1を用いて説明する。
図1に示されている例は、車両Fと更に二台の車両オブジェクトが、四車線の道路で出会った交通シチュエーションである。示されている例では、該道路は、それぞれの方向に二車線ずつの四車線を有している。
図1に示されている道路は、例えば、双方の走行方向に二車線有している自動車専用道であることができる。車両Fは、示されている例では、車両の前後左右に取り付けられている四台の車載カメラのカメラ画像を含むサラウンド・ビュー・システムSVSを有している。ここに示されている例では、反対車線において、例えば、乗用車や貨物車両であることができる第一車両オブジェクトFO1が、第二車両オブジェクトFO2を追い越し、これを少なくとも一部覆っている。よって、車両Fの左側にある車載カメラFK
Lには、第一車両オブジェクトFO1の左側のみ、場合によっては、覆われている第二車両オブジェクトFO2の左側の一部のみしか捕捉できない。あるタイミングにおいては、車載カメラFK
Lにとって、第二車両オブジェクトFO2は、ブジェクトFO1によって完全に覆われており、車両のサラウンド・ビュー・システムSVSの車載ディスプレー上の三次元シーン内での車両オブジェクトFO2の現実性のある表示は、不可能である。更に、ある種のオブジェクトでは、該当するオブジェクトの一方からのみの表示では、そのオブジェクトの現実性のある印象が得られない場合もあり得る。また、車両Fの周辺部にある車両オブジェクトの、或いは、その他のオブジェクトの車両画像は、周辺条件、特に、天候条件、例えば、降雪などに大きく影響されると言う危険性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の課題は、ドライバーが、運転判断や、交通流内におけるオリエンテーションに関してより効率的にサポートされることができるように、オブジェクトが、可能な限り現実的に描写される、車両の車載表示手段上にオブジェクトを表示するための方法、並びに、装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明の請求項1記載の特徴を有する方法によって達成される。
【0007】
それによれば、本発明は、以下のステップを有する車載表示手段上にオブジェクトを表示するための方法を実現する:
車両の周辺部に存在しているオブジェクトを含む、センサーによって捕捉された複数の周辺画像を提供するステップ、
各オブジェクトのオブジェクトタイプを認識するためにオブジェクト特徴を基にオブジェクトを分類するステップ、
車両の周辺部を描写する3Dシーンを作成するために、オブジェクトの認識されたオブジェクトタイプに応じた三次元データモデルを挿入するステップ、
作成された3Dシーンを車載表示手段に表示するステップ。
【0008】
本発明に係る方法は、車両の周辺部に存在しているオブジェクトの現実的かつ一義的な描写により、車両マヌーバの実施における安全性を高めると言う特別な長所を提供する。
【0009】
本発明に係る方法の可及的実施形態においては、認識されたオブジェクトタイプの三次元車両データモデルが、車両のデータ保存手段から読み出される。
【0010】
この実施形態は、様々な3Dデータモデルへのデータアクセスが、非常に早く行われると言う長所を提供する。
【0011】
本発明に係る方法の代案的実施形態では、認識されたオブジェクトタイプの3Dデータモデルは、テレコミュニケーションシステムの無線ダウンリンク接続を介して、遠距離にあるデータベースからダウンロードされる。
【0012】
この実施形態は、該データベースが、非常に多数の3Dデータモデルを備えている言う長所を提供できる。
【0013】
更には、双方の実施例を組み合わせることも可能である、即ち、車両のデータ保存手段に認識されたオブジェクトタイプの3Dデータモデルが無い場合、無線インターフェースを介して3Dデータモデルが、遠距離にあるデータベースからダウンロードされる。
【0014】
本発明に係る方法の可及的実施形態においては、周辺画像が、車両の車載センサー、特に、車載カメラによって提供される。
【0015】
本発明に係る方法の更なる可及的実施形態では、オブジェクトは、車両の周辺部に存在している車両オブジェクトを包含しており、尚、該車両オブジェクトのそれぞれ帰属する3D車両データモデルは、及び/或いは、3D車両データモデルの識別は、車両に、無線インターフェースを介して直接的に、或いは、テレコミュニケーションシステムを介して伝達される。
【0016】
本発明に係る方法の更なる可及的実施形態では、他の車両オブジェクトから提供された3D車両データモデル、及び/或いは、3D車両データモデルの識別子が、車両の受信手段によって、直接的に、或いは、テレコミュニケーションシステムの無線ダウンリンク接続を介して受信される。
【0017】
本発明に係る方法の更なる可及的実施形態では、車両の3D車両データモデル、及び/或いは、3D車両データモデルの識別は、車両の送信手段から直接的に、或いは、テレコミュニケーションシステムの無線アップリンク接続を介して、車両の近傍に存在している他の車両オブジェクトへ送信される。
【0018】
本発明に係る方法の更なる可及的実施形態では、車両の受信手段によって直接的に、或いは、テレコミュニケーションシステムの無線ダウンリンク接続を介して受信された3D車両データモデル、及び/或いは、車両の近傍に存在している車両オブジェクトの3D車両データモデルの識別が、車両の送信手段から直接的に、或いは、テレコミュニケーションシステムの無線アップリンク接続を介して、車両の周辺部の他の車両オブジェクトに転送される。
【0019】
本発明に係る方法の更なる可及的実施形態では、自車両の、或いは、他の車両オブジェクトの3D車両データモデル、及び/或いは、3D車両データモデルの識別が、車両の、或いは、それぞれの車両オブジェクトのその時点の位置と共に、伝達される。
【0020】
本発明は、更に、特許請求項9に記載の特徴を有する車両用のサラウンド・ビュー・システムも実現する。
【0021】
それによれば、本発明は、以下を装備した車両用のサラウンド・ビュー・システムを提供する:
少なくとも一つの車載センサーユニット、特に好ましくは、車両の周辺部に存在するオブジェクトを包含する周辺画像を提供する車載カメラ、並びに、
車両画像内に包含されているオブジェクトを該オブジェクトのタイプを認識するために分類し、該分類されたオブジェクトの3Dデータオブジェクトを、該計算ユニットと接続されている車載表示手段に表示される3Dシーンを作成するために周辺画像内に挿入する計算ユニット。
【0022】
本発明に係るサラウンド・ビュー・システムのある可及的実施形態においては、車両の周辺部の更なるオブジェクトは、各々の3D車両データモデル、及び/或いは、3D車両データモデルの識別子を、車両のサラウンド・ビュー・システムの受信手段に伝達する他の車両オブジェクトを包含しているが、該受信された3D車両データモデル、乃至、受信された3Dデータモデル識別子を基にして読み出された3D車両データモデルが、車両の車載表示手段に表示される。
【0023】
本発明に係るサラウンド・ビュー・システムのある可及的実施形態においては、他の車両オブジェクトから送信される3D車両データモデル、及び/或いは、3D車両データモデルの識別子は、車両の受信手段によって直接的に、或いは、テレコミュニケーションシステムの無線ダウンリンク接続を介して受信される。
【0024】
本発明に係るサラウンド・ビュー・システムのある可及的実施形態においては、該システムは、自車両の3D車両データモデル、及び/或いは、自車両の3D車両データモデルの識別子を、車両の周辺部に存在している他の車両オブジェクトへ、直接的、或いは、テレコミュニケーションシステムの無線アップリンク接続を介して伝達する送信手段を有している。
【0025】
本発明に係るサラウンド・ビュー・システムのある可及的実施形態においては、自車両の最新の位置が、サラウンド・ビュー・システムの送信手段から車両の周辺部に存在している他の車両オブジェクトへ、直接的、或いは、テレコミュニケーションシステムの無線アップリンク接続を介して伝達される。
【0026】
本発明に係るサラウンド・ビュー・システムの更なる可及的実施形態においては、分類されたオブジェクト、特に好ましくは、車両の周辺部に存在している他の車両オブジェクトの3D車両データモデル、及び/或いは、3D車両データモデルの識別子が、他の車両オブジェクトへ、直接的、或いは、テレコミュニケーションシステムの無線アップリンク接続を介して伝達される。
【0027】
本発明は更に、自車両、及び/或いは、他のオブジェクト、特に好ましくは、他の車両オブジェクトの位置データを該サラウンド・ビュー・システムに提供する車両のナビゲーション・システムと接続されている本発明に係るサラウンド・ビュー・システムを装備した車両も実現する。
【0028】
以下、車両の車載表示手段上にオブジェクトを表示するための本発明に係る方法、並びに、本発明に係る装置の可及的実施形態を、添付されている図を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る方法と本発明に係る装置の課題を説明するための典型的交通シチュエーションの模式的な描写
【
図2】本発明に係るサラウンド・ビュー・システムの可及的実施形態のブロック図
【
図3】本発明に係るサラウンド・ビュー・システムの更なる可及的実施形態のブロック図
【
図4】本発明に係るサラウンド・ビュー・システムの更なる可及的実施形態のブロック図
【
図5】本発明に係る方法の可及的実施形態のフローチャート
【
図6】本発明に係る方法の可及的実施形態を描写するためのシグナルチャート
【発明を実施するための形態】
【0030】
図2からも明らかな如く、示されている実施例において車両Fは、一つの、或いは、複数の車載センサーユニット2、特に好ましくは、車載カメラを有するサラウンド・ビュー・システム1を装備している。該車載センサーユニット2は、例えば、可視光線領域における車両周辺部の画像を提供する車載カメラを包含していることができる。更に、車載センサーユニット2は、車両Fの周辺部のレーダーデータ、乃至、レーダー画像を提供するレーダー・センサーを包含していても良い。
図2に示されている例では、車載センサーユニット2は、車両Fの周辺部に存在しているオブジェクトO、例えば、車両オブジェクトFOを捕捉している。該オブジェクトOは、一つの可動オブジェクト、例えば、車両オブジェクトFO、或いは、静止オブジェクト、例えば、建物などの物体のことである。
図2からも明らかなように、車載センサーユニット2、特に好ましくは、車載カメラは、片側にあるオブジェクトOを捕捉している。各々の車載センサーユニット2は、車両Fの周辺部の周辺画像を提供するが、該周辺画像は、一つの、或いは、複数の車両Fの周辺部に存在しているオブジェクトOを包含していることができる。車両Fが、例えば道路上を、動いている場合、オブジェクトOは、車両Fに対して相対的に動く。該車載センサーユニット2は、例えば、オブジェクトOを含む最新の周辺画像を、サラウンド・ビュー・システム1の分類ユニット3に送る。
【0031】
該分類ユニット3は、オブジェクトOを、オブジェクトタイプを認識するためのオブジェクト特徴によって分類する。例えば、分類ユニット3は、オブジェクトOが、車両オブジェクトFOであると言うことを認識する。該分類ユニット3は、徐々に高まる分類精度率をもって分類することができるようになっている。例えば、該分類ユニット3は、オブジェクト特徴に基づいて、オブジェクトOが、車両オブジェクトFOである、即ち、貨物自動車・車両オブジェクトLKW−FO、或いは、乗用自動車・車両オブジェクトPKW−FOであることを認識できる。オブジェクトの階層に基づいて、分類ユニット3は、徐々に高まる精度率を有する分類を実施することができる。例えば、分類ユニット3は、認識された乗用自動車(PKW)車両オブジェクトを、特別なタイプの車両、例えば、リムジン、或いは、ステーションワゴンとして認識できる。更には、例えば、更なる分類を、例えば、Audi A6ステーションワゴンであるなど、より正確にどの車両タイプであるのかを判断するために実施することも可能である。示されている実施例では、該分類ユニット3は、各々のオブジェクトOのオブジェクトタイプO−TYPを認識するが、認識されたオブジェクトタイプの助けを借りて、データ保存手段4から、認識されたオブジェクトタイプO−TYPの対応する三次元のデータモデル3D−DMが読み出され、挿入計算ユニット5によって、周辺画像UBに認識された車両オブジェクトFOの位置に挿入される。これにより、データ保存手段4から読み出された認識された車両オブジェクトFOの三次元車両データモデル3D−DMは、周辺画像UB内の車両オブジェクトFOが存在している、周辺画像UB内の位置、乃至、ポジションに挿入されることになる。認識された車両オブジェクトFOの三次元のデータモデル3D−DMを挿入することにより、挿入ユニット5は、認識された車両オブジェクトFOも含めた車両Fの周辺部を描写する3Dシーンを作成する。作成された3Dシーンは、サラウンド・ビュー・システム1の車載表示手段6によって車両内の人に、特に好ましくは、ドライバーに示される。
図2に示されている実施例の長所は、車両Fの車載表示手段6に、オブジェクトOの見える側だけが表示されるのではなく、オブジェクトOの対応する三次元車両データモデル3D−DMが、即ち、オブジェクトOの現実的な描写が、三次元シーン内に示されることである。分類ユニット3と挿入計算ユニット5は、一つの計算ユニット8内に集積されていることが好ましい。尚、この際、計算、特に、分類は、リアルタイムに実施されることが好ましい。
【0032】
図3には、本発明に係るサラウンド・ビュー・システム1の更なる実施例が示されている。
図3に示されている実施例では、サラウンド・ビュー・システム1は、車両Fの近傍に存在しているオブジェクトO、特に、車両オブジェクトFOから該車両オブジェクトFOに帰属する3D車両データモデル3D−DMを直接的、或いは、テレコミュニケーションシステムの無線ダウンリンク接続DLを介して受け取るトランシーバー7を有している。該トランシーバーは、一つの受信手段と一つの送信手段を包含している。該トランシーバー7の受信手段は、同時にサラウンド・ビュー・システム1のセンサーユニット2によって検出される車両オブジェクトFOから、該車両オブジェクトFOの3Dデータモデル、或いは、少なくとも対応する3D車両データモデルの識別IDを受け取る。オプション的には、サラウンド・ビュー・システム1の分類ユニット3により、得られた周辺画像UBから、車両オブジェクトFOの分類を実施することも可能である。この実施バリエーションでは、得られる3D車両オブジェクト・データモデル3D−DMが、分類結果に対応しているか否かを確認することが可能である。代案的には、分類ユニット3も、トランシーバー7が、車両オブジェクトFOの車両オブジェクト・データモデルを、無線インターフェースDLを介して受け取った場合には、自動的に車両オブジェクトFOの分類に関して無効化されることが可能である、或いは、スイッチ9によって、オフにされることが可能である。挿入計算ユニット5は、無線インターフェースを介してトランシーバー7の受信手段によって受信された車両オブジェクト・データモデルを、車載センサーユニット2から供給された周辺画像UB内の対応する位置に挿入し、このようにして、車両Fの周辺部の周辺部に存在しているオブジェクトも含む、サラウンド・ビュー・システム1の車載表示手段6に表示される三次元シーンを作成する。
図3に示されている実施例では、トランシーバー7の受信手段が、周辺部に存在している車両オブジェクトFOの車両オブジェクト・データモデルを受け取った場合には、サラウンド・ビュー・システム1内での分類を実施しなくてもよい。即ち、この実施形態では、分類ユニット3は、周辺部に存在しているオブジェクトOが、対応する3Dモデルを供給しない場合にのみ、使用される。
図3に示されている実施例は、分類ユニット3の計算負荷を低減できると言う長所を提供する。
【0033】
図4には、車両F内に備えられた本発明に係るサラウンド・ビュー・システム1の更なる実施例が示されている。
図4に示されている実施例では、トランシーバー7の受信手段は、オブジェクトOから車両データモデルではなく、車両オブジェクト・データモデルDMの識別子IDを受け取る。この受け取った車両データモデル識別子DM−IDの助けを借りて、サラウンド・ビュー・システム1のローカルデータ保存手段4から帰属する三次元の車両オブジェクト・データモデル3D−DMが、読み出され、挿入計算ユニット5によって、車載センサーユニット2から供給された周辺画像UBの対応する位置に、周辺部の3Dシーンを作成するために、挿入される。作成された3Dシーンは、車載表示手段6によって表示される。
図4に示されている実施例は、無線インターフェースが、車両オブジェクト・データモデルIDのみを伝達すればよく、必要なバンド幅が狭いと言う長所を提供する。更に、車両オブジェクト・データモデルのIDの伝達は、データモデルの複雑さやデータ量にもよるが、車両オブジェクト・データモデル全てを伝達するのと比べて有意に迅速に実施可能である。
【0034】
図3、4に示されている各実施例では、車両オブジェクト・データモデルの、及び/或いは、車両オブジェクト・データモデルIDの伝達は、車両と車両の間で無線インターフェースを介して直接的に、或いは、テレコミュニケーションシステムT−SYSを介して実施可能である。ある可及的実施形態においては、車両オブジェクトFOは、アップリンク接続ULを介して、続いて、ダウンリンク接続DLを介して車両F内のトランシーバー7の受信手段に伝達されるモデルID、乃至、その車両データモデルを伝達する。該テレコミュニケーションシステムは、例えば、携帯電話システムであることができる。
図2、3、4に示されている本発明に係るシステムの更なる可及的実施形態においては、車両オブジェクト・データモデル、及び/或いは、車両オブジェクト・データモデルIDの他、更に、ポジションデータが、車両、乃至、車両オブジェクトFO間において交換される、乃至、伝達される。ある可及的実施形態においては、挿入計算ユニット5は、車両オブジェクト・データモデル3D−DMを周辺画像UB内に挿入する際に付加的に、車両オブジェクトの最新のポジションデータも考慮する。ある可及的実施形態においては、車両、乃至、車両オブジェクトFOのポジションデータは、車両オブジェクトに備えられているナビゲーション・システムから提供される。ある可及的実施形態においては、
図2、3、4に示されている挿入計算ユニット5は、車両F内に備えられているナビゲーション・システムからポジションデータを受け取るCPU、乃至、マイクロプロセッサーを備えている。該ポジションデータは、自車両Fのポジションデータ、及び/或いは、車両Fの近い周辺部のセンサーユニット2の到達範囲内にある各車両オブジェクトのポジションデータを包含している。該ポジションデータは、車両Fの近傍に存在しているオブジェクトO、特に、車両オブジェクトFOの二次元、或いは、三次元座標を包含している。
【0035】
本発明に係るシステムの更なる可及的実施形態においては、車両オブジェクトFOは、自分の3D車両データモデル、及び/或いは、3D車両データモデル識別子を、これも第三の車両オブジェクトにこれらを転送する他の車両オブジェクトに対して拡散する。3Dデータモデル3D−DM、或いは、その識別子IDの転送は、車両間において直接的、或いは、テレコミュニケーションシステムT−SYSのアップリング、並びに、ダウンリンク接続を用いて実施可能である。3D車両データモデル、或いは、その識別子を転送することにより、車両Fには、例えば、
図1に示すように、他の車両オブジェクトFOによって完全に、或いは、一部隠されている車両オブジェクトFOも認識できるようになる。
図1に示されている例では、例えば、車両データオブジェクトFO2は、その車両データモデルを、追い越して来た、後に、受信した車両データモデル、乃至、それに帰属する識別子を車両Fに転送する車両オブジェクトFO1に伝達する。好ましい実施形態では、車両データモデル、及び/或いは、その車両データモデル識別子は、帰属する車両オブジェクトの帰属する最新のポジションデータと共に伝達されるため、車両Fのサラウンド・ビュー・システムSVSは、周辺部のどの位置に、例えば、隠されている車両データオブジェクトFO2が正に存在しているのかを割り出すことが可能である。そして該ポジションデータを基に、本発明に係るサラウンド・ビュー・システム1の挿入計算ユニット5は、直接的、乃至、間接的に得た車両オブジェクト・データモデル3D−DMを、捕捉した周辺画像の適切な位置に正確に挿入する。
【0036】
図5は、車載表示手段にオブジェクトOを示すための本発明に係る方法の実施例のフローチャートを示している。
【0037】
ステップS1では、先ず、車両Fの周辺部に存在しているオブジェクトOを含む一枚の、或いは、複数の枚の周辺画像UBが、用意される。これらの周辺画像UBは、好ましくは、センサーによって、特に好ましくは、一つの、或いは、複数の車載カメラ、及び/或いは、車両F内に備えられているレーダー手段によって捕捉される。様々なセンサー類、乃至、センサーユニットから得られた画像、特に、カメラ画像は、前処理されることが可能であり、周辺画像として統合することも可能である。周辺画像とは、車両Fの周辺部全域を、乃至、車両の周りの周辺領域の重要な一部を描写するものである。周辺画像UBは、例えば、車両Fの周辺部の360°パノラマ画像を包含している。周辺画像UB内には、様々なオブジェクトO、特に、動的な車両オブジェクトFO、並びに、静的なオブジェクトO、例えば、建物や山が存在している。
【0038】
次のステップS2では、オブジェクト特徴を基にしたオブジェクトタイプO−TYPを認識するためのオブジェクトOの分類が実施される。分類は、例えば、
図2から4に示されているサラウンド・ビュー・システム1の分類ユニット3によって実施することが可能である。
【0039】
次のステップS3では、オブジェクトOの認識されたオブジェクトタイプO−TYPに対応する3Dデータモデルが、車両Fの周辺部を描写する3Dシーンを作成するために挿入される。ある可及的実施形態においては、オブジェクトOの3Dデータモデル3D−DMは、得られたポジションデータを評価することにより、周辺画像UBの適切な位置に挿入される、乃至、設置される。ある可及的実施形態においては、これらのポジションデータ、乃至、ポジション座標は、車両Fのナビゲーション・システムによって用意される。
【0040】
次のステップS4では、作成された3Dシーンが、車両Fの車載表示手段に表示される。
【0041】
図6は、本発明に係る方法を採用できるシステムの実施バリエーションが、概略的に示されている。
図6に示されている実施バリエーションでは、車両Fは、他の車両オブジェクトFOA、FOBとテレコミュニケーションシステムT−SYS、例えば、携帯電話システムを介してコミュニケーションしている。例えば、車両Fの近傍に存在している車両オブジェクトFOAは、アップリンク接続ULを介して、自分の3D車両データモデル、或いは、帰属しているIDを、ポジションデータと共に、テレコミュニケーションシステムの、後にダウンリンク接続DLを介して車両FOAの該3Dデータモデル、或いは、対応するIDを、好ましくは帰属するポジションデータと共に車両Fの受信手段に伝達するベースステーションに、伝達することができる。そしてここで、車両オブジェクトFOAの車両データモデルが、周辺画像UBの当てはまる位置へ挿入される。更に、車両Fの自らの送信手段により、車両Fの車両データモデル、乃至、対応するIDが、テレコミュニケーションシステムのアップリンク・データ接続ULを介して、続いて、そこから、ダウンリンク接続DLを介して他の車両オブジェクトFOBに送信される。自らの車両Fの車両データモデルに加え、受信した車両オブジェクトFOAの車両データモデル、或いは、対応するIDも、他の車両オブジェクトFOBに転送されることが好ましい。更に、車両Fは、自らの車両データモデルのIDを、車両オブジェクトFOAの車両データモデルの受信後に、受信確認として返送することも可能である。この様にすることで、様々な3D車両データモデルFOは、3D車両データモデル、乃至、帰属するIDを互いに交換する。尚、この際、車両オブジェクトFOのポジションデータも同時に互いに交換されることが好ましい。
【0042】
ある代案的実施形態では、全ての車両、乃至、全ての車両オブジェクトFOが、それに帰属し、該車両を一義的に示す車両IDを有している。これらの車両IDは、車両FO間において交換されるが、データベースクエリーにより、受け取った車両IDに帰属する車両データモデルIDを照会する。
【0043】
本発明に係る方法の可及的実施形態においては、サラウンド・ビュー・システム1の車載センサーユニット2は、周辺部に存在しているオブジェクトOの輪郭、並びに、テクスチャー、乃至、色彩も認識する。ある可及的実施形態においては、テクスチャーも付加的に分類のために用いられる。更には、挿入ユニット5が、車両Fの近傍にあるオブジェクト、例えば、車両オブジェクトの認識されたテクスチャー、乃至、色彩を、表示されている3D車両データモデルに挿入し、対応するオブジェクトOの更に現実的な描写を車載表示手段6上に表示できるようにすることも可能である。
【0044】
本発明に係る方法、並びに、システムの更なる実施形態も可能である。オブジェクトOは、特に、車両や貨物車両など陸上を走行する車両オブジェクトFOであることができる。また、車両(交通手段)オブジェクトFOは、水上交通手段や空中交通手段であることも可能である。ある可及的実施形態においては、伝達される車両データモデルは、実質上、対応するオブジェクトOの表面のみを示す比較的簡素な車両データモデルである。例えば、認識された車両タイプの色や輪郭が、3Dシーンを作成するために周辺画像UB内に挿入される。代案的には、伝達された車両データモデルは、認識された車両オブジェクトFOの、車両Fの表面だけでなく、対応する車両オブジェクトFOの内部ストラクチャーに関するデータも提供する複雑な車両データモデルであることも可能である。この実施バリエーションでは、例えば、車両(交通手段)Fのドライバー、乃至、キャプテンは、伝達された車両(交通手段)データモデルを基に、周辺部に存在している車両(交通手段)オブジェクトFOの内部ストラクチャーを見る、そして、必要に応じてズームインすることも可能である。よって、この実施バリエーションにおいては、車両(交通手段)Fの操縦担当は、車載(搭載)表示手段の3Dシーン内に示されている車両(交通手段)オブジェクトFOの構造、並びに、ストラクチャーを必要に応じて得ることも可能である。
【0045】
ある可及的実施形態においては、周辺部に存在しているオブジェクトOは、ある相対速度において、自車両Fに対して相対的に動いている。この相対速度Vは、ある可及的実施形態においては、サラウンド・ビュー・システム1によって認識され、周辺画像UB内への帰属する3D車両データモデルの配置の際に、考慮される。この実施バリエーションでは、挿入ユニット5によって3D車両データモデルの3Dシーン内への配置ポジションを計算する際に、ポジションデータだけでなく、相対速度も考慮される為、3D車両データモデルの配置、乃至、挿入は、より正確に実施可能である。
【0046】
サラウンド・ビュー・システム1の分類ユニット3は、自車両の周辺部にある他の車両FOの、例えば、タイプや色を認識し、識別することも可能である。そして、対応する車両データモデルが、3Dデータオブジェクトとして、3Dシーンに挿入、乃至、配置される。
【0047】
3Dシーンに挿入された車両データモデル3D−DMは、車両Fの近傍にある車両オブジェクトFOを全ての方向から、即ち、車両Fの車載センサーユニット2によって捕捉できない方向からも示すことができる。更には、他のオブジェクト、特に、他の車両オブジェクトによって、恒常的に、或いは、一時的に隠されている車両オブジェクトの車両データモデルも描写可能である。この様にすることで、3Dシーンに示されている三次元の車両周辺部は、車両Fのドライバーに対して現実的に示されるため、彼の運転判断や運転オリエンテーションが改善される。改善された運転判断によって、車両Fの運転の際の安全性が、有意に向上する。
【0048】
図7は、本発明に係る方法の更なる応用例を示している。ここでは、オブジェクト、特に、他の車両オブジェクトは、駐車プロセス中に、車両の表示手段上の3Dシーン内に表示される。