(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1熱媒体流路切替手段および前記第2熱媒体流路切替手段のそれぞれは、1または複数の熱媒体流路切替弁と、流量調整弁とを備えて構成される請求項1又は請求項2記載の空気調和装置。
前記第1熱媒体流路切替手段および前記第2熱媒体流路切替手段のそれぞれは、複数の熱媒体流路切替弁と流量調整弁との機能を一体化した一体化切替手段で構成される請求項1記載の空気調和装置。
前記冷媒循環回路はさらに、前記圧縮機から吐出された熱源側冷媒の流れを切り替えて冷房運転と暖房運転とを可能とする冷媒流路切替装置をさらに有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置100の設置例を示す概略図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る空気調和装置100は、室外ユニット(熱源機)1と、複数台の室内ユニット3と、室外ユニット1と室内ユニット3との間に介在する1台の中継ユニット2とを有している。そして、空気調和装置100は、各室内ユニット3が冷房運転または暖房運転を選択できるものである。また、空気調和装置100で実行する運転モードには、以下の4つの運転モードがある。
【0011】
(a)動作している室内ユニット3の全てが冷房運転を実行する全冷房運転モード
(b)動作している室内ユニット3の全てが暖房運転を実行する全暖房運転モード
(c)冷房運転と暖房運転を実行する室内ユニット3が混在する冷暖房混在運転モードであって、冷房負荷の方が大きい冷房主体運転モード
(d)冷房運転と暖房運転を実行する室内ユニット3が混在する冷暖房混在運転モードであって、暖房負荷の方が大きい暖房主体運転モード
【0012】
中継ユニット2は、熱源側冷媒と熱媒体とで熱交換を行うものである。室外ユニット1と中継ユニット2とは、熱源側冷媒が流れる冷媒配管4で接続され、熱源側冷媒を循環させる冷凍サイクルである冷媒循環回路Aを構成している。中継ユニット2と室内ユニット3とは、熱媒体が流れる熱媒体配管5で接続され、熱媒体を循環させる熱媒体循環回路Bを構成している。なお、冷媒循環回路Aおよび熱媒体循環回路Bのそれぞれに接続される切替装置等の各構成部品については以下で改めて説明する。そして、室外ユニット1で生成された冷熱あるいは温熱は、中継ユニット2を介して室内ユニット3に配送されるようになっている。
【0013】
また、本実施の形態の空気調和装置100は、室内ユニット3の接続台数を増設することが可能なことを特徴の一つとしており、中継ユニット2に、熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の分岐数を増やして室内ユニット3の接続台数の増設を可能とする分岐ユニット60が接続されている。中継ユニット2は、分岐ユニット60を接続するための接続口2a(後述の
図2参照)を備えており、この接続口2aに接続配管70を介して分岐ユニット60が接続されている。
【0014】
以下ではまず、室外ユニット1、中継ユニット2および室内ユニット3について説明し、分岐ユニット60については改めて後述する。
【0015】
室外ユニット1は、通常、ビルなどの建物9の外の空間(たとえば、屋上など)である室外空間6に配置され、中継ユニット2を介して室内ユニット3に冷熱または温熱を供給するものである。
【0016】
中継ユニット2は、室外ユニット1で生成される温熱または冷熱を、室内ユニット3に伝達するものである。この中継ユニット2は、室外ユニット1および室内ユニット3とは別筐体として、室外空間6および室内空間7とは別の位置に設置できるように構成されている。また、中継ユニット2は、冷媒配管4を介して室外ユニット1に接続され、また、熱媒体配管5を介して室内ユニット3に接続されている。
【0017】
室内ユニット3は、建物9の内部の空間(たとえば、居室など)である室内空間7に冷房用空気あるいは暖房用空気を供給できる位置に配置され、空調対象空間となる室内空間7に冷房用空気あるいは暖房用空気を供給するものである。
図1では、室内ユニット3が天井埋込型であるものを図示しているが、これに限定されるものではない。
【0018】
熱源側冷媒は、室外ユニット1から中継ユニット2に冷媒配管4を通して搬送される。搬送された熱源側冷媒は、中継ユニット2内の後述の熱媒体間熱交換器25(
図2参照)にて熱媒体と熱交換を行い、熱媒体を加熱または冷却する。つまり、熱媒体は、熱媒体間熱交換器で加熱または冷却されて温水または冷水となる。中継ユニット2にて作られた温水または冷水は、後述のポンプ31(
図2参照)にて、熱媒体配管5を介して室内ユニット3へ搬送され、室内ユニット3にて室内空間7に対する暖房運転または冷房運転に供される。
【0019】
熱源側冷媒としては、たとえばR−22、R−134aなどの単一冷媒、R−410A、R−404Aなどの擬似共沸混合冷媒、R−407Cなどの非共沸混合冷媒を用いることができる。熱源側冷媒として他にたとえば、化学式内に二重結合を含む、CF
3 、CF=CH
2などの地球温暖化係数が比較的小さい値とされている冷媒、およびその混合物を用いることができる。熱源側冷媒としてはさらに、CO
2またはプロパンなどの自然冷媒を用いることができる。
【0020】
一方、熱媒体としては、たとえば水、ブライン(不凍液)、水と不凍液の混合液、水と防食効果が高い添加剤との混合液などを用いることができる。つまり、空気調和装置100は、熱媒体としてこれらを採用することで、室内空間7への熱媒体の漏洩に対する安全性の向上に寄与することになる。なお、本実施の形態に係る空気調和装置100は、熱媒体として水が採用されているものとして説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係る空気調和装置100は、室外ユニット1と中継ユニット2とが2本の冷媒配管4を用いて接続され、中継ユニット2と各室内ユニット3とが2本の熱媒体配管5を用いて接続されている。このように、空気調和装置100では、2本の配管(冷媒配管4、熱媒体配管5)を用いて各ユニット(室外ユニット1、中継ユニット2および室内ユニット3)を接続することにより、施工が容易となっている。
【0022】
なお、
図1においては、中継ユニット2が、建物9の内部ではあるが室内空間7とは別の空間である天井裏などの空間(以下、単に空間8と称する)に設置されている状態を例に示している。中継ユニット2は、その他、エレベーターなどがある共用空間などに設置することも可能である。また、
図1においては、室内ユニット3が天井カセット型である場合を例に示してあるが、これに限定されるものではなく、天井埋込型や天井吊下式など、室内空間7に直接またはダクトなどにより、暖房用空気あるいは冷房用空気を吹き出せるようになっていればどんな種類のものでもよい。
【0023】
図1においては、室外ユニット1が室外空間6に設置されている場合を例に示しているが、これに限定するものではない。たとえば、室外ユニット1は、換気口付の機械室などの囲まれた空間に設置してもよく、排気ダクトで廃熱を建物9の外に排気することができるのであれば建物9の内部に設置してもよい。また、水冷式の室外ユニット1を用いる場合にも室外ユニット1を建物9の内部に設置するようにしてもよい。このような場所に室外ユニット1を設置するとしても、特段の問題が発生することはない。
【0024】
また、中継ユニット2は、室外ユニット1の近傍に設置してもよい。ただし、このように中継ユニット2を室外ユニット1の近傍に設置する場合には、中継ユニット2から室内ユニット3までを接続する熱媒体配管5の長さについて留意するとよい。これは、中継ユニット2から室内ユニット3までの距離が長くなると、その分熱媒体の搬送動力が大きくなり、省エネルギー化の効果は薄れるためである。
【0025】
さらに、室外ユニット1、中継ユニット2および室内ユニット3の接続台数は、
図1に図示される台数に限定されるものではなく、空気調和装置100が設置される建物9に応じて台数を決定すればよい。
【0026】
室外ユニット1台に対して複数台の中継ユニット2を接続する場合、その複数台の中継ユニット2をビルなどの建物における共用スペースまたは天井裏などのスペースに点在して設置することができる。そうすることにより、各中継ユニット2内の後述の熱媒体間熱交換器25a、25b(
図2参照)で空調負荷を賄うことができる。また、室内ユニット3を、各中継ユニット2内におけるポンプ31a、31b(
図2参照)の搬送許容範囲内の距離または高さに設置することが可能であり、ビルなどの建物全体へ対しての配置が可能となる。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置100における、室外ユニット1および中継ユニット2の回路構成の一例を示す図である。
図2に示すように、室外ユニット1と中継ユニット2とが、中継ユニット2に備えられている熱媒体間熱交換器25a、25bを介して冷媒配管4で接続されている。また、中継ユニット2と室内ユニット3とが、熱媒体間熱交換器25a、25bを介して熱媒体配管5で接続されている。つまり、熱媒体間熱交換器25a、25bは、冷媒配管4を介して供給される熱源側冷媒と、熱媒体配管5を介して供給される熱媒体とを熱交換させるものである。
【0028】
[室外ユニット1]
室外ユニット1には、圧縮機10と、四方弁などの第1冷媒流路切替装置11と、熱源側熱交換器12と、アキュムレーター19とが冷媒配管4で接続されて搭載されている。また、室外ユニット1には、第1接続配管4a、第2接続配管4b、および逆止弁13a〜13dが設けられている。第1接続配管4a、第2接続配管4b、および逆止弁13a〜13dが設けられることで、空気調和装置100は、暖房運転モードや冷房運転モードに関わらず、室外ユニット1から中継ユニット2に流入させる熱源側冷媒の流れを一定方向にすることができるようになっている。
【0029】
圧縮機10は、冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温高圧の状態にして冷媒循環回路Aに搬送するものである。この圧縮機10は、吐出側が第1冷媒流路切替装置11に接続され、吸入側がアキュムレーター19に接続されている。圧縮機10は、たとえば容量制御可能なインバータ圧縮機などで構成するとよい。
【0030】
第1冷媒流路切替装置11は、全暖房運転モード時および冷暖房混在運転モードの暖房主体運転モード時において、圧縮機10の吐出側と逆止弁13d、および熱源側熱交換器12とアキュムレーター19の吸入側を接続するようにするものである。また、第1冷媒流路切替装置11は、冷房運転モード時および冷暖房混在運転モードの冷房主体運転モード時において、圧縮機10の吐出側と熱源側熱交換器12とを接続するとともに、逆止弁13cとアキュムレーター19の吸入側とを接続するようにするものである。
【0031】
熱源側熱交換器12は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器(または放熱器)として機能する。そして、熱源側熱交換器12は、図示省略のファンなどの送風機から供給される空気の流体と熱源側冷媒との間で熱交換を行い、その熱源側冷媒を蒸発ガス化または凝縮液化するものである。この熱源側熱交換器12は、暖房運転モード時において、一方が逆止弁13bに接続され、他方がアキュムレーター19の吸入側に接続される。また、熱源側熱交換器12は、冷房運転モード時において、一方が圧縮機10の吐出側に接続され、他方が逆止弁13aに接続される。熱源側熱交換器12は、たとえば冷媒配管を流れる冷媒とフィンを通過する空気との間で熱交換ができるようなプレートフィンアンドチューブ型熱交換器で構成するとよい。
【0032】
アキュムレーター19は、暖房運転モード時と冷房運転モード時との必要冷媒量の違いによる余剰冷媒、過渡的な運転の変化(たとえば、室内ユニット3の運転台数の変化)に対する余剰冷媒を蓄えるものである。このアキュムレーター19は、暖房運転モード時において、吸入側が熱源側熱交換器12に接続され、吐出側が圧縮機10の吸入側に接続される。また、アキュムレーター19は、冷房運転モード時において、吸入側が逆止弁13cに接続され、吐出側が圧縮機10の吸入側に接続される。
【0033】
逆止弁13aは、熱源側熱交換器12と中継ユニット2との間における冷媒配管4に設けられ、所定の方向(室外ユニット1から中継ユニット2への方向)のみに熱源側冷媒の流れを許容するものである。
逆止弁13cは、中継ユニット2と第1冷媒流路切替装置11との間における冷媒配管4に設けられ、所定の方向(中継ユニット2から室外ユニット1への方向)のみに熱源側冷媒の流れを許容するものである。
逆止弁13bは、第2接続配管4bに設けられ、暖房運転時において中継ユニット2から戻ってきた熱源側冷媒を圧縮機10の吸入側に流通させるものである。
逆止弁13dは、第1接続配管4aに設けられ、暖房運転時において圧縮機10から吐出された熱源側冷媒を中継ユニット2に流通させるものである。
【0034】
第1接続配管4aは、室外ユニット1内において、第1冷媒流路切替装置11と逆止弁13cとの間における冷媒配管4と、逆止弁13aと中継ユニット2との間における冷媒配管4と、を接続するものである。第2接続配管4bは、室外ユニット1内において、逆止弁13cと中継ユニット2との間における冷媒配管4と、熱源側熱交換器12と逆止弁13aとの間における冷媒配管4と、を接続するものである。なお、
図2では、第1接続配管4a、第2接続配管4b、逆止弁13a、逆止弁13b、逆止弁13c、および、逆止弁13dを設けた場合を例に示しているが、これに限定するものではなく、これらを必ずしも設ける必要はない。
【0035】
[室内ユニット3]
室内ユニット3には、利用側熱交換器35a〜35d(単に利用側熱交換器35とも称することもある)が備えられている。この利用側熱交換器35は、熱媒体配管5を介して熱媒体流量調整装置34a〜34d(単に熱媒体流量調整装置34とも称することもある)と、熱媒体配管5を介して第2熱媒体流路切替装置33a〜33d(単に、第2熱媒体流路切替装置33とも称することもある)に接続されている。この利用側熱交換器35は、図示省略のファンなどの送風機から供給される空気と熱媒体との間で熱交換を行い、室内空間7に供給するための暖房用空気あるいは冷房用空気を生成するものである。
【0036】
図2においては、4台の室内ユニット3a〜3dが、熱媒体配管5を介して中継ユニット2に接続されている場合の例を示している。また、室内ユニット3a〜3dに応じて、利用側熱交換器35も、紙面上側から利用側熱交換器35a、利用側熱交換器35b、利用側熱交換器35c、利用側熱交換器35dとする。なお、室内ユニット3の接続台数は、4台に限定されるものではない。
【0037】
[中継ユニット2]
中継ユニット2には、2つの熱媒体間熱交換器25a、25b(単に熱媒体間熱交換器25と称することもある)と、2つの第1絞り装置26a、26b(単に第1絞り装置26と称することもある)と、2つの開閉装置27、29と、2つの第2冷媒流路切替装置28a、28b(単に第2冷媒流路切替装置28と称することもある)と、が搭載されている。中継ユニット2にはさらに、2つの熱媒体搬送装置であるポンプ31a、31b(単にポンプ31と称することもある)と、4つの第1熱媒体流路切替装置32a〜32d(単に第1熱媒体流路切替装置32と称することもある)と、4つの第2熱媒体流路切替装置33a〜33d(単に第2熱媒体流路切替装置33と称することもある)と、4つの熱媒体流量調整装置34a〜34d(単に熱媒体流量調整装置34と称することもある)と、が搭載されている。第1熱媒体流路切替装置32、第2熱媒体流路切替装置33および熱媒体流量調整装置34は本発明の第1熱媒体流路切替手段を構成している。
【0038】
なお、第1熱媒体流路切替装置32a〜32d、第2熱媒体流路切替装置33a〜33dおよび熱媒体流量調整装置34a〜34dは、これらの切替装置の機能を一元化した一体化流路切替装置に代えることも可能である。一体化流路切替装置は、具体的にはたとえば、第1熱媒体流路切替装置32a〜32d、第2熱媒体流路切替装置33a〜33dおよび熱媒体流量調整装置34a〜34dのそれぞれの機能を備えた特許文献2または特許文献3のようなブロック(一体化)構造を有する構成としてもよい。
【0039】
熱媒体間熱交換器25は、凝縮器(放熱器)または蒸発器として機能し、熱源側冷媒と熱媒体とで熱交換を行い、室外ユニット1で生成され熱源側冷媒に貯えられた冷熱または温熱を熱媒体に伝達するものである。つまり、暖房運転をしている際には、熱媒体間熱交換器25は凝縮器(放熱器)として機能して熱源側冷媒の温熱を熱媒体に伝達する。また、冷房運転をしている際には、熱媒体間熱交換器25は蒸発器として機能して熱源側冷媒の冷熱を熱媒体に伝達するものである。
【0040】
熱媒体間熱交換器25aは、冷媒循環回路Aにおける第1絞り装置26aと第2冷媒流路切替装置28aとの間に設けられており、冷暖房混在運転モード時において熱媒体の冷却に供するものである。また、熱媒体間熱交換器25bは、冷媒循環回路Aにおける第1絞り装置26bと第2冷媒流路切替装置28bとの間に設けられており、冷暖房混在運転モード時において熱媒体の加熱に供するものである。
【0041】
第1絞り装置26は、減圧弁または膨張弁としての機能を有し、熱源側冷媒を減圧して膨張させるものである。第1絞り装置26aは、冷房運転時の熱源側冷媒の流れ(後述の
図8参照)において熱媒体間熱交換器25aの上流側に設けられている。第1絞り装置26bは、冷房運転時の熱源側冷媒の流れ(後述の
図8参照)において熱媒体間熱交換器25bの上流側に設けられている。第1絞り装置26は、開度が可変に制御可能なもの、たとえば電子式膨張弁などで構成するとよい。
【0042】
開閉装置27および開閉装置29は、たとえば通電により開閉動作が可能な電磁弁などで構成され、それらが設けられている流路を開閉するものである。つまり、開閉装置27および開閉装置29は、運転モードに応じて開閉が制御され、熱源側冷媒の流路を切り替えている。
【0043】
開閉装置27は、熱源側冷媒の入口側における冷媒配管4(室外ユニット1と中継ユニット2とを接続している冷媒配管4のうち紙面最下段に位置する冷媒配管4)に設けられている。開閉装置29は、熱源側冷媒の入口側の冷媒配管4と出口側の冷媒配管4とを接続した配管(バイパス管20)に設けられている。なお、開閉装置27および開閉装置29は、それらが設けられている流路を開閉可能なものであればよく、たとえば電子式膨張弁などの開度を制御するものでもよい。
【0044】
第2冷媒流路切替装置28は、たとえば四方弁などで構成され、運転モードに応じて熱媒体間熱交換器25が凝縮器または蒸発器として機能するよう、熱源側冷媒の流れを切り替えるものである。第2冷媒流路切替装置28aは、冷房運転時の熱源側冷媒の流れ(後述の
図8参照)において熱媒体間熱交換器25aの下流側に設けられている。第2冷媒流路切替装置28bは、冷房運転モード時の熱源側冷媒の流れ(後述の
図8参照)において熱媒体間熱交換器25bの下流側に設けられている。
【0045】
ポンプ31は、熱媒体配管5を流れる熱媒体を熱媒体循環回路Bに循環させるものである。ポンプ31aは、熱媒体間熱交換器25aと第2熱媒体流路切替装置33との間における熱媒体配管5に設けられている。ポンプ31bは、熱媒体間熱交換器25bと第2熱媒体流路切替装置33との間における熱媒体配管5に設けられている。ポンプ31は、たとえば容量制御可能なポンプなどで構成し、室内ユニット3における負荷の大きさによってその流量を調整できるようにしておくとよい。
【0046】
第1熱媒体流路切替装置32は、利用側熱交換器35の熱媒体流路の出口側と、熱媒体間熱交換器25の熱媒体流路の入口側との接続を切り替えるものである。第1熱媒体流路切替装置32は、室内ユニット3の設置台数に応じた個数(ここでは4つ)が設けられるようになっている。
【0047】
第1熱媒体流路切替装置32は、利用側熱交換器35の熱媒体流路の出口側の接続先を、熱媒体間熱交換器25aの熱媒体流路の入口側または熱媒体間熱交換器25bの熱媒体流路の入口側に切り替えるものである。第1熱媒体流路切替装置32は、三方のうちの一つが熱媒体間熱交換器25aに、三方のうちの一つが熱媒体間熱交換器25bに、三方のうちの一つが熱媒体流量調整装置34に、それぞれ接続され、利用側熱交換器35の熱媒体流路の出口側に設けられている。なお、室内ユニット3に対応させて、紙面上側から第1熱媒体流路切替装置32a、第1熱媒体流路切替装置32b、第1熱媒体流路切替装置32c、第1熱媒体流路切替装置32dとして図示している。また、熱媒体流路の切替には、一方から他方への完全な切替だけでなく、一方から他方への部分的な切替も含んでいるものとする。この第1熱媒体流路切替装置32は、たとえば三方弁などで構成するとよい。
【0048】
第2熱媒体流路切替装置33は、利用側熱交換器35の熱媒体流路の入口側の接続先を、熱媒体間熱交換器25aの熱媒体流路の出口側または熱媒体間熱交換器25bの熱媒体流路の出口側に切り替えるものである。第2熱媒体流路切替装置33は、室内ユニット3の設置台数に応じた個数(ここでは4つ)が設けられるようになっている。第2熱媒体流路切替装置33は、三方のうちの一つが熱媒体間熱交換器25aに、三方のうちの一つが熱媒体間熱交換器25bに、三方のうちの一つが利用側熱交換器35に、それぞれ接続され、利用側熱交換器35の熱媒体流路の入口側に設けられている。なお、室内ユニット3に対応させて、紙面上側から第2熱媒体流路切替装置33a、第2熱媒体流路切替装置33b、第2熱媒体流路切替装置33c、第2熱媒体流路切替装置33dとして図示している。また、熱媒体流路の切替には、一方から他方への完全な切替だけでなく、一方から他方への部分的な切替も含んでいるものとする。この第2熱媒体流路切替装置33は、たとえば三方弁などで構成するとよい。
【0049】
熱媒体流量調整装置34は、開口面積を制御できる二方弁などで構成されており、熱媒体配管5に流れる熱媒体の流量を制御するものである。熱媒体流量調整装置34は、室内ユニット3の設置台数に応じた個数(ここでは4つ)が設けられるようになっている。熱媒体流量調整装置34は、一方が利用側熱交換器35に、他方が第1熱媒体流路切替装置32に、それぞれ接続され、利用側熱交換器35の熱媒体流路の出口側に設けられている。すなわち、熱媒体流量調整装置34は、室内ユニット3へ流入する熱媒体の温度および流出する熱媒体の温度により室内ユニット3へ流入する熱媒体の量を調整し、室内負荷に応じた最適な熱媒体量を室内ユニット3に提供可能とするものである。
【0050】
なお、室内ユニット3に対応させて、紙面上側から熱媒体流量調整装置34a、熱媒体流量調整装置34b、熱媒体流量調整装置34c、熱媒体流量調整装置34dとして図示している。また、熱媒体流量調整装置34を利用側熱交換器35の熱媒体流路の入口側に設けてもよい。また、熱媒体流量調整装置34を利用側熱交換器35の熱媒体流路の入口側であって、第2熱媒体流路切替装置33と利用側熱交換器35との間に設けてもよい。さらに、室内ユニット3において、停止モードおよびサーモOFFなどの負荷を必要としていないときは、熱媒体流量調整装置34を全閉にすることにより、室内ユニット3への熱媒体供給を止めることができる。
【0051】
なお、第1熱媒体流路切替装置32または第2熱媒体流路切替装置33において、熱媒体流量調整装置34の機能を付加したものを用いれば、熱媒体流量調整装置34を省略することも可能である。
【0052】
また、前述の通り、第1熱媒体流路切替装置32、第2熱媒体流路切替装置33および熱媒体流量調整装置34を一体化(ブロック化)し、流路切替機能、流量調整機能、流路閉止機能を付加した一体化流路切替装置を第1熱媒体流路切替装置32、第2熱媒体流路切替装置33および熱媒体流量調整装置34に対して代用することもできる。
【0053】
また、中継ユニット2には、2つの温度センサー40a、40b(単に温度センサー40と称することもある)が設けられている。温度センサー40は、熱媒体間熱交換器25から流出した熱媒体、つまり熱媒体間熱交換器25の出口における熱媒体の温度を検出するものである。温度センサー40aは、ポンプ31aの熱媒体吸入側における熱媒体配管5に設けられている。温度センサー40bは、ポンプ31bの熱媒体吸入側における熱媒体配管5に設けられている。温度センサー40は、たとえばサーミスターなどで構成するとよい。
【0054】
温度センサー40で検出された情報(温度情報)は、空気調和装置100の動作を統括制御する制御装置50に送られる。そして、温度センサー40で検出された情報(温度情報)は、圧縮機10の駆動周波数、図示省略の送風機の回転数、第1冷媒流路切替装置11の切り替え、ポンプ31の駆動周波数、第2冷媒流路切替装置28の切り替え、熱媒体の流路の切替、室内ユニット3の熱媒体流量の調整などの制御に利用されることになる。なお、制御装置50が中継ユニット2内に搭載されている状態を例に示しているが、これに限定するものではなく、室外ユニット1または室内ユニット3、あるいは、各ユニットに通信可能に搭載するようにしてもよい。
【0055】
また、制御装置50は、マイコンなどで構成されており、各種検出手段での検出結果およびリモコンからの指示に基づいて、圧縮機10の駆動周波数、送風機の回転数(ON/OFF含む)、第1冷媒流路切替装置11の切り替え、ポンプ31の駆動、第1絞り装置26の開度、第2絞り装置26cの開度を制御する。制御装置50はこれらの他にも、第2冷媒流路切替装置28の切り替え、第1熱媒体流路切替装置32の切り替え、第2熱媒体流路切替装置33の切り替え、熱媒体流量調整装置34の駆動、熱媒体流路開閉装置37の駆動、開閉装置27、29の開閉、および熱媒体流路開閉装置36の開閉などを制御する。
【0056】
制御装置50は、具体的には室内空間が設定温度を維持するように制御を行っており、室内空間が設定温度に達すると、室内ユニット3に設けられた利用側熱交換器35への熱媒体の供給を停止させる(サーモOFF)。また、制御装置50は、室内空間が設定温度に達していなくとも、ユーザーからの指示があれば、室内ユニット3に設けられた利用側熱交換器35への熱媒体の供給を停止させるだけでなく、利用側熱交換器35に付設されるファンの運転も停止させる(停止モード)。このように、制御装置50は、室内空間が設定温度に達するとサーモOFFを実行して室内空間の温度を調整し、また、ユーザーから運転停止の指示を受け取ると停止モードを実行する。
【0057】
熱媒体が流れる熱媒体配管5は、熱媒体間熱交換器25aに接続されるものと、熱媒体間熱交換器25bに接続されるものと、を有している。熱媒体配管5は、中継ユニット2に接続される室内ユニット3の台数に応じて分岐(ここでは、各4分岐)されている。そして、熱媒体配管5のうち熱媒体間熱交換器25aに接続されるものと、熱媒体間熱交換器25bに接続されるものとが、第1熱媒体流路切替装置32、および、第2熱媒体流路切替装置33で接続される。第1熱媒体流路切替装置32および第2熱媒体流路切替装置33を制御することで、熱媒体間熱交換器25aからの熱媒体を利用側熱交換器35に流入させるか、熱媒体間熱交換器25bからの熱媒体を利用側熱交換器35に流入させるかが決定されるようになっている。
【0058】
本実施の形態では、上述したように中継ユニット2に対してを接続して室内ユニット3の接続台数の増設が可能である。以下、分岐ユニット60について説明する。
【0059】
[分岐ユニット60]
図3は、
図1の分岐ユニット60の熱媒体循環回路構成の一例を示した図である。
分岐ユニット60は、中継ユニット2との接続用の接続部61を備えており、この接続部61を介して分岐ユニット60と中継ユニット2とが接続配管70で接続されている。また、分岐ユニット60は、接続部61を介して中継ユニット2から流入した熱媒体循環回路Bの熱媒体を分岐する分岐部62を有している。分岐部62は複数の分岐口を有しており、ここでは増設数が4つであるため、4つの分岐口を備えている。そして、各分岐口のそれぞれに、増設される室内ユニット3の利用側熱交換器(増設利用側熱交換器)35a〜35dが接続され、中継ユニット2の熱媒体間熱交換器25a、25bと利用側熱交換器35a〜35dとの間で熱媒体が循環するようになっている。
【0060】
分岐ユニット60には、接続配管70と、4つの第1熱媒体流路切替装置32e〜32h(中継ユニット2での第1熱媒体流路切替装置32同様に単に第1熱媒体流路切替装置32と称することもある)と、4つの第2熱媒体流路切替装置33e〜33h(中継ユニット2での第2熱媒体流路切替装置33同様に単に第2熱媒体流路切替装置33と称することもある)と、4つの熱媒体流量調整装置34e〜34h(中継ユニット2での熱媒体流量調整装置34と同様に単に熱媒体流量調整装置34と称することもある)と、が搭載されている。
【0061】
なお、第1熱媒体流路切替装置32e〜32h、第2熱媒体流路切替装置33e〜33hおよび熱媒体流量調整装置34e〜34hは、これらの切替装置の機能を一元化した一体化流路切替装置に代えることも可能である。一体化流路切替装置は、具体的にはたとえば、第1熱媒体流路切替装置32a〜32d、第2熱媒体流路切替装置33a〜33dおよび熱媒体流量調整装置34a〜34dのそれぞれの機能を備えた特許文献2のようなブロック構造を有する構成としてもよい。第1熱媒体流路切替装置32e〜32h、第2熱媒体流路切替装置33e〜33hおよび熱媒体流量調整装置34e〜34hは本発明の第2熱媒体流路切替手段を構成している。
【0062】
分岐ユニット60の第1熱媒体流路切替装置32は、中継ユニット2に対して接続配管70によって2管で接続されており、中継ユニット2における利用側熱交換器35の熱媒体流路の出口側と、熱媒体間熱交換器25の熱媒体流路の入口側との接続を切り替えるものである。第1熱媒体流路切替装置32は、分岐ユニットに接続されている室内ユニット3の設置台数に応じた個数(ここでは4つ)が設けられるようになっている。
【0063】
第1熱媒体流路切替装置32は、三方のうちの一つが接続配管70を通じて中継ユニット2における熱媒体間熱交換器25aに、三方のうちの一つが接続配管70を通じて中継ユニット2における熱媒体間熱交換器25bに、三方のうちの一つが分岐ユニット60における熱媒体流量調整装置34に、それぞれ接続されている。そして、第1熱媒体流路切替装置32は、分岐ユニット60に接続されている利用側熱交換器35の熱媒体流路の出口側に設けられている。なお、分岐ユニット60に接続されている室内ユニット3に対応させて、紙面上側から第1熱媒体流路切替装置32e、第1熱媒体流路切替装置32f、第1熱媒体流路切替装置32g、第1熱媒体流路切替装置32hとして図示している。また、熱媒体流路の切替には、一方から他方への完全な切替だけでなく、一方から他方への部分的な切替も含んでいるものとする。この第1熱媒体流路切替装置32は、たとえば三方弁などで構成するとよい。
【0064】
分岐ユニット60における第2熱媒体流路切替装置33は、中継ユニット2に対して接続配管70によって2管で接続されており、中継ユニット2における熱媒体間熱交換器25の熱媒体流路の出口側と、利用側熱交換器35の熱媒体流路の入口側との接続を切り替えるものである。分岐ユニット60における第2熱媒体流路切替装置33は、分岐ユニット60に接続されている室内ユニット3の設置台数に応じた個数(ここでは4つ)が設けられるようになっている。
【0065】
第2熱媒体流路切替装置33は、三方のうちの一つが接続配管70を通じて中継ユニット2における熱媒体間熱交換器25aに、三方のうちの一つが接続配管70を通じて中継ユニット2における熱媒体間熱交換器25bに、三方のうちの一つが分岐ユニット60に接続されている利用側熱交換器35に、それぞれ接続されている。そして、第2熱媒体流路切替装置33は、分岐ユニット60に接続されている利用側熱交換器35の熱媒体流路の入口側に設けられている。
【0066】
なお、分岐ユニット60に接続されている室内ユニット3に対応させて、紙面上側から第2熱媒体流路切替装置33e、第2熱媒体流路切替装置33f、第2熱媒体流路切替装置33g、第2熱媒体流路切替装置33hとして図示している。また、熱媒体流路の切替には、一方から他方への完全な切替だけでなく、一方から他方への部分的な切替も含んでいるものとする。この第2熱媒体流路切替装置33は、たとえば三方弁などで構成するとよい。
【0067】
分岐ユニット60における熱媒体流量調整装置34は、開口面積を制御できる二方弁などで構成されており、中継ユニット2から搬送された熱媒体が接続配管70を通じて流れるときの流量を制御するものである。分岐ユニット60における熱媒体流量調整装置34は、分岐ユニットに接続されている室内ユニット3の設置台数に応じた個数(ここでは4つ)が設けられるようになっている。分岐ユニット60における熱媒体流量調整装置34は、一方が分岐ユニット60に接続された利用側熱交換器35に、他方が分岐ユニット60に接続された第1熱媒体流路切替装置32に、それぞれ接続されている。そして、熱媒体流量調整装置34は、分岐ユニット60に接続された利用側熱交換器35の熱媒体流路の出口側に設けられている。
【0068】
すなわち、熱媒体流量調整装置34は、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3へ流入する熱媒体の温度および流出する熱媒体の温度に基づいて室内ユニット3へ流入する熱媒体の量を調整し、室内負荷に応じた最適な熱媒体量を室内ユニット3に提供可能とするものである。
【0069】
なお、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3に対応させて、紙面上側から熱媒体流量調整装置34e、熱媒体流量調整装置34f、熱媒体流量調整装置34g、熱媒体流量調整装置34hとして図示している。また、熱媒体流量調整装置34を利用側熱交換器35の熱媒体流路の入口側に設けてもよい。また、熱媒体流量調整装置34を利用側熱交換器35の熱媒体流路の入口側であって、第2熱媒体流路切替装置33と利用側熱交換器35との間に設けてもよい。さらに、室内ユニット3において、停止モードおよびサーモOFFなどの負荷を必要としていないときは、熱媒体流量調整装置34を全閉にすることにより、室内ユニット3への熱媒体供給を止めることができる。
【0070】
なお、第1熱媒体流路切替装置32または第2熱媒体流路切替装置33において、熱媒体流量調整装置34の機能を付加したものを用いれば、熱媒体流量調整装置34を省略することも可能である。
【0071】
また、前述の通り、第1熱媒体流路切替装置32、第2熱媒体流路切替装置33および熱媒体流量調整装置34を一体化(ブロック化)し、流路切替機能、流量調整機能、流路閉止機能を付加した一体化流路切替装置を第1熱媒体流路切替装置32、第2熱媒体流路切替装置33および熱媒体流量調整装置34に対して代用することもできる。
【0072】
図4は、
図1の空気調和装置100の回路構成を示す図である。
熱媒体が流れる接続配管70は、
図4に示す通り、中継ユニット2に接続され、中継ユニット2内の熱媒体間熱交換器25aに接続されるものと、熱媒体間熱交換器25bに接続されるものと、を有している。接続配管70は、分岐ユニット60に接続される室内ユニット3の台数に応じて分岐(ここでは、各4分岐)されている。そして、接続配管70のうち中継ユニット2における熱媒体間熱交換器25aに接続されるものと、熱媒体間熱交換器25bに接続されるものとが、分岐ユニット60における第1熱媒体流路切替装置32、および、分岐ユニット60における第2熱媒体流路切替装置33で接続される。
【0073】
分岐ユニット60における第1熱媒体流路切替装置32および分岐ユニット60における第2熱媒体流路切替装置33を制御することで、中継ユニット2における熱媒体間熱交換器25aからの熱媒体を利用側熱交換器35に流入させるか、中継ユニット2における熱媒体間熱交換器25bからの熱媒体を利用側熱交換器35に流入させるかが決定されるようになっている。
【0074】
図5は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置100における冷媒回路の他の一例を示す図である。
図5には、接続配管70を2つの中継ユニット2に跨がって接続した構成を示している。
図5の分岐ユニット60は
図4の分岐ユニット60の接続部61に加えてさらに、もう一つの接続部63を備えており、接続部61、63を介して、2つの中継ユニット2と接続配管70で接続されている。そして、接続配管70は、2つの中継ユニット2のそれぞれに対して中継ユニット2内の熱媒体間熱交換器25aに接続、または熱媒体間熱交換器25bに接続することができる構成となっている。
【0075】
図4および
図5に示した空気調和装置100では、圧縮機10、第1冷媒流路切替装置11、熱源側熱交換器12、開閉装置27、開閉装置29、第2冷媒流路切替装置28、熱媒体間熱交換器25の冷媒流路、第1絞り装置26、および、アキュムレーター19を、冷媒配管4で接続して冷媒循環回路Aを構成している。また、熱媒体間熱交換器25の熱媒体流路、ポンプ31、第1熱媒体流路切替装置32、熱媒体流量調整装置34、利用側熱交換器35、および、第2熱媒体流路切替装置33を、熱媒体配管5で接続して熱媒体循環回路Bを構成している。つまり、熱媒体間熱交換器25のそれぞれに複数台の利用側熱交換器35が並列に接続され、熱媒体循環回路Bを複数系統としている。
【0076】
よって、空気調和装置100では、室外ユニット1と中継ユニット2とが、中継ユニット2に設けられている熱媒体間熱交換器25aおよび熱媒体間熱交換器25bを介して接続される。そして、中継ユニット2と室内ユニット3とが、熱媒体間熱交換器25aおよび熱媒体間熱交換器25bを介して接続されている。すなわち、空気調和装置100では、熱媒体間熱交換器25aおよび熱媒体間熱交換器25bで冷媒循環回路Aを循環する熱源側冷媒と、熱媒体循環回路Bを循環する熱媒体と、が熱交換するようになっている。このような構成を用いることで、空気調和装置100は、室内負荷に応じた最適な冷房運転または暖房運転を実現することができる。
【0077】
空気調和装置100が実行する運転モードには、上述したように全暖房運転モード、全冷房運転モード、冷房主体運転モード、暖房主体運転モードがある。これらの各運転モードは、第1冷媒流路切替装置11、第2冷媒流路切替装置28、第1熱媒体流路切替装置32および第2熱媒体流路切替装置33の切り替えと、開閉装置27および開閉装置29の開閉とを組み合わせることで実行することができる。
【0078】
以下に、これらの各モードについて説明する。
【0079】
[暖房運転モード(全暖房運転モード)]
図6は、
図4に示す空気調和装置100における全暖房運転時の熱源側冷媒の流れおよび熱媒体の流れを示す図である。なお、
図6では、太線で表された配管が熱源側冷媒の流れる配管を示している。また、
図6では、熱源側冷媒の流れ方向を実線矢印で示し、熱媒体の流れ方向を点線矢印で示している。ここでは、中継ユニット2に接続されている4つの室内ユニット3a〜3dが、熱媒体間熱交換器25b側に接続されて一系統の熱媒体循環回路Bを構成し、分岐ユニット60に接続されている4つの室内ユニット3e〜3hが熱媒体間熱交換器25b側に接続されてもう一系統の熱媒体循環回路Bを構成する場合を例に説明する。
【0080】
暖房運転モード(全暖房運転モード)の場合、室外ユニット1では、第1冷媒流路切替装置11は、圧縮機10から吐出された熱源側冷媒を熱源側熱交換器12を経由させずに中継ユニット2へ流入させるように切り替えられる。
【0081】
中継ユニット2では、4つの室内ユニット3a〜3dが熱媒体間熱交換器25bに接続されるように、4つの第1熱媒体流路切替装置32a〜32dおよび4つの第2熱媒体流路切替装置33a〜33dのそれぞれが切り替えられる。4つの熱媒体流量調整装置34a〜34dは、室内ユニット3a〜3dがそれぞれ設置された室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な熱媒体流量となるように制御される。また、開閉装置27は閉、開閉装置29は開となっている。また、第2冷媒流路切替装置28は暖房運転側に切り替えられる。
【0082】
また、中継ユニット2では、ポンプ31は、中継ユニット2に接続された室内ユニット3a〜3dの空調負荷、および分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hの空調負荷に応じた流量指示値に基づく動作を行う。
【0083】
また、分岐ユニット60では、4つの室内ユニット3e〜3hが熱媒体間熱交換器25aに接続されるように4つの第1熱媒体流路切替装置32e〜32hおよび4つの第2熱媒体流路切替装置33e〜33hのそれぞれが切り替えられる。4つの熱媒体流量調整装置34e〜34hは、室内ユニット3e〜3hがそれぞれ設置された室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量となるように制御される。
【0084】
まず始めに、冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについて説明する。
【0085】
低温低圧の冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温高圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11、および第1接続配管4aを介して室外ユニット1から流出する。室外ユニット1から流出した高温高圧のガス冷媒は、冷媒配管4を通って中継ユニット2に流入する。中継ユニット2に流入した高温高圧のガス冷媒は、第2冷媒流路切替装置28a、28bを通過したのち、熱媒体間熱交換器25a、25bを通過し、第1絞り装置26a、26bを通過し、開閉装置29を通過する。開閉装置29を通過後の冷媒は、室外ユニット1へと搬送され、熱源側熱交換器12にて外気との熱交換を行って低温低圧のガス冷媒となる。低温低圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11およびアキュムレーター19を介して圧縮機10へ再度吸入される。
【0086】
このとき、第1絞り装置26a、26bは、熱媒体間熱交換器25a、25bの出口冷媒のサブクール(過冷却度)が一定になるように開度が制御される。このサブクール(過冷却度)は、熱媒体間熱交換器25a、25bと第1絞り装置26a、26bとの間を流れる熱源側冷媒の圧力を飽和温度に換算した値と、熱媒体間熱交換器25a、25bの出口側の温度との差として得られるものである。
【0087】
次に、熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の流れについて説明する。
【0088】
ポンプ31aおよびポンプ31bの駆動によって加圧された熱媒体は、利用側熱交換器35a〜35hに送り込まれ、室内空気と熱交換した後、利用側熱交換器35a〜35hから流出して熱媒体流量調整装置34a〜34hに流入する。このとき、熱媒体は、熱媒体流量調整装置34a〜34hの作用によって室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量に制御されて利用側熱交換器35a〜35hおよび熱媒体流量調整装置34a〜34hを通過するようになっている。
【0089】
そして、熱媒体流量調整装置34a〜34hから流出した熱媒体のうち、中継ユニット2における熱媒体流量調整装置34a〜34dから流出した熱媒体は、第1熱媒体流路切替装置32a〜32dにより流路が切り替えられて熱媒体配管5を通り、熱媒体間熱交換器25bへ流入通過する。そして、熱媒体間熱交換器25bを通過した熱媒体は、再びポンプ31bへ吸い込まれた後、第2熱媒体流路切替装置33a〜33dを通過して利用側熱交換器35a〜35dに送り込まれる。
【0090】
一方、熱媒体流量調整装置34a〜34hから流出した熱媒体のうち、分岐ユニット60における熱媒体流量調整装置34e〜34hから流出した熱媒体は、第1熱媒体流路切替装置32e〜32hにより流路が切り替えられて接続配管70を通り、熱媒体間熱交換器25aへ流入通過する。そして、熱媒体間熱交換器25aを通過した熱媒体は、再びポンプ31aへ吸い込まれた後、第2熱媒体流路切替装置33e〜33hを通過して利用側熱交換器35e〜35hに送り込まれる。
【0091】
以上のようにして熱媒体間熱交換器25aおよび熱媒体間熱交換器25bのそれぞれと利用側熱交換器35a〜35hとの間を熱媒体が循環する。そして、凝縮器として機能する利用側熱交換器35e〜35hにて熱媒体が室内空気と熱交換することで、室内ユニット3e〜3hがそれぞれ設置された室内が暖房される。
【0092】
なお、動作している室内ユニット3a〜3hのそれぞれを熱媒体間熱交換器25a、25bのうち、どちら側に接続して熱媒体循環回路Bを構成するかは、システムの考え方によって任意であるが、たとえば以下のようにして決定される。すなわち、熱媒体間熱交換器25aに接続した室内ユニット3で必要な合計の暖房容量と、熱媒体間熱交換器25bに接続した室内ユニット3で必要な合計の暖房容量とが、全室内ユニット3で必要な総暖房容量の略半分ずつに分けられるようにして決定される。各室内ユニット3の暖房容量は制御装置50にて判断することができ、暖房容量に応じて第1熱媒体流路切替装置32a〜32hおよび第2熱媒体流路切替装置33a〜33hを切り替えればよい。
【0093】
次に、分岐ユニット60が接続配管70を通じて複数台の中継ユニット2に跨がって接続された構成における、全暖房運転モードについて説明する。
【0094】
図7は、
図5に示す空気調和装置100における全暖房運転時の熱源側冷媒の流れおよび熱媒体の流れを示す図である。なお、冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについては
図6で説明した通りである。なお、以下では、説明の便宜上、2つの中継ユニット2を区別する必要のあるときは、
図7の上側の中継ユニット2を中継ユニット2A、下側の中継ユニット2を中継ユニット2Bとする。
【0095】
図7の構成においては、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hの中継ユニット2への接続形態として、以下の2種類の接続形態が考えられる。
(1)分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hが中継ユニット2Aまたは中継ユニット2Bのどちらか一方のみに接続される接続形態。
(2)分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hが中継ユニット2Aと中継ユニット2Bとに分けて接続される接続形態。
【0096】
以下、それぞれの接続形態における熱媒体の流れについて説明する。なお、熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の作用は上記と同様である。
【0097】
(1)の場合
ここでは、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hの全てが中継ユニット2Aの熱媒体間熱交換器25aに接続されるとすると、熱媒体の流れは
図6で説明した流れと同じである。また、熱媒体は、熱媒体流量調整装置34e〜34hの作用によって室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量に制御されて利用側熱交換器35e〜35hおよび熱媒体流量調整装置34e〜34hを通過する。
【0098】
この接続形態においては、分岐ユニット60の接続先を中継ユニット2Aまたは中継ユニット2Bに切り替えて利用できる。よって、たとえば中継ユニット2Aがメンテナンス中で利用できない場合は、分岐ユニット60の接続先を中継ユニット2Bにすることで、運転を継続することができる。
【0099】
(2)の場合
ここでは、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3gが中継ユニット2Aの熱媒体間熱交換器25aに接続され、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3hが中継ユニット2Bの熱媒体間熱交換器25bに接続される場合を例に説明する。また、中継ユニット2Aに接続された室内ユニット3a〜3dは、中継ユニット2Aの熱媒体間熱交換器25bに接続され、中継ユニット2Bに接続された室内ユニット3a〜3dは、中継ユニット2Bの熱媒体間熱交換器25bに接続されるものとする。
【0100】
中継ユニット2A、2Bのそれぞれに接続された室内ユニット3a〜3dにおける熱媒体の流れは
図6で説明した流れと同様であるため、ここでは分岐ユニット60における熱媒体の流れを中心に説明する。
【0101】
分岐ユニット60において第1熱媒体流路切替装置32e〜32gと、第2熱媒体流路切替装置33e〜33gとを、熱媒体間熱交換器25a側に切り替える。また、(2)の場合には、
図7中の拡大図に示すように、中継ユニット2Aと分岐ユニット60との間に開閉弁71a〜71dを設けるとともに、中継ユニット2Bと分岐ユニット60との間に開閉弁72a〜72dを設けた構成とする。そして、中継ユニット2A側に設けられた開閉弁71a〜71dの中で、熱媒体間熱交換器25aと直接連通している配管に設けられた開閉弁71bおよび開閉弁71dを「開」とする。一方で開閉弁71a〜71dの中で、熱媒体間熱交換器25bと直接連通している配管に設けられた開閉弁71aおよび開閉弁71cを「閉」とする。これにより、中継ユニット2Aの熱媒体間熱交換器25aと、利用側熱交換器35e〜35gとの間を熱媒体が循環する熱媒体循環回路Bが構成される。この熱媒体循環回路Bでは、熱媒体流量調整装置34e〜34gの作用によって室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量の熱媒体が循環し、室内を暖房する。
【0102】
また、分岐ユニット60において第1熱媒体流路切替装置32hと、第2熱媒体流路切替装置33hとを、熱媒体間熱交換器25b側に切り替える。さらに中継ユニット2B側に設けられた開閉弁72a〜72dの中で、熱媒体間熱交換器25bと直接連通している配管に設けられた開閉弁72aおよび開閉弁72cを「開」とする。一方で開閉弁72a〜72dの中で、熱媒体間熱交換器25aと直接連通している配管に設けられた開閉弁72bおよび開閉弁72dを「閉」とする。これにより、中継ユニット2Bの熱媒体間熱交換器25bと、利用側熱交換器35hとの間を熱媒体が循環する熱媒体循環回路Bが構成される。この熱媒体循環回路Bでは、熱媒体流量調整装置34hの作用によって室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量の熱媒体が循環し、室内を暖房する。
【0103】
なお、開閉弁71a〜71dおよび開閉弁72a〜72dは、電磁開閉式の電磁弁のようなものであっても、手動にて開閉できる手動開閉弁であってもよい。
【0104】
このように、分岐ユニット60における室内ユニット3e〜3hを、2つの中継ユニット2A、2Bに跨がって接続し、中継ユニット2A、2Bのそれぞれに分けて熱媒体を流すようにした場合、以下の効果が得られる。すなわち、跨がって接続されていない構成の場合、分岐ユニットにおける搬送動力源は1つの中継ユニット2のポンプ31に限定されるが、2つの中継ユニット2に跨がって接続することで、2つの中継ユニット2にそれぞれ備えているポンプ31の両方を搬送動力源として利用することができる。よって、中継ユニット2Aに接続された室内ユニット3の空調負荷が大きく、中継ユニット2Aのポンプ31の搬送動力だけでは不足している場合に、中継ユニット2B側のポンプ31も利用することで、動力不足を補うことができ、効率的な空調を実現することができる。
【0105】
なお、分岐ユニット60において、たとえば中継ユニット2Aの熱媒体間熱交換器25bに接続される室内ユニット3と中継ユニット2Bの熱媒体間熱交換器25bに接続される室内ユニット3とが混在する場合、中継ユニット2Aから分岐ユニット60に向かう冷媒と、中継ユニット2Bから分岐ユニット60に向かう冷媒とが一本の接続配管70内で衝突しないように、たとえば弁を設けるなどの対応を施すものとする。
【0106】
[冷房運転モード(全冷房運転モード)]
図8は、
図4に示す空気調和装置100の全冷房運転時の熱源側冷媒の流れおよび熱媒体の流れを示す図である。また、
図8では、熱源側冷媒の流れ方向を実線矢印で示し、熱媒体の流れ方向を点線矢印で示している。また、ここでは、中継ユニット2に接続されている4つの室内ユニット3a〜3dが、熱媒体間熱交換器25b側に接続されて熱媒体循環回路Bを構成し、分岐ユニット60に接続されている4つの室内ユニット3e〜3hが熱媒体間熱交換器25b側に接続されて熱媒体循環回路Bを構成する場合を例に説明する。
【0107】
冷房運転モード(全冷房運転モード)の場合、室外ユニット1では、第1冷媒流路切替装置11は、圧縮機10から吐出された熱源側冷媒を熱源側熱交換器12へ流入させるように切り替えられる。
【0108】
中継ユニット2では、4つの室内ユニット3a〜3dが熱媒体間熱交換器25bに接続されるように、第1熱媒体流路切替装置32a〜32dおよび4つの第2熱媒体流路切替装置33a〜33dのそれぞれが切り替えられる。4つの熱媒体流量調整装置34a〜34dは、室内ユニット3a〜3dがそれぞれ設置された室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な熱媒体流量となるように制御される。また、開閉装置27は閉、開閉装置29は開となっている。また、第2冷媒流路切替装置28は冷房運転側に切り替えられる。
【0109】
また、分岐ユニット60では、4つの室内ユニット3e〜3hが熱媒体間熱交換器25aに接続されるように第1熱媒体流路切替装置32e〜32hおよび4つの第2熱媒体流路切替装置33e〜33hのそれぞれが切り替えられる。4つの熱媒体流量調整装置34e〜34hは、室内ユニット3e〜3hがそれぞれ設置された室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量となるように制御される。
【0110】
また、中継ユニット2では、ポンプ31は、中継ユニット2に接続された室内ユニット3a〜3dの空調負荷、および分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hの空調負荷に応じた流量指示値に基づく動作を行う。
【0111】
まず始めに、冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについて説明する。
【0112】
低温低圧の冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温高圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11を介して熱源側熱交換器12に流入し、外気との熱交換を行い、高温高圧の液または二相冷媒となる。そして、熱源側熱交換器12から流出した高温高圧の液または二相冷媒は、逆止弁13aを介して室外ユニット1から流出する。室外ユニット1から流出した高温高圧の液または二相冷媒は、冷媒配管4を通って中継ユニット2に流入する。
【0113】
中継ユニット2に流入した高温高圧の液または二相冷媒は、開閉装置27を通過した後、第1絞り装置26a、26bを通過したのち低温低圧の二相冷媒となる。低温低圧の二相冷媒は、熱媒体間熱交換器25a、25bにて熱媒体と熱交換したのち、低温低圧のガス冷媒となり、その後、中継ユニット2から流出して室外ユニット1へと流入する。室外ユニット1へ流入した冷媒は、第1冷媒流路切替装置11およびアキュムレーター19を介して圧縮機10へと再度吸入される。
【0114】
このとき、第1絞り装置26a、26bは熱媒体間熱交換器25a、25bの出口冷媒のスーパーヒート(過熱度)が一定になるように開度が制御される。このスーパーヒート(過熱度)は、熱媒体間熱交換器25a、25bと第1絞り装置26a、26bとの間を流れる熱源側冷媒の圧力を飽和温度換算した値と、熱媒体間熱交換器25a、25bの出口が和の温度との差として得られるものである。
【0115】
熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の流れは、
図6で説明した熱媒体の流れと同じである。すなわち、熱媒体間熱交換器(ここでは、蒸発器)25bと利用側熱交換器35a〜35dとの間を、熱媒体流量調整装置34a〜34dの作用によって室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量の熱媒体が循環する。そして、利用側熱交換器35a〜35dにて熱媒体が室内空気と熱交換することで、室内ユニット3a〜3dがそれぞれ設置された室内が冷房される。また、熱媒体間熱交換器(ここでは、蒸発器)25aと利用側熱交換器35e〜35hとの間を、熱媒体流量調整装置34e〜34hの作用によって室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量の熱媒体が循環する。そして、利用側熱交換器35e〜35hにて熱媒体が室内空気と熱交換することで、室内ユニット3e〜3hがそれぞれ設置された室内が冷房される。
【0116】
次に、分岐ユニット60が接続配管70を通じて複数台の中継ユニット2に跨がって接続された構成における、全冷房運転モードについて説明する。
【0117】
図9は、
図5に示す空気調和装置110における全冷房運転時の熱源側冷媒の流れおよび熱媒体の流れを示す図である。
この構成における冷媒循環回路Aの熱源側冷媒の流れは
図8で説明した通りである。また、熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の流れは、
図7で説明した通りである。すなわち、上記(1)、(2)の流れがある。そして、熱媒体循環回路Bでは、熱媒体流量調整装置34a〜34hの作用によって室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量の熱媒体が循環する。そして、利用側熱交換器35a〜35hにて熱媒体が室内空気と熱交換することで、室内ユニット3a〜3hがそれぞれ設置された室内が冷房される。
【0118】
[混在運転モード(暖房主体運転モード)]
図10は、
図4に示す空気調和装置における混在運転のうち、暖房主体運転時の熱源側冷媒の流れおよび熱媒体の流れを示す図である。なお、
図10では、太線で表された配管が熱源側冷媒、熱媒体の流れる配管を示している。また、
図10では、熱源側冷媒の流れ方向を実線矢印で示し、熱媒体の流れ方向を点線矢印で示している。この
図10では、室内ユニット3aが暖房運転モードであり、室内ユニット3eが冷房運転モードである場合を例に暖房主体運転モードを説明する。そして、その他の室内ユニット3b〜3d、3f〜3hは、運転停止により負荷がかからず(室内を冷却、加熱する必要がない。サーモオフしている状態を含む)、利用側熱交換器35b〜35d、35f〜35hに熱媒体が流れないようにするものとする。
【0119】
混在運転モード(暖房主体運転モード)の場合、室外ユニット1では、圧縮機10から吐出された熱源側冷媒が熱源側熱交換器12を経由せずに中継ユニット2へ流入するように第1冷媒流路切替装置11を切り替える。また、中継ユニット2では、開閉装置27は閉、開閉装置29は閉となっている。また、中継ユニット2では、熱媒体流量調整装置34aは室内ユニット3aが設置された室内にて必要とされる空調負荷(ここでは暖房負荷)を賄うのに必要な流量を流すことが可能な開度に開かれ、熱媒体流量調整装置34b〜34dは閉止される。また、分岐ユニット60において、熱媒体流量調整装置34eは室内ユニット3aが設置された室内にて必要とされる空調負荷(ここでは冷房負荷)を賄うのに必要な流量を流すことが可能な開度に開かれ、熱媒体流量調整装置34f〜34hは閉止される。
【0120】
まず始めに、冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについて説明する。
【0121】
低温低圧の冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温高圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11、および第1接続配管4aを介して室外ユニット1から流出する。室外ユニット1から流出した高温高圧のガス冷媒は、冷媒配管4を通って中継ユニット2に流入する。中継ユニット2に流入した高温高圧のガス冷媒は、第2冷媒流路切替装置28bを通過したのち、凝縮器として機能する熱媒体間熱交換器25bを通過する。
【0122】
熱媒体間熱交換器25bを通過後の冷媒は、第1絞り装置26bを通過した後、第1絞り装置26aを通過し、蒸発器として機能する熱媒体間熱交換器25aを通過する。熱媒体間熱交換器25aを通過した冷媒は、第2冷媒流路切替装置28aを通過したのち、室外ユニット1へと搬送される。室外ユニット1へと搬送された冷媒は、熱源側熱交換器12にて外気との熱交換を行って低温低圧のガス冷媒となった後、第1冷媒流路切替装置11およびアキュムレーター19を介して圧縮機10へ再度吸入される。
【0123】
このとき、第1絞り装置26bは、熱媒体間熱交換器25bの出口冷媒のサブクール(過冷却度)が一定になるように開度が制御される。このサブクール(過冷却度)は、熱媒体間熱交換器25bと第1絞り装置26bとの間を流れる熱源側冷媒の圧力を飽和温度に換算した値と、熱媒体間熱交換器25bの出口側の温度との差として得られるものである。
【0124】
また、第1絞り装置26aは、熱媒体間熱交換器25の出口冷媒のスーパーヒート(過熱度)が一定になるように開度が制御される。このスーパーヒート(過熱度)は、第1絞り装置26aと熱媒体間熱交換器25aとの間を流れる熱源側冷媒の圧力を飽和温度換算した値と、熱媒体間熱交換器25aの出口側の温度との差として得られるものである。
【0125】
次に、熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の流れについて説明する。
【0126】
ポンプ31bの駆動によって加圧された熱媒体は、利用側熱交換器35aに送り込まれ、室内空気と熱交換して室内を暖房した後、利用側熱交換器35aから流出する。利用側熱交換器35aから流出した熱媒体は、熱媒体流量調整装置34aを通過した後、熱媒体間熱交換器25bへ流入通過する。そして、熱媒体間熱交換器25bを通過した熱媒体は、再びポンプ31bへ吸い込まれた後、第2熱媒体流路切替装置33aを通過して利用側熱交換器35aに送り込まれる。
【0127】
一方、ポンプ31aの駆動によって加圧された熱媒体は、利用側熱交換器35eに送り込まれ、室内空気と熱交換して室内を冷房した後、利用側熱交換器35eから流出する。熱媒体流量調整装置34eを通過した熱媒体は、熱媒体流量調整装置34eを通過した後、熱媒体間熱交換器25aへ流入通過する。そして、熱媒体間熱交換器25aを通過した熱媒体は、再びポンプ31aへ吸い込まれた後、第2熱媒体流路切替装置33eを通過して利用側熱交換器35eに送り込まれる。
【0128】
次に、分岐ユニット60が接続配管70を通じて複数台の中継ユニット2に跨がって接続された構成における、暖房主体運転モードについて説明する。
【0129】
図11は、
図5に示す空気調和装置100における混在運転のうち、暖房主体運転時の熱源側冷媒の流れおよび熱媒体の流れを示す図(その1)である。
この構成における冷媒循環回路Aの熱源側冷媒の流れには
図10で説明した通りである。また、熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の流れは
図7で説明した通りである。すなわち、上記(1)、(2)の流れがある。
【0130】
ここで、上記(2)の流れの一例として、中継ユニット2Aに接続された室内ユニット3a〜3dと、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3hと、中継ユニット2Bに接続された室内ユニット3a〜3dが暖房運転モード、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hが冷房運転モードである場合を例に、暖房主体運転モードを説明する。
【0131】
この場合、熱媒体の流れは、
図7で説明した上記(2)の流れと同様である。すなわち、中継ユニット2Aの熱媒体間熱交換器(ここでは、凝縮器)25bと、中継ユニット2Aに接続された室内ユニット3a〜3dの間を熱媒体が循環し、室内を暖房する。また、中継ユニット2Aの熱媒体間熱交換器(ここでは、蒸発器)25aと分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3gの間を熱媒体が循環し、室内を冷房する。また、中継ユニット2Bの熱媒体間熱交換器(ここでは、凝縮器)25bと、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3hおよび中継ユニット2Bに接続された室内ユニット3a〜3dとの間を熱媒体が循環し、室内を暖房する。なお、熱媒体流量調整装置34が室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な熱媒体流量となるように制御される点は上記と同様である。
【0132】
なお、上記の熱媒体の流れは一例である。中継ユニット2A、2Bに接続された室内ユニット3a〜3dは、暖房運転モードで運転するか、冷房運転モードで運転するかに応じて、それぞれ自己が接続された中継ユニット2A、2B内において凝縮器として機能する熱媒体間熱交換器25bと、蒸発器として機能する熱媒体間熱交換器25aとのどちらかに選択的に接続されればよい。また、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hのそれぞれについても同様で、暖房運転モードで運転するか、冷房運転モードで運転するかに応じて、2つの中継ユニット2において凝縮器として機能する2つの熱媒体間熱交換器25bのうちの一方と、2つの中継ユニット2において蒸発器として機能する2つの熱媒体間熱交換器25aのうちの一方とのどちらかに接続配管70を介して選択的に接続されればよい。
【0133】
ここで、全暖房運転から冷暖房混在運転への切り替えについて考える。具体的には例えば、室内ユニット3a〜3hが中継ユニット2Aに接続されて暖房運転しており、中継ユニット2Bが運転停止している全暖房運転の状態から、冷暖房混在運転に切り替える場合について考える。事例としては例えば、室内ユニット3e〜3hが設置された部屋を執務空間から例えばサーバールームなど、冷房が必要な部屋として利用することになった場合、また、室内ユニット3e〜3hが設置された部屋の人数が多くなり、室内ユニット3e〜3hの運転モードを暖房運転から冷房運転に切り替える場合等が該当する。
【0134】
このような場合、中継ユニット2Bを駆動して、中継ユニット2Bにおける冷媒循環回路Aの熱源側冷媒の流れを
図10にて説明した流れとするとともに、室内ユニット3e〜3hの接続先を中継ユニット2Aから中継ユニット2Bにおいて蒸発器として機能している熱媒体間熱交換器25aに切り替えればよい。
【0135】
[混在運転モード(暖房主体運転モード)その2]
図12は、
図5に示す空気調和装置100における混在運転のうち、暖房主体運転時の熱源側冷媒の流れおよび熱媒体の流れを示す図(その2)である。2台設置された室外ユニット1A、1Bのうちの一方と、この室外ユニット1(ここでは1Bとする)に接続された中継ユニット2Bと、この中継ユニット2Bに接続された室内ユニット3a〜3dが全て停止している場合の暖房主体運転モードについて説明する。そして、中継ユニット2Aに接続された室内ユニット3a〜3dと、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hとのうち一部(ここでは、中継ユニット2Aに接続された室内ユニット3a〜3d)が暖房運転モードであり、残り(ここでは、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3h)が冷房運転モードである場合を一例として説明する。
【0136】
なお、
図12では、太線で表された配管が熱源側冷媒の流れる配管を示している。また、
図12では、熱源側冷媒の流れ方向を実線矢印で示し、熱媒体の流れ方向を点線矢印で示している。
【0137】
冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについては、
図10で説明した[混在運転モード(暖房主体運転モード)]での流れと同様である。
【0138】
熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の流れは、
図6で説明した流れと同様である。すなわち、中継ユニット2Aの熱媒体間熱交換器(ここでは、凝縮器)25bと中継ユニット2Aに接続された室内ユニット3a〜3dとの間を、熱媒体が循環する。そして、利用側熱交換器35a〜35dにて熱媒体が室内空気と熱交換することで、室内ユニット3a〜3dがそれぞれ設置された室内が暖房される。また、中継ユニット2Aの熱媒体間熱交換器(ここでは蒸発器)25aと、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hとの間を熱媒体が循環する。そして、利用側熱交換器35e〜35hにて熱媒体が室内空気と熱交換することで、室内ユニット3e〜3hがそれぞれ設置された室内が冷房される。なお、熱媒体流量調整装置34a〜34hが室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な熱媒体流量となるように制御される点は上記と同様である。
【0139】
なお、上記の熱媒体の流れは一例である。中継ユニット2Aに接続された室内ユニット3a〜3dは、暖房運転モードで運転するか、冷房運転モードで運転するかに応じて、それぞれ自己が接続された中継ユニット2Aにおいて凝縮器として機能する熱媒体間熱交換器25bと、蒸発器として機能する熱媒体間熱交換器25とのどちらかに選択的に接続されればよい。また、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3e〜3hのそれぞれについても同様で、暖房運転モードで運転するか、冷房運転モードで運転するかに応じて、中継ユニット2Aにおいて凝縮器として機能する熱媒体間熱交換器25bと、蒸発器として機能する熱媒体間熱交換器25とのどちらかに接続配管70を介して選択的に接続されればよい。
【0140】
[混在運転モード(冷房主体運転モード)]
冷房主体運転モードにおける熱源側冷媒および熱媒体の流れは暖房主体運転モードと同様である。
【0141】
以上説明したように、本実施の形態によれば、中継ユニット2に設けた分岐ユニット接続用の接続口2aに分岐ユニット60を接続することで、室外ユニット1の増設が可能である。そして、分岐ユニット60は単に切替装置を備えた構成であり、熱交換器等を持たない構成であるため、室内ユニット3の増設にあたり、必要最小限のシステム構成を実現することができる。その結果、システムの利便性、工事性、経済性の向上を図ることができる。
【0142】
また、全暖房運転モードまたは全冷房運転モードのような単一運転モードでは、上述したように、運転中の全室内ユニット3の総空調容量をたとえば略半分ずつ振り分けるように、各室内ユニット3の接続先を熱媒体間熱交換器25aまたは熱媒体間熱交換器25bに適宜選択することが可能である。よって、2台のポンプ31a、31bに求められる搬送動力がどちらか一方に偏ることで不足が生じるという不都合を抑制できる。
【0143】
一方で、混在運転モードでは、ポンプ31a、31bは、冷房用または暖房用とそれ専用として用いられる。このため、各室内ユニット3の接続先を空調容量に応じて振り分けることはできない。しかし、分岐ユニット60を複数台の中継ユニット2に跨がって接続する構成とした場合には、複数台の中継ユニット2のポンプ31a、31bを搬送動力として利用することができる。よって、各中継ユニット2のポンプ31a、31bを利用することで、効率的な空調を実現することができる。
【0144】
なお、
図5に示した2つの中継ユニット2に跨がって接続された分岐ユニット60において、それぞれの中継ユニット2に接続されている接続配管70に対して開閉弁を付与し、開閉操作を行うことで、中継ユニット2との間での熱媒体の流出入を制御することができる。これはたとえば、先に説明したような運転モードにおいて、分岐ユニット60に接続された室内ユニット3で必要としない熱媒体をその室内ユニット3に対して搬送する可能性がある場合、接続配管70に設けた開閉弁を閉じて熱媒体の流入を阻止すればよい。
【0145】
また、空気調和装置100にはさらに、分岐ユニット60にある、第1熱媒体流路切替装置32、第2熱媒体流路切替装置33、熱媒体流量調整装置34、および接続配管70へ付与した開閉弁、に対しての動作制御を行うための温度センサーおよび制御装置をさらに備えることもできる。
【0146】
なお、第2冷媒流路切替装置28は、四方弁である場合を例に説明を行ったが、それに限定されるものではなく、二方流路切替弁または三方流路切替弁を複数個用い、四方弁を用いた場合と同じように冷媒が流れるように構成してもよい。
【0147】
また、熱媒体間熱交換器25として、熱交換機能を有するものが複数個設置されていても、当然問題ない。また、第1絞り装置26として、絞り機能を有するものが複数個設置されていても、当然問題ない。
【0148】
また、熱媒体流量調整装置34が、中継ユニット2に内蔵されている場合を例に説明したが、それに限定されるものではない。つまり、熱媒体流量調整装置34は、室内ユニット3に内蔵されていてもよいし、中継ユニット2および室内ユニット3に内蔵されておらず、これらユニットの筐体外に設置されていてもよい。
【0149】
上記では、空気調和装置100にアキュムレーター19が搭載された構成を例に説明したが、アキュムレーター19が搭載されていなくてもよい。また、一般的に、熱源側熱交換器12および利用側熱交換器35には、送風機が取り付けられており、送風により凝縮あるいは蒸発を促進させる場合が多いが、それに限定されるものではない。たとえば、利用側熱交換器35としては放射を利用したパネルヒーターのようなものを用いることもできる。また、熱源側熱交換器12としては、水または不凍液により熱を移動させる水冷式のタイプのものを用いることもできる。つまり、熱源側熱交換器12および利用側熱交換器35としては、放熱あるいは吸熱をできる構造のものであれば種類を問わず、用いることができる。
【0150】
また、中継ユニット2に接続されている利用側熱交換器35および熱媒体流量調整装置34のそれぞれの台数を4台としたが、台数は4台に限定されるものではなく、利用側熱交換器35と熱媒体流量調整装置34とを1組として1組以上であればよい。分岐ユニット60に接続されている利用側熱交換器35および熱媒体流量調整装置34についても同様である。
【0151】
また、1つの中継ユニット2において熱媒体間熱交換器25が2つである場合を例に説明したが、それに限定されるものではなく、熱媒体を、1つの中継ユニット2で冷却および加熱の一方または両方できるように構成すれば、幾つ設置してもよい。さらに、ポンプ31aおよびポンプ31bは、それぞれ一つとは限らず、複数の小容量のポンプを並列に並べて接続してもよい。
【0152】
また、分岐ユニット60が2つの中継ユニット2に跨がる構成について説明したが、中継ユニット2の台数は2つに限らず、さらに複数でもよい。この場合、分岐ユニット60は、接続される中継ユニット2の数と同数の接続部61を備えた構成とされる。そして各中継ユニット2からの熱媒体を適宜切り替えて分岐ユニット60に接続された利用側熱交換器35に循環する構成とすればよい。