(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の工具ポット保持部の各々は、前記工具の中心軸線が、前記第1の循環経路が含まれる前記平面に対して垂直になるように、前記工具ポットを取外し可能に保持する、請求項2に記載の工具交換装置。
前記シフタが、前記第1の待機位置にある前記工具の中心軸線、及び、前記第2の待機位置にある前記工具の中心軸線、の双方に垂直である旋回軸線周りに旋回可能である、請求項2に記載の工具交換装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
工作機械においては、様々な形状の工具、例えば、長尺な工具が使用される場合がある。したがって、工作機械においては、より多くの工具を収容可能であり、かつ、より長尺な工具を収容可能な工具交換装置のニーズが存在する。この場合に、占有面積を増大させることなく、長尺な工具を収容可能であると好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、工作機械の主軸に把持した工具を交換する工具交換装置において、工具ポットを取外し可能に保持し、かつ、平面に沿った第1の循環経路を移動する複数の第1の工具ポット保持部を有する、第1の工具マガジンであって、選択された第1の工具ポット保持部を、第1の待機位置に配置する、第1の工具マガジンと、工具ポットを取外し可能に保持し、かつ、第1の循環経路が含まれる平面の法線方向に見て第1の循環経路の内側にある第2の経路を移動する複数の第2の工具ポット保持部を有する、第2の工具マガジンであって、第2の工具ポット保持部の各々は、工具が第2の経路の内側に向かって突出するように、かつ、工具の中心軸線が、第1の循環経路が含まれる平面に対して傾斜するように、工具ポットを保持し、当該第2の工具マガジンが、選択された第2の工具ポット保持部を、第2の待機位置に配置する、第2の工具マガジンと、工具ポットをクランプ及びアンクランプすることができ、かつ、第1の待機位置と、第2の待機位置と、次工具待機位置と、の間を移動可能である、シフタと、次工具待機位置にある工具ポットと、工作機械の主軸と、の間で工具を交換する、交換アームと、を備える、工具交換装置である。
【0008】
本開示の一態様に係る工具交換装置では、平面に沿った第1の循環経路を有する第1の工具マガジンの内側に、第2の工具マガジンが設けられる。第2の工具マガジンでは、工具の中心軸線が、第1の循環経路が含まれる平面に対して傾斜するように、工具ポットが保持されるため、工具の中心軸線が、上記の平面に対して垂直又は平行になるように、工具ポットが保持される場合に比して、より長尺な工具が収容可能である。また、工具が第2の経路の内側に向かって突出するように、工具ポットが保持されるため、第2の経路の外側、すなわち、第1の循環経路の外側に追加のスペースは必要ない。したがって、占有面積を増大させることなく、より長尺な工具を収容可能である。
【0009】
第1の工具ポット保持部と、第2の工具ポット保持部とは、同じ工具ポットを保持することができてもよい。この場合、第1の工具マガジンと第2の工具マガジンとで共通の工具ポットを使用することができ、工具ポットの種類の増加を防止することができる。
【0010】
第1の工具ポット保持部の各々は、工具の中心軸線が、第1の循環経路が含まれる平面に対して垂直になるように、工具ポットを取外し可能に保持してもよい。この場合、第1の工具マガジンでは、第2の工具マガジンに比して、より短い工具が収容可能である。したがって、両工具マガジンを使い分けることができる。
【0011】
シフタが、第1の待機位置にある工具の中心軸線、及び、第2の待機位置にある工具の中心軸線、の双方に垂直である旋回軸線周りに旋回可能であってもよい。この場合、第1の待機位置と次工具待機位置との間での工具ポットの移動、及び、第2の待機位置と次工具待機位置との間での工具ポットの移動を、同じ旋回軸線を中心とした旋回動作で実現可能である。
【0012】
第1の工具マガジンは、工具ポットが保持されないシフタ回避領域を有しており、シフタは、シフタ回避領域を通して、第1の待機位置から移動可能であってもよい。この場合、シフタが第1の待機位置から移動する際に、工具ポットを迂回するための空間が必要なく、シフタを第1の工具マガジンに近い位置に配置することが可能となる。したがって、占有面積を小さくすることができる。
【0013】
複数の第2の工具ポット保持部の間の間隔が、複数の第1の工具ポット保持部の間の間隔よりも大きくてもよい。この場合、第2の工具マガジンにおいて、隣接する工具同士の間隔が確保される。したがって、長尺な工具同士の接触を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様によれば、占有面積を増大させることなく、長尺な工具を収容可能である工具交換装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る工具交換装置を説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺は変更されている場合がある。
【0017】
図1は、実施形態に係る工具交換装置を備える工作機械の平面図である。
図1を参照して、工作機械100は、横形マシニングセンタである。他の実施形態では、工作機械100は、立形マシニングセンタ等、一般的に工具交換装置を設けることが可能な他の工作機械であってもよい。工作機械100は、ベッド10と、コラム20と、テーブル30と、工具交換装置40と、スプラッシュガード50と、を備えている。
【0018】
ベッド10は、例えば、工場の床等に固定され得る。コラム20は、ベッド10上で、ベッド10の後部に設けられている。コラム20は、ベッド10上をレール24に沿って左右方向(X軸方向)に移動する。コラム20の前側面には、鉛直方向(Y軸方向)に移動可能なサドル21が設けられている。サドル21の前側面からは、主軸頭22が前方に突出している。主軸頭22は、主軸23を、水平な回転軸線Osを中心に回転可能に支持している。主軸23に、工具Tが装着される。テーブル30は、ベッド10上でコラム20の前方に設けられている。テーブル30は、ベッド10上をレール31に沿って前後方向(Z軸方向)に移動する。テーブル30には、ワークがパレットを介して取り付けられる又はパレットを介さず直接に取り付けられる。工作機械100では、主軸23に装着された工具Tによって、テーブル30に取り付けられたワークを加工する。コラム20のX軸方向の移動、サドル21のY軸方向の移動、及び、テーブル30のZ軸方向の移動は、NC装置によって制御される。
【0019】
工具交換装置40は、コラム20の左側方に設けられている。スプラッシュガード50は、加工室51と、工具収納室52と、を有している。加工室51は、ベッド10、コラム20及びテーブル30を収容しており、工具収納室52は、工具交換装置40を収容している。加工室51と工具収納室52との間には、壁53が設けられている。壁53には、シャッター(不図示)によって開閉可能な開口54が設けられている。
【0020】
次に、工具交換装置40について詳しく説明する。工具交換装置40は、第1の工具マガジン41と、第2の工具マガジン42と、シフタ43と、交換アーム44と、を備えている。
【0021】
図2は、
図1の工作機械の左側面図である。
図2は、主に工具収納室52を示しており、したがって、主に工具交換装置40を示している。
図2では、開口54を介して、加工室51にある主軸23の一部が視認可能である。しかしながら、
図2では、加工室51にある他の構成要素は、壁53によって視認することができない。
【0022】
図2を参照して、第1の工具マガジン41は、第1のマガジン本体41aと、複数の第1の工具ポット保持部41bと、を有している。第1のマガジン本体41aは、概ね、円環形状、又は、円形の無端形状(若しくは、閉じた線形状)を有している。第1のマガジン本体41aは、コラム20の側方において、その無端形状がYZ平面に沿うように配置されている。第1のマガジン本体41aの配置の方向は、これに限られない。第1のマガジン本体41aは、例えば、不図示のフレームに設けられた複数のローラによって、回転可能に支持されることができる。第1のマガジン本体41aは、ベルト、チェーン及び/又は歯車等を介して、モータ等のアクチュエータに接続されている(不図示)。これによって、
図1に示されるように、第1のマガジン本体41aは、X軸方向に平行な回転軸線Om1の周りに回転するように構成されている。第1のマガジン本体41aの回転は、機械制御装置によって制御される。
【0023】
図2を参照して、複数の第1の工具ポット保持部41bは、第1のマガジン本体41aの無端形状に沿って配置されている。したがって、第1のマガジン本体41aが回転するにつれて、複数の第1の工具ポット保持部41bは、平面(本実施形態では、YZ平面)に沿った円形の第1の循環経路(又は、無端経路)R1を移動する。第1のマガジン本体41aは、完全に回転することができるように構成されており、したがって、経路R1は循環経路となる。第1の工具マガジン41は、選択された第1の工具ポット保持部41bを、第1の待機位置S1に配置するように構成されている。
【0024】
第1の工具ポット保持部41bの各々は、第1のマガジン本体41aの内側で工具ポットPを取外し可能に保持する。第1の工具ポット保持部41bは、例えば、第1のマガジン本体41aの内側に向かって突出する板バネ等の弾性手段を含むことができる。
図1を参照して、第1の工具ポット保持部41bは、工具Tの中心軸線Otが、第1の循環経路R1が含まれる平面(本実施形態では、YZ平面)に対して垂直になるように、工具ポットPを保持する。別の観点では、第1の工具ポット保持部41bは、工具Tの中心軸線が、第1の工具マガジン41の回転軸線Om1に対して平行になるように、工具ポットPを保持する。工具ポットPは、図示しない周知の手段を用いて工具Tを取外し可能に収納している。第1の工具ポット保持部41bでは、標準的な又は比較的短い工具Tが収容される。
【0025】
第2の工具マガジン42は、第1の循環経路R1が含まれる平面の法線方向(本実施形態では、X方向)に見て、第1の工具マガジン41の内側に配置されている。
図2を参照して、第2の工具マガジン42は、第2のマガジン本体42aと、複数の第2の工具ポット保持部42bと、を有している。第2のマガジン本体42aは、概ね扇形形状を有している。第2のマガジン本体42aの形状は、これに限定されず、他の実施形態では、第2のマガジン本体42aは、第1の循環経路R1が含まれる平面の法線方向に見て第1の工具マガジン41の内側で、所定の経路に沿って移動することができる任意の形状であり得る。
図1を参照して、第2のマガジン本体42aは、第1のマガジン本体41aの内側に配置されており、第1の工具マガジン41の円環形状の中心軸線Om1と、第2の工具マガジン42の扇形形状の中心軸線Om2とが、整列されている。
【0026】
図2を参照して、より具体的には、第2のマガジン本体42aは、概ね扇形の枠体であり、円弧形状の第1の部分42cと、第1の部分42cの両端から内側に中心軸線に向かって延びる一対の第2の部分42dと、を含んでいる。第1の部分42c及び一対の第2の部分42dは、一体成形されていてもよい、又は、別体に形成されて互いに連結されていてもよい。第1の部分42cは、例えば、120°〜180°程度の円弧形状であることができる。
【0027】
図1に示されるように、第2の部分42dは、まず、第1の部分42cの端部から内側に延び、続いて、ベッド10から遠ざかる方向に屈曲している。このような構成によって、第2のマガジン本体42aは、中心軸線Om2に沿って出っ張り、かつ、第1の工具マガジン41の内側を通る形状を有している。
図2を参照して、一対の第2の部分42dは、円弧形状の中心軸線上において互いに連結されており、回転中心部42eを形成している。
【0028】
回転中心部42eは、第1の工具マガジン41のアクチュエータとは別のアクチュエータ(例えば、モータ等)に接続されている。
図1に示されるように、第2のマガジン本体42aは、X軸方向に平行な回転軸線Om2の周りに回転するように構成されている。第2のマガジン本体42aの回転は、機械制御装置によって制御される。第2の工具マガジン42の回転は、第1の工具マガジン41の回転と独立して制御され得る。
【0029】
図2を参照して、複数の第2の工具ポット保持部42bは、第2のマガジン本体42aの第1の部分42cに沿って、配置されている。したがって、第2のマガジン本体42aが回転するにつれて、複数の第2の工具ポット保持部42bは、円形の第2の経路R2を移動する。
図2から明らかなように、円形の第2の経路R2は、第1の循環経路R1が含まれる平面の法線方向(本実施形態では、X方向)に見て、第1の循環経路R1の内側にある。第2の経路R2は、第1の循環経路R1と同様に、YZ平面に沿っている。第2のマガジン本体42aは、完全に回転してもよい。この場合、第2の経路R2は、循環経路となる。また、第2のマガジン本体42aは、完全に回転しなくてもよい(すなわち、円周方向において任意の2点の間を移動してもよい)。この場合、第2の経路R2は、循環経路ではない。
【0030】
第2の工具マガジン42は、通常時は、第1の工具マガジン41とシフタ43との間での工具ポットPの移動を妨害しないように、第1の循環経路R1が含まれる平面の法線方向(本実施形態では、X方向)に見て、シフタ43と重ならない回避位置(例えば、
図2に示される位置)に位置する。また、第2の工具マガジン42は、第2の工具マガジン42とシフタ43との間で工具ポットPを移動する際には、選択された第2の工具ポット保持部42bを、第2の待機位置S2に配置する(
図1参照)。第2の待機位置S2は、第1の工具マガジン41の円周方向において、第1の待機位置S1と同じ角度に位置する。また、第2の待機位置S2は、第1の工具マガジン41の半径方向において、第1の待機位置S1よりも内側に位置する。
【0031】
第2の工具ポット保持部42bの各々は、工具ポットPを取外し可能に保持する。第2の工具ポット保持部42bは、第2のマガジン本体42aの内側に向かうように、かつ、第1の循環経路R1が含まれる平面(YZ平面)に対して傾斜するように、突出する板バネ等の弾性手段を含むことができる。第2の工具ポット保持部42bは、工具Tが第2の経路R2の内側に向かって突出するように、かつ、工具Tの中心軸線Otが、第1の循環経路R1が含まれる平面(YZ平面)に対して傾斜するように、工具ポットPを保持する。より詳細には、第2の工具ポット保持部42bは、工具Tが第1の工具マガジン41の内側を貫通するように、又は、少なくとも部分的に通るように、工具ポットPを保持する。第1の工具ポット保持部41bと、第2の工具ポット保持部42bとは、同じ工具ポットPを保持することができる。第2の工具ポット保持部42bでは、比較的長い工具Tが収容される。
【0032】
複数の第2の工具ポット保持部42bの間の間隔は、複数の第1の工具ポット保持部41bの間の間隔よりも大きくなっている。具体的には、本実施形態では、第1の工具マガジン41は、36個の第1の工具ポット保持部41bを有しており、したがって、第1の工具ポット保持部41bは、円周方向において10°の間隔で配置されている。第2の工具マガジン42は、120°又は約120°の領域に5個の第2の工具ポット保持部42bを有しており、したがって、第2の工具ポット保持部42bは、30°又は約30°の間隔で配置されている。第1の工具ポット保持部41b及び第2の工具ポット保持部42bの数及び間隔は、これらの値に限定されず、他の実施形態では他の値であってもよいことが理解されよう。
【0033】
図1を参照して、シフタ43は、第1の待機位置S1にある第1の工具ポット保持部41bと、第2の待機位置S2にある第2の工具ポット保持部42bと、次工具待機位置S3と、の間で、工具ポットPを相互に移動可能である。シフタ43は、コラム20と第1の工具マガジン41との間に配置されている。シフタ43は、工具ポットPをクランプ及びアンクランプすることが可能な、爪状のクランプ機構43aを有している。シフタ43は、旋回軸線43bの周りに旋回可能である。
図1に示されるように、旋回軸線43bは、第1の待機位置S1にある工具Tの中心軸線Ot、及び、第2の待機位置S2にある工具Tの中心軸線Ot、の双方に垂直である。シフタ43は、旋回軸線43bの周りに、第1の待機位置S1と、第2の待機位置S2と、次工具待機位置S3と、の間を移動する。
図1に示されるように、次工具待機位置S3は、第1の工具マガジン41の円周方向において、第1の待機位置S1及び第2の待機位置S2と同じ角度に位置する。また、次工具待機位置S3は、第1の工具マガジン41の半径方向において、第1の待機位置S1及び第2の待機位置S2よりも内側に位置する。第1の待機位置S1と次工具待機位置S3との間の旋回角度は、例えば90°であり、第2の待機位置S2と次工具待機位置S3との間の旋回角度は、例えば45°又は約45°である。シフタ43の旋回移動は、機械制御装置によって制御される。
【0034】
交換アーム44は、次工具待機位置S3にある工具ポットPと、主軸23と、の間で工具Tを交換する。交換アーム44は、コラム20とシフタ43との間に配置されている。交換アーム44は、アーム部44aと、シャフト部44bと、を有している。シャフト部44bは、主軸23の回転軸線Osに平行である。アーム部44aは、シャフト部44bの先端から径方向に両側に延在しており、その両端に工具を把持するグリッパーを含んでいる。アーム部44aは、主軸23の回転軸線Osと平行な並進移動と、主軸23の回転軸線Osと垂直な平面(XY平面)内の回転移動と、が可能である。これらの移動は、不図示のカム機構等によって実現することができる。交換アーム44の並進移動及び回転移動は、機械制御装置によって制御される。
【0035】
次に、工具交換装置40の動作について説明する。
図3〜
図10は、
図1の工具交換装置の動作を説明する図である。
図3〜
図10は、
図1に示される工作機械100のうち、シフタ43及び交換アーム44を含む領域の拡大図を示している。
【0036】
図3では、主軸23に工具Tが装着されており、シフタ43が次工具待機位置S3において次の工具Tを保持している。
図3では、主軸23の工具Tは、次工具待機位置S3の工具Tよりも短い。第1の待機位置S1には、空の第1の工具ポット保持部41bが位置している。第2の工具マガジン42は、回避位置に位置しており、したがって、第2の待機位置S2は空いている。
【0037】
図3に示されるように、工具交換指令が発信されると、まず、不図示のシャッターが開き、加工室51と工具収納室52とが開口54を通じて連通する。続いて、
図4に示されるように、交換アーム44が90°回転し、主軸23の工具Tと次工具待機位置S3の工具Tとを把持する。工具Tが把持された後に、主軸23は、工具Tをアンクランプする。
【0038】
続いて、
図5に示されるように、交換アーム44が、主軸23及びシフタ43の工具ポットPから両工具Tを引き抜くように並進移動し、続いて180°回転し、続いて両工具Tを主軸23及びシフタ43の工具ポットPに挿入するように並進移動する。これによって、両工具Tが交換される。工具Tが挿入された後に、主軸23は、工具Tをクランプする。交換アーム44が90°回転し、両工具Tから交換アーム44が外される。加工を行う際には、シャッターが閉じられてもよく、加工室51と工具収納室52とが遮断されてもよい。
【0039】
続いて、
図6に示されるように、シフタ43が、次工具待機位置S3から第1の待機位置S1まで、90°旋回する。これによって、工具ポットPが、板バネ等の弾性手段の付勢力に抗して、第1の工具ポット保持部41bにはまり込む。工具ポットPが第1の工具ポット保持部41bに保持された後に、シフタ43は、工具ポットPをアンクランプする。
【0040】
続いて、
図7に示されるように、シフタ43が第2の待機位置S2にアクセスすることを可能にするために、第1の工具マガジン41が回転し、工具ポットPが保持されていない空の第1の工具ポット保持部41b(シフタ回避領域)を、第1の待機位置S1に配置する。これに関して、シフタ43は、第2の待機位置S2にアクセスするために、第1の待機位置S1から第2の待機位置S2に移動する必要がある。この場合、工具ポットPが第1の待機位置S1に配置されていると、シフタ43は、第1の待機位置S1から第2の待機位置S2に移動できない、何故ならば、工具ポットPとシフタ43とが干渉するからである。したがって、第1の工具マガジン41は、シフタ43を第1の待機位置S1から移動するためのシフタ回避領域を有している。シフタ回避領域としては、例えば、
図7に示されるように、工具ポットPが無い空の第1の工具ポット保持部41bが使用され得る。この場合には、例えば第1の工具マガジン41のある工具Tが主軸23で使用されていると、
図2に示されるように、2個の第1の工具ポット保持部41bが空になる。また、例えば、シフタ回避領域として、板バネすら設けられていないスペース(工具ポットPを配置できないスペース)が、第1の工具マガジン41に設けられてもよい。
【0041】
続いて、
図8に示されるように、シフタ43が、第1の待機位置S1から第2の待機位置S2まで旋回する。続いて、
図9に示されるように、第2の工具マガジン42が回転し、次に使用される比較的長い工具Tを保持する第2の工具ポット保持部42bが、第2の待機位置S2に配置される。シフタ43は、工具ポットPをクランプする。
【0042】
続いて、
図10に示されるように、シフタ43が旋回し、板バネ等の弾性手段の付勢力に抗して、第2の工具ポット保持部42bから工具ポットPを引き抜き、シフタ43が、第2の待機位置S2から次工具待機位置S3まで旋回する。次の工具交換指令が発信されるまで、比較的長い工具Tは、次工具待機位置S3で待機する。次の工具交換指令が発信されると、
図3〜
図5に示される動作と同様な動作によって、工具Tが交換される。
【0043】
以上、実施形態に係る工具交換装置40では、YZ平面に沿った第1の循環経路R1を有する第1の工具マガジン41の内側に、第2の工具マガジン42が設けられる。
図1に示されるように、第2の工具マガジン42では、工具Tの中心軸線Otが、第1の循環経路R1が含まれるYZ平面に対して傾斜するように、工具ポットPが保持されるため、第1の工具マガジン41に比して、より長尺な工具Tが収容可能である。また、工具Tが第2の経路R2の内側に向かって突出するように、工具ポットPが保持されるため、第2の経路R2の外側、すなわち第1の循環経路R1の外側に追加のスペースは必要ない。したがって、占有面積を増大させることなく、より長尺な工具Tを収容可能である。
【0044】
また、工具交換装置40では、第1の工具ポット保持部41bと、第2の工具ポット保持部42bとは、同じ工具ポットPを保持する。したがって、第1の工具マガジン41と第2の工具マガジン42とで共通の工具ポットPを使用することができ、工具ポットPの種類の増加を防止することができる。
【0045】
また、工具交換装置40では、第1の工具ポット保持部41bの各々が、工具Tの中心軸線OtがYZ平面に対して垂直になるように、工具ポットPを取外し可能に保持する。したがって、第1の工具マガジン41では、第2の工具マガジン42に比して、短い工具Tが収容可能である。したがって、第1の工具マガジン41を比較的短い工具Tを収容するために使用することができ、第2の工具マガジン42を比較的長い工具Tを収容するために使用することができ、両工具マガジンを使い分けることができる。
【0046】
また、工具交換装置40では、シフタ43が、第1の待機位置S1にある工具Tの中心軸線Ot、及び、第2の待機位置S2にある工具Tの中心軸線Ot、の双方に垂直である旋回軸線43b周りに旋回可能である。したがって、第1の待機位置S1と次工具待機位置S3との間での工具ポットPの移動、及び、第2の待機位置S2と次工具待機位置S3との間での工具ポットPの移動を、同じ旋回軸線43bを中心とした旋回動作で実現可能である。
【0047】
また、工具交換装置40では、第1の工具マガジン41は、工具ポットPが保持されないシフタ回避領域を有しており、シフタ43は、シフタ回避領域を通して、第1の待機位置S1から移動可能である。したがって、シフタ43が第1の待機位置S1から移動する際に、工具ポットPを迂回するための空間が必要なく、シフタ43を第1の工具マガジン41に近い位置に配置することが可能となる。したがって、占有面積を小さくすることができる。
【0048】
また、工具交換装置40では、複数の第2の工具ポット保持部42bの間の間隔が、複数の第1の工具ポット保持部41bの間の間隔よりも大きい。したがって、第2の工具マガジン42において、隣接する工具T同士の間隔が確保される。したがって、長尺な工具T同士の接触を防止することができる。
【0049】
工具交換装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解するだろう。例えば、上記の実施形態では、第1の工具マガジン41は、複数の第1の工具ポット保持部41bが取り付けられた円環状の第1のマガジン本体41aを回転させる形式であり、第1の循環経路R1は円形である。しかしながら、他の実施形態では、第1の工具マガジンは、例えば、複数の第1の工具ポット保持部が楕円、長円又は多角形等の無端形状を有するガイドレール上を移動させられる形式であってもよく、この場合、第1の循環経路は、楕円、長円又は多角形であってもよい。第2の工具マガジン42の第2の経路R2も、同様に、様々な形状であり得る。
【0050】
本実施形態では、工具マガジンに工具ポットを介して工具を保持する方式の実施例で説明したが、工具マガジンに工具を直接保持する方式のポットレス工具交換装置にも本発明は適用できる。両者の違いは、それぞれの構成要素が工具を工具ポットを介して保持するか、工具ポットを介さずに直接保持するかの違いである。
【解決手段】工具交換装置(40)は、第1の工具マガジン(41)と、第2の工具マガジン(42)と、シフタ(43)と、交換アーム(44)と、を備える。第1の工具マガジン(41)は、第1の循環経路(R1)を移動する複数の第1の工具ポット保持部(41b)を有する。第2の工具マガジン(42)は、第1の循環経路(R1)が含まれる平面(YZ)の法線方向に見て、第1の循環経路(R1)の内側にある第2の経路(R2)を移動する、複数の第2の工具ポット保持部(42b)を有する。第2の工具ポット保持部(42b)の各々は、工具(T)が第2の経路(R2)の内側に向かって突出するように、かつ、工具(T)の中心軸線(Ot)が平面(YZ)に対して傾斜するように、工具ポット(P)を保持する。