(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、
図1ないし
図10を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置10の概略構成について、
図1を用いて説明する。
【0013】
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置10は、電子写真方式を採用するフルカラープリンタである。このような画像形成装置10は、トナー画像を形成する画像形成部11と、画像形成部11により形成されたトナー画像を転写する記録材(用紙、OHPシートなどのシート材など)を搬送する記録材搬送部12とを備える。画像形成部11は、複数の画像形成ステーションを中間転写ベルト13の走行方向に並べた、所謂タンデム型の構成を有する。各画像形成ステーションでは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像がそれぞれ形成される。
【0014】
各画像形成ステーションでは、次のようにトナー画像を形成する。まず、感光ドラム14の表面を帯電ローラ15により帯電し、帯電した感光ドラム14の表面を露光装置16により、画像情報に応じてレーザなどにより露光することで静電潜像を形成する。次いで、現像装置17によりこの静電潜像をトナーにより現像することで、感光ドラム14の表面にトナー画像を形成する。各画像形成ステーションの感光ドラム14の表面に形成されたトナー画像は、順次、中間転写ベルト13に重ねて転写されることで、中間転写ベルト13上にフルカラーのトナー画像が形成される。中間転写ベルト13上のトナー画像は、記録材搬送部12により搬送される記録材に転写される。トナー画像が転写された記録材は、定着装置18で加熱、加圧されることでトナー画像が定着される。トナー画像が定着された記録材は、排出トレイ19に排出される。
【0015】
なお、図示の例では、排出トレイ19を画像形成部11の上側に設けている。
図1では、図示を省略するが、画像形成装置10の上部には、原稿を読み取る原稿読取装置22(後述する
図4参照)を設けており、排出トレイ19は、この原稿読取装置と画像形成部11の間の空間に存在する。
【0016】
記録材搬送部12は、複数の搬送ローラから構成され、カセット20に収容された記録材をピックアップして、画像形成部11に搬送する。図示の例では、装置本体の下部に配置されたカセット20から、記録材を装置本体の上方に向けて搬送する。このために記録材搬送部12は、装置本体の片側(装置前面から見た右側)に略上下方向に配置されている。
【0017】
また、画像形成装置10は、現像装置17にトナーを補給するために各色のトナーボトル21が挿抜自在に配置されている。このようなトナーボトル21は、装置前面の不図示の扉を開放することで、装置本体に対して挿入または抜き出しが可能となっている。また、装置の前面側には、ユーザが画像形成装置10を操作するための操作盤が設けられている。即ち、装置の前面側には、トナーボトル21の交換のための開閉扉や操作盤などのユーザインターフェースが設けられている。
【0018】
[フレーム]
次に、このような画像形成装置10のフレーム1について、
図2ないし
図10を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態に係る装置のフレームを前面側下方から見た斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係るフレームに電装部を配した状態で、背面側下方から見た斜視図である。フレーム1は、
図2及び
図3に示すように、互いに対向して配置された1対のフレーム体である前側板201及び後側板202と、第1ステー及び第2ステーである左ステー500及び右ステー600と、連結ステーである斜めステー700(
図5)とを備える。前側板201は、装置の前面側に配置されたプレート状の側板であり、後側板202は、装置の背面側に配置されたプレート状の側板である。左ステー500及び右ステー600は、前側板201及び後側板202の両側にそれぞれ配設され、前側板201と後側板202とを連結する。したがって、左ステー500と右ステー600とは、互いに対向するように配置され、左ステー500が前側板201の左側に、右ステー600が前側板201の右側にそれぞれ配置される。斜めステー700については後述する。
【0019】
第1ステーである左ステー500は、装置の下側に配置される下部ステーである下部左ステー501と、装置の上側に配置される上部ステーである上部左ステー502とを備える。第2ステーである右ステー600は、装置の下側に配置される下部右ステー601と、装置の上側に配置される上部右ステー602とを備える。
【0020】
下部左ステー501及び上部左ステー502は、それぞれ前側板201と後側板202との間に渡され両側板間の距離を所定の値に保持してそれぞれに固定される。したがって、フレーム1の左側面は、後側板202の左側面、前側板201の左側面、下部左ステー501及び上部左ステー502の4部品にて形成される。
【0021】
一方、下部右ステー601及び上部右ステー602は、それぞれ前側板201と後側板202との間に渡され両側板間の距離を所定の値に保持してそれぞれに固定される。したがって、フレーム1の右側面は、後側板202の右側面、前側板201の右側面、下部右ステー601及び上部右ステー602の4部品にて形成される。
【0022】
即ち、本実施形態のフレーム1は、対向する2枚のプレート状の前側板201及び後側板202を所定の間隔をもって配置し、その上下左右の角隅部近傍に配置された4本のステー501、502、601、602により概略箱形状に形成されている。この基本構成によりフレーム1として成立しているが、必要に応じて各ユニットの保持や補強のために各種補助フレーム部材を追加することにより画像形成装置10のフレーム1となっている。
【0023】
下部左ステー501の下面には、装置の設置面に接する1個の第1設置部である左支持脚102が設けられている。左支持脚102は、下部左ステー501の配設方向中央よりも前側板201と後側板202とのうちの何れかに寄った位置に設けられる。本実施形態では、後述するように、画像形成装置に何らかの要因で荷重がかかって重心が移動していない状態では、重心G(後述する
図4)が装置の中央よりも背面側に位置する。このため、左支持脚102は、後側板202に寄った位置に設けている。好ましくは、左支持脚102を、重心Gから下部左ステー501に垂線を下した位置(重心Gを下部左ステー501に投影した位置)、又は、この位置の近傍に配置する。
【0024】
下部右ステー601の下面には、装置の設置面に接する2個の第2設置部である右後支持脚100及び右前支持脚101が設けられている。右後支持脚100及び右前支持脚101は、下部右ステー601の配設方向の長さの半分以上の間隔で設けられており、本実施形態では、下部右ステー601の両端寄りにそれぞれ配置されている。好ましくは、右後支持脚100を後側板202の鉛直方向下方位置又はこの位置の近傍に、右前支持脚101を前側板201の鉛直方向下方位置又はこの位置の近傍に、それぞれ配置する。上述したように、記録材搬送部12は、装置本体の片側(装置前面から見た右側)に略上下方向に配置されている。即ち、記録材搬送部12は、フレーム1の中央よりも右ステー600側に寄った位置に配置される。このため、記録材搬送部12を支持する側のフレーム1は、右後支持脚100及び右前支持脚101の2点で支持されることになる。
【0025】
このように本実施形態では、左支持脚102、右後支持脚100及び右前支持脚101の3個所で、画像形成装置10を設置面に対して支持する、所謂3点支持としている。なお、左支持脚102は、右ステー600に投影した場合に、右後支持脚100と右前支持脚101との間に配置される。また、本実施形態では、左支持脚102、右後支持脚100及び右前支持脚101の各設置部は、それぞれ設置面に対して1点で接するようにしている。なお、この1点とは、装置の荷重を支えるために適切な或る程度の面積を有する場合を含む。要は、設置部と設置面とが点接触である必要はなく、面接触でも所謂3点支持されるような場合を含む。
【0026】
ここで、フレーム1は、
図3に示すように、上述のように画像を形成する画像形成部11(
図1)を駆動するための電装部品が配置される電装部400を支持する。本実施形態では、電装部400は、フレーム1を構成する後側板202に装着されている。電装部400は、コントローラユニット401、402、電源403、駆動ユニット404などの電装部品により構成される。コントローラユニット401、402は、画像形成装置10を制御するための各種電装類(例えば、CPU、メモリなど)を備えている。電源403は、画像形成装置10の各部に電力を供給する。駆動ユニット404は、画像形成部11や記録材搬送部12の各部の駆動源となるモータを備えている。
【0027】
このような電装部400は、各ユニットに板金などを多用して構成すると共に、モータも配置されるために重量があり、後側板202と前側板201との間であるフレーム1内部に装着される各種ユニットよりも重い。一方、装置の前面側には、ユーザの操作性を考慮して、上述のトナーボトル21のような定期交換部品の交換用インターフェースが設けられており、開閉カバーや交換処理用の解放空間となっている。したがって、
図4に示すように、装置の重心Gは、装置の中央よりも背面側に寄った位置となる。本実施形態では、このような重心Gの位置を考慮して、上述のように、左支持脚102の位置を設定している。
【0028】
また、画像形成に伴いトナー画像が定着された記録材が排出トレイ19上に積載されていく場合、記録材の重心位置は、
図4(b)に示す領域Hのほぼ中心線上となる。このため、排出トレイ19への記録材の積載枚数に応じて、装置の重心位置が、装置の前面側へと変動していくことになる。また、前述したように、装置の前面側には、ユーザインターフェースが設けられているため、ユーザが不用意に手を突く事や力を装置に対して加えてしまう事も想定される。したがって、このような場合にも、装置の重心位置が、装置の前面側へと変動していくことになる。
【0029】
このように、画像形成装置10の重心Gは装置の背面寄りに位置するが、この重心位置は、必ずしも不変のものではなく、記録材の積載やユーザ操作により変化・変動するものである。このため、フレーム1を支持する3個所の支持脚のうち、1個所側の左支持脚102の位置を背面側に配置した場合、上述のように重心位置が前面側に移動すると、フレーム1に捩れが生じてしまう可能性がある。
【0030】
ここで、画像形成装置のフレームに捩れが生じた場合の問題点について説明する。本実施形態のようなフルカラーの画像形成装置では、各色間の画像位置合わせ(以下、色ずれ補正)が画像品質における重要な要素となる。特に、本実施形態では、回転軸が平行な複数の感光ドラム14上に形成されるトナー画像が中間転写ベルト13上に重ねて転写される所謂タンデム型としている。したがって、色ずれ補正の誤差が即ち記録画像における色ずれ量としてそのまま現れてしまう。
【0031】
色ずれ補正の誤差の原因の一つとしては、特に画像形成装置の設置環境(画像形成装置が設置される面の水平度、凹凸、剛性等)によるフレームの撓みや捩じれ等の変形が挙げられる。例えば、凹凸がある設置面に画像形成装置を設置する場合、画像形成装置の支持の仕方によってはフレームに撓みや捩じれ等の変形が発生することになる。フレームに変形が生じた場合、複数の感光ドラム14の回転軸が捻じれ、その結果、各色の位置が相対的に変化し、その変化が記録画像の色ずれに繋がることになる。
【0032】
また、中間転写ベルト13をローラによって画像形成装置のフレームに倣わせ張架・搬送する場合においても、フレームの撓みや捩じれが影響を与える。即ち、フレームが捩じれることは、中間転写ベルト13を張架するローラのアライメントが崩れるということであり、延いてはローラの軸線方向に対する中間転写ベルト13の寄り力の増大に繋がる。即ち、中間転写ベルト13がローラの軸線方向に移動する力が増大する。中間転写ベルト13の寄り力の増大は、ベルト端部の劣化や破損に至る要因となり、中間転写ベルト13の寿命を左右する。
【0033】
また、記録材をカセット20から画像形成部11に搬送する記録材搬送部12についても、フレームの捩れなどにより各搬送ローラなどのアライメントが崩れる可能性がある。搬送ローラのアライメントが崩れると、記録材が斜めに搬送され易くなるなど、搬送性が低下する。以上より、フレームの撓みや捩じれを抑制することは画像形成装置において、製品としての品質を左右する重要な要素となっている。
【0034】
このために本実施形態では、フレーム1を所謂3点支持として、装置の設置環境によるフレーム1の捩れなどの変形を抑制するようにしている。また、本実施形態では、記録材搬送部12がフレーム1の中央よりも右ステー600側に寄った位置に配置されるが、記録材搬送部12を支持する側のフレーム1は、右後支持脚100及び右前支持脚101の2点で支持される。本実施形態では、このように記録材搬送部12を支持する側のフレーム1を2点でして確実に設置させることで、搬送ローラのアライメントに与える影響を抑えるようにしている。
【0035】
ところで、本実施形態では、重心Gが背面側に偏った位置となっているため、フレーム1の左側面を支持する左支持脚102も装置背面寄りに設けられている。一方、フレーム1の右側面は、2個の右後支持脚100及び右前支持脚101によって支持しているため外力などに対し安定している。このため、フレーム1の左側面は、右側面に対して、
図5の矢印R又は矢印Sの方向に旋回するような変形を発生し易い。特に、左支持脚102が装置背面寄りに配置されているため、フレーム1の左側面は、左支持脚102の装置前面側に長く突き出した状態となり、前面側での外力に対し変形し易くなっている。即ち、上述したように装置の重心位置が前面側に移動した場合には、フレーム1に捩れが生じ易くなる。
【0036】
このために本実施形態では、このような重心位置の移動によるフレーム1の捩れを抑制すべく、
図5に示すように、連結ステーである斜めステー700を設けている。斜めステー700は、一端側が左ステー500に対し、左ステー500の配設方向中央よりも、前側板201と後側板202とのうちの一方の側板(一方のフレーム体)に寄った位置に固定される。また、斜めステー700は、他端側が他方の側板(他方のフレーム体)に対し、左ステー500よりも右ステー600に寄った位置に固定される。
【0037】
本実施形態では、斜めステー700の一端側は、上部左ステー502に対して、上部左ステー502と前側板201との連結部(角隅部)近傍に固定されている。即ち、1個所側の設置部である左支持脚102が後側板202に寄った位置に配置されているのに対し、斜めステー700の左ステー500に対する結合位置701を、この左支持脚102から離れた前側板201に寄った位置としている。即ち、上述のように、フレーム1の左側面は、前面側での外力に対し変形し(捩れ)易くなっている。したがって、前面側での外力による捩れを効率良く抑制するために、斜めステー700の左ステー500に対する結合位置701を、この左支持脚102から離れた前側板201側としている。特に、左支持脚102の垂直上方投影位置Vから、結合位置701までの距離Xは可能な限り長く設けることで、より捩れ抑制の効果が得られる。このため、本実施形態では、結合位置701は、上部左ステー502と前側板201との連結部近傍としている。
【0038】
また、斜めステー700の他端側は、後側板202に対して、後側板202と上部右ステー602との連結部(角隅部)近傍に固定されている。即ち、斜めステー700の後側板202に対する結合位置702を、後側板202の左ステー500と右ステー600との間の中央よりも右ステー600に寄った位置としている。斜めステー700による上述のように前面側での外力による捩れ抑制効果を高めるためには、斜めステー700の他端側を左ステー500から離した方が良い。このため、本実施形態では、結合位置702は、後側板202と上部右ステー602との連結部近傍としている。
【0039】
また、斜めステー700は、左支持脚102、右後支持脚100及び右前支持脚101が装置の設置面に接する点を含む平面αと略平行に配置される。通常、この平面αは、装置の設置状態で水平となるため、斜めステー700は、装置の設置状態における水平面と略平行なるように配置される。また、斜めステー700は、フレーム1内に配置される各種機器と干渉しないように、フレーム1の鉛直方向上端部近傍に配置されている。
【0040】
なお、斜めステー700は、ステー及び側板との接続部を除く部分を直線状に形成した直線部700aとしている。但し、この部分を、各種機器との干渉を考慮して、湾曲させたり、或いは、段付き形状としたりしても良い。また、斜めステー700は、必ずしも平面αと平行でなくても良く、各種機器と干渉しなければ、平面αに対して傾斜させても良い。但し、装置前面側の外力に対する捩れを効率良く抑制するためには、平面αと略平行に配置することが好ましい。また、斜めステー700は、フレーム1の鉛直方向下端部近傍、即ち、下部左ステー501と後側板202との間に配置しても良いが、フレーム1の捩れを効率良く抑制するためには、設置面から離れた鉛直方向上端部近傍に配置することが好ましい。更に、斜めステー700を、フレーム1の鉛直方向上端部近傍と下端部近傍との両方に配置しても良い。
【0041】
また、斜めステー700は、上部左ステー502及び後側板202のそれぞれに固定する前に、それぞれ任意の方向に移動可能に接続される。このために、斜めステー700の一端側と上部左ステー502との結合部と、斜めステー700の他端側と後側板202との結合部とは、それぞれ
図6及び
図7に示すように構成されている。即ち、
図6に示すように、斜めステー700の一端側には、上部左ステー502の上面部に引っ掛かるように形成された引っ掛け部703を有する。斜めステー700の一端側を上部左ステー502に結合する際には、まず、この引っ掛け部703を上部左ステー502に引っ掛けることで、鉛直方向のみ位置決めする。この結果、斜めステー700の一端側は、任意の方向である矢印A方向、B方向に移動可能に接続され、これらの方向の任意の位置で固定可能となっている。
【0042】
一方、
図7に示すように、斜めステー700の他端側は、直線部700aから後側板202に沿って折れ曲がる折れ曲がり部704を有し、折れ曲がり部704には結合板705が一体に形成されている。結合板705には、複数の係合孔705a、705bが形成されており、後側板202に突出形成された複数の係合突起202a、202bを係合自在としている。係合孔705a、705bは、矢印C方向に長く形成されている。これにより、係合孔705a、705bに係合突起202a、202bをそれぞれ係合した状態で、斜めステー700の他端側が、任意の方向である矢印C方向に移動可能に接続され、この方向の任意の位置で固定可能となっている。
【0043】
本実施形態では、このように斜めステー700の両端部を上部左ステー502と後側板202とに対して任意の位置で固定可能としている。これにより、斜めステー700は、上部左ステー502と後側板202との相対位置が一定でない場合においても、それぞれに対して、適宜位置調整することで適切な位置に固定可能となっている。例えば、治具等によりフレームの捩れをあらかじめ所望の状態にセットした後に斜めステー700を固定することができる。このため、フレーム1の構成部品の精度誤差を吸収して捩れの少ない高精度のフレーム1を得られる。なお、斜めステー700の両端部を上部左ステー502及び後側板202にそれぞれ位置決めした後は、溶接、ビス止めなどの結合方法により、それぞれ固定する。
【0044】
このように構成される本実施形態の場合、1個の左支持脚102を設けた左ステー500の配設方向中央よりも前側板201に寄った位置と、後側板202の右ステー600に寄った位置との間に斜めステー700を設けている。このため、使用状況によって装置の重心位置が変化しても、1個の左支持脚102を設けた左ステー500に変形が生じにくく、フレーム1の捩れなどを抑制できる。また、斜めステー700をこのように設けるだけでフレーム1の捩れなどを抑制できるため、フレーム1の構成部材の断面積を大きくしなくて済み、重量や部品コストを抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態の場合、装置の支持を所謂3点支持としているため、装置の設置面の状態の影響を受けにくい。したがって、本実施形態の構成を採用することで、画像形成装置の設置面の状態や装置重心の変化・変動に関わらず、フレーム1の撓みや捩れを抑制することができる。このような効果は、装置の小型化・フレームの軽量化を推し進めるほど顕著となるものであるため、本実施形態によれば、近年の画像形成装置に対する市場の要求である小型化・低価格化に適した画像形成装置を提供できる。また、このようなフレーム1を備えた画像形成装置10は、フレーム1が捩れにくいため、色ずれの抑制、中間転写ベルト13の寿命低下の抑制、記録材の搬送性向上を図れる。
【0046】
[実験]
次に、このような本実施形態の効果を確認するために行った実験について説明する。まず、斜めステー700を設けた場合と、設けなかった場合とでフレームの捩れ量を測定した第1の実験について説明する。実験では、それぞれの場合で、左支持脚102の位置を、重心Gを左ステー500に投影した位置(Ref)に対してずらした。そして、それぞれの位置で、装置の自重のみのフレームの捩れ量、装置の左前に10kgの荷重を、装置の左後に10kgの荷重をそれぞれかけた場合のフレームの捩れ量を測定した。この結果を
図8に示す。
【0047】
図8(a)は斜めステー700を設けなかった場合の結果を、
図8(b)は斜めステー700を設けた場合の結果をそれぞれ示す。また、各左支持脚102の位置における3本のグラフのうち、左のグラフが自重のみの場合を、中央のグラフが左前に10kgの荷重をかけた場合を、右のグラフが左後に10kgの荷重をかけた場合を、それぞれ示す。
図8から明らかなように、斜めステー700を設けることで、フレームの捩れ量を抑制できることが分かった。特に、左支持脚102から遠い装置の左前に荷重を加えてもフレームの捩れが大幅に抑制されることが分かった。
【0048】
次に、斜めステー700の配設方向及び長さを変えた場合のフレームの捩れ量を測定した第2の実験について説明する。実験では、
図9に示すように、ステー700の配設方向及び長さを変えて、装置の自重のみのフレームの捩れ量、装置の左前に10kgの荷重を、装置の左後に10kgの荷重をそれぞれかけた場合のフレームの捩れ量を測定した。
【0049】
即ち、
図9(a)の「配設方向Y」では、上述の第1の実施形態のように、斜めステー700の配設方向を、上部左ステー502の前側板201側から後側板202の右ステー600側に向かう方向とした。また、斜めステー700の一端側と上部左ステー502との結合位置701を左支持脚102よりも前側板201側とした。且つ、結合位置701の左支持脚102の垂直上方投影位置Vからの距離Xを長くした。また、斜めステー700の他端側と後側板202との結合位置702を左ステー500と右ステー600との中央よりも右ステー600側とした。
【0050】
図9(b)の「配設方向Z」では、斜めステー700の配設方向を、上部左ステー502の後側板202側から前側板201の右ステー600側に向かう方向とした。また、斜めステー700の一端側と上部左ステー502との結合位置701を左支持脚102よりも後側板202側とした。また、斜めステー700の他端側と前側板201との結合位置702aを左ステー500と右ステー600との中央よりも右ステー600側とした。
【0051】
図9(c)の「ステー短い」では、斜めステー700の配設方向を、上部左ステー502の前側板201側から後側板202の左ステー500側に向かう方向とした。また、斜めステー700の一端側と上部左ステー502との結合位置701を左支持脚102よりも前側板201側とした。且つ、結合位置701の左支持脚102の垂直上方投影位置Vからの距離Xを短くした。また、斜めステー700の他端側と後側板202との結合位置702を左ステー500と右ステー600との中央よりも左ステー500側とした。そして、斜めステー700の長さを、
図9(a)(b)の場合に比べて短くした。
【0052】
この結果を
図10に示す。
図10では、斜めステー700を設けなかった場合についても示した。なお、全ての場合で、左支持脚102の位置は、重心Gを左ステー500に投影した位置とした。また、各場合における3本のグラフのうち、左のグラフが自重のみの場合を、中央のグラフが左前に10kgの荷重をかけた場合を、右のグラフが左後に10kgの荷重をかけた場合を、それぞれ示す。
図10から明らかなように、
図9(a)(b)のように、斜めステー700を長くした場合、斜めステー700を設けなかった場合と、斜めステー700が短かった場合とに比べて、フレームの捩れ量を抑制できることが分かった。特に、左支持脚102から遠い装置の左前に荷重を加えてもフレームの捩れが大幅に抑制されることが分かった。更に、
図9(a)のように、斜めステー700を配設することで、フレームの捩れ量をより抑制できることが分かった。
【0053】
なお、上述の第1の実施形態では、
図9(a)のように斜めステー700を配設したが、上述の第2の実験から明らかなように、斜めステー700を
図9(b)のように配設してもフレームの捩れ抑制効果がある。即ち、斜めステー700の一端側を左ステー500の後側板202に寄った位置に固定し、他端側を前側板201に固定しても良い。即ち、斜めステー700は、一端側を左ステー500(第1ステー)に対し、左ステー500の配設方向中央よりも、前側板201と後側板202とのうちの一方の側板(一方のフレーム体)に寄った位置に固定する。且つ、斜めステー700の他端側を、前側板201と後側板202とのうちの他方の側板(他方のフレーム体)に対し、左ステー500よりも右ステー600(第2ステー)に寄った位置に固定する。これにより、斜めステー700の長さを確保して、フレームの捩れ量を抑制できる。
【0054】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、
図11を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、第1設置部である左支持脚102を設置面に対して1点で接する構成について説明した。これに対して本実施形態では、第1設置部である左支持脚103を設置面に対して2点で接するようにしている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、重複する図示及び説明は省略し、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0055】
左支持脚103は、2個の第2設置部である右後支持脚100及び右前支持脚101(
図2、3参照)の間隔よりも短い間隔で配置された2点で設置面に接する。これら2点は、左ステー500の配設方向に沿って配置されている。これにより、第一の実施形態のように、1点で設置面と接する場合に支持脚を支点としてシーソーのごとく捩れに敏感となってしまうことを抑制できる。
【0056】
なお、これら2点の間隔を広くすればより捻じれに関して敏感となる事を抑制できるが、この場合、所謂4点支持と変わらなくなってしまうので、設置場所の平面度の影響を受け易くなる。したがって、所謂3点支持による設置面影響の抑制を維持するためには、2点の間隔を、左支持脚103を設ける製品、即ち、下部左ステー501の配設方向の長さの1/3以下であることが好ましい。
【0057】
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、画像形成装置として中間転写ベルトを用いた中間転写方式の構成について説明したが、感光ドラムから記録材に直接トナー画像を転写する直接転写方式の構成にも、本発明を適用できる。直接転写方式のタンデム型の構成の場合、搬送ベルトにより記録材を搬送しつつ、各感光ドラムからトナー画像を転写する。このような構成でも、フレームの捩れが搬送ベルトを張架するローラのアライメントに影響を与えるため、本発明を適用することで、搬送ベルトの寿命低下を抑制できる。
【0058】
また、画像形成装置としてフルカラーの構成以外にも、モノクロのみを出力する構成、更には、タンデム型以外の構成など、各種画像形成装置に適用可能である。更に、本発明の装置のフレームは、画像形成装置以外であっても適用可能であり、特に、使用時に重心位置が変動する装置に好ましく適用できる。
【0059】
また、上述の各実施形態では、左支持脚を1点又は2点で設置面に接するように構成したが、右後支持脚100及び右前支持脚101も同様に、1点又は2点で設置面に接するようにしても良い。更には、各支持脚の設置面に接する点は、所謂3点支持よる設置面影響の抑制を維持できれば、1点又は2点に限らず、3点、4点など複数点にしても良い。なお、各支持脚の設置面に接する点を同じとすれば、部品の共通化を図れる。