特許第6429974号(P6429974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000002
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000003
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000004
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000005
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000006
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000007
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000008
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000009
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000010
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000011
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000012
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000013
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000014
  • 特許6429974-X線撮像装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429974
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】X線撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20181119BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   A61B6/00 320Z
   A61B6/00 300S
   G01T7/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-206240(P2017-206240)
(22)【出願日】2017年10月25日
(62)【分割の表示】特願2013-44241(P2013-44241)の分割
【原出願日】2013年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-51321(P2018-51321A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2017年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】石岡 俊哉
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/095538(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0022276(US,A1)
【文献】 特開2006−208319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して他の機器と定期的に通信を行うための通信手段と、
前記通信手段による前記他の機器との通信状況を判定する通信状態判定手段と、
入射したX線に応じた画像信号を発生するX線検出手段と、
X線撮像指示を受け付ける受付手段と、
前記通信手段、前記通信状態判定手段、前記X線検出手段への電力を供給する手段であって、外部電力とは独立した内部電力供給手段と、
前記X線検出手段と前記内部電力供給手段を制御する制御手段であって、前記受付手段によりX線撮像指示を受け付けられた際には、前記X線検出手段に画像信号を発生させるとともに、前記通信状態判定手段により、前記通信手段が所定の期間にわたり他の機器から信号を受信しないことを判定した場合には、前記X線検出手段への電力供給を停止する制御手段と、
を有することを特徴とするX線撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線発生源から発せられたX線を被写体へと照射し、前述の被写体を透過したX線の強度分布を検出して画像へと変換するX線撮像装置や前記のようなX線撮像装置を含んだX線撮像システムが製品化されている。
X線撮像装置が画像を得るための手法としては、フィルムを使用する方法や、X線を蛍光体によって可視光に変換した後に光センサで電気信号に変換する手法が知られている。
前述の画像を得る手法において、電気的な方法を用いるX線撮像装置の形態について見てみると、その一例として配線で他の機器と接続され、この配線を経由して受電や通信を行う有線接続形態ものが有る。
また、別の例として無線通信機能やバッテリー等の内部電源を備え、他の装置と有線で接続することなく使用する事が可能な無線接続形態のものが有る。
更に、前述の有線接続形態と無線接続形態の両方が実施可能な物も存在する。このようなX線撮像装置は、ある時は撮影用の架台やベッドに組み込まれ、安定した給電あるいは通信が可能な有線接続で撮影が行われる。またある時は、被写体にあわせて位置調整を行うために取り回しが容易な無線接続で撮影が行われる。
【0003】
前述のようなX線撮像装置について、作業の効率化や消費電力の効率化の観点から、X線撮像装置と合わせて用いられる機器の動作状況や、X線撮像装置自体への給電状況を参照してX線撮像装置の状態を変更する例が知られている。前述の状態とは、X線撮像装置内の各機能の動作状況の違いやそれに伴う消費電力の違いを示している。
例えばX線撮像装置以外の機器の動作状況を参照する例として、X線発生装置の電源ON−OFFを検知してX線撮像装置の制御部が適宜X線撮像装置内部の各部へ電力を給電することでユーザーの手間を省く例が開示されている(特許文献1)。
また、X線撮像装置外からの給電状況を参照する例として、外部からの給電をきっかけとして撮像装置内の各部への給電可否判断及び給電を行う事で、不良状態で曝射が行われる事を防ぐ例が開示されている。(特許文献2)
このほか、X線撮像装置の電源投入中のモードとして複数の省電力モードを備え、切り替え手段を介してユーザーが各モードを切り替える事で消費電力を下げる例(特許文献3)が開示されている。さらに、トリガ信号や環境条件等を基にX線撮像装置の状態を遷移させることで電力消費を管理する例(特許文献4)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−247138号公報
【特許文献2】特開2008−134057号公報
【特許文献3】特開2006−208308号公報
【特許文献4】特開2005−270656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
X線撮像装置本体にユーザーが電源の入・切等のX線撮像装置の状態を切り替えられる操作部を備えたものがある。このような撮影部を架台や撮影用ベッドへと組み込んで使用する場合、撮像装置の操作部を操作しにくい状態になってしまう場合がある。
このような状況においてはX線撮像装置の電源投入は勿論、電源を切る際にも手間が掛かってしまう。また、仮に電源を切り忘れた場合にはX線撮像装置に内蔵された内部電源を使って動作を続けるため、次の撮影時に必要な電力を得られず撮影に時間がかかってしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するために、本出願に開示されるX線撮像装置は、ネットワークを介して他の機器と定期的に通信を行うための通信手段と、前記通信手段による前記他の機器との通信状況を判定する通信状態判定手段と、入射したX線に応じた画像信号を発生するX線検出手段と、X線撮像指示を受け付ける受付手段と、前記通信手段、前記通信状態判定手段、前記X線検出手段への電力を供給する手段であって、外部電力とは独立した内部電力供給手段と、前記X線検出手段と前記内部電力供給手段を制御する制御手段であって、前記受付手段によりX線撮像指示を受け付けられた際には、前記X線検出手段に画像信号を発生させるとともに、前記通信状態判定手段により、前記通信手段が所定の期間にわたり他の機器から信号を受信しないことを判定した場合には、前記X線検出手段への電力供給を停止する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、X線撮像装置が撮影用の架台やベッドに組み込まれ、X線撮像装置本体に設けられた操作部が操作しにくい様な場合においてもX線撮像装置の動作状態を変更できる。
また、X線撮像装置による撮影が行われないと想定される状況において、X線撮像装置の機能停止が人の手を介さずに行われるため、機能停止を忘れたために発生する不都合が発生しにくい。
更に前述の各機能及び効果は使用するか否かを選択する事でX線撮像装置の使用状況に応じた運用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態にかかるX線撮像システム構成の例を模式的に示す図である。
図2】X線撮像装置の機能構成の例を模式的に示す図である。
図3】X線撮像装置が取り得る状態例と動作状況対応の例を模式的に示す図である。
図4】モード1の状態遷移を模式的に示す図である。
図5】モード2の状態遷移を模式的に示す図である。
図6】第1の実施形態における状態遷移を模式的に示す図である。
図7】第1の実施形態にかかるX線撮像装置の制御方法を示すフローチャートである。
図8】モード3の状態遷移を模式的に示す図である。
図9】第2の実施形態における状態遷移を模式的に示す図である。
図10】第2の実施形態にかかるX線撮像装置の制御方法を示すフローチャートである。
図11】モード4の状態遷移を模式的に示す図である。
図12】第3の実施形態における状態遷移を模式的に示す図である。
図13】第3の実施形態にかかるX線撮像装置の制御方法を示すフローチャートである。
図14】運用形態変更の説明のためのシステム構成の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかるX線撮像システム100の構成例を模式的に示す図である。X線撮像システム100は、本発明の第1の実施形態にかかるX線撮像装置101を含んで構成される。X線撮像装置101は、通信経路102を介して制御装置103へと接続される。
通信経路102は、有線でも無線でも良い。また、その通信方式も限定されるものではない。加えて、通信経路102は、複数の機器が接続可能なネットワークでも、2つの機器間のみを接続するだけの経路であっても良い。図1においては、X線撮像装置101と制御装置103が、通信経路102を介して直接に接続されている形態を示す。図1において、X線撮像装置101と制御装置103とを結ぶ実線は、X線撮像装置101と制御装置103とが通信経路102によって直接接続されている構成を模式的に示すものである。また、X線撮像システム100が無線機器112を含む構成であってもよい。そしてこの場合には、X線撮像装置101と無線機器112との間で無線通信を行い、無線機器112と制御装置103が通信経路102を介して接続される構成が適用される。図1中のX線撮像装置101と無線機器112とを結ぶ破線は、X線撮像装置101と無線機器112とが無線通信する構成を模式的に示すものである。
【0011】
また、図1は、X線撮像装置101と外部電源104が通信可能に接続され、外部電源104と制御装置103が通信経路102を介して接続された形態を示す。なお、X線撮像装置101と外部電源104が通信可能に接続されている場合には、図1に示すように、給電用と通信用の経路を別に設ける他に、両者を一つのケーブルに纏めても良い。
このように、図1は幾つかの形態を示しているが、ここで示した例はあくまで一例である。通信経路102を介して接続される機器は、図1に示す構成に限定されない。また、接続にあたっては無線・有線・接続順序等の組み合わせも限定されない。
【0012】
X線撮像装置101は外部電源104と接続され、外部電源104から電力の供給(給電)を受ける事が可能である。図1においては、外部電源104を一つの独立した機器として表現しているが、外部電源104は、本実施形態にかかるX線撮像システム100が使用される環境内にある電源取得用の接続器(コンセント)でも良い。
また、図1においては、X線撮像装置101と外部電源104とが給電のために有線接続される構成を示すが、給電方法は有線に限定されない。たとえば、無線給電方法を用いても良い。
【0013】
X線撮像装置101は、被写体105の撮影を実施するにあたって、X線管球106から照射され被写体105を透過したX線が照射される位置に設置される。
【0014】
X線制御装置108は、X線管球106を駆動する。X線制御装置108は、PC、マイコン制御機器、論理制御回路等、X線管球の駆動制御ができればよく、具体的な構成は限定されない。X線制御装置コンソール107は、使用者による指示を受け付ける入力装置である。使用者は、X線制御装置コンソールを操作することによって、X線管球106の駆動の条件等を設定する。X線制御装置108は、制御装置103からの指示と、X線制御装置コンソール107から入力された設定にしたがって、X線管球106を駆動する。
X線機器接続器109は、X線制御装置108と通信経路102との間で通信を媒介する。
【0015】
本発明の実施形態にかかるX線撮像システム100による撮影の手順は、次のとおりである。
使用者(撮影者)は、X線撮像装置101を後述の方法で起動させた後に、制御装置103を操作してX線撮像装置101を撮影可能状態にする。続いて使用者は、X線制御装置コンソール107を操作して、照射するX線条件を設定する。以上の処理が終了後、使用者は、被写体105を含めた各撮影準備が整った事を確認し、X線制御装置コンソール107に備えられた曝射スイッチを押下し、X線を曝射させる。
X線の曝射の際、X線制御装置108は、これからX線が照射される旨の信号を、X線機器接続器109を介してX線撮像装置101に通知する。図1では、X線制御装置108とX線撮像装置101とが、X線機器接続器109及び通信経路102を介して接続されているが、接続の形態は図1に示す形態に限定されない。また、X線撮像装置101が備える機能によっては、照射の通知が必要無い場合がある。
X線撮像装置101は、X線を照射する旨の信号を受信すると、自らの状態がX線照射に対する準備が整っているかを確認する。そして、X線撮像装置101は、問題が無ければ、照射許可をX線制御装置108へ送信する。
X線制御装置108は、照射許可を受信すると、X線管球106を駆動してX線を照射する。そして、X線制御装置108は、X線の照射を終了すると、たとえば、X線の照射を終了した旨の信号をX線撮像装置101に送信する。
X線撮像装置101は、X線照射終了をX線制御装置108からの通知など各種方法で検知すると、画像データの生成を行う。そして、X線撮像装置101は、生成した画像データを、通信経路102を介して制御装置103に送信する。制御装置103は、受信した画像データを、制御装置103に含まれる表示部に表示する事が出来る。
【0016】
制御装置103は、CPUと、RAMと、ROMと、HDDなどの記憶媒体と、表示部と、操作部とを有するコンピュータが適用される。当然ながら、制御装置103はこの形に限定されず、PDA、タブレットPC、携帯電話等の情報端末でも良い。制御装置103の表示部は、液晶表示装置などの各種表示デバイスが適用される。制御装置103の操作部は、キーボードやタッチパネルなどの各種入力装置が適用される。ROMまたは記憶媒体には、X線撮像システム100を制御するためのコンピュータプログラムが格納される。そして、制御装置103のCPUは、ROMまたは記憶媒体からコンピュータプログラムを読み出し、RAMを作業領域として用いて実行する。これにより、制御装置103は、X線撮像システム100の各部を制御する。
【0017】
X線撮像装置101は、撮影部位や被写体状況等の各条件によって撮影用の架台111やベッド110に組み込まれて撮影が行われる。
撮影に関する順序や構成はこれに限定されるものではない。
【0018】
続いて、X線撮像装置101の機能構成例について説明する。図2は、本発明の第1実施形態にかかるX線撮像装置101の機能構成例を示すブロック図である。
X線撮像装置101は、入射してきたX線を電気信号に変えるためのセンサ部201を有する。センサ部201は、シンチレータと、光検出器のアレーと、光検出器アレー駆動部とによって構成される。シンチレータと光検出器アレーは2次元平面の形状をしており、且つ面と面が向き合う形で隣接している。シンチレータはX線等の放射線によって励起され、可視光を発するものであり、CsIやGOS等の蛍光を発する物質が用いられる。この可視光を光検出器アレーが電気信号に変換する。光検出器アレーは複数の画素が行列状に配置されるとともに、光検出アレー駆動部からの制御信号を受け取るための行選択線と、電力の供給を受けるためのバイアス線と、信号を取り出すための列信号線とを有する。光検出器アレー駆動部は、光検出器アレーのうちのどの行または列から電気信号を取り出すかの選択や、取り出した電気信号の増幅や、光検出器アレーへの給電等を行う。光検出器アレー駆動部は、取り出した電気信号を、制御部202を介して記憶部209へ送信する。
センサ部201の構成、たとえば、シンチレータの種類や光検出器の種類等に特に限定は無く、様々な構成が適用できる。なお、センサ部201は、X線検出手段の一例であるが、X線検出手段は前記構成に限定されない。
【0019】
制御部202は、X線撮像装置101の各部の制御に関わる処理を行う。例えば、制御部202は、撮影に関してセンサ部201を駆動するための指示をセンサ部201内の光検出器アレー駆動部へ送信したり、得られた画像データを記憶部209へ保存や取り出しをおこなったりする。また、制御部202は、通信部203および外部接続部204を介して他の機器へ画像データを送信したり、操作部210からの操作によってX線撮像装置101の動作モードを変更したりする。更に、制御部202は、動作状況やエラー状態を表示部211に表示することによって使用者に通知する事も可能である。なお、本実施形態においては、表示部211はLEDとするが、当然ながらこれ以外の表示方法を用いても良い。
【0020】
通信部203は、制御部202による制御に従い、X線撮像装置101と他の機器との通信を実現するための処理を行う。本実施形態における通信部203は、無線通信機能と有線通信機能を備え、どちらを用いて他の機器と接続するかを選択する事が出来る。
なお、通信についてはこのような形態に限定されず、通信部203が有線通信機能のみを備える構成であってもよく、または無線通信機能のみを備える構成でも良い。
外部接続部204はコネクタを有する。外部からの給電やX線撮像装置101と他の機器との信号は、この外部接続部204を介して送受信される。
なお、本実施形態では、通信用経路及び給電用経路が外部接続部204を介しているが、それぞれに専用の接続部を設けられる構成であっても良い。
【0021】
X線撮像装置101は、内部電源205を有する。本実施形態においては、内部電源205には、着脱可能な充電池が適用される。なお、内部電源205はこの構成に限定されず、充電可・不可、着脱可・不可、電力生成の手法等は、様々な組み合わせを取る事が出来る。
電源生成部206は、内部電源205の電力から、または外部接続部204を介して外部から与えられた電力から、X線撮像装置101の各部が必要とする電圧・電流を生成し、分配供給する。また、本実施形態においては、電源生成部206は、外部からの給電が有る場合には、必要に応じて内部電源205を充電する事も可能である。
給電検知部207は、外部から外部接続部204を介してX線撮像装置101に給電されているか否かを判断し、その判断結果を給電切り替え部208へと通知する。本実施形態においては、給電検知部207は、外部接続部204を介して供給される電力の電圧が閾値を超えているかによって、給電状態を判断する電圧検知として説明する。ただし、給電検知の方法はこれに限定されるものではない。たとえば、電流検知や専用通信線を設けて給電状況その物を外部から通知されても良い。
【0022】
給電切り替え部208は、給電検知部207、制御部202、操作部210から与えられる通知によって、電源生成部206が生成した電力をX線撮像装置101の各部へ給電するか否かを切り替える事が可能である。
【0023】
次に、X線撮像装置101がとり得る状態について、図3を参照して説明する。X線撮像装置101は、各部の動作状態及びそれに伴う消費電力の違いによって幾つかの状態を取る事が出来る。図3は各状態の名称(状態名)およびX線撮像装置101の動作状況と、各状態に関して表示部211を介して使用者へ通知する必要最低限の情報等の例を示している。
【0024】
状態1は、内部電源205及び外部からの給電が無く、一切の電力がX線撮像装置101に供給されていない状態である。当然ながら、X線撮像装置101の一切の機能が動作しない。この状態においては、表示部211は、LEDの消灯を以ってX線撮像装置101が動作していない状態を示す。
【0025】
状態2は、内部電源205や外部接続部204を介した外部からの給電によって、起動条件を監視する機能が動作している状態である。本実施形態においては、給電検知部207と、給電切り替え部208と、操作部210とが動作可能な状態である。前述の通り、状態2では、X線撮像装置101の幾つかの監視機能が動作しているが、撮影に関する機能は動作していない機能停止状態にある。具体的には、センサ部201と、制御部202と、通信部203とは機能停止状態にある。そして、使用者への通知は、表示部211の消灯を以って機能停止状態を示す。また、当然ながら制御部202や通信部203へも給電されていない機能停止状態にあるため、通信によってX線撮像装置101に何らかの指示を与える事も出来ない。
【0026】
状態3は、センサ部201を除く撮影に必要な各部へ給電されており、使用者からの撮影開始通知を受け付けると撮影処理が開始できる状態である。この状態では、制御部202は表示部211を点灯させ、少なくともX線撮像装置101が起動中である事を使用者へ通知する。また、状況によって他の機器との通信確立状態等を通知しても良い。
【0027】
状態4は、状態3の給電状況に加えてセンサ部201へも給電が行われており、実際に撮影が可能な状態である。この状態においても、制御部202は表示部211を点灯させ、少なくともX線撮像装置101が起動中であることをユーザーに通知する。さらに、制御部202は、状況によって通信確立状態や撮影状態を通知する。
【0028】
各状態は、状態1、状態2、状態3、状態4の順で消費電力が増加する。即ち状態4が最も消費電力が大きく、状態1が最も少ない。
各状態の遷移条件のうち、より消費電力が小さい状態への遷移を図3内の遷移条件1に、より消費電力が大きい状態への遷移を同じく図3内の遷移条件2に並べて示している。
【0029】
状態1から状態2への遷移は、内部電源205または外部からの給電によって給電が開始された場合に行われる。状態2から状態1への遷移は、内部電源205及び外部からの給電が共に無くなった場合に行われる。
状態2から状態3への遷移は、起動条件が「合」となった場合に行われ、状態3から状態2への遷移は停止条件が「合」となった場合に行われる。本実施形態及び後述の実施形態に関する説明においては、状態2から状態3への遷移を使用者からの見え方に沿って「起動」、状態3から状態2への遷移を「停止」と呼ぶ事にする。起動条件が「合」とは、状態2から状態3へ遷移する条件の充足をいうものとする。詳しい条件は後述のX線撮像装置101のモードについての説明で触れる。
状態3から状態4への遷移は、使用者がX線撮像システム100内の制御装置103によって撮影開始指示を出した場合に行われる。また、状態4から状態3への遷移は指示された撮影動作が終了した場合に実施される。
【0030】
以上、図3を用いて、4つの状態と遷移の処理の内容について説明したが、X線撮像装置101が取り得る状態はこれに限定されるものではない。たとえば、更に細かく状態を分割しても良いし、あるいは状態数を少なくしても良い。
【0031】
また、本実施形態におけるX線撮像装置101は外部電源104からの給電状態の違いによって幾つかのモードを使い分ける事が出来る。各モードはX線撮像装置101の外部からの給電の有無によって切り替えられる。ここでは、X線撮像装置101に対して外部電源104から給電が行われている場合にはX線撮像装置101がモード1となり、それ以外の場合にはモード2となる構成を例に示して説明する。
図4は、モード1(外部電源供給開始した場合)において、状態1を始点とする遷移条件を模式的に示す図である。モード1、即ち外部からの給電が有る場合には、X線撮像装置101は、状態3または状態4を維持する。仮に外部からの給電が開始された際にX線撮像装置101が状態1または状態2であれば、状態3へと自動で遷移する。また、モード1では、状態3や状態4から操作部210の操作によって状態2へと遷移させる事は出来ず、内部及び外部からの給電が一斉に途絶えた場合のみ状態1へと遷移する。すなわち、モード1における状態3及び状態4においてX線撮像装置101に備えられた操作部210による状態遷移操作は無効であり、後述する操作部210以外による遷移条件判定も無効となる。
なお、外部からの給電とは即ち外部電源104からの給電である。ここで、X線撮像装置101と外部電源104が着脱可能なコネクタを備えたケーブルで接続され、且つ外部電源104自体にも電源切り替え用のスイッチなどの操作部が存在する構成を想定する。この構成であると、外部からの給電は電源が投入された状態の外部電源104に接続されたケーブルがX線撮像装置101へと接続されるか、X線撮像装置101と外部電源104がケーブルで接続された状態で外部電源104の電源が投入された場合となる。
【0032】
以下の図5に、本出願の好ましい実施形態が開示される。
図5は、モード2(内部電源205で駆動する場合)において、状態1を始点とする遷移条件を模式的に示す図である。
モード2においては、外部からの給電が無く、X線撮像装置101は、内部電源205からの給電で動作している。この場合には、X線撮像装置101は、自らの状態遷移の条件の一つとして、操作部210の操作情報を用いる。例えばX線撮像装置101が状態2の場合には、給電切り替え部208が操作部210の状態を監視する。そして、使用者によってX線撮像装置101を状態3にする旨の操作(X線撮像装置101を起動するための操作)がなされた際には、給電切り替え部208が、X線撮像装置101内部の各部への給電を開始し、状態3へと遷移させる。
また、モード2において、X線撮像装置101が状態3にある場合には、制御部202が操作部210を監視する。そして、制御部202は、X線撮像装置101を状態2へと遷移させる旨の操作を検出した場合には、給電切り替え部208を介してX線撮像装置101各部への給電を停止し、状態2へと遷移させる。
ここでは「起動」と「停止」で操作部210の監視を行う部分(動作主体)が異なったが、どちらか片方が「起動」「停止」共に監視する構成であってもよい。
【0033】
以上のような操作部210によるX線撮像装置101の「起動」「停止」に加え、モード2ではX線撮像システム100内の他の機器との通信が所定時間無ければX線撮像装置101を「停止」する機能を持つ。
例えば、X線撮像装置101を用いた撮影が終了した後に、X線撮像装置101以外の機器の電源が切られた場合を考える。このような状況は、たとえば、X線撮像装置101が架台111や撮影用のベッド110に組み込まれていた場合に生じうる。
この場合には、X線撮像装置101は、外部からの給電が無いためにモード2で動作している。この状態が続くと、内部電源205の残電力が無くなるまで動作が続くため、内部電源205の消耗及び寿命の短命化を招く可能性がある。また、内部電源205の残電力を使い切ってしまった場合、次に撮影を実施する直前になって内部電源205の残電力が無い事に気付き、撮影までに内部電源205の交換や再充電等、余計な作業が発生する可能性がある。
【0034】
本実施形態におけるX線撮像装置101の通信状態監視による「停止」機能は前述のような撮影が行われないにもかかわらずX線撮像装置101が電源を切られずに放置されるような場合に動作する。
そこで、X線撮像装置101がモード2で動作中に状態3または状態4に遷移した場合には、制御部202は、操作部210を監視するとともに他の機器との通信状況を監視する(通信状態監視)。X線撮像装置101は、状態3及び状態4において他の機器と定期的に通信を実施する。
例えば、制御装置103からは定期的にX線撮像装置101に対して指令や状況確認の通知等、何らかの通信が発せられる。また、X線撮像装置101が発した通信に対して制御装置103等の機器が返答を返す事もある。
このようなX線撮像装置101以外からの通信が有った場合には制御部202はX線撮像装置を停止(状態2へ遷移)するためのカウントダウンをリセットする。逆に他の機器との通信が認められず、設定された時間(所定時間)が過ぎた場合には、制御部202は、X線撮像装置101を停止するために、給電切り替え部208を介して各部への給電を停止する。
【0035】
状態2へ遷移する際に確認する「通信が行われていない所定時間」については、X線撮像システム100の各機器が動作している状態で、X線撮像装置101に対して発せられる通信の想定される間隔よりも長ければ良い。また、その設定は固定する必要はなく変更可能(可変)であってもよい。たとえば、X線撮像装置101の操作部210や通信を通して再設定できても良い。本実施形態においては例としてこの時間が10分として設定されているものとする。
尚、元々モード1で動作しており、外部からの給電が無くなった場合には、X線撮像装置101内部の内部電源205に残電力が有る限り内部電源205による駆動(モード2)へと切り替わる。即ち、モード1で動作している状況でどの状態にあったとしても、外部給電が切断された際に内部電源205にX線撮像装置101の動作に必要な電力が残っているならば、X線撮像装置101の状態はそのままにモード2へと切り替わる。
【0036】
ここで、X線撮像装置101の制御方法の処理について、図6図7を参照して説明する。図6は、X線撮像装置101の状態及び動作状況と状態遷移条件、外部電源104の動作状態を纏めた図である。図6において、状態3及び状態4の下側がモード1に対応し、上側がモード2に対応する。図7は、X線撮像装置101の制御方法の内容を示すフローチャートである。
ここでは、コンピュータプログラムによって実施する場合の例を用いて説明する。図7に示す処理を実行するためのコンピュータプログラムは、あらかじめ、X線撮像装置101の制御部202のROMと給電切り替え部208のROMに格納されている。そして、制御部202のCPUと給電切り替え部208のCPUの少なくとも一方が、ROMからこのコンピュータプログラムを読み出して実行する。たとえば、状態2においては、制御部202が動作していないため(機能停止状態)、給電切り替え部208のCPUが処理を実行する(状態遷移手段)。そして、状態3または状態4においては、制御部202のCPUが処理を実行する(状態遷移手段)。ただし、状態2〜状態4のいずれにおいても、給電切り替え部208のCPUが状態遷移のための処理を実行してもよい。これにより、図7に示す処理(図6に示す状態遷移)が実現する。ただし、各状態における処理の順序はこの例に限られない。また、図7は、状態遷移やモードの切り替えに関わる処理を抜き出して示しており、X線撮像装置101で処理される全ての処理を示しているわけではない。なお、以上の例はコンピュータプログラムで実施する例であり、論理回路(FPGAや専用制御IC等)制御で実施しても良い。
【0037】
ここでは、例として、X線撮像装置101が状態1にある時を始点とする処理の一例を示している。
ステップS101において、給電が開始されると、給電検知部207と、給電切り替え部208と、操作部210とが動作を開始する。そして、給電切り替え部208は、起動条件を監視する機能を動作させる。これにより、X線撮像装置101は、図6に示すように、状態1から状態2に遷移する。
【0038】
ステップS102において、給電切り替え部208は、給電検知部207による検知結果に基づいて、外部から給電があるか否かを判定する。外部から給電がない場合にはステップS103に進み、ある場合にはステップS105に進む。
【0039】
ステップS103においては、給電切り替え部208は、操作部210への操作があったか否かを判定する。操作部210への操作を検出しない場合にはステップS104に進み、検出した場合にはステップS111に進む。
【0040】
ステップS104に進んだ場合において、給電が停止されていない場合には、ステップS102に戻る。すなわち、この場合には、図6に示すように、X線撮像装置101は状態2を維持し、起動条件監視を継続する。一方、給電が停止された場合には、状態1に遷移する。このため、この処理は終了する。
【0041】
ステップS103において、給電切り替え部208が操作部210への操作を検出した場合には、ステップS111に進む。すなわちこの場合には、図6に示すように、モード2において状態3に遷移する。
また、ステップS102において、給電切り替え部208が外部から給電があると判定した場合には、ステップS105に進む。すなわちこの場合には、図6に示すように、モード1において状態3に遷移する。
状態3は、前述のとおり、撮影準備状態である。状態3に遷移すると、制御部202への給電が開始されるため、制御部202が動作を開始する。
【0042】
ステップS111において、制御部202は、外部からの給電が開始されたか否かを判定する。外部からの給電が開始された場合には、ステップS113に進む。ステップS113においては、制御部202は、動作モードをモード2からモード1に切り替える。
一方、ステップS105において、制御部202は、外部からの給電が停止したか否かを判定する。外部からの給電が停止した場合には、ステップS107に進む。ステップS107においては、制御部202は、動作モードをモード1からモード2に切り替える。
このように、図6に示すように、状態3において制御部202は、外部からの給電の停止と開始に応じて、動作モードを切替える。
なお、前述のとおり、モード1で動作している状態で外部からの給電が無くなった場合には、X線撮像装置101は内部電源205の残電力がある限りモード2へと切り替わる。ただし、内部電源205に、X線撮像装置101の動作に必要な分の電力が残っていなければ、X線撮像装置101は自動的(強制的)に状態1に遷移する。
【0043】
モード1のステップS111において、外部給電が無いと判定された場合には、モード2が維持され、ステップS112に進む。
ステップS112においては、制御部202は、操作部210への操作が所定時間にわたって検出されないか、または通信部203と外部機器とが所定時間にわたって通信を行っていないか否かを判定する(通信状態監視)。通信の例として、X線撮像装置101の状態を遷移させる遷移信号を、外部機器から受信したかを監視する。遷移信号の例として、制御装置103から通信経路102を通じて送信される撮影開始を指示する信号がある。所定時間にわたって操作部210への操作が検出されない場合、または通信がない場合には、ステップS102に戻る。
この場合には、図6に示すように、状態2に遷移する。
所定時間内に操作部210への操作が検出された場合、または所定時間内に通信があった場合には、ステップS114に進む。
ステップS114においては、制御部202は、撮影開始の操作が行われたか否かを判定する。たとえば、制御装置103は、撮影開始を指示する信号(遷移信号)を受信した場合に、撮影開始の操作が行われたと判定する。撮影開始の操作が行われない場合には、ステップS111に戻る。この場合には、状態3を維持する。一方、撮影開始の操作が行われた場合には、ステップS115に進む。この場合には、図6に示すように、状態4に遷移する。
【0044】
また、モード1のステップS105において、外部からの給電が継続していると判定された場合には、ステップS106に進む。ステップS106においては、制御部202は、撮影開始の操作が行われたか否かを判定する。撮影開始の操作が行われない場合には、ステップS105に戻る。この場合には、状態3を維持する。一方、撮影開始の操作が行われた場合には、ステップS115に進む。この場合には、図6に示すように、状態4に遷移する。
【0045】
モード2で状態4に遷移した場合、ステップS115において、制御部202は、外部給電が開始されたか否かを判定する。外部給電が開始された場合にはステップS117に進む。ステップS117においては、制御部202は、動作モードをモード2からモード1に切り替える。
モード1で状態4に遷移した場合、ステップS108において、制御部202は、外部給電が停止したか否かを判定する。外部給電が停止した場合にはステップS109に進む。ステップS109においては、制御部202は、動作モードをモード1からモード2に切り替える。
このように、図6に示すように、状態4において、制御部202は、外部給電が開始されたか停止したかに応じて、動作モードを切替える。
【0046】
モード2で状態4に遷移した場合、ステップS116において、制御部202は、撮影が終了したか否かを判定する。撮影が終了した場合には、ステップS111に戻り、終了していない場合にはステップS115に戻る。
モード1で状態4に遷移した場合、ステップS110において、制御部202は、撮影が終了したか否かを判定する。撮影が終了した場合には、ステップS105に戻り、終了していない場合にはステップS108に戻る。
このように、図6に示すように、いずれの動作モードにおいても、状態4で撮影が終了するまでは状態4を維持し、撮影が終了した場合には状態3に遷移する。
【0047】
以上、二つのモードによって、操作部210の操作が実施しにくい場合にもX線撮像装置101外からの給電有無によって起動が可能である。且つ、他の機器が停止されてX線撮像装置101が暫く使用されない事が想定される状況では、自ら停止する事で内部電源の消耗を防ぐ事が出来る。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態にかかるX線撮像システム100およびX線撮像装置101の機能構成は、第1の実施形態と共通である。第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、X線撮像装置101が取り得るモードの動作が異なる。
第2の実施形態において、X線撮像装置101が取り得るモードをモード3とする。図8は、第2の実施形態において、X線撮像装置101がとり得る遷移条件を模式的に示す図である。
モード3は第1の実施形態におけるモード1及びモード2の遷移条件を備えたモードである。例えば状態3から状態2への遷移は、モード1においては通常の動作では実施できず、モード2においては操作部210への操作若しくは他の機器との通信が所定時間認められなかった場合に遷移していた。これに対し、モード3では、外部電源104からの給電が有る場合にも、制御部202は、操作部210への操作及び通信状況の監視結果による状態2への遷移を受け付ける。
【0049】
ここで、第2の実施形態におけるX線撮像装置101の制御方法の処理について、図9図10を参照して説明する。図9は、本実施形態におけるX線撮像装置101の状態及び動作状況と状態遷移条件、外部電源104の動作状態を纏めた図である。第2の実施形態においては、X線撮像装置101が取り得るモードとして、第1の実施形態におけるモード2と、第2の実施形態におけるモード3が有る。図9において、状態3及び状態4の下側がモード3に対応し、上側がモード2に対応する。ただし、モード3における起動条件等を拡張する事でモード3の範囲を広げる事も可能である。図10は、本実施形態におけるX線撮像装置101の制御方法の内容を示すフローチャートである。なお、図10において、図7と同じステップについては同じ符号を付し、説明は省略する。図11図7に示すように、第2の実施形態は、第1の実施形態と比較すると、ステップS102がステップS201に置き換わり、ステップS106の直前にステップS202が追加されている点で相違する。それ以外は、同じ処理が適用される。
【0050】
第2の実施形態においては、モード3において状態3に遷移した場合に、ステップ202に進む。ステップS202おいて、制御部202は、操作部210への操作が所定時間にわたって検出されないか、または通信部203と外部機器とが所定時間にわたって通信を行っていないか否かを判定する。所定時間にわたって操作部210への操作が検出されない場合、または通信がない場合には、ステップS201に進む。
ステップS202からステップS201に進んだ場合には、外部からの給電が実施されている事で自動的に状態3へと再び遷移する事を防ぐ処理が必要となる。そこで、ステップS201において、給電切り替え部208は、ステップS202からステップS201に進んだか否かを判定する。そして、ステップS202から来た場合には、外部からの給電が継続している場合であっても、ステップS105には分岐せず、ステップS103に進む。例えば、X線撮像装置101の給電切り替え部208や制御部202がモード3の状態3から状態2に遷移した場合には、その事象が発生した事を記憶しておき、状態2において状態遷移の判断に用いる方法が適用できる。
【0051】
これによって外部給電開始によってX線撮像装置101を起動出来るという効果を保ちつつ、外部からの給電中もX線撮像装置101を停止する事が出来る。
【0052】
(第3の実施形態)
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態にかかるX線撮像システム100およびX線撮像装置101の機能構成は、第1の実施形態と共通である。第3の実施形態においてX線撮像装置101が取り得るモードは、第1の実施形態におけるモード2と、モード1の処理を変更したモードである。
第1の実施形態のモード1の変更モードを、第3の実施形態にかかるモード4とする。図11は、動作モード及び状態の遷移条件をまとめた図である。
第1の実施形態におけるモード1では、外部からの給電が無くなった場合には内部電源205に残電力がある限りモード2へと切り替わる。これに対して、第3の実施形態においては、モード4からモード2には切り替わらず、モード4を維持したまま状態2へと遷移する。
【0053】
ここで、第3の実施形態におけるX線撮像装置101の制御方法の処理について、図12図13を参照して説明する。図12は、第3の実施形態におけるX線撮像装置101の状態及び動作状況と状態遷移条件、外部電源104の動作状態を纏めた図である。図12において、状態3と状態4の下側がモード4に対応する。図13は、第3の実施形態にかかるX線撮像装置101の制御方法の内容を示すフローチャートである。なお、図13においては、第1の実施形態と共通の処理については同じ符号を付し、説明を省略する。図13図7に示すように、第3の実施形態は、第1の実施形態と比較すると、ステップS107が存在せず、ステップS106において外部からの給電が停止したと判定された場合にはステップS102に戻る点で相違する。それ以外は、同じ処理が適用される。
【0054】
このような構成によれば、図12に示すように、モード4の状態3および状態4において、外部からの給電が停止すると、状態2に遷移する。これにより、外部給電の有無に対になる形でX線撮像装置101の起動・停止を操作できる。
【0055】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の施例形態では、使用者からの指示またはX線撮像装置101のセンサの状態に応じて、前記モード1からモード4を使用する動作態様と使用しない動作態様とを選択可能に使い分けることができる形態である。
説明の便宜上、前者の給電状況や他との通信状態を参照するモードを用いる動作態様を動作態様1、後者を動作態様2と称する。
以下、X線撮像装置101が、撮影条件合わせて、単体で使用される場合と架台111やベッド110に組み込まれて使用される場合とを例に説明する。
X線撮像装置101が、撮影用の架台111やベッド110に組み込まれて用いられ、かつ、その状態で起動や停止を作業の合間に挟む程度の間運用される場合には、動作態様1を用いた方が作業性の向上が期待できる。
一方、X線撮像装置101が撮影用の架台111等に組み込まれずに用いられる場合にであって、かつ、X線撮像装置101が自動で起動・停止する事が望まれない場合には形態2を用いるのが好ましい。
そこで、使用者は、X線撮像装置101に対して、どちらの動作態様で動作するかを、操作部210を介して入力する。そして、X線撮像装置101は、操作部210への入力に応じた動作態様で処理を実行する。このように、2つの動作態様は、使用者により選択可能である。図14は、第4の実施形態にかかるX線撮像システム100の要部の構成を模式的に示す図である。図14は、図1に示すX線撮像システム100から、制御装置103とX線撮像装置101及び両者間の通信経路と、架台111を抜き出して示す図である。そして、図14に示すように、架台111から通信経路102への接続が追加されている。なお、撮影にあたっては、X線管球106等の他の機器も必要となるが、ここでは説明に関わらないため図示を省略している。
X線撮像装置101に対してどの動作態様で動作させるかを指定する場合には、使用者は、制御装置103へ動作させたい動作態様を選択して入力する。そして、制御装置103は、使用者による指示(入力)を、通信経路102、無線機器112、外部電源104等を介して、X線撮像装置101へと通知する。X線撮像装置101は、制御装置103からの通知を受信すると、以降は指定された動作態様で動作する。
【0056】
X線撮像装置101が制御装置103から通知を受けるためには、X線撮像装置101が状態3または状態4である必要がある。X線撮像装置101が状態3に遷移する流れは、使用者が動作態様の変更を通知する際に、X線撮像装置101がどの動作態様で使われているかによって異なる。
例えば、動作態様1で使用している状態から動作態様2へと変更させたい場合とは、X線撮像装置101は架台111等には組み込まれておらず、操作部210の操作が容易に可能な場合であると想定される。そこで、使用者は、操作部210を用いてX線撮像装置101を起動し、その後に、制御装置103から動作態様の変更のための操作を行う。すなわち、制御装置103は、X線撮像装置101の起動後に、動作態様を変更するための通知を送信することになる。X線撮像装置101を架台111等に組み込むタイミングは、X線撮像装置101の起動後であればいつでも良い。
一方、X線撮像装置101を形態2から形態1へと変更させたい場合とは、X線撮像装置101が架台111等に組み込まれた場合であると想定される。そこで、使用者は、X線撮像装置101に外部電源104を用いて外部給電を開始するか、X線撮像装置101を架台111等から取り出して操作部210を操作する事で、X線撮像装置101を起動する必要がある。X線撮像装置101の起動後の操作は動作態様1と同じである。
【0057】
なお、前記実施形態では、制御装置103によって動作態様を指示する例について説明したが、動作態様の変更の方法はこれに限られない。
例えば、架台111等といった、X線撮像装置101が組み込まれる可能性のある機材に、X線撮像装置101が組み込まれたか否かを判断するセンサが設けられる構成であってもよい。この場合には、図14に示すように、センサの検知結果を制御装置103へと通信経路102経由で通知できるようにする。制御装置103は、この情報を基に、架台111等にX線撮像装置101が組み込まれている場合には動作態様1で、組み込まれていない場合には動作態様2で動作するように、X線撮像装置101に通知する構成が適用できる。
なお、制御装置103が自動でX線撮像装置101へ通知する構成でなくてもよい。たとえば、制御装置103は、架台111等から送信されるX線撮像装置101の組み込み状態の判定結果が変化すると、使用者に対してどの動作態様で動作させるかを確認する構成であってもよい。また、架台111等が、制御装置103を介さずに直接的にX線撮像装置101に判定結果を通知する構成や、X線撮像装置101自体にX線撮像装置101が架台111等に組み込まれているか否かを判定するセンサや機能が設けられる構成であってもよい。
更に別の構成として、使用者がX線撮像装置101をどの動作態様で動作させるかを、X線撮像装置101の操作部210を介して入力できる構成であってもよい。また、動作態様選択用の専用操作部が設けられ、使用者に操作させる構成であっても良い。このような操作部210または動作態様選択用の専用操作部によって動作態様選択をする場合には、X線撮像装置101が状態3である事は必須ではない。
また、状態2において定期的にX線撮像装置101内の通信部203や制御部202を起動し、どの動作態様で動作するべきかの情報を更新するために情報を他の機器に要求し、受け取る構成であっても良い。
【0058】
ここまで、動作態様の変更について説明したが、給電状況や他との通信状態を参照するモードを用いる態様である態様1についても様々な形があり、前述の実施形態に限られない。例えば、第1の実施形態においてX線撮像装置101はモード1とモード2のいずれかを撮り得るが、いずれか一方のモードのみを実装しても良いし、更にモード数を増やしても良い。
【0059】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、第5の実施形態にかかるX線撮像システム100およびX線撮像装置101の機能構成は、第1の実施形態と共通である。第5の実施形態は、第1の実施形態と比較してモード2の状態3において監視を行う通信の対象範囲が異なり、あらかじめ決められた通信内容あるいは発信元に限って通信状況を確認する。
【0060】
第1の実施形態では通信状態監視はX線撮像システム100内のX線撮像装置101と他の機器との通信を限定せずに全て監視し、通信が一定時間認められないとX線撮像装置101は状態2へと遷移していた。
ここで、第1の実施形態の構成を再確認すると、X線撮像システム100内の通信経路102に接続される機器は図1に示す構成に限定されず、無線・有線・接続順序等の組み合わせも限定されない。このため、X線撮像システム100内にはX線撮像には関わらないような機器が通信経路102を介して接続される可能性がある。
この様な状況において全ての通信を監視対象とすると、X線撮像に関わる機器が全て電源を切られて撮影が実施されない状況が続いたとしても、それ以外の撮像には関わらないような機器がX線撮像装置101あるいは通信経路102に接続されている全ての機器に対して通信を行った場合にもX線撮像装置101は「通信有り」とみなして停止することなく動作を続けてしまう。
また、X線撮像システム100内にX線撮像に関わる機器しか接続されていない状況でも、全ての通信を監視対象とした場合には制御装置103が電源を切られているようなX線撮像がすぐには行われない状況下であってもそれ以外の機器との通信状況からX線撮像装置101は停止することなく動作を続けてしまう。
一方で、本実施例においては行われている通信の内容あるいは通信の発信元を識別する事で、X線撮像装置101を停止するまでのカウントをリセットするのに有効となる通信対象・通信内容を絞り込み、より効率的なX線撮像装置101の停止が実施できる。
【0061】
具体的な例として制御装置103が発信する特定の通信内容のみをX線撮像装置101が停止するまでのカウントリセットに用いる場合を説明する。
図1の構成において、制御装置103はX線撮像装置101の制御が可能な状態になると一定間隔をおいてX線撮像装置101に対してデータを送信する。この時、制御装置103が発するデータはX線撮像装置101が受信する事でカウントリセットすべきと認識出来ればその形式に限定は無い。また、その種類は制御装置103が起動中である事を示すデータや制御装置103からX線撮像装置101に対して状態を遷移させる指示を伝える遷移信号等、様々な種類のデータを併用しても良い。加えてこの時、制御装置103が発するデータの間隔はX線撮像装置101が「通信無し」と認識して停止に至るまでの時間よりも短いものとする。
X線撮像装置101は制御装置103からカウントリセットすべきデータが届くと内部の制御部202がその内容を判断し、停止に至るまでのカウントをリセットする。
一方で制御装置103以外からデータが届いた場合にも制御部202はその内容を判断するが、条件に合わないためにカウントリセットは実施しない。
制御装置103が電源を切られるとX線撮像装置101がカウントリセットのトリガとするデータが届かなくなる。この状態が一定時間続くとX線撮像装置101内のカウントが終了する。
本実施例におけるX線撮像装置101の制御方法の内容は実施例1と同じく図7で示されるが、以上の処理で得られるカウントの結果がS112にて参照される結果、通信状態監視の結果が異なる事になる。
【0062】
尚、前述の説明では制御装置103がX線撮像装置101のカウントリセットを実施させるデータを送付したが、送付元は別の機器でも、複数の機器によるものでも良い。
例えば制御装置103の起動処理が十分に早い場合には、制御装置103からの通信のみをカウントリセットに用いてX線撮像装置101を停止にしてしまうと、使用する段になってX線撮像装置101の起動を待つ事になる。これを防ぐために制御装置103以外の機器からの通信を単体、あるいは併用してカウントリセットに用いる方法が考えられる。
【0063】
また、前述の説明においてX線撮像装置101は一方的にデータを待つだけであったが、X線撮像装置101が対象となる機器に動作状況を確認するデータを送信し、それに対する応答を以ってカウントリセットを実施する方法を用いても良い。
【0064】
以上のような実施形態によって、使用状況に合わせてより好適な形態でX線撮像装置を運用する事が可能となる。
以上が本発明の実施形態となる。
【0065】
本発明の実施形態によれば、X線撮像装置が撮影用の架台やベッドに組み込まれ、X線撮像装置本体に設けられた操作部が操作しにくい様な場合においてもX線撮像装置の動作状態を変更できる。また、X線撮像装置による撮影が行われないと想定される状況において、X線撮像装置の機能停止が人の手を介さずに行われるため、機能停止を忘れたために発生する不都合が発生しにくい。更に前述の各機能及び効果は使用するか否かを選択する事でX線撮像装置の使用状況に応じた運用が可能である。
【0066】
なお、前述の各実施形態は本発明の実施形態のあくまで一部の例を示したものであり、本発明の実施形態が前述の例によって限定されるものではない。よって、本発明は主張の範囲であれば様々な形で実施可能である。
【符号の説明】
【0067】
100:X線撮像システム
101:X線撮像装置
102:通信経路
103:制御装置
104:外部電源
105:被写体
106:X線管球
107:X線制御装置コンソール
108:X線制御装置
109:X線機器接続器
110:撮像用ベッド
111:撮像用架台
112:無線機器
201:センサ部
202:制御部
203:通信部
204:外部接続部
205:内部電源
206:電源生成部
207:給電検知部
208:給電切り替え部
209:記憶部
210:操作部
211:表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14