【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項に記載の特徴によって解決される。好適なその他の構成は、従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明の1つの観点によれば、方法が、当該回転数で回転する物理的なセンサ磁場の既定の角度位置で回転数パルスを出力する回転数センサを用いて、回転数によって決まるセンサ情報を生成するために:
・当該物理的なセンサ磁場の角度位置によって決まるデジタル角度信号を生成するステップと、
・当該デジタル角度信号の既定の数の
高位ビットをセンサ情報として出力するステップとを有する。
【0007】
上記の方法は、冒頭で述べた回転数センサの範囲内で、回転数パルスが、物理的なセンサ磁場の極に基づいて生成されるという思想に基づく。このため、センサを通過する物理的なセンサ磁場が、既定の閾値に達したときに、このセンサが、当該物理的なセンサ磁場を検出し、複数の回転数パルスを生成する。しかしながら、当該物理的なセンサ磁場の複数の極の間隔が、場所的に変化しないので、回転数が、これらの回転数パルスの時間間隔だけによって検出され得る。しかしながら、例えば、自動車の駐車過程時に発生するような、非常に小さい回転数の場合、この時間間隔は、非常に大きくなり得る。しかし、このため、実際の回転数が、長い間にわたって提供されない。このことは、速度に適合し、当該回転数によって決まる制御システム及び調整システムに影響を及ぼし得る。このことは、例えば上記の駐車過程のような、特に道路交通において安全上重要になり得る。
【0008】
これらの回転数パルスの数を増やすためには、確かに、センサ磁場の極の数と、センサ磁場の複数の極間の場所的な間隔とが増大され得るものの、例えば、自動車産業の作業グループの既知のAKプロトコルのような、より新しいデータ伝送プロトコルの範囲内では、例えばエラー診断のために使用され得る別の情報も、当該個々の回転数パルス間で伝送されなければならない。当該センサ磁場の極の数が増大されると、すなわちこれらの極の場所的な間隔が互いに狭められると、回転数センサの実際の動作領域が、すなわち通常速度による運転時にも、上記の複数の回転数パルス間の別の情報を伝送することができる十分なスペースを提供し得ない。さらに、特により高い回転数の場合は、これに対応する高い帯域幅が、全ての回転数パルスを当該センサから伝送するために必要になる。
【0009】
この場合、当該方法は、回転数パルスではなくて、回転方向のセンサ磁場の角度位置をデジタル信号として物理的なセンサ磁場から検出するという思想に基づく。要求される精度に応じて、特定の数の
高位ビット以降の残りのビットが、このデジタル角度信号から切り離され得る。こうして、任意の多数の回転数パルスが、2つの極間で生成され得る。例えば、当該1つの
高位ビットだけが伝送される場合、冒頭で述べた回転数センサ内のように、当該物理的なセンサ磁場の2つの極間のセンサ情報が、回転数パルスに似ている複数の状態間の1つのセンサ情報として識別され得る。当該デジタル角度信号の最初の2つの
高位ビットが伝送される場合、当該物理的なセンサ磁場の2つの極間のセンサ情報が、回転数パルスに似ている4つの状態間の複数のセンサ情報として識別され得る。したがって、当該識別可能な回転数パルスに似ている状態の数が、当該デジタル角度信号によって伝送される
高位ビットの数と共に増大する。
【0010】
このとき、冒頭で述べた回転数センサのように、複数の回転数パルスが、当該センサ情報から再び生成され得る。したがって、例えば、当該センサ情報のデジタル状態が変化するときに、すなわち出力される複数の
高位ビットのうちの少なくとも1つのビットが、その値を変化させるときは常に、1つの回転数パルスが生成され得る。このことには、回転数信号を評価するためのより大規模な技術的変更を、当該回転数センサから出力される回転数信号の受信機で実行しないで済むという利点がある。当該受信機は、物理的なセンサ磁場の2つの極間の回転数パルスの数が増大したことを知るだけで済み、当該受信機は、対応するより低い速度を当該回転数信号から導き出さなければならない。
【0011】
この代わりに、当該センサ情報のデジタル状態が、一定の時間間隔内に出力されてもよい。この場合、回転数情報を得るため、当該受信機が、センサ情報の変化を当該一定の時間間隔と対比させなければならない。このことには、実際に回転する物理的なセンサ磁場の停止中にも、一義的に評価可能な回転数情報、すなわち零の回転数が提供されるという利点がある。すなわち、冒頭で述べた場合には、回転数情報が、特定の長い期間にわたって提供されないときに、物理的なセンサ磁場が存在するか否か、又は、回転数センサが破損したか否かが不明である。
【0012】
この場合、角度信号が、任意に生成され得る。しかしながら、特に、回転数センサが、物理的なセンサ磁場の角度位置によって決まるセンサ信号を生成するように調整されている上記のセンサを有する。その結果、当該物理的なセンサ磁場の回転時に、正弦波状のセンサ信号が発生する。この場合、デジタル角度信号が、当該正弦波状のセンサ信号の偏角に基づいて生成され得る。正弦波状のセンサ信号の偏角は、正弦又は余弦が信号に適用されるときに、正弦波状のセンサ信号をもたらす信号を意味する。すなわち、逆に言うと、偏角が、正弦波状の信号から算定可能である、例えば逆正弦又は逆余弦を正弦波状の信号に適用することによって算定可能である。
【0013】
上記の方法のさらなる構成では、回転数センサが、物理的なセンサ磁場の角度位置によって決まり、センサ信号に対してコンプリメンタリな別のセンサ信号を生成するように調整されているもう1つのセンサを有する。この場合、当該2つのセンサ信号の振幅が、三平方の定理に基づいて算定され、正弦波状のセンサ信号が、当該算定された振幅に基づいて規格化され、当該正弦波状のセンサ信号の偏角が、当該規格化された正弦波状のセンサ信号に基づいて算定され得る。この構成の利点は、センサ信号の振幅が物理的なセンサ磁場の停止中でも存在し、したがって、逆三角関数をセンサ信号に適用できるように、当該センサ信号が即座に1に規格化され得ることである。
【0014】
追加のさらなる構成では、上記の方法は、逆余弦を正弦波状のセンサ信号に適用することによって偏角を算定するステップと、当該偏角が180°よりも小さいときに、当該偏角をデジタル角度信号として出力するステップと、当該偏角が180°よりも大きいときに、180°だけ移相した偏角をデジタル角度信号として出力するステップとを有する。確かに、当該偏角は、逆正弦によっても算定され得るものの、余弦は、最初の180°にわたって一義的に逆数変換可能であるので、360°の全周にわたる角度信号を測定するためには、1つのケース分析だけで済む。それ故に、当該逆余弦による偏角の算定は、技術的に最も簡単に実現可能である。
【0015】
偏角が180°よりも大きいか又は小さいかは、原理的には任意に、例えば正弦波状のセンサ信号の勾配で確認され得る。何故なら、余弦関数は、180°の下側では降下し、180°の上側では上昇するからである。しかしながら、符号は、コンプリメンタリな正弦波状のセンサ信号から最も速く読み取られ得る。何故なら、このことは、知られているように正弦波状のセンサ信号に対する微分を意味するからである。それ故に、当該センサ信号が上昇しているか又は下降しているかは、当該符号から直接に明らかである。専ら当該符号の判断時に、当該コンプリメンタリな正弦波状のセンサ信号が、実際のセンサ信号よりも進んでいるか又は遅れているかが考慮される。
【0016】
特に、角度信号が、上記の方法で検出されたときに、回転方向が、より早く且つより短い運転区間にわたって当該角度信号から確認され得る。何故なら、当該角度信号、すなわちセンサ情報が、一方の回転方向に上昇し、当該角度信号、すなわちセンサ情報が、他方の回転方向に下降するからである。
【0017】
上記の方法のさらなる構成では、センサ情報が、上記の方法で適合して出力されなければならない。何故なら、既に説明したように、より大きい回転数範囲内では、多数のセンサ情報が、例えばエラー状態に関するデータのような別の情報を妨害するからである。それ故に、回転数パルスに基づいて測定された回転数が、既定の値から区別されるときにだけ、当該センサ情報が出力されなければならない。この既定の値を上回ると、回転数パルスが、従来の方法で出力され得る。
【0018】
本発明の別の観点によれば、制御装置が、上記の複数の方法のうちの1つの方法を実行するように調整されている。
【0019】
上記の制御装置のさらなる構成では、当該上記の装置は、記憶装置及びプロセッサを有する。この場合、上記の複数の方法のうちの1つの方法が、コンピュータプログラムとしてこの記憶装置内に格納されていて、当該コンピュータプログラムが、この記憶装置からこのプロセッサ内に転送されているときに、このプロセッサが、当該方法を実行するために設けられている。
【0020】
本発明の別の観点によれば、コンピュータプログラムが、コンピュータ又は上記の複数の装置のうちの1つの装置上で実行されるときに、当該コンピュータプログラムが、上記の複数の方法のうちの1つの方法の全てのステップを実行するためにプログラムコード手段を有する。
【0021】
本発明の別の観点によれば、コンピュータプログラム製品が、コンピュータ読み取り可能なデータキャリア上に記憶されていて、このコンピュータプログラム製品がデータ処理装置上で実行されるときに、上記の複数の方法のうちの1つの方法を実行するプログラムコードを有する。
【0022】
本発明の別の観点によれば、回転数センサが、回転数を取得するために、この回転数で回転する物理的なセンサ磁場を出力するためのセンサ素子と、物理的なセンサ磁場によって決まるセンサ信号を出力するためにこのセンサ素子に対向して固定配置されたセンサと、上記の複数の装置のうちの1つの装置とを有する。
【0023】
さらなる特別な構成では、上記の回転数センサは、車輪回転数センサである。
【0024】
本発明の別の観点によれば、自動車が、上記の複数の車輪回転数センサのうちの1つの車輪回転数センサを有する。
【0025】
上記の本発明の特性、特徴、利点、種類及び方法、並びに、これらがどのようにして達成されるかは、以下の、図面に基づいて詳しく説明される実施の形態の記述に関連して明らかであり且つ十分に理解できる。