特許第6430218号(P6430218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6430218電池制御装置およびそれを用いた二次電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6430218
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】電池制御装置およびそれを用いた二次電池システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/00 20060101AFI20181119BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20181119BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20181119BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   G01R15/00 500
   H02J7/00 301A
   H01M10/48 P
   H01M2/10 S
   H01M2/10 E
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-230293(P2014-230293)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2016-95174(P2016-95174A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】本田 光利
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 睦三
(72)【発明者】
【氏名】菊地 睦
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07381101(US,B2)
【文献】 特開2005−188935(JP,A)
【文献】 特開2009−146574(JP,A)
【文献】 特開2015−145813(JP,A)
【文献】 特開2009−236641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/00
H01M 2/10
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは複数個の単電池を備える電池群に接続されて用いられる電池制御装置であっ
て、
前記電池制御装置は、
電圧を検出する検出部が配置された電池制御基板と、
前記電池群の電流が流れ、かつ前記電池制御基板と接続されるシャント抵抗とを有し、
前記シャント抵抗は、前記電池制御基板と接続される機械固定部と、前記電池制御基板と接続される検出端子を有し、
前記機械固定部の径は、前記検出端子の径よりも大きく、
前記シャント抵抗は、前記電池と電気的に接続される電池接続部を有し、
前記機械固定部は前記検出端子と前記電池接続部との間に配置され、
前記電池制御基板は凸部を有し、
前記凸部に前記機械固定部、及び前記検出端子が配置されることを特徴とする電池制御装置。
【請求項2】
一つまたは複数個の単電池を備える電池群に接続されて用いられる電池制御装置であっ
て、
前記電池制御装置は、
電圧を検出する検出部が配置された電池制御基板と、
前記電池群の電流が流れ、かつ前記電池制御基板と接続されるシャント抵抗とを有し、
前記シャント抵抗は、前記電池制御基板と接続される機械固定部と、前記電池制御基板と接続される検出端子を有し、
前記検出部は筺体の中に配置され、さらに磁化率が10以上の材料で構成される磁気遮蔽板で覆われることを特徴とする電池制御装置。
【請求項3】
請求項に記載の電池制御装置において、
前記筺体は仕切り板を有し、
前記検出部は前記筺体と前記仕切り板とで形成される閉空間の中に配置され、
前記閉空間を覆うように前記磁気遮蔽板が配置されることを特徴とする電池制御装置。
【請求項4】
請求項に記載の電池制御装置において、
前記磁気遮蔽板は突出部を有し、
前記突出部は前記電池制御基板と接触するように配置され、前記磁気遮蔽板と前記電池制御基板とで閉空間を形成し、
前記検出部は前記空間に配置されることを特徴とする電池制御装置。
【請求項5】
一つまたは複数の単電池を備えた電池群と、請求項1乃至のいずれかに記載の電池制御装置とを備えた二次電池システム。
【請求項6】
請求項に記載の二次電池システムにおいて、
前記単電池は上面、底面、並びに前記上面及び前記底面と接続される側面を有し、
前記電池制御基板は前記側面に配置されることを特徴とする二次電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池制御装置、およびそれを用いた二次電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地球環境問題が大きくクローズアップされる中、地球温暖化防止の為に、あらゆる場面で炭酸ガスの排出削減が求められており、炭酸ガスの大きな排出源となっているガソリンエンジンの自動車については、ハイブリッド電気自動車や電気自動車などへの代替が始まっている。
【0003】
ハイブリッド電気自動車や電気自動車の動力用電源に代表される大型二次電池は、高出力で大容量であることが必要である為、それを構成する電池モジュールは複数の電池を直並列接続して構成する。
【0004】
二次電池であるリチウムイオン電池は、高電圧充電の防止や過放電による性能低下の防止などの適切な二次電池の使いこなしが必要となる。このため、ハイブリッド電気自動車や電気自動車に搭載される二次電池システムには、電池の状態である電圧、電流、温度などを検出する電池制御装置がある。
【0005】
図1に、ハイブリッド電気自動車や電気自動車に搭載される二次電池システム800の構成を示す。この図に示すように、1つまたは複数の単電池10で構成された電池群11が電池制御装置850と接続され、電池制御装置850が1つまたは複数の単電池10で構成された電池群11の状態を検出する。さらに、この電池情報から電池容量(SOC:State of Charge)や電池劣化状態(SOH:State of Health)を演算し、車両制御コントローラ810等に演算結果を通知する。車両制御コントローラは、この演算結果に基づいてリレーボックスを介して接続されるインバータ830や、インバータ830と接続されるモータ840を制御する。
【0006】
この電池群11には、電池群11に流れる電流を検知するための電流センサ(シャント抵抗等)が直列に接続されている(図1には図示せず)。この電流センサは、マイコン等が実装される電池制御基板上に配置される。特にこの電流センサから得られる情報は、電池のSOCやSOHを演算するのに用いられるため、正確である必要がある。
【0007】
図2(a)は特許文献1に記載のシャント抵抗100近傍の上面図、図2(b)は図2(a)のA−A断面図を示したものである。特許文献1には、に示すように、電池に流れる電流を検知するためのシャント抵抗の検出端子150が、電池制御基板200に4箇所で固定される構成が開示されている。このような構成にすることにより、シャント抵抗と電池制御基板間の距離を最小限に出来るので、通電により生じるノイズを小さくすることができる。そのため、電流センサから得られる情報がより高精度なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2003−513596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の発明のように、電池とシャント抵抗間をバスバーやハーネスにより接続する場合には、シャント抵抗の端部にはバスバーやハーネスが接続される。そのため、バスバーやハーネスの自重等で電池とシャント抵抗間の接続部に応力がかかり、シャント抵抗と電池制御基板間の接続部にトルクや歪が発生する。シャント抵抗と電池制御基板間の接続部にトルクや歪が発生した場合には、電流センサから得られる情報にノイズがのってしまい、得られる情報の精度が低下してしまう恐れがある。
【0010】
一方で、この歪を小さくするためにシャント抵抗と電池制御基板間の接続部の面積を大きくさせると電流ノイズの低減効果が小さくなり、得られる情報の精度が低下してしまうという問題が生じる。
【0011】
本発明は、上記課題に基づき、シャント抵抗と電池制御基板間の接続部の面積を大きくすることなく接続部にかかる応力や歪を低減し、得られる情報の精度を向上させた電池制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の電池制御装置は以下の構成を持つ。
【0013】
一つまたは複数個の単電池を備える電池群に接続されて用いられる電池制御装置であって、前記電池制御装置は、電圧を検出する検出部が配置された電池制御基板と、前記電池群の電流が流れ、かつ前記電池制御基板と接続されるシャント抵抗とを有し、前記シャント抵抗は、前記電池制御基板と接続される機械固定部と、前記電池制御基板と接続される検出端子を有することを特徴とする電池制御装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明を用いることによって、バスバーとシャント抵抗素子間にトルクがかかった時、検出端子にかかる応力を低減することができ、基板とシャント抵抗間の接合強度低下によるノイズの抑制が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電池システムの概略図。
図2】(a)は特許文献1に記載のシャント抵抗近傍の上面図、(b)は(a)のA−A断面図。
図3】電池群及びそれに接続される電池制御装置の構造を示す図。
図4】二次電池システムの構成の一部を示す図。
図5】シャント抵抗100の近傍の概略を示す図。
図6】(a)〜(e)は図6を用いてシャント抵抗100に電池制御基板200を固定するまでの手順を説明する図。
図7】第一の実施形態の第一の変形例。
図8】第一の実施形態の第二の変形例。
図9】第一の実施形態の第三の変形例。
図10】(a)は第二の実施形態にかかる電池制御基板周辺の上面図、(b)は(a)のA−A断面図
図11】(a)は第二の実施形態の変形例の電池制御基板周辺の上面図、(b)は(a)のA−A断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
<第一の実施形態>
本発明の実施例である電池制御装置850の構成を以下に述べる。
【0018】
図3に、電池群11及びそれに接続される電池制御装置850の構造を示す。電池制御装置850は、各単電池10のセル電圧を検出するセル電圧検出部20、電池群11の電圧を検出する総電圧検出部30、電池群11に流れる電流を検出するシャント抵抗100、シャント抵抗100に流れる電流を検出する電流検出部40、並びにセル電圧検出部20、総電圧検出部30及び電流検出部40で得られた情報を元に電池状態の推定を行い、車両制御コントローラ810に情報を出力するマイコン50を有する。シャント抵抗100は電池群11と直列に接続されることによって、電池群11に流れる電流を検出できるようになっている。
【0019】
電池制御装置850には、電池群11は含まれない。
【0020】
なお、セル電圧検出部20、総電圧検出部30、電流検出部40、マイコン50及びシャント抵抗100の一部は一つの電池制御基板200上に配置される。
【0021】
図4に、本実施例の電池制御装置850を用いた二次電池システム800の構成例の一部を示す。この二次電池システム800は、一つまたは複数の単電池10を有する電池群11、シャント抵抗100、シャント抵抗100に取り付けられる電池制御基板200、及びこれらを覆う筐体300から構成される。
【0022】
電池群11は複数個直列に接続された単電池10を有し、各単電池10はバスバー400を介して接続される。また、単電池10の一部はバスバー400でシャント抵抗100と接続されている。この時、単電池10同士の接続方向とシャント抵抗100の長手方向は互いに垂直方向である。
【0023】
単電池10としては、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池等二次電池に加え、燃料電池やキャパシタを搭載した場合並びにこれらを組み合わせた場合のいずれの場合にも適用できる。また、本実施形態では、バスバーでシャント抵抗を接続した例を示すが、ハーネス、ケーブル、コネクタのいずれで接続してもよい。また、図4では、電池群11として単電池10を複数個使用したものを示しているが、1個の単電池10で構成される電池群11あっても構わない。
【0024】
本明細書においては、電池群11とは、1つまたは複数の単電池10を備えたものと定義する。
【0025】
図5に、シャント抵抗100の近傍の概略を示す。シャント抵抗100は、バスバー400を介して単電池10と接続される電池接続部110、筺体300と接続される筺体接続部120、電池制御基板200と機械的に接続する機械固定部130、電池制御基板200とはんだ140で電気的に接続される検出端子150の4箇所を有する。この図では、筺体300としてベース310及びカバー320を設け、両者にシャント抵抗100を接続する例を示すが、ベースとカバーのいずれかのみでシャント抵抗を固定しても構わない。
【0026】
また、図5では、シャント抵抗100と筺体300、シャント抵抗100と電池制御基板200との固定はいずれもネジ止めにより接続しているが、溶接等の別の接続方法を用いてもよいし、シャント抵抗100とバスバー400及びハーネスが一体化したものでもよい。
【0027】
電池制御基板200とシャント抵抗100との間には、バスバー400とシャント抵抗100が接続される際、又は使用時の振動等によってせん断力が働くことがある。本発明では、電池制御基板200とシャント抵抗100との接続が、検出端子150だけでなく機械固定部130によっても行われている。そのため、シャント抵抗100がバスバー400に取り付けられる際や、使用時の振動等によって生じる力を、検出端子150で受けるのではなく、機械固定部130で受けることができ、検出端子150と電池制御基板200を接続するはんだ140の割れや剥離を防止できる。従って、電流検出の際に、検出端子150の接続不良によるノイズ等を防止することができ、電流値を高精度に検出することができる。
【0028】
また、本発明では検出端子150よりも機械固定部130の方が電池接続部110に近い構成となっている。言い換えると、検出端子150と電池接続部110との間に機械固定部130が配置される構成となっている。このような構成にすることによって、電池接続部110に大きなトルクが加わった場合、検出端子150のはんだ140に力が加わる前に、機械固定部130で確実に力を受けることができる。そのため、よりはんだ140の割れや剥離を防止することが出来る。
【0029】
また、本発明では検出端子150の径よりも機械固定部130の径の方が大きい構成となっている。そのため、電池接続部110に大きなトルクや力が加わった場合、検出端子150のはんだ140で力を受ける前に、機械固定部130で確実に力を受けることができる。さらに、機械固定部130の径を大きくしたことによって、機械固定部130の強度自体も増す。そのため、よりはんだ140の割れや剥離を防止することが出来る構造となる。
【0030】
続いて図6を用いてシャント抵抗100に電池制御基板200を固定するまでの手順を説明する。まず図6(a)に示すように、電池制御基板200に電流検出部40、セル電圧検出部20(本図では不図示)、総電圧検出部30(本図では不図示)に相当する部品を実装する。次に図6(b)に示すように、部品実装した電池制御基板200とシャント抵抗100を、機械固定部130でネジ止めにより接続する。この状態でシャント抵抗100と電池制御基板200の位置が固定される。そして図6(c)に示すように、シャント抵抗100上に設けた検出端子150と電池制御基板200がはんだ140により局所的に接続される。このような手順によって電池制御基板200とシャント抵抗100は接続される。続いて図6(d)に示すように、シャント抵抗100にカバー320及びベース310が筺体接続部120で固定され、筺体300が形成される。最後に図6(e)に示すように、電池接続部110を介してシャント抵抗100にバスバー400が接続される。このようにしてシャント抵抗100に電池制御基板200が設けられ、さらに筺体300が形成されたものが完成する。
【0031】
以上のように、ネジ止めによる機械固定部130と検出端子150の2箇所により電池制御基板200とシャント抵抗100を接続することで、力学的な固定の役割を検出端子150に任せる必要が無くなる。そのため、検出端子150の径を小さくできるので電流ノイズを低減することができる。さらに、検出端子150は径が小さく、局所的なはんだ接合により電気的な接続が可能となるので、電池制御基板200上の部品に熱ストレスを与えずにシャント抵抗100を電池制御基板200に接続できる。
【0032】
さらに、本実施例の構成によれば、筐体接続部120が、機械固定部130と電池接続部110との間に配置されているため、組立てやすいという効果がある。すなわち、筐体接続部120がこのように配置されているために、図6の手順に示した通り、電池制御基板200とシャント抵抗100とを接続・固定した後に、筐体300内に設置することが可能になる。
【0033】
続いて本実施形態の第一の変形例を図7に示す。図7は、シャント抵抗100に筺体300を接続せずに、電池制御基板200とバスバー400のみをシャント抵抗100に接続させた時の電池制御装置850を示す図である。この時、バスバーに矢印の方向で力Fが加わると、シャント抵抗100が図7の下方向に凸に変形する。そのため、端子の細い検出端子150に応力がかかり、検出端子150のはんだ140の接合部が破断する危険性がある。
【0034】
本変形例では、筺体300が無かったとしてもシャント抵抗100を機械固定部130で固定しているため、検出端子150にかかる応力を低減することができ、検出端子150のはんだ140の接合部の破断を抑制することができる。
【0035】
また、これは変形例に限ったことではないが、本実施例では機械固定部130が、電池制御基板200と密着する頭部130a及びシャント抵抗100と密着する固定部130bを有しており、頭部130aと固定部130bによって電池制御基板200とシャント抵抗100とが挟持されているため、シャント抵抗100の反りが機械固定部130で食い止められることになる。従って、検出端子150のはんだ140の接合部の破断をより抑制することができる。なお、固定部130bはシャント抵抗100と密着する構造とするのが最も好ましいが、シャント抵抗100の反りを規制できる程度であれば、多少シャント抵抗100の表面と離れていたとしても問題ない。
【0036】
続いて本実施形態の第二の変形例について説明する。第二の変形例では、電池制御基板の構造を凸形状とし、凸部に検出端子150及び機械固定部130を設けている。
【0037】
図8は本実施形態の第二の変形例にかかる電池制御装置850を用いた、二次電池システムの一部を示す図である。実施形態は、上述したように電池制御基板210の一部に凸部210aを設けた点を特徴としている。
【0038】
凸部210aにはシャント抵抗100の検出端子150、及び機械固定部130が配置される。図4と同様に、シャント抵抗、電池制御基板、電池が配列した構成であり、電池同士の接続方向とシャント抵抗の長手方向は互いに垂直方向である。しかし、本変形例では、シャント抵抗の大きさが電池の大きさに比べ小さい構造としている。このため、電池制御基板210に凸部210aを設け、凸部210aにシャント抵抗100を配置することとした。このような構造にすることによって、電池のサイズがシャント抵抗と大きく異なる場合でも電池制御装置850を組み上げることができる。
【0039】
なお、凸部210aの形状は図8の形状に限定されるものではなく、例えば図10に示したようにL字形であってもよい。あるいは、6角形や円形の電池制御基板200に凸部210aを設けた形状であってもよい。これらの形状であっても上記の効果を得ることができる。
【0040】
続いて本実施形態の第三の変形例について説明する。第三の変形例では、電池制御基板200を単電池10の側面に配置している。
【0041】
図9は本実施形態の第三の変形例に係る二次電池システムの一部を示す図である。本変形例の単電池10は、立方体形状又は直方体形状をしており、上面10a、底面10b、上面10a及び底面10bに繋がる側面10cを有している。本変形例では、電池制御基板200を単電池10の上面から突出させるのではなく、電池制御基板200を単電池10の側面10cに接着した。このような構造にすることによって、電池制御基板200を単電池10から突出させて配置する必要がなくなるため、余分なスペースを設けることなくコンパクトにシャント抵抗100を配置することが出来る。
【0042】
なお、シャント抵抗100の電池接続部110を単電池10の端子に直接接続するよう、シャント抵抗の電池接続部と筺体接続部の間に90°傾斜をつけた構造とすることにより、本変形例の二次電池システムを作成することができる。
【0043】
<第二の実施形態>
続いて第二の実施形態の電池制御装置850について説明する。本実施形態が第一の実施形態と異なる点は、セル電圧検出部20、総電圧検出部30、及びマイコン50を磁気遮蔽板500で覆った点が、第一の実施形態と異なる。なお、第一の実施形態と同様の構成については、第一の実施形態で用いた図面番号と同様の図面番号を用いている。
【0044】
図10(a)は本実施形態にかかる電池制御基板200の周辺を上面から見た図である。シャント抵抗100と電池制御基板200との接続、シャント抵抗100と筺体300との接続については第一の実施形態と特に変わらない。しかし、本実施形態では、セル電圧検出部20、総電圧検出部30、及びマイコン50が磁気遮蔽板500で覆う構成としている。シャント抵抗100に通電するとシャント抵抗100の周囲に電流による磁界が発生し、電池制御基板200上に搭載したセル電圧検出部20、電池群11の総電圧を計測する総電圧検出部30、総電圧検出部30で得た情報をもとに電池の状態を推定するマイコン50に悪影響を及ぼす可能性がある。特に、セル電圧検出部20は数mV単位で電圧を観測する必要があるため、シャント抵抗100から発生する磁界の影響による電圧誤差が非常に大きくなるものと考えられる。本実施例では磁界の影響を回避するため、セル電圧検出部20、総電圧検出部30、及びマイコン50を覆うように磁気遮蔽板500を設けた。
【0045】
図10(b)に図10(a)のA−A断面図を示すものである。図10(b)に図示するように、磁気遮蔽板500は筺体300の外周に配置される構造となっている。磁気遮蔽板500は、例えば筺体300に設けられた仕切り板300aに磁気遮蔽板500の突出部500aが接続されることによって固定される。また、本構造の場合、筺体300と仕切り板300aで作る閉空間の中にセル電圧検出部20、総電圧検出部30、及びマイコン50が収納され、さらにその閉空間を覆うように磁気遮蔽板500が配置される構造となっている。そのため、磁界に対する遮蔽を二重で行える構造となっており、よりセンサへの磁界の影響を少なくすることが出来る。
【0046】
磁気遮蔽板500には、磁化率(χ)が10以上の材料を用いる。本明細書では、磁化率χが10以上の材料を磁性体と呼ぶ。磁化率χの材料は、比透磁率μr=(χ+1)になる。すなわち、磁化率が10以上の材料(磁性体)では、空気中や非磁性体材料と比べて磁束を11倍以上通しやすい性質を持つ。このため、磁化率が10以上の材料を磁気遮蔽板500として用いることにより、上記の効果を得ることが出来る。
【0047】
磁気遮蔽板500の材料には、例えば鉄(χ=5000)、珪素鋼(χ=7000)、パーマロイ(χ=40000〜100000)、ミューメタル(χ=100000)等を用いるとよい。本実施例では、価格が安く製作が容易な鉄を用いた。
【0048】
また、磁気遮蔽板を筺体と一体のものとして設置することも可能である。図11(a)は磁気遮蔽板500と筺体300とを一体のものとして設置した場合の電池制御基板200の周辺図の上面図である(図10の変形例)。磁気遮蔽板500が筺体300と一体となり、筺体300の内部側に配置されている点が図10の構造と異なる。図10と同様に、セル電圧検出部20、総電圧検出部30、及びマイコン50が、筺体300と一体となった磁気遮蔽板500で、シャント抵抗からの磁気の影響を遮断している。
【0049】
図11(b)は図11(a)に示した図のA−A断面図である。図11(b)に示すように、磁気遮蔽板500は筺体300の内部で一体化されており、セル電圧検出部20、総電圧検出部30、及びマイコン50を覆っている。なお、磁気遮蔽板500は、突出部500aを有しており、突出部500aの先端は電池制御基板200と接触するように配置される。このような配置、つまりセル電圧検出部20、総電圧検出部30、及びマイコン50が電池制御基板200と磁気遮蔽板500で作る閉空間に収納される配置をとることよって、磁気遮蔽板500の使用量を図10の構造よりも抑えつつ、確実に磁界の影響を抑えることが可能となる。
【0050】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。さらに、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10・・・単電池
11・・・電池群
100・・・シャント抵抗
110・・・電池接続部
120・・・筺体接続部
130・・・機械的固定部
140・・・はんだ
150・・・検出端子
200・・・電池制御基板
300・・・筺体
310・・・ベース
320・・・カバー
800・・・二次電池システム
850・・・電池制御装置
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9
図10
図11