特許第6430223号(P6430223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

特許6430223通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム
<>
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000002
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000003
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000004
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000005
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000006
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000007
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000008
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000009
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000010
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000011
  • 特許6430223-通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6430223
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】通信装置、遠隔制御方法、コンピュータプログラム及び遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20181119BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20181119BHJP
   G05B 19/042 20060101ALI20181119BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   H04Q9/00 311K
   H04Q9/00 301B
   H04Q9/00 301D
   H04Q9/00 321D
   H04M11/00 301
   G05B19/042
   G05B19/05 S
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-239183(P2014-239183)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-100881(P2016-100881A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年3月8日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 直哉
(72)【発明者】
【氏名】中谷 博司
(72)【発明者】
【氏名】高仲 徹
(72)【発明者】
【氏名】丸地 俊也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 優介
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/101902(WO,A1)
【文献】 特開2014−165804(JP,A)
【文献】 特開平10−207847(JP,A)
【文献】 特開2008−003907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/04−19/05
G06F9/46
9/48
9/50−9/52
9/54
13/00
H03J9/00−9/06
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04Q9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の機器が設置された環境に関する情報を示す環境情報と、前記機器の状態を示す状態情報とのいずれかを含む検知信号に基づいて前記機器を制御するための制御信号を生成する制御処理を実行可能な第1の制御処理部を備える制御装置と通信する通信部と、
前記制御処理を実行可能な第2の制御処理部と、
前記制御処理の実行主体を示す分配情報に基づいて、前記第1の制御処理部又は前記第2の制御処理部のいずれか一方又は両方を前記実行主体として判断する処理を、前記検知信号を生成する検知装置から取得される1つ以上の検知信号について所定の順序で実行する判断部と、
前記1つ以上の検知信号のそれぞれについて前記判断部が前記第1の制御処理部を実行主体と判断したタイミングで、前記実行主体の判断に係る検知信号を前記制御装置に送信し、前記判断部が前記第2制御処理部を実行主体と判断したタイミングで、前記実行主体の判断に係る検知信号を自装置の第2制御処理部に出力し、前記第1の制御処理部又は第2の制御処理部によって生成された前記制御信号を前記機器に送信する入出力部と、
を備え
前記判断部は、前記分配情報に基づいて、前記機器に高い応答性を要する動作を行わせる制御信号を生成する前記制御処理の実行主体が前記第2の制御処理部であると判断する、
通信装置。
【請求項2】
制御対象の機器が設置された環境に関する情報を示す環境情報と、前記機器の状態を示す状態情報とのいずれかを含む検知信号に基づいて前記機器を制御するための制御信号を生成する制御処理を実行可能な第1の制御処理部を備える制御装置と通信する通信部と、
前記制御処理を実行可能な第2の制御処理部と、
前記制御処理の実行主体を示す分配情報に基づいて、前記第1の制御処理部又は前記第2の制御処理部のいずれか一方又は両方を前記実行主体として判断する処理を、前記検知信号を生成する検知装置から取得される1つ以上の検知信号について所定の順序で実行する判断部と、
前記1つ以上の検知信号のそれぞれについて前記判断部が前記第1の制御処理部を実行主体と判断したタイミングで、前記実行主体の判断に係る検知信号を前記制御装置に送信し、前記判断部が前記第2制御処理部を実行主体と判断したタイミングで、前記実行主体の判断に係る検知信号を自装置の第2制御処理部に出力し、前記第1の制御処理部又は第2の制御処理部によって生成された前記制御信号を前記機器に送信する入出力部と、
を備え、
前記判断部は、前記機器に安全性に関する動作を行わせる制御信号を生成する前記制御処理の実行主体が前記第2の制御処理部であることを前記分配情報に基づいて判断する、
通信装置。
【請求項3】
前記判断部は、実行主体が前記第1の制御処理部であることを前記分配情報が示す場合、前記検知信号を前記制御装置に送信することを前記入出力部に指示し、実行主体が前記第2の制御処理部であることを前記分配情報が示す場合、前記検知信号を前記第2の制御処理部に出力することを前記入出力部に指示する、
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
制御対象の機器が設置された環境に関する情報を示す環境情報と、前記機器の状態を示す状態情報とのいずれかを含む検知信号に基づいて前記機器を制御するための制御信号を生成する制御処理を実行可能な第1の制御処理部を備える制御装置と通信する通信装置が、
前記制御処理を実行可能な第2の制御処理部が前記制御処理を実行する第2の制御処理ステップと、
前記制御処理の実行主体を示す分配情報に基づいて、前記第1の制御処理部又は前記第2の制御処理部のいずれか一方又は両方を前記実行主体として判断する処理を、前記検知信号を生成する検知装置から取得される1つ以上の検知信号について所定の順序で実行する判断ステップと、
前記1つ以上の検知信号のそれぞれについて前記判断ステップにおいて前記第1の制御処理部が実行主体と判断されたタイミングで、前記実行主体の判断に係る検知信号を前記制御装置に送信し、前記判断ステップにおいて前記第2制御処理部が実行主体と判断されたタイミングで、前記実行主体の判断に係る検知信号を自装置の第2制御処理部に出力し、前記第1の制御処理部又は前記第2の制御処理部によって生成された前記制御信号を前記機器に送信する入出力ステップと、
を有し、
前記判断ステップにおいて、前記機器に高い応答性を要する動作を行わせる制御信号を生成する前記制御処理の実行主体が前記第2の制御処理部であることを前記分配情報に基づいて判断する、
遠隔制御方法。
【請求項5】
制御対象の機器が設置された環境に関する情報を示す環境情報と、前記機器の状態を示す状態情報とのいずれかを含む検知信号に基づいて前記機器を制御するための制御信号を生成する制御処理を実行可能な第1の制御処理部を備える制御装置と通信する通信装置が、
前記制御処理を実行可能な第2の制御処理部が前記制御処理を実行する第2の制御処理ステップと、
前記制御処理の実行主体を示す分配情報に基づいて、前記第1の制御処理部又は前記第2の制御処理部のいずれか一方又は両方を前記実行主体として判断する処理を、前記検知信号を生成する検知装置から取得される1つ以上の検知信号について所定の順序で実行する判断ステップと、
前記1つ以上の検知信号のそれぞれについて前記判断ステップにおいて前記第1の制御処理部が実行主体と判断されたタイミングで、前記実行主体の判断に係る検知信号を前記制御装置に送信し、前記判断ステップにおいて前記第2制御処理部が実行主体と判断されたタイミングで、前記実行主体の判断に係る検知信号を自装置の第2制御処理部に出力し、前記第1の制御処理部又は前記第2の制御処理部によって生成された前記制御信号を前記機器に送信する入出力ステップと、
を有し、
前記判断ステップにおいて、前記機器に安全性に関する動作を行わせる制御信号を生成する前記制御処理の実行主体が前記第2の制御処理部であることを前記分配情報に基づいて判断する、
遠隔制御方法。
【請求項6】
コンピュータを請求項1に記載の通信装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
コンピュータを請求項2に記載の通信装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
制御対象の機器が設置された環境に関する情報を示す環境情報と、前記機器の状態を示す状態情報とのいずれかを含む検知信号に基づいて前記機器を制御するための制御信号を生成する制御処理を実行可能な第1の制御処理部を備える制御装置と、
請求項1に記載の通信装置と、
を備える遠隔制御システム。
【請求項9】
制御対象の機器が設置された環境に関する情報を示す環境情報と、前記機器の状態を示す状態情報とのいずれかを含む検知信号に基づいて前記機器を制御するための制御信号を生成する制御処理を実行可能な第1の制御処理部を備える制御装置と、
請求項2に記載の通信装置と、
を備える遠隔制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、遠隔制御システム、遠隔制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサ等を用いて機器を遠隔地から制御する遠隔制御システムが実用化されている。センサは、制御対象の機器が設置された環境に関する情報を示す環境情報や、制御対象の機器の状態を示す状態情報を取得して遠隔制御システムに送信する。遠隔制御システムは、センサから送信される情報に基づいて所定の制御処理を行い、制御対象の機器を制御するための信号を生成する。
このような遠隔制御システムにおいて、制御対象の機器に関する事象を検知し、環境情報や状態情報などの制御処理に必要な情報を取得するセンサ等の装置を検知装置と呼ぶ。検知装置は、検知により取得される環境情報又は状態情報を検知信号として制御装置に送信する。また、検知信号に基づいて制御処理により生成される信号を制御信号と呼ぶ。そして、制御信号に基づいて制御される対象の機器を被制御装置と呼ぶ。
【0003】
このような遠隔制御システムでは、検知装置及び被制御装置と制御装置との間のネットワークにおいて通信の遅延が発生する可能性がある。ネットワークにおける通信の遅延は、遠隔制御システムの応答性を低下させる要因となる。そのため、被制御装置の用途によっては、遠隔制御システムを導入することができない場合があった。
【0004】
特に、近年では、システムリソースの有効活用やBCP(Business Continuity Plan)に対する意識の高まりから、システムのクラウド化が進んでいる。このようなクラウド化のトレンドは、上記のような制御システムについても例外ではなく、上記のような制御システムにクラウド技術を適用したクラウド制御システムが実用化されている。クラウドシステムでは、通信ネットワークにインターネット等の低速なネットワークが用いられることも多く、通信の遅延はより大きくなることが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−63414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、遠隔制御システムの応答性の低下を抑制することができる遠隔制御システム、遠隔制御方法及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の遠隔制御システムは制御装置と通信装置とを持つ。制御装置は第1の制御処理部を持つ。第1の制御処理部は制御対象の機器が設置された環境に関する環境情報と、前記機器の状態を示す状態情報とのいずれかを含む検知信号に基づいて前記機器を制御するための制御信号を生成する制御処理を実行可能である。通信装置は第2の制御処理部と判断部と入出力部とを持つ。第2の制御処理部は前記制御処理を実行可能である。判断部は前記制御処理の実行主体を示す分配情報に基づいて前記第1の制御処理部又は前記第2の制御処理部のいずれか一方又は両方を前記実行主体として判断する。入出力部は前記検知信号を生成する検知装置から前記検知信号を取得し、前記判断部によって判断された実行主体に取得した前記検知信号を出力し、前記実行主体となる前記第1の制御処理部又は第2の制御処理部によって生成された前記制御信号を前記機器に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】遠隔制御システムの構成例を示すシステム構成図。
図2】第1の実施形態における遠隔制御システム1の機能構成を示す機能ブロック図。
図3】分配情報テーブル421の具体例を示す図。
図4】通信装置5が行う分配処理の流れを示すフローチャート。
図5】サーバ4の処理の流れを示すフローチャート。
図6】第1の実施形態の遠隔制御システム1における被制御装置2の遠隔制御の流れを示すシーケンス図。
図7】第2の実施形態における遠隔制御システム1aの機能構成を示す機能ブロック図。
図8】通信装置5aが行う分配処理の流れを示すフローチャート。
図9】第3の実施形態における遠隔制御システム1bの機能構成を示す機能ブロック図。
図10】表示端末7により表示される制御処理に関する情報を示す画面の第1の具体例を示す図。
図11】表示端末7により表示される制御処理に関する情報を示す画面の第2の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の遠隔制御システム、遠隔制御方法及びコンピュータプログラムを、図面を参照して説明する。
【0010】
(概略)
図1は、遠隔制御システムの構成例を示すシステム構成図である。
遠隔制御システム1は、被制御装置の動作を遠隔制御するシステムである。図1における被制御装置は、被制御装置2−1〜2−m(mは1以上の整数)である。遠隔制御システム1は、検知装置3−1〜3−mから被制御装置2−1〜2−mの制御に必要となる検知信号を取得する。検知信号とは、被制御装置が設置された環境に関する情報を示す環境情報と、被制御装置の状態を示す状態情報とのいずれか一方又は両方を示す信号である。遠隔制御システム1は、所定の制御処理を行って、検知信号から被制御装置の動作を制御するための制御信号を生成する。遠隔制御システム1は、生成した制御信号を被制御装置に送信する。
【0011】
被制御装置2−1〜2−mのそれぞれは、遠隔制御システム1の制御対象となる1つ以上の機器で構成される。被制御装置2−1〜2−mは、遠隔制御システム1から制御信号を取得し、制御信号に応じた動作を行う。以下、説明の便宜のため、特に区別しない限り被制御装置2−1〜2−mを被制御装置2と記載する。例えば、被制御装置2は、製造工場やプラントを自動制御する機器であってもよい。また、被制御装置2は、住宅や施設等の屋内に設置される機器であってもよいし、道路や公園等の屋外に設置される機器であってもよい。また、被制御装置2は、所定の場所に固定して設置される機器であってもよいし、飛行機や自動車等の移動体に設置される機器であってもよい。このような被制御装置となり得る機器の具体例として、モータ、バルブ、ポンプ、照明機器、空調機器、信号機などが挙げられる。
【0012】
検知装置3−1〜3−mは、対応する被制御装置2について、遠隔制御システム1が制御信号を生成するための検知信号を取得するセンサ等の検知装置である。検知装置3−1〜3−mのそれぞれは、1つ以上のセンサ装置で構成される。検知装置3−1は被制御装置2−1に対応する検知装置である。同様に、検知装置3−mは被制御装置2−mに対応する検知装置である。検知装置3−1〜3−mのそれぞれは、対応する被制御装置2の制御に必要となる環境情報又は状態情報を取得する。環境情報は、例えば、明るさ、温度、人の有無、人の数などを表す情報である。また、状態情報は、スイッチのON又はOFF、電流、電圧、圧力、流量、重量、速度などを表す情報である。環境情報や状態情報は、被制御装置2の制御に用いることができる情報であれば、他のどのような情報であってもよい。例えば、環境情報や状態情報は、画像データとして取得されてもよい。検知装置3−1〜3−mは、取得した環境情報や状態情報を検知信号として、遠隔制御システム1に送信する。以下、説明の便宜のため、特に区別しない限り検知装置3−1〜3−mを検知装置3と記載する。
【0013】
例えば、被制御装置2が照明機器である場合、検知装置3は、明るさセンサや温度センサなどのセンサを用いて構成される。この場合、検知装置3は、対応する照明機器付近に設置され、設置位置付近の空間について明るさや温度などの環境情報を取得する。検知装置3は、取得された環境情報を検知信号として遠隔制御システム1に送信する。遠隔制御システム1は、検知信号に基づいて所定の制御処理を行って、照明機器の点消灯や調光率を制御する制御信号を生成する。
【0014】
例えば、被制御装置2が信号機である場合、検知装置3は、人感センサや画像センサなどのセンサを用いて構成される。この場合、検知装置3は、対応する信号機付近に存在する人に関する情報を環境情報として取得する。この場合、例えば、遠隔制御システム1は、制御処理において、信号機の信号の色を制御する制御信号を生成する。
【0015】
例えば、被制御装置2が発電プラントを動作させるためのバルブである場合、検知装置3は、バルブを制御するための非常停止スイッチや電圧センサを用いて構成される。この場合、遠隔制御システム1は、非常停止スイッチのON又はOFFや、電圧センサの計測値を検知信号として取得する。この場合、例えば、遠隔制御システム1は、非常停止スイッチの状態がONであることを検知信号が示す場合や、所定の閾値以上の電圧が検知されたことを検知信号が示す場合には、制御処理において、バルブを閉める動作を行わせる制御信号を生成する。
【0016】
このような処理を行うことによって、遠隔制御システム1は、設置場所や用途によらない様々な機器を遠隔制御することができる。
【0017】
遠隔制御システム1は、サーバ4−1〜4−n(nは1以上の整数)、通信装置5−1〜5−m及びネットワーク6を備える。
サーバ4−1〜4−nは、検知信号に基づいて制御処理を行う。サーバ4−1〜4−nの各サーバには分散して検知信号が送信され、各サーバ4は等価的に制御処理を行う。以下、説明の便宜のため、特に区別しない限りサーバ4−1〜4−nをサーバ4と記載する。
【0018】
通信装置5−1〜5−mは、被制御装置2及び検知装置3を有する通信装置である。通信装置5−1は、被制御装置2−1と検知装置3−1とを有する。同様に、通信装置5−mは、被制御装置2−mと検知装置3−mとを有する。通信装置5−1〜5−mは、サーバ4と、被制御装置2及び検知装置3との間で、検知信号及び制御信号の送受信を行う。以下、説明の便宜のため、特に区別しない限り通信装置5−1〜5−mを通信装置5と記載する。
【0019】
なお、通信装置5と、被制御装置2及び検知装置3との間の通信経路は、Profibus、Modbus、TC−Net等のフィールドバスや、イーサネット(登録商標)等のローカルな有線通信回線で構成されてもよいし、無線LAN(Local Area Network)や、920MHz帯等のISM(Industrial, Scientific and Medical Band)バンド等のローカルな無線通信回線を用いて構成されてもよい。
【0020】
ネットワーク6は、サーバ4と通信装置5とを接続するネットワークである。例えば、ネットワーク6は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワークである。さらに、ネットワーク6に、インターネットや広域イーサネット(登録商標)等の広域網を用いれば、異なる場所に位置する複数のサーバ4を統合したクラウド型の遠隔制御システムを構成することも可能である。
【0021】
なお、遠隔制御システム1において、各サーバ4に対する検知信号の分散はどのように行われてもよい。例えば、負荷分散装置によって検知信号を分散させてもよいし、検知装置3が検知信号の送信先をラウンドロビンで決定することによって分散させてもよい。
【0022】
上記のような構成を持つ遠隔制御システム1では、サーバ4と通信装置5との間の通信において、ネットワーク6を介することによる遅延が発生する可能性がある。そのため、検知信号に対する制御信号の応答に高い応答性が求められる場合、被制御装置2の制御に上記構成の遠隔制御システム1を適用することができない可能性がある。このような問題に対して実施形態の遠隔制御システム1は、求められる応答性に応じて、制御処理の実行をサーバ4と通信装置5とに分散させる構成を備える。以下、このような構成を持つ遠隔制御システム1の実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、説明の便宜のため、遠隔制御システム1が図2に示されるように、1台のサーバ4と、1台の通信装置5とで構成される場合を想定する。
【0023】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態における遠隔制御システム1の機能構成を示す機能ブロック図である。
サーバ4(制御装置)は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、サーバプログラムを実行する。サーバ4は、サーバプログラムの実行によって通信部41、分配情報記憶部42、分配情報送信部43及び制御処理部44を備える装置として機能する。なお、サーバ4の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。サーバプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。サーバプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0024】
通信部41は、LAN等の通信インターフェースを用いて構成される。通信部41は、ネットワーク6を介して通信装置5と通信する。
【0025】
分配情報記憶部42は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。分配情報記憶部42は分配情報を記憶する。分配情報は、制御処理の実行主体となる装置(以下、「実行装置」という。)を示す情報である。例えば、分配情報記憶部42は、図3に示す分配情報テーブル421の態様で分配情報を記憶する。
【0026】
図3は、分配情報テーブル421の具体例を示す図である。
分配情報テーブル421は、入力種別ごとに分配情報レコードを有する。分配情報レコードは、入力種別及び実行装置の各値を有する。入力種別は、検知信号の識別情報を表す。実行装置は、入力種別が示す検知信号について制御処理を実行する実行装置を表す。分配情報レコードは、予め遠隔制御システム1の管理者によって分配情報テーブル421に登録される。
【0027】
図2の説明に戻る。
分配情報送信部43は、自装置を有する通信装置5に分配情報を送信する。分配情報送信部43は、通信装置5に送信する分配情報を分配情報記憶部42の分配情報テーブル421から取得する。分配情報送信部43が分配情報を送信するタイミングは任意である。例えば、分配情報送信部43は、定期的に分配情報を送信してもよいし、分配情報が更新されたタイミングで送信してもよい。
【0028】
制御処理部44(第1の制御処理部)は、検知信号から被制御装置2の動作を制御するための制御信号を生成する制御処理を実行可能である。制御処理部44は、制御処理を行う検知信号を通信装置5から取得する。制御処理部44は、生成した制御信号を通信部41に出力し、通信装置5に送信する。
【0029】
通信装置5は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、通信装置プログラムを実行する。通信装置5は、通信装置プログラムの実行によって第1通信部51、第2通信部52、分配情報記憶部53、制御処理部54及び分配部55を備える装置として機能する。なお、通信装置5の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。通信装置プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。通信装置プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0030】
第1通信部51及び第2通信部52は、LAN等の通信インターフェースを用いて構成される。第1通信部51は、被制御装置2及び検知装置3と通信する。第2通信部52は、ネットワーク6を介してサーバ4と通信する。なお、被制御装置2及び検知装置3と自装置との間のネットワークと、ネットワーク6とが同じネットワークで構成される場合、第1通信部51と第2通信部52とは、1つの通信インターフェースで構成されてもよい。
【0031】
分配情報記憶部53は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。分配情報記憶部53はサーバ4から送信される分配情報を記憶する。分配情報記憶部53は、分配情報テーブル421と同様の構成を持つ分配情報テーブル531に分配情報を保持する。
【0032】
制御処理部54(第2の制御処理部)は、検知信号に基づいて、サーバ4の制御処理部44と同様の制御処理を実行可能である。制御処理部54は、制御処理によって生成した制御信号を分配部55に出力する。
【0033】
分配部55は、分配情報に基づいて、検知信号に対する制御処理を自装置とサーバ4とで分配する分配処理を行う。具体的には、分配部55は、第1通信部51を介して検知装置3から検知信号を取得する。制御処理を自装置に分配する場合、分配部55は、検知装置3から取得された検知信号を制御処理部54に出力する。また、制御処理をサーバ4に分配する場合、分配部55は、検知装置3から取得された検知信号を第2通信部52を介してサーバ4に送信する。
【0034】
図4は、通信装置5が行う分配処理の流れを示すフローチャートである。
まず、分配部55がサーバ4から分配情報を取得する(ステップS101)。分配部55は、取得した分配情報を分配情報テーブル531に登録し、分配情報記憶部53に記憶させる(ステップS102)。分配部55は、分配情報を分配情報記憶部53に記憶させると、検知信号の受信を待機する。検知装置3は、分配情報を送信した後、所定のタイミングで生成した検知信号を、所定の期間ごとにまとめて通信装置5に送信する。
【0035】
分配部55は、検知装置3から送信される検知信号を受信する(ステップS103)。ここで、検知装置3から送信される検知信号には、制御対象となる被制御装置2の識別情報と、制御信号により制御される動作に対応する入力種別が含まれる。
【0036】
分配部55は、分配情報に基づいて、検知信号に対する制御処理を自装置とサーバ4とで分配する分配処理を行う。具体的には、分配部55は、分配情報テーブル531を参照し、検知信号が示す入力種別を値に持つレコードを選択する。分配部55は、選択されたレコードから実行装置の値を取得する。分配部55は、実行装置の値に基づいて、検知信号に対する制御処理を自装置で実行するか否かを判断する(ステップS104)。分配部55は、制御処理を自装置で実行しないことを判断した場合(ステップS104−NO)、検知信号をサーバ4に送信する(ステップS105)。一方、分配部55は、制御処理を自装置で実行することを判断した場合(ステップS104−YES)、検知信号を制御処理部54に出力する。
【0037】
例えば、分配情報が図3に例示された内容であり、検知信号が示す入力種別が“入力種別1”である場合、分配部55は、実行装置の値として“サーバ”を取得する。この場合、分配部55は、制御処理をサーバ4に分配することを判断し、検知信号をサーバ4に送信する。サーバ4は、検知信号を受信する。サーバ4は、受信された検知信号に基づいて制御処理を実行し、制御信号を生成する。サーバ4は生成した制御信号を、通信装置5に送信する。
【0038】
一方、検知信号が示す入力種別が“入力種別2”である場合、分配部55は、実行装置の値として“通信装置”を取得する。この場合、分配部55は、制御処理を自装置に分配することを判断し、検知信号を制御処理部54に出力する。
【0039】
制御処理部54は、分配部55から出力された検知信号に基づいて制御処理を実行する(ステップS106)。制御処理部54は、制御処理の実行により被制御装置2の動作を制御する制御信号を生成する。制御処理部54は、生成した制御信号を分配部55に出力する。
【0040】
分配部55は、全ての検知信号について分配処理を行ったか否かを判定する(ステップS107)。分配部55は、一部の検知信号について分配処理を行っていないと判定した場合(ステップS107−NO)、ステップS104に戻り、分配処理を行っていない検知信号について分配処理を実行する。一方、分配部55は、全ての検知信号について分配処理を行ったと判定した場合(ステップS107−YES)、自装置又はサーバ4により生成された制御信号を被制御装置2に送信する(ステップS108)。
【0041】
サーバ4及び通信装置5が行う制御処理では、生成される制御信号に制御対象の被制御装置2の識別情報が含められる。分配部55は、制御信号に含まれる識別情報が示す被制御装置2を送信先として、自装置又はサーバ4で生成された制御信号を制御対象の被制御装置2に送信する。
【0042】
図5は、サーバ4の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、分配情報送信部43は、分配情報記憶部42から分配情報を取得する。分配情報送信部43は、取得した分配情報を通信装置5に送信する(ステップS201)。
【0043】
分配情報が送信されると、次に、制御処理部44は、検知信号の受信を待機する。そして、制御処理部44は、通信装置5から送信された検知信号を受信する(ステップS202)。制御処理部44は、検知信号に基づいて制御処理を実行する(ステップS203)。制御処理部44は、制御処理の実行により制御信号を生成する。制御処理部44は、生成した制御信号を通信装置5に送信する。
【0044】
図6は、第1の実施形態の遠隔制御システム1における被制御装置2の遠隔制御の流れを示すシーケンス図である。
まず、サーバ4は、通信装置5に分配情報を送信する(ステップS301)。通信装置5は、分配情報を受信する(ステップS302)。通信装置5は、受信された分配情報を分配情報記憶部53に記憶する。ここまでの処理は、検知信号の分配処理を行うための前処理である。
【0045】
次に、検知装置3は、現時点までに生成された検知信号を通信装置5に送信する(ステップS303)。以下の説明では、ステップS303において2つの検知信号が送信された場合を例に説明する。なお、ここでは、ステップS301において送信された分配情報は、2つの検知信号のうち、一方はサーバ4に分配される検知信号であることを示し、他方は通信装置5に分配される検知信号であることを示すものと仮定する。以下では、説明の便宜のため、前者の検知信号を検知信号1と記載し、後者の検知信号を検知信号2と記載する。また、検知信号1及び検知信号2は、いずれも同じ被制御装置2に対応する検知信号であると仮定する。
【0046】
通信装置5は、検知装置3から送信された検知信号を受信する(ステップS304)。通信装置5は、受信された検知信号について分配処理を行う(ステップS305)。なお、通信装置5が分配処理を行う検知信号の順序は、どのような方法で決定されてもよい。例えば、検知信号が生成された時刻の順に決定されてもよいし、検知信号に対応する被制御装置2の動作の優先度の順に決定されてもよい。ここでは、通信装置5は、検知信号1、検知信号2の順に分配処理を行うと仮定する。
【0047】
まず、通信装置5は、検知信号1について分配処理を行う。通信装置5は、分配情報を参照し、検知信号1がサーバ4で処理される信号であることを判断する。この場合、通信装置5は、検知信号1をサーバ4に送信する(ステップS306)。
【0048】
次に、通信装置5は、検知信号2について分配処理を行う。通信装置5は、分配情報を参照し、検知信号2が自装置で処理する信号であることを判断する。この場合、通信装置5は、検知信号2を自装置の制御処理部54に出力する。制御処理部54は、検知信号2に基づいて制御処理を実行する(ステップS307)。制御処理部54は、制御処理の実行により制御信号2を生成する。制御処理部54は、生成した制御信号2を被制御装置2に送信する(ステップS308)。
【0049】
一方、サーバ4は、ステップS306において送信された検知信号1を受信する(ステップS309)。サーバ4は、検知信号1に基づいて制御処理を実行する(ステップS310)。サーバ4は、制御処理の実行により制御信号1を生成する。サーバ4は、生成した制御信号1を通信装置5に送信する(ステップS311)。
【0050】
通信装置5は、サーバ4から送信された制御信号1を受信する(ステップS312)。通信装置5は、受信された制御信号1を被制御装置2に送信する(ステップS313)。
【0051】
このように構成された第1の実施形態の遠隔制御システム1では、通信装置5は、サーバ4から送信される分配情報に基づいて、検知信号から制御信号を生成する制御処理を、自装置又はサーバ4に分配する。この制御処理の分配により、遠隔制御システム1は、検知信号に対する制御信号の応答性の低下を抑制することが可能となる。
【0052】
例えば、ユーザは、遠隔制御システム1のサービスレベルに応じて、分配情報を設定することによって、遠隔制御システム1の検知信号に対する制御信号の応答時間を保証することが可能となる。
【0053】
また、例えば、ユーザは、制御信号に基づく被制御装置2の動作が安全性を要する機能に関わる動作である場合、その検知信号の制御処理を通信装置5で実行するように分配情報を設定することによって、被制御装置2の動作をより安全に制御することが可能となる。
【0054】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態における遠隔制御システム1aの機能構成を示す機能ブロック図である。
なお、図7では、図2と同様の機能部については、図2と同じ符号を付すことによって説明を省略する。
遠隔制御システム1aは、サーバ4に代えてサーバ4aを備える点、通信装置5に代えて通信装置5aを備える点で、第1の実施形態の遠隔制御システム1と異なる。
【0055】
サーバ4aは、分配情報記憶部42に代えて分配情報記憶部42aを備える点で、第1の実施形態におけるサーバ4と異なる。
分配情報記憶部42aは、分配情報テーブル421に代えて分配情報テーブル421aを備える。分配情報テーブル421aが有する各項目は、図3に示された分配情報テーブル421と同様である。ただし、分配情報テーブル421aでは、実行装置の値に“サーバ”及び“通信装置”の両方の値が登録されてもよい。
【0056】
通信装置5aは、分配情報記憶部53に代えて分配情報記憶部53aを備える点、分配部55に代えて分配部55aを備える点、診断部56をさらに備える点で第1の実施形態における通信装置5と異なる。
【0057】
分配情報記憶部53aは、サーバ4aから送信される分配情報を記憶する。分配情報記憶部53aは、分配情報テーブル421aと同様の構成を持つ分配情報テーブル531aに分配情報を保持する。
【0058】
分配部55aは、分配情報に基づいて、検知信号に対する制御処理について分配処理を行う。分配部55aは、分配処理において、制御処理を自装置とサーバ4aとで分配するか、又は自装置及びサーバ4aの両方に割り当てる。分配部55aは、制御処理を自装置又はサーバ4aのいずれかに分配する場合、分配部55と同様の処理を行う。さらに、分配部55aは、制御処理を自装置とサーバ4aとの両方に分配する場合、検知信号を制御処理部54に出力するとともに、検知信号をサーバ4aにも送信する。分配部55aは、制御処理部54及びサーバ4aにて生成された制御信号を取得し、診断部56に出力する。
【0059】
診断部56(正当性判定部)は、制御処理部54により生成された制御信号と、サーバ4aにより生成された制御信号と、に基づいて制御信号の正当性を判定する。診断部56は、判定結果を分配部55aに通知する。
【0060】
図8は、通信装置5aが行う分配処理の流れを示すフローチャートである。
なお、図8では、図4と同様の処理については、図4と同じ符号を付すことによって説明を省略する。
分配部55aは、ステップS103において検知信号が受信されると、分配情報に基づいて、検知信号に対する制御処理の分配処理を行う。
【0061】
具体的には、分配部55aは、分配情報テーブル531aを参照し、検知信号が示す入力種別を値に持つレコードを選択する。分配部55aは、選択されたレコードから実行装置の値を取得する。分配部55aは、実行装置の値を判定し、制御処理をサーバ4aに分配するか、自装置に分配するか、又はサーバ4a及び自装置の両方に割り当てるかを判断する(ステップS401)。
【0062】
実行装置の値が“サーバ”である場合(ステップS401:サーバ)、分配部55aは、ステップS105を実行し、サーバ4aに制御処理を分配する。一方、実行装置の値が“通信装置”である場合(ステップS401:通信装置)、分配部55aは、ステップS106を実行し、自装置に制御処理を分配する。
【0063】
一方、実行装置の値が“サーバ”及び“通信装置”の両方を含む場合(ステップS401:サーバ及び通信装置)、分配部55aは、検知信号をサーバ4aに送信する(ステップS402)ととともに、検知信号を制御処理部54に出力する。制御処理部54は、分配部55aから出力された検知信号に基づいて制御処理を実行する(ステップS403)。分配部55aは、サーバ4a及び制御処理部54から制御処理の実行によって生成された制御信号を取得する。分配部55aは、サーバ4a及び制御処理部54から取得された制御信号を診断部56に出力する。診断部56は、制御処理部54により生成された制御信号と、サーバ4aにより生成された制御信号と、に基づいて制御信号の正当性を判定する(ステップS404)。診断部56は、制御信号の正当性の判定結果を分配部55aに出力する。
【0064】
このように構成された第2の実施形態の遠隔制御システム1aでは、分配部55aは、分配情報に応じて自装置及びサーバ4aの両方に制御処理を割り当てることができる。そして、診断部56が、自装置により生成された制御信号と、サーバ4aにより生成された制御信号と、に基づいて制御信号の正当性を判定することによって、制御処理の信頼性を向上させることができる。
【0065】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態における遠隔制御システム1bの機能構成を示す機能ブロック図である。
なお、図9では、図2と同様の機能部については、図2と同じ符号を付すことによって説明を省略する。
遠隔制御システム1bは、操作端末7を備える点で、第1の実施形態の遠隔制御システム1と異なる。
【0066】
表示端末7は、遠隔制御システム1bの制御処理に関する情報を表示する端末装置である。例えば、表示端末7は、PC(Personal Computer)やスマートフォン、タブレットなどの端末装置を用いて構成される。
【0067】
表示端末7は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、端末プログラムを実行する。表示端末7は、端末プログラムの実行によって通信部71、入力部72、表示部73及び表示制御部74を備える装置として機能する。なお、表示端末7の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。端末プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。端末プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0068】
通信部71は、LAN等の通信インターフェースを用いて構成される。通信部71は、ネットワーク6を介してサーバ4及び通信装置5と通信する。
【0069】
入力部72は、キーボードやマウス等の検知装置を用いて構成される。入力部72は、ユーザの操作の入力を受け付け、ユーザの入力情報を表示制御部74に出力する。なお、入力部72は、上記の検知装置を自装置に接続するインターフェースとして構成されてもよい。
【0070】
表示部73は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を用いて構成される。表示部73は、表示制御部74の指示に応じて制御処理に関する情報を表示する。
【0071】
表示制御部74は、サーバ4及び通信装置5から制御処理に関する情報を取得する。例えば、制御処理に関する情報は、制御処理に要した時間や、処理負荷、サーバ4及び通信装置5の間のネットワーク6における通信の遅延の状況などの情報である。
【0072】
なお、表示制御部74によって取得される制御処理に関する情報が、サーバ4及び通信装置5において生成される方法は、どのような方法であってもよい。以下に、サーバ4及び通信装置5が制御処理に関する情報を生成する方法の一例を説明する。
【0073】
例えば、サーバ4の制御処理部44及び通信装置5の制御処理部54は、制御処理の開始時刻及び終了時刻を示す時刻情報を制御信号に含めて通信装置5の分配部55に提供する。分配部55は、時刻情報に基づいて制御処理に要した時間を検知信号ごとに算出し、表示端末7に送信する。また、この場合、分配部55は、検知信号をサーバ4に送信した時刻と、サーバ4から制御信号を受信した時刻と、上記の時刻情報とに基づいて、ネットワーク6における遅延時間を算出することができる。また、処理負荷は、OS(Operating System)やファームウェア等が備える一般的な負荷情報取得機能により取得することができる。
【0074】
図10は、表示端末7により表示される制御処理に関する情報を示す画面の第1の具体例を示す図である。
図10は、制御処理に関する情報を示す画面の一例として、処理時間画面を示す。処理時間画面は、サーバ4及び通信装置5の制御処理に要した処理時間を示す画面である。処理時間画面は、サーバ4及び通信装置5について、検知信号ごとの処理時間を示す。図10の例は、検知信号1〜検知信号6の6つの検知信号についての処理時間を示す。図10において、横軸は時間を表す。処理1は、検知信号1の制御処理に要した処理時間を表す。同様に、処理2〜処理6は、それぞれ検知信号2〜検知信号6の制御処理に要した処理時間を表す。
【0075】
なお、図10では、処理時間画面は、検知装置3が検知信号を送信する所定の期間ごとに、その期間において送信された検知信号の処理時間を表示している。すなわち、検知信号1〜検知信号6は、同じタイミングで通信装置5に送信されたものである。処理時間画面が表示する処理時間に対応する検知信号の範囲は上記の期間に限定されず、処理時間画面は、処理時間を他のどのような範囲で表示するように構成されてもよい。
【0076】
このような処理時間画面により、ユーザは、サーバ4及び通信装置5において実行される制御処理について、制御処理ごとの処理時間と、各装置における延べ処理時間とを確認することができる。ユーザは、処理時間画面を確認することによって、分配情報の妥当性を判断し、分配情報をより適切に設定することができる。
【0077】
図11は、表示端末7により表示される制御処理に関する情報を示す画面の第2の具体例を示す図である。
図11は、制御処理に関する情報を示す画面の一例として、処理時間遷移画面を示す。処理時間遷移画面は、サーバ4及び通信装置5における処理時間の遷移を示す画面である。処理時間遷移画面は、サーバ4及び通信装置5について、所定期間ごとの延べ処理時間を時系列に表示する。ここでいう所定期間とは、例えば、検知装置3が検知信号を送信する期間である。図11の例では、4つの期間における処理時間の遷移が示されている。また、図11の例では、処理時間遷移画面は、各期間のネットワークの遅延時間の遷移を合わせて表示している。
【0078】
このような処理時間遷移画面により、ユーザは、サーバ4及び通信装置5において実行される制御処理について、処理時間の遷移の傾向を把握することができる。さらに、処理時間の遷移と、ネットワークの遅延時間の遷移とを比較することにより、ユーザは、長い期間で見た場合の分配情報の妥当性を判断することができる。なお、サーバ4及び通信装置5の負荷状況を示す情報が取得可能である場合、処理時間遷移画面は、さらに負荷状況の遷移を示す画面として構成されてもよい。
【0079】
このように構成された第3の実施形態の遠隔制御システム1bは、制御処理の処理時間や、ネットワークの遅延時間等の制御処理に関する情報を表示する表示端末7を備える。遠隔制御システム1bが、このような表示端末7を備えることによって、ユーザは、設定された分配情報の妥当性を判断し、分配情報をより適切に設定することが可能となる。
【0080】
次に、第3の実施形態の遠隔制御システム1bの変形例について説明する。
【0081】
サーバ4及び通信装置5と、表示端末7との間の通信には、SSL(Secure Socket Layer)やHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)等の暗号化通信が用いられてもよい。
【0082】
表示制御部74が表示部73に表示させる制御処理に関する情報は、上記の処理時間画面及び処理時間遷移画面に限定されない。表示制御部74は、遠隔制御システム1bの制御処理に関する情報であれば、どのような情報を表示部73に表示させてもよい。
【0083】
表示制御部74は、入力部72によって取得されるユーザの操作の入力に応じて、処理時間画面と処理時間遷移画面との表示の切り替えを行うように構成されてもよい。また、表示制御部74は、入力部72によって取得されるユーザの操作の入力に応じて、表示対象の処理時間の切り替えを行うように構成されてもよい。
【0084】
上記の遠隔制御システム1、1a及び1bにおいて分配部55は、分配処理を行う分配部(判断部)と、検知装置及び被制御装置と自装置との間の入出力を行う入出力部と、の2つの機能部として構成されてもよい。その場合、分配部は、制御処理の実行主体を示す分配情報に基づいて、制御装置と自装置とのいずれか一方又は両方を実行主体として判断する。また、この場合、入出力部は、検知装置から検知信号を取得し、分配部によって判断された実行主体の装置に検知信号を出力し、実行主体の装置によって生成された制御信号を被制御装置に送信する。
【0085】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、制御処理を実行する実行装置を示す分配情報を通信装置に送信する分配情報送信部と、分配情報に基づいて、検知信号に対する制御処理を、自装置とサーバとで分配する分配部と、を持つことにより、遠隔制御システムの応答性の低下を抑制することができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0087】
1、1a、1b…遠隔制御システム,2、2−1〜2−m…被制御装置,3、3−1〜3−m…検知装置,4、4a、4−1〜4−n…サーバ,41…通信部,42、42a…分配情報記憶部,421…分配情報テーブル,43…分配情報送信部,44…制御処理部,5、5a、5−1〜5−m…通信装置,51…第1通信部,52…第2通信部,53、53a…分配情報記憶部,531…分配情報テーブル,54…制御処理部,55、55a…分配部,56…診断部,6…ネットワーク,7…表示端末,71…通信部,72…入力部,73…表示部,74…表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11