(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
(変位検出装置の構成)
図1は、第1の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す一部断面図である。
【0012】
変位検出装置1は、磁束密度の変化を検出方向Dszで検出するセンサ2と、バネ6及び接続部材51に接続されて検出方向Dszと直行する変位方向Ddに変位する軟磁性体3と、検出方向Dszと平行な着磁方向Dmに着磁された一対の磁石4と、一例として内部圧力pによるラバーメンブレン50の変位が測定される対象である測定対象5とを有する。なお、
図1の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0013】
センサ2は、一例として、z方向に厚みを有する平板状であって、xy面に平行な検出面を有し、磁気検出素子として検出方向Dszとするホール素子を少なくとも一対有するホールICであり、一対の磁石4の間に配置される。なお、磁気検出素子は検出方向がDszであればMR素子等の他の種類の素子であってもよいし、検出方向Dszを含めば複数の軸方向にそれぞれ磁気検出素子を配置した多軸磁気検出ICを用いてもよい。また、センサ2は、磁気検出素子に加え後述する差分増幅回路等を有する。
【0014】
軟磁性体3は、x方向に厚みを有する鉄等の軟磁性体材料を用いた平板であり、一対の磁石4の間に配置されるとともに、軟磁性体3が誘引する磁束がセンサ2で検出されるような範囲で変位するものとする。
【0015】
また、軟磁性体3は、測定対象5の内部圧力pが増加してラバーメンブレン50が変形すると、この変形に伴い接続部材51を介してx方向に変位する。なお、変位量は数mm程度(一例として、±1mm)の微小な変位であるとする。
【0016】
センサ2と軟磁性体3とは、ラバーメンブレン50が変形していない状態(以下、「平常状態」という。)においてx方向の厚み中心が一致しており、互いに最も接近する。なお、平常状態以外においてx方向の厚み中心を一致させるものであってもよい。
【0017】
一対の磁石4は、フェライト、サマリウムコバルト、ネオジウム等の材料を用いて形成された永久磁石で、少なくとも軟磁性体3の可動域においては一様な磁界を形成し、軟磁性体3が誘引する磁束が正負に振れたり、ヒステレシスの影響が出るほどに大幅に数値が変化したりしないものとする。一例として、軟磁性体3が誘引する磁束密度の変化幅は±10mT程度とする。
【0018】
測定対象5は、一例として、車両のスロットルバルブ等であって、その内部の空気圧が測定される対象となる。なお、測定対象5は、内部圧力pに限らず、微小な変位が生じるものであって、当該変位が接続部材51を介して軟磁性体3に伝達可能なものであればその種類は問わない。
【0019】
バネ6は、平常状態において、測定対象5の圧力pによって軟磁性体3に加えられる力と釣り合うようそのバネ長及びばね定数が選択される。なお、反力が不要な場合はバネ6を省略してもよい。
【0020】
図2は、センサ2の構造を示す斜視図である。
【0021】
センサ2は、xy面に平行な検出面を有し、当該検出面にx方向に間隔dgを設けて一対のホール素子20a及び20bを有する。ホール素子20a及び20bは、それぞれ検出方向Dszの磁束密度に応じた電圧を出力する。なお、間隔dgは、磁束密度の変動が増加又は減少する範囲で適宜設定可能であるが、一例として、1mmのものについて以下説明する。また、ホール素子を1つ有するセンサを2つ用意して構成してもよい。
【0022】
図3は、変位検出装置1の回路構成の一例を示す概略図である。
【0023】
センサ2のホール素子20a及び20bの出力はそれぞれ差動増幅回路21に接続され、それぞれの出力Va及びVbの差分が出力Vout=Va−Vbとして出力される。なお、Va及びVbはホール素子20a及び20bが検出する磁束密度Bに比例するものであり、Va=a・B及びVb=a・Bとなる(aは定数)。出力は信号処理回路等に接続され、軟磁性体3の変位、圧力p又はこれらをパラメータとして持つ物理量に変換される。
【0024】
(変位検出装置の動作)
次に、第1の実施の形態の作用を、
図1−
図5を用いて説明する。
【0025】
図4(a)−(c)は、変位検出装置1の動作を説明するための概略図である。
【0026】
図4(a)に示すように、平常状態においてセンサ2と軟磁性体3とは、x方向の中心座標が一致しており、互いに最も接近する。この状態においてセンサ2のホール素子20a及び20bを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は、ともにBz=B0・sinα
1である。従って、
図3に示した差動増幅回路21の出力は、Vout=0となる。
【0027】
次に、測定対象5の内部圧力pが減少してラバーメンブレン50が変形すると、この変形が接続部材51を介して軟磁性体3に伝達し、
図4(b)に示すように、x方向の正の方向にd1だけ変位し、センサ2のホール素子20aを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度BzがBz=B0・sinα
2に減少する。また、センサ2のホール素子20bを貫く磁束密度B0のうち検出方向Dszの磁束密度Bzが増加してB0に近づく。従って、
図3に示した差動増幅回路21の出力は、Vout=a・B0・sinα
1−a・B0=a・B0・(sinα
1−1)<0となり、負の値となる。
【0028】
また、測定対象5の内部圧力pが増加してラバーメンブレン50が変形すると、この変形が接続部材51を介して軟磁性体3に伝達し、
図4(c)に示すように、x方向の負の方向にd1だけ変位し、センサ2のホール素子20aを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度Bzが増加してB0に近づく。また、センサ2のホール素子20bを貫く磁束密度B0のうち検出方向Dszの磁束密度BzがBz=B0・sinα
3に減少する。従って、
図3に示した差動増幅回路21の出力は、Vout=a・B0−a・B0・sinα
1=a・B0・(1−sinα
1)>0となり、正の値となる。
【0029】
これらの軟磁性体3の変位とセンサ2の検出する磁束密度との関係及び軟磁性体3の変位と差動増幅回路21の出力Voutとの関係は、以下に説明する
図5(a)及び(b)のように表される。
【0030】
図5(a)及び(b)は、軟磁性体3の変位とセンサ2の検出する磁束密度との関係及び軟磁性体3の変位と差動増幅回路21の出力Voutとの関係を表すグラフ図である。
【0031】
上記したように、軟磁性体3の変位とセンサ2のホール素子20aの検出する磁束密度との関係は、
図5(a)に示すように、変位が0の付近でホール素子20bの検出する磁束密度と一致し、変位が正に増加するに従い磁束密度が減少する。また、変位が負に減少するに従い磁束密度は増加して最大値B0となる。
【0032】
同様に、軟磁性体3の変位とセンサ2のホール素子20bの検出する磁束密度との関係は、
図5(a)に示すように、変位が0の付近でホール素子20aの検出する磁束密度と一致し、変位が負に減少するに従い磁束密度は減少する。また、変位が正に増加するに従い磁束密度は増加して最大値B0となる。
【0033】
従って、軟磁性体3の変位と差動増幅回路21の出力Voutとの関係は、
図5(b)に示すように原点に対称となる。一例として、磁石4間の距離が10mm、センサ2の検出する磁束密度の最大値が20mT、最小値が−20mT、センサ2と軟磁性体3の最短距離が0.5mm、軟磁性体3の厚みが1mmの条件の下で、変位が±1.0mmの範囲でおおよそリニアな特性が得られ、この変異の範囲を変位検出装置1の使用範囲とすることができる。なお、おおよそリニアとは、許容できる直線性の範囲で変位に対して一意的に減少する(又は増加)状態をいう。
【0034】
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によれば、センサ2において検出される磁束密度が0となる軟磁性体3の位置が存在するため、軟磁性体3の変位とセンサ2の検出する磁束密度とがおおよそリニアな特性となる。
【0035】
また、多くの磁束を誘引する必要がないため、軟磁性体3を大きくする必要がなく、その結果として軟磁性体の重量の増加を抑制することができ、重量増加による軟磁性体と接続する測定対象の変位に対する感度の低下を抑制することができる。
【0036】
また、磁石4間の磁界を一様なものとし、軟磁性体を透過する磁束が大きく変動しない設計としたため、軟磁性体に生じるヒステレシスの影響が少なく、第1の実施の形態の構成を採用しない場合に比べて、精度の低下を抑制することができる。
【0037】
[第2の実施の形態]
図6(a)及び(b)は、第2の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0038】
第3の実施の形態は、センサの有するホール素子が4つであり、軟磁性体の形状が球状であり、磁石の形状が円盤状である点で第1の実施の形態と異なる。なお、図示しない測定対象5が、軟磁性体30の変位方向をDdx及びDdy、つまりx方向及びy方向とするように接続されるものとする。
【0039】
変位検出装置11は、
図6(a)に示すように、磁束密度の変化を検出方向Dszで検出するセンサ2aと、接続部材51に接続されて変位方向Ddx及びDdyに変位する軟磁性体30と、円盤状であって着磁方向Dmに着磁された一対の磁石40とを有する。なお、
図6(a)の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0040】
センサ2aは、
図6(b)に示すように、xy面に平行な検出面を有し、当該検出面にx方向に間隔dgを設けて一対のホール素子20a及び20bを有する。また、y方向に間隔dgを設けて一対のホール素子20c及び20dを有する。ホール素子20a及び20bの出力はそれぞれ差動増幅回路21に接続され、それぞれの出力Va及びVbの差分が出力Vout=Va−Vbとして出力される。また、同様にホール素子20c及び20dの出力はそれぞれ差動増幅回路21と異なる差動増幅回路21’(図示せず)に接続され、それぞれの出力Vc及びVdの差分が出力Vout=Vc−Vdとして出力される。
【0041】
なお、軟磁性体30及び磁石40はこれらの中心を通る軸がz軸に平行になるよう配置されており、センサ2aも軸上にその中心を合わせて配置されているため、変位方向Ddxによって検出される磁束密度の変化と変位方向Ddyによって検出される磁束密度の変化とは同様のものとなる。
【0042】
(変位検出装置の動作)
次に、第2の実施の形態の作用を、
図6を用いて説明する。
【0043】
平常状態においてセンサ2aの中心と軟磁性体30とは、互いに最も接近する。この状態においてセンサ2aのホール素子20a及び20b(20c及び20d)を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は、ともにBz=B0・sinα
1である。従って、差動増幅回路21(差動増幅回路21’)の出力は、Vout=0となる。
【0044】
次に、軟磁性体30がx方向(y方向)の正の方向にd1だけ変位し、センサ2aのホール素子20a(20c)を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度BzがBz=B0・sinα
2に減少する。また、センサ2aのホール素子20b(20d)を貫く磁束密度B0のうち検出方向Dszの磁束密度Bzが増加してB0に近づく。従って、差動増幅回路21(差動増幅回路21’)の出力は、Vout=a・B0・sinα
1−a・B0=a・B0・(sinα
1−1)<0となり、負の値となる。
【0045】
また、軟磁性体30がx方向(y方向)の負の方向にd1だけ変位し、センサ2aのホール素子20a(20c)を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度Bzが増加してB0に近づく。また、センサ2aのホール素子20b(20d)を貫く磁束密度B0のうち検出方向Dszの磁束密度BzがBz=B0・sinα
3に減少する。従って、差動増幅回路21(差動増幅回路21’)の出力は、Vout=a・B0−a・B0・sinα
1=a・B0・(1−sinα
1)>0となり、正の値となる。
【0046】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、x方向及びy方向の2方向の変位を検出することができる。
【0047】
[第3の実施の形態]
図7は、第3の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0048】
第3の実施の形態は、磁石の形状及び配置並びに軟磁性体の形状が第1の実施の形態と異なる。なお、測定対象5の図示を省略しているが、第1の実施の形態と異なり、角度方向Ddθに軟磁性体31を回転させるように接続されるものとする。
【0049】
変位検出装置12は、磁束密度の変化を検出方向Dszで検出するセンサ2と、角度方向Ddθに回転する軟磁性体31と、着磁方向Dmに着磁された一対の磁石41a及び41bとを有する。なお、
図7の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0050】
軟磁性体31は、リング状の磁石41bの外周面上に設けられ、磁石41bとともに角度方向Ddθに回転するに従って、センサ22に最も近づく部分のx座標が変化するように螺旋状に形成される。
【0051】
(変位検出装置の動作)
次に、第3の実施の形態の作用を、
図7を用いて説明する。
【0052】
θ=0の状態においてセンサ2のホール素子20aと軟磁性体31とが最も接近し、ホール素子20bと軟磁性体31とが最も離れるものとする。この状態においてホール素子20aの検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は、Bz=B0である。また、ホール素子20bの検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は、Bz=Bminである。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=a・B0−a・Bmin>0となり、正の値となる。
【0053】
次に、角度方向Ddθに回転するに従って軟磁性体31の最も接近する部分のx座標が増加し、センサ2のホール素子20aの検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度Bzが減少し、ホール素子20bの検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度Bzが増加する。
【0054】
θ=0の状態においてセンサ2のホール素子20aと軟磁性体31、ホール素子20bと軟磁性体31とが等距離となる。この状態においてホール素子20aの検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度と、ホール素子20bの検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は同値となるため、差動増幅回路21の出力はVout=0となる。
【0055】
また、θ=360の状態においてセンサ2のホール素子20bと軟磁性体31とが最も接近し、ホール素子20aと軟磁性体31とが最も離れるものとする。この状態においてホール素子20bの検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は、Bz=B0である。また、ホール素子20aの検出面を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は、Bz=Bminである。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=a・Bmin−a・B0<0となり、負の値となる。
【0056】
上記した軟磁性体31の回転角とセンサ2の検出する磁束密度との関係は、以下に説明する
図8のように表される。
【0057】
図8は、軟磁性体31の変位と差動増幅回路21の出力との関係を表すグラフ図である。
【0058】
図8に示すように、軟磁性体31の回転角と差動増幅回路21の出力との関係は、θ=180°の線に対称な特性となる。
【0059】
(第3の実施の形態の効果)
上記した第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、回転方向の変位角を検出することができる。
【0060】
[第4の実施の形態]
図9は、第4の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0061】
第4の実施の形態は、センサの検出方向がx方向及びy方向の2方向になっている点で第1の実施の形態と異なる。また、軟磁性体の形状がリング状となっている点で第1の実施の形態と異なる。なお、図示しない測定対象5は、軟磁性体32の変位方向をDdx及びDdy、つまりx方向及びy方向とするように接続されるものとする。
【0062】
変位検出装置13は、磁束密度の変化を検出方向Dszで検出するセンサ2aと、接続部材51に接続されて変位方向Ddx及びDdyに変位する軟磁性体32と、円盤状であって着磁方向Dmに着磁された一対の磁石40とを有する。なお、
図9の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0063】
なお、軟磁性体32及び磁石40はz軸に平行な軸を中心として対象に形成されており、センサ2aは当該軸上にその中心を合わせて配置されているため、変位方向Ddxによって検出される磁束密度の変化と変位方向Ddyによって検出される磁束密度の変化とは同様のものとなる。
【0064】
(変位検出装置の動作)
次に、第4の実施の形態の作用を、
図9を用いて説明する。
【0065】
平常状態においてセンサ2aと軟磁性体32とは、これらのxy平面における中心が互いに最も接近する。この状態においてセンサ2aのホール素子20a及び20b(20c及び20d)を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は、ともにBz=B0・sinα
1である。従って、差動増幅回路21(差動増幅回路21’)の出力は、Vout=0となる。
【0066】
次に、軟磁性体32がx方向(y方向)の正の方向にd1だけ変位し、センサ2aのホール素子20a(20c)を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度BzがBz=B0・sinα
2に減少する。また、センサ2aのホール素子20b(20d)を貫く磁束密度B0のうち検出方向Dszの磁束密度Bzが増加してB0に近づく。従って、差動増幅回路21(差動増幅回路21’)の出力は、Vout=a・B0・sinα
1−a・B0=a・B0・(sinα
1−1)<0となり、負の値となる。
【0067】
また、軟磁性体32がx方向(y方向)の負の方向にd1だけ変位し、センサ2aのホール素子20a(20c)を貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度Bzが増加してB0に近づく。また、センサ2aのホール素子20b(20d)を貫く磁束密度B0のうち検出方向Dszの磁束密度BzがBz=B0・sinα
3に減少する。従って、差動増幅回路21(差動増幅回路21’)の出力は、Vout=a・B0−a・B0・sinα
1=a・B0・(1−sinα
1)>0となり、正の値となる。
【0068】
(第4の実施の形態の効果)
上記した第4の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0069】
[第5の実施の形態]
図10は、第5の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0070】
第5の実施の形態は、第4の実施の形態のセンサの検出方向及び軟磁性体の変位方向をx方向のみとしたものである。
【0071】
変位検出装置14は、磁束密度の変化を検出方向Dszで検出するセンサ2と、接続部材51に接続されて変位方向Ddxに変位する軟磁性体33と、着磁方向Dmに着磁された一対の磁石4とを有する。なお、
図10の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0072】
軟磁性体33は、一対の軟磁性体がそれぞれの間隔を一定に保ったまま変位方向Ddxに変位する。
【0073】
(変位検出装置の動作)
次に、第5の実施の形態の作用を、
図10を用いて説明する。
【0074】
平常状態においてセンサ2と軟磁性体33とは、これらのxy平面における中心が互いに最も接近する。この状態においてセンサ2のホール素子20a及び20bを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度は、ともにBz=B0・sinα
1である。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=0となる。
【0075】
次に、軟磁性体33がx方向の正の方向にd1だけ変位し、センサ2のホール素子20aを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度BzがBz=B0・sinα
2に減少する。また、センサ2のホール素子20bを貫く磁束密度B0のうち検出方向Dszの磁束密度Bzが増加してB0に近づく。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=a・B0・sinα
1−a・B0=a・B0・(sinα
1−1)<0となり、負の値となる。
【0076】
また、軟磁性体33がx方向の負の方向にd1だけ変位し、センサ2のホール素子20aを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dszの磁束密度Bzが増加してB0に近づく。また、センサ2のホール素子20bを貫く磁束密度B0のうち検出方向Dszの磁束密度BzがBz=B0・sinα
3に減少する。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=a・B0−a・B0・sinα
1=a・B0・(1−sinα
1)>0となり、正の値となる。
【0077】
(第5の実施の形態の効果)
上記した第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0078】
[第6の実施の形態]
図11は、第6の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0079】
第6の実施の形態は、軟磁性体35を支持する支持体34の柱部34aにコイル7が設けられており、当該コイル7に流す電流を制御することで支持体34の変位を制御するものである。なお、測定対象5及びバネ6の図示を省略しているが、軟磁性体35を含む支持体34の変位方向Ddzをz方向とするように接続されるものとする。
【0080】
変位検出装置14は、磁束密度の変化を検出方向Dsxで検出するセンサ2と、変位方向Ddzに変位する軟磁性体35と、着磁方向Dmに着磁された平板状の磁石41a及びリング状の磁石41bとを有する。なお、
図11の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0081】
支持体34の柱部34aは、リング状の磁石41bの中心を貫通するように設けられ、その外周部にコイル7を有する。
【0082】
センサ2は、図示しない制御回路に接続され、制御回路はセンサ2の出力電圧を監視する。また、コイル7は制御回路に接続され、制御回路はセンサ2の出力電圧に基づき、コイル7に流す電流を制御する。
【0083】
(変位検出装置の動作)
次に、第6の実施の形態の作用を、
図11を用いて説明する。
【0084】
平常状態においてセンサ2と軟磁性体35とは、それぞれのz方向の厚み中心が最も接近する。この状態においてセンサ2のホール素子20a及び20bを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度は、ともにBx=B0・sinα
1である。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=0となる。
【0085】
次に、軟磁性体35がz方向の正の方向にd1だけ変位し、センサ2のホール素子20aを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度BxがBx=B0・sinα
2に減少する。また、センサ2のホール素子20bを貫く磁束密度B0のうち検出方向Dsxの磁束密度Bxが増加してB0に近づく。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=a・B0・sinα
1−a・B0=a・B0・(sinα
1−1)<0となり、負の値となる。
【0086】
また、軟磁性体35がz方向の負の方向にd1だけ変位し、センサ2のホール素子20aを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度Bxが増加してB0に近づく。また、センサ2のホール素子20bを貫く磁束密度B0のうち検出方向Dsxの磁束密度BxがBx=B0・sinα
3に減少する。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=a・B0−a・B0・sinα
1=a・B0・(1−sinα
1)>0となり、正の値となる。
【0087】
センサ2は、上記したように、軟磁性体35の変位に応じた磁束密度を検出し、検出した磁束密度に応じて信号を出力する。制御回路は、センサ2の出力電圧を監視し、出力電圧によって軟磁性体35の変位を算出し、算出した変位に応じた電流値をコイル7に流す。制御回路は、例えば、軟磁性体35の変位を0にするように電流をコイル7に流してもよいし、軟磁性体35の変位を定数倍にするようにしてもよい。
【0088】
(第6の実施の形態の効果)
上記した第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、検出した変位に基づいて変位を抑制又は増幅する等の制御ができる。
【0089】
[第7の実施の形態]
図12は、第7の実施の形態に係る変位検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0090】
第7の実施の形態は、第6の実施の形態のコイル及び磁石の数及び配置を変更したものである。なお、測定対象5及びバネ6の図示を省略しているが、軟磁性体37を含む支持体36の変位方向Ddzをz方向とするように接続されるものとする。
【0091】
変位検出装置15は、磁束密度の変化を検出方向Dsxで検出するセンサ2と、変位方向Ddzに変位する軟磁性体37と、着磁方向Dmに着磁された平板状の磁石42a及び2つのリング状の磁石42bとを有する。なお、
図12の垂直方向をz軸方向、水平方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向とする。
【0092】
支持体36の柱部36aは、リング状の磁石42bの中心を貫通するように設けられ、その外周部にコイル7を有する。
【0093】
センサ2は、図示しない制御回路に接続され、制御回路はセンサ2の出力電圧を監視する。また、コイル7は制御回路に接続され、制御回路はセンサ2の出力電圧に基づき、コイル7に流す電流を制御する。
【0094】
(変位検出装置の動作)
次に、第7の実施の形態の作用を、
図12を用いて説明する。
【0095】
平常状態においてセンサ2と軟磁性体37とは、それぞれのz方向の厚み中心が最も接近する。この状態においてセンサ2のホール素子20a及び20bを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度は、ともにBx=B0・sinα
1である。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=0となる。
【0096】
次に、軟磁性体37がz方向の正の方向にd1だけ変位し、センサ2のホール素子20aを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度BxがBx=B0・sinα
2に減少する。また、センサ2のホール素子20bを貫く磁束密度B0のうち検出方向Dsxの磁束密度Bxが増加してB0に近づく。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=a・B0・sinα
1−a・B0=a・B0・(sinα
1−1)<0となり、負の値となる。
【0097】
また、軟磁性体37がz方向の負の方向にd1だけ変位し、センサ2のホール素子20aを貫く磁束密度Bのうち検出方向Dsxの磁束密度Bxが増加してB0に近づく。また、センサ2のホール素子20bを貫く磁束密度B0のうち検出方向Dsxの磁束密度BxがBx=B0・sinα
3に減少する。従って、差動増幅回路21の出力は、Vout=a・B0−a・B0・sinα
1=a・B0・(1−sinα
1)>0となり、正の値となる。
【0098】
センサ2は、上記したように、軟磁性体37の変位に応じた磁束密度を検出し、検出した磁束密度に応じて信号を出力する。制御回路は、センサ2の出力電圧を監視し、出力電圧によって軟磁性体37の変位を算出し、算出した変位に応じた電流値をコイル7に流す。制御回路は、例えば、軟磁性体37の変位を0にするように電流をコイル7に流してもよいし、軟磁性体37の変位を定数倍にするようにしてもよい。
【0099】
(第7の実施の形態の効果)
上記した第7の実施の形態によれば、第7の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0100】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0101】
上記した第1〜第7の実施の形態のセンサ、軟磁性体、磁石の組み合わせは例示であって、位置検出の機能が損なわれず、本発明の要旨を変更しない範囲内で、これらをそれぞれ適宜選択して新たな組み合わせに変更して用いてもよい。また、軟磁性体は以下に示す形状のものを用いてもよい。
【0102】
図13(a)−(c)は、軟磁性体の形状の変形例を示す斜視図である。
【0103】
図13(a)に示すように、軟磁性体38aは奥行き方向に軸を有する円柱形状であって、変位方向Ddxは円柱の軸に垂直な方向である。軟磁性体38aを用いた場合、z方向の磁束密度を検出するセンサを用いることができる。
【0104】
図13(b)に示すように、軟磁性体38bは、垂直方向に軸を有する円柱形状であって、変位方向Ddx及びDdyは円柱の軸に垂直な方向である。軟磁性体38bを用いた場合、z方向の磁束密度を検出するセンサを用いることができる。
【0105】
図13(c)に示すように、軟磁性体38cは、断面をxy平面に垂直にした半球形状であって、変位方向Ddx及びDdyは断面の法線に垂直な方向である。軟磁性体38cを用いた場合、z方向の磁束密度を検出するセンサを用いることができる。