(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
まず、全体構成について説明する。
図1は本実施形態の紙幣取扱装置100の外観を示す斜視図であり、
図2は紙幣取扱装置100を平面視して窓口係員Mと顧客Kに対する位置関係を概略的に示す説明図であり、
図3は紙幣取扱装置100の上部領域を紙幣取扱装置100の後面側からみた斜視図である。
【0009】
図1に示すように、紙幣取扱装置100は、その外観上、上下に区別され、下部領域を金庫110とし、その金庫110が有する筐体部112より上の上部領域を入出金機構部116とする。筐体部112は、金属製鋼板から形成され、
図1における紙面手前側に、開閉並びに施錠可能な金属製の金庫扉113を備え、この金庫扉113と共に金庫110を構成する。紙幣取扱装置100は、金庫扉113で閉じられた筐体部112に後述の紙幣識別部170や紙幣収納部200などを収容しセキュリティを確保している。
【0010】
また、入出金機構部116は、窓口係員により操作される操作パネル118を備えるほか、上面に、後述の入金部120と出金部140を、
図1における紙面手前側から紙面奥側、即ち装置前面側から後面側に掛けて、出金部140、入金部120の順に隣接して備える。また、紙幣取扱装置100は、
図2に示すように、顧客応対テーブルDにて装置後面側が覆われ、入出金機構部116の入金部120と出金部140とを顧客Kに視認可能な構成としている。
【0011】
この顧客Kによる視認の様子は、
図3に示されており、紙幣取扱装置100は、顧客Kの側から、入金部120と出金部140をこの順に隣接して、入出金機構部116に備える。これにより顧客Kが入金部120へ紙幣を投入し易い構成となる。
【0012】
また、
図2に示すように、窓口係員Mは、顧客応対テーブルDを挟んで顧客Kと対面し、操作パネル118の所定操作の他、顧客Kから預かった紙幣Bの入金部120への投入や出金部140に出金された紙幣の顧客Kへの受渡を行う。以下、紙幣取扱装置100の構成について詳述する。
【0013】
図4は、紙幣取扱装置100の内部構成と紙幣搬送経路を概略的に示す断面図である。図示するように、紙幣取扱装置100は、既述した入出金機構部116には、紙幣Bの入金を受け付ける入金部120と紙幣Bを出金する出金部140とを隣接配置して備え、金庫110の筐体部112には、紙幣識別部170と搬送機構部180と紙幣収納部200とを収容して備える。こうして金庫110に収容された紙幣識別部170と紙幣収納部200は、筐体部112により、入出金機構部116の入金部120と出金部140から区画され、筐体部112において、紙幣識別部170が紙幣収納部200の上方側に位置する。
【0014】
また、
図3に示すとおり、入金部120は、出金部140よりも紙幣識別部170側、即ち後面側に配置され、この入金部120と隣接配置された出金部140は、入金部120の側に壁部141を備える。この壁部141は、出金部140の内部を入金部120の側で覆い、その上端の基部141bに蓋体141cを隔てて備える。
【0015】
蓋体141cは、出金部140の開口上端を覆うよう開閉自在とされ、出金部140に搬送されてきた出金紙幣の飛び出しを防止する。壁部141は、入金部120の開口上端までしか延びておらず、蓋体141cにあってもその幅が狭くされている。よって、壁部141および蓋体141cは、顧客応対テーブルDを隔てた顧客K(
図2参照)が入金部120の側から出金部140を眺める際の視線を遮らない。
【0016】
また、蓋体141cが出金部140全体を覆う形状になっておらず、その幅が狭い、かつ、中央位置付近に設けられているため、窓口係員Mの手の動線の妨げにならないことから入金部120への紙幣Bの投入の妨げにもならず操作性がよい。
【0017】
紙幣識別部170は、搬送機構部180が形成する後述の第1主搬送経路183(
図6参照)の一部経路を形成する。換言すれば、第1主搬送経路183は、紙幣識別部170を通過する。そして、この紙幣識別部170は、紙幣Bの金種種別の他、記番号、紙幣真偽、破損状況(リジェクト要否)等を、入出金の過程で第1主搬送経路183を搬送される紙幣Bについて鑑別する。
【0018】
紙幣識別部170による紙幣識別は、例えば、紙幣Bをスキャンして得られる画像データ、紙幣Bの表面の凹凸形状、磁気特性、紫外線などに対する光学特性など種々の情報を利用して行うことができる。紙幣識別部170の識別結果は、後述の制御部300に出力され、紙幣搬送先のカセットの決定、リジェクト搬送等に用いられる。
【0019】
搬送部に相当する搬送機構部180は、入金部120および出金部140から紙幣収納部200に掛けて、紙幣入金経路180INと紙幣出金経路180OUTとを形成する。この両経路の詳細については後述するが、
図4に示すように、紙幣入金経路180INは、入金部120から紙幣識別部170に到る上流側入金経路181を備える。紙幣出金経路180OUTは、紙幣識別部170から出金部140に到る下流側出金経路186を備える。
【0020】
これら経路を有する搬送機構部180は、上記の入出金経路にて入金部120と出金部140とを紙幣識別部170と紙幣収納部200とに接続して、紙幣を搬送する。紙幣収納部200は、紙幣収納カセット201〜205を備え、それぞれのカセットに後述するように紙幣Bを収納する。
【0021】
次に、本発明の実施例に係る電気的構成について説明する。まず、
図5は、紙幣取扱装置100の制御ブロックを示す説明図である。紙幣取扱装置100は、電気的な機能ブロックとして、入金部120と、出金部140と、紙幣収納部200の紙幣収納カセット201〜205と、紙幣識別部170と、操作パネル118と、搬送機構部180と、制御部300とを備える。搬送機構部180は、カセットごとのゲート201bを初めとするゲート群と、紙幣搬送経路に複数設置した検知センサ188の検知センサ群と、紙幣搬送を担う複数の駆動モータ189の駆動モータ群とを備える。
【0022】
制御部300は、主制御部301と、メモリ302と、操作端末Pと通信することができる上位通信部303とを有する。主制御部301は、主に制御用のマイクロプロセッサからなる。主制御部301は、入金部120や出金部140に含まれる紙幣送出・搬送に関与する駆動機器等の他、搬送機構部180のゲート群、駆動モータ群を、紙幣の入出金搬送に伴い駆動制御する。
【0023】
検知センサ群に含まれる検知センサ188は、後述の紙幣入金経路180INや紙幣出金経路180OUTにて紙幣搬送状態を検知するほか、入金部120や出金部140における紙幣有無、紙幣収納カセット201〜205における紙幣収納枚数等を検知し、その検知信号を制御部300に出力する。
【0024】
次に、
図6を用いて出金搬送処理について説明する。
図5の操作端末Pから上位通信部303を通じて、出金命令を受けた制御部300は駆動モータ群189を制御し、紙幣収納カセット201〜205から紙幣Bを出金部140へ、操作端末Pから指定された枚数分の紙幣収納カセット201〜205から紙幣Bを移動させる。
【0025】
一例として、出金紙幣リジェクト庫を紙幣収納カセット204に割り当てた場合の搬送経路を説明する。紙幣収納カセット201、202、203から繰り出された紙幣は、紙幣出金経路180OUTを通って紙幣識別部170で、正常券かリジェクト券かを判断する。
【0026】
正常券と判断された紙幣は、ゲート163を経由して下流側出金経路186を通って出金部140に搬送する。リジェクト券と判断された紙幣は、ゲート204bでカセット204の出金紙幣リジェクト庫に搬送する。よって、出金時にリジェクトが発生すると、出金部140への到達する紙幣は連続することなくまばらに到着する。
【0027】
次に、
図7を用いて入金搬送処理について説明する。
図5の操作端末Pから上位通信部303を通じて、入金命令を受けた制御部300は、駆動モータ群189を制御し、入金部120に置かれた紙幣Bを繰り出す。繰り出された紙幣Bは、上流側入金経路181を経由して、紙幣入金経路180INの紙幣識別部170で、正常券かリジェクト券かを判断する。
【0028】
正常券と判断された紙幣は、金種に応じて、紙幣収納部201、202、203に収納される。リジェクト券と判断された紙幣は、ゲート205bを経由して下流側出金経路186を通って出金部140に搬送される。よって、入金時にリジェクトが発生すると、出金部140への到達する紙幣は連続することなくまばらに到着する。
【0029】
図8を用いて、出金部140に紙幣Bを集積する際の紙幣Bと放出ローラ192の動きを説明する。まず、出金部140は、放出エリア197とスタックエリア198からなる紙幣集積部を、上端側が開放された凹部として備え、羽根駆動体に相当する放出ローラ192を搬送部の側の凹部の底部に備えている。
【0030】
また、羽根駆動体に相当する放出ローラ192は、第1の羽根と第2の羽根(羽根部)に相当する、ループ状の羽根テープである192aと直線状の羽根テープである192bから構成され、それぞれ役割が異なる。
【0031】
まず、出金部140に一枚ずつ搬送されてきた紙幣Bは、放出ローラ192を構成しているループ状の羽根テープ192aに接触しながら搬送される(Step1)。このとき、紙幣Bは羽根テープ192aにより壁部141に押し付けられ、壁部141との摩擦により速度を落としながら、紙幣集積部の一部である放出エリア197に搬送される(Step2)。
【0032】
その後、次の紙幣が下流側出金経路186上にある基準センサ501を通過して、スタック制御開始位置502(羽根部の位置からStep3の処理時間分手前に位置)に到達したことを検知した場合に、放出ローラ192が矢印の方向に回転し、直線状の羽根テープ192bにより紙幣Bは図面左側に押し出され、紙幣集積部の一部であるスタックエリア198への1枚の集積が終了すると同時に次の紙幣の受け入れ準備を実施する(Step3)。
【0033】
そして、以上の処理を繰り返し実施し、指定された枚数が全て出金部140に集積されると(Step4)、放出ローラ192は更に矢印の方向に回転し、テープが紙幣に接触しない状態(非接触)、即ち、紙幣集積部内にテープが残らない位置まで回転し停止する(Step5)。
【0034】
ここで、紙幣集積部内にテープが残らない、即ち、紙幣集積部外に羽根部が退避することから、窓口係員Mが出金部140から紙幣を取り出そうとする際に、192a及び192bの羽根テープが挟まれることを防止できるため、放出ローラ192の破損を防止することが可能になる。
【0035】
ここで、放出ローラ192の具体的な構成について
図9を用いて説明する。
図9の右図は、放出ローラ192を回転中心となる軸403方向からみた図であり、左図は軸403方向に垂直な方向からみた図であり、放出ローラ192は、放出ローラ192を固定している軸403の一端に、スリット402の付いた円盤状の板(以下、回転検知板401と記載)が設けてある。
【0036】
この回転検知板401は、予め放出ローラ192に付いている羽根テープ192a、192bと一定の位相関係を持って組み立てられる。例えば、図示されたように、羽根テープ192a、192bの固定位置と60°位相をずらして置く等が好ましい。この回転検知版401に設けられたスリット402を、フォトインタラプタ404により位置検出することで、放出ローラ192の現在の回転角度を制御部300が把握することができ、回転制御を行うことができる。
【0037】
このような構成により、放出ローラ192は、出金部140に入ってくる紙幣Bを放出エリア197で受け止め、放出エリア197で受け止めた紙幣Bを図示左側のスタックエリア198に移動させるとともに、出金部140から紙幣Bを取り出す時には紙幣集積部内に羽根テープ192a、192bが残らないよう回転するように制御可能となる。
【0038】
しかしながら、
図6の出金搬送処理、
図7の入金搬送処理で説明したように、リジェクトが発生した場合、出金部140に到達する紙幣間隔は、連続でなくまばらな状態で搬送される。紙幣間隔がまばらになると、
図10の右図のように、放出エリア197とスタックエリア198とに紙幣が分かれて保持される状態が、次の紙幣が到着するまで続くことになる。
【0039】
この状態の場合でも出金部140にはいつでも窓口係員Mがアクセス可能であり、2つのエリア(197,198)に分かれた紙幣をそれぞれ抜き取り、それらを集約しなければならいため操作性が悪くなっていた。そこで、本実施形態の出金部では、操作性を向上させるために、抜き取り準備制御を実施する。
【0040】
図11に、放出ローラ制御フローを示す。
出金部140へのスタック制御を開始すると放出ローラ(192)制御開始(S1001)がコールされる。まず、既に羽根テープ192aにより壁部141に押し付けられている紙幣が有るか無いかを管理する変数(以下、「受け留め紙幣有りフラグ」という。)をOFFする(S1002)。
【0041】
そして、受け留め紙幣有りフラグがONになっていない場合(S1003:No)、1枚目の紙幣が、S1005の処理で、スタック制御開始位置(502)に到達するまで待ち、到達すると受け留め紙幣有りフラグをON(S1008)にし、放出制御開始タイマをスタート(S1011)させる。なお、受け留め紙幣の到達は、出金部140に構成される検知センサ188により行われる。
【0042】
次に、受け留め紙幣有りフラグがONになると、2枚目の紙幣がスタック制御開始位置(502)に到達するまで待つ(S1004)。
2枚目の紙幣が、スタック制御開始位置に到達していない場合(S1004:No)、放出制御開始タイマがタイムアップするかどうかを監視する(S1006)。
【0043】
もし、2枚目の紙幣がスタック制御開始位置(502)に到達しないときは放出制御開始タイマのタイムアップが発生し(S1006:Yes)、受け留め紙幣有りフラグをOFFして(S1009)から、
図8のStep3のように、放出ローラ処理(1位相分回転)(S1012)を実施し、羽根テープ192aにより壁部141に押し付けられている紙幣をスタックエリア198にスタックする。
【0044】
このように、本実施形態では、タイマを使用して、次の紙幣が一定時間来ないことを検知する場合に、放出ローラ192を回転させて抜き取り準備動作を実施して紙幣をスタックエリア198にスタックする。これにより、放出する紙幣がまばらな状態になることを防ぎ、出金部140の所定位置で紙幣を集約することができる。そのため、窓口係員Mは、オープンな構成となっている出金部140から集約された紙幣を一括で取り出すことができ、操作性を向上することができる。
【0045】
本実施形態では、窓口係員Mの操作について説明したが、シャッタ等がなくオープンな構成の紙幣取扱装置100をATMに搭載して運用する場合は、一般の利用者が操作した時でも同様の効果が得られる。
【0046】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、紙幣搬送状態を検知する検知センサ188を用いて、スタックされる紙幣の有無を検知する実施形態である。
【0047】
図12は、第2の実施形態の構成図を示す。
出金部140付近の下流側出金経路186上に配置した集積部入口検知センサ501とそのさらに前段に紙幣の通過を検知するセンサ503を配置している。便宜上、集積部入口検知センサ501の位置を、スタック制御開始位置502とする。
【0048】
図13に、この構成で実施した場合の放出ローラ制御フローを示す。
出金部140へのスタック制御を開始すると放出ローラ(192)制御開始(S1301)がコールされる。まず、既に羽根テープ192aにより壁部141に押し付けられている紙幣が有るか無いかを管理する変数(以下、「受け留め紙幣有りフラグ」という。)をOFFする(S1302)。
【0049】
そして、受け留め紙幣有りフラグがONになっていない場合(S1303:No)、1枚目の紙幣が、S1305の処理で、スタック制御開始位置(502、センサ501の位置)に到達するまで待ち、到達すると受け留め紙幣有りフラグをON(S1308)する。
【0050】
次に、受け留め紙幣有りフラグがONになると、2枚目の紙幣がスタック制御開始位置(502、センサ501の位置)に到達するまで待つ(S1304)。
【0051】
紙幣がスタック制御開始位置に到達しない場合(S1304:No)、センサ501とセンサ503の間に紙幣が搬送中かどうかを確認する(S1306)。搬送中かどうかの判断方法は、
図14及び
図15を用いて後述する。
【0052】
もし、紙幣搬送中でなければ、受け留め紙幣有りフラグをOFFして(S1309)から、
図8のStep3のように、放出ローラ処理(1位相分回転)(S1312)を実施し、羽根テープ192aにより壁部141に押し付けられている紙幣をスタックエリア198にスタックする。
【0053】
このように、本実施形態では、センサ間に搬送中の紙幣があるかどうかを判断し、次の紙幣が来なかった場合に、放出ローラ192を回転させて抜き取り準備動作を実施して紙幣をスタックエリア198にスタックする。これにより、放出する紙幣がまばらな状態になることを防ぎ、出金部140の所定位置で紙幣を集約することができる。そのため、窓口係員Mは、オープンな構成となっている出金部140から集約された紙幣を一括で取り出すことができ、操作性を向上することができる。
【0054】
次に、センサ501とセンサ503との間に、搬送中紙幣があるかどうかの詳細な判断方法の一例を
図14、
図15を用いて説明する。
図14は、メモリ302に記憶されている配列変数の説明図であり、
図15は、通過検知の仕組みを説明するタイミングチャートである。
【0055】
紙幣取扱装置100の制御部300は、センサ503において検出した紙幣後端(立下りエッジ)を監視時間T内にセンサ501でも検出できれば通過完了したと判断する。
詳述すると、制御部300は、センサ503で対象紙幣の後端を検出したときに、次のセンサ501での後端通過予定時刻(検出した時刻+センサ間距離)を算出し、配列変数の指標A(
図14参照)の位置に登録する。そして、制御部300は、指標Aを次(+1)に進める。
【0056】
下流側のセンサ501で当該紙幣を監視するための監視開始ポイントCは、後端通過時刻から一定時間さかのぼった時刻とする。また、監視時間終了時刻ポイントDは、後続紙幣の先端が、センサ501に到達する時刻から一定時間さかのぼった位置とする。
【0057】
このポイントC〜Dの監視時間Tの間にセンサ501の立下りを検出したときに、制御部300は、通過完了と判断し、指標B(
図14参照)の位置から手前の紙幣監視状態をすべて「紙幣なし」にする。そして、制御部300は指標Bを次(+1)にすすめる。
以上のように通過監視を実施して、センサ間に搬送中の紙幣が存在するか否かを検知することができる。
【0058】
本実施形態では、窓口係員Mの操作について説明したが、シャッタ等がなくオープンな構成の紙幣取扱装置100をATMに搭載して運用する場合は、一般の利用者が操作した時でも同様の効果が得られる。
【0059】
[第3の実施形態]
第1及び第2の実施形態で説明した抜き取り準備制御では、窓口係員Mが出金部140にアクセスする場合に、羽根テープ192a,192bが紙幣集積部内に突出しているため、紙幣と共に羽根テープ192a,192bがつかまれてしまい、羽根テープ192a,192bが損傷することがある。
【0060】
そこで、第3の実施形態では、羽根テープ192a,192bが、紙幣集積部内に突出しない位置で抜き取り準備制御を可能とする。
第3の実施形態の構成は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0061】
第3の実施形態における放出ローラの制御を
図16に示す。
出金部140へのスタック制御を開始すると放出ローラ(192)制御開始(S1601)がコールされる。まず、既に羽根テープ192aにより壁部141に押し付けられている紙幣が有るか無いかを管理する変数(以下、「受け留め紙幣有りフラグ」という。)をOFFする(S1602)。
【0062】
そして、受け留め紙幣有りフラグがONになっていない場合(S1603:No)、1枚目の紙幣が、S1605の処理で、スタック制御開始位置(502)に到達するまで待ち、到達すると受け留め紙幣有りフラグをON(S1608)し、放出制御開始タイマをスタート(S1611)させる。
【0063】
次に、1枚目の紙幣を受け留める準備をするために、羽根車192aが、
図8のStep1のように紙幣集積部内に突出する位置以外の場所に位置している場合、羽根テープ192aをStep1の位置へ回転させる(S1614)。
【0064】
次に、2枚目の紙幣がスタック制御開始位置(502)に到達するまで待つ(S1604)。この間に、放出制御開始タイマがタイムアップするかどうかを監視する(S1606)。
【0065】
もし、2枚目の紙幣がスタック制御開始位置(502)に到達しないときは放出制御開始タイマのタイムアップが発生し、受け留め紙幣有りフラグをOFFして(S1609)から、
図8のStep3、Step4及びStep5の放出ローラ処理を実施する(S1612、S1615、S1616)。
【0066】
この処理により、羽根テープ192aにより壁部141に押し付けられている紙幣をスタックエリア198にスタックし、さらに、羽根テープを回転させてStep5の位置へ制御する。これにより、次の紙幣が到着するまで、羽根テープ192a,192bは、紙幣集積部内に突出しないように隠れるので、紙幣と共に羽根テープ192a,192bがつかまれることなく、羽根テープ192a,192bは損傷することがない。また、窓口係員Mの操作性を向上することができる。
【0067】
第2の実施形態においても同様に、第3の実施形態の抜き取り準備を適用することで、羽根テープ192a,192bが、紙幣集積部内に突出しないようにすることができ、窓口係員Mの操作性を向上させると共に、羽根テープ192a,192bの損傷を防ぐことができる。
【0068】
なお、本実施形態では、窓口係員Mの操作について説明したが、シャッタ等がなくオープンな構成の紙幣取扱装置100をATMに搭載して運用する場合は、一般の利用者が操作した時でも同様の効果が得られる。
【0069】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、窓口係員Mの指示を契機として抜き取り準備動作を行う実施形態である。なお、本実施形態では、紙幣取扱装置100の操作パネル118に表示される画面上のボタンが選択されることにより指示が出される実施例を一例として説明するが、その方式に限られない。
【0070】
第4の実施形態における放出ローラの制御を
図17に示す。
出金部140へのスタック制御を開始すると放出ローラ(192)制御開始(S1701)がコールされる。まず、既に羽根テープ192aにより壁部141に押し付けられている紙幣が有るか無いかを管理する変数(以下、「受け留め紙幣有りフラグ」という。)をOFFする(S1702)。
【0071】
そして、受け留め紙幣有りフラグがONになっていない場合(S1703:No)、1枚目の紙幣が、S1705の処理で、スタック制御開始位置(502)に到達するまで待ち、到達すると受け留め紙幣有りフラグをON(S1708)する。
【0072】
次に、2枚目の紙幣がスタック制御開始位置(502)に到達するまで待つ(S1704)。この間に窓口係員Mによる抜き取り準備動作指示の有無を監視する(1706)。抜き取り準備動作指示は、例えば、
図18に示す表示画面を操作パネル118に表示し、窓口係員Mが抜き取り準備動作の実行有無を選択することにより行われる。
【0073】
2枚目の紙幣がスタック制御開始位置(502)に到達しておらず、抜き取り準備動作の指示を受付けると(S1706:Yes)、受け留め紙幣有りフラグをOFFして(S1709)から、
図8のStep3のように、放出ローラ処理(1位相分回転)(S1712)を実施し、羽根テープ192aにより壁部141に押し付けられている紙幣をスタックエリア198にスタックする。
【0074】
このように、本実施形態では、次の紙幣が一定時間来なかった場合に、窓口係員Mの指示を契機に、抜き取り準備動作を実施して紙幣をスタックエリア198にスタックする。これにより、放出する紙幣がまばらな状態になることを防ぎ、出金部140の所定位置で紙幣を集約することができるため、窓口係員Mの操作性を向上することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、窓口係員Mの操作について説明したが、シャッタ等がなくオープンな構成の紙幣取扱装置100をATMに搭載して運用する場合は、一般の利用者が操作した時でも同様の効果が得られる。
【0076】
以上、本発明を実施するための形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、その趣旨を変更しない範囲で種々の構成や動作を適用可能である。