(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2導電層に対して正の第1電圧を前記第1導電層に印加することで、前記第2導電層と前記第1導電層との間の電気抵抗が高抵抗状態から低抵抗状態へと遷移する請求項1〜11のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
前記第2導電層に対して正であり前記第1電圧よりも低い第2電圧を、前記第1導電層に印加することで、前記第2導電層と前記第1導電層との間の前記電気抵抗が検出される請求項12記載の不揮発性記憶装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置110は、積層体10を含む。積層体10は、第1導電層1aと、第1絶縁層2aと、第1シリコン含有層3aと、第2導電層4aと、を含む。
【0009】
以下の説明において、第2導電層4aから第1導電層1aへ向かう積層方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して直交する1つの方向をX軸方向とする。X軸方向とZ軸方向とに直交する方向をY軸方向とする。
【0010】
第1導電層1aには、イオン化し易い金属が用いられる。例えば、第1導電層1aは、シリコンとの化合物を形成可能な第1金属を含む。第1金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびチタン(Ti)よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0011】
例えば、第1導電層1aは、上記の第1金属とシリコンとの化合物(金属シリサイド)を含んでもよい。金属シリサイドは、純金属よりも化学的安定性が高く、構造平坦性にも優れ、デバイス集積化に向いているからである。金属シリサイドの組成比は、より金属リッチなものが望ましい。これにより、第1金属がイオン化しやすくなる。
【0012】
第1絶縁層2aは、第1導電層1aと第2導電層4aとの間に設けられる。第1絶縁層2aは、第1導電層1aと接しており、電気的に接続されている。例えば、第1絶縁層2aは、絶縁性物質からなる。具体的には、第1絶縁層2aは、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタン酸化物の少なくともいずれかを含む。
【0013】
これらの金属酸化物中には、積層体10に電気的な刺激を加えることによって、第1金属からなる伝導フィラメントを形成することができる。これらの金属酸化物は、その内部に形成された伝導フィラメントが、電気的刺激が消去されたときに熱的刺激によって自動的に分解され消失する、という特徴を有する。
【0014】
第1シリコン含有層3aは、第1絶縁層2aと第2導電層4aとの間に設けられる。第1シリコン含有層3aは、第1絶縁層2aと接しており、電気的に接続されている。第1シリコン含有層3aは、少なくともその一部にシリコンを含む。例えば、第1シリコン含有層3aは、シリコン、シリコン酸化物およびシリコン酸窒化物の少なくともいずれかを含む。
【0015】
第1シリコン含有層3a中には、積層体10に電気的な刺激を加えることによって、第1金属からなる伝導フィラメントを形成することができる。この伝導フィラメントは、電気的刺激が消去された後も、その構造を安定的に保つことができる。これは、第1金属を構成するNi、Co、Tiなどの金属が、第1シリコン含有層3a中に含まれるSi原子と共有結合を形成しやすいという性質による。Ni、Co、Tiなどの金属とSiが互いの持つ電子を供与しあって混成軌道を形成する。このため、熱的刺激によって破壊されにくい強固な伝導フィラメントが形成される。
【0016】
第2導電層4aは、第1シリコン含有層3aと接しており、電気的に接続されている。第2導電層4aは、第1金属よりもイオン化しにくく、化学的に不活性な導電材料からなる。例えば、第2導電層4aに用いられる導電材料(第1材料)は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、窒化タングステン、窒化モリブデンおよび窒化チタンの少なくともいずれかを含む。これらの導電性材料を構成する金属原子は、電気的刺激によって容易にイオン化されない。
【0017】
以下、実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作について説明する。
不揮発性記憶装置110の積層体10は、記憶デバイスの最小単位として利用される。この最小単位は、高抵抗状態および低抵抗状態の2つの記憶状態を有する。
【0018】
図2は、実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示する模式図である。
図2の横軸は、積層体10(第1導電層1aと第2導電層4aとの間)に印加される動作電圧Vopを表す。第2の縦軸は、積層体10を流れる動作電流Iopを表す。積層体10は、最初の状態では、高抵抗状態(
図2の状態STA)にある。
【0019】
まず、
図2を参照して不揮発性記憶装置110における書き込み動作の例について説明する。
書き込み動作においては、第2導電層4aに対して正の電圧V1(第1電圧)を第1導電層1aに印加する。これにより、第1導電層1aに含まれるNiなどの第1金属の原子がイオン化する。イオン化した原子は、積層体10中に生じた電界によって、第1絶縁層2a中および第1シリコン含有層3a中へ輸送される。輸送されたイオンは、第1絶縁層2aおよび第1シリコン含有層3aのそれぞれの中で還元されて、伝導フィラメントを形成する(
図2の状態STB)。例えば、第1絶縁層2a中に伝導フィラメントF2が形成され、第1シリコン含有層3a中に伝導フィラメントF3が形成される。これにより、積層体10(第2導電層4aと第1導電層1aとの間)の電気抵抗は、高抵抗状態から低抵抗状態へと遷移する。
【0020】
この電気的刺激(すなわち電圧V1)が消去されると、第1絶縁層2a中の第1金属(Niなど)からなる伝導フィラメントF2は、熱的刺激(例えば、有限の温度下で引き起こされる原子の振動)によって、例えば自動的に、分解される。一方、電気的刺激を消去しても、第1シリコン含有層3a中の第1金属からなる伝導フィラメントF3は、第1金属とSiとの強固な化学結合のために、熱によって分解されない。伝導フィラメントF3が形成された状態は、きわめて長い時間、保たれる。これが、不揮発性記憶装置110における低抵抗状態に当たる(
図2の状態STC)。この電圧印加は、メモリ書き込み動作と呼ばれる。
【0021】
この低抵抗状態は、後に示すように、不揮発性記憶装置の読み出し動作の際には低抵抗状態として検知される。一方、読み出し動作を行わない時は、積層体10の抵抗は極めて高い。
【0022】
低抵抗状態(状態STC)の不揮発性記憶装置において、第2導電層4aに対して負の電圧を第1導電層1aに印加したとき、第1シリコン含有層3a中に形成された伝導フィラメントF3の構造は、電圧の影響をほぼ受けない。このように、この不揮発性記憶装置110は、例えば、ワンタイムメモリとして利用することができる。ワンタイムメモリは、例えば、ユーザーが一度きりの情報書き込みを行い、その情報を書き換えることなく長期間維持する用途に用いられる。
【0023】
次に、不揮発性記憶装置110における読み出し動作の例について説明する。
【0024】
読み出し動作においては、積層体10の記憶状態を外部回路に読み出すために、第2導電層4aに対して正の電圧V2(第2電圧)を第1導電層1aに印加する。電圧V2は、電圧V1よりも低い電圧である。このような電圧V2を印加すると、第1絶縁層2a中に、第1金属からなる伝導フィラメントF22が形成される。そして、第2導電層4aと第1導電層1aとの間の電気抵抗が検出される。
【0025】
積層体10が高抵抗状態(状態STA)であったときは、電圧V2の印加によって、第1シリコン含有層3aの高抵抗状態(
図2の状態STD)が読み出される。
積層体10が低抵抗状態(状態STC)であったときは、電圧V2の印加によって、第1シリコン含有層3aの内部に形成されたNiなどからなるフィラメントF3が形成された低抵抗状態(
図2の状態STE)が読み出される。
電圧V2が消去されると、第1絶縁層2a中のNiなどからなる伝導フィラメントF22は熱的刺激によって消滅し、元々の記憶状態が維持される。
【0026】
図1の不揮発性記憶装置110は、後述するクロスポイント型のメモリセルアレイ(
図9)に利用することができる。クロスポイント型のメモリセルアレイでは、
図1の積層体10が一つのメモリセルに対応し、複数の積層体10がアレイ状に配置される。ある1つの注目セルに書き込み動作や読み出し動作などを行うとき、注目セル以外のセルにかかる電圧の極性および絶対値を制御する。これにより、注目セル以外のセルの第1絶縁層2a中にNiなどからなる伝導フィラメントの発生を抑制することができる。従って、注目セル以外のセルに流れる電流(リーク)を小さくすることができる。
【0027】
不揮発性記憶装置110は、Niなどの金属フィラメントの形成および消失をメモリ動作のメカニズムとしている。このため、従来法のアンチフューズ方式と比べても、著しく低い消費電力で駆動することができるようになる。
【0028】
積層体10は、2端子メモリであり、複数の積層体10を立体的に積層することが可能である。これにより、不揮発性記憶装置の1チップ当たりのメモリ容量を極めて大きくすることができる。
【0029】
第1導電層1aの材料としては、Ni、CoまたはTiが好適である。ワンタイムメモリにおいては、記憶状態を長時間保持することが求められる。先に述べたように、これらの材料と、第1シリコン含有層3aに含まれるシリコンと、の化学結合力は、極めて強い。このため、これらの材料を用いることで、ある低抵抗状態を長時間保持することができる。
【0030】
例えば、第1導電層1aの材料として金(Au)を用いた場合でも、第1シリコン含有層3a中に伝導フィラメントを形成することは可能である。しかしながら、Auは、シリコンと強固な化学結合を形成しない。このため、この伝導フィラメントは、容易に分解され、ワンタイムメモリとしての仕様を満たすことができない。
【0031】
第1導電層1aの材料としてTiを用いることによって、記憶状態をより長時間保持することができる。これは、TiとSiとの化学結合が、NiとSiとの化学結合、または、CoとSiとの化学結合よりも安定なためである。
【0032】
但し、第1導電層1aにTiを用いた場合には、高抵抗状態(状態STA)から低抵抗状態(状態STB)へ遷移させる際の電圧(遷移電圧Vs)が、NiまたはCoを用いた場合よりも高い。
図3は、導電層の材料と不揮発性記憶装置の特性との関係を例示するグラフ図である。
図3は、各材料を第1導電層1aに用いた場合における遷移電圧Vs(任意単位)を示している。
【0033】
図3に示したように、Tiを用いた場合の遷移電圧Vsは、Niを用いた場合の遷移電圧Vsよりも高い。また、Niを用いた場合の遷移電圧Vsは、Coを用いた場合の遷移電圧Vsよりも高い。これは、例えば、化学的により安定な構造を形成するためには、より大きな電気エネルギーが必要であるためと考えることができる。例えば、低抵抗状態の安定性と、低い動作電圧(遷移電圧)と、は、トレードオフの関係にある。製品において、安定性を重視するか、定動作電圧による低消費電力を重視するか、によって、第1導電層1aに用いる材料を変更することができる。
【0034】
第1絶縁層2aの厚さは、1ナノメートル(nm)以上、10nm以下であることが望ましい。第1絶縁層2aの厚さが1nmよりも薄いと、第1絶縁層2aが不連続な膜となりデバイスが機能しなくなる場合がある。第1絶縁層2aが10nmよりも厚いと、伝導フィラメントを形成するための電圧が高くなりすぎる場合がある。動作電圧の観点から、第1絶縁層2aの厚さが5nm以下であることがより望ましい。
【0035】
第1シリコン含有層3aの厚さは、1nm以上、10nm以下であることが望ましい。第1シリコン含有層3aの厚さが1nmよりも薄いと、第1シリコン含有層3aが不連続な膜となりデバイスが機能しなくなることがある。第1シリコン含有層3aの厚さが10nmよりも厚いと、伝導フィラメントを形成するための電圧が高くなりすぎる場合がある。動作電圧と保持特性の観点から、第1シリコン含有層3aの厚さが3nm以下であることがより望ましい。このような厚さとすることで、より低い電圧でNiなどからなる伝導フィラメントが形成されるばかりでなく、構造的に安定なフィラメントを形成することができる。これにより、保持特性をより向上させることができる。
【0036】
以上説明したように、実施形態においては、第1導電層1aは、Ni、CoおよびTiの少なくともいずれかを含む第1金属を含む。このような第1金属と、第1シリコン含有層3aに含まれるSiと、の結合は、化学的に安定であるため、記憶状態を長時間保持することができる。さらに、第1シリコン含有層3aとして用いられるSi膜、Si酸化膜およびSi酸窒化膜は、その内部に伝導フィラメントが形成されていないときには、高い電気抵抗を有する。このため、オン状態における電気抵抗と、オフ状態における電気抵抗と、の比を大きくすることができる。
【0037】
例えば、メモリセルにトランジスタを用いて、ワンタイムメモリを構成する方法も考えられる。しかしながら、このようなトランジスタを用いたワンタイムメモリでは、トランジスタが3端子素子であるがゆえ、1ビットあたりの専有面積が大きい。このため、1チップ当たりのメモリ容量を大きくすることには向いていない。これに対して、実施形態においては、積層体10は、2端子のメモリセルであるため、1ビット当たりの専有面積を小さくすることができる。さらに、積層体10を立体的に積層することが可能なため、1チップ当たりのメモリ容量を大きくすることができる。
【0038】
例えば、クロスポイント型のワンタイムメモリとして絶縁膜の電気的短絡を利用することも考えられる。しかしながら、このようなメモリは、動作に大きな電力を要する。これに対して、実施形態においては、第1導電層1aと第1シリコン含有層3aとの間に第1絶縁層2aが形成されている。読み出し動作の際に、注目セル以外では、この第1絶縁層2aに伝導フィラメントが形成されない。これにより、リーク電流を抑制することができる。したがって、消費電力を低くすることができる。実施形態によれば、1チップ当たりのメモリ容量が大きく、消費電力の低いワンタイムメモリを提供することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する模式的断面図である。
図4に示すように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置111は、積層体11を含む。積層体11は、上述の積層体10に加え、第3導電層1bと、第2絶縁層2bと、第2シリコン含有層3bと、をさらに含む。
【0040】
第3導電層1bには、第1導電層1aと同様の材料および構成を適用することができる。
【0041】
第2導電層4aは、第1導電層1aと第3導電層1bとの間に設けられる。第2絶縁層2bは、第2導電層4aと第3導電層1bとの間に設けられる。第2絶縁層2bは、第3導電層1bと接しており、電気的に接続されている。第2絶縁層2bには、第1絶縁層2aと同様の材料および構成を適用することができる。
【0042】
第2シリコン含有層3bは、第2導電層4aと第2絶縁層2bとの間に設けられる。第2シリコン含有層3bは、第2導電層4aと第2絶縁層2bのそれぞれと接しており、電気的に接続されている。
【0043】
第3導電層1b、第2絶縁層2b、第2シリコン含有層3bおよび第2導電層4aは、積層体10aを形成する。積層体10aは、第1の実施形態において説明した積層体10と同様にして、1つのメモリセルとして機能する。
【0044】
このように、本実施形態は、複数のメモリセルが積層された不揮発性記憶装置である。本実施形態においても、第1の実施形態と同様にして消費電力を低減することができる。さらに、積層体10と積層体10aとは、第2導電層4aを共有している。これにより、高集積化が可能となる。第2導電層4aを共有することで、構造が簡単になるため、工程を省略でき、生産性を向上させることも可能となる。
【0045】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置112は、積層体12を含む。積層体12は、上述の積層体10に加え、第2絶縁層2bと、第2シリコン含有層3bと、第3導電層4bと、をさらに含む。
【0046】
第3導電層4bには、第2導電層4aと同様の材料および構成を適用することができる。
【0047】
第1導電層1aは、第2導電層4aと第3導電層4bとの間に設けられる。第2シリコン含有層3bは、第1導電層1aと第3導電層4bとの間に設けられる。第2シリコン含有層3bは、第3導電層4bと接しており、電気的に接続されている。第2シリコン含有層3bには、第1シリコン含有層3aと同様の材料および構成を適用することができる。
【0048】
第2絶縁層2bは、第1導電層1aと第2シリコン含有層3bとの間に設けられる。第2絶縁層は、第1導電層1aおよび第2シリコン含有層3bのそれぞれと、接しており、電気的に接続されている。第2絶縁層2bには、第1絶縁層2aと同様の材料および構成を適用することができる。
【0049】
第1導電層1a、第2絶縁層2b、第2シリコン含有層3bおよび第3導電層4bは、積層体10bを形成する。積層体10bは、積層体10と同様にして、1つのメモリセルとして機能する。
【0050】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様にして消費電力を低減することができる。さらに、積層体10と積層体10bとは、第1導電層1aを共有している。これにより、高集積化や生産性の向上が可能となる。
【0051】
(第4の実施形態)
図6は、第4の実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置113は、積層体11に加えて、層間絶縁膜5aと、積層体11aと、を含む。積層体11と積層体11aとは、層間絶縁膜5aを介して積層されている。積層体11aには、積層体11と同様の材料および構成を適用することができる。
【0052】
具体的には、積層体11aは、第4導電層1cと、第3絶縁層2cと、第3シリコン含有層3cと、第5導電層4eと、第4シリコン含有層3dと、第4絶縁層2dと、第6導電層1dと、を含む。
【0053】
第3導電層1bは、第1導電層1aと第4導電層1cとの間に設けられる。第3絶縁層2cは、第3導電層1bと第4導電層1cとの間に設けられる。第3シリコン含有層3cは、第3導電層1bと第3絶縁層2cとの間に設けられる。第5導電層4eは、第3導電層1bと第3シリコン含有層3cとの間に設けられる。第4シリコン含有層3dは、第3導電層1bと第5導電層4eとの間に設けられる。第4絶縁層2dは、第3導電層1bと第4シリコン含有層3dとの間に設けられる。第6導電層1dは、第3導電層1bと第4絶縁層2dとの間に設けられる。層間絶縁膜5aは、第3導電層1bと第6導電層1dとの間に設けられる。
【0054】
第4導電層1cと第6導電層1dとには、第1導電層1aと同様の材料及び構成が適用できる。第3絶縁層2cと第4絶縁層2dとには、第1絶縁層2aと同様の材料および構成が適用できる。第3シリコン含有層3cと第4シリコン含有層3dとには、第1シリコン含有層3aと同様の材料および構成が適用できる。
【0055】
層間絶縁膜5aには、例えば、厚さが20nm以上100nm以下程度のシリコン酸化膜が用いられる。
第4導電層1cと第3絶縁層2cと第3シリコン含有層3cと第5導電層4eとは、積層体10cを形成する。第6導電層1dと第4絶縁層2dと第4シリコン含有層3dと、第5導電層4eと、は、積層体10dを形成する。積層体10cおよび積層体10dは、第5導電層4eを共有している。積層体10cおよび積層体10dは、積層体10と同様に、それぞれメモリセルとして機能する。
【0056】
このように、層間絶縁膜5aを介して、複数のメモリセルを積層することにより、不揮発性記憶装置をより集積化することができる。
【0057】
(第5の実施形態)
図7は、第5の実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置114は、積層体12に加えて、層間絶縁膜5aと、積層体12aと、含む。積層体12と積層体12aとは、層間絶縁膜5aを介して積層されている。積層体12aには、積層体12と同様の材料および構成を適用することができる。
【0058】
具体的には、積層体12aは、第4導電層4cと、第3シリコン含有層3cと、第3絶縁層2cと、第5導電層1eと、第4絶縁層2dと、第4シリコン含有層3dと、第6導電層4dと、を含む。
【0059】
第3導電層4bは、第2導電層4aと第4導電層4cとの間に設けられる。第3シリコン含有層3cは、第3導電層4bと第4導電層4cとの間に設けられる。第3絶縁層2cは、第3導電層4bと第3シリコン含有層3cとの間に設けられる。第5導電層1eは、第3導電層4bと第3絶縁層2cとの間に設けられる。第4絶縁層2dは、第3導電層4bと第5導電層1eとの間に設けられる。第4シリコン含有層3dは、第3導電層4bと第4絶縁層2dとの間に設けられる。第6導電層4dは、第3導電層4bと第4シリコン含有層3dとの間に設けられる。層間絶縁膜5aは、第3導電層4bと第6導電層4dとの間に設けられる。
【0060】
第4導電層4cと第6導電層4dとには、第2導電層4aと同様の材料および構成が適用できる。第3シリコン含有層3cと第4シリコン含有層3dとには、第1シリコン含有層3aと同様の材料および構成が適用できる。第3絶縁層2cと第4絶縁層2dとには、第1絶縁層2aと同様の材料及び構成が適用できる。第5導電層1eには、第1導電層1aと同様の材料および構成が適用できる。
【0061】
第5導電層1eと第3絶縁層2cと第3シリコン含有層3cと第4導電層4cとは、積層体10eを形成する。第5導電層1eと第4絶縁層2dと第4シリコン含有層3dと第6導電層4dとは、積層体10fを形成する。積層体10eおよび積層体10fは、第5導電層1eを共有している。積層体10eおよび積層体10fは、積層体10と同様に、それぞれメモリセルとして機能する。
【0062】
このように、層間絶縁膜5aを介して、複数のメモリセルを積層することにより、不揮発性記憶装置をより集積化することができる。
【0063】
(第6の実施形態)
本実施形態に係る不揮発性記憶装置は、クロスポイント型のメモリである。本実施形態に係る不揮発性記憶装置には、第1の実施形態に関して説明した積層体10及びその変形が用いられる。
【0064】
図8(a)〜
図8(c)は、第6の実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図8(a)に示すように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置115は、配線層21と配線層22と積層体10と、を含む。
【0065】
積層体10(少なくとも第1絶縁層2aおよび第1シリコン含有層3a)は、配線層21と配線層22との間に設けられている。
積層体10の第1導電層1aは、配線層21と電気的に接続されており、例えば接している。第1導電層1aは、配線層21の一部であってもよい。
積層体10の第2導電層4aは、配線層22と電気的に接続されており、例えば接している。第2導電層4aは、配線層22の一部であってもよい。
【0066】
配線層21は、Z軸方向と交差する第1方向(この例ではX軸方向)に延在している。さらに、配線層22は、第1方向およびZ軸方向と交差する第2方向(この例ではY軸方向)に延在している。配線層21および配線層22には、例えばタングステン(W)が用いられる。
【0067】
積層体10に書き込み動作を行う際には、配線層22に対して正の電圧V1を配線層21に印加する。これにより、第2導電層4aに対して正の電圧V1が、第1導電層1aに印加される。これにより、積層体10は、高抵抗状態から低抵抗状態へと遷移する。
【0068】
積層体10の記憶状態を読み出す際には、配線層22に対して正の電圧V2を配線層21に印加する。これにより、第2導電層4aに対して正の電圧V2が、第1導電層1aに印加される。これにより、積層体10の電気抵抗から記憶状態を検知することができる。
【0069】
図8(b)に示すように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置116は、配線層31と配線層32と配線層33と積層体11とを含む。
【0070】
積層体10(少なくとも第1絶縁層2aおよび第1シリコン含有層3a)は、配線層31と配線層32との間に設けられる。積層体10a(少なくとも第2絶縁層2bおよび第2シリコン含有層3b)は、配線層32と配線層33との間に設けられる。
第1導電層1aは、配線層31と電気的に接続されており、例えば接している。第1導電層1aは、配線層31の一部であってもよい。
第3導電層1bは、配線層33と電気的に接続されており、例えば接している。第3導電層1bは、配線層33の一部であってもよい。
第2導電層4aは、配線層32と電気的に接続されており、例えば接している。第2導電層4aは、配線層32の一部であってもよい。
【0071】
配線層31は、Z軸方向と交差する第1方向(この例ではY軸方向)に延在している。配線層32は、Z軸方向および第1方向と交差する第2方向(この例ではX軸方向)に延在している。さらに、配線層33は、Z軸方向および第2方向と交差する第3方向(この例ではY軸方向)に延在している。配線層31、配線層32および配線層33には、例えばタングステンが用いられる。
【0072】
積層体10に書き込み動作を行う際には、配線層32に対して正の電圧V1を配線層31に印加する。このとき、配線層33の電位は、例えば配線層32と同電位に設定される。積層体10の記憶状態を読み出す際には、配線層32に対して正の電圧V2を配線層31に印加する。このとき、配線層33の電位は、例えば配線層32と同電位に設定される。
【0073】
積層体10aに書き込み動作を行う際には、配線層32に対して正の電圧V1を配線層33に印加する。このとき、配線層31の電位は、例えば配線層32と同電位に設定される。積層体10aの記憶状態を読み出す際には、配線層32に対して正の電圧V2を配線層33に印加する。このとき、配線層31の電位は、例えば配線層32と同電位に設定される。
【0074】
図8(c)に示すように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置117は、配線層41と配線層42と配線層43と積層体12とを含む。
【0075】
積層体10b(少なくとも第2絶縁層2bおよび第2シリコン含有層3b)は、配線層41と配線層42との間に設けられる。積層体10(少なくとも第1絶縁層2aおよび第1シリコン含有層3a)は、配線層42と配線層43との間に設けられている。
第3導電層4bは、配線層41と電気的に接続されており、例えば接している。第3導電層4bは、配線層41の一部であってもよい。
第1導電層1aは、配線層42と電気的に接続されており、例えば接している。第1導電層1aは、配線層42の一部であってもよい。
第2導電層4aは、配線層43と電気的に接続されており、例えば接している。第2導電層4aは、配線層43の一部であってもよい。
【0076】
配線層41は、Z軸方向と交差する第1方向(この例ではY軸方向)に延在している。配線層42は、Z軸方向および第1方向と交差する第2方向(この例ではX軸方向)に延在している。さらに、配線層43は、Z軸方向および第2方向と交差する第3方向(この例ではY軸方向)に延在している。配線層41、配線層42および配線層43には、例えばタングステンが用いられる。
【0077】
積層体10に書き込み動作を行う際には、配線層43に対して正の電圧V1を配線層42に印加する。このとき、配線層41の電位は、例えば配線層42と同電位に設定される。積層体10の記憶状態を読み出す際には、配線層43に対して正の電圧V2を配線層42に印加する。このとき、配線層41の電位は、例えば配線層42と同電位に設定される。
【0078】
積層体10bに書き込み動作を行う際には、配線層41に対して正の電圧V1を配線層42に印加する。このとき、配線層43の電位は、例えば配線層42と同電位に設定される。積層体10bの記憶状態を読み出す際には、配線層41に対して正の電圧V2を配線層42に印加する。このとき、配線層43の電位は、例えば配線層42と同電位に設定される。
【0079】
図9は、第6の実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する模式的平面図である。
図9に示すように、不揮発性記憶装置118においては、複数の配線51と、複数の配線52と、が設けられる。複数の配線51は、互いに平行である。複数の配線52は、互いに平行である。配線51の延在方向は、配線52の延在方向と交差する。配線51には、例えば、配線層21が用いられる。配線52には、例えば、配線層22が用いられる。配線51は、例えば、ワード線として用いられる。配線52は、例えば、ビット線として用いられる。
【0080】
複数の配線51のそれぞれと、複数の配線52のそれぞれと、の間の交差部に、複数の積層体10のそれぞれが設けられる。配線51及び配線52は、制御部60に接続される。配線51及び配線52により、複数の積層体10のいずれかが選択状態とされ、所望の動作が行われる。不揮発性記憶装置118は、クロスポイント型抵抗変化メモリである。
【0081】
さらに、
図8(b)や
図8(c)と同様にして、複数の積層体10のそれぞれに、積層体10aや積層体10bを積層してもよい。すなわち、実施形態は、3次元積層構造のクロスポイント型メモリに適用できる。これにより、より集積化が可能となる。
【0082】
実施形態によれば、消費電力の低い不揮発性記憶装置が提供できる。
【0083】
なお、本願明細書において、「電気的に接続」には、直接接触して接続される場合の他に、他の導電性部材などを介して接続される場合も含む。
【0084】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0085】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、不揮発性記憶装置に含まれる導電層、絶縁層、配線及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0086】
その他、本発明の実施の形態として上述した不揮発性記憶装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての不揮発性記憶装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0087】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。