【実施例】
【0051】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。
なお、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
なお、以下で使用するウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」は、重量平均分子量Mw180,000、伸び率はベース基材PETが破断するまでクラック入らず、鉛筆硬度HBであり、前記の電離放射線硬化型樹脂(a)に相当する。また、ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」は、重量平均分子量Mw4,100、伸び率4.0%、鉛筆硬度2Hであり、前述の電離放射線硬化型樹脂(b)に相当する。また、アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」は、重量平均分子量Mw29,000、伸び率40%、鉛筆硬度Hであり、前述の電離放射線硬化型樹脂(c)に相当する。
なお、上記の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。GPC測定の標準サンプルにはポリスチレンを使用した。
【0052】
[実施例1]
<塗料調製>
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)80部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)20部を主剤とし、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF製)5部と、ヒンダードアミン系化合物「TINUVIN770DF(商品名)」(BASF製)0.5部と、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物「TINUVIN 479(商品名)」(BASF製)0.5部と、レベリング剤RS75(フッ素系レベリング剤、DIC(株)社製)0.3部とアルミニウムを主成分とした微粒子「ALMIBKH06(商品名)」(平均粒径13nm、CIKナノテック製)の対固形分3%を酢酸ブチル/n-プロピルアルコール=50/50(重量%)で紫外線硬化性樹脂の塗料中の固形分濃度が20%となるまで希釈し十分攪拌してハードコート層塗料を調製した。
【0053】
<ハードコートフィルム作製>
伸び試験用として厚さ125μmの二軸延伸易成型PETフィルム「ルミラーU463(商品名)」(東レ製)の一方の面に上記塗料をバーコーターで塗工し、80℃で1分間熱風乾燥した後、紫外線光量450mJ/m
2で硬化させた。得られた塗膜の厚さは5μmであった。次いで、鉛筆硬度、耐擦傷性試験用として厚さ75μmのPMMAフィルム(住友製)の一方の面に上記塗料をバーコーターで塗工し、80℃で1分間熱風乾燥した後、紫外線光量450mJ/m
2で硬化させた。得られた塗膜の厚さは1.5μmであった。
【0054】
[実施例2]
<塗料調製>
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)70部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)30部を主剤とし、他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0055】
[実施例3]
<塗料調製>
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)65部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)35部を主剤とし、他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0056】
[実施例4]
<塗料調製>
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)60部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)40部を主剤とし、他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0057】
[実施例5]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)45部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)5部を主剤とし、他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0058】
[実施例6]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)40部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)10部を主剤とし、他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0059】
[実施例7]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)35部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)15部を主剤とし、他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0060】
[実施例8]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)30部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)20部を主剤とし、他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0061】
[実施例9]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)40部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)10部を主剤とし、アルミニウムを主成分とした微粒子「NANOBYK-3601(商品名)」(平均粒径40nm、ビックケミー製)を対固形3%添加した。他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0062】
[実施例10]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)40部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)10部を主剤とし、アルミニウムを主成分とした微粒子「ALMIBKH06(商品名)」(平均粒径13nm、CIKナノテック製)を対固形0.05%添加した。他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0063】
[実施例11]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)40部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)10部を主剤とし、アルミニウムを主成分とした微粒子「ALMIBKH06(商品名)」(平均粒径13nm、CIKナノテック製)を対固形1.0%添加した。他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0064】
[実施例12]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)40部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)10部を主剤とし、アルミニウムを主成分とした微粒子「ALMIBKH06(商品名)」(平均粒径13nm、CIKナノテック製)を対固形2.0%添加した。他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0065】
[実施例13]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)40部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)10部を主剤とし、アルミニウムを主成分とした微粒子「ALMIBKH06(商品名)」(平均粒径13nm、CIKナノテック製)を対固形5.0%添加した。他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0066】
[実施例14]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)40部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)10部を主剤とし、アルミニウムを主成分とした微粒子「ALMIBKH06(商品名)」(平均粒径13nm、CIKナノテック製)を対固形10%添加した。他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0067】
[実施例15]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)40部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)50部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)10部を主剤とし、アルミニウムを主成分とした微粒子「ALMIBKH06(商品名)」(平均粒径13nm、CIKナノテック製)を対固形15%添加した。他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と鉛筆硬度、耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0068】
[実施例16]
<塗料調製>
実施例6の塗料からアルミニウムを主成分とした微粒子を除外して調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0069】
[比較例1]
<塗料調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化性樹脂「8KX-012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル製)100部を主剤とし、他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0070】
[比較例2]
<塗料調製>
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル製)100部を主剤とし、他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0071】
[比較例3]
<塗料調製>
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業製)100部を主剤とし、他の添加剤は実施例1に準じて調製した。
<ハードコートフィルム作製>
上記塗料を用いて実施例1と同様にして伸び試験用と耐擦傷性用ハードコートフィルムを作製した。
【0072】
以上のようにして作製された実施例及び比較例のハードコートフィルムを次の項目について評価し、その結果を纏めて表1に示した。
(1)鉛筆硬度
JIS K5600に示される試験法により鉛筆硬度を測定した。
(2)成型性(伸び率)
前述の伸び試験用のハードコートフィルムを使用し、サンプルサイズ幅15mm×長さ150mmの試験片を作製する。引張速度50mm/分、チャック間距離100mmで引張り、表面のハードコート層にクラックが入るまでの引張伸度を測定した。
(3)耐擦傷性
堅牢度試験機(テスター産業製)により、ハードコート層の磨耗及び摩擦に対する堅牢性試験を行った。PMMAフィルム上に塗工されたハードコート層とスチールウール#0000を荷重102g/cm
2×10往復にて互いに摩擦し、試験前と後のヘイズ値の差を測定した(以下「ΔHaze」と略記する。)。なお、上記ヘイズ値は、村上色彩技術研究所製ヘイズメーター「HM150」を用いて測定した。
ΔHaze=(耐擦傷性試験後のヘイズ値)−(耐擦傷性試験前のヘイズ値)
上記ΔHazeが低い方がハードコート表層の傷が少ないことを示す。
【0073】
【表1】
【0074】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例によれば、成型性(伸び率)と表面硬度、耐擦傷性のいずれの特性も良好な成型用ハードコートフィルムが得られる。さらに、実施例2と実施例6、実施例4と実施例7を比較した場合、樹脂2成分(実施例2,4)と樹脂3成分(実施例6,7)は、ヘイズ値は同程度であるが、樹脂3成分の方が高い伸びを示している。このことから、樹脂2成分より樹脂3成分の方が優位である。
これに対し、ハードコート層の樹脂成分として前記電離放射線硬化型樹脂(a)、(b)、(c)のいずれかを単独で使用した比較例1〜3では、成型性(伸び率)と表面硬度、耐擦傷性のうちの少なくともいずれかの特性が不良であり、これらの特性をすべて向上させることが困難である。
【0075】
[実施例A]
実施例1で作製した成型用ハードコートフィルム(基材フィルムは前記PMMAフィルム)のハードコート層を設けた面とは反対の面に、下記プライマー層塗料をバーコーターで塗工し、90℃で1分間熱風乾燥し、塗膜厚み0.3μmのプライマー層を形成した(評価サンプル1)。次に、上記評価サンプル1のプライマー層上に、200μmスクリーンメッシュを用い、加飾層塗料(二液反応硬化型スクリーンインキ「SS16−000(商品名)」(ウレタン系、東洋インキ製造社製))をベタ印刷し、60℃で30分間熱風乾燥し、塗膜厚み20μmの加飾層(ベタ印刷層)を形成した(評価サンプル2)。
また、後記の伸び試験用として、実施例1で作製した前記二軸延伸易成型PETフィルムを基材フィルムとした成型用ハードコートフィルムのハードコート層を設けた面とは反対の面に、上記と同様にしてプライマー層を形成した(評価サンプル3)。
【0076】
<プライマー層塗料の調製>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC(商品名)」(ガラス転移点70℃、日信化学工業社製)を酢酸エチル/メチルイソブチルケトン=40/60(重量部)からなる混合溶剤で溶解し、固形分15%の溶解液を作製した。次に、溶解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」50部と、ポリメチルメタクリレート樹脂「アクリット0404EA−P(商品名)」(固形分40%、ガラス転移点105℃、大成ファインケミカル社製)50部を主剤とし、レベリング剤「BYK−354(商品名)」(アクリル系レベリング剤、ビッグケミージャパン社製)0.2部、紫外線吸収剤「TINUVIN928(商品名)」(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASF社製)1.0部をトルエン/メチルイソブチルケトン=30/70(重量%)で塗料中の固形分が5%となるように調整し、プライマー層塗料を調製した。
なお、本実施例Aでは、プライマー層塗料に用いた塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率(重量部)は50/50である。
【0077】
[実施例B]
プライマー層塗料に用いた塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率(重量部)を80/20に変更した以外は、実施例Aと同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0078】
[実施例C]
プライマー層塗料に用いた塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率(重量部)を25/75に変更した以外は、実施例Aと同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0079】
[実施例D]
プライマー層塗料に、無機系微粒子である球状シリカ「MEK−ST−ZL(商品名)」微粒子分散物(固形分30%、粒子径0.085μm、日産化学社製、トルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤中にガラスビーズを添加しビーズ分散)2部を添加した以外は、実施例Aと同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0080】
[実施例E]
上記プライマー層を設けなかった(つまり、基材フィルム表面に直かに加飾層を形成)以外は、実施例Aと同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0081】
以上のようにして作製した実施例A〜Eの成型用ハードコートフィルムを次の項目について評価し、その結果を纏めて後記表2に示した。
【0082】
(1)耐溶剤性
プライマー層塗膜上に、3cm角の脱脂綿を載せ、その脱脂綿上に混合溶剤「NPR/トルエン/酢酸エチル/MEK=30/30/20/20(重量部)」を滴下し、3分間の溶剤試験後に脱脂綿を除去し、プライマー層表面の状態を目視観察し、各試料の表面状態を3段階評価した。評価基準は、下記の通りである。なお、◎、○評価品を耐溶剤性は合格と判定した。
評価基準
◎:変化無し ○:僅かに白化有り △:全面白化有り ×:溶解
(2)耐熱性
プライマー層を形成したフィルムを用い、プライマー層が向き合うように折り重ね、熱傾斜試験機HG−100−2「東洋精機社製」にて、圧力3kg/cm
2、時間10秒間圧着させた後、圧着面を剥離し、面荒れの無き温度を耐熱温度とした。なお、耐熱温度70℃以上は合格と判定した。
【0083】
(3)密着性
上記各実施例で得られた成型用ハードコートフィルムおける、基材フィルムとプライマー層と密着性を評価サンプル1、プライマー層と加飾層の密着性を評価サンプル2を用いて次の方法で評価した。
評価サンプル1、2について、恒温恒湿条件下(23℃、53%RH)で、碁盤目剥離試験治具を用い1mm
2のクロスカットを100個作製し、積水化学工業社製粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付け後、90度方向に剥離し、各層の残存個数を4段階評価した。評価基準は下記の通りであり、◎と○評価品を密着性は合格と判定した。なお、表2中の項目「PR層」はプライマー層と基材フィルムとの密着性、「加飾層」はプライマー層と加飾層との密着性の評価結果である。
評価基準
◎:100個 ○:99〜95個 △:94〜50個 ×:49〜0個
なお、ハードコート層と基材フィルムとの密着性(表2中の項目「HC層」)についても同様の方法で評価したところ、いずれの実施例においても合格であった。
【0084】
(4)透明性
各実施例で作製した各成型用ハードコートフィルムについて、JIS K7136に示される試験法により全光線透過率を測定した。評価基準は、下記の通りであり、◎と○評価品を透明性は合格と判定した。
評価基準
◎:92%以上 ○:91%以上92%未満 ×:91%未満
(5)伸度
前述の伸び試験用フィルム(評価サンプル3)を使用し、サイズ15mm×長さ150mmの試験片を作製する。引張速度50mm/分、チャック間距離100mmで引張り、表面のハードコート層にクラックが入る迄の引張伸度を測定した。
【0085】
(6)鉛筆硬度
各実施例で作製した各成型用ハードコートフィルムについて、JIS K5600に示される試験法により鉛筆硬度を測定した。表面にキズの発生なき硬度を表2に表記した。(7)巻取り適性
各実施例で作製した各成型用ハードコートフィルムについて、各試料とも各10cm角に裁断し、プライマー層面とハードコート層面とを重ねた試料を2組作製し、温度40℃の環境下に48時間保存後、試料を取出し、表裏面の圧着状態、及び試料を剥離した際、各面の表面状態により4段階評価した。評価基準は下記の通りであり、◎と○評価品を巻き取り適性は合格と判定した。
評価基準
◎:圧着、面荒れ無し ○:圧着ややあるが、面荒れ無し
△:圧着強く、面荒れ無し ×:圧着強く、面あれ大
【0086】
【表2】
【0087】
上記表2の結果から明らかなように、プライマー層によって基材フィルムと加飾層の両者との密着性に優れ、且つ成型性(伸度)、ハード性(鉛筆硬度)、巻取り適性のほか、耐溶剤性、耐熱性、透明性にも優れた成型用ハードコートフィルムが得られる。
また、上記プライマー層を設けずに、基材フィルム表面に直かに加飾層を形成した実施例Eでは、耐溶剤性、加飾層との密着性が大きく低下する。また、成型用フィルムを巻き取った際に圧着あるいはブロッキングなどの問題を発生しやすくなる。