(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機発光トランジスタ(OLET)、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC、LEC、LEEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機発光ダイオード(OLED)であることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項記載の素子。
化合物が、以下の機能の一つで:正孔輸送もしくは正孔注入層中で正孔輸送材料として、発光層中でマトリックス材料として、電子ブロック材料としてまたは励起子ブロック材料として使用されることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項記載の素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な有機化合物と、その化合物のエレクトロルミネッセンス素子での使用と少なくとも一つのその化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子に関する。本発明は、さらに、その化合物の製造方法と少なくとも一つのその化合物を含む組成物と調合物に関する。
【0002】
電子素子用の機能性化合物の開発は、現在、集中的な研究主題である。ここで、その目的は、特に、たとえば、パワー効率、寿命または発光色座標等の一以上の関連する点について、エレクトロルミネッセンス素子の改善された特性を達成することができる化合物の開発である。
【0003】
本発明にしたがうと、用語エレクトロルミネッセンス素子は、特に、有機発光トランジスタ(OLET)、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC、LEC、LEEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機発光ダイオード(OLED)の意味で使用される。
【0004】
特別な関心事は、いわゆるOLEDとして最後に言及した電子素子での使用のための化合物の提供である。OLEDの一般的構造と機能原理は、当業者に知られ、特に、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO1998/27136に記載されている。
【0005】
さらなる改良が、OLEDの特性データに関して、特に、広範な商業的使用の面で、たとえば、表示素子または光源として、いまだ必要とされている。この点で、特に、重要なことは、OLEDの寿命、効率と駆動電圧および達成される色値である。加えて、電子素子での機能性材料としての使用のための化合物が、高い熱安定性と高いガラス転移温度を有し、分解することなく昇華することが望ましい。
【0006】
これに関連して、特に、代替正孔輸送材料に対するニーズが存在する。先行技術にしたがう正孔輸送材料においては、電圧は、正孔輸送層の層厚と共に一般的に増加する。実際に、正孔輸送層のより大きな層厚が、望ましいことが多いが、これは、より高い駆動電圧とより悪い性能データをもたらすことが多い。これに関連して、高い電荷坦持移動性を有し、その結果、より厚い正孔輸送層を、ほんの僅かの駆動電圧の増加とともに達成することができる新規な正孔輸送材料に対するニーズが存在する。
【0007】
先行技術は、電子素子およびエレクトロルミネッセンス素子での電荷輸送材料としての種々のフルオレンの使用を記載している。
【0008】
JP3824385 B2は、ジベンゾフランもしくはカルバゾールにより置換された2-および7-置換フルオレンを開示している。
【0009】
US2012/20012832は、縮合芳香族基により置換されたフルオレンを開示している。
【0010】
WO2004/020387は、アミノ基により2位で置換されたフルオレンを開示し、ここで、アミノ基はそれ自身各場合に一つのフェニル基で二置換されている。
【0011】
JP05-303221は、光増感性化合物として2-および4-置換フルオレンを開示している。OLEDもしくはOLEC等のエレクトロルミッセンス素子での使用は、ここには記載されていない。
【0012】
すでに知られた化合物にかかわらず、OLEDでの使用のための新規な正孔輸送および正孔注入材料に対するニーズが引き続き存在する。特に、OLEDの性能データと特性での上記言及した極めて望ましい改善を達成することができる材料に対するニーズが存在する。
【0013】
同様に、OLEDと他の電子素子での使用のための新規なマトリックス材料に対するニーズが存在する。特に、電子素子の良好な効率、長い寿命と低い駆動電圧を好ましくは、もたらす、燐光エミッターのためのマトリックス材料と混合マトリックス系のためのマトリックス材料に対するニーズが存在する。
【0014】
したがって、本発明は、たとえば、OLED等のエレクトロルミッセンス素子での使用に適し、特に、正孔輸送材料および/または正孔注入材料および/またはマトリックス材料として使用することができるエレクトロルミッセンス素子と化合物を提供する目的を基礎としている。
【0015】
本発明の部分として、以下に示される式(1)の化合物が、上記エレクトロルミッセンス素子用途のために極めて適していることが驚くべきことに見出された。
【0016】
したがって、本発明は、少なくとも一つの式(1)の化合物を含むエレクトロルミッセンス素子に関し;
【化1】
【0017】
以下が、使用される記号と添え字に適用され;
Ar
1、Ar
2は、出現毎に同一であるか異なり、10〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、互いに同一であるか異なる1以上の基R
4により置換されてよく、ここで、二個の基Ar
1とAr
2は、それぞれ、少なくとも二個以上の芳香族もしくは複素環式芳香族環を含み;
R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、C(=O)R
5、CN、Si(R
5)
3、NO
2、P(=O)(R
5)
2、S(=O)R
5、S(=O)
2R
5、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
5C=CR
5-、-C≡C-、Si(R
5)
2、C=O、C=S、C=NR
5、-C(=O)O-、-C(=O)NR
5-、P(=O)(R
5)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい6〜30個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい9〜30個の環原子を有する縮合環構造であり;ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族縮合環の場合、10個以下の環原子が存在してよく;2個の基R
1は、たがいに閉環を形成してもよく、その結果スピロ化合物を形成し、ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族環は、二個の基R
1により形成された環上には縮合せず;
R
2、R
3およびR
4は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、C(=O)R
5、CN、Si(R
5)
3、NO
2、P(=O)(R
5)
2、S(=O)R
5、S(=O)
2R
5、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
5C=CR
5-、-C≡C-、Si(R
5)
2、C=O、C=S、C=NR
5、-C(=O)O-、-C(=O)NR
5-、P(=O)(R
5)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい6〜30個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
R
5は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、C(=O)R
6、CN、Si(R
6)
3、NO
2、P(=O)(R
6)
2、S(=O)R
6、S(=O)
2R
6、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
6により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
6C=CR
6-、-C≡C-、Si(R
6)
2、C=O、C=S、C=NR
6、-C(=O)O-、-C(=O)NR
6-、P(=O)(R
6)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
6により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基R
6により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;
R
6は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;
nは、0、1、2、3または4であり;
mは、0、1、2または3であり;
ただし、式(1)の化合物は、一つのフルオレンを除いて、かつ、フルオレンの9位の可能な縮合もしくはポリ環式基を除いて、さらなるポリ環式もしくは縮合基を含まない。
【0018】
ここで、フルオレン上の番号付けは、以下のとおり定義される。
【化2】
【0019】
好ましくは、エレクトロルミッセンス素子は、少なくとも一つの式(1)の化合物を含み、二個の基R
1が同一である。
【0020】
エレクトロルミッセンス素子は、少なくとも一つの式(1)の化合物を含み、mが1または0、非常に、好ましくは、mが0であることが好ましい。
【0021】
エレクトロルミッセンス素子は、少なくとも一つの式(1)の化合物を含み、nが、2、1または0であり、非常に、好ましくは、nが0または1であることがさらに好ましい。
【0022】
式(1)の化合物は、好ましくは、式(2)の化合物から選ばれ:
【化3】
【0023】
式中、記号は上記に示されるとおりに定義される。
【0024】
最も好ましくは、二個の基R
1が同一である式(2)の化合物である。
【0025】
本発明のさらに好ましい態様では、エレクトロルミッセンス素子は、少なくとも一つの式(3)の化合物を含み、さらに、好ましくは、基R
1が同一である式(3)の化合物である。
【化4】
【0026】
本発明の非常に好ましい態様では、R
2は、H、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造であり;
R
2は、特に、好ましくは、Hまたは、各場合に1以上の基R
5により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造である。
【0027】
非常に特に好ましい態様では、エレクトロルミッセンス素子は、少なくとも一つの式(3)の化合物を含み、R
2は、Hであり、二個のR
1は、出現毎に同一であるか異なり、好ましくは、同一であり、各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0028】
式(1)〜(3)中のR
2は、特別に、好ましくは、それぞれ1以上の基R
5により置換されてよい、フェニル、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基から選ばれ、ここで、これらは非置換であるかまたはHであることがさらに好ましい。
【0029】
さらに非常に特に好ましい態様では、エレクトロルミッセンス素子は、少なくとも一つの式(3)の化合物を含み、R
2は、各場合に1以上の基R
5により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造であり、R
1は、出現毎に互いに同一であるか、異なり、好ましくは、同一であり、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)である。
【0030】
エレクトロルミッセンス素子は、少なくとも一つの式(4)の化合物を含むことが、さらに好ましく
【化5】
【0031】
式中、Xは、出現毎に同一であるか異なり、NまたはCR
4であり、ここで、環毎に基Xの三個だけはNであってよい。非常に、好ましくは、式(4)中のXは、CR
4であり、ここで、上記定義は、基R
1、R
2およびR
4に適用される。
【0032】
好ましい基Ar
1、Ar
2は、以下の表に示される式(5)〜(60)を有する基から選ばれ、ここで、すでに示されたとおりに、基は置換されてよく、互いに同一であるか異なる一以上のR
4により置換されてよい。
【化6-1】
【化6-2】
【化6-3】
【化6-4】
【化6-5】
【0033】
本発明の意味で好ましいエレクトロルミッセンス素子は、少なくとも一つの式(1)の化合物を含み、Ar
1およびAr
2は、芳香族環だけを含み、複素環式芳香族環を含まない
Ar
1およびAr
2は、特別に、好ましくは、同一であるか異なり、それぞれ1以上の基R
4により置換されてよい、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基から選ばれ、ここで、これらは非置換であることが、さらに好ましい。
【0034】
本発明のさらに非常に好ましい態様では、式(1)の化合物において、
二個の基R
1は、同一であり、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい6〜30個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい9〜30個の環原子を有する縮合環構造であり;ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族縮合環の場合、10個以下の環原子が存在してよく;2個の基R
1は、閉環を形成してもよく、その結果スピロ化合物を形成し、ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族環は、二個の基R
1により形成された環上には縮合せず;
nは、1であり、基R
2は、フルオレンの7位にあり;
mは、0であり;
R
2は、1〜20個のC原子を有するアルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、ピリジル、フェニル、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基であり、基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、非置換である芳香族もしくは複素環式芳香族基は、非置換であるかまたはHであることがさらに、好ましく;
Ar
1とAr
2は、同一であるか異なり、それぞれ1以上の基R
4により置換されてよい、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基から選ばれ、ここで、これらは非置換であることがさらに好ましい。
【0035】
本発明のさらに非常に好ましい態様では、式(1)の化合物において、
二個の基R
1は、同一であり、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)であり;
nは、1であり、基R
2は、フルオレンの7位にあり;
mは、0であり;
R
2は、Hまたはピリジル、フェニル、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基であり、基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、非置換である芳香族もしくは複素環式芳香族基が、さらに、好ましく;
Ar
1とAr
2は、同一であるか異なり、それぞれ1以上の基R
4により置換されてよい、ビフェニル、テルフェニルおよびクアテルフェニル基から選ばれ、ここで、これらは非置換であることがさらに好ましい。
【0036】
本発明のさらに非常に好ましい態様では、式(1)の化合物において、
二個の基R
1は、同一であり、各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい6〜30個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい9〜30個の環原子を有する縮合環構造であり;ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族縮合環の場合、10個以下の環原子が存在してよく;
nは、1であり、基R
2は、フルオレンの7位にあり;
mは、0であり;
R
2は、1〜20個のC原子を有するアルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、ピリジル、フェニル、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基であり、基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、非置換である芳香族もしくは複素環式芳香族基は、非置換であるかまたはHであることがさらに、好ましく、ここで、R
2は、好ましくは、Hであり;
Ar
1とAr
2は、同一であるか異なり、それぞれ1以上の基R
4により置換されてよい、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基から選ばれ、ここで、これらは非置換であることがさらに好ましい。
【0037】
本発明の意味でさらに好ましくは、少なくとも一つの式(1)の化合物を含むエレクトロルミッセンス素子は、一つのフルオレンを除いて、さらなるポリ環式もしくは縮合基を含まない。
【0038】
本発明による化合物は、当業者に一般的に知られたプロセスにより、合成することができる。調製は、たとえば、ハロゲン化、ブッフバルトカップリンおよびスズキカップリングにより実施することができる。
【0039】
以下のスキームは、本発明の化合物(1)の調製のための好ましい合成経路を示す。本発明の化合物の合成のために、フルオレン化合物Aは、ブッフバルトカップリンで式Ar
1-NH-Ar
2のアミンBと反応する。
【化7】
【0040】
本発明の化合物の調製のための別の好ましい合成経路は、以下のスキームに描かれる。化合物C中のカルボキシレート基は、アルキル-もしくはアリール-金属化合物、たとえば、アルキル-もしくはアリールリチウム化合物、アルキル-もしくはアリール-グリニャール化合物の付加反応により、対応するアルコールDに変換される。このアルコールは、酸性条件下環化することができ化合物Eを得る。最後に式Ar
1-NH-Ar
2のアミンBへのブッフバルトカップリングが、実施される。
【化8】
【0041】
以下のスキームは、本発明の化合物の調製のためのさらに好ましい合成経路を示す。この目的のために、フルオレンAは、スズキカップリングで式Ar
3-B(OH)
2のボロン酸Fと反応する。得られた化合物の臭素化を使用して、たとえば、式Ar
1-NH-Ar
2のアミンBへのブッフバルトカップリングに続く臭素化により、本発明の対応する化合物が得られる。
【化9】
【0042】
本発明の化合物の合成で使用される出発化合物A、BおよびCのための合成経路は、当業者に知られている。さらに、いくつかの明白な合成プロセスが、実施例で詳細に説明される。
【0043】
ここで、カップリング反応は、好ましくは、ブッフバルトカップリングである。
【0044】
上記に記載される化合物、特に、臭素、沃素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステル等の反応性脱離基により置換された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの調製のためのモノマーとして使用することができる。ここで、オリゴマー化またはポリマー化は、好ましくは、ハロゲン官能基またはボロン酸官能基により生じる。
【0045】
本発明のエレクトロルミッセンス素子に使用される好ましい化合物が、以下の表の例により示される。
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
【化10-5】
【化10-6】
【化10-7】
【化10-8】
【化10-9】
【化10-10】
【化10-11】
【化10-12】
【化10-13】
【化10-14】
【化10-15】
【0046】
本発明は、また、一般式(167)の化合物に関し;
【化11】
【0047】
式(167)中で、以下が、使用される記号に適用される:
Ar
3、Ar
4は、出現毎に同一であるか異なり、10〜60個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、互いに、同一であるか異なる1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、二個の基Ar
3とAr
4は、それぞれ、少なくとも二個以上の芳香族もしくは複素環式芳香族環、好ましくは、芳香族環を含み;
R
7は、出現毎に同一であるか異なり、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
5(R
5は、上記示されるとおりに定義される。)により置換されてよい6〜30個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい9〜30個の環原子を有する縮合環構造より成る基から選ばれ;ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族縮合環の場合、10個以下の環原子が縮合環構造中に存在してよく;2個の基R
7は、また、たがいに閉環を形成してよく、その結果スピロ化合物を形成し、ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族環は、二個の基R
7により形成された環上には縮合せず;および、ここで、R
7が直鎖もしくは分岐アルキルであるならば、R
8は、各場合に、1以上の基R
5(R
5は、上記示されるとおりに定義される。)により置換されてよい6〜30個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
R
8は、H、D、各場合に、1以上の基R
5(R
5は、上記示されるとおりに定義される。)により置換されてよい6〜30個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、および、ここで、R
8がHであるならば、R
7は、各場合に、1以上の基R
5(R
5は、上記示されるとおりに定義される。)により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
aは、1、2、3または4の何れか、好ましくは、1または2,非常に、好ましくは、1であり;
ただし、式(167)の化合物は、一つのフルオレン基を除いて、かつ、フルオレンの9位の可能な縮合もしくはポリ環式基を除いて、さらなるポリ環式もしくは縮合基を含まず、
および、ただし、化合物はハロゲンを含まない。
【0048】
式(167)の化合物は、一つのフルオレン基を除いて、さらなるポリ環式もしくは縮合基を含まないことが好ましい。
【0049】
a=1でR
8がフルオレンの7位にある式(167)の化合物、すなわち、式(168)の化合物が好ましい。
【0050】
特に、好ましい式(167)および(168)の化合物は、使用する記号には、以下が適用され;
【化12】
【0051】
Ar
3、Ar
4は、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ1以上の基R
5により置換されてよい、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基から選ばれ、ここで、これらは非置換であることが好ましく;
R
7は、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基R
5(R
5は、上記示されるとおりに定義される。)により置換されてよい6〜30個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい9〜30個の環原子を有する縮合環構造より成る基から選ばれ;ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族縮合環の場合、10個以下の環原子が縮合環構造中に存在してよく、
ただし、式(168)の化合物は、一つのフルオレン基を除いて、かつ、フルオレンの9位の可能な縮合もしくはポリ環式基を除いて、さらなるポリ環式もしくは縮合基を含まず、
および、ただし、化合物はハロゲンを含まない。
【0052】
式(167)のさらに好ましい化合物は、一般式(169)の化合物であり;
【化13】
【0053】
ここで、Xは、出現毎に同一であるか異なり、NまたはCR
5であり、R
5、Ar
3およびAr
4は、上記に示されるとおりである。式(169)中の好ましいXは、CR
5であることが好ましい。
【0054】
式(169)中のAr
1およびAr
3は、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ1以上の基R
5により置換されてよい、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基から、好ましくは選ばれ、ここで、これらは非置換であることが好ましい。
【0055】
最も好ましいのは式(170)の化合物であり、
【化14】
【0056】
式(170)中のAr
1およびAr
3は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ1以上の基R
5により置換されてよい、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基から選ばれ、ここで、これらは非置換であることがさらに好ましい。
【0057】
本発明のさらに好ましい態様では、化合物は、一般式(171)から選ばれ、
【化15】
【0058】
上記定義が、使用される記号に適用される。
【0059】
式(171)中のAr
1およびAr
3は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ1以上の基R
5により置換されてよい、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基から選ばれ、ここで、これらは非置換であることがさらに好ましい。
【0060】
式(5)のさらに好ましい化合物は、式(172)の化合物であり、
【化16】
【0061】
ここで、以下が、使用される記号に適用され、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、NまたはCR
5であり、好ましくは、CR
5であり、R
5は上記示されるとおりに定義され、
R
7は、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)であり、ここで、2個の基R
7は、また、たがいに閉環を形成してよく、その結果スピロ化合物を形成し、ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族環は、二個の基R
7により形成された環上には縮合しない。
【0062】
式(172)中のAr
1およびAr
3は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ1以上の基R
5により置換されてよい、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基から選ばれ、ここで、これらは非置換であることがさらに好ましい。
【0063】
本発明のさらに好ましい態様では、化合物は、一般式(173)の化合物から選ばれ、
【化17】
【0064】
ここで、以下が、使用される記号に適用され、
R
7は、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
5により置換されてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)であり、ここで、2個の基R
7は、また、たがいに閉環を形成してよく、その結果スピロ化合物を形成し、ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族環は、二個の基R
7により形成された環上には縮合しない。
【0065】
式(173)中のAr
1およびAr
3は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ1以上の基R
5により置換されてよい、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル基から選ばれ、ここで、これらは非置換であることがさらに好ましい。
【0066】
非常に、特に、好ましいのは、例により示される以下の式(174)〜(236)の化合物である。
【化18-1】
【化18-2】
【化18-3】
【化18-4】
【化18-5】
【化18-6】
【化18-7】
【化18-8】
【化18-9】
【0067】
本発明の化合物は、電子素子に使用される他の有機機能性材料とともに組成物として使用することができる。多くの可能な有機機能性材料が当業者に知られている。したがって、本発明は、また、一以上の式(167)化合物と蛍光エミッター、燐光エミッター、ホスト材料、マトリックス材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔伝導材料、正孔注入材料、電子ブロック材料および正孔ブロック材料より成る群から選ばれる少なくとも一つのさらなる有機機能性材料とを含む組成物に関する。
【0068】
液相からの、たとえば、スピンコーティングによるまたは印刷プロセスによる本発明の化合物の加工のためには、本発明の化合物の調合物を必要とする。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはミニエマルジョンであり得る。この目的のためには、二以上の溶媒の混合物を使用することが好ましいかもしれない。適切で、好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、ジメチルアニソール、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサンまたはこれら溶媒の混合物である。
【0069】
したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの式(167)の化合物または式(167)の単位を含む少なくとも一つのポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーと少なくとも一つの溶媒、好ましくは、有機溶媒を含む調合物、特に、溶液、分散液もしくはミニエマルジョンに関する。この型の溶液を調製することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、出願WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0070】
本発明の化合物は、エレクトロルミネッセンス素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(たとえば、OLEDもしくはOLEC)での使用のために適している。化合物は、置換に応じて、種々の機能および層に使用される。
【0071】
したがって、本発明は、さらに、式(167)の化合物の電子素子での使用と一以上の式(1)の化合物を含む電子素子自体に関する。ここで、電子素子は、好ましくは、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)から選ばれ、特に、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLEDもしくはOLEC)から選ばれる。
【0072】
上記したとおり、本発明は、少なくとも一つの式(167)の化合物を含む電子素子に関する。ここで、電子素子は、好ましくは、上記言及した素子から選ばれる。特に、好ましくは、アノード、カソードと少なくとも一つの発光層を含む有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)であり、ここで、発光層、正孔輸送層もしくは他の層であり得る少なくとも一つの有機層は、少なくとも一つの式(167)の化合物を含む。
【0073】
本発明の意味での、アリール基は、6〜60個の芳香族環原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個は、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0074】
ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、単純な芳香族環すなわちベンゼン、または、単純な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン、または、縮合芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかの意味で使用される。本発明の意味での縮合芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基は、互いに縮合した二以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0075】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に、上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0076】
本発明の定義にしたがいアリールオキシ基は、酸素原子を介して結合する、上記定義のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義がヘテロアリールオキシ基に適用される。
【0077】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp
3混成のC、Si、NあるいはO原子、sp
2混成のCあるいはN原子もしくはsp混成のC原子のような非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により連結されていてもよい構造を意味するものと解される。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用される。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0078】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0079】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0080】
上記に記載される式(1)の化合物、臭素、沃素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステル等の反応性脱離基により置換されてよい。これらは、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの調製のためのモノマーとして使用することができる。適切な反応性脱離基は、たとえば、臭素、沃素、塩素、ボロン酸、ボロン酸エステル、アミン、末端C-C二重結合もしくはC-C三重結合をそれぞれ含むアルケニルまたはアルキニル基、オキシラン、オキセタン、環化、たとえば、1,3-双極子環付加を受ける基、たとえば、ジエンもしくはアジド、カルボン酸誘導体、アルコールおよびシランである。
【0081】
したがって、本発明は、さらに、一以上の式(1)の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、ここで、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの結合は、式(1)中で任意の所望の位置に位置することができる。式(1)の化合物の結合に応じて、化合物は、オリゴマーもしくはポリマーの側鎖の構成部分または主鎖の構成部分である。本発明の意味でのオリゴマーは、少なくとも三個のモノマー単位から構築される化合物の意味で使用される。本発明の意味でのポリマーは、少なくとも10個のモノマー単位から構築される化合物の意味で使用される。本発明のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役、部分共役もしくは非共役であってよい。本発明のオリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分岐鎖もしくは樹状であってよい。直鎖状に結合した構造においては、式(1)の単位は、たがいに直接結合するか、または二価の基、たとえば、置換もしくは非置換アルキレン基により、ヘテロ原子により、または二価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により、たがいに結合してよい。分岐および樹状構造においては、三個以上の式(1)の単位は、三価もしくは多価の基、たとえば、三価もしくは多価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により結合してもよく、分岐もしくは樹状オリゴマーまたはポリマーを生じる。
【0082】
式(1)の化合物に対する上記記載したとおりの同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の式(1)の繰り返し単位にあてはまる。
【0083】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明によるモノマーは、さらなるモノマーとホモ重合するか共重合する。適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO2002/22026にしたがう)、スピロビフルオレン(たとえば、EP707020、EP894107もしくはWO2006/061181にしたがう)、パラ-フェニレン(たとえば、WO1992/18552にしたがう)、カルバゾール(たとえば、WO2004/070772もしくはW02004/113468にしたがう)、チオフェン(たとえば、EP1028136にしたがう)、ジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 2005/014689もしくはWO 2007/006383にしたがう)、シス-およびトランス-インデノフルオレン(たとえば、WO2004/041901もしくはWO2004/113412にしたがう)、ケトン(たとえば、WO2005/040302にしたがう)、フェナントレン(たとえば、WO2005/104264もしくはWO2007/017066にしたがう)または複数のこれらの単位から選ばれる。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、また、さらなる単位、たとえば、ビニルトリアリールアミン(たとえば、WO2007/068325にしたがう)もしくは燐光金属錯体(たとえば、WO2006/03000にしたがう)等の発光(蛍光または燐光)単位および/または電荷輸送単位、特に、トリアリールアミン系のものをも通常含む。
【0084】
本発明によるポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、有利な特性、特に、長い寿命、高い効率と良好な色座標を有する。
【0085】
本発明によるポリマーおよびオリゴマーは、一以上の型のモノマーの重合により一般的に調製され、少なくとも一つのモノマーは、ポリマー中に式(1)の繰り返し単位を生じる。適切な重合反応は、当業者に知られ、文献に記載されている。C-CまたはC-N結合を生じる、特に、適切で、好ましい重合反応は、以下のものである:
(A)スズキ重合;
(B)ヤマモト重合;
(C)スチル重合および
(D)ハートウイッグ-ブッフバルト重合
重合をこれらの方法により実行することができる方法と次いでポリマーを反応媒体から分離し、精製することができる方法は、当業者に知られており、文献、たとえば、WO 2003/048225、WO 2004/037887およびWO 2004/037887に詳細に記載されている。
【0086】
したがって、本発明は、また、スズキ重合、ヤマモト重合、スチル重合またはハートウイッグ-ブッフバルト重合により調製されることを特徴とする本発明によるポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーの調製方法に関する。本発明によるデンドリマーは、当業者に知られた方法によりもしくはそれに同様に調製することができる。適切な方法は、文献、たとえば、Frechet, Jean M. J.; Hawker, Craig J., "Hyperbranched polyphenylene and hyperbranched polyesters: new soluble, three-dimensional, reactive polymers"、 Reactive & Functional Polymers (1995), 26(1-3), 127-36; Janssen, H. M.; Meijer, E. W.、 "The synthesis and characterization of dendritic molecules", Materials Science and Technology (1999), 20 (Synthesis of Polymers), 403-458; Tomalia, Donald A., "Dendrimer molecules", Scientific American (1995), 272(5), 62-6、WO 2002/067343 A1およびWO 2005/026144 A1に記載されている。
【0087】
カソード、アノードおよび発光層に加えて、有機エレクトロルミネセンス素子は、さらなる層を含んでよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合を含んでもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はなく、層の選択は使用される化合物と、特に、エレクトロルミネッセンス素子が蛍光であるか燐光であるかに常に依存することが指摘されねばならない。
【0088】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合に、これらの発光層は、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し、青色および黄色、オレンジ色もしくは赤色発光することができる種々の発光化合物を、発光層に使用することができる。特に、好ましいものは、3層構造であり、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。本発明の化合物は、このような素子中で、正孔輸送層、発光層および/または別の層中に存在してもよい。白色光の生成のためには、広波長範囲で発光する個々に使用されるエミッター化合物が、ある色で発光する複数のエミッター化合物に代えて適するかもしれないことに注意する必要がある。
【0089】
式(1)の化合物が、一以上の燐光ドーパントを含むエレクトロルミネセンス素子中で使用されることが、本発明にしたがって、好ましい。ここで、化合物は、種々の層、好ましくは、正孔輸送層、正孔注入層または発光層中で使用することができる。しかしながら、式(1)の化合物は、本発明にしたがって、一以上の蛍光ドーパントを含む電子素子に使用することもできる。
【0090】
用語燐光ドーパントは、典型的には、発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を包含する。
【0091】
適切な燐光発光ドーパント(=三重項エミッター)は、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0092】
本発明の目的のために、すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、燐光化合物とみなされる。
【0093】
上記記載されたエミッターの例は、出願WO 00/70655、WO 01/41512、WO 02/02714、WO 02/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 05/033244、WO 05/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切である。当業者は進歩性を必要とすることなく、有機エレクトロルミネッセンス素子中で式(1)の化合物と組み合わせて更なる燐光錯体を使用することもできよう。
【0094】
適切な燐光エミッター化合物の明確な例が、以下の表によりさらに明らかにされる。
【化19-1】
【化19-2】
【化19-3】
【化19-4】
【化19-5】
【化19-6】
【化19-7】
【化19-8】
【化19-9】
【化19-10】
【0095】
本発明の好ましい態様では、式(1)〜(167)の化合物は、正孔輸送材料として使用される。化合物は、ついで、好ましくは、正孔輸送層および/または正孔注入層中で使用される。本発明の意味での正孔注入層は、アノードに直接隣接する層である。本発明の意味での正孔輸送層は、正孔注入層と発光層との間に位置する層である。正孔輸送層は、発光層に直接隣接してよい。式(1)の化合物が、正孔輸送材料または正孔注入材料として使用されるならば、それらは、電子受容体化合物で、たとえば、F
4-TCNQとまたはEP1476881もしくはEP1596445に記載されるとおりの化合物でドープされるのが好ましいかもしれない。本発明のさらに好ましい態様では、式(1)の化合物は、US2007/0092755に記載されたとおりのヘキサアザトリフェニレン誘導体と組み合わせて、正孔輸送材料として使用される。ここで、ヘキサアザトリフェニレン誘導体は、特に、好ましくは、別の層中で使用される。
【0096】
式(1)〜(167)の化合物が、正孔輸送層中で正孔輸送材料として使用されるならば、化合物は、正孔輸送層中で純粋材料として、すなわち100%の割合で使用することができるか、正孔輸送層中で一以上のさらなる化合物と組み合わせて使用することができる。
【0097】
本発明のさらなる態様では、式(1)〜(167)の化合物は、発光材料として使用される。このために、化合物は、好ましくは、発光層中で使用される。少なくとも一つの式(1)〜(167)の化合物に加えて、発光層は、さらに少なくとも一つのホスト材料を含む。当業者は、何の困難性もなく進歩性を要することなく、公知のホスト材料からの選択をすることができる。
【0098】
本発明のさらなる態様では、式(1)〜(167)の化合物は、一以上のドーパント、好ましくは、燐光ドーパントと組み合わせてマトリックス材料として使用される。
【0099】
マトリックス材料とドーパントとを含む系中のドーパントは、混合物中でのその割合がより少ない成分の意味で使用される。対応して、マトリックス材料とドーパントとを含む系中のマトリックス材料は、混合物中でのその割合がより多い成分の意味で使用される。
【0100】
発光層中のマトリックス材料の割合は、この場合、蛍光発光層に対しては、50.0〜99.9体積%、好ましくは、80.0〜99.5体積%、特に、好ましくは、92.0〜99.5体積%であり、燐光発光層に対しては、85.0〜97.0体積%である。
【0101】
対応して、ドーパントの割合は、蛍光発光層に対しては、0.1〜50.0体積%、好ましくは、0.5〜20.0体積%、特に、好ましくは、0.5〜8.0体積%であり、燐光発光層に対しては、3.0〜15.0体積%である。
【0102】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含んでもよい。この場合にも、ドーパントは、一般的には、系中でのその割合がより少ないものであり、マトリックス材料は、系中でのその割合がより多いものである。しかしながら、個々の場合では、系中の個々のマトリックス材料の割合は、個々のドーパントの割合よりも少なくてよい。
【0103】
本発明のさらに好ましい態様では、式(1)〜(167)の化合物は、混合マトリックス系の成分として使用される。混合マトリックス系は、好ましくは、二または三種の異なるマトリックス材料、特に、好ましくは、二種の異なるマトリックス材料を含む。ここで、二種の材料の一つは、好ましくは、正孔輸送特性を有する材料であり、他方は電子輸送特性を有する材料である。しかしながら、混合マトリックス成分の所望の電子輸送および正孔輸送特性は、単一の混合マトリックス成分中で主にまたは完全に結合されてもよく、さらなる混合マトリックス成分が他の機能を果たす。ここで、二種の異なるマトリックス材料は、1:50〜1:1、好ましくは、1:20〜1:1、特に、好ましくは、1:10〜1:1、非常に、特に、好ましくは、1:4〜1:1の比で存在してよい。混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子中で使用される。混合マトリックス系に関するより正確な情報は、特に、出願WO 2010/108579で得られる。
【0104】
混合マトリックス系は、一以上のドーパント、好ましくは、一以上の燐光ドーパントを含んでよい。一般的に、混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子中で使用される
本発明の化合物と組み合わせて混合マトリックス系のマトリックス成分として特に適切なマトリックス材料は、どの型のドーパントが混合マトリックス系に使用されるかに応じて、以下に示される燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料または蛍光ドーパントのための好ましいマトリックス材料から選ばれる。
【0105】
混合マトリックス系での使用のための好ましい燐光ドーパントは、上記表に示される燐光ドーパントである。
【0106】
本発明の素子中で関連する機能で好ましく使用される材料が、以下に示される。
【0107】
好ましい蛍光ドーパントは、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造であり、特に、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。
【0108】
好ましくは、蛍光ドーパントのための適切なマトリックス材料は、本発明の化合物に加えて、種々のクラスからの材料である。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがう)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがう)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがう)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがう)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052にしたがう)またはベンズアントラセン(たとえば、WO2008/145239)のクラスから選択される。特に、好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に、特に、好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物の意味で使用される。
【0109】
燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料は、本発明の化合物に加えて、芳香族アミン、特に、トリアリールアミン、たとえば、US 2005/0069729にしたがう、カルバゾール誘導体、(たとえば、CBP(N.N-ビスカルバゾリルビフェニル)またはWO2005/039246、US2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851にしたがう化合物、たとえば、出願WO2011/088877およびWO2011/128017にしたがう架橋カルバゾール誘導体、たとえば、WO2010/0136109およびWO2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2004/093207もしくは2010/006680にしたがうケトン、たとえば、WO 2005/003253にしたがうホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン、オリゴフェニレン、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO0205/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 2006/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO2010/015306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP652273およびWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、アルミニウム錯体、たとえば、BAlq、たとえば、WO2010/054729にしたがうジアザシロールおよびテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体およびアルミニウム錯体、たとえば、BAlqである
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層中で、または電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術によりこれらの層に使用される他の材料である。
【0110】
有機エレクトロルミッセンス素子のカソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド金属(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。また、適切なのは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属と銀を含む合金、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、たとえば、AgあるいはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはAg/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましいかもしれない。この目的のために適切なものは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、Cs
2CO
3等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0111】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的に適切なものは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO
x、Al/PtO
x)も好ましいかもしれない。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは光のアウトカップリング(OLED、O−laser)の何れかを可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。
【0112】
素子は(用途に応じて)適切に構造化され、接点を供され、本発明による素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、最後に封止される。
【0113】
好ましい態様では、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、ここで、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0114】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0115】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の式(1)の化合物が、この目的のために必要である。高い溶解性は、化合物の適切な置換により成し遂げることができる。
【0116】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造のために、一以上の層を溶液からまた一以上の層を昇華プロセスにより適用することが、さらに、好ましい。
【0117】
本発明にしたがって、一以上の式(1)〜(167)の化合物を含む電子素子は、照明用途の光源として、医療および/または美容用途(たとえば、光治療)の光源として、表示装置において使用することができる。
【0118】
式(1)〜(167)の化合物を含む素子を、非常に多用途で使用することができる。よって、たとえば式(1)〜(167)の1以上の化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子を、テレビジョン、モバイル電話機、コンピュータ、カメラ用の画面で使用することができる。しかしながら、素子を照明用途にも使用することができる。さらに、式(1)〜(167)の少なくとも1つの化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子、たとえば、OLEDまたはOLECを、医学あるいは美容における光線療法に利用できる。したがって、多数の病気(乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症、にきび、皮膚癌等)、あるいは皮膚の皺、皮膚の発赤、皮膚の老化の予防または低減の処置をすることができる。さらに、飲料、食物または食品を新鮮に保つため、あるいは装置(たとえば、医療機器)を滅菌するために、発光素子を利用することができる。
【0119】
本発明による化合物と本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は先行技術より優れた以下の驚異的な利点により、先行技術とは異なる。
【0120】
1.本発明による化合物は、たとえば有機エレクトロルミネッセンス素子のような電子素子における正孔輸送層又は正孔注入層で用いるには、それらの高い正孔移動度により、非常に好適である。
【0121】
2.本発明による化合物は、比較的低い昇華温度、高い温度安定性、高い酸化安定性と高いガラス転移温度を有し、このことはたとえば溶液からのまたは気相からの加工可能性と、電子素子での使用との両者について好都合である。
【0122】
3.電子素子における本発明による化合物の使用は、正孔輸送層または正孔注入層の材料として、さらに発光材料として用いることは、高い効率、低い駆動電圧と長い寿命をもたらす。
【0123】
本発明で説明された態様の変形が、本発明の範囲に入ることが指摘されねばならない。本発明で開示された各特長は、明確に除外されなければ、同じか、等価か、類似する目的に役立つ代替的特徴により置き代えられてよい。したがって、特に断らなければ、本発明で開示された各特長は、一般的な一連の例としてか、等価か類似する特長とみなされなければならない。
【0124】
本発明のすべての特長は、ある特徴および/または工程が相互に排除しないならば、とにかく互いに組み合わせることができる。これは、特に、本発明の好ましい特徴にあてはまる。同様に、非本質的な組み合わせの特徴は、(組み合わせではなく)別に、使用することができる。
【0125】
多くの特徴、特に、本発明の好ましい態様の特徴は、それ自身で発明性があり、本発明の態様の単なる部分としてだけではないとみなされねばならない。現在クレームされた発明に加えてまたその代替として、独立した保護が、これらの特徴のために与えられてよい。
【0126】
本発明で開示された技術的機能に関する教示を抽出し、他の例と組み合わせることができる。
【0127】
本発明は、次の使用例により、より詳細に説明されるが、本発明は例の範囲に限定されるものではない。
【0128】
例
材料
【化20-1】
【化20-2】
【化20-3】
【0129】
材料HIL1、HIL2(EP 0676461)、H1(WO 2008/145239)、ETM1(WO 2005/053055)、SEB1(WO 2008/006449)、LIQおよびNPBは、当業者によく知られている。これらの特性および合成は、先行技術から知られている。化合物(3−3)、(3−1)、(2−1)、(2−2)、(2−7)は本発明にしたがうものである。
【0130】
例1
化合物ビフェニル-2-イルビフェニル-4-イル-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(1−1)と化合物(1−2)〜(1−5)の合成
【化21】
【0131】
23.5gのビフェニル-2-イルビフェニル-4-イルアミン(73ミリモル)と、20.0gの2-ブロモフルオレン(73ミリモル)とを500mlのトルエン中に溶解させ、溶液を脱気し、N
2で飽和させる。2.52g(2.93ミリモル)のトリ-tert-ブチルホスフィンと、0.33g(1.46ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を次いで添加する。10.8gのナトリウムtert-ブトキシド(110ミリモル)をその後、添加する。反応混合物を保護雰囲気下で6時間、沸騰させて加熱する。その後、混合物をトルエンと水との間で分画し、有機相を水で3度洗浄し、Na
2SO
4により乾燥させ、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。粗生成物をシリカゲルを通してトルエンと共に濾過した後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させ、最後に、高真空において昇華させる。純度は99.9%である。収率は32.0g(理論値の85%)である。
【0132】
以下の化合物(1−2)〜(1−5)を同様に調製する。
【化22】
【0133】
例2
化合物ビフェニル-2-イルビフェニル-4-イル-(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-3-イル)アミン(2−1)と化合物(2−2)〜(2−10)の合成
【化23】
【0134】
2-ブロモ-9,9-ジフェニル-9H-フルオレン(2−1)
30g(103ミリモル)のメチル4’-ブロモビフェニル-2-カルボキシレートを、加熱により乾燥させたフラスコ中で、500mlの無水THF中に溶解させる。透明な溶液を−10℃まで冷却し、102ml(307ミリモル)の新たに調製した3Mの2-フェニルマグネシウムブロミド溶液を次いで添加する。反応混合物を室温までゆっくりと温め、次いでNH
4Cl(500ml)を使用して、さます。その後、混合物を酢酸エチルと水との間で分画し、有機相を水で3度洗浄し、Na
2SO
4により乾燥させ、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。400mlの酢酸を残留物に慎重に添加する。80mlの発煙HClをその後添加する。バッチを75℃まで加熱し、5時間、この温度で維持する。白色の固形物をこの期間に沈殿させる。次いで、バッチを室温まで冷却し、沈殿した固形物を吸引濾過し、メタノールでゆすぐ。残留物を真空において40℃で乾燥させる。収率は29.4g(74ミリモル)(理論値の72%)である。
【0135】
以下の臭素化化合物を同様に調製する:
【化24】
【0136】
ビフェニル-2-イルビフェニル-4-イル-(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-3-イル)アミン(2−1)
17gのビフェニル-2-イルビフェニル-4-イルアミン(53ミリモル)と、21gの2-ブロモ-9,9-ジフェニル-9H-フルオレン(53ミリモル)とを350mlのトルエン中に溶解させ、溶液を脱気し、N
2で飽和させる。2.1ml(2.1ミリモル)のトリ-tert-ブチルホスフィンの1M溶液と、0.24g(1.06ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を次いで添加し、12.7gのナトリウムtert-ブトキシド(132ミリモル)をその後、添加する。反応混合物を保護雰囲気下で5時間、沸騰させて加熱する。その後、混合物をトルエンと水との間で分画し、有機相を水で3度洗浄し、Na
2SO
4により乾燥させ、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。粗生成物をシリカゲルを通してトルエンと共に濾過した後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させ、最後に、高真空において昇華させる。純度は99.9%である。収率は25g(理論値の74%)である。
【0137】
以下の化合物(2−2)〜(2−10)を同様に調製することができる。
【化25-1】
【化25-2】
【化25-3】
【0138】
例3
化合物ビフェニル-4-イルビフェニル-2-イル-(9,9-ジメチル-7-フェニル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(3−1)と化合物(3−2)〜(3−8)の合成
【化26】
【0139】
9,9-ジメチル-7-フェニル-9H-フルオレン
8.9g(73ミリモル)のベンゼンボロン酸と、20g(73ミリモル)の2-ブロモ-9,9’-ジメチル-9H-フルオレンとを330mlのジメトキシエタンと、110mlの2M Na
2SO
4溶液中で懸濁させる。2.54g(2.0ミリモル)のテトラキス(トリフェニル-ホスフィン)パラジウムをこの懸濁液に添加する。反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機相を分離させ、100mlの水で3度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。シリカゲルを通してヘプタン/酢酸エチル(20:1)と共に粗生成物を濾過すると、18.8g(95%)の9,9-ジメチル-7-フェニル-9H-フルオレンが得られる。
【0140】
以下のフルオレンを同様に調製する。
【化27】
【0141】
2-ブロモ-9,9-ジメチル-7-フェニル-9H-フルオレン
29.0g(107ミリモル)の9,9-ジメチル-2-フェニル-9H-フルオレンを250mlのCHCl
3中に溶解させ、50mlのCHCl
3中に溶解された17.2g(107ミリモル)の臭素を−10℃でゆっくりと添加する。反応が終わると、水を添加し、有機相を分離させ、乾燥させ、蒸発させる。その後、粗生成物を高温のMeOH/ヘプタン(1:1)で撹拌することにより複数回洗浄する。白色固形物としての生成物の収率は、33.3g(理論値の89%)である。
【0142】
以下の臭素化化合物を同様に調製する。
【化28】
【0143】
ビフェニル-4-イルビフェニル-2-イル-(9,9-ジメチル-7-フェニル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(3−1)
19.9gのビフェニル-2-イルビフェニル-4-イルアミン(62ミリモル)と、21.6gの2-ブロモ-9,9-ジメチル-7-フェニル-9H-フルオレン(62ミリモル)とを400mlのトルエン中に溶解させる。溶液を脱気し、N
2で飽和させる。3ml(3ミリモル)の1M トリ-tert-ブチルホスフィン溶液と、0.57g(2ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を次いで添加する。14.9gのナトリウムtert-ブトキシド(155ミリモル)をその後、添加する。反応混合物を保護雰囲気下で5時間、沸騰させて加熱する。その後、混合物をトルエンと水との間で分画し、有機相を水で3度洗浄し、Na
2SO
4により乾燥させ、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。粗生成物をシリカゲルを通してトルエンと共に濾過した後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させ、最後に、高真空において昇華させる。純度は99.9%である。収率は29.7g(理論値の82%)である。
【0144】
化合物(3−2)〜(3−8)を同様に調製する。
【化29-1】
【化29-2】
【0145】
例4
比較化合物HTMV1〜HTMV6の合成
以下の比較化合物(HTMV1)〜(HTMV6)についても、例3で説明した化合物(3−1)の合成と同様に調製する。
【化30-1】
【化30-2】
【0146】
例5
化合物の特性決定
本発明によるOLEDと先行技術にしたがうOLEDが、WO 04/058911にしたがう一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(層の厚さの変化、材料)に適合される。
【0147】
種々のOLEDのデータが、以下の例で示される(表1、3および2、4参照)。使用する基板は、厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板である。OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/随意に正孔注入層(HIL1)/正孔輸送層(HTL)/正孔注入層(HIL2)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/電子輸送層(ETL)/随意に電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造は、表1と3に示されている。OLEDの製造に必要とされる材料については上述した。
【0148】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合で1種または複数種のマトリックス材料と予備混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、H1:SEB1(95%:5%)等の表現は、材料H1が95体積%の割合で層中に存在し、SEB1が5体積%の割合で層中に在在することを意味する。同様に、電子輸送層は、また、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0149】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/m
2で測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表現「1000cd/m
2におけるEQE」は、駆動輝度1000cd/m
2での外部量子効率を示す。「6000cd/m
2におけるLT80」は、OLEDが、輝度6000cd/m
2から、初期輝度の80%、すなわち、4800cd/m
2に低下するまでの寿命である。種々のOLEDについてのデータが、表2と4に要約されている。
【0150】
蛍光および燐光OLEDでの正孔輸送材料としての本発明による化合物の使用
本発明による化合物は、OLED中で、HIL、HTLまたはEBLとして、特に、適している。それらは、単層でのみならず、HIL、HTL、EBLとしての混合成分として、またはEML内で適している。NPB参照成分(V1、V8)と比べると、本発明による化合物を含む試料は、一重項青色と三重項緑色との両者において、より高い効率に加えて、非常に改善された寿命をも示す。
【0151】
参照材料HTMV1−HTMV6(V2−V10)と比較して、本発明による化合物は、同じかまたはより良好な効率および改善された寿命を有する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】