特許第6430468号(P6430468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6430468
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20181119BHJP
   H01L 31/0747 20120101ALI20181119BHJP
【FI】
   H01L31/04 260
   H01L31/06 455
【請求項の数】22
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-244777(P2016-244777)
(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公開番号】特開2017-112377(P2017-112377A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0181748
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0154395
(32)【優先日】2016年11月18日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】リ キョンソ
(72)【発明者】
【氏名】パク サンウク
【審査官】 島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0364351(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0287583(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02955761(EP,A1)
【文献】 特開2007−294830(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/091681(WO,A1)
【文献】 特開2011−181965(JP,A)
【文献】 特開2014−204128(JP,A)
【文献】 特開2004−363579(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/094578(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L31/02−31/078、
31/18−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質半導体層を含む光電変換部を形成する段階と、
前記光電変換部に連結される電極を形成する段階と、
前記光電変換部及び前記電極に光を提供して後処理する後処理段階とを含み、
前記電極を形成する段階は、前記非晶質半導体層の一表面上で全体的に透明導電性物質を含む第1電極層を形成する段階を含み
前記後処理段階において、工程温度は15℃〜300℃であり、
前記電極を形成する段階の温度は、前記後処理段階を実行する工程温度より低い、太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記光電変換部は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に位置するトンネル膜と、
前記トンネル膜上に位置する導電性領域と
を含み、
前記トンネル膜及び前記導電性領域の少なくとも一つが前記非晶質半導体層で構成される、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記導電性領域が、p型又はn型ドーパントを含む非晶質シリコン層、非晶質シリコン炭化物層、又は非晶質シリコン酸化物層で構成され、
前記トンネル膜が、真性非晶質シリコン層、非晶質シリコン炭化物層、又は非晶質シリコン酸化物層で構成される、請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記電極は、前記導電性領域上に全体的に形成され、透明導電性物質を含む第1電極層と、前記第1電極層上にパターンを持つように形成される第2電極層とを含み、
前記第2電極層は、溶媒、導電性物質及びバインダーを含む低温ペースト層を形成して乾燥することによって形成される、請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記トンネル膜は、前記半導体基板の一面上に位置する第1トンネル膜と、前記半導体基板の後面上に位置する第2トンネル膜とを含み、
前記導電性領域は、前記第1トンネル膜上に位置する第1導電性領域と、前記第2トンネル膜上に位置する第2導電性領域とを含む、請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記後処理段階において、前記光が熱と一緒に提供される、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記後処理段階において、前記光の光度は100W/m〜30000W/mである、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記後処理段階において、前記光の光度は100W/m〜20000W/mである、請求項7に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記後処理段階において、キセノンランプ、ハロゲンランプ、レーザー、プラズマライティングシステム(PLS)及び発光ダイオード(LED)のいずれか一つが光源として使用される、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記後処理段階において、工程温度は100℃〜300℃である、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項11】
前記後処理段階において、工程温度は200℃〜300℃である、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記後処理段階において、前記光の波長は300nm〜1000nmである、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記光の波長は400nm〜800nmである、請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記後処理段階において、工程時間は30秒〜1時間である、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記後処理段階において、工程時間は1分〜30分である、請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記後処理段階は、前記電極を形成する段階以後に遂行するか、あるいは前記電極を形成する段階の少なくとも一部と同時に遂行する、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記電極を形成する段階は、
溶媒、導電性物質及びバインダーを含む低温ペースト層を形成する段階と、
前記導電性物質及び前記バインダーを含む電極層を形成するために前記低温ペースト層を乾燥する乾燥段階と
を含み、
前記後処理段階を前記乾燥段階以後に遂行するか、又は前記乾燥段階と同時に遂行する、請求項16に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記電極は、前記導電性領域上に透明導電性物質を用いて全体的に形成された第1電極層と、前記第1電極層上にパターンを持つように形成される第2電極層とを含み、
前記低温ペースト層を形成する段階及び前記乾燥段階によって前記第2電極層は形成される、請求項17に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記低温ペースト層はガラスフリットを含んでいない、請求項17に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項20】
前記後処理段階は第1ステップと第2ステップを含み、
前記第1ステップでは熱のみを提供し、前記第2ステップでは熱と光を一緒に提供する、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項21】
前記第2ステップで提供される熱の温度は前記第1ステップで提供される熱の温度以上である、請求項20に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項22】
前記後処理段階において、前記光の波長は400nm以下であり、前記光の光度は100W/m〜5000W/mである、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池の製造方法に係り、より詳しくは非晶質半導体層を含む太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油や石炭のような既存のエネルギー資源の枯渇が予想されるにつれて、これらを取り替える代替エネルギーに対する関心が高くなっている。そのうちでも、太陽電池は太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換させる次世代電池として脚光を浴びている。
【0003】
このような太陽電池は多様な層及び電極を設計によって形成することによって製造することができる。ところで、このような多様な層及び電極の設計によって太陽電池の効率が決定できる。太陽電池の商用化のためには低効率を克服しなければならないため、多様な層及び電極が太陽電池の効率を最大化することができるように設計され、太陽電池の効率を最大化する多様な処理が遂行される。
【0004】
よって、太陽電池の構造によって効率を最大化することができるように太陽電池を後処理する工程が含まれる太陽電池の製造方法が要求される。特に、非晶質半導体層を含む太陽電池においては、高温での非晶質半導体層の劣化又はこれを防止するための低温工程によって太陽電池の効率が低下し得るため、これを解決することができる太陽電池の製造方法が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は熱的安全性及び効率を向上させることができる太陽電池の製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例による太陽電池の製造方法は、非晶質半導体層を含む光電変換部を形成する段階と、前記光電変換部に連結される電極を形成する段階と、前記光電変換部及び前記電極に光を提供して後処理する後処理段階とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本実施例によると、後処理段階で太陽電池に光を提供することにより、非晶質半導体層の内部に含まれた水素の量を減らして界面での欠陷を減らすことができる。この際、熱を一緒に提供してこのような効果をより一層向上させることができる。これにより、非晶質半導体層の劣化を効果的に防止することができる。また、電極の伝導度を向上させることができる。よって、太陽電池の充密度などを向上させて太陽電池の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例による太陽電池の製造方法が適用可能な太陽電池の一例を示す断面図である。
図2図1に示す太陽電池の第2電極層の平面図である。
図3】本発明の一実施例による太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。
図4a図3に示す太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図4b図3に示す太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図4c図3に示す太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図4d図3に示す太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図4e図3に示す太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図4f図3に示す太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図4g図3に示す太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図4h図3に示す太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図4i図3に示す太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図4j】本発明の実施例による2ステップを含む後処理段階を説明する図である。
図5図3に示す太陽電池の製造方法の後処理段階に関連し、熱のみを加える場合と熱と光を一緒に加える場合の太陽電池(又は半導体基板)の温度を測定して示した図である。
図6】本発明の他の実施例による太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施例による太陽電池の製造方法の後処理段階が適用可能な太陽電池の他の例を示す断面図である。
図8】本発明の実験例2によって製造された複数の太陽電池の充密度の相対値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明がこのような実施例に限定されるものではなく、多様な形態に変形可能であるのは言うまでもない。
【0010】
図面では、本発明を明確で簡略に説明するために、説明と関係ない部分の図示を省略し、明細書全般にわたって同一又は極めて類似の部分に対しては同一の参照符号を付ける。そして、図面では、より明確な説明のために、厚さ、広さなどを拡大又は縮小して示したが、本発明の厚さ、広さなどは図面に示したものに限定されない。
【0011】
そして、明細書全般にわたってある部分が他の部分を“含む”というとき、特に反対の記載がない限り、他の部分を排除するものではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“上に”あるというとき、これは他の部分の“真上に”ある場合だけではなく、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“真上に”あるというときには、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0012】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例による太陽電池の製造方法を詳細に説明する。まず、本発明の実施例による太陽電池の製造方法が適用可能な太陽電池の一例を説明し、これを後処理する後処理段階を含む太陽電池の製造方法について説明する。
【0013】
図1は本発明の実施例による太陽電池の製造方法が適用可能な太陽電池の一例を示す断面図である。
【0014】
図1を参照すると、本実施例による太陽電池100は、ベース領域10を含む半導体基板110と、半導体基板110上に形成されるトンネル膜52、54と、トンネル膜52、54上に形成される導電性領域20、30と、導電性領域20、30に連結される電極42、44とを含む。ここで、トンネル膜52、54は、半導体基板110の第1面(以下“前面”)上に形成される第1トンネル膜52、及び半導体基板110の第2面(以下“後面”)上に形成される第2トンネル膜54を含むことができる。導電性領域20、30は、半導体基板110の前面側で第1トンネル膜52上に形成される第1導電性領域20、及び半導体基板110の後面側で第2トンネル膜54上に形成される第2導電性領域30を含むことができる。そして、電極42、44は、第1導電性領域20に連結される第1電極42、及び第2導電性領域30に連結される第2電極44を含むことができる。これをより詳細に説明する。
【0015】
半導体基板110は結晶質半導体でなることができる。一例として、半導体基板110は単結晶又は多結晶半導体(一例として、単結晶又は多結晶シリコン)でなることができる。特に、半導体基板110は、単結晶半導体(例えば、単結晶半導体ウエハー、より具体的には、単結晶シリコンウエハー)でなることができる。このように、半導体基板110が単結晶半導体(例えば、単結晶シリコン)でなれば、太陽電池100が単結晶半導体太陽電池(例えば、単結晶シリコン太陽電池)を構成することになる。このように、結晶性が高くて欠陷が少ない結晶質半導体でなる半導体基板110を基にする太陽電池100は優れた電気的特性を有することができる。
【0016】
本実施例においては、半導体基板110に別のドーピング領域が形成されなく、半導体基板110がベース領域10のみでなることができる。このように、半導体基板110に別のドーピング領域が形成されなければ、ドーピング領域を形成するときに発生し得る半導体基板110の損傷、欠陥の増加などが防止され、半導体基板110が優れたパッシベーション特性を有することができる。これにより、半導体基板110の表面で発生する表面再結合を最小化することができる。
【0017】
本実施例において、半導体基板110又はベース領域10は第1又は第2導電型ドーパントが低いドーピング濃度でドープされて第1又は第2導電型を有することができる。この際、半導体基板110又はベース領域10は、これと同一の導電型を有する(第1及び)第2導電性領域(20、)30の一つより低いドーピング濃度、高い抵抗又は低いキャリア濃度を有することができる。一例として、本実施例において、ベース領域10は第2導電型を有することができる。
【0018】
半導体基板110の前面及び/又は後面はテクスチャー(texturing)されて凹凸を有することができる。凹凸は、一例として、半導体基板110の(111)面でなり、不規則な大きさを有するピラミッド形状を有することができる。このようなテクスチャーによって半導体基板110の前面などに凹凸が形成されて表面粗さが増加すれば、半導体基板110の前面などに入射する光の反射率を低めることができる。したがって、ベース領域10と第1導電型の第1導電性領域20によって形成されたpn接合まで到逹する光量を増加させることができ、光損失を最小化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体基板110の前面及び後面にテクスチャーによる凹凸が形成されないことも可能である。
【0019】
半導体基板110の前面上には第1トンネル膜52が形成され、半導体基板110の後面上には第2トンネル膜54が形成される。
【0020】
第1及び第2トンネル膜52、54は電子及び正孔に対して一種のバリア(barrier)として作用し、少数のキャリア(minority carrier)が通過しないようにし、第1及び第2トンネル膜52、54に隣接した部分で蓄積した後、一定量以上のエネルギーを有する多数のキャリア(majority carrier)のみが第1及び第2トンネル膜52、54をそれぞれ通過することができるようにする。この際、一定量以上のエネルギーを有する多数のキャリアはトンネリング効果によって易しく第1及び第2トンネル膜52、54を通過することができる。
【0021】
このような第1又は第2トンネル膜52、54はキャリアがトンネリングされることができる多様な物質を含むことができる。一例として、窒化物、半導体、伝導性高分子などを含むことができる。例えば、第1又は第2トンネル膜52、54は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸化窒化物、真性非晶質半導体(一例として、真性非晶質シリコン)、真性多結晶半導体(一例として、真性多結晶シリコン)などを含むことができる。この際、第1及び第2トンネル膜52、54が真性非晶質半導体を含むことができる。一例として、第1及び第2トンネル膜52、54が非晶質シリコン(a−Si)層、非晶質シリコン炭化物(a−SiCx)層、非晶質シリコン酸化物(a−SiOx)層などでなることができる。すると、第1及び第2トンネル膜52、54が半導体基板110と類似した特性を有するから、半導体基板110の表面特性をより効果的に向上させることができる。
【0022】
この際、第1及び第2トンネル膜52、54は半導体基板110の前面及び後面にそれぞれ全体的に形成されることができる。これにより、半導体基板110の前面及び後面を全体的にパッシベーションすることができ、別のパターニングなしに易しく形成することができる。
【0023】
トンネリング効果を十分に具現することができるように、トンネル膜52、54の厚さは5nm以下であってもよく、0.5nm〜5nm(一例として、1nm〜4nm)であってもよい。トンネル膜52、54の厚さが5nmを超えれば、トンネリングが円滑にできなくて太陽電池100が作動しないこともあり、トンネル膜52、54の厚さが0.5nm未満であれば、所望の品質のトンネル膜52、54を形成することに難しさがあり得る。トンネリング効果をより向上させるためには、トンネル膜52、54の厚さが1nm〜4nmであってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、トンネル膜52、54の厚さが変わってもよい。
【0024】
第1トンネル膜52上には第1導電型を有する第1導電性領域20が形成されることができる。そして、第2トンネル膜54上には第1導電型と反対の第2導電型を有する第2導電性領域30が位置することができる。
【0025】
第1導電性領域20は第1導電型ドーパントを含んで第1導電型を有する領域であってもよい。そして、第2導電性領域30は第2導電型ドーパントを含んで第2導電型を有する領域であってもよい。一例として、第1導電性領域20が第1トンネル膜52に接触し、第2導電性領域30が第2トンネル膜54に接触することができる。すると、太陽電池100の構造が単純化し、第1及び第2トンネル膜52、54のトンネリング効果が最大化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0026】
第1及び第2導電性領域20、30はそれぞれ半導体基板110と同一の半導体物質(より具体的に、単一半導体物質、一例として、シリコン)を含むことができる。一例として、第1及び第2導電性領域20、30が非晶質シリコン(a−Si)層、非晶質シリコン炭化物(a−SiCx)層、非晶質シリコン酸化物(a−SiOx)層などでなることができる。すると、第1及び第2導電性領域20、30が半導体基板110と類似した特性を有するので、互いに異なる半導体物質を含む場合に発生し得る特性差を最小化することができる。ただ、第1及び第2導電性領域20、30が半導体基板110上に半導体基板110とは別個に形成されるので、半導体基板110上に易しく形成されることができるように半導体基板110とは違う結晶構造を有することができる。
【0027】
例えば、第1及び第2導電性領域20、30のそれぞれは、蒸着などの多様な方法によって易しく製造可能な非晶質半導体などに第1又は第2導電型ドーパントをドープすることによって形成されることができる。すると、第1及び第2導電性領域20、30が簡単な工程によって易しく形成されることができる。この際、第1及び第2トンネル膜52、54が真性非晶質半導体(一例として、真性非晶質シリコン)でなれば、優れた接着特性、優れた電気伝導度などを有することができる。
【0028】
ベース領域10が第2導電型を有すれば、第1導電型を有する第1導電性領域20がベース領域10とは違う導電型を持ってベース領域10とpn接合を形成するエミッタ領域を構成する。そして、第2導電型を有する第2導電性領域30が半導体基板110と同一の導電型を有するとともに半導体基板110より高いドーピング濃度を有する裏面電界(back surface field、BSF)を形成する裏面電界領域を構成する。すると、半導体基板110の前面側にエミッタ領域を構成する第1導電性領域20が位置して、pn接合に接合する光の経路を最小化することができる。
【0029】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。他の例として、ベース領域10が第1導電型を有すれば、第1導電性領域20が前面電界領域を構成し、第2導電性領域30がエミッタ領域を構成する。
【0030】
第1又は第2導電型ドーパントとして使われるp型ドーパントとしては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を挙げることができ、n型ドーパントとしては、リン(P)、ヒ素(As)、ビズマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を挙げることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、多様なドーパントが第1又は第2導電型ドーパントとして使用可能である。
【0031】
このように、光電変換部を構成する第1及び第2トンネル膜52、54及び第1及び第2導電性領域20、30の少なくとも一つが非晶質半導体層を含めば(一例として、非晶質シリコンを含めば)、簡単な製造が可能であり、半導体基板110がドーピング領域を備えずにベース領域10のみで構成されて優れた特性を有し、高価の半導体基板110の厚さを減らしてコストを節減することができる。しかし、非晶質半導体層は異種接合を構成する半導体基板110との界面での欠陷が多くて高温によって易しく劣化する特性があるため、低温工程を適用しなければならない。低温工程を適用すれば、導電性領域20、30と電極42、44の接触抵抗などを低めるのに限界があった。これを考慮し、この実施例では、非晶質半導体層を含む光電変換部を備える太陽電池100において、非晶質半導体層の劣化を防止するとともに導電性領域20、30と電極42、44の接触抵抗を防止することができる後処理段階(図3の参照符号ST50、以下同じ)を遂行する。これについては、追後に太陽電池100の製造方法又は後処理方法の説明でより詳細に説明する。
【0032】
第1及び第2導電性領域20、30上には、それぞれこれらに連結される第1及び第2電極42、44が位置する。第1及び第2電極42、44は、第1導電性領域20上で第1導電性領域20に連結される第1電極42と、第2導電性領域30上で第2導電性領域30に連結される第2電極44とを含むことができる。
【0033】
第1電極42は第1導電性領域20上に順に積層される第1電極層421及び第2電極層422を含むことができる。
【0034】
ここで、第1電極層421は第1導電性領域20上に全体的に形成される(一例として、接触する)ことができる。全体的に形成されるというのは、空間又は空いた領域なしに第1導電性領域20の全体を覆うだけではなく、不可避に一部が形成されない場合を含むことができる。このように、第1電極層421が第1導電性領域20上に全体的に形成されれば、キャリアが第1電極層421を通じて易しく第2電極層422まで到逹することができ、水平方向への抵抗を減らすことができる。非晶質半導体層でなる第1導電性領域20の結晶性が相対的に低くてキャリアの移動度(mobility)が低いことがあり得るので、第1電極層421を備えてキャリアが水平方向に移動するときの抵抗を低下させるものである。
【0035】
このように、第1電極層421が第1導電性領域20上に全体的に形成されるので、光を透過することができる物質(透過性物質)でなることができる。すなわち、第1電極層421は透明伝導性物質でなることで、光が透過することができるようにしながらキャリアが易しく移動することができるようにする。したがって、第1電極層421を第1導電性領域20上に全体的に形成しても光の透過を遮断しない。一例として、第1電極層421はインジウムスズ酸化物(indium tin oxide、ITO)、炭素ナノチューブ(carbon nano tube、CNT)などを含むことができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1電極層421その外の多様な物質を含むことができる。
【0036】
第1電極層421上に第2電極層422が形成されることができる。一例として、第2電極層422は第1電極層421に接触するように形成されて第1電極42の構造を単純化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1電極層421と第2電極層422の間に別の層が存在するなどの多様な変形が可能である。一方、第2電極層422は図示のように単層構造であるか、あるいは図示とは違い、多層構造であってもよい。
【0037】
第1電極層421上に位置する第2電極層422は第1電極層421より優れた電気伝導度を有する物質でなることができる。よって、第2電極層422によるキャリア収集効率、抵抗低減などの特性をより一層向上することができる。一例として、第2電極層422は優れた電気伝導度を有する不透明であるか、あるいは第1電極層421より透明度が低い金属でなることができる。
【0038】
このように、第2電極層422は不透明であるか透明度が低くて光の入射を邪魔することができるので、シェーディング損失(shading loss)を最小化することができるように一定のパターンを有することができる。これにより、第2電極層422が形成されなかった部分に光が入射することができるようにする。第2電極層422の平面形状は図2を参照して追後により詳細に説明する。
【0039】
第2電極44は、第2導電性領域30上に順に積層される第1電極層441及び第2電極層442を含むことができる。第2電極44が第2導電性領域30上に位置するという点を除き、第2電極44の第1及び第2電極層441、442の役目、物質、形状などが第1電極42の第1及び第2電極層421、422の役目、物質、形状などと同様であるので、これについての説明がそのまま適用可能である。
【0040】
そして、第1及び第2電極42、44の第1電極層421、441上には反射防止膜、反射膜などの多様な層が位置することができる。
【0041】
この際、本実施例において、第1及び第2電極42、44の第2電極層422、442は低温焼成(一例として、300℃以下の工程温度での焼成)によって焼成可能な物質でなることができる。一例として、第2電極層422、442はガラスフリット(glass frit)を備えずに、伝導性物質と樹脂(バインダー、硬化剤、添加剤)のみを含むことができる。(ガラスフリットを備えなくて低温でも易しく焼成できるようにするためである。伝導性物質としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などを含むことができ、樹脂としてはセルロース系又はフェノール系などのバインダー、アミン系などの硬化剤などを含むことができる。
【0042】
このように、本実施例では、第2電極層422、442が第1電極層421、441に接触して形成されなければならないので、絶縁膜などを貫くファイアスルー(fire−through)が要求されない。よって、ガラスフリットを除去した低温焼成ペーストを使うが、このように第2電極層422、442はガラスフリットを備えずに樹脂のみを備えるので、伝導性物質が焼結(sintering)され、互いに連結されずに互いに接触して凝集(aggregation)するので、伝導性を有することができる。よって、伝導性が低くなることができる。これを考慮し、この実施例では、伝導性を向上させることができる後処理段階(ST50)を遂行する。これについては、追後に太陽電池100の製造方法又は後処理方法でより詳細に説明する。
【0043】
前述した第1及び第2電極42、44の第2電極層422、442の平面形状を図2に基づいてより詳細に説明する。
【0044】
図2図1に示した太陽電池100の第2電極層422、442の平面図である。図2では、半導体基板110と第1及び第2電極42、44の第2電極層422、442を主として示した。
【0045】
図2を参照すると、第2電極層422、442はそれぞれ一定のピッチを持って互いに離隔する複数のフィンガー電極42a、44aを含むことができる。図面ではフィンガー電極42a、44aが互いに平行であるとともに半導体基板110の縁端に平行であるものを例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。そして、第2電極層422、442はフィンガー電極42a、44aと交差する方向に形成されてフィンガー電極42a、44aを連結するバスバー電極42b、44bを含むことができる。このようなバス電極42b、44bは一つのみ備えることもでき、図2に示したように、フィンガー電極42a、44aのピッチより大きなピッチを持って複数を備えることもできる。この際、フィンガー電極42a、44aの幅よりバスバー電極42b、44bの幅が大きくてもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、バスバー電極42b、44bの幅がフィンガー電極42a、44aの幅と同一であるかあるいはそれより小さな幅を有することができる。
【0046】
図面では、第1電極42及び第2電極44の第2電極層422、442が互いに同じ平面形状を有するものを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1電極42のフィンガー電極42a及びバスバー電極42bの幅、ピッチなどは第2電極44のフィンガー電極44a及びバスバー電極44bの幅、ピッチなどと違う値を有することができる。また、第1電極42と第2電極44の第2電極層422、442の平面形状が互いに異なることも可能であり、その以外の多様な変形が可能である。
【0047】
このように、本実施例では、太陽電池100の第1及び第2電極42、44のうち不透明な又は金属を含む第2電極層422、442が一定のパターンを有することによって半導体基板110の前面及び後面に光が入射することができる両面受光型(bi−facial)構造を有する。したがって、太陽電池100で使われる光量を増加させて太陽電池100の効率向上に寄与することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2電極44の第2電極層442が半導体基板110の後面側に全体的に形成される構造を有することも可能である。
【0048】
前述したように、非晶質半導体層を含む光電変換部を備える太陽電池100は、後処理段階(ST50)によって非晶質半導体層の劣化を防止するとともに電極42、44の伝導度を向上させるように後処理されることができる。太陽電池100の製造方法でこれをより詳細に説明する。
【0049】
図3は本発明の実施例による太陽電池の製造方法を示すフローチャート、図4a〜図4iは図3に示す太陽電池の製造方法を示す断面図である。図1及び図2に基づいて太陽電池100で既に説明した内容に対しては詳細な説明を省略し、説明しなかった部分を詳細に説明する。
【0050】
図3を参照すると、本実施例による太陽電池100の製造方法は、半導体基板を準備する段階(ST10)、トンネル膜を形成する段階(ST20)、導電性領域を形成する段階(ST30)、電極を形成する段階(ST40)及び後処理段階(ST50)を含む。電極を形成する段階(ST40)は、第1電極層を形成する段階(ST41)、第1低温ペースト層を形成する段階(ST42)、第1乾燥段階(ST43)、第2低温ペースト層を形成する段階(ST44)及び第2乾燥段階(ST45)を含む。これを図4a〜図4iに基づいて詳細に説明する。
【0051】
まず、図4aに示すように、半導体基板を準備する段階(ST10)では、ベース領域10でなる半導体基板110を準備する。
【0052】
ついで、図4bに示すように、トンネル膜を形成する段階(ST20)では、半導体基板110の表面上に全体的にトンネル膜52、54を形成する。より具体的に、半導体基板110の前面上に第1トンネル膜52を形成し、半導体基板110の後面上に第2トンネル膜54を形成する。図面では、半導体基板110の側面にはトンネル膜52、54が形成されていないものを示したが、半導体基板110の側面上にもトンネル膜52、54が位置することができる。
【0053】
トンネル膜52、54は、一例として、熱的成長法、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD)、原子層蒸着法(ALD))などによって形成されることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、多様な方法でトンネル膜52、54が形成されることができる。
【0054】
ついで、図4cに示すように、導電性領域を形成する段階(ST30)では、トンネル膜52、54上に導電性領域20、30を形成する。より具体的に、第1トンネル膜52上に第1導電性領域20を形成し、第2トンネル膜54上に第2導電性領域30を形成することができる。
【0055】
導電性領域20、30は、一例として、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD)、低圧化学気相蒸着法(LPCVD)など)によって形成されることができる。第1又は第2導電型ドーパントは導電性領域20、30を形成する半導体層を成長させる工程で一緒に含まれるようにすることもでき、半導体層を形成した後、イオン注入法、熱拡散法、レーザードーピング法などによってドープされることもできる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、多様な方法によって導電性領域20、30が形成されることができる。
【0056】
ついで、図4dに示すように、第1電極層を形成する段階(ST41)では、導電性領域20、30上に第1電極層421、441を形成する。より具体的に、第1導電性領域20上に第1電極42の第1電極層421を形成し、第2導電性領域30上に第2電極44の第1電極層441を形成することができる。
【0057】
第1電極層421、441は、一例として、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD))、コーティング法などによって形成されることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、多様な方法によって第1電極層421、441を形成することができる。
【0058】
ついで、図4eに示すように、第1低温ペースト層を形成する段階(ST42)では、導電性領域20、30の一つ上(図面では第1導電性領域20上)に第1低温ペースト層422aを形成する。第1低温ペースト層422aは、伝導性物質、樹脂(バインダー、硬化剤、添加剤など)及び溶媒を含むことができる。伝導性物質、樹脂の構成物質はすでに説明したので省略する。溶媒としては多様な物質を使うことができ、一例として、エーテル系溶媒を使うことができる。この際、第1低温ペースト層422aは、100重量%に対し、伝導性物質が85〜90重量%、樹脂が1〜15重量%、溶媒が5〜10重量%含まれることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0059】
このような第1低温ペースト層422aは多様な方法によって形成されることができ、一例として、所望のパターンで印刷によって形成されることができる。すると、単純な工程によって所望のパターンで第1低温ペースト層422aを形成することができる。一方、第1低温ペースト層422aは図示のように単層構造であるか、あるいは図示とは違い、多層構造であってもよい。
【0060】
ついで、図4fに示すように、第1乾燥段階(ST43)では、第1低温ペースト層422aを乾燥することで、第2電極層422、442の一つ(図面では、第1電極42の第2電極層422)を形成する。第1乾燥段階(ST43)は300℃以下の温度で遂行することができる。このような温度は、トンネル膜52、54、及び導電性領域20、30の劣化を防止することができる低温に限定されたものである。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0061】
このような第1乾燥段階(ST43)によって第1低温ペースト層422aの溶媒が蒸発除去されることにより、第2電極層422、442の一つ(図面では、第1電極42の第2電極層422)は伝導性物質と樹脂でなる。
【0062】
ついで、図4gに示すように、第2低温ペースト層を形成する段階(ST44)では、導電性領域20、30の他の一つ(図面では、第2導電性領域30)上に第2低温ペースト層442aを形成する。第2低温ペースト層442aは、伝導性物質、バインダー及び溶媒を含むことができる。第2低温ペースト層442aは第1低温ペースト層422aと同一又は類似の物質、組成などを有することができるので、これについての詳細な説明は省略する。
【0063】
このような第2低温ペースト層442aは多様な方法によって形成されることができ、一例として、所望のパターンで印刷によって形成されることができる。すると、単純な工程によって所望のパターンで第2低温ペースト層442aを形成することができる。
【0064】
ついで、図4hに示すように、第2乾燥段階(ST45)では、第2低温ペースト層442aを乾燥することで、第2電極層422、442の他の一つ(図面では、第2電極44の第2電極層442)を形成する。第2乾燥段階(ST45)は300℃以下の温度で遂行することができる。このような温度はトンネル膜52、54、及び導電性領域20、30の劣化を防止することができる低温に限定されたものである。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0065】
このような第2乾燥段階(ST45)によって第2低温ペースト層442aの溶媒が蒸発除去されるので、第2電極層422、442の他の一つ(図面では、第2電極44の第2電極層442)は酸素、炭素、硫黄などを含む金属化合物を含まずに伝導性物質と樹脂でなる。
【0066】
図面及び前述した説明では、第1低温ペースト層422aを形成してから乾燥した後、第2低温ペースト層442aを形成してから乾燥する。流動性を有する第1又は第2低温ペースト層422a、442aを両面に所望のパターンで一緒に形成するのが難しいことがあり得る。これを考慮し、流動性を有する第1低温ペースト層422aを形成してから乾燥して第2電極層422、442の一つを形成した状態で、他面に流動性を有する第2低温ペースト層442aを形成する。すると、第2低温ペースト層442aの形成時に第1低温ペースト層422aが下がるなどの問題を防止することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1及び第2低温ペースト層442aを両側に同時に形成した後、これを一緒に乾燥することも可能である。
【0067】
そして、図面及び説明では、第1低温ペースト層422aを半導体基板110の前面に位置する第1導電性領域20上に形成してから乾燥することで、第1電極42の第2電極層422を構成する。その後、第2低温ペースト層442aを半導体基板110の後面に位置する第2導電性領域30上に形成してから乾燥することで、第2電極44の第2電極層422を構成する。しかし、このような順序は一例に過ぎないだけ、本発明がこれに限定されるものではない。第1低温ペースト層422aを半導体基板110の後面に位置する第2導電性領域30上に形成してから乾燥することで、第2電極44の第2電極層442を構成することもできる。この時には、第1低温ペースト層422a以後に形成される第2低温ペースト層442aを半導体基板110の前面に位置する第1導電性領域20上に形成して乾燥することで、第1電極42の第2電極層442を構成する。
【0068】
ついで、図4iに示すように、太陽電池100に光を提供する後処理段階(ST50)を遂行する。この時、太陽電池100に熱を一緒に提供すれば、後処理段階(ST50)の効果をより一層向上させることができる。一方、本実施例において、後処理段階(ST50)は2ステップの後処理段階であってもよい。これについては後述する。
【0069】
後処理段階(ST50)で、太陽電池100に光を提供すれば、水素の移動度を改善して水素の拡散速度を増加させることができる。トンネル膜52、54、及び/又は導電性領域20、30が非晶質半導体層でなる場合にはこれらの内部に多量の水素が含まれている。よって、水素の拡散速度を増加させることにより、水素をこれらの界面まで易しく拡散させることができる。すると、非晶質半導体層の内部に位置する水素の量を大きく減らすことができ、界面での欠陷を減らすことができる。
【0070】
これにより、光又は熱によって非晶質半導体層の内部の水素反応性が増加して発生し得る非晶質半導体層の劣化を防止することができる。したがって、200℃以上の温度で熱的安全性を確保することができる。一例として、本実施例による製造方法によって製造された太陽電池100は300℃以下で熱的安全性を有することができる。よって、太陽電池100にリボンを付着する工程などの後続モジュール工程で非晶質半導体層が劣化することを防止することができる。そして、界面での欠陷を減らしてパッシベーション特性を向上させることができる。
【0071】
本発明による太陽電池の製造方法は、相対的に低い温度である300℃以下の工程温度で遂行することができる。よって、高温の工程温度(例えば、300℃超過)で太陽電池の製造工程が遂行されないので、太陽電池が含む半導体層の劣化を製造段階で防止することができる。
【0072】
また、後処理段階(ST50)で提供された光によって第1及び第2低温ペースト422a、442aから形成された電極42、44の伝導度を向上させることができる。これは、光が第1及び第2低温ペースト422a、442aに含まれたバインダーの活動度(activity)を増加させて光焼結効果を有することができるからであると予想される。
【0073】
この際、後処理段階(ST50)で太陽電池100に提供される光は100W/m〜30000W/mの光度を有することができる。光度が100W/m未満であれば、後処理段階(ST50)による効果が十分でないことがあり得る。30000W/mを超える光度を有する現在の光源によって光を具現しにくいことがあり得る。一例として、後処理段階(ST50)で太陽電池100に提供される光は100W/m〜20000W/mの光度を有することができる。これによれば、後処理段階(ST50)による効果を効果的に向上させることができる。
【0074】
一例として、後処理段階(ST50)で太陽電池100に提供される光は300nm〜1000nmの波長を有することができる。1000nmを超える波長を有する赤外線領域の光は太陽電池100を制御可能な水準以上に加熱することができる。よって、この実施例では、太陽電池100の後処理のみに係わる範囲の波長を有する光のみを使って太陽電池100の後処理段階(ST50)による効果を最大化することができる。一例として、太陽電池100に提供される光が400nm〜800nmの波長を有することができる。このように、太陽電池100の光電変換に直接関与する波長の光を使って非晶質半導体層の劣化を防止すれば、太陽電池100の後処理段階(ST50)での効果を最大化することができる。
【0075】
一方、後処理段階(ST50)で太陽電池100に提供される光は400nm以下の波長を有することができ、具体的に300〜400nmの波長を有することができる。この場合、光度は100W/m〜5000W/mであってもよい。また、後処理段階(ST50)で太陽電池100に提供される光は400nmを超えながらも1000nm以下の波長を有することができ、この場合、光度は100W/m〜30000W/mであってもよい。これは、太陽電池100に提供される光の波長によって相異なるエネルギーを有するからであり、よって光度も光の波長に対応して変化することができる。
【0076】
したがって、400nm以下の波長帯を有する光源の場合はエネルギーが高いから、400nmを超える波長帯を光源と比較したとき、もっと低い光度を提供して効果を最大化することができる。このように、後処理段階(ST50)で太陽電池100に提供される光は前述した範囲の波長と光度で第1及び第2低温ペースト422a、442aの焼成を促進させ、水素の移動度を改善することにより、光によって非晶質半導体層が劣化することを防止することができる。本実施例で、後処理段階(ST50)は常温で又は熱が提供される状態で遂行することができる。特に、後処理段階(ST50)で光と一緒に熱を提供すれば、第1及び第2低温ペースト422a、442aの焼成を促進することができる。そして、水素の移動度を改善することにより、光によって非晶質半導体層が劣化することを防止することができる。一例として、後処理段階(ST50)の工程温度が常温〜300℃(一例として、15〜300℃)であってもよい。ここで、工程温度とは後処理段階(ST50)が行われる太陽電池100(又は半導体基板110)の温度を意味することができる。工程温度を常温より低くすれば、後処理段階(ST50)による効果が低下することができ、常温より低くするために別の装置を使わなければならない。工程温度が300℃を超えれば、後処理段階(ST50)による効果が具現されるに先立ち、後処理段階(ST50)を行う工程中に非晶質半導体層が劣化することができる。一例として、後処理段階(ST50)は工程温度が100℃〜300℃であってもよい。工程温度が100℃以上であるとき、後処理段階(ST50)による効果をより一層向上させることができるからである。
【0077】
この際、本実施例では、後処理段階(ST50)の工程温度を200℃〜300℃にすることができる。前述したように、本実施例によると、後処理段階(ST50)で加わる光によって太陽電池100において非晶質半導体層の劣化を防止することができ、200℃以上の温度で熱的安全性を確保することができるからである。よって、相対的に高い200℃〜300℃の工程温度でも後処理段階(ST50)を遂行することができる。すると、非晶質半導体層そのものの抵抗を最小化することができ、電極42、44の比抵抗も大きく向上させることができる。そして、本実施例では、光によって後処理段階(ST50)での太陽電池100の温度である工程温度を効果的に向上させることができる。すなわち、光を熱と一緒に使えば、図5に示すように、光によっても太陽電池100の温度を向上させることができる。したがって、熱源から太陽電池100に供給される熱の量を減らして製造コストを節減することができる。また、熱源から加わる熱によって太陽電池100の温度を微細に制御しにくいことがあり得るが、熱源によって太陽電池100を概略の温度範囲に入るようにした状態で光を照射することにより、太陽電池100の温度を所望の範囲に微細に制御して安定的に維持することができる。
【0078】
本実施例で、後処理段階(ST50)は、別の予熱工程なしに、前述した工程温度を持って光を提供する後処理装置200内に太陽電池100を投入して進行することができる。工程温度が高くないので、工程温度では急激な温度変化によって太陽電池100の特性が低下するなどの問題が発生する可能性が高くないからである。したがって、予熱工程及びこのための設備を除去して生産性を向上させることができる。
【0079】
後処理段階(ST50)の工程時間は30秒〜1時間であってもよい。工程時間が30秒未満であれば、後処理段階(ST50)による効果が十分でないこともあり得る。工程時間が1時間を超えると、工程時間が長くて生産性が低下することができる。一例として、後処理段階(ST50)の工程時間が1分〜30分であってもよい。これによると、後処理段階(ST50)の効果を安定的に具現しながら高い生産性を維持することができる。
【0080】
一例として、太陽電池100が、光源部222を備えて太陽電池100に光を提供する後処理装置200内で後処理されることができる。この際、後処理装置200は熱源部224をさらに含む熱処理装置であってもよい。
【0081】
光源部222は太陽電池100に所望の光度を有する光を提供する役目をする。後処理段階(ST50)で必要な光の光度が100W/m〜30000W/mなので、光源部222は100W/m〜30000W/mの光度を有する光を提供することができる。
【0082】
この際、後処理段階(ST50)に必要な光度の光を提供するために、光源部222の光度を調節する多様な方法が適用可能である。すなわち、光源部222を構成する光源222a、222bの個数、種類、出力などを調節するか、あるいは光源222a、222bと太陽電池100の間の距離を変更することができる。
【0083】
本実施例では、光源部222が複数の光源222a、222bを含んでいるので、太陽電池100に十分な光を提供することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、高い光度の光が必要ではない場合には、光源222a、222bを一つのみ備えることも可能である。
【0084】
本実施例で、光源222a、222bはプラズマ発光によって光を提供するプラズマライティングシステム(plasma lighting system、PLS)でなることができる。プラズマライティングシステムでは、電球の内部に特定の気体を満たし、マグネトロンによって発生したマイクロ波(microwave)のような電磁波又は入射ビームを印加して電球内部の気体ガスを高度にイオン化させ(すなわち、プラズマを生成させ)、このようなプラズマから光を放出させる。プラズマライティングシステムから放出される光の波長は300〜1200nmであってもよい。
【0085】
プラズマライティングシステムは従来の照明システムの構成要素である電極、フィラメント、水銀を使わないので、環境に優しくて半永久的な寿命を有する。そして、光速維持率が非常に優れて超光速を基準として長期間使っても光量の変化が少ない。熱に強くて熱的安全性に優れ、熱源部224のような空間で使っても問題とならなく、十分な光度の光を放出することができる。参考として、発光ダイオードなどの他の光源は熱に脆弱であるため、熱源部224と一緒に使いにくく、低い水準の光度の光のみを放出する。また、プラズマライティングシステムは可視光領域の全波長にわたってほぼ均一な連続光を放出することができるので、太陽光と類似した光を提供することができる。この際、本実施例で、プラズマライティングシステムの電球内部を満たす気体としては、インジウム(In)とブロム(Br)が和合して形成されたIn−Br化合物を使うことができる。したがって、従来の硫黄(sulfur)気体を使った場合に比べ、太陽光にもっと似ているスペクトラムを有することができる。このように、太陽光に似ているスペクトラムの光を提供すれば、太陽光と類似した条件で後処理段階(ST50)を遂行することができるので、太陽光によって発生し得る劣化などを後処理段階(ST50)で予め効果的に防止することができる。
【0086】
本実施例では、プラズマライティングシステムを含む複数の光源222a、222bを使うことを例示した。したがって、所望の光度の光を太陽電池100に安定的に提供することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、光源222a、222bとして、キセノンランプ、ハロゲンランプ、レーザー、発光ダイオード(LED)などを使うこともできる。すなわち、光源222a、222bとしては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、レーザー、プラズマライティングシステム及び発光ダイオード(LED)の少なくとも1種を使うことができる。
【0087】
一方、光源222a、222bとしては紫外線を発光するUVランプを使うことができる。この場合、前記UVランプは300〜400nm波長の光を放出することができる。ただ、これに制限されるものではなく、UVランプは300nm未満の極紫外線を放出することもできる。
【0088】
本実施例で、光源222a、222bの前面(すなわち、光を放出する面)に位置するカバー基板223は、ベース基板223aと、ベース基板223a上に位置し、屈折率の異なる物質を含む複数の層223bとを含むことができる。
【0089】
ベース基板223aは、光源222a、222bを保護することができる強度を有するとともに光が通過することができるように透過性を有する物質でなることができる。例えば、ベース基板223aはガラスなどでなることができる。
【0090】
複数の層223bは相異なる屈折率を有する層が積層されて構成され、望まない光を遮断するフィルターの役目をすることができる。例えば、複数の層223bは相異なる屈折率を有する酸化物系物質でなることができ、よって300nm未満(一例として、600nm未満)及び1200nm超過(一例として、1000nm超過)の波長を有する光を遮断することができる。複数の層223bの物質、積層構造などは、300nm未満(一例として、600nm未満)及び1200nm(一例として、1000nm超過)超過の波長を有する光を遮断することができる多様な物質、積層構造などが適用可能である。
【0091】
そして、図面では、複数の層232bがベース基板223aの外面側に位置するものを例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、複数の層232bがベース基板223aの内面に位置することも可能であり、内面及び外面の両方に位置することも可能である。
【0092】
本実施例では、光源222a、222bを構成するカバー基板223によって一部の光を遮断して、後処理段階(ST50)で効率的な光のみを太陽電池100に提供することができる。すると、簡単な構造によって後処理段階(ST50)による効果を最大化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、光源222a、222bとは別に光源222a、222bと太陽電池100の間に設けられた光学フィルターなどによって一部の光を遮断することもできる。
【0093】
熱源部224は、後処理装置200で太陽電池100が所望の温度を有するように適切な熱を提供する。この際、熱源部224には多様な方式、構造、形態が適用可能である。
【0094】
一例として、熱源部224を構成する熱源は紫外線ランプであってもよく、例えばハロゲンランプであってもよい。若しくは、熱源としてコイルヒーター(coil heater)などを使うこともできる。熱源としてハロゲンランプなどの紫外線ランプを使えば、コイルヒーターに比べて高速で温度を上昇させることができる。熱源がコイルヒーターを含めば、設備コストを節減することができる。
【0095】
本実施例で、熱源部224は、太陽電池100又は太陽電池100が置かれるコンベヤーベルト又は作業台204から離隔して位置し、輻射(radiation)によってメイン領域の大気を加熱する雰囲気加熱方式で太陽電池100を加熱することができる。すると、熱源部224による太陽電池100の損傷又は太陽電池100の局部的発熱などによる問題を最小化することができる。例えば、熱源部224の熱源が紫外線ランプである場合、紫外線を直接照射すれば、パッシベーション膜22、32のパッシベーション特性を低下させることができる。また、熱源部224の熱源が直接接触する場合、工程誤差などが発生すると、局部的に太陽電池100を加熱して太陽電池100の一部が望まない温度に加熱されるなどの問題が発生し得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、雰囲気加熱の代わりに伝導などによって太陽電池100を加熱させることもできる。
【0096】
前述したように、後処理段階(ST560)では、光源部222によって光を提供し、熱源部224によって一定の温度を維持することができる。この際、本実施例では、光源部222と熱源部224は互いに分離された位置で太陽電池100に光と熱を提供する。すなわち、光源部222を構成する光源222a、222bが一緒に位置し、光源部222を構成する光源222a、222bと熱源部224が互いに交差しない。この状態で、光源部222と熱源部224が太陽電池100に光と熱を提供することにより、光源部222と熱源部224が互いに影響することを最小化することができる。
【0097】
一例として、メイン領域内で光源部222が太陽電池100の一側に位置し、熱源部224が太陽電池100の他側に位置することができる。すると、光源部222と熱源部224による光及び熱を太陽電池100に効果的に伝達しながらも相互間の干渉を最小化することができる。
【0098】
例えば、光源部222が太陽電池100の上側(すなわち、コンベヤーベルト又は作業台204の上側)に位置し、熱源部224が太陽電池100の下側(コンベヤーベルト又は作業台204の下側)に位置することができる。光源部222がコンベヤーベルト又は作業台204の下側に位置する場合には、光源部222から提供された光の一部がコンベヤーベルト又は作業台204によって遮られるため、光を効果的に提供することができないが、熱源部224はコンベヤーベルト又は作業台204の下側に位置しても雰囲気加熱又は伝導によって太陽電池100に十分な熱を提供することができる。したがって、この実施例では、光源部222を太陽電池100又はコンベヤーベルト又は作業台204の上側に位置させ、熱源部224を太陽電池100又はコンベヤーベルト又は作業台204の下側に位置させるものである。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、光源部222及び熱源部224の具体的な位置などが変わることができる。
【0099】
本実施例では、独立的なバッチ(batch)構造を有する後処理装置200内で太陽電池100が後処理されることもできる。すると、工程中に外部の干渉を最小化して工程による効果を最大化し、工程均一度を向上させることができる。また、コンベヤーベルトを省略することができるので、設備に対する負担を減らすことができる。太陽電池100はコンベヤーベルトなどを用いたインライン工程によって後処理装置200内で後処理されることができる。すると、太陽電池100を高速で後処理することができ、太陽電池100の生産量を向上させることができる。
【0100】
図3及び図4a〜図4iでは、第2乾燥段階(ST45)と後処理段階(ST50)が別個の工程で行われるものを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2乾燥段階(ST45)を後処理装置200で行うことで、図6に示すように、第2乾燥段階(ST45)と後処理段階(ST50)を同時に遂行することもできる。これによると、別の工程を付け加えない簡単な工程で後処理段階(ST50)の効果を具現することができる。
【0101】
後処理段階(ST50)以後に太陽電池100がさらに高温で熱処理されれば、後処理段階(ST50)による効果が低下するかあるいはなくなることができる。よって、後処理段階(ST50)は太陽電池100の製造方法の後半に遂行し、比較的高温で行う第2乾燥段階(ST45)と一緒に又は第2乾燥段階(ST45)以後に遂行することができる。したがって、後処理段階(ST50)による効果が低下するかなくなることがないようにすることができる。
【0102】
一方、本発明において、後処理段階(ST50)は、前述したように2ステップでなることができる。図4jは、この実施例において、2ステップでなる後処理段階(ST50)を説明するための模式図である。
【0103】
図4jを検討すると、後処理段階(ST50)は、第1ステップ(1st step)と第2ステップ(2nd step)とを含むことができる。第1ステップ(1st step)はヒーター(heater)によって熱のみ供給する段階であってもよく、第2ステップ(2nd step)はヒーター(heater)と光源222によって熱と光を同時に供給する段階であってもよい。一方、本実施例において、第1ステップ(1st step)より第2ステップ(2nd step)の温度が相対的に高いものとして示されているが、本発明の技術的思想はこれに制限されるものではない。このような図示は第2ステップ(2nd step)で光を熱と一緒に供給する場合、後処理段階(ST50)で処理される太陽電池100が劣化しない温度範囲が第1ステップ(1st step)より相対的に高くなることができることを説明するために示すものである。したがって、第1ステップ(1st step)と第2ステップ(2nd step)の温度は同一であってもよい。
【0104】
図4jをまた参照すると、第1ステップ(1st step)は200℃以下で遂行することができる。太陽電池100に熱を提供すれば、水素の移動度を改善して水素の拡散速度を増加させることができる。すなわち、トンネル膜52、54、及び/又は導電性領域20、30が非晶質半導体層でなる場合には、これらの内部に含まれている多量の水素の拡散速度を増加させて水素をこれらの界面まで易しく拡散させることができる。すると、非晶質半導体層の内部に位置する水素の量を大きく減らすことができ、界面での欠陷を減らすことができる。
【0105】
ついで、第2ステップ(2nd step)で光源222によって光をもっと供給する。第2ステップ(2nd step)で光と熱が一緒に太陽電池100に提供されれば、水素の移動度を第1ステップ(1st step)より改善して水素の拡散速度をより増加させることができる。また、第1及び第2低温ペースト422a、442aから形成された電極42、44の伝導度を向上させることができる。これは、光が第1及び第2低温ペースト422a、442aに含まれたバインダーの活動度(activity)を増加させて光焼結効果を与えることができるからであると予想される。第2ステップ(2nd step)で供給される光は図4iで説明したものと実質的に同一であっても良い。
【0106】
本実施例で、第1ステップ(1st step)と第2ステップ(2nd step)は太陽電池100が置かれるコンベヤーベルトによって連続的に遂行することができるが、これに制限されるものではなく、別個に遂行することもできる。
【0107】
本実施例において、第2ステップ(2nd step)では光を供給するので、太陽電池100が劣化する温度を相対的に高めることができる。太陽電池100の製造において、太陽電池100が非晶質半導体層を含む場合、後処理段階(ST50)の工程温度が200度を超えれば、非晶質半導体層の劣化が発生し得る。しかし、低い工程温度で行われる場合、水素の拡散速度が減少する問題が発生し得る。
【0108】
したがって、本実施例による後処理段階(ST50)は、熱と光を同時に供給する第2ステップ(2nd step)によって、太陽電池100が非晶質半導体層を含む場合、工程温度を200度以上に上げることができる。すなわち、本実施例による後処理段階(ST50)の第2ステップ(2nd step)によって太陽電池100の劣化を防止するとともに水素の拡散速度を増加させることができる。
【0109】
図4i及び図4jに基づいて説明したように、本実施例による太陽電池100の製造方法では、後処理段階(ST50)で太陽電池100に光を提供することで、非晶質半導体層の内部に含まれた水素の量を減らし、界面での欠陷を減らすことができる。この際、熱を一緒に提供してこのような効果をより一層向上させることができる。これにより、非晶質半導体層の劣化を効果的に防止することができる。一例として、本実施例による製造方法による太陽電池100は、300℃以下で熱的安全性を有することができる。一方、後処理段階(ST50)を遂行しない太陽電池100では、200℃以上で熱的安全性が非常に低くて非晶質半導体層が易しく劣化することができる。また、電極42、44の伝導度を向上させることができる。したがって、太陽電池100の充密度などを向上させて効率を向上させることができる。
【0110】
前述した実施例では、半導体基板110と一緒に、非晶質半導体層の第1及び第2トンネル膜52、54、及び第1及び第2導電性領域20、30を光電変換部として含む太陽電池100にこの実施例による後処理段階(ST50)を遂行したものを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、非晶質半導体層を備える多様な構造の太陽電池100にこの実施例による後処理段階(ST50)を遂行することができる。
【0111】
一例として、図7に示すように、薄膜非晶質太陽電池300にもこの実施例による後処理段階(ST50)を遂行することができる。
【0112】
図7を参照すると、本実施例による薄膜非晶質太陽電池300は、第1基板(以下“前面基板”)310と、前面基板310上(より詳細には、図面で前面基板310の下面上)に形成される第1電極320、光電変換部330及び第2電極340を含む。第2電極340上に密封材350及び第2基板(以下“後面基板”)360がさらに形成されることができる。この際、光電変換部330は、第1分離部322、第2分離部332及び第3分離部342によって互いに電気的に連結されるとともに互いに区画された複数の単位セル330a、330b、330cを含む。
【0113】
一例として、前面基板310は、ガラス、高分子などの材質でなる透明基板であってもよい。
【0114】
第1電極320は光透過性を有するとともに電気伝導性を有する透明伝導性物質を含むことができる。一例として、第1電極320は、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide、ITO)又はスズ酸化物(SnO2)でなるか、あるいは金属酸化物とこれに添加される1種以上の不純物(一例として、ボロン(B)、フッ素(F)、アルミニウム(Al)など)を含むことができる。
【0115】
光電変換部330は非晶質半導体層であって、第1導電型を有する第1導電型半導体層(一例として、第1導電型シリコン層)、真性を有する真性半導体層(一例として、真性シリコン層)及び第2導電型を有する第2導電型半導体層(一例として、第2導電型シリコン層)を含み、pin接合構造を有することができる。pin接合構造を形成する第1導電型半導体層、真性半導体層及び第2導電型半導体層には公知の多様な物質、構造などが適用可能なので、これについての説明は省略する。
【0116】
第2電極340は第1電極320より反射特性及び伝導性に優れた物質(一例として、金属物質)を含むことができる。一例として、第2電極340は、銀、アルミニウム、金、ニッケル、クロム、チタン、パラジウム、又はこれらの合金を含む単一又は複数の層を含むことができる。
【0117】
密封材350としては、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ケイ素樹脂、エステル系樹脂、オレフィン樹脂などが使われることができる。
【0118】
後面基板360は、基板、フィルム、シートなどの形態を有することができ、ガラス、高分子などの材質でなることができる。
【0119】
本実施例による薄膜非晶質太陽電池300の製造方法においては、前面基板310に少なくとも第1電極320、光電変換部330及び第2電極340を形成した後、後処理段階(ST50)を遂行することができる。これにより、非晶質半導体層(一例として、非晶質シリコン層)を含む光電変換部330の特性劣化を防止し、光電変換部330に連結される第2電極340の伝導度を向上させることができる。
【0120】
以下、実験例に基づいて本発明をより詳細に説明する。以下の実験例は本発明をより詳細に説明するために提示したものであるだけ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0121】
実験例1
【0122】
結晶質シリコン基板上に非晶質シリコン層で構成された第1及び第2トンネル膜及び第1及び第2導電性領域を形成し、第1低温ペースト層を形成した後、第1乾燥段階を遂行し、第2低温ペースト層を形成した後、第2乾燥段階を遂行することにより、図1に示すような構造を有する太陽電池を製造した。この時、第1及び第2低温ペースト層としては、銀(Ag)90重量部、バインダー5重量部及び溶媒5重量部を含むペーストを使った。
【0123】
ついで、複数の太陽電池にそれぞれ約0W/m(又は別の光が提供されない自然光)、約800W/m、10000W/mの光度を有する光を20分間提供して後処理段階を遂行した。この時、工程温度は約100℃で維持した。この場合、光度が0W/mの場合の充密度を1であると仮定する場合、光度が約800W/mの場合には充密度の相対値は約1.03であり、光度が約10000W/mの場合には充密度の相対値が約1.07であることを実験結果から確認することができた。
【0124】
すなわち、後処理段階で光を使った場合は光を使わなかった場合と比較し、充密度が高いことが分かる。
【0125】
これから、光を提供する後処理段階によって太陽電池の充密度を向上させることができることが分かる。
【0126】
実験例2
【0127】
結晶質シリコン基板上に非晶質シリコン層で構成された第1及び第2トンネル膜及び第1及び第2導電性領域を形成し、第1低温ペースト層を形成した後、第1乾燥段階を遂行し、第2低温ペースト層を形成した後、第2乾燥段階を行うことで、図1に示すような構造を有する太陽電池を複数製造した。これを実施例1による太陽電池と言う。
【0128】
結晶質シリコン基板上に非晶質シリコン層で構成された第1及び第2トンネル膜及び第1及び第2導電性領域を形成し、第1低温ペースト層を形成した後、第1乾燥段階を遂行し、第2低温ペースト層を形成することで、図4gに示すように、第2乾燥段階を遂行しなかった太陽電池を複数製造した。これを実施例2による太陽電池と言う。
【0129】
この時、第1及び第2低温ペースト層としては、銀(Ag)90重量部、バインダー5重量部及び溶媒5重量部を含むペーストを使った。
【0130】
ついで、実施例1及び実施例2による複数の太陽電池に約2500W/mの光度を有する光を20分間提供して後処理段階を遂行した。この時、実施例1及び実施例2による複数の太陽電池には、それぞれ工程温度をそれぞれ約20℃(別の熱を供給しない常温の状態)、約50℃、約110℃、約200℃、約300℃、約400℃及び約500℃に相違させた状態で後処理段階を遂行した。このように後処理段階を遂行した実施例1及び実施例2による複数の太陽電池の充密度を測定し、その相対値を図8に示した。
【0131】
図8を参照すると、実施例1による複数の太陽電池においては、300℃以下の温度で後処理段階を遂行した場合が300℃を超える温度で後処理した場合より高い充密度を有することが分かる。そして、付加の熱を供給しない状態である約20℃の常温で後処理段階を遂行した場合よりは熱を供給した約50℃〜約300℃の温度で後処理段階を遂行した場合に充密度がより高いことが分かる。特に、約100℃〜約300℃の温度で後処理段階を遂行した場合に充密度がとても高い値を有することが分かる。
【0132】
そして、第2乾燥段階を遂行した後に後処理段階を遂行した実施例1より第2乾燥段階で一緒に後処理段階を遂行した実施例2の充密度が概して高いことが分かる。第1及び第2低温ペーストは乾燥段階が繰り返されれば特性がちょっと低下する場合もあるが、実施例2では後処理段階を別個に付け加えなくて第1及び第2低温ペーストの乾燥回数を最小化することによって充密度がより一層高いと予測される。
【0133】
本実施例によると、後処理段階で太陽電池に光を提供することにより、非晶質半導体層の内部に含まれた水素の量を減らし、界面での欠陷を減らすことができる。この時、熱を一緒に提供してこのような効果をより一層向上させることができる。したがって、非晶質半導体層の劣化を効果的に防止することができる。また、電極の伝導度を向上させることができる。これにより、太陽電池の充密度などを向上させて太陽電池の効率を向上させることができる。
【0134】
前述したような特徴、構造、効果などは本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一実施例にのみ限定されるものではない。また、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは実施例が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施例と組み合わせられて実施されるか変形実施されることができる。したがって、このような組合せ及び変形実施に係わる内容は本発明の範囲に含まれるものに解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図4i
図4j
図5
図6
図7
図8