特許第6430496号(P6430496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6430496
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】非線形軽負荷の調光器用のブリーダ回路
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20181119BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-522380(P2016-522380)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-522563(P2016-522563A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】EP2014062296
(87)【国際公開番号】WO2014206758
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年6月8日
(31)【優先権主張番号】13174003.7
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イリック ミロスラフ
(72)【発明者】
【氏名】バハン ロータス オマムバク
(72)【発明者】
【氏名】ミロサヴリジェヴィッチ ラトコ
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−185998(JP,A)
【文献】 特開2013−016461(JP,A)
【文献】 特開2005−057960(JP,A)
【文献】 特開2011−003326(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0291583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非線形軽負荷への供給電圧を切り替えるための主ACスイッチを備える調光器で使用するブリーダ回路であって、前記主ACスイッチに動作補助を提供するブリーダ負荷と、ブリーダ負荷イネーブル回路とを備え
前記ブリーダ負荷イネーブル回路が、前記主ACスイッチのスイッチング信号に依存して前記供給電圧の半サイクルの終点に向かう臨界部分で前記ブリーダ負荷をオンに切り替える、ブリーダ回路。
【請求項2】
前記ブリーダ負荷イネーブル回路が、前記主ACスイッチの前記スイッチング信号に基づいて切替え可能であり、前記スイッチング信号は、前記主ACスイッチをトリガし前記主ACスイッチに導通を開始させる内部トリガ信号である、請求項1に記載のブリーダ回路。
【請求項3】
前記ブリーダ負荷イネーブル回路が、補助ACスイッチを備え、前記主ACスイッチは、トライアックである、請求項2に記載のブリーダ回路。
【請求項4】
前記供給電圧の半サイクルの終点に向かう臨界部分で前記非線形軽負荷の負荷電流が前記主ACスイッチの保持電流レベル未満に下がるときに、前記主ACスイッチに動作補助を提供する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のブリーダ回路。
【請求項5】
前記主ACスイッチトリガ信号からブリーダ負荷イネーブル回路トリガ信号を導出するトリガ回路を備える、請求項に記載のブリーダ回路。
【請求項6】
前記トリガ回路が、前記ブリーダ負荷イネーブル回路トリガ信号を発生するための微分器回路を備える、請求項5に記載のブリーダ回路。
【請求項7】
前記ブリーダ負荷イネーブル回路トリガ信号が、前記主ACスイッチトリガ信号の後縁から導出される、請求項に記載のブリーダ回路。
【請求項8】
前記ブリーダ負荷イネーブル回路が、オプトトライアックを備える、請求項2乃至7のいずれか一項に記載のブリーダ回路。
【請求項9】
前記ブリーダ負荷が、幾つかの正温度係数サーミスタを備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のブリーダ回路。
【請求項10】
前記補助ACスイッチを電圧過渡から保護するための過渡抑制器を備える、請求項に記載のブリーダ回路。
【請求項11】
電源電力供給と非線形軽負荷との間で使用するブリーダ回路であって、前記非線形軽負荷が、0Wと前記調光器の定格負荷との間の任意の電力量を消費する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のブリーダ回路。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のブリーダ回路を備える調光器であって、前記ブリーダ回路が中に組み込まれた、調光器。
【請求項13】
非線形軽負荷と、前記非線形軽負荷に電源電圧を供給する請求項12に記載の調光器とを備える電気機器であって、照明構成、電動機、電磁石、及び電動弁の何れかを備える、電気機器。
【請求項14】
前記電気機器が、LEDランプであり、前記非線形軽負荷が、1つ又は複数の発光ダイオードを有するLED照明構成を備える、請求項13に記載の電気機器。
【請求項15】
非線形軽負荷を調光する方法であって、
調光器を供給電圧と前記非線形軽負荷との間に接続するステップであって、前記調光器が、前記非線形軽負荷への前記供給電圧を切り替えるための主ACスイッチを備えるステップと、
前記主ACスイッチに動作補助を提供するために、前記主ACスイッチのスイッチング信号に基づいてブリーダ負荷をイネーブルにするステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非線形軽負荷の調光器用のブリーダ回路を述べる。また、本発明は、調光器、電気機器、及び非線形軽負荷を調光する方法を述べる。
【背景技術】
【0002】
用語「調光」は、一般に、その定格電力よりも低い電力で負荷を駆動させることとして理解され得る。ランプの場合、この電力減少は、光出力の減少として即座に認識可能であり、従ってこれが用語「調光」の語源である。他の機器が「調光」されることもあり、例えば、電動機は、「調光器」ノブ又はスイッチを回転させることによって、より低い電力で駆動され得る。そのようなノブ又はスイッチは、機器又はランプに組み込まれ得て、例えば、デスクトップランプは、それ独自の調光器ノブを有することがある。天井照明器具は、その照明器具用の壁スイッチの一部として実現される回転可能なノブによって調光され得る。ハンドヘルド機器の電力は、機器のハウジングに組み込まれたノブによって調整され得る。商用電源によって動作する機器で使用される既知の調光器は、通常、位相制御式トライアック等のACスイッチ構成要素を備え、一般に「前縁調光器」又は「順方向位相」調光器と呼ばれる。そのような調光器は、特定の位相角でトライアックをトリガすることによって、負荷へのAC電圧の各正弦半波の始めの方の部分を効果的に抑制する。調光レベルは、一般に、回転可能なノブ等のユーザ入力によって制御され、ユーザ入力のアクションが、トライアックのためのトリガ信号に変換される。
【0003】
トライアックではなく、オルタニスタやシリコン制御整流器(SCR:silicon-controlled rectifier)等の構成要素が、適切な制御信号と共に、ACスイッチとして使用され得る。トライアック又はオルタニスタは、トリガされるときに両方向に電流を伝導することができる半導体構成要素である。シリコン制御整流器SCRは、トリガされるときに一方向のみに電流を伝導する同様のデバイスである。AC動作に関して、2つのSCRが逆並列構成で配置される。トライアック/オルタニスタと逆並列接続SCRは、機能的に同一であり、以下では総称して「ACスイッチ」と呼ばれる。ACスイッチが導通を開始するために、負荷電流は、トリガパルスの終了前に「ラッチング電流」を超えなければならない。ラッチされると、ACスイッチは、負荷電流が再び「保持電流」レベル未満に下がるまで導通状態のままである。ラッチング電流及び保持電流の値は、各ACスイッチに特有のものであり、典型的には数十ミリアンペア程度である。
【0004】
前縁調光器は、従来、白熱灯の調光のために使用されており、白熱灯は、調光器に対する本来的に抵抗性の負荷となる。このタイプの負荷は、力率1を有し、一般に、全調光範囲にわたって安定したACスイッチ動作を保証するのに十分な電流を引き込む。抵抗負荷又は線形負荷は、ほぼ完全なACスイッチ転流(即ち非導通状態と導通状態との間の過渡)に関連付けられ、これは、調光範囲全体にわたる滑らかな操作を保証する。低電力の白熱灯でさえ、調光されるときに十分な電流を引き込み、従って、負荷電流が保持電流レベル未満に下がる場合でさえ歪みは知覚され得ない。同様のことが、低電圧ハロゲンランプに電力供給するために使用される磁気トランスフォーマ等、誘導負荷の場合にも当てはまる。この場合、負荷電流は、電源電圧ゼロ交差点後にゼロに落ちることがある。
【0005】
しかし、電子LED(発光ダイオード)ドライバ又はコンバータ等、軽容量負荷又は非線形負荷の場合には、状況はより複雑である。例えば、サイクルの欠落、出力電圧又は電流の突然の変化、電源サイクルの最後での不適切なACスイッチのオフ等、様々な望ましくない問題が生じ得て、システム性能が許容できないものになり得る。問題のタイプは、負荷の性質、電源インピーダンス、ACスイッチトリガ方法、及び様々な他の回路パラメータに大きく依存する。
【0006】
そのような許容できない性能に関する単純な回避策は、一般に「ブリーダ」、「最小負荷」、又は「ダミー負荷」と呼ばれる更なる負荷を追加して、適正なACスイッチ転流を保証することである。ブリーダ回路は、負荷電流とラッチング/保持電流との任意の差を埋め合わせることによって、及び負荷の反応特性を補償することによって、調光器の動作を支援する。ブリーダは、線形又は非線形でよく、様々なレベルの複雑さを有する電子回路を備えることができる。線形ブリーダの利点は、それらの単純さ及び低コストにあるが、それらは、比較的多量の熱(典型的には25〜60W)を生み出し、これは、幾つかの用途では問題となり得る。例えば、限られた寿命を有する白熱灯が追加の負荷として使用されるとき、メンテナンスコストも大きいことがある。従来技術のブリーダは、調光器出力での電圧又は電流を使用し、従って、ブリーダは、調光器、負荷、及びブリーダを備える構成の負荷側で実現される。通常、従来技術のブリーダ回路は、負荷に物理的に組み込まれ、従って、調光器自体は、組み合わされた負荷とブリーダに電気的に接続されるが、物理的には別個の実体である。これは、調光可能な電気機器の設計及び製造の複雑さ及びコストを増加させる。そのような調光器回路は、例えば、米国特許出願公開第2011/0291583号に記載されている。この調光器回路は、AC電源と整流器の間に調光器を備える。DC信号が負荷に提供される。整流器と負荷の間に、ブリーダ及び位相検出回路が提供される。位相検出回路は、調光器によって発生された整流された出力信号の位相角を検出する。プログラム可能なマイクロコントローラが、位相検出回路に結合され、また、調光器によって発生される出力信号を受信する。マイクロコントローラは、制御信号を発生して、ブリーダをオン/オフに切り替える。
【0007】
「能動負荷」としても知られている非線形ブリーダの設計は、ACスイッチ電流が保持電流レベル未満に下がるときにのみ追加の負荷が必要とされるという前提に基づく。線形ブリーダに比べて、機能的に等価な能動負荷は、電力消費を1桁減少させることができる。また、能動負荷は、一般にメンテナンス不要である。しかし、能動負荷は、それらの線形の対応物よりもかなり複雑であり、従って高価である。別のタイプの非線形ブリーダは、「スイッチ式抵抗ブリーダ」であり、これは、線形ブリーダよりも性能が良く、能動負荷よりも複雑でない。スイッチ式抵抗ブリーダは、電源電圧が特定の閾値未満に下がるときに、調光器出力にわたる電力抵抗を効果的に切り替える。追加の負荷は、必要とされるときにのみ調光器の出力に追加され、従って、線形ブリーダと比較して、全体の電力消費がより小さくなる。スイッチ式抵抗は構成が比較的単純であるものの、典型的には、機能的に等価な能動負荷よりも多くの電力を消費する。
【0008】
発光ダイオード(LED)はますます普及しており、白熱及びハロゲン光源の代わりに使用されることがますます増えている。今日市販されているLEDランプの多くは、既存の白熱灯に対して後付けされるものである。LED光源のより高い発光効率により、LED光源の電力は、等価な白熱灯の約5分の1にすぎず、従って、LEDランプは、「軽負荷」とみなされ得る。ここで、用語「軽」は、この文脈では、(「重」負荷とみなされ得る70Wの電球等の白熱灯と比べて)その低い電力消費を表す。しかし、数個のみのそのような低電力LEDランプが調光器によって制御されるとき、低い電力消費は、典型的には、電源半サイクルの両端でラッチングの問題をもたらす。例えば、調光器のACスイッチは、「オーバーシュート」することがあり、即ち、電圧ゼロ交差点を超えて導通し続けることがある。そのようなオーバーシュートは望ましくない。なぜなら、これは、ランプの煩わしいちらつきとして知覚され得て、且つ負荷で、従ってまた電源で望ましくないDC電流を発生し得るからである。更に、LEDランプは、一般に、何らかの種類の電子ドライバを常に必要とする。いかなるLEDドライバの一部も、パワーコンバータ、通常はスイッチモードパワーコンバータであり、従って、LEDランプは実質的に非線形負荷である。従って、調光器の観点から、LEDランプは実質的に「非線形軽負荷」となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、上述の問題をなくす、非線形軽負荷を調光する改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、請求項1に記載のブリーダ回路によって、請求項12に記載の調光器によって、請求項13に記載の電気機器によって、及び請求項15に記載の方法によって実現される。
【0011】
本発明によれば、ブリーダ回路が、非線形軽負荷への供給電圧を切り替えるための主ACスイッチを備える調光器で使用するために実現され、このブリーダ回路は、主ACスイッチに動作補助を提供するように実現されたブリーダ負荷と、ブリーダ負荷イネーブル手段とを備える。ブリーダ負荷イネーブル手段は、主ACスイッチのスイッチング信号に依存する。用語「ブリーダ負荷」は、その受け入れられており確立されている文脈において理解され、即ち、必要な場合に追加の電流を提供するために使用される負荷である。従って、本発明の請求項1の文脈では、ブリーダ負荷は、主ACスイッチの動作を支援する追加の電流を提供するため、即ち調光器の主ACスイッチが正しく転流することができることを保証するために使用される。ブリーダ負荷は、電力を消費もするので、「電力消費デバイス」とも呼ばれ得る。
【0012】
主ACスイッチのスイッチング信号は、外部デバイスによって使用され得る調光器出力電圧又は電流等の信号とは対照的に、調光器において内部的にのみ使用される信号として理解される。従って、主ACスイッチのスイッチング信号は、「内部」スイッチング信号であり、調光器の出力にわたって接続される負荷等の外部デバイスには実質的に利用可能でない。
【0013】
本発明の文脈で、用語「非線形軽負荷」は、少量の電力しか消費しない負荷であって、調光器の観点から非線形に見える負荷として理解される。例えば、冒頭で述べたように、LEDベースのランプのLEDは少量の電力しか消費せず、その電子ドライバは、調光器によってランプが非線形負荷として「認識(seen)」されるようにする。他の機器、例えばハンドヘルド機器の小さい電動機も、「軽・非線形」のカテゴリーに入ることがある。ここで、及び以下で、用語「非線形軽負荷」と「負荷」は、交換可能に使用され得る。用語「負荷」は、上述した意味合いで、即ち定格よりも低い電力レベルで動作するように調光可能である電気デバイスとして理解され、用語「能動負荷」と混同されるべきでない。用語「能動負荷」は、「ブリーダ回路」を表す別の用語である。用語「主ACスイッチ」は、調光器のACスイッチ、即ち前縁調光器等の調光器で通常使用されるACスイッチとして理解される。従って、用語「主ACスイッチ」と「調光器ACスイッチ」は、以下では交換可能に使用され得る。「主ACスイッチ」は、従来の前縁調光器で使用されるような、トライアック、オルタニスタ、又は逆並列接続されたSCR等、任意の構成要素を備えることができる。
【0014】
本発明によるブリーダ回路(又は単に「ブリーダ」)の利点は、ブリーダ負荷が、主ACスイッチの内部スイッチング信号に基づいてイネーブルにされる又は作動されることである。即ち、ブリーダを制御するために調光器の内部信号のみが必要とされ、従って、ブリーダは、有利には、調光器、非線形負荷、及びブリーダを備える構成の調光器側で完全に実現され得る。これは、従来技術の能動負荷ブリーダとは対照的であり、従来技術の能動負荷ブリーダは、調光器出力での電圧又は電流に依存し、従ってブリーダが構成の負荷側で実現される必要がある。既述のように、従来技術のブリーダ回路は、(例えば別個の調光器の出力に接続されたLED照明構成の一部として)負荷に組み込まれ、それにより、調光器自体は、組み合わされた負荷とブリーダに電気的に接続されるが、物理的には別個の実体である。対照的に、本発明によるブリーダ回路は全体が調光器に組み込まれ得て、従って、調光器と非線形軽負荷との間の外部構成要素が必要なくなるので、全体の設置コスト及び複雑さを低減させる。調光器出力電圧信号ではなく、調光器の主ACスイッチトリガ信号等の信号を使用する利点は、本発明によるブリーダ回路のブリーダ負荷が調光器のACスイッチと完全に同期され得ることである。これも、ブリーダ回路の複雑さを大幅に低減させる。
【0015】
本発明によれば、調光器は、そのようなブリーダ回路を備え、ここで、ブリーダ回路は調光器に組み込まれる。
【0016】
本発明による調光器の利点は、ブリーダ回路部分の複雑さのレベルが比較的低く、従って、組み合わされた調光器/ブリーダが、比較的低コストで製造され得て、任意のタイプの非線形軽負荷と共に使用され得ることである。従って、負荷自体がブリーダを既に組み込んでいるように設計される必要はない。更に、本発明による調光器は、その動作に対する悪影響なく、線形負荷(例えば白熱灯)と共にも使用され得る。
【0017】
本発明によれば、電気機器が、非線形軽負荷と、非線形軽負荷にわたって配置された本発明による調光器とを備え、電気機器は、照明構成、電動機、電動弁、電磁石等の任意のものを含む。
【0018】
上述したように、そのような機器の利点は、負荷自体がブリーダを組み込むように設計される必要はなく、調光器とブリーダ回路との両方を組み込む単一のデバイスに単に接続され得ることである。
【0019】
本発明によれば、非線形軽負荷を調光する方法が、調光器を供給電圧と非線形軽負荷との間に接続するステップであって、調光器が、非線形軽負荷への供給電圧を切り替えるための主ACスイッチを備えるステップと、ブリーダ回路のブリーダ負荷によって主ACスイッチに動作補助を提供するステップと、主ACスイッチのスイッチング信号に基づいてブリーダ負荷をイネーブルにするステップとを含む。
【0020】
従属請求項及び以下の説明は、本発明の特に有利な実施形態及び特徴を開示する。実施形態の特徴は、適宜組み合わされ得る。1つの請求項カテゴリーの文脈で述べられる特徴が、別の請求項カテゴリーにも同様に当てはまり得る。
【0021】
以下では、本発明を何ら限定しないが、負荷が電源電力供給又は家庭用電源で使用されると仮定され得る。用語「電力供給」、「電源」、又は「家庭用電力」は全て、50Hzで230Vの供給又は60Hzで120Vの供給等の電源電力供給を意味するものと理解される。
【0022】
冒頭で述べたように、軽負荷と共に前縁調光器を使用する際の問題は、調光器の出力での電圧が、望ましくないゼロ交差オーバーシュートを示し得ることである。非線形軽負荷が、LEDベースのランプ等のランプであるとき、このオーバーシュートは、目に見える目障りなちらつきを生じることがある。
【0023】
以下では、本発明を限定しないが、例示の目的で、非線形軽負荷が、1つ又は複数のLEDを有するLEDベースのランプ等の機器又はデバイスを含むと仮定され得る。当然、任意の他の適切な低電力デバイスが、本発明によるブリーダ回路を組み込む調光器の出力にわたる負荷として使用され得る。
【0024】
本発明の文脈では、用語「主負荷電流」は、動作中に、非線形軽負荷によって引き込まれる電流として理解される。用語「保持電流」は、調光器の主ACスイッチが導通状態を保つことを保証するのに必要とされる最小電流として理解される。
【0025】
通常、前縁調光器は、短いパルス等のトリガ信号を使用して調光器のACスイッチをトリガし、ACスイッチに導通を開始させることによって動作する。次いで、調光器のACスイッチは、その半サイクルの残りにわたって実質的に導通状態を保つ。半サイクルの終点までは、適切に転流してオーバーシュートを避けるために調光器のACスイッチが補助を必要とすることはない。ブリーダ負荷は、そのようなトリガパルスを用いて動作するように実現され得る。しかし、トリガパルスは任意の時点、少なくとも電源サイクルの最初の4分の1で現れ得るので、ブリーダ負荷の実現形態は、半サイクルの終点付近でのみ動作補助、即ち追加の電流を提供することを保証するために複雑な回路を必要とすることがある。従って、本発明の特に好ましい実施形態では、ブリーダ回路は、ブリーダ負荷をイネーブルにするように実現されるブリーダ負荷イネーブル手段を備え、ブリーダ負荷イネーブル手段は、主ACスイッチのスイッチング信号に基づいて切り替えられる。ブリーダ負荷イネーブル手段は、必要とされるときにブリーダ負荷がその動作補助を提供できるように制御され得る任意の構成要素又は回路でよい。
【0026】
ブリーダ負荷は、適切な構成要素を使用して、任意の適切な様式で実現され得る。例えば、ブリーダ負荷の一実施形態は、ダイオードブリッジ内部のMOSFET等のトランジスタを備える回路を使用してイネーブルにされる電力消費デバイスを備えることができる。しかし、そのようなスイッチトポロジーは、複雑なドライブ回路を必要とすることがあり、ブリーダ回路の全体的なコストをかなり増加させることがある。従って、本発明の特に好ましい実施形態では、ブリーダ負荷イネーブル手段は、ACスイッチを備える。主ACスイッチ又は調光器ACスイッチとの混同を避けるために、ブリーダ回路のACスイッチは、本発明の文脈では「補助ACスイッチ」と呼ばれる。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態では、補助ACスイッチ及びブリーダ負荷は、非線形軽負荷の負荷電流が主ACスイッチの保持電流レベル未満に下がるときに動作補助、即ち追加の電流を提供するように実現される。このようにして、出力電圧(即ち非線形軽負荷への電圧)の望ましくないゼロ交差オーバーシュートが実質的になくされ得る。これは、ブリーダ回路が、供給電圧半サイクルの終点まで主ACスイッチを導通状態で保つために、負荷電流と主ACスイッチの保持電流との差を実質的に単に埋め合わせることを保証する。
【0028】
上述したように、補助ACスイッチは、主ACスイッチのスイッチング信号に基づいて切り替えることができる。好ましくは、補助ACスイッチへのトリガ信号は、調光器の主ACスイッチのトリガ信号から導出される。このようにして、ブリーダ負荷は、有利には主ACスイッチと同期され得る。主ACスイッチトリガは、通常は、調光器ノブの位置等の入力信号を、電源半波の適切な位相角と一致するように発出されるトリガパルスに変換することによって発生される。各電源電圧半波は、調光器のスイッチング信号によって実質的に「切り落とされ(cropped)」、即ち、負荷が調光される場合に、各電源電圧半波は、調光器のスイッチング信号が現れるまで抑制される。調光器のスイッチング信号は、主ACスイッチを実質的にトリガするので、ここでは「主トリガ信号」と呼ばれる。負荷がわずかしか調光されない場合、例えば、主トリガ信号は、電源半波の始点の近くで現れる。サイクルにおいてより後の時点で、即ちAC電源供給の半波においてより後の時点で現れるように主トリガ信号のタイミングを合わせることによって、より多くの調光が得られる。最高の調光レベルは、主トリガ信号が電源半波の終点に近付くときに実現される。非線形軽負荷がランプである場合、例えば、「最高の調光レベル」は、そのランプに関して実現され得る最小の光出力レベルをもたらす。
【0029】
主トリガ信号は、上述したように、電源電圧半波の望みの残りの部分を「イネーブル」にするように働く。補助ACスイッチの観点から、主トリガの関連の特性は、主トリガの前縁である。なぜなら、この前縁は、主ACスイッチの導通状態の開始を示すからである。しかし、主トリガ信号の前縁は、電源半サイクル中の実質的に任意の時点で現れ得るがあるが、動作補助は、半サイクルの終点に向かってのみ必要とされる。本発明の1つの好ましい実施形態では、ブリーダ回路は、(従来技術の前縁調光器で一般に使用されるタイプの)短いトリガパルスを、電源半サイクルの終点に向かう臨界時間中にブリーダ負荷をイネーブルにするために使用され得る信号に変換するための幾つかの手段を備えることができる。従って、本発明の好ましい実施形態では、ブリーダ回路はトリガ回路を備え、トリガ回路は、ブリーダ負荷イネーブル手段、例えば補助ACスイッチをトリガするために主トリガ信号をパルスに変換するように実現される。しかし、本発明の特に好ましい実施形態では、トリガ回路は、主トリガ信号に関連して動作するように実現され、主トリガ信号の前縁は、主ACスイッチの導通状態の開始を示し、その後縁は、動作補助が必要とされる臨界時間の開始を示す。そのようなより「有用」な主トリガ信号は、調光器の関連の制御回路によって比較的容易に発生され得て、主トリガ信号によって提供される関連の情報を使用してブリーダ回路がブリーダ負荷をイネーブルにすることができることを保証し、それにより、ブリーダ負荷は、正に必要とされるときに、電源サイクルと同期して動作補助を提供することができる。本発明の好ましい実施形態では、トリガ回路は、主トリガの後縁からブリーダ負荷イネーブル手段トリガパルスを導出するための微分器回路を備える。即ち、微分器は、主トリガの後縁を、ブリーダ負荷イネーブル手段、例えば補助ACスイッチをトリガするためのパルスに変換する。以下では、便宜上、ブリーダ負荷イネーブル手段がACスイッチ(単に「補助ACスイッチ」と呼ばれる)を備えると仮定され得る。
【0030】
微分器回路の「出力」は、使用される構成要素のサイズ及び容量に応じて、安定するまでに幾らかの時間がかかる。ブリーダ回路のこの部分が常に適切に動作することを保証するために、本発明の好ましい実施形態では、トリガ回路は、微分器が「リセット」するのにかかる時間を短縮するためのダイオードを備える。ダイオードは、補助ACスイッチトリガ信号が低くなるときに微分器のコンデンサを放電し、次の入力、例えば主ACスイッチトリガ信号のために微分器を準備又はリセットするように働く。ダイオードは、コンデンサを放電する一方で、オプトトライアックのLEDに対する負のバイアスを避ける。
【0031】
同様に、補助ACスイッチトリガ信号は、外部制御回路等の外部源から供給され得て、外部制御回路は、補助ACスイッチのためのトリガ信号を、例えばパルス幅変調信号の形態で提供する。ここで、用語「外部制御回路」は、調光器に直接組み込まれないものとして理解される。そのような外部制御回路は、補助ACスイッチトリガ信号を直接制御入力として補助ACスイッチに送達することができ、それにより、補助ACスイッチは、ブリーダ負荷をイネーブルにするように切り替えられる。そのような補助ACスイッチトリガ信号はまた、調光器の内部スイッチング信号とみなされてもよい。なぜなら、調光器によって内部的にのみ使用され、調光器の出力にわたって接続された負荷等、外部デバイスには利用可能でないからである。
【0032】
一般に、主ACスイッチトリガ信号は、調光器のドライバ回路によって供給される比較的低いDC電圧レール、例えば12VのDCレールから生じる。同様に、補助ACスイッチトリガ信号を供給するために外部制御装置が使用される場合にも、信号は、そのような低電圧DCレールから供給され得る。他方、ブリーダ負荷は、調光器のAC供給電圧側に接続される。従って、本発明の好ましい実施形態では、補助ACスイッチは、トリガ回路とブリーダ負荷との間のガルバニック絶縁を提供するように実現され、それにより、「DC側」を「AC側」から離して保ち、電流がこれらの回路部分の間で流れ得ないことを保証する。このために、本発明の特に好ましい実施形態では、ACスイッチは、オプトトライアックを備える。そのようなオプトトライアックは、好ましくは、電圧ゼロ交差点付近の不正トリガを避けるために、高いdV/dt定格を有するように選択される。
【0033】
通常動作では、ブリーダ負荷にわたる電圧は、電源電圧の10〜15%程度である。しかし、補助ACスイッチが動作不良又は故障を生じた場合、ブリーダ負荷は、一時的に又は永久的に全電源電圧にさらされ得る。ブリーダ負荷が線形抵抗の使用に基づく場合、ブリーダ負荷での電力消費は、抵抗に印加される電圧の平方に比例するので、100倍に増加されることがある。そのような電力消費の大きな増加は、ブリーダ負荷の、従ってまたブリーダ回路の永久的な損壊を引き起こすことがあり得る。そのような損壊を防止するために、保護回路が必要とされ、しかし、これは、複雑であり高価であり得る。従って、本発明の好ましい実施形態では、ブリーダ負荷は、電力制限付きデバイスを含む。その場合のブリーダ回路の好ましい実施形態の一例は、1つ又は複数の正温度係数(PTC)サーミスタを有するブリーダ負荷を備えることがある。例えば、ブリーダ負荷は、複数のPTCサーミスタを並列に備えることができる。線形抵抗ではなくPTCサーミスタを使用することが好ましい。なぜなら、PTCサーミスタは、補助ACスイッチの動作不良又は故障の場合の安全性をより高くするからである。PTCサーミスタは、好ましくは、自己制限消費を提供するように選択される。電源電圧にさらされるとき、PTCサーミスタの抵抗は急速に増加して、電力消費及び温度上昇に関して良く定義された安全なレベルでバランスに達する。別の利点は、過渡外乱の場合に、サーミスタが冷却されると直ぐに調光器の通常動作が継続され得ることである。ブリーダのこの実施形態は、非線形軽負荷が調光器の出力に接続されるときに主ACスイッチがオフに切り替わるのを補助するように特に設計されたスイッチ式抵抗ブリーダの変形形態とみなされ得る。
【0034】
負荷及び調光器の動作中、短時間の予想されない電圧サージが、負荷電圧入力からブリーダ回路に通され得る。そのような異常又は過渡は、繊細な回路構成要素を損壊することがある。従って、本発明の好ましい実施形態では、ブリーダ回路は、補助ACスイッチ、例えばオプトトライアックを電圧過渡から保護するように構成された過渡抑制器を備える。
【0035】
本発明によるブリーダ回路は、好ましくは、主電源と軽負荷との間で使用するように実現され、軽負荷は、調光器の0Wと定格負荷の間の任意の電力量を消費するように実現される。例えば、本発明によるブリーダ回路に関する構成要素の適切な選択によって、現在開発及び製造されている非常に効率的な低電力LEDの1つ又は複数を備える照明ユニット等の低電力負荷を調光するために使用され得る調光器が実現され得る。好ましい実施形態では、ブリーダ回路は、家庭用電源から外して動作され得る調光器で使用するために実現され得る。
【0036】
本発明による調光器の本発明の好ましい実施形態では、調光器は、主トリガ信号を発生するための手段を備え、主トリガ信号の前縁が、主ACスイッチに関する導通状態の開始を示し、その後縁が、本発明によるブリーダ回路によって動作補助が必要とされる領域を示すために、電源半サイクルの終点に対してタイミングを合わされる。これは、ブリーダ回路の特に単純な設計を可能にする。なぜなら、主トリガ信号の後縁は、半サイクルの終点に向かう臨界時間中にブリーダ負荷をイネーブルにするために使用され得る信号に比較的容易に変換され得るからである。
【0037】
本発明の他の目的及び特徴は、添付図面と共に考察される以下の詳細な説明から明らかになろう。しかし、図面は、本発明の限定範囲の定義としてではなく、例示の目的でのみ描かれていることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】前縁調光器に関する電圧信号及び主トリガを示す図である。
図2】従来技術の前縁調光器から得られる出力電圧及び負荷電流波形を示す図である。
図3】調光器関連の電圧レベルと電流レベルの間の関係を示す図である。
図4】従来技術の調光器及び能動負荷構成を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態による調光器を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態による調光器を示す図である。
図7】本発明によるブリーダ回路の実施形態によって発生される様々なトリガパルスを示す図である。
図8】本発明の一実施形態によるブリーダ回路の信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面中、同様の番号は、図面全体を通じて同じ対象を表す。図中の物体は、必ずしも正確な縮尺では描かれていない。
【0040】
図1は、トライアック等のACスイッチを使用する従来技術の前縁調光器用の簡略化された電圧信号LINE、V、及びトリガT30を示す。便宜上、グラフは、抵抗負荷の位相制御式調光に対応する信号を示す。グラフは、トリガタイミングと、調光器の出力に接続された負荷に送られる出力電圧Vとの関係を示す。位相制御において、トリガパルスT30(ここでは、正論理パルスとして示される)は、負荷に供給される電流の制御を可能にするために、AC供給電圧LINEの任意の点又は位相角で印加され得る。調光器の出力電圧Vは、トリガパルスT30が現れるまではゼロである。調光器のACスイッチは、トリガパルスT30が印加されると直ぐに導通を開始し、それにより、電源供給サイクルの一部が負荷に印加され得る。このタイプの調光器において、トリガパルスT30の前縁は、調光器のACスイッチの導通状態の開始を表す事象である。負荷電流は、トリガパルスT30が終了した後に調光器のACスイッチを導通状態に保つために、トリガパルスT30の終了前にラッチング電流レベル201を超えなければならず、それにより、トリガパルスT30に関する最小パルス持続時間を定義する。ラッチされると、調光器のACスイッチは、負荷電流がACスイッチの保持電流レベル202未満に下がるまで、導通状態を保つ。これらの時点の間に、電源電圧半サイクルの残りが、調光器出力(即ち調光器に接続された負荷への入力)に現れる。ラッング電流及び保持電流値は、各ACスイッチに特有のものである。理想的には、ACスイッチは、矢印によって示される点、即ち電源半サイクルのゼロ交差点ZCの前には転流すべきでない。
【0041】
図2は、電子ドライバ/コンバータ等の非線形負荷と共に使用されるときに従来技術の前縁調光器から得られる出力電圧波形V及び負荷電流波形Iを示す。ここで、オーバーシュート(電源半サイクルのゼロ交差点後の転流)の問題が、円で囲まれた出力電圧波形の領域で明瞭に示される。ランプ電流波形は、ACスイッチトリガ事象と一致する特徴的なピークを有する。このピークは、ランプドライバ内のコンデンサを充電することによって引き起こされ、ACスイッチをラッチする助けとなる。コンデンサが充電された後、電流は、はるかに低いレベルに下がり、ACスイッチがオフに切り替えられるまでそこに留まる。しかし、インダクタ/コンデンサフィルタ特性や、負荷キャパシタンス及びACスイッチ特性等の様々な要因により、ACスイッチは、電圧ゼロ交差点を超えて導通し続ける。この「オーバーシュート」は、調光曲線の歪み、及び目に見えるランプのちらつきをもたらすことがあるので、望ましくない。
【0042】
図3は、白熱灯等、抵抗負荷となる機器に関する電圧波形V及び電流波形Iと、従来の前縁調光器の主ACスイッチに関するラッチング電流レベル201及び保持電流レベル202とを示す。グラフは、全サイクルの一部分のみを示す。抵抗負荷によって引き込まれた電流Iは、容易に、負荷電流Iと保持電流202との差によって引き起こされる歪みを隠すのに十分に大きくなる。しかし、そのような調光器が非線形軽負荷と共に使用される場合、負荷電流と保持電流202との差が、上の図2で示される歪みをもたらす。理想的には、能動負荷が、主負荷電流と保持電流202との差を単に埋め合わせるべきであり、例えばグラフに示される影付き領域中に、電源半サイクルの終点までACスイッチを導通状態に保つ。既知のスイッチ式抵抗ブリーダを備える従来技術の実施形態の簡略化された回路図を示す図4に示されるように、従来のブリーダは、従来の調光器の出力に接続され、そのブリーダ負荷を「オン」又は「オフ」に切り替える時を決定するために、制御パラメータとしての調光器出力電圧に依拠しなければならない。ここで、ブリーダ100と調光器101は、実質的に別々の実体として実現される。負荷Lは、調光器101の出力に接続される。この構成と本発明の調光器との主な相違点は、スイッチ式抵抗ブリーダ100が、負荷抵抗RLOADをイネーブルにするための制御パラメータとして調光器出力電圧を使用することである。調光器出力電圧が分圧器RDIV1、RDIV2及び基準電圧VREFによって定義される閾値未満である限り、比較器103は、トランジスタ104をオンに切り替え、それにより負荷抵抗RLOADをイネーブルにする。調光器出力電圧が閾値を超えると、トランジスタ104は、オフに切り替えられる。別の相違点は、この従来技術の構成が、負荷抵抗RLOADを通る電流を制御するために、ダイオードブリッジ102及びトランジスタ104を備えるDCスイッチを必要とすることである。この回路は、本発明の回路よりも複雑であり、高価である。
【0043】
本発明によるブリーダ回路は、以下に説明するように、特に非線形軽負荷と共に使用されるときに、改良された調光手段を提供する。
【0044】
図5は、本発明の第1の実施形態による調光器2を示す。調光器2は、本発明によるブリーダ1の一実施形態を組み込む回路を備える。負荷Lは、調光器出力にわたって接続され得て、それにより、調光器2は、ブリーダ1と共に、電源電力供給LINEと負荷Lとの間に実質的に配置される。調光器回路2は、当業者に知られている構成で様々な素子20、21、22を備え、例えば、トライアック20等の主ACスイッチ20を使用して、負荷Lへの電圧供給Vを調整し、オプトトライアック21を使用して、主ACスイッチトリガ信号を送達するDC回路部分とAC回路部分との間にガルバニック絶縁を提供し、ヒューズ22を使用して、電流サージから調光器を保護する。調光器2は、調光レベルを決定する主ACスイッチトリガT20を送達するドライバ(ここでは図示せず)を備える。本発明のこの構成では、ブリーダ1が、主トリガ信号T20と調光器出力との間に配置される。ブリーダ1は、トリガ回路12と、補助ACスイッチ10と、ブリーダ負荷11、この場合には電力制限付きブリーダ負荷11とを備える。主トリガT20は負論理信号であり、その後縁は、トリガ回路12、この場合には微分器12によって、ACスイッチ10をトリガするトリガパルスT10に変換される。ここで、ACスイッチ10は、オプトトライアック10である。ブリーダ負荷11は、複数のサーミスタを並列に備えるPTCスイッチ式抵抗構成要素である。主ACスイッチ20がオンに切り替わるときのスパイクによる損壊を避けるために、過渡電圧抑制器13が、オプトトライアック10に並列に配置される。
【0045】
微分器回路12の「出力」は、使用される構成要素のサイズ又は容量に応じて、減衰に幾らかの時間がかかる。ブリーダ回路1のこの部分が常に正しく動作することを保証するために、トリガ回路12は、微分器回路12が「リセット」するのにかかる時間を短縮するためのダイオード120を備える。ダイオード120は、主トリガ信号T10が低くなるときに微分器12のコンデンサを放電し、次の主トリガ信号T20のために微分器12を準備又はリセットする働きをし、そこから、補助トリガ信号T10が導出される。ダイオード120は、コンデンサを放電する一方で、オプトトライアック10のLEDでの負のバイアスを効果的に避ける。ダイオード120は、効果的にリセット時間を半分に短縮することができる。より長いリセット時間も許容可能であり得るが、より短いリセット時間は、非常に高い電源供給周波数の場合に、例えば小さい発電機によって電力が供給されるときに、より大きい余裕を提供する。
【0046】
図6は、本発明の第2の実施形態による調光器2を示す。ここで、回路は、図4とほぼ同じであるが、オプトトライアック10へのトリガパルスT10は、ブリーダ回路の外部且つ調光器の内部にある制御回路(ここでは図示せず)によって提供される。例えば、主トリガT20を発生するために使用される調光器の回路が、トリガパルスT10を発生するためにも使用され得る。1つの実現形態は、調光器回路部分にトリガ回路(図5に示されるもの等)を含むことを見込むことができ、それにより、トリガ回路が主トリガT20を発生した後、これは、補助ACスイッチトリガパルスT10を発生するために使用され得る。
【0047】
図7は、本発明によるブリーダ回路1及び調光器2の実施形態で生じる様々な信号を示す。「切り落とされた」電源半サイクルVが、主トリガ信号T20(この場合には負論理信号)と共に示されており、主トリガ信号T20の前縁は、調光器2の主ACスイッチ20を切り替える役割を担う。主トリガ信号T20の後縁は、ブリーダ負荷11をイネーブルにするように補助ACスイッチ10をトリガするために使用される補助ACスイッチトリガT10に変換される。比較のために、従来技術の前縁調光器で使用され、図1に示されるより短い主トリガ信号T30の負論理バージョンが示されている(点線)。補助ACスイッチT10は、図5の微分器12によって発生され得る。或いは、補助ACスイッチT10は、図6に示されるように外部制御装置によって提供され得て、外部制御装置は、負荷電流が主ACスイッチ20の保持電流レベルに達し得ないときに、半サイクルの終点に向かう臨界部分で補助ACスイッチトリガT10が提供されることを保証することができる。
【0048】
図8は、図5のブリーダ回路の動作中に測定される信号を示す。ここで、微分器12によって発生されたトリガ信号T10が、オプトトライアック10を使用して実現される補助ACスイッチ10をトリガする。オプトトライアック10を通って生じる短時間の電流スパイクI10は、補助ACスイッチトリガT10と本質的に一致し、ブリーダ負荷11のPTC抵抗を通る電流I11を生じる。この追加の電流I11は、調光器のACスイッチ20に動作補助を提供し、それにより、調光器が非線形軽負荷と共に使用されるときにオーバーシュートが防止される。
【0049】
本発明を、好ましい実施形態及び変形形態で開示してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの追加の修正及び変形がそれらに施され得ることを理解されよう。
【0050】
分かりやすくするために、本出願を通じて、単数形の使用は、複数を除外せず、「備える」は、他のステップ又は要素を除外しないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7