(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る区分システム10の概略構成の一例を示す構成図である。
図1に示す区分システム10は、宅配便を配送先に応じて区分するシステムを例としている。例えば、宅配便により配送される対象となる物品は、差出人により持ち込まれる1次受取場所を経由して、配送業者によって物品区分センターへと集められる。この物品区分センターでは、物品がコンベアやローラーなどの搬送機構に乗せられて、配送先に応じた区分先に搬送される区分処理が行われる。この図に示す例では、配送先情報が記載された帳票(配達伝票)21(21a、21b、21c、21dなど)が貼られた物品20(20−1、20−2、20−3など)が、それぞれの配送先に応じた区分先にコンベア31(ベルトコンベア)により搬送される。
【0008】
なお、ここでは配送先情報が記載された帳票21が物品20に貼られている例としているが、これに限られるものではなく、例えば、配送先情報が記載されたタグが物品20に繋がっていてもよいし、配送先情報が物品20に印刷(印字)されていてもよい。すなわち、配送先情報は表示情報として、対象物である物品20に対応付けられていればよい。
また、帳票21に記載されている配送先情報は、第2の表記としての住所等の文字情報であってもよいし、配送先をコード化した第1の表記の識別情報(例えば、数字列、バーコードなど)であってもよい。
【0009】
区分システム10は、搬送部30と、情報読取装置100と、区分処理部200と、情報入力装置300と、記憶部400と、を備えている。
搬送部30は、コンベア31と、コンベア31を駆動する搬送駆動部32とを備えている。そして、搬送部30は、コンベア31に乗せられている物品20を、区分処理部200からの指示に基づいてコンベア31を駆動することにより、予め定められた複数の区分先のうちの配送先に応じた区分先に搬送する。
【0010】
情報読取装置100は、スキャナ1及びスキャナ2の2系統のスキャナと、読取処理部110と、を備えている。
スキャナ1及びスキャナ2は、物品20に貼られた帳票21の配送先を読み取るために撮影する撮影装置である。ここでは、スキャナ1及びスキャナ2の2系統のそれぞれは、複数の撮影装置を備えており、コンベア31に乗せられた物品20を多方向から撮影する構成としている。それぞれのスキャナは一方向から撮影しても構わないが、物品20のいずれの方向に配送先情報が記載されているか分からない場合が多いため、多方向から画像を撮影することが配送先情報を読み取るのに効果的である。そこで、本実施形態では、それぞれのスキャナが物品20の上面と両側面(コンベア31の搬送方向に向かって左右の側面)を撮影するように配置されているものとする。
【0011】
また、この
図1では、スキャナ1とスキャナ2との物品20に対する位置を分けて図示しているが、これはスキャナ1とスキャナ2とが異なる系統であることを示すために分けて図示しているものであって、スキャナ1とスキャナ2との物品20に対する撮影方向が異なることを示しているものではない。例えば、複数のスキャナ1のそれぞれの近傍に複数のスキャナ2のそれぞれが対となるように設置されている。なお、スキャナ1とスキャナ2とのそれぞれの設置されている数や位置は任意に構成されてよい。
【0012】
また、スキャナ1とスキャナ2とは、互いに異なる撮影方法(例えば、センシング方法)で撮影する。
スキャナ1は、OCRにより配送先を認識するための画像を撮影するスキャナであり、例えば、ラインセンサを用いて撮影するラインスキャン方式のスキャナである。
ラインスキャン方式のスキャナで撮影した画像は、対象物の形状をレーザー等で計測し、ラインスキャン時に形状に応じて補正を行った画像である。このように形状に応じて焦点を合わせて補正していることと、1ライン分の画素が多く構成されることで高画素の画像が得られるため、一般的に高画質の画像を取得でき、この画像はOCR等にも利用しやすい。反面、画像の補正をレーザー等で計測した形状に頼っているため、形状の計測に問題があった場合には補正画像が正常に作成されないことがある。また、対象物の撮影範囲も形状の計測結果に基づいて対象物が存在していると判定された部分であるため、形状の計測に問題があった場合には適切に対象物を撮影できない場合もある。
【0013】
一方、スキャナ2は、人が目視で配送先を認識するための画像を撮影するスキャナであり、例えば、エリアセンサを用いて撮影するエリアスキャン方式のスキャナである。
エリアスキャン方式のスキャナは、一般的な写真撮影などに用いられる方式と同様のものである。撮影範囲は、ある時刻に撮影された撮影視野内の領域となる。撮影タイミングの決定には、透過型センサと搬送速度から求めた時刻を用いてもよいし、距離センサを用いて対象物の存在範囲を特定し、対象物が撮影視野内に入るタイミングで撮影してもよい。また、画像処理によって撮影画像内の対象物の存在を確認してもよい。このエリアスキャン方式は、ラインスキャン方式と比較した場合、位置に応じた焦点補正等ができないため、OCRにより認識する撮影画像としては最適でない画像が取得されることが多い。反面、このエリアスキャン方式は、ラインスキャン方式のように画像の補正を行う必要がないため、補正の失敗によって画像が正常に作成されないことを防止でき、人が目視で認識可能な程度の画像を高い確率で取得することができる。
【0014】
このように、本実施形態では、撮影画像からOCR等により物品20の配送先を認識(自動認識)する場合には、ラインスキャン方式のスキャナ1が撮影した画像を使用し、撮影画像から人が目視により物品20の配送先を認識する場合には、エリアスキャン方式のスキャナ2が撮影した画像を使用する。
【0015】
読取処理部110は、画像取得部111(取得部)と、認識部112と、画像提示部113と、入力情報取得部114と、結果出力部115と、を備えている。
画像取得部111は、対象物である物品20を撮影した撮影画像であって、スキャナ1が撮影した撮影画像(第1の撮影画像)と、スキャナ2が撮影した撮影画像(第2の撮影画像)とを取得する。すなわち、画像取得部111は、互いに異なる生成過程により生成された第1の撮影画像と第2の撮影画像とを取得する。また、画像取得部111は、取得した撮影画像を記憶部400が備える画像記憶部410に記憶させる。
【0016】
認識部112は、スキャナ1が撮影した撮影画像に基づいて、物品20に貼られた帳票21の配送先情報を認識する。例えば、認識部112は、スキャナ1が撮影した撮影画像から、配送先情報としての文字情報をOCRにより認識する。なお、認識部112は、スキャナ1が撮影した撮影画像から、コード化された配送先情報(数字列、バーコードなど)を認識してもよい。また、認識部112は、スキャナ2が撮影した撮影画像に基づいて、物品20に貼られた帳票21の配送先情報を認識してもよい。また、認識部112は、レーザー等を備えた外部装置(不図示)を用いて、配送先情報をコード化したバーコードを認識してもよい。
【0017】
画像提示部113は、認識部112が配送先情報を認識不能な場合に、スキャナ1が撮影した撮影画像とスキャナ2が撮影した撮影画像とを画像記憶部410から読みだして情報入力装置300に送り、情報入力装置300が備える表示部310に表示させる。なお、画像提示部113は、スキャナ2が撮影した撮影画像のみを情報入力装置300が備える表示部310に表示させてもよい。すなわち、画像提示部113は、少なくともスキャナ2が撮影した撮影画像を表示部310に表示させる。
【0018】
入力情報取得部114は、画像提示部113が表示部310に表示させた撮影画像に対応して入力された入力情報を情報入力装置300から取得する。例えば、情報入力装置300を操作するオペレータは、表示部310に表示されたスキャナ1が撮影した撮影画像またはスキャナ2が撮影した撮影画像を選択し、選択した撮影画像を目視することにより配送先情報を認識して、認識した配送先情報を情報入力装置300の操作部320から入力する。情報入力装置300は、操作部320から入力された入力情報を読取処理部110に対して送信する。そして、読取処理部110の入力情報取得部114は、操作部320から入力された入力情報(すなわち、オペレータが入力した配送先情報)を情報入力装置300から取得する。
【0019】
なお、情報入力装置300は、オペレータが配送先情報を読み取るために選択した撮影画像が、スキャナ1が撮影した撮影画像とスキャナ2が撮影した撮影画像との何れであるかを識別可能な情報を含む選択情報を、記憶部400が備える選択情報記憶部420に記憶させてもよい。また、入力情報取得部114が情報入力装置300からこの選択情報を受け取って、選択情報記憶部420に記憶させてもよい。なお、この選択情報は、情報入力装置300が選択情報記憶部420に記憶させてもよい。また、上述した選択情報の保存先は情報入力装置300が備える記憶媒体としてもよいし、他の装置(例えば、情報読取装置100)が備える記憶媒体としてもよい。
【0020】
結果出力部115は、認識部112の認識結果または入力情報取得部114が取得した入力情報を、配送先情報の読み取り結果として区分処理部200に対して出力する。つまり、結果出力部115は、認識部112が配送先情報を認識した場合には、その認識結果を配送先情報の読み取り結果とし、認識部112が配送先情報を認識できなかった場合には、撮影画像を目視してオペレータが入力した入力情報を配送先情報の読み取り結果とする。
【0021】
区分処理部200は、情報読取装置100が読み取った物品20の配送先情報に基づいて、物品20の区分先を特定し、特定した区分先に物品20が搬送されるように搬送部30に対して指示をする。例えば、区分処理部200は、区分部210と、搬送制御部220とを備えている。区分部210は、情報読取装置100から配送先情報の読み取り結果を取得すると、取得した読み取り結果(配送先情報)に基づいて、予め定められた複数の区分先のうちの物品20の区分先を特定する。
ここで、この予め定められた複数の区分先は、配送先の地域に基づいて配送ルート毎に分けられた区分先であり、例えば、記憶部400に記憶されている。
搬送制御部220は、区分部210が特定した区分先に物品20が搬送されるように指示する指示情報を搬送部30に対して送信する。
【0022】
(区分処理の動作)
次に、
図2を参照して、本実施形態による区分システム10において行われる区分処理の動作を説明する。
図2は、本実施形態による区分処理の一例を示すフローチャートである。この図は、
図1に示す区分システム10において、宅配便の物品20を配送先に応じて区分する処理の基本的な流れを示している。例えば、1次受取場所を経由し配送業者によって集められた物品20がコンベア31に乗せられて区分処理が開始される。
【0023】
まず、情報読取装置100は、物品20に貼られた帳票21に記載されている配送先情報を読み取る処理を実行する。具体的には、スキャナ1とスキャナ2との2系列のスキャナのそれぞれは、コンベア31に乗せられて搬送されている物品20を撮影し、撮影した撮影画像を出力する。画像取得部111は、スキャナ1とスキャナ2とのそれぞれから出力された撮影画像を取得し、取得した撮影画像を画像記憶部410に記憶させる。このとき、画像取得部111は、スキャナ1による撮影画像とスキャナ2による撮影画像とを区別可能なように(例えば、識別情報を対応付けて)画像記憶部410に記憶させる(ステップS10)。
【0024】
次に、認識部112は、画像取得部111が取得したスキャナ1による撮影画像を画像記憶部410から読み出し、撮影画像から物品20に貼られた帳票21に記載されている配送先情報を認識する処理を行う(ステップS20)。例えば、認識部112は、スキャナ1による撮影画像から、配送先情報としての文字情報をOCRにより認識する。なお、認識部112は、スキャナ1による撮影画像から、配送先情報としてのバーコードを認識してもよい。また、認識部112は、レーザー等を備えた外部装置(不図示)を用いて、配送先情報をコード化したバーコードを認識してもよい。
【0025】
次に、認識部112は、配送先情報を認識できたか否か、すなわち、認識に成功したか否かを判定する(ステップS30)。
ステップS30において認識に成功したと判定した場合(ステップS30:YES)、結果出力部115は、認識部112から認識結果を取得して物品20の配送先情報の読み取り結果として区分処理部200に対して出力する(ステップS50)。
【0026】
一方、認識部112が配送先情報を認識不能な場合には、ステップS30において認識に失敗したと判定される。ステップS30において認識に失敗したと判定した場合(ステップS30:NO)、目視によりオペレータが認識して配送先情報を読み取るビデオコーディング処理(ステップS40)に移行する。
このステップS40の処理では、まず、画像提示部113は、スキャナ1による撮影画像とスキャナ2による撮影画像とを画像記憶部410から読みだして情報入力装置300に送り、情報入力装置300が備える表示部310に表示させる(ステップS41)。
【0027】
次に、オペレータは、表示部310に表示されたスキャナ1による撮影画像とスキャナ2による撮影画像との中から、物品20の配送先情報を目視で認識可能な撮影画像を選択する(ステップS42)。これにより、表示部310は、選択された撮影画像を拡大表示する。このとき、情報入力装置300は、選択された撮影画像がスキャナ1による撮影画像とスキャナ2による撮影画像との何れであるかを識別可能な情報を含む選択情報を選択情報記憶部420に記憶させてもよい。
【0028】
続いて、オペレータは、表示部310に拡大表示された撮影画像から物品20の配送先情報を認識して読み取り、読み取った配送先情報を操作部320から入力する。情報入力装置300は、操作部320から入力された入力情報を読取処理部110に対して送信する。そして、読取処理部110の入力情報取得部114は、操作部320から入力された入力情報(すなわち、オペレータが入力した配送先情報)を情報入力装置300から取得する(ステップS43)。
【0029】
そして、結果出力部115は、入力情報取得部114が取得した入力情報を、物品20の配送先情報の読み取り結果として区分処理部200に対して出力する(ステップS50)。このように、情報読取装置100は、認識部112が配送先情報を認識した場合には、その認識結果を配送先情報の読み取り結果として出力し、認識部112が配送先情報を認識できなかった場合には、撮影画像を目視してオペレータが入力した入力情報を配送先情報の読み取り結果として出力する。
【0030】
区分処理部200は、情報読取装置100から出力された配送先情報の読み取り結果に基づいて、物品20の区分先を特定し、特定した区分先に物品20が搬送されるように搬送部30に対して指示をする(ステップS60)。搬送部30は、この指示に応じて、物品20を特定された区分先に搬送する。
【0031】
(認識処理の詳細)
次に、
図3を参照して、情報読取装置100が実行する認識処理の動作について詳しく説明する。
図3は、
図2に示すステップS20の認識処理の詳細例を示すフローチャートである。
ここでは、情報読取装置100が、OCR処理により文字情報による配送先情報を認識する機能に加えて、レーザー等を備えた外部装置(不図示)を用いて、配送先情報をコード化したバーコードを認識する機能を備えているものとする。また、物品20に貼られた帳票21には、配送先情報としてのバーコードと文字情報(住所など)とが記載されているものとする。
【0032】
まず、認識部112は、外部装置から配送先情報としてのバーコードの認識結果を取得する(ステップS21)。認識部112は、取得した認識結果に基づいて、バーコードの認識が成功したか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22において、バーコードの認識が失敗したと判定された場合(ステップS22:NO)、認識部112は、スキャナ1による撮影画像(OCR用画像)を画像記憶部410から読みだし(ステップS23)、この読みだした撮影画像において、バーコードの画像認識処理を行う(ステップS24)。
【0033】
認識部112は、バーコードの画像認識処理を行った結果により、バーコードの認識が成功したか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25において、バーコードの認識が失敗したと判定された場合(ステップS25:NO)、認識部112は、スキャナ1による撮影画像から配送先情報としての文字情報(住所など)をOCRにより認識する認識処理を行う(ステップS26)。
【0034】
次に、認識部112は、OCRによる文字情報(住所など)の認識が成功したか否かを判定する(ステップS27)。ステップS27において、OCRによる文字情報の認識が失敗したと判定された場合(ステップS27:NO)、認識部112は、認識が失敗したことを示す情報を出力して、認識処理を終了する(ステップS28)。そして、目視によりオペレータが認識して配送先情報を読み取るビデオコーディング処理(
図2のステップS40)に移行する。
【0035】
一方、ステップS22においてバーコードの認識が成功したと判定された場合(ステップS22:YES)、ステップS25においてバーコードの認識が成功したと判定された場合(ステップS25:YES)、または、ステップS27においてOCRによる文字情報の認識が成功したと判定された場合(ステップS27:YES)、認識部112は、認識が成功したことを示す情報として認識結果を結果出力部115に出力して、認識処理を終了する(ステップS28)。
【0036】
なお、
図3に示す例では、外部装置によるバーコードの認識処理、撮影画像を元にしたバーコードの認識処理、撮影画像を元にした文字情報(住所など)の認識処理の順序でそれぞれの処理を実行する例を説明したが、この順序に制限はなく入れ換えてもよい。
【0037】
また、バーコード及び文字情報(住所など)を認識する認識処理として説明したが、これに限られるものではなく、バーコード及び文字情報(住所など)のうちの一方を認識する認識処理としてもよい。さらには、これらバーコード及び文字情報(住所など)を認識部112が認識する認識処理(情報読取装置100が自動で認識する認識処理)がない構成としてもよく、毎回、認識が失敗した場合の処理が行われるようにしてもよい。
【0038】
(ビデオコーディング処理の説明)
次に、目視によりオペレータが認識して配送先情報を入力するビデオコーディング処理(
図2のステップS40)において、表示部310に表示される撮影画像の表示例を説明する。
【0039】
図4は、表示部310に表示される撮影画像の第1の表示例を示している。この
図4は、スキャナ1とスキャナ2とのいずれも正常に機能している場合であって、認識部112が配送先情報を認識できなかった場合の表示部310の表示例を示している。ここで、スキャナ1が正常に機能しているが認識部112が配送先情報を認識できない場合とは、例えば、焦点が若干ずれた状態で撮影されたことによって、OCRにより認識可能な画質を満たしていない場合である。このような場合、OCRによる認識が失敗しても、オペレータが目視で認識して読み取ることが可能な場合もある。
【0040】
符号310aが示す表示例は、
図2のステップS41で表示部310に表示される表示画面の一例を示しており、スキャナ1による撮影画像とスキャナ2による撮影画像とが表示されている。ここでは、スキャナ1により撮影された物品20の上面の撮影画像(符号A)、右側面の撮影画像(符号B)、左側面の撮影画像(符号C)と、スキャナ2により撮影された物品20の上面の撮影画像(符号D)、右側面の撮影画像(符号E)、左側面の撮影画像(符号F)とがそれぞれ並べて表示されている。なお、スキャナ1による撮影画像は、ラインスキャン方式で撮影した画像のため形状補正された高画質なものである。
一方、スキャナ2による撮影画像は、エリアスキャン方式で撮影された形状補正なしの画像である。
【0041】
この
図4に示す例では、スキャナ1による撮影画像およびスキャナ2による撮影画像ともに上面の撮影画像が正常に撮影されている。そのためオペレータは、例えば、高画質で通常時に選択すべきスキャナ1による上面の撮影画像(符号A)を選択する(
図2のステップS42に相当)。選択方法は、キー入力による方法でもよいし、マウス操作により画面上で選択される方法でもよい。選択したスキャナ1による上面の撮影画像(符号A)は、符号310bに示すように拡大表示される。この拡大画像を元に、目視で確認した配送先情報をオペレータが入力することによってビデオコーディング処理が完了する。
【0042】
なお、選択した撮影画像が、スキャナ1が撮影した撮影画像とスキャナ2が撮影した撮影画像との何れであるかを識別可能な情報を含む選択情報が、記憶部400が備える選択情報記憶部420に記憶される。また、上述した選択情報と撮影画像とを併せて、記憶部400または上述の記憶媒体に記憶されてもよい。ここで、記憶される撮影画像は、保存容量を削減するために、圧縮や一部切り取りなどを行った画像としてもよい。また、選択された撮影画像によっては、(例えば、スキャナ1に異常がない通常時に選択すべき画像が選択された場合など)画像の保存を省略してもよい。
【0043】
図5は、表示部310に表示される撮影画像の第2の表示例を示している。この
図5は、スキャナ1による撮影画像に異常が発生した場合であって、認識部112が配送先情報を認識できなかった場合の表示部310の表示例を示している。
【0044】
符号310cが示す表示例は、
図4の符号310aに示す表示例と同様に、物品20の上面、右側面、および左側面を撮影した、スキャナ1による撮影画像とスキャナ2による撮影画像とが並べて表示されている。
図4の符号310aに示す表示例と異なるのは、スキャナ1により撮影された物品20の上面の撮影画像(符号A)に異常が発生しており(例えば、補正処理に失敗しており)正常に撮影された画像ではない点である。
オペレータは、このスキャナ1により撮影された物品20の上面の撮影画像(符号A)を選択しても配送先情報を目視で認識することが困難である。そのため、スキャナ2による上面の撮影画像(符号D)を選択する。選択したスキャナ2による上面の撮影画像(符号D)は、符号310dに示すように拡大表示される。この拡大画像を元に、目視で確認した配送先情報をオペレータが入力することによってビデオコーディング処理が完了する。
【0045】
なお、撮影画像の選択時には、
図4に示したスキャナ1の正常時と同様に選択情報が記憶される。選択した撮影画像も併せて記憶される場合には、上述した保存容量を削減する方法の他に、スキャナ1による撮影画像のうち、選択したスキャナ2による撮影画像の面に対応する面の撮影画像だけを保存することも可能である。つまり、この図に示す例では、スキャナ2による上面の撮影画像(符号D)が選択されたため、スキャナ1による上面の撮影画像(符号A)のみが記憶されてもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態による情報読取装置100は、スキャナ1(第1撮影部の一例)により撮影された物品20(対象物の一例)の撮影画像(第1の撮影画像の一例)と、スキャナ2(第2撮影部の一例)により撮影された物品20の撮影画像(第2の撮影画像の一例)とを取得し、スキャナ1による撮影画像に基づいて物品20の配送先情報(表示情報の一例)を認識できない場合には、少なくともスキャナ2による撮影画像を表示させ、オペレータが目視により配送先情報を入力可能なように構成した。
【0047】
これにより、例えば、自動認識用のスキャナ1による撮影画像が補正処理の失敗などによって画像が壊れている場合であっても、オペレータがスキャナ2による撮影画像から目視にて配送先情報を読み取って入力することができる。
このように、本実施形態による情報読取装置100は、自動認識が失敗したときでも、他の方式のスキャナで撮影した画像をオペレータが確認できるため、配送先情報の読み取り率を向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態による区分システム10は、上述の情報読取装置100による配送先情報の読み取り結果に基づいて物品20を区分する。これにより、本実施形態による区分システム10は、区分処理の効率を向上させることができる。
【0049】
なお、本実施形態において、宅配便の区分までの処理は単独で動作が可能である。また、
図1で示したシステム構成は代表的なものであり、それぞれの構成要素が同じ計算装置に一体として構成されてもよいし、それぞれ異なる計算装置に分散して構成されてもよい。またそれぞれの構成要素が通信網を介して接続される構成としてもよい。
【0050】
また、本実施形態において、2系統のスキャナは、対象物の撮影範囲をそれぞれ異なるセンシング方法(本実施形態では、ラインスキャン方式とエリアスキャン方式)を用いて撮影することが望ましい。同種のセンシング方法を用いない場合では、一方のセンシング方法で目視により配送先情報(住所など)を確認できないような画像が取得された場合でも、他方のセンシング方法では正しく配送先情報(住所など)の領域が撮影でき、オペレータが目視確認により配送先情報(住所など)を入力できる可能性が高まるためである。
【0051】
また、ラインスキャン方式で撮影された撮影画像とエリアスキャン方式で撮影された撮影画像との使用例は一例であって、これに限られるものではない。例えば、エリアスキャン方式で撮影された撮影画像を、OCR等による自動認識に使用してもよい。
【0052】
また、スキャナ1とスキャナ2との2系統のスキャナのセンシング方法を同じ方法としてもよい。例えば、スキャナ1とスキャナ2との両方をエリアスキャン方式としてもよい。その場合、スキャナ1により撮影された撮影画像が、スキャナ2により撮影された撮影画像より解像度が高い構成とすることが望ましい。
また、スキャナ1とスキャナ2との両方をラインスキャン方式としてもよい。さらに、スキャナ2を省略し、スキャナ1のみを備えた構成としてもよい。この場合、ラインスキャン方式のスキャナ1により撮影された画像の補正後の画像をOCR等による自動認識に使用する撮影画像として使用し、補正前の画像をオペレータが目視確認するための撮影画像として使用してもよい。すなわち、本実施形態では、互いに異なる生成過程により生成された撮影画像の一方を少なくともOCR等による自動認識に使用し、他方を少なくともオペレータが目視確認するための撮影画像(ビデオコーディング処理に使用する撮影画像)として使用してもよい。
【0053】
また、本実施形態において、2系統のスキャナを備えた構成を例に説明したが、3系統以上のスキャナを備えた構成としてもよく、上記実施形態による処理と同様の処理を容易に拡張することができる。
【0054】
また、
図1に示す記憶部400は、情報読取装置100、区分処理部200、または情報入力装置300のいずれかに備えられている構成としてもよいし、別に設けられている構成としてもよい。また、記憶部400が、情報読取装置100、区分処理部200、または情報入力装置300と通信網を介して接続される構成としてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、情報読取装置100を区分システム10において宅配便の配送先情報を読み取る処理に適用した例を説明したが、他のシステムに適用してもよい。本実施形態による情報読取装置100は、対象物に対応付けられた表示情報の読み取り効率を向上させることができるため、表示情報の読み取り結果を利用する様々なシステムに適用することで、各システムの処理効率を向上させることが可能である。例えば、大量の紙幣の記番号を読み取って保存するシステムに適用してもよいし、読み取った記番号を照合するシステムに適用してもよい。
【0056】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態の区分システムの構成は、診断装置500を備えている点が第1の実施形態の区分システム10と異なる。
図6は、本実施形態に係る区分システム10Aの概略構成の一例を示す構成図である。
なお、
図6において、
図1に対応する構成には同一の符号を付けており、その説明を省略する。
【0057】
診断装置500は、故障診断部510と、警告表示部520(警告部の一例)とを備え、スキャナの故障を診断する。
故障診断部510は、目視によりオペレータが認識して配送先情報を読み取るビデオコーディング処理において選択された撮影画像が、スキャナ1による撮影画像とスキャナ2による撮影画像とのうちの何れであるかを示す選択情報に基づいて、スキャナ1の故障を診断する。すなわち、故障診断部510は、情報入力装置300において、オペレータにより入力情報が入力された際に、選択されて表示された撮影画像がスキャナ1による撮影画像とスキャナ2による撮影画像とのうちの何れであるかを示す選択情報に基づいて、スキャナ1による撮影画像の生成過程における故障を診断する。
【0058】
警告表示部520は、故障診断部510が、スキャナ1による撮影画像の生成過程に故障の疑いがあると診断した場合に、警告表示を出力する。
【0059】
次に、故障診断方法の具体例について、第1例と第2例を説明する。
(故障診断方法の第1例)
故障診断部510は、選択情報記憶部420に記憶されている複数の選択情報において、スキャナ2による撮影画像が選択された割合が予め設定された比率以上の場合に、スキャナ1による撮影画像の生成過程に故障の疑いがある(すなわち、異常)と診断する。
【0060】
例えば、スキャナ1による撮影画像が選択された回数が3500回、スキャナ2による撮影画像が選択された回数が15回とする。このときのスキャナ2の選択比率は、
15÷(3500+15)≒0.0043
となる。
異常であると判定する比率が規定値0.2以上と設定されていたとすると、この場合にはスキャナ2の選択比率が規定値0.2未満であるため、正常と判定される。
【0061】
一方、例えば右側面の撮影画像に対してスキャナ1が選択された回数が250回、スキャナ2が選択された回数が200回とする。このときのスキャナ2の選択比率は、
200/(250+200)≒0.4444
となる。
異常であると判定する比率が規定値0.2以上と設定されていたとすると、この場合にはスキャナ2の選択比率が規定値0.2以上であるため、スキャナ1に異常の疑いありと判定される。
【0062】
(故障診断方法の第2例)
故障診断部510は、選択情報記憶部420に記憶されている複数の選択情報に基づいて、スキャナ2による撮影画像が選択された回数が予め設定された回数以上となった場合に、スキャナ1による撮影画像の生成過程に故障の疑いがある(すなわち、異常)と診断する。例えば、スキャナ2による撮影画像の選択回数の規定値が100以上と設定されていたとした場合には、スキャナ2による撮影画像の選択回数が100以上(例えば、200)である場合に異常と判定、または選択回数が100を超えた時点で異常と判定される。
【0063】
(故障診断処理の動作)
次に、
図7を参照して、本実施形態による故障診断処理の動作について説明する。
図7は、本実施形態による故障診断処理の一例を示すフローチャートである。
【0064】
まず、故障診断部510は、選択情報記憶部に記憶されている複数の選択情報を取得する(ステップS110)。これは宅配便の各々の物品20に対するビデオコーディング処理のときに記憶された選択情報が複数蓄積されたものを指す。前述したように、選択情報には、ビデオコーディング処理(
図2のステップS40)のときに選択された撮影画像がいずれのスキャナで撮影された画像であるかを識別可能な情報が含まれる。
【0065】
次に、故障診断部510は、取得した複数の選択情報を解析することにより、スキャナ1による撮影画像の生成過程における故障を診断する。例えば、上述した故障診断方法の第1例または第2例によって故障の診断をする(ステップS120)。
【0066】
続いて、診断装置500は、診断結果を出力して(ステップS130)、診断処理を終了する。例えば、ステップS120において、スキャナ1による撮影画像の生成過程に故障の疑いがあると診断された場合、警告表示部520は、異常があることを通知するための警告表示を表示する。なお、スキャナ1による撮影画像の生成過程に故障の疑いがないと診断された場合には、警告表示部520は、異常がないことを表示してもよい。
【0067】
上述したように異常による警告表示をする場合、具体的には、区分システム10Aに付随するオペレーションパネルなどの表示機器(例えば、警告表示部520)に、異常が疑われるスキャナの番号と設置場所とを警告表示してもよい。もしくは、保守センターなどと通信できる場合には、保守センター側に、システム情報(例えば、「川崎処理基地3号機」)、スキャナ情報(例えば、「スキャナ1の右側面カメラ」)、該当画像(例えば、「選択されなかったスキャナ1の撮影画像群」)を送信してもよい。オペレータや保守員は、通知を受け取った場合に、該当スキャナの状態を直接確認してもよいし、ビデオコーディング処理時に選択されなかったスキャナの撮影画像群を参照して、故障と疑われた撮影画像を目視確認することもできる。当該撮影画像を目視確認できる仕組みができているため、例えば、形状検出ができないために撮影画像がぼけているのか、ラインセンサの一部の画素が壊れて機能していないのか、照明が切れていて暗くて見えないのか、などのあらゆる故障を即時に確認することが可能である。
【0068】
また、故障の疑いがあるスキャナの撮影画像を表示するにあたって、画像表示ツール等を使用して、目視確認作業を効率化してもよい。また、スキャナ自体に故障表示機能がある場合には、そこに故障表示の指示信号を送って、スキャナ自体で故障表示を行ってもよい。なお、警告表示に関しては、オペレータや保守員が故障の疑いに気付くことができればよいため、表示による警告(通知)の方法は一例であり、その警告(通知)方法は表示に限られるものではない。例えば、警告表示に代えて、警告音や警告メッセージの音声出力などとしてもよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態による区分システム10Aは、オペレータが配送先情報を読み取る際に選択された撮影画像がスキャナ1による撮影画像とスキャナ2による撮影画像とのいずれであるかに基づいて、スキャナ1の故障診断を行う。例えば、区分システム10Aは、スキャナ2による撮影画像が選択される比率や回数が多くなった場合にスキャナ1に故障の疑いがあると診断する。
このように、本実施形態による区分システム10Aは、オペレータによる撮影画像の選択履歴に基づいてスキャナ1の故障を診断することができるため、故障を放置したまま処理が継続されてしまうことを抑制することができる。また、スキャナ1に故障が発生した場合にすぐに撮影画像を確認できるため、故障状態の把握や故障への対応を早めることができる。
【0070】
なお、上記実施形態では、情報読取装置100、区分処理部200、及び情報入力装置300などの区分処理を行う構成とは異なる構成である診断装置500が故障診断処理を行う構成例を説明したが、情報読取装置100、区分処理部200、及び情報入力装置300のいずれかが故障診断処理を行う構成としてもよい。すなわち、故障診断部510または警告表示部520に相当する構成を、情報読取装置100、区分処理部200、及び情報入力装置300のいずれかが備えてもよい。
【0071】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0072】
なお、上述の情報読取装置100または区分システム10(10A)は内部にコンピュータを有している。そして、上述の情報読取装置100または区分システム10(10A)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の情報読取装置100または区分システム10(10A)による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0073】
また、上述した機能の一部または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。