特許第6430629号(P6430629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6430629ユニバーサルジョイントの円状支持ポートのためのカバー組立体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6430629
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】ユニバーサルジョイントの円状支持ポートのためのカバー組立体
(51)【国際特許分類】
   B21B 35/14 20060101AFI20181119BHJP
   F16D 3/26 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   B21B35/14 A
   F16D3/26 X
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-511771(P2017-511771)
(86)(22)【出願日】2015年8月25日
(65)【公表番号】特表2017-527444(P2017-527444A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】US2015046723
(87)【国際公開番号】WO2016033062
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】62/042,315
(32)【優先日】2014年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/817,571
(32)【優先日】2015年8月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316012658
【氏名又は名称】プライメタルズ テクノロジーズ ユーエスエー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Primetals Technologies USA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エヌ・オズグッド
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−281173(JP,A)
【文献】 実開平04−127424(JP,U)
【文献】 米国特許第04505689(US,A)
【文献】 国際公開第2000/046522(WO,A1)
【文献】 特開平09−196083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 35/14
F16D 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニバーサルジョイントのヨークにある円状支持ポートのためのカバー組立体であって、
複数の別個のカバーセグメントであって、互いに相互作用して前記ポートを閉塞する位置へ前記ポート内に挿入するように構成されかつ寸法付けられ、当該カバーセグメントそれぞれが、前記ポートの内面を囲むロック溝部内に配置される外縁部を有する、カバーセグメントと、
前記カバーセグメントと相互接続するための手段であって、それにより、一体円状カバーを形成する、手段と、
前記ヨークに対して前記カバーを回転不能に固定するための手段と、
を備えることを特徴とするカバー組立体。
【請求項2】
前記一体円状カバーの外径が、前記ロック溝部の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のカバー組立体。
【請求項3】
前記カバーセグメントを相互接続するための前記手段が、締付具によって前記カバーセグメントそれぞれに固定されたキーを備えることを特徴とする請求項1に記載のカバー組立体。
【請求項4】
前記カバーを回転不能に固定するための前記手段が、前記キーにあるタブを備え、
前記タブが、前記支持ポートの内面にある抗回転切欠部内に配設されるように構成されかつ配置されていることを特徴とする請求項3に記載のカバー組立体。
【請求項5】
前記ロック溝部が、丸底部を有し、
前記カバーセグメントの前記外縁部が前記ロック溝部に配置された丸肩部を有することを特徴とする請求項2に記載のカバー組立体。
【請求項6】
前記ロック溝部の前記丸底部にある第2溝部と、
前記第2溝部内に配置されたOリングと、
をさらに備え、
前記Oリングが、弾性圧縮可能であり、前記一体円状カバーを径方向で閉じ込めるように構成されかつ寸法付けられていることを特徴とする請求項5に記載のカバー組立体。
【請求項7】
前記一体円状カバーが、
前記支持ポートの両側部分を各別に閉塞する第1及び第2カバーセグメントであって、当該第1及び第2カバーセグメントが、これら間に間隙を画成するように構成されかつ寸法付けられた、第1及び第2カバーセグメントと、
前記間隙の一部を閉塞する第3カバーセグメントと、
残りの部分を閉塞する第4カバーセグメントと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のカバー組立体。
【請求項8】
前記キーが、前記カバーセグメントのうちの1つと一体的であることを特徴とする請求項3に記載のカバー組立体。
【請求項9】
ユニバーサルカップリングのヨークにある円状支持ポートを閉塞する方法であって、
前記ポートの内面を囲むロック溝部を設けるステップと、
互いに相互作用して前記ポートを閉塞する位置へ前記ポート内へ複数のカバーセグメントを挿入するステップであって、前記カバーセグメントそれぞれが前記ロック溝部内に配設される外縁部を有する、ステップと、
前記カバーセグメントを相互接続し、これにより、一体円状カバーを形成するステップと、
前記カバーを前記ヨークに対して回転不能に固定するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
キーを前記カバーセグメント全てに締め付けることによって前記一体円状カバーを形成することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ーにあるタブを前記ポートの内面にある抗回転切欠部に配設することによって、前記一体円状カバーを前記ヨークに回転不能に固定することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記一体円状カバーに前記ロック溝部の内径よりも小さい外径を設けるステップをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ロック溝部に丸底部を設けるステップと、
前記カバーセグメントの前記外縁部に前記ロック溝部の前記丸底部に配設される丸肩部を設けるステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ロック溝部の前記丸底部に第2溝部を設けるステップであって、前記第2溝部が、前記一体円状カバーを径方向で閉じ込める弾性圧縮可能なOリングを収容する、ステップをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
以下の順序:
第1カバーセグメントが前記ポートの一側部分を閉塞するステップ、
第2カバーセグメントが前記ポートのうち前記一側部分とは反対側の他の側部分を閉塞し、前記第1及び第2セグメントが、当該第1及び第2セグメント間に間隙を画成するように構成されかつ寸法付けられている、ステップ、
第3カバーセグメントが前記間隙の一部を閉塞するステップ、及び、
第4カバーセグメントが前記間隙の残りの部分を閉塞するステップ、
で、前記カバーセグメントを前記ポート内に挿入することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年8月4日に出願した米国特許出願第14/817,571号からの及び2014年8月27日に出願した米国仮特許出願第62/042,315号への優先権を主張し、これら内容及び要旨すべてを参考として本明細書に組み込む。
【0002】
本発明の態様は、重工業設備、特に圧延装置で見られるタイプのユニバーサルジョイントの円状支持ポートで使用するためのカバー組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
図1から図4は、従来のユニバーサルジョイント10を示す。ユニバーサルジョイントは、4つのヨーク(yoke)半体組立体12a〜12dと、これら間の横断組立体14と、を有する。横断組立体は、支持ポート20内に収容されている支持体18によって回転可能に支持された4つの腕部16を有する。
【0004】
従来のシステムにおいて、支持ポート20は、開口端を有し、カバー22によって閉塞されており、これらカバーは、ボルト24によってヨーク半体に固定された淵部を有する。空間が制限されているので、ボルトは、取り付けるために小さくなければならず、そのため、比較的多い数のボルトを必要とする。負荷を受けると、ヨーク支持ポートは、変形する傾向があり、ボルトを弛緩させるまたは破損させる。
【0005】
別の従来の解決法は、大型のスナップリングを使用してカバーを所定位置に保持することであるが、これらリングは、使用することが困難であることがわかっており、スナップリングが載置される鋭い溝部は、応力発生源となり得る。
【0006】
さらに別の従来の解決法は、支持ポートをメクラ穴として構成することである。この解決法の問題は、支持ポートに対してヨークが非常に薄く、ヨークが破損しやすい高応力領域となり得ることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の解決法にこれら制限があるので、ユニバーサルジョイントの負荷容量は、制限され、このため、新たな解決法を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡単に説明すると、本発明にかかる態様は、ユニバーサルジョイントの円状支持ポートを閉塞するために使用されるカバー組立体に関する。ユニバーサルジョイントは、重工業環境、特に圧延装置で採用されるタイプのものである。
【0009】
本発明の例示的な形態において、ユニバーサルジョイントのヨークにある支持ポートのためのカバー組立体は、互いに相互作用して支持ポートを閉塞する位置へ支持ポート内に挿入するように構成されかつ寸法付けられた複数の別個のカバーセグメントを備え得る。カバーセグメントそれぞれは、支持ポートの内面を囲むロック溝部内に配設される外縁部を有する。カバーセグメントは、相互接続され、それにより、一体円状カバーを形成し、カバーは、ヨークに対して回転不能に固定されている。
【0010】
一体円状カバーの外径は、好ましくは、ロック溝部の内径よりも小さい。
【0011】
カバーセグメントは、締付具によってカバーセグメントそれぞれに固定されたキーによって相互接続され得る。
【0012】
カバー組立体は、キーにあるタブによってヨークに対して回転不能に固定され得、タブは、支持ポートの内面にある抗回転切欠部内に配設されるように構成されかつ配置されている。
【0013】
ロック溝部は、丸底部を有し得、カバーセグメントの外縁部は、ロック溝部内に配設される丸肩部を有し得る。
【0014】
第2溝部は、ロック溝部の丸底部に設けられ得、Oリングは、第2溝部内に配設され得る。Oリングは、弾性圧縮可能であり得、一体円状カバーを径方向で閉じ込めるように構成されかつ寸法付けられ得る。
【0015】
カバーセグメントは、支持ポートの両側を閉塞しつつこれら間に間隙を残すことを可能とする第1及び第2セグメントと、間隙の一部を閉塞する第3セグメントと、間隙の残りの部分を閉塞する第4セグメントと、を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ユニバーサルジョイントを示す斜視図であって、その支持ポートが従来のカバーによって閉塞された、斜視図である。
図2図1に示すユニバーサルジョイントを示す側面図である。
図3図2の線3−3断面図である。
図4図3に示す円形部分を示す拡大部分断面図である。
図5】ユニバーサルジョイントを示す斜視図であって、その支持ポートが本発明の例示的な実施形態にかかるカバー組立体によって閉塞された、斜視図である。
図6図5に示すユニバーサルジョイントのヨーク半体のうちの1つを示す側面図である。
図7図6の線7−7断面図であって、本発明の例示的な実施形態にかかるロック溝部によって囲まれた支持ポートの内面を示す、断面図である。
図8図7に示す円形部分を示す拡大部分断面図である。
図9図7に示す円形部分を示す拡大部分断面図である。
図10】本発明の例示的な実施形態にかかるカバーを形成する構成部材を示す分解図である。
図11A】本発明の例示的な実施形態にかかるカバー組立体を設置する連続的なステップを示す概略図である。
図11B】本発明の例示的な実施形態にかかるカバー組立体を設置する連続的なステップを示す概略図である。
図11C】本発明の例示的な実施形態にかかるカバー組立体を設置する連続的なステップを示す概略図である。
図11D】本発明の例示的な実施形態にかかるカバー組立体を設置する連続的なステップを示す概略図である。
図11E】本発明の例示的な実施形態にかかるカバー組立体を設置する連続的なステップを示す概略図である。
図12A】本発明の例示的な実施形態にかかるカバーセグメントがロック溝部内に及びOリングに当接して配置されていることを示す拡大断面図である。
図12B】本発明の例示的な実施形態にかかるカバーセグメントがロック溝部内に及びOリングに当接して配置されていることを示す拡大断面図である。
図13A】本発明の例示的な実施形態における改良型のカバーセグメントを示す前面図であって、カバーセグメントが他のカバーセグメントと相互接続されてカバー組立体を回転不能に固定する、前面図である。
図13B】本発明の例示的な実施形態における改良型のカバーセグメントを示す後面図であって、カバーセグメントが他のカバーセグメントと相互接続されてカバー組立体を回転不能に固定する、後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態、原理及び特徴を理解することを容易にするため、これらは、例示的な実施形態における実施を参照して、以下に説明される。特に、これらは、頑丈なユニバーサルジョイントの円状支持ポートのためのカバーとの関連で説明される。
【0018】
しかしながら、本発明の実施形態は、説明した工業用途で使用することに限定されない。
【0019】
さまざまな実施形態を形成する以下で説明する構成部材及び材料は、例示的であり、制限的ではないことを意図する。本明細書で説明する材料と同じまたは同様の機能を発揮し得る多くの適切な構成部材及び材料は、本発明の実施形態の範囲内に包含されることを意図する。
【0020】
図5は、ユニバーサルジョイント10’を示しており、このユニバーサルジョイントは、同様に、4つのヨーク半体組立体12a’〜12d’を有し、ヨーク組立体の支持ポートは、本発明の例示的な実施形態にかかるカバー組立体26によって閉塞されている。
【0021】
図10を参照すると、カバー組立体26は、好ましくは、Oリング28と、第1及び第2カバーセグメント30a、30bと、第3カバーセグメント30cと、第4カバーセグメント30dと、キー32と、主に符号34で示される複数の締付具と、を備える。カバーセグメント30a〜30dの外縁部には、丸肩部31が形成されている。
【0022】
図6から図9に示すように、各ヨーク半体組立体は、開口端円状支持ポート36を有しており、その内面は、ロック溝部38によって囲まれている。ロック溝部は、第2溝部40によって中断された丸底部38aを有する。一位置において、図9に示すように、溝部38は、抗回転切欠部42と交わっている。
【0023】
カバー組立体26の設置は、以下の連続的なステップによって実現される。
・Oリング28を第2溝部40内に配置する。
図11Aに示すように、第1カバーセグメント30aを支持ポートの一側に位置させる。
図11Bに示すように、第2カバーセグメント30bを支持ポートの反対側に位置させる。第1及び第2カバーセグメントは、これら間に間隙44を画成するように構成されかつ寸法付けされている。
図11Cに示すように、第3カバーセグメント30cを間隙44の一部を閉塞するように位置させる。
図11Dに示すように、第4カバーセグメント30dを間隙44の残りの部分を閉塞するように位置させる。
図11Eに示すように、キー32をカバーセグメント全てに固定し、これにより、これらカバーセグメントを相互接続して一体カバーにする。キー32は、抗回転切欠部42内に配置されるように構成されかつ形成されたタブ33を有し、このため、カバー組立体をヨーク半体に対して回転不能に固定する。
【0024】
図12a及び図12bにおいて最もよくわかるように、カバーセグメント30a〜30dの外縁部にある丸肩部31は、ロック溝部38内に受けられる。一体カバーの外径は、好ましくは、ロック溝部38の内径よりも若干小さい。
【0025】
Oリング28は、ロック溝部38の丸底部38aから径方向内側に突出する。一体カバーの外側円状縁部は、Oリングと接触し、これにより、Oリングによって径方向で支持され、Oリング内に閉じ込められている。Oリングの弾性収縮率によって、一体カバーがヨーク半体に対して径方向に「浮き」、これにより、キー32を各カバーセグメントに固定している締付具34を、負荷を受けた支持ポートの変形の結果として生じた損傷応力から隔離する。
【0026】
ここで図13A及び図13Bを参照すると、わかることは、第4カバーセグメント30d’には締付具を収容して他のカバーセグメントに固定する一列の開口部と、抗回転切欠部42内に受けられるように構成されかつ形成されたタブ33’と、が設けられ得ること、である。この配置により、第4カバーセグメントは、同様に、キーとして機能する。
【0027】
上記を踏まえて、当業者に明らかであることは、改変が添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく本明細書で開示された例示的な実施形態になされ得ること、である。例えば、一体カバーは、別の数の異なる構成とされたカバーセグメントで形成され得、また、一体カバーがロック溝部の内径とほぼ同等の外径で形成され得る。
【符号の説明】
【0028】
10’ ユニバーサルジョイント、12a’〜12d’ ヨーク半体組立体、26 カバー組立体、28 Oリング、30a 第1カバーセグメント,カバーセグメント、30b 第2カバーセグメント,カバーセグメント、30c 第3カバーセグメント,カバーセグメント、30d,30d’ 第4カバーセグメント,カバーセグメント、31 丸肩部、32 キー、33,33’ タブ、34 締付具、36 開口端円状支持ポート、38 ロック溝部,溝部、38a 丸底部、40 第2溝部、42 抗回転切欠部、44 間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図12A
図12B
図13A
図13B