(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6430630
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】表面及び照明表面に照明装置を付与する方法
(51)【国際特許分類】
F21K 9/90 20160101AFI20181119BHJP
F21S 41/50 20180101ALI20181119BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20181119BHJP
F21S 41/141 20180101ALI20181119BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20181119BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20181119BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20181119BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20181119BHJP
F21W 111/00 20180101ALN20181119BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20181119BHJP
【FI】
F21K9/90
F21S41/50
F21S41/151
F21S41/141
H01L33/00 H
B05D3/12 B
B05D7/00 H
B05D1/02 Z
F21W111:00
F21Y115:10 500
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-511994(P2017-511994)
(86)(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公表番号】特表2017-528872(P2017-528872A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】EP2015069652
(87)【国際公開番号】WO2016034492
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年3月1日
(31)【優先権主張番号】14183139.6
(32)【優先日】2014年9月2日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブス エグベルトゥス レイニエル
(72)【発明者】
【氏名】デ サンバー マーク アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】バン グルンスベン エリック コーネリス エグベルトゥス
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン エスター アンナ ウィルヘルミナ ゲラルダ
【審査官】
野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−512977(JP,A)
【文献】
特表2001−526469(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/091319(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0228666(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0193105(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0224153(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102012101160(DE,A1)
【文献】
独国実用新案第202014102938(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00−1/56
H01L 21/60
H01L 33/00
F21K 9/90
B05D 1/02
B05D 3/12
B05D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に照明装置を付与する方法であって、
前記表面の上に第1の電気端子との接続のための第1の導電層を形成するステップと、
前記第1の導電層の上にLED照明素子のアレイを付与するステップであって、前記LED照明素子のそれぞれは、上部及び下部電気コンタクトを備えるパッドを含み、前記上部電気コンタクトが、突出したコンタクトバンプを含み、前記LED照明素子は、前記LED照明素子の少なくとも一部が前記表面から離れる方向に向いている前記上部電気コンタクトで上向きであるように付与される、ステップと、
前記LED照明素子間の空間を充填し、且つスプレー塗料で前記LED照明素子を被覆するためにスプレー塗料コーティングするステップと、
前記スプレー塗料の上部を除去し、これにより上向きの前記LED照明素子のための前記コンタクトバンプを露出させ、且つ前記上向きのLED照明素子のための光出力窓を形成するステップと、
前記スプレー塗料及び露出した前記コンタクトバンプの上に第2の電気端子との接続のための第2の導電層を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
第1の導電層はスプレーされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LED照明素子は、2を超える、パッドの厚さに対するパッド面積の平方根の比を有し、及び/又は
前記LED照明素子は、10000(μm)2未満の面積と50μm未満の厚さとを有する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記LED照明素子は、前記第1の導電層が粘着性である間に付与される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記LED照明素子は粒子ブラスト、噴射又は箔転写によって付与される、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記上部を除去するステップは、研磨を含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の導電層を形成するステップは、透明導電層をスプレーするステップを含む、請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の導電層の上に透明保護コーティングを塗布するステップを更に含む、請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の導電層は、個別にアドレス可能な領域を画定するようにパターニングされる、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記表面は、自動車車体パネルを含む、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
照明装置でコーティングされた表面であって、前記表面は、
第1の電気端子との接続のための前記表面の上の第1の導電層と、
前記第1の導電層の上のLED照明素子のアレイであって、前記LED照明素子のそれぞれが、上部及び下部電気コンタクトを備えるパッドを含み、前記LED照明素子の少なくとも一部分が、前記表面から離れる方向に向いている前記上部電気コンタクトで上向きであり、前記上部電気コンタクトが突出したコンタクトバンプを備える、LED照明素子のアレイと、
前記LED照明素子間の空間を充填するスプレー塗料コーティングであって、LED照明素子を部分的に被覆しているが、上向きの前記LED照明素子の前記コンタクトバンプが露出され、且つ前記上向きのLED照明素子のため当該スプレー塗料コーティング中に光出力窓が形成される、スプレー塗料コーティングと、
前記スプレー塗料コーティング及び露出した前記コンタクトバンプの上に第2の電気端子との接続のための第2の導電層と
を含む、表面。
【請求項12】
前記LED照明素子は、2を超える、パッドの厚さに対するパッド面積の平方根の比を有し、及び/又は
前記LED照明素子は、10000(μm)2未満の面積と50μm未満の厚さとを有する、
請求項11に記載の照明装置でコーティングされた表面。
【請求項13】
前記LED照明素子は、前記上部電気コンタクトの上に光出力カバーを含む、請求項11又は12に記載の照明装置でコーティングされた表面。
【請求項14】
前記第2の導電層の上に透明保護コーティングを更に含む、請求項11乃至13の何れか一項に記載の照明装置でコーティングされた表面。
【請求項15】
自動車車体パネルを含む、請求項11乃至14の何れか一項に記載の照明装置でコーティングされた表面。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面及び表面コーティングに、照明素子を含む照明装置を付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED照明は照明業界を一変させており、照明製品はもはや単なるオン/オフデバイスではなく、LEDの容易な制御性により可能となったより精巧な制御オプションを有する高度なデバイスになっている。
【0003】
LED照明は、また、美的観点から非常に用途の広いデザイン可能性を提供する。
【0004】
例えば、LED照明は、照明を表面から提供するために使用され得、一層広範な用途の可能性をもたらす。
【0005】
関心領域の1つは自動車照明である。車両の側面灯及び信号灯の外観は重要なデザイン特徴である。車両灯内におけるLEDの使用に関する多くの様々な例があるが、既知の例は全て、LEDが自動車の車体内の適切な位置に付与される別個のユニットとして形成されるため、オフ状態で見えるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、LED光源がオフにされたときに目に見えない又は殆ど見えない状態で表面から光出力が提供され得る照明システムに対する要求がある。この要求は、自動車用途に当てはまるが、照明機能を含めることで塗装面の美的品質が損なわれるべきではない他の塗装面にも当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特許請求の範囲によって定義される。
【0008】
本発明の一態様によれば、表面に照明装置を付与する方法であって、
表面の上に第1の電気端子との接続のための第1の導電層を形成するステップと、
第1の導電層の上にLED照明素子のアレイを付与するステップであって、LED照明素子のそれぞれは、上部及び下部電気コンタクトを備えるパッドを含み、上部電気コンタクトが、突出したコンタクトバンプを含み、LED照明素子は、LED照明素子の少なくとも一部が表面から離れる方向に向いている上部電気コンタクトで上向きであるように付与される、ステップと、
LED照明素子間の空間を充填し、且つスプレー塗料でLED照明素子を被覆するためにスプレー塗料コーティングするステップと、
スプレー塗料の上部を除去し、これにより上向きのLED照明素子のためのコンタクトバンプを露出させ、且つ上向きのLED照明素子のための光出力窓を形成するステップと、
スプレー塗料及び露出したコンタクトバンプの上に第2の電気端子との接続のための第2の導電層を形成するステップと
を含む方法が提供される。
【0009】
この方法は、スプレー塗料材料内に埋め込まれたLED照明素子を提供する。これにより、照明素子の機能的な部品がオフ状態において実質的に不可視であり、オン状態においてのみ可視となることを可能にする。これにより、発光デバイスを異形の表面に付与する柔軟性を可能にする。
【0010】
照明素子が不可視とされる程度は、除去されるべきスプレー塗料の上部の量を選択することによって制御され得る。例えば、光出力窓の大きさはLED照明素子のデザインによって制御され得、そのため、塗料層内の光出力開口部の大きさと光出力強度との間で所望のトレードオフが見出され得る。
【0011】
スプレー塗料の上部を除去するステップは、上向きのLED照明素子のためのコンタクトバンプを露出させるのみならず、光学光出力窓も開口する。この窓は、コンタクトバンプ自体を含み、又はそれはLED照明素子の別個の光出力領域を含み得る。
【0012】
光出力が、場所を照明するためよりもむしろ情報を提供するためのものである用途があり得る。例えば、デザインにより、表面又は物体に関する高温又は低温の表示を与えることで更なる安全性を付与することができる。
【0013】
この方法のステップは全て、例えば自動車分野において用いられる、噴霧及び研磨などの標準的な工程ステップであり得る。照明素子自体がこの方法のために特別にデザインされている。
【0014】
表面コーティング内に不可視の光源を設けることができることは、デザインの観点から非常に魅力的である。
【0015】
好ましくは、第1の導電層はスプレーされる。第1の導電層は、例えば、銀充填エポキシを含み得る。
【0016】
照明素子は、正しい向きで容易に付与され得るようにデザインされている。
【0017】
例えば、LED照明素子は、2を超える、例えば3を超える、例えば4を超える、パッドの厚さに対するパッド面積の平方根の比を有し得る。このことは、LED照明素子の電気コンタクトが上部及び下部にある状態で配置されるように、LED照明素子が容易に付与され得ることを意味する。LED照明素子は、例えば、ランダム堆積プロセス(random deposition process)によって付与され得る。この場合、幾つかの照明素子は正しい上下の向きとなり(上部コンタクトが表面から離れる側を向いている)、他の照明素子は誤った上下の向きとなるかもしれない。しかしながら、ダイオードの特性の結果として、上下の向きが誤っている照明素子は単に機能せず、正しく向けられた照明素子から所望の光出力が確保され得る。
【0018】
例として、LED照明素子は、10000(μm)
2未満の面積及び50μm未満の厚さを有し得る。
【0019】
必要に応じて、照明素子が全て所望の方向に向けられることが確実とされる。
【0020】
LED照明素子は、第1の導電層が粘着性である間に付与される。このようにして、次の方法のステップの間、照明素子が所定の位置に保持されることを確実にするための付加的なステップが必要とされない。
【0021】
LED照明素子は、例えば、粒子ブラスト、噴射又は箔転写によって付与される。
【0022】
上部を除去するステップは、研磨を含む。これは、スプレーコーティング法など、表面のコーティングで使用される標準的な工程ステップである。第2の導電層を形成するステップは、透明導電層をスプレーするステップを含む。第2の導電層の上に透明保護コーティングが塗布されることも好ましい。
【0023】
一例においては、導体層は、全ての照明素子が並列で接続されるように連続している。しかしながら、別法として、第1の導体層は、個別にアドレス可能な領域を画定するようにパターニングされる。このようにして、異なる領域が独立的に動作され得る。
【0024】
表面は、自動車車体パネルの表面を含む。このようにして、本発明は、自動車の塗装面への照明素子の組み込みを可能にする。この照明は、側面灯又は信号灯などのディスクリート灯ユニットの代わりに用いることもできる。この方法のステップは全て、自動車塗料の塗布で使用される標準的なステップに適合し得る。
【0025】
本発明の別の態様は、照明装置でコーティングされた表面であって、
表面の上の第1の電気端子との接続のための第1の導電層と、
第1の導電層の上のLED照明素子のアレイであって、LED照明素子のそれぞれが、上部及び下部電気コンタクトを備えるパッドを含み、LED照明素子の少なくとも一部分が、表面から離れる方向に向いている上部電気コンタクトで上向きであるLED照明素子のアレイと、
LED照明素子間の空間を充填するスプレー塗料コーティングであって、LED照明素子を部分的に被覆しているが、上向きのLED照明素子のコンタクトが露出され、且つ上向きのLED照明素子のためスプレー塗料コーティング中に光出力窓が形成される、スプレー塗料コーティングと、
スプレー塗料コーティング及び露出したコンタクトの上の第2の電気端子との接続のための第2の導電層と
を含む表面を提供する。
【0026】
LED照明素子は、2を超える、例えば3を超える、例えば4を超える、パッドの厚さに対するパッド面積の平方根の比を有し、及び/又はLED照明素子は、10000(μm)
2未満の面積と50μm未満の厚さとを有する。
【0027】
LED素子は、上部コンタクトの上に光出力カバーを含む。スプレー塗料コーティングは透明でないため、このスプレーコーティング内の又はこのスプレーコーティングを横断する導光は起こり得ない。従って、出力カバーは、例えば、点光源として機能する個々の照明素子の視認性を低減するために、所望され得る任意の所望のビーム成形又は再指向を提供する。従って、出力カバーは、光出力を変換するための選択肢を付与する。
【0028】
ここで、添付の図面を参照して本発明の例が詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】コーティング方法で使用するための及びコーティング済み表面の一部として使用するためのLED素子の第1の例を示す。
【
図2】コーティング方法で使用するための及びコーティング済み表面の一部として使用するためのLED素子の第2の例を示す。
【
図3】コーティング内で使用される
図2のLED素子を示す。
【
図5】コーティング内の照明素子の電気回路を示す。
【
図6】コーティング方法のステップをフローチャートとして示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、表面に照明装置を付与する方法であって、LED照明素子が第1の導電層の上に設けられ、LED照明素子のそれぞれが、上部及び下部電気コンタクトを備えるパッドを含む、方法を提供する。スプレー塗料コーティングがLED照明素子間の空間を充填する。スプレー塗料コーティングは、また、スプレー塗料材料の上部が除去されてLEDの上部コンタクトを露出させるまで、最初はLED照明素子を被覆する。スプレー塗料材料及び露出した上部コンタクトの上に第2の導電層が形成されており、第2の導電層は第2の電気端子に接続されている。
【0031】
塗料は、色及び反射特性などの所望の美的外観を表面に与えるために、不透明反射性材料を含む。照明装置がこの美的外観を可能な限り損なわないことが望まれる。
【0032】
コーティング方法は標準的な堆積及び層加工ステップを使用することができる。LED照明素子はこの方法に好適であるようにデザインされている。
【0033】
図1は、コーティング方法で使用するための及びコーティング済み表面の一部として使用するためのLED照明素子の第1の例を示す。
【0034】
照明素子10は、上部電気コンタクト12及び下部電気コンタクト14を備えるディスクリートLEDパッケージを含む。上部コンタクト12は突出したコンタクトバンプ16を含む。
【0035】
照明素子は非常に小型のLEDの形態であり、例えば、100μm未満×100μm未満のフットプリント、又は10000(μm)
2未満の面積を有する。フットプリントは、正方形若しくは矩形であり得るか、又は実際には任意の他の形状であり得る。厚さは、例えば50μm未満である。
【0036】
噴霧による取り付け又は噴流形態での他の取り付けなどの幾つかの堆積プロセスでは、形状の重要な特徴は、照明素子が表面上にランダムに配置された場合であってもコンタクト12、14が上と下とを向いた状態で照明素子が配置されるように、照明素子がその縁で立たないようにすべきであるということである。
【0037】
これを実現する1つの態様は、照明素子パッドを、即ち、厚さに比べて比較的大きい面積を有する形状に作製することである。例えば、LED照明素子は、2を超える、例えば3を超える、例えば4を超える、パッドの厚さに対するパッド面積の平方根(即ち、パッド面積の有効長さ寸法)の比を有し得る。
【0038】
照明素子が縁で立つことを防ぐために考えられる別の態様は、照明素子がその縁において不安定になるように、角度を成した側壁を有することである。照明素子はウエハからダイシングされ、ダイシングラインは角度を成して刻まれ得る。例えば、V字溝ダイシングソーを用いた両面ウエハダイシングプロセスが使用され得る。これは、照明素子がV字形の先端/縁でバランスを取ると不安定となるように、V字形の縁を付与するために使用され得る。
【0039】
照明素子は、照明素子が付与される表面の向きに応じてデザインされた形状を有し得る。例えば、垂直表面への取り付けには、その縁で立っている素子が重力で倒れるという点から、大きいアスペクト比で十分となり得る。水平表面には、素子がその縁で直立することができないように、素子の前面及び背面のみにおいて安定するデザインが好ましい場合がある。
【0040】
キャリア箔からの転写による取り付けなどの他の堆積プロセスでは、向きは正確に制御され得る。
【0041】
LED照明素子は、電気相互接続(以下に記載されるような)を設けるために使用されるコンタクトバンプ16を使用すること以外は、完全に従来のものであり得る。このため、LED照明素子の製造及びデザインについてこれ以上詳細に説明されない。電気コンタクトの1つはLEDへのアノードコンタクトであり、もう一方はLEDへのカソードコンタクトである。
【0042】
図2は、コーティング方法で使用するための及びコーティング済み表面の一部として使用するためのLED素子の第2の例を示す。この例は
図1と同じ構造を有するが、コンタクトバンプ16の上に透明ケースの形態の更なる光学出力カバー18を有する。
【0043】
以下に説明されるように、LED素子は、堆積プロセスの一部として、塗膜により被覆される。この膜は、LED素子がこのような不透明な塗膜内に埋め込まれる場合に光路を遮断し得る。
図1のLED素子が塗膜で完全に被覆され、コンタクトバンプ16が現れるまで研磨される場合もなお、LED光出力面は不透明な膜により被覆され得る。
【0044】
このことは、コンタクトバンプ16自体が透明な(例えば、ITOから形成されている)場合、コンタクトバンプ16が光漏出窓(light escape window)を画定し得ることから問題とならない場合がある。しかしながら、
図2のデザインの透明ケース18は、より大きくなり得ると共にコンタクトバンプ16に不透明な金属が使用されることを可能にする光出力路を提供する。
【0045】
非限定的な例として、堆積後、素子の光出口窓領域の上の塗膜を更に研磨すること、又は例えば照明素子のアレイの特定部分のみに確実に塗料を堆積させるために、光出口領域(又は非光出口領域)を静電気的に帯電させることなど、LED素子の光出力路を確保するための他の可能性が存在することは当業者には十分に理解されよう。これらの及び多くの他の可能な例では、従って、
図1のより簡単なデザインが使用され得る。しかしながら、
図2のデザインは、各LED素子からの光出力路をなおも確保すると共に、他の標準的なLED素子が使用されることを可能にしつつも、LED照明素子に不透明な塗料のスプレーコーティングが塗布され得る1つの特に効率的な手段を提供する。
【0046】
コンタクトバンプ16及び透明ケースは、必要に応じて、LED照明素子の製造時にウエハレベルで付与され得る。
【0047】
図3は、
図2のLED照明素子がどのように使用されるかを示す。LED照明素子10は、導電性コーティング22が塗布された表面20の上に付与される。LED照明素子の下側コンタクト14は、導電性コーティング22に電気的に接続する。
【0048】
スプレー塗料コーティング24が、LED照明素子(
図3には1つの照明素子のみが示される)間の空間を充填し、LED照明素子を部分的に被覆する。コンタクトバンプ16はスプレー塗料コーティングを研磨することによって露出させる。この研磨プロセスは、また、透明ケース18の上部を除去して光出力窓26を形成する。
【0049】
上部に第2の導電層28が設けられ、露出したコンタクトバンプ16と電気接触する。
【0050】
ここで
図4を参照して、コーティング済み表面を形成する方法が説明される。
【0051】
図4(a)は、キャリア表面20に導体層22を塗布する第1のステップを示す。キャリア表面20は、典型的には、金属及び/又はポリマーを含み得る。導体層22は、例えば、スプレーされ得る。導体層は低い抵抗率を要し、一例は、銀充填エポキシ層である。自動車業界において、スプレーコーティングは、当然のことながら、標準的な工程であり、自動車塗装に好適である。しかしながら、ロールコーティング、ナイフブレーディング(knife blading)、ディップコーティング又はディスペンスコーティング(dispense coating)などの他の塗装方法が使用され得る。
【0052】
図4(b)は、LED照明素子10を付与する第2のステップを示す。1つの照明素子のみが示されているが、アレイが堆積され、密度は所望の照明効果に応じて選択される。照明素子10は上で記載した通りである。LED照明素子は、電気導電層22と、プロセスで後に塗布される最上層との適切な接続を確実とするようにデザインされている。上部コンタクトは、この目的のため、例えば、電気コンタクトを開口するために研磨され得るスタッドバンプの形態でデザインされている。
図4は、不透明塗料がスプレーされる場合の、透明コンタクトバンプ16を要する
図1のLED照明素子を示すことに留意されたい。当然のことながら、光出力カバーを備える照明素子が代わりに使用され得る。
【0053】
上で説明したように、LEDの準備において、また、取り付け後、LEDが上向きになる(又は優先的に上向きになる)ように形状又は構成を変更し得る。このデザインは取り付け方法に合わせて調整される。
【0054】
ランダム取り付けプロセス(random application process)において、LED照明素子を片面のみにおいて着地できるようにするのは困難であるが、LED照明素子を縁において着地しないようにすることは可能である。パッケージも上下逆に着地する可能性がある。上下逆のパッケージは(LEDダイオードが逆に接続されるため)光出力に寄与せず、また、これらの照明素子はシステムを電気的に妨害しない。縁において配置されたLED照明素子はシステムを短絡し得るため、これらは、予防される必要がある。上で説明したように、LEDがその縁において着地するのを妨げるために適切なアスペクト比が用いられ得る。
【0055】
従って、照明素子は、照明素子の少なくとも一部分が表面から離れる方向に向いている照明素子の上部コンタクトで上向きであるように付与される。幾つかの堆積法では、この一部分の割合を1にすることができる一方で、ランダム堆積法では僅か0.5という一部分を実現し得る。
【0056】
LED照明素子は、導電層22が依然として粘着性である間に導電層22に付与される。粘着性である導電層上にLEDを分配するために幾つかのプロセスが使用され得る。LEDは下部電極への良好な電気コンタクトを行う必要があるため、LEDを塗料中に浸すことは不可能である。好適なランダム方法は、粒子ブラスト(LED照明素子が粒子である)又は噴射である。制御された方法は、例えば、箔転写法である。
【0057】
図4(c)は、自動車塗料24中にLED照明素子を埋め込むステップを示す。コンタクトを開口することができるように、層厚さは少なくともLED照明素子10と同程度の厚さでなければならない。このために用いられるプロセスは、通常のスプレーコーティングプロセスである。
【0058】
図4(d)は、研磨プロセスを適用した結果を示す。自動車塗料の塗布において、研磨は、層が硬化され、次の層が塗布される必要がある場合における標準的なプロセスである。スプレープロセスが適切に実施された場合、コンタクト及び光路の開口は、研磨プロセスによって実施され得る。このステップの間、層はコンタクトバンプ16が現れるまで薄くされる。光出力窓も画定される。
【0059】
次いで、
図4(e)に示されるように、透明上部導体28が塗布され、開口されたコンタクトバンプ16への電気接続を行う。この層は光の取り出しを可能にするために透明である。
【0060】
ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等の自動車塗料及び自動車車体材料に適合させるため、上部導電層を塗布するためのプロセスは温度が制限される。
【0061】
全ての層及びLED照明素子を保護するため、アセンブリ全体がクリアコート仕上げ(図示せず)で仕上げされ得る。
【0062】
図5は、形成された電気回路を示す。単一の連続的な第1の導電層22及び単一の連続的な第2の導電層28があれば、その場合、示されるように全てのLED照明素子10は並列である。
【0063】
電気的に絶縁された金属接続部の上に各導電層を噴霧することによって第1及び第2の導電層22、28への上部及び下部接続部が作製され得る。これらの接続部は
図5にコンタクトパッド30、32として示される。端子34、36によって示されるように、自動車の配線は、後にこれらのコンタクトパッドに接続される。これらの接続領域は、隠れた領域に配置されることが可能であり、車体パネル内に作製され得る。
【0064】
第1の導体層22は、個別にアドレス可能な領域を画定するようにパターニングされ得る。この目的のため、スプレーマスキング法が使用され得る。別個の照明領域は別個の電源接続を使用して作動され得る。これにより、例えば、同じ車体パネル上のブレーキライト、表示ライト等の間を区別することが可能になる。
【0065】
方法は、
図6にフローチャートとして示される。
【0066】
方法は、以下のステップを含む。
ステップ40:表面の上に第1の導電層を形成するステップ、
ステップ42:第1の導電層の上にLED照明素子のアレイを付与するステップ、
ステップ44:LED照明素子間の空間を充填し、且つLED照明素子をスプレー塗料材料で被覆するためにスプレー塗料コーティングするステップ、
ステップ46:スプレー塗料材料の上部を除去し、これによりコンタクトバンプを露出させるステップ、及び
ステップ48:スプレー塗料材料及び露出したコンタクトバンプの上に第2の導電層(及び任意選択的に、更なる保護層)を形成するステップ。
【0067】
上部電気導電層は、接地接続を形成し得、このような場合、透明導電層自体が、当然のことながら、特定の用途に応じた必要な保護特性を有し得ることから、保護層は必要とされない場合がある。
【0068】
照明素子の密度は所望の照明効果に従って選択される。例えば、照明素子はそれらが付与される面積の一部分を占め得る。
【0069】
照明素子によって占められる面積は、所望の発光面の密度に依存する。信号照明では、1cm
2当たり5〜25個のパッケージの範囲など、照明素子が密集した小さい面積が所望される場合がある。強調用のデザイン特徴では、より広い面積にわたる僅かにより低密度のパッケージが所望される場合がある。例えば、1cm
2当たり約1〜10個の照明素子がある。全体的なスパークリング効果が所望される場合、パッケージの数は更に一層低下する。照明素子の数は、従って、1cm
2当たり0.1〜1パッケージである。
【0070】
低パワーLEDの照明素子1個当たりの光出力は、通常、約15ルーメン、及び例えば、1〜30ルーメンの範囲である。15ルーメンの出力が光出力であると見なされる場合、密集状態の出力は、例えば、信号照明では200lm/cm
2(1cm
2当たり約13個のパッケージ)、及び全体的なスパークリング効果では8lm/cm
2(1cm
2当たり約0.5個のパッケージ)である。
【0071】
上記から明らかなように、特に関心のある用途の1つは自動車車体パネルである。この場合、表面は自動車車体パネルを含み、塗料は自動車塗料を含む。自動車車体パネル表面に付与される照明装置には考えられる多くの有利な用途がある。
【0072】
例えば、自動車の側面の塗料内にLED照明素子を付加することにより安全性を向上させることができる。かすかな照明もデザイン特徴を強調するために使用され得る。これにより、デザイン部門に、信号照明の配置においてより多くの自由を与える。
【0073】
自動車用途以外では、他の多くの製品に塗装照明層が備えられ得る。照明表面は、例えば、ユーザに、寒い/暑い、準備完了/準備未完、オン/オフ等のシステムの状態に関するフィードバックを提供することができる。
【0074】
当業者には、特許請求される本発明の実施において、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示される実施形態の他の変形形態が理解され得ると共に実施され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。相互に異なる従属請求項に特定の施策が列挙されるという単なる事実は、これらの施策の組み合わせが効果的に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲のあらゆる参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。