(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、
図1〜
図25に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、以下に示す外径とは最大外径を意味するものとする。
【0011】
〔実施形態1〕
(体内監視カメラシステム)
図1は、実施形態1の体内監視カメラシステムの構成を示す模式図である。
図1に示すように、体内監視カメラシステム1は、カメラ側ケーブル12を有し、体内に導入されるカメラユニット11(体内撮像装置)と、体内導入されたトロッカ31(管状器具)との接続に用いるトロッカ接続部13x(接続部)を一端側に有し、カメラユニット11との接合に用いる凸型接合部13y(接合部)を他端側に有する支持管(支持具)13と、カメラユニット制御機器17およびディスプレイ18(表示装置)を含む制御システムと、カメラ側ケーブル12およびカメラユニット制御機器17を接続する機器側ケーブル16とを備える。
【0012】
なお、カメラ側ケーブル12は、カメラユニット11との接続端の反対側に凸型のカメラ側ケーブルコネクタ15aを有し、機器側ケーブル16は、カメラユニット制御機器17との接続端の反対側に凹型の機器側ケーブルコネクタ15bを有する。さらに、カメラ側ケーブル12は、カメラユニット11との接続端とカメラ側ケーブルコネクタ15aとの間に、支持管13の移動を制限するためのストッパ48を有する。
【0013】
なお、凹型のカメラ側ケーブルコネクタと凸型の機器側ケーブルコネクタとを嵌合するような構成でもかまわない。また、
図1では、カメラ側ケーブルコネクタ15aのピンを1本で図示しているが、通常は、ケーブルに使用する電線の本数に応じたピン数となる。以下では、カメラ側ケーブルコネクタ
15aをコネクタ
15aと、機器側ケーブルコネクタ
15bをコネクタ
15bと略記することがある。
【0014】
体内監視カメラシステム1では、腹壁41に穿刺されたトロッカ31の体内側の端部と支持管13とがトロッカ接続部13xによって接続されるとともに、体内に導入されたカメラユニット11と支持管13とが凸型接合部13yによって接合され、カメラ側ケーブル12のコネクタ15aが支持管13およびトロッカ31を通って体外に引き出される。そして、カメラ側ケーブルコネクタ15aが機器側ケーブルコネクタ15bに嵌め込まれることでカメラユニット11とカメラユニット制御機器17とが電気的に接続され、カメラユニット11で撮影された映像がカメラユニット制御機器17に送信される。カメラユニット制御機器17は、カメラユニット11から送信された映像をディスプレイ18に表示させ、また、制御信号をカメラユニット11に送信する。なお、カメラユニット制御機器17とディスプレイ18とは、一体でも別体でも構わない。
【0015】
ここでは、カメラユニット11からカメラユニット制御機器17への伝送に有線方式を採用しているため、伝送速度が高速化でき、信号を安定して送受信できるため高解像度の画像を得ることができる。また無線方式に比べ低電力で通信でき、電源を外部から供給することによりカメラユニット11の小型化を図ることができる。したがって、小型化により、カメラユニット11を体内に導入するときの傷を小さくできるので、低侵襲性が向上するといった効果がある。
【0016】
(カメラユニット)
図2は、実施形態1のカメラユニットの構成を示す、断面図(a)および上面図(b)である。
図2(a)(b)に示すように、カメラユニット11は、アッパーカバー21およびケース22からなるカメラ筐体(後に詳述)の内部に、回路基板19と、撮像素子25およびレンズ26を含む撮像ユニットと、制御回路28と、第1および第2照明ユニット27a・27bとを有する。カメラ側ケーブル12、撮像ユニット、制御回路28、および照明ユニット27は、回路基板19に接続される。制御回路28は回路基板19に搭載されていてもよい。
【0017】
アッパーカバー21の上面には、凹型接合部14が設けられている。凹型接合部14は、円形開口の孔構造をもち、その内壁に係止爪23が設けられている。アッパーカバー21の両端部は第1および第2握持部21a・21bとなっている。第1および第2握持部21a・21bは、鉗子を用いて、カメラユニット11を体内に導入する際に把持されたり、カメラユニット11および支持管13の接合時に、アッパーカバー21と支持管13の凸型接合部13yとが向かい合うように把持されたりする。
【0018】
回路基板19に接続するカメラ側ケーブル12は、凹型接合部14の内部を通るようにしてカメラユニット11の外部に導出されている。回路基板19およびカメラ側ケーブル12の接続箇所は樹脂などで封止されている。さらに、凹型接合部14内部の、カメラ側ケーブル12が引き出される部分(凹型接合部14の底部)において、カメラ側ケーブル12が凹型接合部14の底部に接着固定、例えば、接着剤やOリング(オーリング)による封止固定がされており、この部分から(カメラユニット11内への)浸水や異物混入等が起きない構成となっている。カメラ側ケーブル12は、トロッカを通して体腔内に導入されるため、柔軟な材料で形成されている。
【0019】
撮像素子25は、CCDやCMOSイメージセンサなどであり、第1および第2照明ユニット27a・27bは、体内を照らすことで、カメラユニット11が撮影する映像を明瞭にするものである。第1および第2照明ユニット27a・27bは、小型のものが好ましく、例えばLEDなどが好適に利用できる。
【0020】
また、カメラ側ケーブル12(コネクタ15a含む)の表面の被膜は青色や緑色とすることが望ましい。このように、赤色や黄色である体内色に対して補色の関係にある青色や緑色、具体的には、波長が420nm〜570nm(特に好ましくは、450nm〜530nm)の可視光に対応する色を用いることによって、後述する体内での設置作業や回収作業を容易にすることができる。
【0021】
図3は、実施形態1のカメラユニットの構成を示す、底面側からの斜視図(a)および正面図(b)であり、
図4は、実施形態1のカメラユニットの構成を示す、長手方向の縦断面図(a)および長手方向に垂直な方向((a)のX−X’線を通る部分)の縦断面図(b)である。
【0022】
図3および
図4に示すように、カメラユニット11は、管状器具に通し易い船型とされ、アッパーカバー21およびケース22の間に、撮像ユニット(レンズ26および図示しない撮像素子を含む)と、図示しない回路基板および制御回路と、第1および第2照明ユニット27a・27bとが収納されている。
【0023】
ケース22は長細形状をもち、長手方向の2つの端部(先端部)に、第1および第2照明ユニット27a・27bが配され、第1および第2照明ユニット27a・27bの間にレンズ26が設けられる。
【0024】
アッパーカバー21は、長細形状をもち、長手方向の2つの端部(先端部)が第1および第2握持部21a・21bをなし、中央部分に凹型接合部14が形成されている。第1および第2握持部21a・21bは平板形状であり、滑り止めを目的とする指紋状の複数の握持溝(凹み)21pが上面および下面それぞれに形成されている。また、アッパーカバー21は、上側(ケース22の反対側)に凸となるように湾曲している。
【0025】
ケース22は、ひと繋がりの透光体(例えば、透明体)22xと、ひと繋がりの遮光体22y(透光体22xよりも光透過率が小さい物体)とが一体成形されてなり、第1照明ユニット27aを覆う第1照明カバー部22aと、第2照明ユニット27bを覆う第2照明カバー部22bと、レンズ26を取り囲むレンズ取り囲み部22cと、レンズ26を覆うレンズカバー部22dと、ケース22の開口近傍から外側に張り出した張り出し部22fとを含み、第1および第2照明カバー部22a・22b、レンズカバー部22d、並びに張り出し部22fは透光体で構成され、レンズ取り囲み部22cは遮光体で構成されている。ケース22はさらに、第1照明カバー部22aおよびレンズ取り囲み部22cの間に、外側が透光体22xで構成されるとともに内側が遮光体22yで構成された積層部22eを含む。
【0026】
レンズ取り囲み部22cは、レンズ26と第1および第2照明ユニット27a・27bとの間に位置する遮光壁22wを有する。また、レンズカバー部22dは、外側に向けた凸形状となっている。また、第1および第2照明カバー部22a・22bの内表面には、シボ加工と呼ばれる表面に凹凸をつける加工、具体的には、ビーズ(ブラスト)処理等が施されている。
【0027】
ケース22の張り出し部22fは溶着代であり、ケース22の張り出し部
22fとアッパーカバー21とがレーザ溶着されている。
【0028】
また、第1および第2照明ユニット27a・27bは、その光照射方向(光量が最大になる方向)が、レンズ26の光軸方向に対して、レンズ26から離れる向きに45°傾くように配設されている。この傾き角は撮像角度(視野角)に応じて決定される。例えば、カメラユニット11の視野角が130°の場合、配光分布を最適化するために45°の傾きが望ましい。また、これ以上考慮が必要ないと考えられる最小視野角を85°とすると、配光分布を最適化するために30°の傾きが望ましい。
【0029】
また、ケース22内の回路基板に接続するカメラ側ケーブル12は、アッパーカバー21の中央部に設けられた凹型接合部14の内部を通って外部に引き出されている。
【0030】
図3・
図4に示すケース22は、例えば、あらかじめ成形された遮光体22yをケース全体の金型の中に嵌め込み、金型内の隙間に透明の樹脂を流し込んで透光体22xおよび遮光体22yを一体成形(インサート成形)することで得られる(
図5(b)参照)。なお、同じ成形機の中で、遮光体22yの金型の中に黒色の樹脂を流し込んで固め、次いでケース全体の金型に入れ替えて透明の樹脂を流し込むことで透光体22xおよび遮光体22yを一体成形してもよい(二色成形)。いずれの手法によっても、
図5(a)に示すように、レンズ取り囲み部22cを含む遮光体22yはひと繋がりの形状とされ、
図5(c)に示すように、第1および第2照明カバー部22a・22b、レンズカバー部22d、並びに張り出し部22fを含む透光体22xもひと繋がりの形状とされる。
【0031】
図6は、カメラユニットの製造工程のうち回路基板および照明ユニットのケースへの収納を示す斜視図であり、
図7は、カメラユニットの製造工程のうちケーブルの引き出しおよび固定を示す斜視図(a)(b)であり、
図8は、カメラユニットの製造工程のうちケースおよびアッパーカバーの溶着を示す斜視図(a)〜(c)であり、
図9は、カメラユニットの製造工程のうち支持管の設置を示す斜視図(a)(b)である。
【0032】
前記のようにしてケース22を成形した後に、
図6に示すように、ケース22の内部に、撮像ユニット47(レンズおよび撮像素子を含む)と、回路基板19(制御回路を搭載)と、第1および第2照明ユニット27a・27bとを収納する。ここでは、レンズをレンズ取り囲み部22c内に収め、第1照明ユニット27aを第1照明カバー部22aに収め、第2照明ユニット27bを第2照明カバー部22bに収め、回路基板19を積層部22e上に収める。
【0033】
次いで、
図7(a)(b)に示すように、カメラ側ケーブルコネクタ15aを、アッパーカバー21の裏側から、アッパーカバー21の中央部を貫通するカバー孔21hに通す。なお、カメラ側ケーブル12は、一端にカメラ側ケーブルコネクタ15aを有するとともに、他端に基板側ケーブルコネクタ15kを有し、カメラ側ケーブルコネクタ15aおよび基板側ケーブルコネクタ15kの間にケーブル栓21sが通されている。ついで、カメラ側ケーブル12に通されたケーブル栓21sをカバー孔21hの下部に嵌め込み、ケーブル栓21sの周囲に配した接着剤21cによってケーブル栓21sとアッパーカバー21とを接着固定する。なお、カバー孔21hの上部は凹型接合部14となっており、カメラ側ケーブル12は、凹型接合部14の内部を通って外部に引き出されることになる。
【0034】
次いで、
図8(a)〜(c)に示すように、ケース22の開口上にアッパーカバー21を配置し、ケース22の底面(下面)から、ケース22の張り出し部
22fにレーザを照射し、張り出し部22fとアッパーカバー21とをレーザ溶着する。なお、
図8(a)に示すように、アッパーカバー21の上面には、凹型接合部14に繋がるケーブル溝21gが形成されている。ケーブル溝21gはカメラユニット11を管状器具(トロッカ等)に通す時に、カメラ側ケーブル12の一部を収めるためのものである。
【0035】
次いで、
図9(a)(b)に示すように、カメラ側ケーブル12に、ストッパ48と支持管13のインナー部材である芯管13aとを通し、さらに、支持管13のアウター部材であるアタッチメント13bを、カメラ側ケーブルコネクタ15a側からカメラ側ケーブル12に通して芯管13aに嵌め込む。
【0036】
カメラユニット11では、撮像ユニット、回路基板19並びに第1および第2照明ユニット27a・27bが、ひと繋がりの透光体22xと、ひと繋がりの遮光体22yとが一体成形されてなるケース22に収納されているため、ケース内の迷光の悪影響が抑えられ、また、気密性および機械的強度も高められる。これにより、信頼性の高い体内撮像装置を実現することができる。
【0037】
また、ケース22では、第1および第2照明カバー部22a・22bと、レンズカバー部22dと、レンズ取り囲み部22cとが設けられているため、ケース内の迷光が抑えられ、また、レンズ26や第1および第2照明ユニット27a・27bが外部に露出しないため、信頼性を高めることができる。
【0038】
ケース22では、レンズ取り囲み部22cが遮光壁22wを有するため、ケース内部の迷光が撮像に与える悪影響をより効果的に低減することができる。
【0039】
ケース22では、外側が透光体22xで構成されるとともに内側が遮光体22yで構成された積層部22eを含むため、ケースの機械的強度を高めることができる。
【0040】
ケース22では、その開口近傍から外側に張り出した張り出し部22fを、レーザ溶着代として利用することができ、ケースの気密性や機械的強度を高めることができる。
【0041】
カメラユニット11では、第1および第2照明ユニット27a・27bの照射方向が、レンズの光軸方向に対して、レンズから離れる向きに傾いているため、ケース内部の迷光が撮像に与える悪影響を効果的に低減することができる。
【0042】
ケース22では、第1および第2照明カバー部22a・22bの内表面にシボ加工(例えば、サンドブラスト処理、ビーズ処理等)が施されているため、第1および第2照明カバー部22a・22bでの光散乱が増大し、ケース内部の迷光が撮像に与える悪影響を効果的に低減することができる。また、体内への照明光を有効に拡散させることができるため、広い撮像角度を実現することができる。
【0043】
ケース22では、アッパーカバー21と張り出し部22fとがレーザ溶着されているため、ケースの気密性や機械的強度を高めることができる。
【0044】
カメラユニット11では、第1および第2握持部21a・21bの上面および下面それぞれに、指紋状の複数の握持溝21pが形成されているため、握持溝21pが滑り止めの効果を発揮し、カメラユニット11を握持し易くなる。
【0045】
なお、細長い形状のアッパーカバー21の両端部(先端部)が第1および第2握持部21a・21bとされるが、これらの上面および下面の少なくとも一方に形成される握持溝21pの形状は、
図3・
図8に示すような曲線状(円弧状)に限られず、直線状でも折れ線状でも構わない。例えば、
図10(a)(b)に示すように、アッパーカバー21の長手方向に沿う一方のエッジに近接する位置から、長手方向に沿う他方のエッジに近接する位置に延伸する鉤型(折れ線状)の握持溝21pとすることもできる。
【0046】
ケース22では、カメラユニット設置時や回収時に機械的な負荷のかかるケーブル接合部(ケーブル栓
21s)並びに第1および第2握持部21a・21bが、同一のアッパーカバー21に設けられているため、機械的な強度が高められる。なお、ケーブル接合部(ケーブル栓)をアッパーカバーに設け、第1および第2握持部をケースに設ける場合を考えると、両者に逆向きの外力(ケースおよびアッパーカバーの溶着部を引きはがす方向の外力)が加わるおそれがあるが、両者をアッパーカバー21に設ければこのようなおそれはなくなる。
【0047】
ケース22では、レンズカバー部22dが外側に向けた凸形状となっている。このため、広い撮像角度を実現することができ、また、手術中にレンズカバー部22dに汚れが付着しても、術者が鉗子に挟んだガーゼ等でふき取り易くなっている。
【0048】
(支持管の構成と機能)
図11は、支持管の構成を示す、斜視図(a)、正面図(b)(d)、および断面図(c)(e)(f)(g)である。
【0049】
支持管13は、トロッカとの接続に用いるトロッカ接続部13xを一端側に有し、凸型接合部13yを他端側に有し、カメラユニット11の凹型接合部14を支持管13の凸型接合部13yに嵌め込むことで、支持管13とカメラユニット11とが接合され、凸型接合部13yをカメラユニット11の凹型接合部14から抜くことで、支持管13とカメラユニット11とが分離される。
【0050】
図11に示すように、支持管13は、ケーブル孔13v(円形開口)をもつ芯管13aと、芯管13aの外側面に取り付けられるアタッチメント13bとで構成され、芯管13aには、芯管13aの一方の開口から他方の開口まで縦断する芯管スリット13cが形成されている。ケーブル孔13vの孔径(支持管13の内径)はカメラ側ケーブルコネクタの外径よりも小さい。
【0051】
図11(a)(b)に示すように、アタッチメント13bは挿通孔D(円形開口)を有する紡錘形状であり、トロッカ31に近づく方向に細くなる円錐台形状のトロッカ接続部13xと、カメラユニット11に近づく方向に細くなる円錐台形状の根元部13zとからなる。そして、アタッチメント13bの挿通孔Dに芯管13aを嵌め込んでアタッチメント13bを芯管13aに装着することで支持管13が構成される。ここでは、アタッチメント13bは、その挿通孔D内にカメラ側ケーブルコネクタ15aを通すことができるように構成されている。
【0052】
なお、芯管13aは、アタッチメント13bが装着されていない下部(カメラユニット11側の端部)が凸型接合部13yとなっている。
【0053】
図11(c)〜(g)に示すように、芯管13aの外側面には、向かい合う2つの傾斜突起13iが形成されるとともに、傾斜突起13iの下側(カメラユニット側)に、外周全体にわたる輪状突起13jが形成されている。また、アタッチメント13bの下側エッジ近傍に、向かい合う2か所の傾斜切り欠き13gが形成されている。そして、アタッチメント13bを、上から下に芯管13aの外側に嵌め込むことで、傾斜切り欠き13gが傾斜突起13iに係止され、かつ、アタッチメント13bの下側エッジが輪状突起13jによってサポートされる。なお、この状態で接着剤にて固定してもよい。なお、上側の傾斜突起13iを下側の輪状突起13jより小さくしたり、
図11(g)に示すように、上側の傾斜突起13iを2つとすることでアタッチメント13bが撓んで嵌めやすくなり、また、下側に輪状突起
13jを設けることで、下向きの応力への耐久性を高めることができる。
【0054】
芯管スリット13cはカメラ側ケーブルを側面から芯
管13aに通すときに用いられる。よって、
図11(f)(g)に示すように、スリット幅を、外側面から内側面に向けて小さくなるように構成し、一旦通したカメラ側ケーブルが外れ難くすることが望ましい。
【0055】
なお、支持管13がカメラ側ケーブル12の中間位置(カメラユニット11の近傍)に適度に保持(特に力を加えなければ、その位置でケーブルに保持され、軽い力が加われば、ケーブルに沿って移動可能な状態)されるように、支持管13の内側面(ケーブル孔の壁面)は、カメラ側ケーブル12に接触していることが望ましい。もし、接触抵抗が全くない状態であると、カメラユニット11を鉗子で掴んで設置作業を行う際に、カメラユニット11を動かすたびに支持管13がコネクタ15a側に移動して(ぶらぶらと動いて)ケーブル端(コネクタ15a)の位置が定まらなくなり、設置作業の効率が低下するためである。
【0056】
(体内監視カメラシステムの使用方法)
図12(a)〜
(f)は、実施形態1におけるカメラユニットの体内設置方法を示す模式図であり、
図13は、実施形態1における体内監視カメラシステムの使用状況を示す模式図である。
【0057】
図12(a)に示すように、まず、術者は、鉗子や内視鏡を体腔内に挿入するための孔(ポート)を
腹壁41に開け、ポートにトロッカ32a〜32cを挿入する。さらに、カメラユニット11を体腔内に設置するために、
腹壁41における、患部を含む臓器全体を見渡すことのできる位置にポートを開け、トロッカ31を挿入する。具体的には、針形状のオブチュレータをトロッカ31内に通した状態でオブチュレータをポート位置に穿刺することでトロッカ31が
腹壁41に挿入される。また、トロッカ31は、低侵襲性を実現するために、直径が短いものが好ましい。具体的には、トロッカ31は、直径が3mm以下であることが好ましい。なお、トロッカ32a〜32cおよびトロッカ31の少なくとも一つが挿入された後、術者は、トロッカを通してガスを体内に送り、前もって体腔内を膨張させ、器具を挿入する空間を確保しておく。
【0058】
次に、
図12(b)に示すように、術者は、トロッカ32cを通して内視鏡34を体腔内に挿入し、内視鏡34を用いて体内を観察しながら、鉗子33aで把持したカメラユニット11、カメラ側ケーブル12、およびカメラ側ケーブル12に通された支持管13を、トロッカ32bを通して体腔内に挿入する。
【0059】
次に、
図12(c)に示すように、術者は、鉗子33aを操作してカメラユニット11をトロッカ31の近傍に移動させるとともに、トロッカ31を通して鉗子33bを体腔内に挿入する。
【0060】
次に、
図12(d)に示すように、術者は、鉗子33bにてカメラ側ケーブル12を挟んだ状態で鉗子33bをトロッカ31から引き抜くことで、カメラ側ケーブル12を体外に導出する。このとき、カメラユニット11(その握持部)は鉗子33aによって把持された状態となっている。
【0061】
次に、
図12(e)に示すように、術者は、体外に導出したカメラ側ケーブル12を、鉗子や手などで引き上げることで、支持管13の先端をトロッカ31の開口に近接させる。
【0062】
次に、
図12(f)に示すように、術者は、カメラ側ケーブル12およびカメラユニット11をさらに引き上げることで、支持管13の一端(トロッカ接続部)をトロッカ31の体内側の端部に挿入するとともに、カメラユニット11を他端(凸型接合部)に嵌め込むことで、支持管13の一端(トロッカ接続部)とトロッカ31の体内側の端部とを接続するとともに、他端(凸型接合部)とカメラユニット11とを接合し、カメラ側ケーブル12のテンションを維持するように、カメラ側ケーブル12を腹壁41等に止める。
【0063】
カメラユニット11を体内に設置した後は、
図13に示すように、カメラ側ケーブル12
のコネクタ15aを機器側ケーブルコネクタ15bに嵌め込んでカメラ側ケーブル12と機器側ケーブル16とを接続する。これにより、処置部の局所映像は、内視鏡制御機器117によってディスプレイ118に表示され、カメラユニット11で撮影された臓器42内の全体映像はカメラユニット制御機器17によってディスプレイ18に表示される。
【0064】
使用後については以下のとおりである。まず、術者は、体内のカメラユニット11の
第1握持部21aまたは第2握持部21bを鉗子33aにて把持した状態で、支持管13とカメラユニット11との隙間に鉗子33cを挿し込み、鉗子33cを操作して支持管13とカメラユニット11とを分離する。次いで、術者は、支持管13をカメラユニット11から引き離し(後述)、トロッカ32bから、カメラユニット11、カメラ側ケーブル12、および支持管13を体外に導出する。このとき、カメラ側ケーブル12
のコネクタ15aは、トロッカ31を通して一旦体内に戻された後、トロッカ32aあるいは32bを通して体外に引き出される。
【0065】
図14は、実施形態1におけるカメラユニットおよび支持管の分離工程を示す、側面断面図(a)および正面断面図(b)である。
図11の支持管13では、根元部13zが、円錐台形状となっているため、
図14(a)(b)に示すように、支持管13をカメラユニット11に接合したときに、カメラユニット11の上面と根元部13zの外側面との隙間Cが、凸型接合部13yに近づくにつれて小さくなっている。このため、この隙間Cに鉗子33aの2つの先端を差し込み、これらを閉じることにより、支持管13が上方に移動し、カメラユニット11および支持管13を容易に分離することができる。
【0066】
図15は、実施形態1におけるカメラユニットおよび支持管の別の分離工程(支持管をカメラユニットから外す前に、トロッカから支持管が外れた場合のケース)を示す
模式面図(a)(b)である。まず、
図15(a)に示すように、鉗子や内視鏡を体内に挿入するのに用いた、トロッカ32(例えば、
図12・13のトロッカ32b)を回収用として利用し、鉗子33aでカメラユニット11の第1握持部21aを掴んで、トロッカ32の内部にカメラユニット11を引き込んでいく。こうすれば、引き出す操作と同時に、根元部13zの外側面が回収用トロッカ32の開口に当接して(引っ掛かって)支持管13に上向き(カメラユニット11上面に垂直な向き)の力が加わり、支持管13をカメラユニット11から外すことができる。
【0067】
なお、
図3〜
図6に示す構成では、ケース22に積層部22eを設けているがこれに限定されない。
図16に示すように、レンズを取り囲む部分のみを遮光体22yで形成することもできる。
【0068】
〔実施形態2〕
図17(a)〜
(f)は、実施形態2におけるカメラユニットの体内設置方法を示す模式図である。実施形態2では、
図1等のカメラ側ケーブルコネクタ15aに磁性体付コネクタキャップ8(先端に磁性体が設けられた保護キャップ)を被せておき、一端に持ち手7yを有するとともに他端に保持磁石7gを有する引き出し具7を用いる。なお、磁性体付コネクタキャップ8の磁性体には、磁石ではない磁性体を用いている。こうすれば、磁性体付コネクタキャップ8が他の金属製の処置具に勝手に引っ付くことがなくなり、作業効率が高められる。
【0069】
図17(a)に示すように、まず、術者は、鉗子や内視鏡を体腔内に挿入するための孔(ポート)を
腹壁41に開け、ポートにトロッカ32a〜32cを挿入する。さらに、カメラユニット11を体腔内に設置するために、
腹壁41における、患部を含む臓器全体を見渡すことのできる位置にポートを開け、トロッカ31を挿入する。
【0070】
次に、
図17(b)に示すように、術者は、トロッカ32cを通して内視鏡34を体腔内に挿入し、内視鏡34を用いて体内を観察しながら、鉗子33aで把持したカメラユニット11、磁性体付コネクタキャップ8が被せられたカメラ側ケーブルコネクタ15aを含むカメラ側ケーブル12、およびカメラ側ケーブル12に通された支持管13を、トロッカ32bを通して体腔内に挿入する。
【0071】
次に、
図17(c)に示すように、術者は、鉗子33aを操作してカメラユニット11をトロッカ31の近傍に移動させるとともに、トロッカ31を通して引き出し具7を体腔内に挿入する。
【0072】
次に、
図17(d)に示すように、引き出し具7の先端に設けられた保持磁石7gに磁性体付コネクタキャップ8を接着させた状態で引き出し具7をトロッカ31から引き抜くことで、磁性体付コネクタキャップ8が被せられたカメラ側ケーブルコネクタを体外に導出する。このとき、カメラユニット11(その握持部)は鉗子33aによって把持された状態となっている。
【0073】
次に、
図17(e)に示すように、術者は、体外に導出したカメラ側ケーブル12を、鉗子や手などで引き上げることで、支持管13の先端をトロッカ31の開口に近接させる。
【0074】
次に、
図17(f)に示すように、術者は、カメラ側ケーブル12およびカメラユニット11をさらに引き上げることで、支持管13の一端(トロッカ接続部)をトロッカ31の体内側の端部に挿入するとともに、カメラユニット11を他端(凸型接合部)に嵌め込むことで、支持管13の一端(トロッカ接続部)とトロッカ31の体内側の端部とを接続するとともに、他端(凸型接合部)とカメラユニット11とを接合し、カメラ側ケーブル12のテンションを維持するように、カメラ側ケーブル12を腹壁41等に止める。
【0075】
実施形態2では、引き出し具7を用いて磁性体付コネクタキャップ8が被せられたカメラ側ケーブルコネクタ
15aを体外に引き出す際、支持管13がトロッカ31の近傍にあると、磁性体付コネクタキャップ8がトロッカ31内を通過する前に(術者が磁性体付コネクタキャップ8をつかむ前に)、支持管13がトロッカ31の開口内に入ってしまうため、その摩擦によって磁性体付コネクタキャップ8が保持磁石7gから離れてしまうことが考えられる。
【0076】
そこで、
図18(a)のように、カメラユニット11と、カメラ側ケーブルコネクタ15aとの間に、支持管13のコネクタ15a側への移動を止めるストッパ48を設けることが望ましい。こうすれば、
図18(b)(c)のように、磁性体付コネクタキャップ8がトロッカ31内を通過した後に(術者が磁性体付コネクタキャップ8をつかんだ後に)、支持管13がトロッカ31の開口内に入るため、カメラユニット11の設置をスムーズに行うことができる。
【0077】
ここで、実施形態1の支持管13を用いる場合には、ストッパ48は、アタッチメント13bの挿通孔D内を通ることができる形状をもつことが望ましい。例えば、ストッパ48の外径を、アタッチメント13bの挿通孔Dの最小孔径よりも小さくする。こうすれば、支持管13の製造を簡易化することができる。
【0078】
また、
図18(c)に示すように、設置完了時にストッパ48がトロッカ31の弁37にまで至らないようにストッパ48を位置決めすることで、よりスムーズにカメラユニット11を設置することができる。
【0079】
〔実施形態3〕
図19は、実施形態3におけるカメラユニット、支持管、ストッパ、およびカメラ側ケーブルの設置例を示す、正面図(a)(b)である。
図20は、実施形態3におけるカメラユニットおよび支持管の設置例を示す、正面図(a)および背面図(b)である。
図21は、実施形態3におけるカメラユニットおよび支持管の設置例を示す、上面側からの斜視図(a)〜(c)である。
図22は、実施形態3におけるカメラユニットの上面側からの斜視図である。
図23は、実施形態3におけるカメラユニットおよび支持管の設置例を示す、下面側からの斜視図(a)(b)である。
図24は、実施形態3におけるカメラユニットおよび支持管の設置例を示す、
上面図(a)および底面図(b)である。
図25は、実施形態3におけるカメラユニットおよび支持管の設置例を示す、右側面図(a)および左側面図(b)である。
【0080】
図19および
図21に示すように、支持管13は、ケーブル孔13v(円形開口)をもつ芯管13aと、芯管13aの外側面に取り付けられるアタッチメント13bとで構成され、芯管13aには、芯管13aの一方の開口から他方の開口まで縦断する芯管スリット13cが形成されている。ケーブル孔13vの孔径(支持管13の内径)はカメラ側ケーブルコネクタの外径よりも小さい。
【0081】
図19および
図21に示すように、アタッチメント13bは挿通孔Dを有する紡錘形状であり、カメラユニット11から離れる方向に細くなる円錐台形状のトロッカ接続部13xと、カメラユニット11に近づく方向に細くなる円錐台形状の根元部13zとからなる。なお、根元部13zのテーパ角はトロッカ接続部13xのテーパ角よりも大きい。
【0082】
そして、アタッチメント13bの挿通孔Dに芯管13aを嵌め込んでアタッチメント13bを芯管13aに装着することで支持管13が構成される。なお、アタッチメント13bの側面には、トロッカ接続部13xおよび根元部13zそれぞれの部分に、芯管スリット13cと重なる側面凹部13tが設けられている。
【0083】
図示されていないが、アタッチメント13bの内側には係止爪が設けられ、芯管13aには、芯管スリット13cの反対側となる位置に係止孔が設けられている。そして、アタッチメント
13bのガイド爪を芯管スリット13cの位置に合わせることで係止孔および係止爪が嵌合する。このガイド爪の位置を示す目印として側面凹部13tが設けられている。
【0084】
ここでは、アタッチメント13bは、その挿通孔D内にカメラ側ケーブルコネクタ15aを通すことができるように構成されている。具体的には、アタッチメント13bの挿通孔Dの最小孔径を、カメラ側ケーブルコネクタ15aの外径よりも大きくしている。もっとも、この構成に限定されない。アタッチメント13bの挿通孔Dの最小孔径が、カメラ側ケーブルコネクタ15aの外径よりも小さくても、カメラ側ケーブルコネクタ15aの向きを変えることで挿通孔D内にカメラ側ケーブルコネクタ15aを通すことができればよい。また、アタッチメント13bを変形させる(挿通孔Dの形状を変える)ことで、挿通孔D内にカメラ側ケーブルコネクタ15aを通すことができるのであれば、それでもよい。
【0085】
また、カメラ側ケーブル12は、カメラユニット11との接続端と、カメラ側ケーブルコネクタ15aとの間に、支持管13のコネクタ15a側への移動を止めるストッパ48を有する。ストッパ48は、アタッチメント13bの挿通孔D内を通ることができ、かつ芯管13a内を通ることができないように構成されている。例えば、ストッパ48の外径は、アタッチメント13bの挿通孔Dの最小孔径よりも小さく、かつ芯管13aのケーブ
ル孔13vの最小孔径よりも大きくされている。
【0086】
そして、カメラ側ケーブルコネクタ15aおよびストッパ48をもつカメラ側ケーブル12を、芯管スリット13cから支持管13内に通し、さらに、アタッチメント13bの挿通孔D(
図21参照)内にカメラ側ケーブルコネクタ15aおよびストッパ48を通して、芯管13aの外側面にアタッチメント13bを装着し、両者を接着する。その後、磁性体付コネクタキャップ8をカメラ側ケーブルコネクタ15aに被せる。なお、
図17(d)に示すように、カメラユニット11の体内設置にあたっては、磁性体付コネクタキャップ8を引き出し具7の保持磁石7gに保持させた状態で、磁性体付コネクタキャップ8付きのカメラ側ケーブルコネクタ15aを、管状器具(例えば、
図17のトロッカ31)内部を通過させて管状器具の体外側の端部より外部に引き出す。
【0087】
なお、
図19(b)および
図25に示すように、芯管13aは、アタッチメント13bが装着されていない下部(カメラユニット11側の端部)が凸型接合部13yとなっている。
【0088】
なお、アタッチメント13bの側面に、開口または全スリット(一方の端部から他方の端に至る縦断スリット)あるいは一部スリット(他方の端部には至らないスリット)を設けることもできる。
【0089】
カメラユニット11は、
図19・20に示すように、管状器具に通し易い船型とされ、アッパーカバー21およびケース22の間に、撮像ユニット(レンズ26および図示しない撮像素子を含む)と、図示しない回路基板および制御回路と、第1および第2照明ユニット27a・27bとが収納されている。
【0090】
ケース22は長細形状をもち、長手方向の2つの端部(先端部)に、第1および第2照明ユニット27a・27bが配されている。
【0091】
アッパーカバー21は、長細形状をもち、長手方向の2つの端部(先端部)が第1および第2握持部21a・21bをなし、中央部分に凹型接合部14が形成されている。第1および第2握持部21a・21bは平板形状であり、滑り止めを目的とする指紋状の複数の凹みが上面および下面それぞれに形成されている。また、アッパーカバー21は、上側(ケース22の反対側)に凸となるように湾曲している。
【0092】
ケース22は透光性の部分と遮光性の部分とを有し、
図24(b)の底面視においては、第1握持部
21aの近傍に第1照明ユニット27aが、第2握持部
21bの近傍に第2照明ユニット27bが設けられ、第1および第2照明ユニット27a・27bの間にレンズ26が設けられる。
【0093】
ケース22は、
図19および
図25(b)に示すように、ひと繋がりの透光体と、ひと繋がりの遮光体とが一体成形されてなり、第1照明ユニット27aを覆う第1照明カバー部22aと、第2照明ユニット27bを覆う第2照明カバー部22bと、レンズ26を取り囲むレンズ取り囲み部22cと、レンズ26を覆うレンズカバー部22dと、ケース22の開口近傍から外側に張り出した張り出し部22fとを含み、第1および第2照明カバー部22a・22b、レンズカバー部22d、並びに張り出し部22fは透光体で構成され、レンズ取り囲み部22cは遮光体で構成されている。ケース22はさらに、第1照明カバー部22aおよびレンズ取り囲み部22cの間に、外側が透光体で構成されるとともに内側が遮光体で構成された積層部22eを含む。
【0094】
なお、カメラユニット11を回収する際には、磁性体付コネクタキャップ8を外した状態のカメラ側ケーブルコネクタ15aが一旦体内に戻されるため、カメラ側ケーブルコネクタ15aは手術の最初から最後まで清潔状態を維持しておく必要がある。一方、術者の使い勝手からは、カメラ側ケーブルコネクタ15aに磁性体付コネクタキャップ8が嵌められた状態(
図19の状態)で滅菌袋に収められ、これを開封したらすぐに使える状態にしておくことが望ましい。そのためには、カメラ側ケーブルコネクタ15aに磁性体付コネクタキャップ8を嵌めたままで磁性体付コネクタキャップ8の内部までガス滅菌できることが要求される。
【0095】
そこで、磁性体付コネクタキャップ8の少なくとも一部を、滅菌ガスは通すが、少なくとも水や体液等の液体は通さず、できれば細菌等も通さない、微細フィルタ素材で構成することが望ましい。
【0096】
〔まとめ〕
以上のように、本発明の態様1に係る体内撮像装置は、レンズを含む撮像ユニットと照明ユニットとを備え、体内に導入可能な体内撮像装置であって、上記撮像ユニットおよび照明ユニットは、ひと繋がりの透光体と、ひと繋がりの遮光体とが一体成形されてなるケースに収納されていることを特徴とする。
【0097】
前記構成によれば、照明ユニットおよび撮像ユニットが、ひと繋がりの透光体と、ひと繋がりの遮光体とが一体成形されてなるケースに収納されているため、内部迷光の悪影響が抑えられ、また、気密性および機械的強度も高まる。これにより、信頼性の高い体内撮像装置を実現することができる。
【0098】
本発明の態様2に係る体内撮像装置は、前記態様1において、上記ケースは、照明ユニットを覆う照明カバー部と、レンズを覆うレンズカバー部と、レンズを取り囲むレンズ取り囲み部とを含み、前記照明カバー部およびレンズカバー部は透光体で構成され、レンズ取り囲み部は遮光体で構成されている。
【0099】
このように、レンズや照明ユニットを外部に露出しないようにすることで、信頼性を高めることができる。
【0100】
本発明の態様3に係る体内撮像装置は、前記態様2において、前記レンズ取り囲み部は、レンズと照明ユニットとの間に位置する遮光壁を有する構成である。
【0101】
前記構成によれば、ケース内部の迷光が撮像に与える悪影響を低減することができる。
【0102】
本発明の態様4に係る体内撮像装置は、前記態様2において、前記ケースは、照明カバー部およびレンズ取り囲み部の間に、透光体と遮光体とが積層されてなる積層部を含む構成である。
【0103】
このように、外側が透光体で構成されるとともに内側が遮光体で構成された積層部を設けることで、ケースの機械的強度を高めることができる。
【0104】
本発明の態様5に係る体内撮像装置は、前記態様1〜4のいずれかにおいて、前記ケースは、その開口近傍から外側に張り出した張り出し部を含み、前記張り出し部が透光体で構成されている構成である。
【0105】
前記構成によれば、張り出し部をレーザ溶着代として利用することができ、ケースの気密性や機械的強度を高めることができる。
【0106】
本発明の態様6に係る体内撮像装置は、前記態様1〜4のいずれかにおいて、前記照明ユニットの光照射方向(光量が最大になる方向)は、レンズの光軸方向に対して、レンズから離れる向きに傾いている構成である。
【0107】
このように、前記照明ユニットを傾けることで、ケース内部の迷光が撮像に与える悪影響を低減することができる。
【0108】
本発明の態様7に係る体内撮像装置は、前記態様2において、前記照明カバー部の内表面に、シボ加工(表面に凹凸をつける加工、例えば、サンドブラスト処理やビーズ処理)が施されている構成である。
【0109】
前記構成によれば、照明カバー部での光散乱が増大し、ケース内部の迷光が撮像に与える悪影響を低減することができる。
【0110】
本発明の態様8に係る体内撮像装置は、前記態様6において、前記ケースには、レンズに対して前記照明ユニットの反対側となる位置に別の照明ユニットが収納され、前記別の照明ユニットの光照射方向は、レンズの光軸方向に対して、レンズから離れる向きに傾いている構成である。
【0111】
このように、前記別の照明ユニットを傾けることで、ケース内部の迷光が撮像に与える悪影響を低減することができる。
【0112】
本発明の態様9に係る体内撮像装置は、前記態様8において、前記照明ユニットおよび別の照明ユニットそれぞれの光照射方向は、レンズ光軸に対して30°〜70°(より好ましくは45°)傾いている構成である。
【0113】
本発明の態様10に係る体内撮像装置は、前記態様2において、前記レンズカバー部は、ケースの外側に向けて凸型をなす構成である。
【0114】
前記構成によれば、広い撮像角度を実現することができ、また、手術中にレンズカバー部に汚れが付着しても、術者が鉗子に挟んだガーゼ等でふき取り易い。
【0115】
本発明の態様11に係る体内撮像装置は、前記態様5において、前記ケースの開口を覆う遮光性のアッパーカバーを
さらに含み、前記アッパーカバーと前記張り出し部とがレーザ溶着されている構成である。
【0116】
このように、張り出し部とアッパーカバーとをレーザ溶着することで、ケースの気密性や機械的強度を高めることができる。
【0117】
本発明の態様12に係る体内撮像装置は、前記態様1〜10のいずれかにおいて、前記ケースの開口を覆うアッパーカバーを
さらに含み、上記照明ユニットおよび撮像ユニットと電気的に接続し、前記アッパーカバーから外部に引き出されるケーブルを
さらに含む構成である。
【0118】
前記構成によれば、体内撮像装置と外部機器(管状器具等)との接続が容易になる。
【0119】
本発明の態様13に係る体内撮像装置は、前記態様1〜10のいずれかにおいて、前記ケースの開口を覆うアッパーカバーを
さらに含み、前記アッパーカバーは細長形状であり、その両端部の少なくとも一方が握持部とされている構成である。
【0120】
前記構成によれば、体内撮像装置を握持し易くなる。
【0121】
本発明の態様14に係る体内撮像装置は、前記態様13において、前記握持部の上面および下面の少なくとも一方に溝が形成されている構成である。
【0122】
前記構成によれば、前記溝が滑り止めの効果を発揮し、体内撮像装置をより握持し易くなる。
【0123】
本体内監視カメラシステムは、前記態様1〜14のいずれか1項に記載の体内撮像装置と、体内導入可能な管状器具との接続部を一端側に有し、前記体内撮像装置との接合部を他端側に有する支持管と、前記体内撮像装置に接続し、前記支持管内を通るケーブルと、前記ケーブルに電気的に接続され、少なくとも表示装置を含む制御システムとを備えることを特徴とする。
【0124】
前記構成によれば、体内撮像装置の支持力が高められ、ケーブルの接続不良も起こりにくくなり、信頼性が向上する。また、術者は、管状器具を操作して体内の撮像部の向きを変えることができ、使い勝手も向上する。
【0125】
本発明には、撮像ユニットと、前記撮像ユニットを収納するケースと、前記ケースの開口を覆うアッパーカバーとを備えた、体内に導入可能な体内撮像装置であって、前記アッパーカバーの向かい合う2つの端部の少なくとも一方が握持部とされ、前記握持部の上面および下面の少なくとも一方に溝が形成されている体内撮像装置が含まれる。前記溝は、曲線状あるいは折れ線状に延伸していることが望ましい。
【0126】
本発明には、体内に導入可能な体内撮像装置と、一端が前記体内撮像装置に接続され、他端にコネクタを有するケーブルと、前記コネクタに被せるキャップとを備え、前記キャップにフィルタ部が設けられている体内監視カメラシステムが含まれる。前記フィルタ部は、滅菌ガスを通し、かつ水や体液等の液体を(できれば細菌等も)通さないことが望ましい。
【0127】
本発明に係る体内撮像装置は、体内監視型のカメラだけでなく、体内を移動させるカプセル内視鏡にも適用可能である。
【0128】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態を技術常識に基づいて適宜変更したものやそれらを組み合わせて得られるものも本発明の実施形態に含まれる。