特許6430666IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

マスクブランク、そのマスクブランクを用いた製造された位相シフトマスク及びその製造方法に関するものである。また、本発明は、の位相シフトマスクを用いた半導体デバイスの製造方法に関するものである。

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

窒化ケイ素材料からなる単層の位相シフト膜を用いる場合、ArFエキシマレーザーの露光光(ArF露光光)に対する透過率に対して制約があり、透過率を18%より高めることは材料の光学特性上難しい。 窒化ケイ素に酸素を導入すると、透過率を高くすることができる。しかし、酸化窒化ケイ素材料からなる単層の位相シフト膜を用いると、ドライエッチングによる位相シフト膜のパターニング時に、酸化ケイ素を主成分とする材料で形成された透光性基板とのエッチング選択性が小さくなるという問題がある。また、黒欠陥に対してEB欠陥修正を行ったとき、透光性基板に対する十分な修正レート比を確保することが困難という問題がある。 上述の問題点を解決する方法としては、例えば、位相シフト膜を、透光性基板側から順に配置された窒化ケイ素層(低透過層)と酸化ケイ素層(高透過層)からなる2層構造とする方法が考えられる。特許文献1には、透光性基板側から順に配置された窒化ケイ素層と酸化ケイ素層とからなる2層構造の位相シフト膜を備えるハーフトーン型位相シフトマスクが開示されている。
位相シフト膜を窒化ケイ素層(低透過層)と酸化ケイ素層(高透過層)からなる2層構造にすることにより、ArF露光光に対する屈折率、消衰係数及び膜厚の設定自由度が増して、その2層構造の位相シフト膜をArF露光光に対して所望の透過率と位相差を有するものにすることができる。ここで、窒化ケイ素からなる膜と酸化ケイ素からなる膜はともにArF耐光性が高い。 しかしながら、詳細に検討を行った結果、窒化ケイ素層と酸化ケイ素層とからなる2層構造の位相シフト膜を備えるハーフトーン型位相シフトマスクには以下に述べる問題があることがわかった。 まず、EB欠陥修正を行ったとき透光性基板に対する修正レート比が十分に取れず、その結果、精度の高い黒欠陥修正を行うことが難しいという問題である。また、EB欠陥修正の修正レートが低くて、EB欠陥修正のスループットが低いという問題もある。 EB欠陥修正において、黒欠陥部分に対してのみ電子線を照射することは容易ではなく、また黒欠陥部分に対してのみ非励起のフッ素系ガスを供給することも困難であるため、黒欠陥部分の近傍における透光性基板の表面がEB欠陥修正の影響を比較的受けやすい。このため、透光性基板と薄膜パターンとの間でEB欠陥修正に対する十分な修正レート比が必要であるが、窒化ケイ素層と酸化ケイ素層とからなる2層構造の位相シフト膜では修正レート比を十分に取ることができなかった。その結果、EB欠陥修正時に透光性基板の表面の掘り込みが進みやすく、転写に悪影響のない十分な精度の黒欠陥修正を行うことが難しかった。 また、通常の位相シフト膜のパターニングの際に行われるフッ素系ガスによるドライエッチングの場合、窒化ケイ素層は酸化ケイ素層に比べてエッチングレートが大きい。EB欠陥修正の場合も同様の傾向を有するが、EB欠陥修正の場合、側壁が露出した状態の位相シフト膜のパターンに対してエッチングを行うことから、パターンの側壁方向に進行するエッチングであるサイドエッチングが特に窒化ケイ素層において入りやすい。このため、EB欠陥修正後のパターン形状が窒化ケイ素層と酸化ケイ素層とで段差を作る段差形状となりやすく、この観点からも転写に悪影響のない十分な精度の黒欠陥修正を行うことが難しかった。 さらに、窒化ケイ素層と酸化ケイ素層との2層構造により位相シフト膜を構成する場合、窒化ケイ素層及び酸化ケイ素層のそれぞれに必要とされる厚さが厚いため、ドライエッチングによる位相シフト膜のパターニング時に、パターン側壁の段差が大きくなりやすいという問題がある。 一方、の2層構造の位相シフト膜において、高透過層を形成する材料を酸化ケイ素から比較的酸素を多く含有した酸窒化ケイ素に代えた構成とした場合、高透過層を酸化ケイ素で形成した場合と同様の光学特性を得ることができる。しかし、この構成の位相シフト膜の場合でも、EB欠陥修正のスループットが低い問題や、ドライエッチング時に位相シフト膜のパターン側壁の段差が大きくなりやすい問題が生じる。 本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、透光性基板上にArF露光光を10%以上の透過率で透過させる位相シフト膜を備えたマスクブランクにおいて、位相シフト膜は、ArF耐光性が高く、EB欠陥修正を行ったとき透光性基板に対する修正レート比が高く、EB欠陥修正の修正レートも高いものである。その結果、精度の高い黒欠陥修正を高いスループットで行うことができ、位相シフトパターンの側壁形状の段差を抑制できるハーフトーン型位相シフトマスク用のマスクブランクを提供することを目的としている。ここで、位相シフト膜のArF露光光に対する透過率を10%以上に設定した理由については、実施の形態において述べる。
また、本発明は、このマスクブランクを用いて製造される位相シフトマスクを提供することを目的としている。さらに、本発明は、このような位相シフトマスクを製造する方法を提供することを目的としている。そして、本発明は、このような位相シフトマスクを用いた半導体デバイスの製造方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

前記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
【発明の効果】
本発明のマスクブランクは、透光性基板上に、位相シフト膜を備えたマスクブランクであって、位相シフト膜は、ArF露光光を10%以上の透過率で透過させる機能と、150度以上200度以下の位相差を生じさせる機能とを有し、透光性基板側から低透過層と高透過層がこの順で交互に6層以上積層した構造を含み、低透過層は、ケイ素及び窒素を含有し、窒素の含有量が50原子%以上である材料で形成されており、高透過層は、ケイ素及び酸素を含有し、酸素の含有量が50原子%以上である材料で形成されており、低透過層の厚さは、高透過層の厚さよりも厚く、高透過層は、厚さが4nm以下であることを特徴としている。 また、本発明のマスクブランクは、透光性基板上に、位相シフト膜を備えたマスクブランクであって、位相シフト膜は、ArF露光光を10%以上の透過率で透過させる機能と、150度以上200度以下の位相差を生じさせる機能とを有し、透光性基板側から低透過層と高透過層がこの順で交互に6層以上積層した構造を含み、低透過層は、ケイ素及び窒素を含有し、窒素の含有量が50原子%以上である材料で形成されており、高透過層は、ケイ素、窒素及び酸素を含有し、窒素の含有量が10原子%以上かつ酸素の含有量が30原子%以上である材料で形成されており、低透過層の厚さは、高透過層の厚さよりも厚く、高透過層は、厚さが4nm以下であることを特徴としている。
これらの構造のマスクブランクとすることにより、位相シフト膜のArF耐光性を高くしつつ、位相シフト膜のEB欠陥修正に対する修正レートを大幅に速くすることができ、位相シフト膜の透光性基板との間でのEB欠陥修正に対する修正レート比を高めることができる。 また、本発明の位相シフトマスクは、転写パターンを有する位相シフト膜が本発明の各マスクブランクの位相シフト膜と同様の構成としていることを特徴としている。このような位相シフトマスクとすることにより、位相シフト膜のArF耐光性が高いことに加え、この位相シフトマスクの製造途上で位相シフト膜の黒欠陥部分に対してEB欠陥修正を行った場合においても、黒欠陥近傍の透光性基板の表面が過度に掘り込まれることを抑制できる。また、位相シフトパターンの側壁形状は段差の少ないものとなる。このため、本発明の位相シフトマスクは、黒欠陥修正部を含め、転写精度の高い位相シフトマスクとなる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】本発明の実施形態におけるマスクブランクの構成を示す断面図である。

【図2】本発明の実施形態における転写用マスクの製造工程を示す断面図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

1 透光性基板   2 位相シフト膜   2a 位相シフトパターン   21 低透過層   22 高透過層   22′ 最上高透過層   23 最上層   3 遮光膜   3a,3b 遮光パターン   4 ハードマスク膜   4a ハードマスクパターン   5a 第1のレジストパターン   6b 第2のレジストパターン   100 マスクブランク   200 位相シフトマスク

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