(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脱気装置が、前記炭酸ガス溶解水に水素を溶解させる水素ガス溶解装置と、前記水素が溶解した前記炭酸ガス溶解水と接触することで該炭酸ガス溶解水から前記溶存酸素を除去する白金族金属担持触媒を備えた触媒反応装置と、を有する、請求項3に記載の炭酸ガス溶解水供給システム。
前記ユースポイントに供給された前記炭酸ガス溶解水を前記循環経路に還流させる還流手段をさらに有する、請求項2から7のいずれか1項に記載の炭酸ガス溶解水供給システム。
前記イオン交換装置に充填された前記アニオン交換体の総イオン交換容量に対する、重炭酸イオン形のアニオン交換体のイオン交換容量の割合が、化学当量基準で、70当量%以上である、請求項1から8のいずれか1項に記載の炭酸ガス溶解水供給システム。
純水または超純水に炭酸ガスを溶解させた炭酸ガス溶解水をユースポイントに供給する炭酸ガス溶解水供給システムに使用され、前記炭酸ガス溶解水に含まれるイオン性不純物を除去するイオン交換装置であって、重炭酸イオン形と炭酸イオン形とが混在するアニオン交換体が充填されたイオン交換装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態による炭酸ガス溶解水供給システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の炭酸ガス溶解水供給システムの概略構成図である。
【0016】
炭酸ガス溶解水供給システム(以下、単に「供給システム」ともいう)1は、純水または超純水に炭酸ガスを溶解させた炭酸ガス溶解水をユースポイント2に供給するシステムであり、炭酸ガス溶解水を生成する炭酸ガス溶解装置3と、イオン交換処理により炭酸ガス溶解水に含まれるイオン性不純物を除去するイオン交換装置4とを有している。本実施形態では、炭酸ガス溶解装置3とイオン交換装置4とは、純水または超純水(炭酸ガス溶解水)の流れ方向にこの順で配置されているが、後述する他の実施形態のように、システムの構成によっては、炭酸ガス溶解装置3の上流側にイオン交換装置4が接続されていてもよい。なお、ここでいう「純水または超純水」とは、純水製造装置または超純水製造装置を用いて被処理水(原水)からイオンおよび非イオン性物質を除去して得られる処理水を意味し、比抵抗値が1MΩ・cm以上の処理水を「純水」といい、比抵抗値が18MΩ・cm以上の処理水を「超純水」というものとする。
【0017】
炭酸ガス溶解装置3は、原料水(本実施形態では純水または超純水)に炭酸ガスを溶解させて炭酸ガス溶解水を生成するものである。炭酸ガス溶解装置3としては、純水または超純水に炭酸ガスを溶解させることができるものであればよく、例えば、中空糸製のガス透過膜を用いて炭酸ガスを溶解させる方法、配管内に直接炭酸ガスをバブリングする方法、炭酸ガスを注入後にスタティックミキサーなどの分散手段を用いて溶解させる方法、ガス溶解槽に純水または超純水を供給するポンプの上流側に炭酸ガスを供給し、ポンプ内の攪拌によって溶解させる方法などを用いることができる。特に、膜面積(気液接触面積)が大きく、炭酸ガスを効率的に溶解させることができる点で、中空糸製のガス透過膜を用いて炭酸ガスを溶解させる方法を用いることが好ましい。炭酸ガスは、炭酸ガスライン(図示せず)を通じて炭酸ガス溶解装置3に供給することができる。
【0018】
イオン交換装置4は、イオン交換処理によって炭酸ガス溶解水に含まれるイオン性不純物を除去するものであり、イオン交換体が充填されたイオン交換塔を有している。イオン交換装置4は、処理性能を高度に維持するために、非再生型イオン交換装置(カートリッジポリッシャー)であることが好ましい。以下、イオン交換塔に充填されるイオン交換体について詳細に説明する。
【0019】
炭酸ガス溶解水の溶媒として、不純物が高度に除去された純水または超純水が用いられているため、炭酸ガス溶解水に含まれる不純物としては、純水または超純水に溶解される炭酸ガス由来の不純物が考えられる。炭酸ガスは、工業的には、石油化学プラントや製鉄所から排出される排ガスを原料として製造されているため、不純物として、塩化水素や二酸化硫黄など、炭酸ガス以外の酸性ガスを含む可能性がある。高純度(例えば、99.99%以上)の炭酸ガスを用いることで、このような不純物としての酸性ガスの混入を抑制することはできるが、純度の高いものほど高価である。
【0020】
このため、本実施形態では、炭酸ガス溶解水に含まれる、酸性ガスなどに由来するアニオン性不純物を除去するために、イオン交換装置4のイオン交換塔には、少なくともアニオン交換体が充填されている。アニオン交換体としては、アニオン交換樹脂、モノリス状有機多孔質アニオン交換体などが挙げられるが、アニオン交換樹脂(例えば、スチレン系のゲル形またはMR形のアニオン交換樹脂)が好適に用いられる。
【0021】
イオン交換樹脂は、高分子母体にイオン交換基が導入されたものであり、イオン交換基の対イオンを変えることで、そのイオン形を変えることができ、除去対象となるイオン性不純物に対応したイオン形にすることができる。多くの水処理システムでは、できるだけ多くの種類のアニオン性不純物を除去するために、OH形のアニオン交換樹脂、すなわち、アニオン交換基の対アニオンが水酸化物イオン(OH
−)であるアニオン交換樹脂が使用されている。しかしながら、炭酸ガス溶解水に含まれるアニオン性不純物を除去する目的でOH形のアニオン交換樹脂を使用すると、炭酸ガス溶解水のイオン交換塔への通水初期には、炭酸ガス溶解水から炭酸ガス(炭酸(H
2CO
3)の解離によって生成される重炭酸イオン(HCO
3−)や炭酸イオン(CO
32−))そのものが除去されてしまう。そのため、本来の目的である比抵抗値の調整された炭酸ガス溶解水の供給ができなくなる。
【0022】
したがって、本実施形態では、重炭酸イオン形と炭酸イオン形とが混在するアニオン交換樹脂が好適に使用されている。ここでいう「重炭酸イオン形」および「炭酸イオン形」とは、上述の通り、アニオン交換樹脂中のアニオン交換基の対アニオンがそれぞれ重炭酸イオン(HCO
3−)および炭酸イオン(CO
32−)であることを意味する。したがって、ここでいう「重炭酸イオン形と炭酸イオン形とが混在する」とは、アニオン交換樹脂が、対アニオンが重炭酸イオンであるアニオン交換基と、対アニオンが炭酸イオンであるアニオン交換基とを有していることを意味する。以下、対アニオンが重炭酸イオンおよび炭酸イオンであるアニオン交換基を、それぞれ「重炭酸イオン形のアニオン交換基」および「炭酸イオン形のアニオン交換基」というものとする。
【0023】
このように、イオン交換塔に充填されるアニオン交換樹脂を、重炭酸イオン形と炭酸イオン形とが混在するアニオン交換樹脂とすることで、イオン交換処理の前後で炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度(比抵抗値)を変動させることなく、炭酸ガス溶解水に含まれるアニオン性不純物を除去することができる。その結果、本実施形態の供給システム1では、所望の水質の炭酸ガス溶解水を清浄度が高い状態でユースポイント2に供給することができる。
【0024】
なお、イオン交換装置4のイオン交換塔には、カチオン交換体がさらに充填されていてもよい。炭酸ガス溶解水には、炭酸ガス供給源であるガスボンベや配管に由来して、カチオン性不純物(例えば、Na、Ca、Fe、Ni、Mn、Alなど)が含まれる可能性がある。イオン交換装置4のイオン交換塔にカチオン交換体がさらに充填されていることで、このようなカチオン性不純物も除去することができる。このとき、イオン交換塔におけるアニオン交換体とカチオン交換体との充填形態は、複床形態であってもよいが、イオン交換体に由来する微量の不純物を効率的に除去し、清浄度をより高くすることができる点で、混床形態であることがより好ましい。カチオン交換体としては、カチオン交換樹脂、例えば、スチレン系のゲル形またはMR形のカチオン交換樹脂が好適に用いられる。本実施形態では、できるだけ多くの種類のカチオン性不純物を除去するために、H形のカチオン交換樹脂、すなわち、カチオン交換基の対カチオンが水素イオン(H
+)であるカチオン交換樹脂を用いることが好ましい。
【0025】
イオン交換塔に充填されるアニオン交換樹脂としては、重炭酸イオン形および炭酸イオン形以外のイオン形のアニオン交換樹脂が含まれていてもよい。すなわち、イオン交換塔に充填されるアニオン交換樹脂が、重炭酸イオン形のアニオン交換基および炭酸イオン形のアニオン交換基以外のアニオン交換基を含んでいてもよい。ただし、その場合には、上述したように、イオン交換塔への通水初期において所望の水質の炭酸ガス溶解水をユースポイントに供給できない可能性がある。
【0026】
このことを考慮すると、アニオン交換樹脂中の実質的にすべてのアニオン交換基は、重炭酸イオン形および炭酸イオン形のいずれかであることが好ましい。すなわち、イオン交換塔に充填されるアニオン交換樹脂の総イオン交換容量に対する、重炭酸イオン形のアニオン交換樹脂のイオン交換容量と炭酸イオン形のアニオン交換樹脂のイオン交換容量との合計の割合は、化学当量基準で、80当量%以上であることが好ましく、95当量%以上であることがより好ましく、100当量%であることがさらに好ましい。
【0027】
重炭酸イオン形(1価)のアニオン交換樹脂は、炭酸イオン形(2価)のアニオン交換樹脂に比べて選択性が低い。そのため、重炭酸イオン形のアニオン交換樹脂は、特に、被処理水(炭酸ガス溶解水)中に不純物として選択性が低いアニオンが存在する場合や、低濃度のイオン交換負荷の場合の処理性能の向上に効果がある。このことから、本実施形態では、重炭酸イオン形のアニオン交換樹脂のイオン交換容量と炭酸イオン形のアニオン交換樹脂のイオン交換容量との合計に対する、重炭酸イオン形のアニオン交換樹脂のイオン交換容量の割合は、化学当量基準で、70当量%以上、好ましくは75当量%以上、より好ましくは80当量%以上である。これにより、アニオン交換樹脂による炭酸ガス溶解水の精製性能をより一層向上させることができる。
【0028】
ここで、上述したアニオン交換樹脂、すなわち、重炭酸イオン形および炭酸イオン形のアニオン交換基の総数に対する、重炭酸イオン形のアニオン交換基の割合が70当量%以上である、アニオン交換樹脂の製造方法について、簡単に説明する。
【0029】
まず、OH形のアニオン交換樹脂を準備する。このアニオン交換樹脂としては、例えば、スチレン系のゲル形またはMR形のアニオン交換樹脂を用いることができる。また、このアニオン交換樹脂は、OH形のアニオン交換基以外のアニオン交換基を含んでいてもよいが、上述したように、実質的にすべてのアニオン交換基のイオン形は、OH形であることが好ましい。
【0030】
次に、純水または超純水に炭酸ガスを溶解させた炭酸ガス溶解水を、上述したOH形のアニオン交換樹脂に接触させる。具体的には、炭酸ガス溶解水を、上述したOH形のアニオン交換樹脂が充填されたイオン交換塔に供給して通過させ、アニオン交換樹脂に接触させる。これにより、アニオン交換基の対アニオンが、水酸化物イオンから重炭酸イオンまたは炭酸イオンに変換され、アニオン交換基のイオン形が、OH形から重炭酸イオン形または炭酸イオン形に変換される。
【0031】
そして、イオン形の変換が終了したか否かを判断し、イオン形の変換が終了したと判断した時点で、イオン交換塔への炭酸ガス溶解水の供給を停止する。イオン形の変換が終了したか否かの判断は、例えば、イオン交換塔を通過する前後での炭酸ガス溶解水の導電率、すなわち、イオン交換塔の入口での炭酸ガス溶解水の導電率(入口導電率)と出口での炭酸ガス溶解水の導電率(出口導電率)とに基づいて行うことができる。具体的には、導電率計を用いて、入口導電率と出口導電率とを計測し、入口導電率に対する出口導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100)が、90%以上となった時点、好ましくは95%以上となった時点で、イオン形の変換が終了したと判断することができる。これは、イオン形の変換が進行するにつれて、イオン形の変換のために消費される炭酸ガス溶解水中の重炭酸イオンおよび炭酸イオンの量が減少していき、イオン形の変換の終了間際になると、そのほとんどが消費されなくなるためである。なお、入口導電率が既知である場合には、出口導電率だけを計測するようになっていてもよい。
【0032】
上述のイオン形の変換のためにアニオン交換樹脂に接触させる溶液として、炭酸ガス溶解水の代わりに、例えば、重炭酸アンモニウム水溶液などの重炭酸塩水溶液を用いることもできる。しかしながら、重炭酸塩水溶液は弱アルカリ性であるため、重炭酸塩水溶液中では、炭酸の解離は2価の炭酸イオンへの解離が多くなる。そのため、アニオン交換基の対アニオンを水酸化物イオンから重炭酸イオンまたは炭酸イオンに変換する際に、重炭酸イオンに変換する割合をある一定以上には高くすることができない。
【0033】
これに対し、炭酸ガス溶解水は弱酸性であり、炭酸ガス溶解水中では、炭酸の解離は1価の重炭酸イオンへ解離が多くなる。そのため、このような炭酸ガス溶解水をOH形のアニオン交換樹脂に接触させることで、アニオン交換基の対アニオンを水酸化物イオンから重炭酸イオンまたは炭酸イオンに変換する際に、重炭酸イオンに変換する割合を非常に多くすることができる。こうして、重炭酸イオン形のアニオン交換基の割合が非常に多いアニオン交換樹脂を得ることができる。すなわち、重炭酸イオン形のアニオン交換基と炭酸イオン形のアニオン交換基の総数に対する、重炭酸イオン形のアニオン交換基の数の割合が、化学当量基準で70当量%以上であるアニオン交換樹脂を得ることができる。なお、本実施形態で用いられる炭酸ガス溶解水の酸性度は、具体的には、好ましくはpHが5以下であり、より好ましくはpHが4.5以下である。
【0034】
なお、本実施形態の供給システム1では、炭酸ガス溶解水の溶媒として純水または超純水が用いられているため、炭酸ガス溶解装置3の炭酸ガス溶解量から、炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度(比抵抗値)を概ね把握することができる。しかしながら、所望の水質の炭酸ガス溶解水を安定して得るためには、炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度をより正確に把握し、それに基づいて、炭酸ガス溶解装置3の炭酸ガス溶解量を調整することが好ましい。したがって、本実施形態の供給システム1は、炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度を測定する溶存炭酸ガス計(濃度測定手段)5と、溶存炭酸ガス計5により測定された炭酸ガス濃度に基づいて、炭酸ガス溶解装置3の炭酸ガス溶解量を調整する制御部(制御手段)6を有していることが好ましい。本実施形態では、溶存炭酸ガス計5は、イオン交換装置4の下流側に接続された配管から分岐したサンプリングラインに設けられているが、溶存炭酸ガス計5の配置は、これに限定されるものではない。例えば、溶存炭酸ガス計5が設置されるサンプリングラインは、炭酸ガス溶解装置3とイオン交換装置4との間の配管に接続されていてもよい。
【0035】
上述したように、本実施形態では、炭酸ガス溶解水の溶媒として純水または超純水が用いられているため、炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度と比抵抗値(導電率)との間には相関関係がある。したがって、溶存炭酸ガス計5を用いて炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度を測定する代わりに、比抵抗計(導電率計)を用いて炭酸ガスの比抵抗値(導電率)を測定することもできる。
【0036】
また、本実施形態の供給システム1は、ユースポイント2に供給される炭酸ガス溶解水中の微粒子を除去するために、イオン交換装置4の下流側に接続された精密ろ過膜装置7を有していてもよい。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による炭酸ガス溶解水供給システムの構成について説明する。
図2は、本実施形態の炭酸ガス溶解水供給システムの概略構成図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0038】
本実施形態の供給システム1では、炭酸ガス溶解装置3とイオン交換装置4とが、循環ライン11に設けられている。循環ライン11には、炭酸ガス溶解水を貯留する貯留タンク12と、循環ポンプ(循環手段)13とがさらに設けられている。こうして、循環ライン11と、貯留タンク12と、循環ポンプ13と、炭酸ガス溶解装置3と、イオン交換装置4とによって、循環経路10が形成されている。また、供給システム1は、循環ライン11とユースポイント2とを接続し、循環経路10に沿って循環する炭酸ガス溶解水の一部をユースポイント2に供給するための供給ライン14(供給手段)を有している。
【0039】
このような構成により、清浄度が高く、所望の水質の炭酸ガス溶解水を、循環経路10に沿って循環させることができ、必要なときに、必要な分だけユースポイント2に供給することができる。すなわち、清浄度が高く、所望の水質の炭酸ガス溶解水の、ユースポイント2への安定供給が可能になる。また、本実施形態の構成によれば、ユースポイント2での炭酸ガス溶解水の使用状況にかかわらず、供給システム1の連続運転が可能になる。そのため、供給システム1の起動直後には、ユースポイント2での使用には不十分な清浄度および水質の炭酸ガス溶解水を外部にブロー排出することがあるが、本実施形態では、そのような炭酸ガス溶解水を外部にブロー排出する必要もなくなる。このことも含めて、本実施形態は、炭酸ガス溶解水の使用量、ひいては高価な炭酸ガスの使用量を削減することができる点でも有利である。さらに、本実施形態の構成によれば、炭酸ガス溶解水を循環処理することで、不純物をより一層低減することができ、より清浄度の高い炭酸ガス溶解水を得ることもできる。
【0040】
貯留タンク12には、純水製造装置または超純水製造装置(図示せず)から貯留タンク12に純水または超純水を補給するための純水または超純水補給ライン15aが接続されている。これにより、ユースポイント2での炭酸ガス溶解水の使用量が多く、循環する炭酸ガス溶解水の量が減少する場合には、純水または超純水補給ライン15aから貯留タンク12に純水または超純水を補給することができる。なお、貯留タンク12には、貯留タンク12に窒素ガスや清浄空気を導入するためのガス導入ライン(図示せず)と、貯留タンク12から外部に窒素ガスや清浄空気を排出するためのガス排出ライン(図示せず)とがさらに接続されている。
【0041】
さらに、循環ポンプ13と炭酸ガス溶解装置3との間の循環ライン11には、循環停止弁11aが設けられ、この循環停止弁11aの下流側に、補給弁11bを介して純水または超純水補給ライン15bが接続されている。この純水または超純水補給ライン15bは、供給システム1の運転開始時や循環ポンプ13に故障などの不具合が生じた場合に、炭酸ガス溶解装置3に純水または超純水を供給するために設けられている。すなわち、循環ライン11の循環停止弁11aを閉止し、純水または超純水補給ライン15bの補給弁11bを開放することで、純水または超純水補給ライン15bから炭酸ガス溶解装置3に純水または超純水を供給することができる。一方で、上述したように炭酸ガス溶解水の循環流量が減少する場合には、循環ライン11の循環停止弁11aを開放したまま、純水または超純水補給ライン15bの補給弁11bを開放することで、純水または超純水補給ライン15bからも純水または超純水を補給することができる。
【0042】
ところで、純水または超純水補給ライン15aから貯留タンク12に純水または超純水が補給される場合、その補給量、すなわち、ユースポイント2での炭酸ガス溶解水の使用量に応じて、貯留タンク12内の炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度が変化する。したがって、炭酸ガス溶解装置3に供給される原料水としての炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度は変化することになる。このような観点から、本実施形態では、供給システム1が溶存炭酸ガス計5(または比抵抗計)と制御部6とを有し、フィードバック制御によって炭酸ガス溶解量の調整を行うようになっていることが特に有利である。これは、炭酸ガス溶解装置3の入口側の炭酸ガス濃度が変動した場合にも、炭酸ガス溶解水の出口側の炭酸ガス濃度が所定の濃度範囲に収まるように、炭酸ガス溶解装置3の炭酸ガス溶解量を最適に調整することができるためである。その結果、ユースポイント2での炭酸ガス溶解水の使用状況にかかわらず、ユースポイント2に供給可能な炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度を常に一定に保つことができる。
【0043】
一方で、要求される炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度が飽和濃度以上である場合や、その変動の許容範囲が大きく設定されている場合には、必ずしも炭酸ガス溶解量のフィードバック制御を行う必要はない。また、例えば、炭酸ガス溶解装置3への炭酸ガス溶解水の供給量が一定である場合には、炭酸ガス溶解装置3の入口側の炭酸ガス濃度に基づいたフィードフォワード制御によって炭酸ガス溶解量を調整することもできる。さらに、上述した純水または超純水の補給が純水または超純水補給ライン15bのみから行われる場合には、その補給量に基づいて、炭酸ガス溶解装置3の炭酸ガス溶解量を調整するようになっていてもよい。
【0044】
本実施形態の供給システム1は、炭酸ガス溶解水を循環させて処理を行うシステムであるため、イオン交換装置4は、第1の実施形態とは異なり、必ずしも炭酸ガス溶解装置3の下流側に接続されている必要はない。イオン交換装置4は、炭酸ガス溶解装置3の上流側に接続されていてもよく、例えば、循環ポンプ13と炭酸ガス溶解装置3との間に設けられていてもよい。
【0045】
なお、図示した例では、供給システム1は、1つのユースポイント2に対して炭酸ガス溶解水を供給するようになっているが、複数のユースポイント2に対して炭酸ガス溶解水を供給するようになっていてもよい。すなわち、それぞれが循環ライン11と各ユースポイント2とを接続する複数の供給ライン14が設けられていてもよい。さらに、精密ろ過膜装置7は循環ライン11に設けられているが、供給ライン14に設けられていてもよい。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による炭酸ガス溶解水供給システムの構成について説明する。
図3は、本実施形態の炭酸ガス溶解水供給システムの概略構成図である。
【0047】
本実施形態は、第2の実施形態の変形例であって、第2の実施形態の供給システムを、ユースポイントとして枚葉式洗浄装置に適用したときの構成例である。以下、第2の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第2の実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0048】
ユースポイントとしての洗浄装置20は、洗浄チャンバ21と、半導体ウエハ22の表面に薬液を噴射するための薬液ノズル23と、半導体ウエハ22の表面にリンス液(炭酸ガス溶解水)を噴射するためのリンス液ノズル24と、半導体ウエハ22の表面に噴射された薬液およびリンス液を回収するためのカップ25と、薬液ノズル23に薬液を供給する薬液供給装置26とを有している。薬液ノズル23と薬液供給装置26とは、薬液供給弁26aを備えた薬液供給ライン26bによって接続されている。また、リンス液ノズル24は、供給弁14aを介して供給ライン14に接続されている。なお、洗浄チャンバ21内の雰囲気は大気雰囲気であるが、必要に応じて、窒素雰囲気にすることもできる。洗浄チャンバ21には、洗浄チャンバ21内の酸排気を行うための酸排気ライン(図示せず)が接続されている。
【0049】
薬液ノズル23は、作動位置であるカップ25の内側と、待機位置であるカップ25の外側との間を移動可能に構成されている。リンス液ノズル24も同様に、作動位置であるカップ25の内側と、待機位置であるカップ25の外側との間を移動可能に構成されている。このような構成により、洗浄工程では、リンス液ノズル24を待機位置に移動させ、薬液ノズル23を作動位置に移動させて薬液供給弁26aを開放することで、薬液供給装置26から薬液ノズル23を通じて、半導体ウエハ22の表面に薬液を噴射することができる。一方、その後のリンス工程では、薬液ノズル23を待機位置に移動させ、リンス液ノズル24を作動位置に移動させて供給弁14aを開放することで、供給ライン14からリンス液ノズル24を通じて、半導体ウエハ22の表面にリンス液(炭酸ガス溶解水)を噴射することができる。薬液供給装置26は、薬液に含まれる不純物を除去する精密ろ過膜を有していてもよい。
【0050】
洗浄装置20と供給システム1との間には、カップ25と貯留タンク12とを接続する還流ライン(還流手段)16が設けられている。洗浄装置20において、リンス工程の前半でカップ25に回収される炭酸ガス溶解水には、半導体ウエハ22の表面に付着していた薬液の残渣などの不純物が多く含まれているが、リンス工程の後半では、不純物の混入が比較的少ない炭酸ガス溶解水がカップ25に回収されることになる。還流ライン16は、カップ25で回収した薬液や炭酸ガス溶解水のうち、このような比較的清浄度の高い炭酸ガス溶解水を循環経路10に還流させるために設けられており、切換弁25aを介してカップ25に接続されている。一方、薬液や上述のような比較的清浄度の低い炭酸ガス溶解水は、切換弁25aを介してカップ25に接続された廃液排出ライン25bを通じて、外部に排出されるようになっている。炭酸ガス溶解水の貯留タンク12への回収と外部への排出との切り替えは、洗浄装置のプロセスレシピに基づいて行うことができる。あるいは、還流ライン16などに炭酸ガス溶解水の水質を検出する水質検出手段(例えば、導電率計など)を設け、その検出値に基づいて行うこともできる。
【0051】
洗浄装置20では、初期発塵を抑えるために、半導体ウエハの洗浄を行っていない運転停止中にも、洗浄チャンバ21内に炭酸ガス溶解水をフローさせておくことが好ましい。また、供給ライン14内に炭酸ガス溶解水が滞留して、いわゆる死に水やコンタミネーションが発生するのを防止するためにも、リンス液ノズル24が待機位置にあるときに、リンス液ノズル24から炭酸ガス溶解水をフローさせておくことが好ましい。そのために、洗浄装置20は、待機位置にあるリンス液ノズル24に対向する位置に配置され、リンス液ノズル24からフローした炭酸ガス溶解水を回収するカップ27と、カップ27で回収した炭酸ガス溶解水を還流ライン16に合流させる合流ライン28とを有している。このような構成により、洗浄装置20に供給されたものの単にフローさせただけの炭酸ガス溶解水、すなわち、洗浄装置20においてリンスに使用されなかった炭酸ガス溶解水も、還流ライン16を通じて循環経路10に還流させることができる。
【0052】
以上のように、本実施形態の供給システム1によれば、洗浄装置20において使用されたものの比較的清浄度の高い炭酸ガス溶解水や、未使用の炭酸ガス溶解水を回収して再利用することができる。これにより、純水または超純水と炭酸ガスとの消費量を削減することができ、運転コストを低減することができる。
【0053】
ところで、炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度、すなわち純水または超純水に対する炭酸ガスの溶解度は、ヘンリーの法則に従うと考えられる。したがって、炭酸ガス溶解水がリンス液ノズル24から噴射されると、洗浄チャンバ21内の雰囲気にかかわらず、炭酸ガス溶解水中の炭酸ガスの少なくとも一部は、液相(炭酸ガス溶解水)から気相(洗浄チャンバ21)に移動することになる。そのため、還流ライン16を通じて回収される炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度は、循環経路10を循環している炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度よりも低くなる。これによっても、貯留タンク12内の炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度は変化することになるが、その場合にも、本実施形態によれば、第2の実施形態と同様に、循環経路10に沿って循環する炭酸ガス溶解水の炭酸ガス濃度を常に一定に保つことができる。
【0054】
なお、洗浄装置20から回収される炭酸ガス溶解水、特に、洗浄装置20において使用されたものの比較的清浄度の高い炭酸ガス溶解水は、例えば、Na、Ca、Fe、Ni、Mn、Alなどのカチオン性不純物を含んでいる。そのため、本実施形態では、イオン交換装置4のイオン交換塔に、アニオン交換体だけでなく、カチオン交換体がさらに充填されていることが好ましい。
【0055】
また、本実施形態においても、複数の洗浄装置20に対して炭酸ガス溶解水を供給するようになっていてもよい。すなわち、それぞれが循環ライン11と各洗浄装置20とを接続する複数の供給ライン14と、それぞれが各洗浄装置20と貯留タンク12とを接続する複数の還流ライン16とが設けられていてもよい。また、図示した例では、精密ろ過膜装置7は供給ライン14に設けられているが、循環ライン11に設けられていてもよい。
【0056】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態による炭酸ガス溶解水供給システムの構成について説明する。
図4は、本実施形態の炭酸ガス溶解水供給システムの概略構成図である。
【0057】
本実施形態は、第3の実施形態の変形例であって、第3の実施形態の構成に対して、脱気装置を新たに追加した変形例である。以下、第3の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第3の実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0058】
洗浄装置20の洗浄チャンバ21では、上述したヘンリーの法則に基づいて、液相(炭酸ガス溶解水)と気相(洗浄チャンバ21)との間で気体のやり取りが行われる。そのため、洗浄チャンバ21が大気雰囲気である場合、炭酸ガス溶解水が洗浄チャンバ21から酸素を取り込むことがある。その結果、洗浄装置20から回収される炭酸ガス溶解水は、純水または超純水にもともと溶解していた酸素の濃度よりも高い濃度の酸素を含んでいることがある。炭酸ガス溶解水に溶解した酸素(溶存酸素)の濃度が高くなると、半導体ウエハ22の表面に酸化膜を形成する要因になるだけでなく、より精密な洗浄も困難になる。したがって、炭酸ガス溶解水の溶存酸素濃度は、できるだけ低濃度に管理されていることが好ましい。
【0059】
このため、本実施形態の供給システム1は、循環ポンプ13と循環停止弁11aとの間の循環ライン11に設けられ、炭酸ガス溶解水中の少なくとも溶存酸素を除去する脱気装置30を有している。
【0060】
脱気装置30は、膜脱気装置であってもよいが、その場合、炭酸ガス溶解水から炭酸ガスそのものが除去されてしまい、また、装置が大型化することもある。したがって、本実施形態の脱気装置30は、以下に示すように、水素ガス溶解装置31と触媒反応装置32とから構成されていることが好ましい。
【0061】
水素ガス溶解装置31は、炭酸ガス溶解水に水素を溶解させるものである。水素ガス溶解装置31としては、炭酸ガス溶解水に水素を添加できるものであればよく、例えば、ガス溶解膜を用いたガス溶解方式を利用したものや、電解セルを用いた直接電解方式を利用したものを用いことができる。
【0062】
触媒反応装置32は、白金族金属担持触媒を備えている。白金族金属担持触媒(以下、単に「触媒」ともいう)は、白金族金属が担体に担持されたものであり、水素ガス溶解装置31により炭酸ガス溶解水に溶解した水素(溶存水素)と、炭酸ガス溶解水中の溶存酸素とを反応させて、水を生成する機能を有している(2H
2+O
2→2H
2O)。これにより、触媒反応装置32は、水素が溶解した炭酸ガス溶解水を白金族金属担持触媒と接触させることで、炭酸ガス溶解水中の溶存酸素を選択的に除去することができる。触媒反応装置32の形態としては、例えば、白金族金属担持触媒を層状に充填した触媒充填塔が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0063】
白金族金属担持触媒の担体としては、アニオン交換体またはアニオン交換樹脂を用いることができる。触媒の調整および反応性の観点からは、アニオン交換体を用いることが好ましい。特に、アニオン交換体は、モノリス状有機多孔質であることがより好ましい。モノリス状有機多孔質アニオン交換体を用いることで、2000〜20000h
−1の空間速度で炭酸ガス溶解水を通水することができ、その結果、水処理性能を向上させることができる。また、モノリス状有機多孔質アニオン交換体は、装置の小型化に寄与できる点でも有利である。なお、白金族金属担持触媒の担体としてアニオン交換体を用いる場合、アニオン交換体は、イオン交換装置4のアニオン交換体と同様の理由により、重炭酸イオン形のアニオン交換体であるか、または、重炭酸イオン形と炭酸イオン形とが混在するアニオン交換体であることが好ましい。
【0064】
なお、本実施形態においても、イオン交換装置4は、炭酸ガス溶解装置3の上流側に設けられていてもよく、例えば、脱気装置30と炭酸ガス溶解装置3との間に設けられていてもよい。これにより、還流ライン16を通じて混入する不純物や脱気装置30からの溶出物(特に、触媒反応装置32から溶出する白金族金属)を、炭酸ガス溶解装置3の手前で除去することができる。また、イオン交換装置4は、炭酸ガス溶解装置3の上流側と下流側の両方に設けられていてもよい。
【0065】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態による炭酸ガス溶解水供給システムの構成について説明する。
図5は、本実施形態の炭酸ガス溶解水供給システムの概略構成図である。
【0066】
本実施形態は、第4の実施形態の変形例であって、第4の実施形態の構成に対して、熱交換器と紫外線酸化装置とを新たに追加した変形例である。以下、第4の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第4の実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0067】
本実施形態の供給システム1は、循環ポンプ13と脱気装置30のとの間の循環ライン11に設けられた、熱交換器41と紫外線酸化装置42とを有している。熱交換器41は、循環処理による温度変化を抑え、炭酸ガス溶解水を所定の温度範囲に調整することができる。また、紫外線酸化装置42は、炭酸ガス溶解水に紫外線を照射することで、炭酸ガス溶解水に含まれる全有機炭素(TOC)を分解することができ、そのTOC濃度を低減することができる。炭酸ガス溶解水にTOCが含まれる要因としては、洗浄装置20から還流ライン16を介して回収された炭酸ガス溶解水に、洗浄装置20のプロセス由来のTOCが含まれていることや、循環処理に伴い、構成部材から炭酸ガス溶解水にTOCが溶出することなどが考えられる。
【0068】
本実施形態では、イオン交換装置4を炭酸ガス溶解装置3の上流側に設ける場合、イオン交換装置4の位置は、脱気装置30と炭酸ガス溶解装置3との間であることが好ましい。これは、上述したように、脱気装置30の触媒反応装置32から白金族金属が溶出する可能性があるためである。
【0069】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態による炭酸ガス溶解水供給システムの構成について説明する。
図6は、本実施形態の炭酸ガス溶解水供給システムの概略構成図である。
【0070】
本実施形態は、第5の実施形態の変形例であって、第5の実施形態の構成に対して、窒素ガス溶解装置を新たに追加し、それに伴い、脱気装置の構成を変更した変形例である。以下、第5の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第5の実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0071】
洗浄装置20の構成によっては、リンス液として洗浄装置20に供給される炭酸ガス溶解水に対して、そこに溶存した窒素の濃度(溶存窒素濃度)を所定の範囲に調整することが求められる場合がある。すなわち、炭酸ガス溶解水に対して、ある一定以上の濃度で窒素を溶解させる必要がある。
【0072】
このため、本実施形態の供給システム1は、炭酸ガス溶解水に窒素を溶解させる窒素ガス溶解装置51を有している。窒素ガス溶解装置51としては、炭酸ガス溶解水に窒素ガスを溶解させることができるものであればよく、例えば、膜溶解などを用いることができる。窒素ガスは、窒素ガスライン(図示せず)を通じて窒素ガス溶解装置51に供給することができる。
【0073】
窒素ガス溶解装置51の位置は、図示した例に限定されるものではなく、炭酸ガス溶解装置3とイオン交換装置4との間であってもよく、あるいは、炭酸ガス溶解装置3の上流側であってもよい。また、イオン交換装置4が炭酸ガス溶解装置3の上流側に設けられている場合にも、窒素ガス溶解装置51の位置は、イオン交換装置4および炭酸ガス溶解装置3の下流側、イオン交換装置4と炭酸ガス溶解装置3との間、および、イオン交換装置4および炭酸ガス溶解装置3の上流側のいずれであってもよい。
【0074】
さらに、図示した例では、窒素ガス溶解装置51は循環ライン11に設けられているが、供給ライン14に設けられていてもよい。また、供給システム1が複数の洗浄装置20を有している場合には、洗浄装置20ごとに窒素ガス溶解装置51が設けられていてもよく、あるいは、いくつかの洗浄装置20に1つの窒素ガス溶解装置51が設けられていてもよい。すなわち、洗浄装置20ごとに溶存窒素濃度が異なる炭酸ガス溶解水を供給するようになっていてもよく、あるいは、いくつかの洗浄装置20に溶存窒素濃度が同じ炭酸ガス溶解水を供給するようになっていてもよい。
【0075】
供給システム1が複数の洗浄装置20を有し、洗浄装置20ごとに炭酸ガス濃度が異なる炭酸ガス溶解水を供給することが求められる場合には、炭酸ガス溶解装置3とイオン交換装置4は、供給ライン14に設けられていてもよい。
【0076】
なお、洗浄装置20の洗浄チャンバ21では、上述したヘンリーの法則に基づいて、炭酸ガス溶解水と洗浄チャンバ21との間で気体のやり取りが行われる。そのため、炭酸ガス溶解水が、酸素だけでなく窒素も取り込んでしまい、貯留タンク12内の炭酸ガス溶解水の溶存窒素濃度が、要求される溶存窒素濃度よりも高くなる可能性がある。また、貯留タンク12を窒素ガスでパージする場合、貯留タンク12内の炭酸ガス溶解水の溶存窒素濃度は、要求される溶存窒素濃度よりも高くなることがある。このような場合には、炭酸ガス溶解水中の溶存窒素を一旦低減(除去)した後に、炭酸ガス溶解水に窒素を溶解させる必要がある。
【0077】
しかしながら、上述した実施形態のように、水素ガス溶解装置31と触媒反応装置32とから構成された脱気装置30では、炭酸ガス溶解水中の溶存窒素を除去することができない。そこで、本実施形態のように、供給システム1が窒素ガス溶解装置51を有している場合、脱気装置30は、炭酸ガス溶解水中の溶存酸素だけでなく溶存窒素も除去可能な膜脱気装置であることが好ましい。このとき、窒素ガス溶解装置51は、脱気装置(膜脱気装置)30の下流側に設けられていることが好ましい。
【0078】
上述した実施形態では、洗浄装置として、炭酸ガス溶解水をリンス液として用いるものを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、洗浄液として用いるものであってもよい。