(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の防災機器にあっては、筐体裏面側に設けた設定穴に対する設定磁石部材の有無を筐体内に配置した磁気検出素子で検出して電気回路に対する各種の設定を行っているが、感知器裏面側に設けることのできる設定穴の数には限界があるため、電気回路に対し設定できるパラメータの数が制約される問題がある。
【0007】
例えば無線式の防水型感知器で使用している400MHz帯の特定小電力無線局標準規格では、使用可能なチャンネル周波数は48チャンネルあるが、その中の一部しか選択することができず、選択可能なチャンネル周波数が少ないという問題がある。
【0008】
本発明は、設定穴の数を増加することなく、電気回路に対するパラメータの設定数を増加可能として電気回路の動作を適切に設定可能とする防水型機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(設定磁石部材の磁極を入れ替える防水型機器)
本発明は、防水筐体の内部に電気回路を配置した防水型機器に於いて、
棒状の設定磁石部材と、
防水筐体の外部に開口し内部に位置する底部で閉鎖した盲穴を形成して設定磁石部材を挿入する設定穴と、
設定穴に対し設定磁石部材のN極とS極を入れ替えた挿入を可能にするように、設定磁石部材を防水筐体の外側で保持する保持部と、
防水筐体の内部で設定穴の底部に相対して配置し、保持部により設定穴に挿入して位置決めされた設定磁石部材の磁気の方向に応じた極性の磁気検出信号を出力する磁気検出部と、
磁気検出部から出力する磁気検出信号の極性とレベルに基づいて電気回路に対し異なる設定を行う設定制御部と、
を設けたことを特徴とする。
【0010】
(設定磁石部材の磁極の入れ替えと磁極間隔の変更する防水型機器)
本発明は、防水筐体の内部に電気回路を配置した防水型機器に於いて、
棒状の設定磁石部材と、
防水筐体の外部に開口し内部に位置する底部で閉鎖した盲穴を形成して設定磁石部材を挿入する設定穴と、
設定穴に対し設定磁石部材のN極とS極を入れ替えた挿入を可能にすると共に、設定穴に対し設定磁石部材が異なる所定の挿入深さとなるように、設定磁石部材を防水筐体の外側で保持する保持部と、
防水筐体の内部で設定穴の底部に相対して配置し、保持部により設定穴に挿入して位置決めされた設定磁石部材の磁気の方向に応じた極性と磁気の強さに応じたレベルの磁気検出信号を出力する磁気検出部と、
磁気検出部から出力する磁気検出信号の極性とレベルに基づいて電気回路に対し異なる設定を行う設定制御部と、
を設けたことを特徴とする。
【0011】
ここで、保持部は、設定穴に対し少なくとも2段階で異なる所定の挿入深さとなるように設定磁石部材を保持する。
【0012】
(複数の設定穴の磁気検出信号の組合せによる設定)
設定穴及び磁気検出部を複数設け、
設定制御部は、複数の設定穴に対し、挿入無しを含む設定磁石部材の挿入深さを変え及び又はN極とS極を入れ替えて挿入した場合の複数の磁気検出
部から出力する複数の磁気検出信号の極性とレベルの組合せに基づいて電気回路に対し異なる設定を行う。
【0013】
(磁極の色分け)
設定磁石部材は、N極側とS極側の何れか一方又は両方を所定の識別色とする。
【0014】
(保持
部の透明化)
保持
部の一部もしくは全部を透明として、N極側とS極側の識別色を確認可能する。
【発明の効果】
【0015】
(設定磁石部材の磁極を入れ替える防水型機器の効果)
本発明は、防水筐体の内部に電気回路を配置した防水型機器に於いて、棒状の設定磁石部材と、防水筐体の外部に開口し内部に位置する底部で閉鎖した盲穴を形成して設定磁石部材を挿入する設定穴と、設定穴に対し設定磁石部材のN極とS極を入れ替えた挿入を可能にするように、設定磁石部材を防水筐体の外側で保持する保持部と、防水筐体の内部で設定穴の底部に相対して配置し、保持部により設定穴に挿入して位置決めされた設定磁石部材の磁気の方向に応じた極性の磁気検出信号を出力する磁気検出部と、磁気検出部から出力する磁気検出信号の極性とレベルに基づいて電気回路に対し異なる設定を行う設定制御部とを設けるようにしたため、1つの設定穴に対し設定磁石部材を、N極から挿入するか又はS極から挿入するか、の2形態とすることで、この2形態を磁気検出部で検出して電気回路に対し2種の異なる設定を可能とし、例えば、設定穴の数をN個とすると、(2×N)となる数の設定を可能とし、設定数を増加可能とする。
【0016】
(設定磁石部材の磁極の入れ替えと磁極間隔の変更する防水型機器の効果)
また、本発明は、防水筐体の内部に電気回路を配置した防水型機器に於いて、棒状の設定磁石部材と、防水筐体の外部に開口し内部に位置する底部で閉鎖した盲穴を形成して設定磁石部材を挿入する設定穴と、設定穴に対し設定磁石部材のN極とS極を入れ替えた挿入を可能にすると共に、設定穴に対し設定磁石部材が異なる所定の挿入深さとなるように、設定磁石部材を防水筐体の外側で保持する保持部と、防水筐体の内部で設定穴の底部に相対して配置し、保持部により設定穴に挿入して位置決めされた設定磁石部材の磁気の方向に応じた極性と磁気の強さに応じたレベルの磁気検出信号を出力する磁気検出部と、磁気検出部から出力する磁気検出信号の極性とレベルに基づいて電気回路に対し異なる設定を行う設定制御部と設けるようにしたため、1つの設定穴に対する設定磁石部材の挿入位置を例えば2段階に異ならせた場合、N極から挿入するか又はS極から挿入するか、の2形態とすることで、これらの形態を磁気検出部で検出して電気回路に対し異なる設定を可能とし、例えば、設定穴の数をN個とすると、(2×2×N)となる数の設定を可能とし、設定数を大幅に増加可能とする。
【0017】
(複数の設定穴の磁気検出信号の組合せによる設定の効果)
また、設定穴及び磁気検出部を複数設け、設定制御部は、複数の設定穴に対し、挿入無しを含んで設定磁石部材の挿入深さを変え及び又はN極とS極を入れ替えて挿入した場合の複数の磁気検出
部から出力する複数の磁気検出信号の極性とレベルの組合せに基づいて電気回路に対し異なる設定を行うようにしたため、例えば設定穴の数をNとし、1乃至N個の設定磁石部材の挿入深さをM段階に変更する場合、設定穴1つで(2
M)の設定数が得られ、このため設定穴をN個とした場合には、(2
M)
Nの設定数が得られる。例えば設定穴数N=2、挿入段数M=2とすると、(2
2)
2=16の設定数が得られる。
【0018】
また、設定磁石部材の挿入無しを含む場合には、その分、設定数を増加でき、(N
M+1)
Nの設定数が得られる。例えば設定穴数N=2、挿入段数M=2とすると、(2
2+1)
2=25の設定数が得られる。
【0019】
(磁極の色分けによる効果)
また、設定磁石部材は、N極側とS極側の何れか一方又は両方を所定の識別色としたため、S極とN極を入れ替えて設定穴に挿入する場合の磁極の確認が簡単且つ確実に行うことを可能とする。
【0020】
(保持
部の透明化による効果)
また、保持
部の一部もしくは全部を透明として、N極側とS極側の識別色を確認可能としたため、設定穴に対し保持部材に保持した設定磁石部材のN極を挿入しているか、S極を挿入しているかの確認が容易にできることで、必要とする設定を正しく行うことを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[防水型感知器の概要]
図1は本発明による防水型機器として無線式の防水型感知器の実施形態を示した説明図であり、
図1(A)に正面図を示し、
図1(B)に下側から見た平面図を示している。また、
図2は防水型感知器を裏面側から示した斜視図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の防水型感知器10は、カバー12の下部に形成したカードカバー
部14の内部に、サーミスタなどを用いた温度検出部16を火災による熱気流が受けるように配置しており、カバー12の下側から見える2箇所の位置には発報表示灯として動作するLED15を設けている。
【0024】
図2に示すように、防水型感知器10はカバー12の天井面側に位置する裏面側の中央に矩形凹陥溝28を形成しており、矩形凹陥溝28の中に機器の動作状態やチャンネル周波数等のパラメータ設定する設定穴30、32,34を並べて形成している。設定穴30、32,34は外部に開口すると共に、内部に位置する底部で閉鎖した盲穴であり、防水筐体の内部に対し分離した穴としている。
【0025】
設定穴30、32,34に対しては、設定部材35Aを選択的に挿入し、設定部材35Aの挿入に応じて防水筐体に収納した電気回路の設定を行うことができる。設定部材35Aは、本実施形態にあっては細い棒状の設定磁石部材36を備えており、設定磁石部材36の上部側にゴム製の保持部38aを嵌め入れ、例えば図示のように、設定穴30に対し保持部38aを持って設定磁石部材36を挿入し、これに基づき筐体内部の電気回路に動作に関する設定が行われる。
【0026】
また、設定磁石部材36は保持部38aに対し上下を入れ替えるように差し替え可能であり、設定穴30、32,34に対し設定磁石部材36のN極側を挿入するか、S極側を挿入するかを選択できるようにしている。
【0027】
[防水型感知器の内部構造]
図3は本実施形態の防水型感知器の内部構造を示した断面図である。
図3に示すように、防水型感知器10はカバー12の内部に防水筐体本体18を収納し、防水筐体本体18の上部にはシールリング22を介して防水筐体カバー20を固定し、内部に密閉空間を形成している。この防水筐体本体18と防水筐体カバー20でなる防水筐体の内部には回路基板24を組み込んでいる。
【0028】
防水筐体カバー20の上部、即ち防水型感知器10の裏面側には、
図2に示した矩形凹陥溝28を形成しており、矩形凹陥溝28に対し3箇所に分けて、設定穴30、32,34を設けている。設定穴30、32,34は盲穴として形成しており、閉鎖した底部に相対した回路基板24上にそれぞれ磁気検出素子25、磁気検出素子26及び磁気検出素子27を磁気検出部として配置している。また、設定磁石部材36を保持した保持部38aは紐部材40により防水筐体カバー20側に結び付けられて、脱落を防止している。
【0029】
[設定磁石部材による設定構造]
(設定部材)
図4は設定部材を取り出して示した断面図であり、
図4(A)はN極側を挿入する場合を示し、
図4(B)はS極側を挿入する場合を示している。
【0030】
図4に示すように、設定部材35Aは、設定磁石部材36と保持部38aで構成する。設定磁石部材36は細い棒状の磁石であり、上部を保持部38aにより保持している。保持部38aは、ゴム材料で作られた弾性部材であり、保持穴39を図示で下側に開口して形成しており、下側を小径に段下げした嵌合部42を形成し、保持穴39には設定磁石部材36の一端を挿入して保持している。また、保持穴39に対してエア抜き穴48を設けており、設定磁石部材36を嵌め入れる場合に空気を抜いて確実に保持可能としている。
【0031】
また保持部38aの左側には鍔部
45を形成し、そこに通し穴46を設け、
図3に示したように、紐部材40を通して脱落による紛失を防止する。
【0032】
また、設定磁石部材36は一端をN極とし、他端をS極としており、N極とS極を区別するため、半分となるN極側36aを例えば赤色に着色し、残りのS極側36bを例えば青色に着色して識別しており、この識別色を見ることで、保持部38aに挿入する設定磁石部材36の向きを、
図4(A)とするか、
図4(B)とするかを、簡単且つ容易に区別して保持部38aに装着可能としている。
【0033】
(設定構造)
図5は設定穴に対し設定磁極部材のN極とS極を入れ替えて挿入する設定構造を示した断面図であり、
図5(A)に設定磁石部材のN極側を挿入した場合を示し、
図5(B)に設定磁石部材のS極側を挿入した場合を示している。
【0034】
図5(A)に示すように、防水筐体カバー20の上部となる防水型感知器10の裏面側に設けた設定穴30は盲穴として形成しており、閉鎖した底部に相対した回路基板24上に磁気検出素子25を磁気検出部として配置している。
【0035】
磁気検出素子25はホール素子を使用する。ホール素子は等価的に抵抗ブリッジ回路で表すことができ、磁気を近付けると抵抗ブリッジ回路の平衡が崩れ、磁気の強さに応じた磁気検出信号を出力する。またホールセンサには、S極またはN極のみを検出する単極検出型と、S極またはN極の両方を検出する両極検出型があるが、本実施形態にあっては両極検出型を使用している。
【0036】
図5(A)にあっては、設定磁石部材36のS極側36bを保持部38aに嵌め入れて保持し、N極側36aを設定穴30に挿入し、保持部38aの嵌合部42を段付穴31に嵌合することで、設定磁石部材36のN極側36aの先端が設定穴30の底部に当るように位置決めている。
【0037】
防水筐体カバー20内に配置した回路基板24の設定穴30の底部に相対した位置に設けた磁気検出素子25は、S極またはN極の両方を検出する両極検出型のホース素子を使用しており、設定磁石部材36のN極側36aの先端から磁気検出素子25を通る磁力線50による磁気の方向と距離L1に応じ、例えばプラス極性の磁気検出信号を出力する。
【0038】
図5(B)にあっては、
図5(A)とは逆に、設定磁石部材36のN極側36aを保持部38aに嵌め入れて保持し、S極側36bを設定穴30に挿入し、設定磁石部材36のS極側36bの先端が設定穴30の底部に当る位置に挿入して位置決めしている。
【0039】
この場合、回路基板24の設定穴30の底部に相対した位置に設けた磁気検出素子25は、設定磁石部材36のS極側
36bに向かう逆向きの磁力線50が通り、磁気検出素子25は、磁気の方向と距離L1に応じ、例えばマイナス極性の磁気検出信号を出力する。
【0040】
このような設定構造は、
図2及び
図3に示した設定穴32,34も同様となる。
【0041】
(保持
部の透明化)
ここで、保持
部38aについては、その一部もしくは全部を透明として、N極側とS極側の識別色を確認可能としても良い。
図6は保持部材の一部を透明化した実施形態であり、設定磁石部材36を挿入する保持穴39の上部にエア抜き穴48を備えた透明プラスチック部材49を嵌め入れている。このため、外部から透明プラスチック部材49を介して挿入している設定磁石部材36のS極側36bに着色した青色を確認することができ、このことから設定磁石部材36は反対側のN極側36aを設定穴に挿入していることが分かり、設定内容に応じた正しい向きに設定磁石部材36を挿入しているか否かが判別できる。
【0042】
また、他の実施形態として、保持部38aを透明ゴム等により作ることで、保持部38a全体を透明化するようにしても良い。
【0043】
[防水型感知器の機能構成]
図7は設定部材の挿入に応じてパラメータを設定する防水型感知器の機能構成の実施形態を示したブロック図である。
【0044】
図7に示すように、防水型感知器10は、制御部60、アンテナ64を接続した通信部62、センサ部66、表示部68、設定部材検出部70及び電池電源72を備える。
【0045】
制御部60は、ハードウェアとして、CPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたマイクロプロセッサユニット(MPU)等で構成する。また、制御部60は、CPUによるプログラムの実行により制御機能を実現する。
【0046】
通信部62は送信回路を備えており、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従った無線通信を行う。通信部
62のチャンネル周波数は、400MHz帯の特定小電力無線局標準規格で使用可能な48チャンネル周波数の内、本実施形態にあっては、4つのチャンネル周波数f1,f2,f3,f4を選択的に使用する。この周波数チャンネルを、以下の説明にあってはチャンネルA、チャンネルB、チャンネルC及びチャンネルDとして説明する。
【0047】
通信部62は、火災などのイベントを検出したときに、制御部60の指示に基づき、所定の電文フォーマットからなる電文信号(以下、「電文」という)を送信する。電文フォーマットは位相修正信号、送信元ID、電文内容及びエラーチェックコードで構成され、受信側では送信元IDを見て登録されているノードIDに一致するかどうか判断してから電文内容の意味を判断して処理する。
【0048】
センサ部66は例えばサーミスタなどの温度検出部を備え、温度検出信号を制御部60に出力する。表示部68は発報表示灯として機能するLEDを備え、LEDは発報表示以外に、通信部62からの試験通信などの際にも表示駆動される。
【0049】
設定部材検出部70には、磁気検出素子25,26,27を設けている。磁気検出素子25,26,27は、S極またはN極の両方を検出する両極検出型のホールセンサであり、磁気の方向と強さに応じて正負の極性をもつ磁気検出信号を出力する。
【0050】
図8は磁気検出素子と設定磁石部材の距離に対する磁気検出素子から出力される磁気検出信号の関係を示した特性グラフ図である。なお、以下の説明では、磁気検出信号の大小関係については、信号極性の如何に関わらず、レベル0から離れる場合を増加とし、レベル0に近づく場合を減少としている。
【0051】
図8に示すように、プラス側の特性74は磁気検出素子で設定磁石部材のN極を検出した場合であり、両者の距離Lが短い場合には磁気検出信号は所定の飽和レベル+Vを保っており、距離Lが増加すると飽和レベル+Vを下回り、距離Lの増加に応じて減少する。
【0052】
また、マイナス側の特性76は磁気検出素子で設定磁石部材のS極を検出した場合であり、両者の距離Lが短い場合には磁気検出信号は所定の飽和レベル−Vを保っており、距離Lが増加すると飽和レベル−Vを下回り、距離Lの増加に応じて減少する。
【0053】
再び
図6を参照するに、制御部60は、設定部材検出部70に設けた磁気検出素子25,26,27からの磁気検出信号に基づき、制御部60を構成するプロセッサのスリープモード、ウェイクアップモード、及び通信部62におけるチャンネルA〜Dを選択して設定する制御を行う。
【0054】
図9は、制御部60が磁気検出素子25,26,27からの磁気検出信号に基づき設定するパラメータを一覧で示した説明図であり、
図9(A)は設定部材を1つ使用する場合を示し、
図9(B)は2つの設定穴に対し2つの設定部材を使用する場合を示している。
【0055】
(スリープモードとウェークアップモードの設定)
本実施形態の防水型感知器10は、工場出荷段階で、
図5(A)に示したように、設定穴30にN極を磁気検出素子25に相対するように設定部材35Aを挿入しており、磁気検出素子25は、
図8の特性74に示すように、距離L1の飽和レベル+Vとなる磁気検出信号を出力している。
【0056】
制御部
60は、このように磁気検出素子25から出力される磁気検出信号+Vを読み込み、予め設定した閾値TH以上であることを判別してプロセッサを非動作状態とするスリープモードに設定している。
【0057】
防水型感知器10を現場で設置する場合には、設定部材35Aを設定穴30から抜き出し、
図4(B)に示すように、設定磁石部材36を保持部38aから外してS極側36bが先端となるように差し替え、この設定部材35Aを
図5(B)に示すように、設定穴30に挿入する。
【0058】
これにより磁気検出素子25は、
図7の特性76に示すように、距離L1で飽和レベル−Vとなる磁気検出信号を出力する。制御部60は、磁気検出素子25から出力される磁気検出信号−Vを読み込み、予め設定した閾値−TH以上であることを判別してプロセッサにウェークアップモードを設定して動作状態とする。
【0059】
(チャンネル設定)
通信部62に対するチャンネルA〜Dの選択設定は、設定穴32と設定穴34を使用して行う。例えばチャンネルAを選択する場合には、
図5(A)に示したと同様に、設定穴32に設定磁石部材36のN極が磁気検出素子26に相対するように設定部材35Aを挿入する。
【0060】
磁気検出素子25は、
図8の特性74に示すように、距離L1では飽和レベル+Vの磁気検出信号を出力しており、制御部60は、磁気検出素子26からの磁気検出信号+Vを読み込み、予め設定した閾値+TH以上であることを判別し、チャンネルAを選択して通信部62に設定する制御を行う。
【0061】
また、チャンネルBを選択する場合には、
図5(B)に示したと同様に、設定穴32に設定磁石部材36のS極が磁気検出素子26に相対するように設定部材35Aを挿入すると、磁気検出素子26は、
図7の特性76に示すように、距離L1では飽和レベル−Vとなる磁気検出信号を出力し、制御部60は、磁気検出素子26からの磁気検出信号−Vを読み込み、予め設定した閾値−TH以上であることを判別し、チャンネルBを選択して通信部62に設定する制御を行う。
【0062】
また、チャンネルCを選択する場合には、
図5(A)に示したと同様に、設定穴34に設定磁石部材36のN極を磁気検出素子27に相対するように設定部材35Aを挿入すると、磁気検出素子27は、
図8の特性74に示すように、距離L1では飽和レベル+Vとなる磁気検出信号を出力し、制御部60は、磁気検出素子27からの磁気検出信号+Vを読み込み、予め設定した閾値TH以上であることを判別し、チャンネルCを選択して通信部62に設定する制御を行う。
【0063】
更に、チャンネルDを選択する場合には、
図5(B)に示したと同様に、設定穴34に設定磁石部材36のS極を磁気検出素子27に相対するように設定部材35Aを挿入すると、磁気検出素子27は、
図8の特性76に示すように、距離L1では飽和レベル−Vとなる磁気検出信号を出力し、制御部60は、磁気検出素子27からの磁気検出信号−Vを読み込み、予め設定した閾値−TH以上であることを判別し、チャンネルDを選択して通信部62に設定する制御を行う。以上をまとめると
図9(A)の一覧に示すようになる。
【0064】
このように本実施形態では、3つの設定穴に選択的に設定部材を挿入して磁気を検出することで、同じパラメータであれば、6つのパラメータの中の何れか1つを選択して設定することを可能とする。
【0065】
(2つの設定穴に2つの設定部材を挿入)
図9(B)は、設定部材35Aを2つ準備して第2設定穴32と第3設定穴34に選択的に挿入した場合の第2磁気検出素子26と第3磁気検出素子27による磁気検出の組合せを、相対する磁極N,Sにより示したチャンネル設定の一覧である。
【0066】
図9(B)に示すように、第1磁気検出素子25と第2磁気検出素子26による磁気検出は、挿入無し、N極検出、S極検出の3つとなり、挿入無しの組合せを除く8通りの組合せとなり、これによりチャンネルA〜Hの8チャンネルを設定することができる。
【0067】
これを一般化して表すと次のようになる。まず、設定磁石部材36を挿入する設定穴の数をNとし、設定磁石部材36の挿入深さをM段階に変更する場合、設定穴1つで2
Mの設定数が得られ、このため設定穴をN個とした場合には、
設定数
=(N
M)
N (式1)
が得られる。
【0068】
ここで、設定穴数NをN=2とし、設定磁石部材36の挿入深さは変化しないことから挿入段数MはM=1とすると、
設定数=(2
1)
2=4
となり、4チャンネルを設定できる。
【0069】
また、
図9(B)の場合は、設定磁石部材の挿入無しを含んでおり、この場合には、その分だけ設定数が増加し、
設定数=(N
M+1)
N (式2)
が得られる。
【0070】
図9(B)の場合は、設定穴数NはN=2、挿入段数MはM=1であることから、
設定数=(2
1+1)
2=9
となり、チャンネルA〜Iの9チャンネルを設定できる。
【0071】
[距離を変更可能な設定磁石部材による設定構造]
本発明の他の実施形態にあっては、設定穴に対し設定磁石部材のN極とS極を入れ替えた挿入を可能にすると共に、設定穴に対し設定磁石部材が異なる所定の挿入深さとなるようにして、設定数を更に増加可能とする。
【0072】
(設定部材)
図10は設定穴に対する挿入深さを短くする第2設定部材を取り出して示した断面図であり、
図10(A)はN極側を挿入する場合を示し、
図10(B)はS極側を挿入する場合を示している。
【0073】
図10に示すように、第2設定部材35Bは、設定磁石部材36と保持部38bで構成する。設定磁石部材36は細い棒状の磁石であり、上部を保持部38bにより保持している。
【0074】
第2設定部材35Bの保持部38bに設けた保持穴39は、
図4に示した設定部材35Aの保持部38aに設けた保持穴39より長くしており、このため設定磁石部材36を挿入保持した場合の飛び出し長さを短くするようにしている。
【0075】
保持部38bは、ゴム材料で作られた弾性部材であり、保持穴39を図示で下側に開口して形成しており、下側を小径に段下げした嵌合部42を形成し、保持穴39には設定磁石部材36の一端を挿入して保持している。また、保持穴39に対してエア抜き穴48を設けており、設定磁石部材36を嵌め入れる場合に空気を抜いて確実に保持可能としている。
【0076】
また、保持部38bの左側には鍔部
45を形成し、そこに通し穴46を設け、
図3に示したように、紐部材40を通して脱落による紛失を防止する。
【0077】
また、設定磁石部材36は一端をN極とし、他端をS極としており、N極とS極を区別するため、半分となるN極側36aを例えば赤色に着色し、残りのS極側36bを例えば青色に着色して識別しており、この識別色を見ることで、保持部38aに挿入する設定磁石部材36の向きを、
図10(A)とするか、
図10(B)とするかを、簡単且つ容易に区別して保持部38bに着脱可能としている。
【0078】
本実施形態にあっては、
図10の第2設定部材35Bに加え、
図4に示した設定部材35Aを組み合わせて使用する。
【0079】
(設定構造)
図11は設定穴に対し
図10に示した第2設定部材に設けた設定磁極部材のN極とS極を入れ替えて挿入する設定構造を示した断面図であり、
図11(A)に設定磁石部材のN極側を挿入した場合を示し、
図11(B)に設定磁石部材のS極側を挿入した場合を示している。
【0080】
図11(A)にあっては、第2設定部材35Bにおける設定磁石部材36のS極側36bを保持部38bに嵌め入れて保持し、N極側36aを第1設定穴30に挿入し、保持部38bの嵌合部42を段付穴31に嵌合することで、設定磁石部材36のN極側36aの先端が設定穴30の底部から浮いた所定位置となるように位置決めしており、第1磁気検出素子25との距離は、
図5に示した所定の距離L1に対し、所定の距離L2に増加している。
【0081】
この場合、回路基板24の設定穴30の底部に相対して設けた磁気検出素子25は、設定磁石部材36のN極側36aからの磁力線50が通り、磁気検出素子25は、磁気の方向と距離L2に応じ、プラス極性の磁気検出信号を出力する。
【0082】
図11(B)にあっては、
図11(A)とは逆に、設定磁石部材36のN極側36aを保持部38bに嵌め入れて保持し、S極側36bを第1設定穴30に挿入し、保持部38bの嵌合部42を段付穴31に嵌合することで、保持部38bの段付穴31への嵌め込みで、設定磁石部材36のS極側36bの底部から浮いた所定の位置となるように位置決めしており、磁気検出素子25との距離は、
図5に示した距離L1に対し、距離L2に増加している。
【0083】
この場合、回路基板24の設定穴30の底部に相対した位置に設けた磁気検出素子25は、設定磁石部材36のS極側
36bに向かう逆向きの磁力線50が通り、磁気検出素子25は、磁気の方向と距離L2に応じ、マイナス極性の磁気検出信号を出力する。
【0084】
このような設定構造は、
図2及び
図3に示した設定穴32,34も同様となる。また、
図10の設定部材35Bにおける保持部38bについても、
図6の場合と同様に、その一部又は全ての透明として設定磁石部材36のN極部36aとS極部36bの着色を外部から確認できるようにしても良い。
【0085】
(防水型感知器の機能構成)
図4に示した設定部材35Aと
図11に示した第2設定部材35Bを使用する防災型感知器の機能構成は、
図7の実施形態と同じであり、磁気検出素子25,26,27からの磁気検出信号に基づき制御部60で設定可能なパラメータ数が増加した点で相違する。
【0086】
図12は磁気検出素子から出力される磁気検出信号の関係を示した
図8と同じ特性グラフ図あり、距離をL1,L2に変化させた場合の磁気検出信号のレベルの判別する閾値を示している。
【0087】
図12に示すように、
図5に示した距離L1の場合は、プラス側の特性74及びマイナス側の特性76にいずれも磁気検出信号は飽和レベル+V1,−V1にあり、また、距離L2に増加した場合は、それより低い信号レベル+V2,−V2となっている。
【0088】
そこで、距離L1に対応した信号レベル+V1,−V1と距離L2に対応した信号レベル+V2,−V2の間に所定の閾値+TH,−THを設定すると共に、距離L2に対応した信号レベル+V2,−V2より低い所定の閾値+TH2,−TH2を設定することで、距離をL1,L2に変化させた場合の磁気検出信号のレベルの判別可能とする。
【0089】
図13は、制御部60が第1乃至第3磁気検出素子25,26,27からの磁気検出信号に基づき設定するパラメータ設定を一覧で示した説明図である。なお、
図13は、チャンネル設定に使用する2つの設定穴に対しては、1つの設定部材を選択的に挿入する場合を例にとっている。
【0090】
(スリープモードとウェイクアップモードの設定)
本実施形態の防水型感知器10におけるスリープモードとウェークアップモードの切替え設定は、
図7の実施形態の場合と同様、
図5(A)に示す設定部材35AのN極を向けた第1設定穴30への挿入による第1磁気検出素子25からの磁気検出信号を判別してスリープモードを設定しており、
図5(B)に示す設定部材35AのS極を向けた第1設定穴30への挿入による第1磁気検出素子25からの磁気検出信号を判別してウェークアップモードを設定する。
【0091】
(チャンネル設定)
制御部60は、通信部62に対しては
図13の一覧に示すように、チャンネルA〜Hとなる8チャンネルの中の1つを選択して設定可能とする。通信部62に対するチャンネルA〜Hの選択設定は、設定穴32,34を使用して行う。
【0092】
まずチャンネルAを選択する場合には、
図5(A)に示した同様に、設定穴32にN極を磁気検出素子26に相対するように設定部材35Aを挿入する。磁気検出素子25は、
図12の特性74に示すように、距離L1では飽和レベル+V1となる磁気検出信号を出力し、制御部
60は、第2磁気検出素子26からの磁気検出信号+V1を読み込み、閾値+TH1以上であることを判別し、チャンネルAを選択して通信部62に設定する制御を行う。
【0093】
また、チャンネルBを選択する場合には、
図11(A)に示した同様に、設定部材35BのN極側を設定穴32に挿入すると、この場合、第2磁気検出素子26との距離はL2と長くなり、第2磁気検出素子26は、
図12の特性74に示すように、距離L2では飽和レベル+V1より低い信号レベル+V2となり、制御部
60は、第2磁気検出素子26からの磁気検出信号+V2を読み込み、閾値+TH1未満で閾値+TH2以上であることを判別し、チャンネルBを選択して通信部62に設定する制御を行う。
【0094】
また、チャンネルCを選択する場合には、
図5(B)に示した同様に、設定穴32にS極を磁気検出素子26に相対するように設定部材35Aを挿入する。磁気検出素子25は、
図12の特性76に示すように、距離L1では飽和レベル−V1となる磁気検出信号を出力し、制御部
60は、磁気検出素子26から出力される磁気検出信号−V1を読み込み、閾値−TH1以上であることを判別し、チャンネルCを選択して通信部62に設定する制御を行う。
【0095】
また、チャンネルDを選択する場合には、
図11(B)に示した同様に、設定部材35BのS極側を第2設定穴32に挿入すると、この場合、磁気検出素子26との距離はL2と長くなり、磁気検出素子26は、
図12の特性76に示すように、距離L2では飽和レベル−Vより低い信号レベル−V2となり、制御部
60は、磁気検出素子26からの磁気検出信号−V2を読み込み、閾値−TH1未満で閾値−TH2以上であることを判別し、チャンネルDを選択して通信部62に設定する制御を行う。
【0096】
また、チャンネルE〜Hの選択については、設定穴34に対する設定部材35Aと第2設定部材35Bの選択的な挿入により、設定穴32の場合と同様にして、チャンネルE〜Hの選択による設定が可能となる。
【0097】
このように本実施形態では、3つの設定穴に選択的に磁気検出素子との距離が2段階に異なる設定部材を挿入して磁気を検出することで、同じパラメータであれば、12個のパラメータの中の何れか1つを選択して設定することを可能とする。
【0098】
(2つの設定穴に2つの設定部材を挿入)
図14は、設定部材35A,35Bを2つずつ準備して第2設定穴32と第3設定穴34に選択的に挿入した場合の第2磁気検出素子26と第3磁気検出素子27による磁気検出の組合せを、相対する磁極N,Sにより示したチャンネル設定の一覧であり、
図14(A)は第2設定穴32と第3設定穴34の両方に設定部材を挿入する場合を示し、
図14(B)は設定部材の挿入無しを含む場合を示している。
【0099】
図14(A)に示すように、第2磁気検出素子26による磁気検出は、N極検出、S極検出、挿入深さL1,挿入深さL2の組合せに(L1,N)、(L1,S)、(L2,N)、(L2,S)の5つとなり、また、第3磁気検出素子27による磁気検出も、N極検出、S極検出、挿入深さL1,挿入深さL2の組合せに(L1,N)、(L1,S)、(L2,N)、(L2,S)の4つとなり、設定数は4×4=16となり、チャンネルA〜Pの16チャンネルが設定できる。
【0100】
この場合の設定数は、前記(式1)で与えられ、N=2、M=2であることから
設定数=(2
2)
2=16
となり、チャンネルA〜Pの16チャンネルを設定できる。
【0101】
また、
図14(B)の挿入無しを含む場合には、前記(式2)で与えられ、N=2、M=2であることから、
設定数=(2
2+1)
2=25
となり、チャンネルA〜Yの25チャンネルを設定できる。
【0102】
[挿入深さを2段階に設定可能な設定部材]
図15は設定穴に対する挿入深さを2段階に設定する設定部材の実施形態を示した断面図であり、
図15(A)は設定磁石部材の挿入深さを長くする場合を示し、
図15(B)は設定磁石部材の挿入深さを短くする場合を示している。
【0103】
図15に示すように、本実施形態の設定部材35Cは、保持部38cとして、
図4の設定部材35Aの保持部38aと、
図11の設定部材35Bの保持部38bとを一体化したことを特徴し、1つの保持部38cに、図示で上下逆向きに、保持長の短い嵌合穴39aを形成した段付部31aと、保持長の長い嵌合案39bを形成した段付部31bを設け、嵌合穴39a,39bの底部にはエア抜き穴48を設けている。また、保持部38cには鍔部45を設け、そこに通し穴46を形成して脱落防止用の紐部材を通すようにしている。
【0104】
このような設定部材35Cによれば、例えば
図5(A)と同様に、磁気検出素子25との距離をL1と短くしたい場合は、
図15(A)に示すように、保持長の短い嵌合穴39aに設定磁石部材36を嵌合して保持し、一方、
図11(A)と同様に、磁気検出素子25との距離をL2と長くしたい場合は、
図15(B)に示すように、保持長の長い嵌合穴39bに設定磁石部材36を嵌合して保持すれば良い。また、設定磁石部材36の磁極の方向は、必要に応じて磁気検出素子にS極側が相対するように、設定磁石部材36の磁極を入れ替えて保持部38cに保持すれば良い。
【0105】
このように設定穴に対する設定磁石部材36の挿入深さを2段階に設定する単一の保持部38cによる設定部材35Cとしたことで、挿入深さの異なる2種類の保持部を必要とする場合に比べ、取扱いを容易にし、コストも低減できる。
【0106】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は無線式の防水型感知器を例に取るものであったが、外部からの設定部材の操作で内部の電気回路を非接触に各種の設定を行う防水型機器につき、そのまま適用することができる。
【0107】
また、上記の実施形態にあっては防水型機器の電気回路の動作状態の設定として、プロセッサのスリープモードとウェイクアップモードの切替え、電気回路に対する電源のオンオフ切替えを例にとっているが、これ以外に、例えばプロセッサにあっては省電力モードと通常動作モードの切替えなど適宜の動作モードの切替えに適用することができる。
【0108】
また上記の実施形態にあっては、設定部材を防水筐体に設けた3つの設定穴のいずれかに挿入して防水型感知器の各種設定を行う場合を例にとっているが、設定穴の数は設定内容に応じて必要な数を設けることができる。
【0109】
また、上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を示したもので、処理の順番などはこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入するなどができる。
【0110】
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。