(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子部品を、パッケージ本体の周面の二方向あるいは四方向から複数本のリードが突出する厚さ3mm以下の半導体パッケージとした請求項1記載の電子部品用キャリアテープ。
【背景技術】
【0002】
従来における電子部品用キャリアテープは、
図16に部分的に示すように、巻取りリールに巻回される可撓性のシート2と、このシート2に並設される電子部品10用の収納エンボス20Aとを備え、製造メーカで製造された後、製造メーカから部品メーカに輸送されたり、あるいは部品メーカからアッセンブリメーカに輸送される。
【0003】
シート2は、
図16に部分的に示すように、長尺に形成されてその長手方向に複数の収納エンボス20Aが一定の間隔で並設され、表面には、電子部品10を封止するカバーテープが後から貼着される。各収納エンボス20Aは、同図に示すように、所定の深さのポケット形に形成され、開口21Aから電子部品10を収納する。この収納エンボス20Aの底部33Aは、例えば中央が電子部品10を搭載する平面矩形の台座として上げ底に形成され、少なくとも中央以外の周縁が巻取りリールにシート2が巻回される際、巻取りリールの周面に接触する。
【0004】
このような電子部品用キャリアテープを製造メーカが製造する場合には、先ず、用意した長尺のシート2を予熱して金型にセットし、この金型によりシート2に複数の収納エンボス20Aを一定の間隔で成形した後、シート2を巻取りリールに巻き取れば、電子部品用キャリアテープを製造することができる。
なお、巻取りリールに電子部品用キャリアテープを巻回すると、電子部品用キャリアテープに巻き癖が付き、シート2や収納エンボス20Aが円弧形に湾曲変形し、収納エンボス20Aの最も変形しやすい中央部付近が開口21A方向に膨出することがある。
【0005】
次に、製造された電子部品用キャリアテープに電子部品10を部品メーカが収納する場合には、先ず、巻取りリールに巻回された電子部品用キャリアテープを繰り出し、シート2の複数の収納エンボス20Aに電子部品10を順次収納し、シート2の表面にカバーテープを加熱融着した後、巻取りリールに所定の長さの電子部品用キャリアテープを巻き取れば、電子部品用キャリアテープに電子部品10を収納することができる。
【0006】
なお、巻取りリールに電子部品用キャリアテープを巻き始める際、収納エンボス20Aは、巻取りリールの周面に沿って円弧形に湾曲変形し、最も変形しやすい中央部付近が開口21A方向に膨出する。また、電子部品用キャリアテープを巻き取る際、応力が発生して収納エンボス20Aに作用するので、収納エンボス20Aが変形し、この収納エンボス20Aに収納された電子部品10が移動して位置ずれすることがある。また、電子部品用キャリアテープをハンドリングする際、衝撃や振動により、収納エンボス20Aに収納された電子部品10が移動して位置ずれすることもある。
【0007】
次に、電子部品用キャリアテープに収納された電子部品10をアッセンブリメーカが回路基板に実装する場合には、表面実装機等の自動組立装置に電子部品用キャリアテープを巻取りリール毎セットし、この巻取りリールに巻回された電子部品用キャリアテープを繰り出し、シート2の表面からカバーテープを徐々に剥離し、その後、シート2の収納エンボス20Aから電子部品10を吸着して取り出せば、回路基板に電子部品10をハンダにより表面実装することができる。
【0008】
なお、電子部品用キャリアテープを部品メーカからアッセンブリメーカに輸送したり、ハンドリングする際、衝撃や振動により、収納エンボス20A内の電子部品10が移動して位置ずれすることがある。
【0009】
ところで、電子部品10が半導体部品の場合、具体的には、樹脂モールド製のパッケージ本体12の周面二方向から複数本のリード13が並んで突出するSOP(Small Outline Package)タイプの半導体パッケージ11、あるいはパッケージ本体12の周面四方向から複数本のリード13が並んで突出するQFP(Quad Flat Package)タイプの半導体パッケージ11の場合、収納エンボス20Aに収納された半導体パッケージ11が移動して位置ずれすると、収納エンボス20Aの周壁22Aや底部33Aに半導体パッケージ11のリード13が接触し、その結果、リード13が変形するという問題が生じる(
図16参照)。
【0010】
係る問題に対処するため、従来においては、
図17に示すように、シート2の収納エンボス20Aに、一定の高さで半導体パッケージ11の外側に位置する位置規制リブ40Aを形成し、この位置規制リブ40Aを半導体パッケージ11のリード13に跨がせてその内側下方に位置させることにより、収納エンボス20Aの周壁22Aや底部33Aに半導体パッケージ11のリード13が接触するのを防ぐ方法が提案されている(特許文献1参照)。また、収納エンボス20Aの底部33Aから位置規制リブ40Aを突出させる方法も提案されている(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1、2の方法は、所定の効果が期待できるものの、近年の半導体パッケージ11の構造の変化に必ずしも対応することができず、リード13の変形を招くおそれが考えられる。この点について詳しく説明すると、近年の半導体パッケージ11は、薄型化や小型化の観点から、パッケージ本体12の面積に対して薄く、3mm以下、好ましくは2mm以下の厚さに構成されることがあり、しかも、リード13が高密度実装の観点から細くなって来ている。
【0013】
このような薄型の半導体パッケージ11は、収納エンボス20Aに一定の高さの位置規制リブ40Aが単に形成されるだけでは、電子部品用キャリアテープの製造時に巻き癖が付いて収納エンボス20Aが変形したり、電子部品用キャリアテープの巻き取り時、ハンドリング時、輸送時に収納エンボス20Aが変形すると、位置規制リブ40Aにリード13が乗り上げたり、収納エンボス20Aの周壁22Aにリード13が接触して変形する事態が予想される(
図17、
図18参照)。
【0014】
また、収納エンボス20Aが湾曲変形すると、収納エンボス20Aの中央部付近が最も変形するので、収納エンボス20Aの中央部付近に位置する位置規制リブ40Aが底部33A側から開口21A方向に大きく膨らんで半導体パッケージ11のリード13を下方から押し上げ、リード13が大きく変形する事態が予想される(
図18、
図19参照)。リード13は、外方向や上下方向に変形させる力が作用すると、特に変形しやすいからである。
【0015】
リード13が大きく変形すると、回路基板に半導体パッケージ11を実装する際、変形したリード13と隣接する他のリード13とが接触してショートしたり、ハンダによる半導体パッケージ11の接続に支障を来したりすることとなる。
【0016】
本発明は上記に鑑みなされたもので、例え電子部品が薄型でも、収納エンボスに収納された電子部品が損傷するのを防ぐことのできる電子部品用キャリアテープ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明においては上記課題を解決するため、長尺のシートに、電子部品を収納する収納エンボスを設けたテープであって、
収納エンボスは、シートに設けられる開口と、この開口の周縁部からシートの裏面方向に伸びる周壁と、この周壁からシートの開口の中心部方向に設けられ、シートの開口方向に起立した短い対向壁部が周壁の内面に部分的に対向する折り返し底板と、この折り返し底板からシートの開口の中心部方向に設けられ、シートの開口と折り返し底板の底板部との間に位置して電子部品を搭載する
平面枠形の搭載板と、この搭載板に支持されて電子部品に対向する底板とを含み、
折り返し底板の対向壁部と搭載板との間に、少なくとも電子部品の一部に対向する電子部品用の位置規制突起を
平面枠形に形成し、
搭載板の四隅部付近のうち、少なくとも二隅部付近における位置規制突起の高さを、他の箇所の位置規制突起よりも高くし、搭載板を形成する複数の区画辺のうち、少なくともシートの長手方向に伸びる区画辺の中央部付近における位置規制突起の高さを低くしたことを特徴としている。
【0018】
なお、シートの長手方向に複数の収納エンボスを所定の間隔で並べ設け、このシートの表面に、電子部品を覆うカバーテープを着脱自在に貼り着けることができる。
また、シートに導電性を付与し、このシートの長手方向における両側部のうち、少なくとも一側部に複数の送り孔を所定の間隔で穿孔することができる。
また、電子部品を、パッケージ本体の周面の二方向あるいは四方向から複数本のリードが突出する厚さ3mm以下の半導体パッケージとすることもできる。
【0019】
また、折り返し底板を断面略L字形に屈曲形成してその起立した短い対向壁部の上端部と搭載板の外周縁部との間に位置規制突起を介在し、搭載板の内周縁部に、電子部品との間に僅かな隙間を区画する断面略皿形の底板を支持させ、この底板の底部に貫通底孔を設けることが可能である。
【0020】
また、搭載板の四隅部付近における位置規制突起の高さを最も高くし、搭載板を形成する複数の区画辺のうち、少なくともシートの長手方向に伸びる区画辺の中央部付近における位置規制突起の高さを最も低くすることが可能である。
また、収納エンボスの位置規制突起を、搭載板の隅部付近から区画辺の中央部付近に向けて徐々に低くしても良い。
【0021】
また、位置規制突起の最大高さと最小高さとの差を、
シート厚みの1/3<位置規制突起の最大高さと最小高さとの差<位置規制突起の高さ
に基づいて設定することが好ましい。
【0022】
また、本発明においては上記課題を解決するため、
請求項1ないし5のいずれかに記載した電子部品用キャリアテープの製造方法であって、
長尺のシートを上流側から一定の長さで順次繰り出し、このシートの一定の長さ部分を加熱して金型にセットし、
この金型により、シートの一定の長さ部分に複数の収納エンボスを所定の間隔で成形し、収納エンボスの折り返し底板の対向壁部と平面枠形の搭載板との間に、少なくとも電子部品の一部に対向する電子部品用の位置規制突起を平面枠形に一体的に形成し、搭載板の四隅部付近のうち、少なくとも二隅部付近における位置規制突起の高さを、他の箇所の位置規制突起よりも高くするとともに、搭載板を形成する複数の区画辺のうち、少なくともシートの長手方向に伸びる区画辺の中央部付近における位置規制突起の高さを低くした後、シートの一定の長さ部分を金型から取り出して下流側に移動させることを特徴としている。
【0023】
ここで、特許請求の範囲におけるシートは、透明、不透明、半透明のいずれでも良い。また、導電性の有無を特に問うものではない。電子部品には、少なくとも各種の半導体パッケージやこれに類似する電子部品等が含まれる。また、搭載板の四隅部付近には、少なくとも搭載板の四隅部とその近傍が含まれる。搭載板の二隅部付近には、少なくとも搭載板の二隅部とその近傍が含まれる。
【0024】
搭載板の区画辺の中央部付近には、少なくとも区画辺の中央部とその近傍が含まれる。
さらに、位置規制突起は、電子部品の全部、大部分、一部に対向して位置決め機能を発揮する。
【0025】
本発明によれば、電子部品用キャリアテープの巻き取り時、ハンドリング時、輸送時等に衝撃や振動が作用すると、シートの収納エンボスに収納された電子部品が移動して位置ずれしようとすることがあるが、搭載板の変形しにくい箇所、
具体的には、搭載板の四隅部付近のうち、少なくとも二隅部付近における位置規制突起は、高く形成され、変形量が少ないので、電子部品に対向接触して位置ずれを有効に防止する。
【0026】
また、電子部品用キャリアテープの製造時、巻き始め時、巻き取り時等に、収納エンボスが湾曲変形すると、搭載板の変形しやすい
箇所、具体的には、搭載板を形成する複数の区画辺のうち、少なくともシートの長手方向に伸びる区画辺の中央部付近がシートの開口方向に膨らむが、
少なくともシートの長手方向に伸びる区画辺の中央部付近における位置規制突起は、相対的に低く形成され、シートの開口方向に対する膨らみ量が小さいので、シートの開口方向に大きく膨らんで電子部品のリード等に接触することが少ない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、折り返し底板と搭載板との間に電子部品用の位置規制突起を形成し、この位置規制突起の高さを、搭載板の変形しにくい箇所で高くし、搭載板の変形しやすい箇所で低くするので、例え電子部品が薄型でも、収納エンボスに収納された電子部品が損傷するのを有効に防ぐことができるという効果がある。
具体的には、搭載板の少なくとも二隅部付近以外の箇所がシートの開口方向に変形して膨らんでも、同二隅部付近以外の箇所における位置規制突起が相対的に低く短いので、半導体パッケージ等からなる電子部品の一部に干渉し、電子部品の一部が損傷する事態を防ぐことが可能となる。
【0028】
請求項2記載の発明によれば、例え電子部品用キャリアテープの製造時、巻き取り時、ハンドリング時、輸送時等に収納エンボスが変形しても、位置規制突起に厚さ3mm以下の薄い半導体パッケージのリードが乗り上げたり、収納エンボスの周壁にリードが接触したりして変形する事態を防ぐことができる。また、搭載板の変形しやすい箇所が変形して膨らんでも、搭載板の変形しやすい箇所の位置規制突起が低いので、薄い半導体パッケージのリードに干渉し、リードが変形する事態を排除することができる。
【0030】
請求項3記載の発明によれば、搭載板の最も変形しやすいシートの長手方向における区画辺の中央部付近が開口方向に変形して膨らんでも、同区画辺中央部付近における位置規制突起が最も低く短いので、電子部品の一部に干渉し、電子部品が損傷する事態を防ぐことが可能になる。
【0031】
請求項4記載の発明によれば、位置規制突起の高さが搭載板の隅部付近から区画辺の中央部付近に向け、急激に変化するのではなく、滑らかに徐々に変化するので、位置規制突起の強度を増大させて変形や破損を防止することが可能になる。
【0032】
請求項5記載の発明によれば、変形による応力の緩和効果が低下することが少なく、位置規制突起に電子部品の一部が接触しやすくなる事態を抑制することが可能になる。さらに、位置規制突起により、収納エンボスの強度を維持することができるので、電子部品の容易な保持が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明に係る電子部品用キャリアテープの実施形態における巻取りリールに電子部品用キャリアテープを巻回した状態を模式的に示す説明図である。
【
図2】本発明に係る電子部品用キャリアテープの実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【
図3】本発明に係る電子部品用キャリアテープの実施形態における収納エンボスを模式的に示す平面説明図である。
【
図4】本発明に係る電子部品用キャリアテープの実施形態における収納エンボスを模式的に示す断面説明図である。
【
図5】本発明に係る電子部品用キャリアテープの実施形態における収納エンボスに半導体パッケージを収納した状態を模式的に示す平面説明図である。
【
図6】本発明に係る電子部品用キャリアテープの実施形態における収納エンボスに半導体パッケージを収納した状態を模式的に示す断面説明図である。
【
図7】本発明に係る電子部品用キャリアテープの実施形態における収納エンボスの変形状態を模式的に示す断面説明図である。
【
図8】本発明に係る電子部品用キャリアテープの第2の実施形態における収納エンボスを模式的に示す平面説明図である。
【
図9】本発明に係る電子部品用キャリアテープの第2の実施形態における収納エンボスを模式的に示す断面説明図である。
【
図10】本発明に係る電子部品用キャリアテープの第2の実施形態における収納エンボスに半導体パッケージを収納した状態を模式的に示す平面説明図である。
【
図11】本発明に係る電子部品用キャリアテープの第2の実施形態における収納エンボスに半導体パッケージを収納した状態を模式的に示す断面説明図である。
【
図12】本発明に係る電子部品用キャリアテープの第3の実施形態における収納エンボスを模式的に示す平面説明図である。
【
図13】本発明に係る電子部品用キャリアテープの第3の実施形態における収納エンボスを模式的に示す断面説明図である。
【
図14】本発明に係る電子部品用キャリアテープの第3の実施形態における収納エンボスに半導体パッケージを収納した状態を模式的に示す平面説明図である。
【
図15】本発明に係る電子部品用キャリアテープの第3の実施形態における収納エンボスに半導体パッケージを収納した状態を模式的に示す断面説明図である。
【
図16】従来における電子部品用キャリアテープの収納エンボスと位置ずれした電子部品である半導体パッケージとを示す断面説明図である。
【
図17】従来における電子部品用キャリアテープの位置規制リブ付き収納エンボスと位置ずれした半導体パッケージとを示す平面説明図である。
【
図18】従来における電子部品用キャリアテープの位置規制リブ付き収納エンボスと位置ずれした半導体パッケージとを示す断面説明図である。
【
図19】従来における電子部品用キャリアテープの位置規制リブと位置ずれした半導体パッケージのリードとの関係を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における電子部品用キャリアテープは、
図1ないし
図7に示すように、巻取りリール1に巻回される長尺の薄いシート2に、薄型の半導体パッケージ11を収納する複数の収納エンボス20を配設し、各収納エンボス20の折り返し底板23と搭載板27との間に、半導体パッケージ11に対向して位置決めする位置規制リブ40を形成しており、この位置規制リブ40の高さを部分的に異ならせ、搭載板27の変形しにくい箇所では高くし、搭載板27の変形しやすい箇所では低くするようにしている。
【0035】
巻取りリール1は、
図1に示すように、用途に応じた所定の大きさに規格化され、シート2が一列にレコード巻きされたり、あるいは複数列にトラバース巻きされたりして、検査装置や自動組立装置(例えば、表面実装機)等にセットされる。この巻取りリール1には、汎用性に優れる汎用樹脂製のノーマル巻取りリール、カーボン等が配合された導電巻取りリール、ノーマル巻取りリールに帯電防止効果が施された帯電防止巻取りリール、軽量の発泡芯巻取りリール等の種類があるが、検査装置や自動組立装置等にセット可能であれば、特に限定されるものではない。
【0036】
シート2は、
図2に部分的に示すように、例えば長い帯形に形成され、長手方向に複数の収納エンボス20が一定の間隔で並設されるとともに、長手方向の両側部に複数の送り孔3がそれぞれ一定の間隔で並べて穿孔されており、表面に、収納エンボス20に収納された半導体パッケージ11を被覆保護するカバーテープが後から剥離可能に貼着される。
【0037】
シート2の材質としては、特に限定されるものではないが、汎用性に優れる透明のポリスチレン、A‐PET、強度に優れるポリエチレンテレフタレート、耐薬品性に優れるポリプロピレン、機械的性質や成形性に優れるABS樹脂、耐衝撃性や寸法安定性に優れるポリカーボネート等があげられる。空気中に放電して静電気を帯びないようにする場合には、ポリスチレン等に帯電防止効果が施された帯電防止タイプが使用される。また、静電気の発生を防止したい場合には、ポリスチレンやA‐PET等にカーボン等が配合された導電タイプが使用される。
【0038】
シート2の幅は、例えば規格化された12、16、24、32、44、56、72mm等の長さに調整される。このシート2の厚さは、特に限定されるものではないが、可撓性と強度とを両立させる観点から、0.17〜0.50mm、好ましくは0.25〜0.40mm、より好ましくは0.30mm前後の薄さが良い。また、カバーテープは、特に限定されるものではないが、例えばポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム等の基材に、常温接着性の感圧式粘着層や熱融着性の感圧式粘着層が積層されたタイプが用いられる。このカバーテープには、導電タイプ、帯電防止タイプ、透明タイプ等がある。
【0039】
薄型の半導体パッケージ11は、
図5や
図6等に示すように、厚さが3mm以下のQFP、LQFP、TQFPの表面実装型タイプからなり、平面矩形のパッケージ本体12の前後左右の周面四方向から収納エンボス20の位置規制リブ40を跨ぐ複数本のリード13が外部に並んで突出しており、各リード13がガルウイング形(L字形)に細く屈曲形成される。この半導体パッケージ11は、電子部品用キャリアテープが巻取りリール1と共に自動組立装置にセットされた後、この自動組立装置により収納エンボス20から取り出され、回路基板に表面実装される。
【0040】
各収納エンボス20は、
図2ないし
図6に示すように、シート2に穿孔される開口21と、この開口21の周縁部からシート2の裏面方向に伸びる周壁22と、この周壁22に接続されてシート2の開口21の中心部方向に設けられる折り返し底板23と、この折り返し底板23から開口21の中心部方向に伸びて半導体パッケージ11を搭載する平面枠形の搭載板27と、この搭載板27に支持されて巻取りリール1の周面に接触する底板32とを備え、所定の深さのポケット形に一体形成される。
【0041】
シート2の開口21と底板32とは、共に平面矩形(具体的には、正方形)に形成され、開口21が半導体パッケージ11の大きさに対応する大きさに形成されており、底板32が半導体パッケージ11のパッケージ本体12よりも小さく形成される。また、周壁22は、半導体パッケージ11の厚みよりも長い(高い)角筒形に形成され、シート2の裏面方向(
図4や
図6の下方向)に向かうにしたがい、シート2の開口21の中心部方向に徐々に僅かに傾斜しており、半導体パッケージ11を包囲する。
【0042】
折り返し底板23は、断面略L字形に屈曲形成され、平坦な底板部24が周壁22の下端部に水平に接続されて巻取りリール1の周面に接触する。この折り返し底板23の起立した対向壁部25は、周壁22の高さよりも低く短く形成されて周壁22内面の略下半分に対向し、周壁22との間の隙間に半導体パッケージ11の複数本のリード13を収容する。対向壁部25の上端部26と搭載板27との間には、半導体パッケージ11のパッケージ本体12を包囲する断面略逆U字形又は断面略逆V字形の位置規制リブ40がシート2の開口21方向に向けて突出形成される。
【0043】
搭載板27は、平坦に形成され、シート2の開口21と折り返し底板23の底板部24との間に位置して底板32を包囲しており、半導体パッケージ11におけるパッケージ本体12の下面周縁部を接触支持する。搭載板27の四隅部付近28は、搭載板27を形成する複数の区画辺29が交差する箇所なので、電子部品用キャリアテープの巻き取り時、ハンドリング時、輸送時等に最も変形しにくいという特質を有する。
【0044】
これに対し、搭載板27を形成する四区画辺29の中央部付近31のうち、少なくとも左右一対の区画辺30の中央部付近31、換言すれば、シート2の長手方向(
図2の左右方向)における左右一対の区画辺30の中央部付近31は、シート2が長手方向に湾曲して反る関係上、シート2の開口21方向に最も変形して弓なりに湾曲するという特質を有する。
【0045】
底板32は、断面略皿形に形成されてその上向きに傾斜した周縁部が搭載板27の内周縁部に接続され、平坦な底部33が折り返し底板23の底板部24の高さに揃えて整合されており、半導体パッケージ11のパッケージ本体12下面の周縁部を除く中央部付近に対向してその間に僅かな隙間を区画形成するとともに、巻取りリール1の周面に接触する。
【0046】
底板32の底部33中心には、必要に応じて丸い貫通底孔34が任意に穿孔され、この貫通底孔34が半導体パッケージ11の収納エンボス20からの取り出し、半導体パッケージ11の有無の確認、バキュームを用いた半導体パッケージ11の姿勢制御等に利用される。このような底板32は、搭載板27表面の平坦化に寄与し、嵌入収納された半導体パッケージ11の姿勢を安定させるよう機能する。
【0047】
位置規制リブ40は、
図3、
図4、
図6に示すように、搭載板27よりも幅狭の平面枠形に形成されて折り返し底板23の上端部26と搭載板27の外周縁部との間に介在され、収納エンボス20の開口21よりも低位に位置して搭載板27を包囲しており、半導体パッケージ11の複数本のリード13に跨がれるとともに、各リード13と接触せずに離隔する。この位置規制リブ40は、半導体パッケージ11のリード13を保護する観点から、従来例とは異なり、搭載板27の四隅部付近28と各区画辺29の中央部付近31とで高さが相違して不揃いになるよう形成される。
【0048】
すなわち、位置規制リブ40は、
図3や
図4に示すように、搭載板27の変形しにくい各隅部付近28においては、平面略L字形に屈曲して最も高く長く形成され、搭載板27の変形しやすい各区画辺29の中央部付近31においては、平面略I字形に最も低く短く形成されており、これら搭載板27の各隅部付近28と各区画辺29の中央部付近31との間が急激、かつ直線的に傾斜して低くなる。
【0049】
係る位置規制リブ40の最大高さと最小高さとの差(凹み量)は、以下の式に基づいて設定される。すなわち、
シート厚みの1/3<位置規制リブの最大高さと最小高さとの差<位置規制リブの高さ
に基づいて設定される。
【0050】
ここで、シート2の厚みが1/3なのは、厚みが1/3以下の場合、変形による応力の緩和効果が低下し、位置規制リブ40に半導体パッケージ11のリード13が接触しやすくなるからである。また、位置規制リブ40の最大高さは、搭載板27の表面から突出する位置規制リブ40の最大の高さである。これに対し、位置規制リブ40の最小高さは、搭載板27の表面から突出する位置規制リブ40の最小の高さである。
【0051】
係る最大高さと最小高さとの差は、搭載板27の表面から突出する位置規制リブ40の最大の高さから最小の高さを減算した値である。また、位置規制リブ40の最大高さと最小高さとの差が位置規制リブ40の高さ未満なのは、最大高さと最小高さとの差が位置規制リブ40の高さ以上の場合、位置規制リブ40が収納エンボス20の強度を維持できなくなり、半導体パッケージ11の保持が困難になるからである。
【0052】
位置規制リブ40の最大高さと最小高さとの差(凹み量)は、半導体パッケージ11の種類や大きさにもよるが、例えば0.10〜0.40mm、好ましくは0.10〜0.38mm、より好ましくは0.10〜0.35mmの範囲内に設定される。
【0053】
搭載板27の各隅部付近28における位置規制リブ40の内面は、収納エンボス20に半導体パッケージ11が嵌入収納されると、半導体パッケージ11のパッケージ本体12の周面側に位置して対向する。これに対し、各隅部付近28における位置規制リブ40の外面は、収納エンボス20に半導体パッケージ11が嵌入収納されると、パッケージ本体12の周面から突出したリード13の斜め下方に屈曲した屈曲部の内側にクリアランスを介して対向し、リード13を非接触状態で保護する。
【0054】
搭載板27の中央部付近31における位置規制リブ40は、収納エンボス20に半導体パッケージ11が嵌入収納されると、内面が半導体パッケージ11のパッケージ本体12の周面側下方に位置して僅かに対向し、外面がパッケージ本体12の周面から突出したリード13の斜め下方に屈曲した屈曲部の内側にクリアランスを介して対向する。中央部付近31における位置規制リブ40は、0ではないが、最も低く短く形成されるので、半導体パッケージ11のパッケージ本体12の周面に対する対向範囲が狭くなる。このような中央部付近31における位置規制リブ40は、収納エンボス20の捩れや変形を防止し、収納エンボス20の形態を維持するよう機能する。
【0055】
上記構成において、電子部品用キャリアテープを製造する場合には、先ず、連続した長尺のシート2と所定の製造装置とを用意し、このシート2を製造装置の上流側から一定の長さで順次繰り出し、このシート2の一定の長さ部分をヒータ等により加熱軟化させて図示しない専用の金型にセットする。こうして金型にシート2の一定の長さ部分をセットしたら、金型を型締め等してシート2の一定の長さ部分に複数の収納エンボス20を一定の間隔で凹み成形し、各収納エンボス20の折り返し底板23と搭載板27との間に位置規制リブ40を一体成形し、位置規制リブ40の高さを搭載板27の変形しにくい箇所で高くするとともに、搭載板27の変形しやすい箇所で低くする。
【0056】
成形法としては、(1)金型の凸型と凹型とに加熱軟化させたシート2を挟持させることにより、収納エンボス20を成形するプレス成形法、(2)金型の凹型に加熱軟化させたシート2を圧縮空気で押し付けることにより、収納エンボス20を成形する圧空成形法、(3)金型と加熱軟化したシート2との隙間を真空にし、金型にシート2を密着させて収納エンボス20を成形する真空成形法、(4)金型の内部を真空状態にし、この金型を回転させながら金型の凸型又は凹型に加熱軟化させたシート2を吸着することにより、収納エンボス20を成形する真空ロータリー成形法等があげられる。これらの成形方法は、特に限定されず、いずれでも良いが、収納エンボス20の複雑な内部形状やRにも正確、かつ容易に対処できる(1)のプレス成形法や(2)の圧空成形法が好適である。
【0057】
各収納エンボス20と位置規制リブ40とを一体的に成形したら、シート2や収納エンボス20の冷却後に金型を型開きし、金型から取り出したシート2の一定の長さ部分の両側に複数の送り孔3をそれぞれ一定の間隔で並べて穿孔し、その後、シート2の一定の長さ部分を製造装置の下流側に移動させ、空の巻取りリール1に巻き取れば、電子部品用キャリアテープを製造することができる。
【0058】
この際、シート2の一定の長さ部分が所定の幅寸法ではない場合には、金型から取り出したシート2の一定の長さ部分を所定の幅寸法にスリット加工してサイズを整え、このシート2の一定の長さ部分の両側に複数の送り孔3をそれぞれ一定の間隔で並べて穿孔することができる。複数の送り孔3は、収納エンボス20の成形前に穿孔しても良いし、収納エンボス20の成形時に併せて穿孔しても良い。
【0059】
次に、製造された電子部品用キャリアテープに半導体パッケージ11を嵌入収納する場合は、従来例と同様、シート2の複数の収納エンボス20に半導体パッケージ11が順次嵌入して収納され、シート2の表面にカバーテープが加熱融着された後、巻取りリール1に所定の長さの電子部品用キャリアテープが巻き取られる。
【0060】
巻取りリール1に電子部品用キャリアテープが巻き始められる際、
図7に示すように、巻取りリール1の周面に収納エンボス20の底板部24と底板32とが接触し、巻取りリール1の周面に沿って収納エンボス20が底板32側から開口21方向に円弧形に湾曲変形し、搭載板27の最も変形しやすい各区画辺29の中央部付近31が開口21方向に膨出するが、各中央部付近31における位置規制リブ40は、最も低く形成され、開口21方向に対する膨出量が少ないので、開口21方向に大きく膨らんで半導体パッケージ11のリード13に圧接し、押し上げることがない。したがって、リード13の大きな変形をきわめて有効に防止することができる。
【0061】
また、電子部品用キャリアテープの巻き取りやハンドリングの際、応力が発生して収納エンボス20を変形させ、収納エンボス20内の半導体パッケージ11が前後左右に位置ずれしようとすることがあるが、搭載板27の四隅部付近28における位置規制リブ40は、四隅部付近28の強度が高く、変形量が少ないので、半導体パッケージ11のパッケージ本体12に接触して位置ずれを防止したり、脱落を規制したりする。したがって、半導体パッケージ11の位置ずれに伴い、リード13が変形したり、損傷したりすることがなく、半導体パッケージ11の機能や性能を維持することができる。
【0062】
次に、電子部品用キャリアテープに嵌入収納された半導体パッケージ11を回路基板に実装する場合は、従来例と同様、自動組立装置の巻取りリール1に巻回された電子部品用キャリアテープが繰り出され、回路基板に半導体パッケージ11がハンダにより表面実装される。
【0063】
電子部品用キャリアテープが部品メーカからアッセンブリメーカに輸送されたり、ハンドリングされたりする際、収納エンボス20内の半導体パッケージ11が前後左右に位置ずれしようとすることがあるが、搭載板27の四隅部付近28における位置規制リブ40が半導体パッケージ11のパッケージ本体12の周面に接触して位置規制する。この位置規制作用により、半導体パッケージ11のリード13が変形したり、損傷したりすることがないので、半導体パッケージ11の機能や性能の維持が期待できる。
【0064】
上記構成によれば、電子部品用キャリアテープに巻き癖がついて収納エンボス20が変形したり、電子部品用キャリアテープの巻き取り時、ハンドリング時、輸送時等に収納エンボス20が変形しても、位置規制リブ40に薄型の半導体パッケージ11の細いリード13が乗り上げたり、収納エンボス20の周壁22に細いリード13が接触して変形する事態を排除することができる。
【0065】
また、最も変形しやすい各区画辺29の中央部付近31が開口21方向に膨らんで湾曲しても、中央部付近31における位置規制リブ40が中央部付近31の変形量を考慮して最も低位に位置するので、半導体パッケージ11の細いリード13に下方から干渉し、リード13が大きく変形する事態を排除することができる。以上により、リード13の大きな変形を抑制防止することができるので、回路基板に半導体パッケージ11を実装する際、大きく変形したリード13と隣接する他のリード13とが接触してショートすることがない。また、ハンダによる半導体パッケージ11の接続に支障を来すこともない。
【0066】
次に、
図8ないし
図11は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、位置規制リブ40を、搭載板27の四隅部付近28から各区画辺29の中央部付近31に向け、滑らかに傾斜させながら徐々に低くするようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、位置規制リブ40の高さが急激、かつ直線的に変化するのではなく、比較的広い範囲で傾斜状に滑らかに変化するので、位置規制リブ40の強度を増大させて変形や破損を防止することができるのは明らかである。
【0067】
次に、
図12ないし
図15は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、位置規制リブ40を、搭載板27の四隅部付近28から各区画辺29の中央部付近31に向け、滑らかに連続して湾曲させながら徐々に低くするようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0068】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも位置規制リブ40の高さが滑らかに連続して変化するので、応力の緩和に有効である。また、半導体パッケージ11を高精度に位置決めすることができ、広範囲に亘って半導体パッケージ11のリード13に対する干渉を防止することもできる。
【0069】
なお、上記実施形態ではシート2の長手方向における両側部に複数の送り孔3を所定の間隔でそれぞれ穿孔したが、シート2の長手方向における一側部のみに複数の送り孔3を所定の間隔で穿孔しても良い。また、半導体パッケージ11は、厚さ3mm以下のSOP、SSOP、TSOPタイプ等でも良いし、厚さ3mm以上のQFPやSOPタイプでも良い。半導体パッケージ11がSOPタイプの場合、収納エンボス20は、平面正方形ではなく、平面長方形に成形される。
【0070】
また、搭載板27の四隅部付近28のうち、三隅部付近における位置規制リブ40の高さを、他の箇所の位置規制リブ40よりも高くしても良いし、対角線上の二隅部付近28における位置規制リブ40の高さを、他の箇所の位置規制リブ40よりも高くすることができる。さらに、各区画辺29の中央部付近31における位置規制リブ40の高さを最も低くしても良いが、半導体パッケージ11がSOPの表面実装型タイプの場合、パッケージ本体12の周面二方向から複数本のリード13が並んで突出するので、左右一対の区画辺30の中央部付近31における位置規制リブ40の高さのみを最も低くしても良い。
【0071】
以下、本発明に係る電子部品用キャリアテープ及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
【実施例】
【0072】
〔実施例1〕
先ず、連続した長尺のシートを用意し、このシートの一定の長さ部分をヒータにより加熱軟化させて専用の金型にセットし、この金型を型締めしてシートの一定の長さ部分に複数の収納エンボスを一定の間隔でプレス成形し、各収納エンボスに位置規制リブを一体化した。シートは、幅が44mm、厚さが0.3mmの市販されているポリスチレン製の導電タイプとした。また、各収納エンボスは、外形寸法が24mm×24mmの表面実装型の半導体パッケージに対応する大きさにプレス成形した。また、位置規制リブは、第1の実施形態の形にプレス成形した。この位置規制リブの搭載板の隅部付近における最大高さは0.35mmとし、位置規制リブの最大高さと最小高さとの差(凹み量)は0.10mmとした。
【0073】
シートに複数の収納エンボスをプレス成形したら、収納エンボスの冷却後に金型を型開きし、脱型して取り出したシートの一定の長さ部分の両側に複数の送り孔をそれぞれ一定の間隔で穿孔し、その後、シートの一定の長さ部分を下流側に移動させて空の巻取りリールに巻き取ることにより、
図2の電子部品用キャリアテープを製造した。巻取りリールは、コア径がφ80〜320mmのタイプを選択し、20mの電子部品用キャリアテープを巻き取った。
【0074】
次いで、製造した電子部品用キャリアテープを40℃×24時間の環境下で保管し、電子部品用キャリアテープの湾曲した収納エンボスの湾曲値を焦点深度計〔ユニオン社製:非接触段差測定器〕により測定し、その測定結果を表1に記載した。測定の結果、収納エンボスの湾曲値は0.35mmであった。
【0075】
次いで、巻取りリールから引き出した電子部品用キャリアテープの収納エンボスに上記大きさの半導体パッケージを嵌入収納するとともに、シートの表面にカバーテープを貼着し、巻取りリールに電子部品用キャリアテープを再度巻回した。半導体パッケージのリードと収納エンボスの位置規制リブとは、クリアランスを介して対向させた。
【0076】
電子部品用キャリアテープを巻取りリールに巻回したら、この巻取りリールを梱包して梱包品とし、この梱包品を約1mの高さから落下させて落下試験を実施した。この落下試験は、梱包品の3面、1稜、1角の部位を下方に向けて実施した。落下試験の終了後、半導体パッケージのリードの変形の有無を目視により確認したり、測定したりして、その結果を表1に記載して検討・評価した。評価に際しては、半導体パッケージのリードと収納エンボスの位置規制リブとのクリアランスが0mmを越えている場合には合格(OK)とし、0mm以下の場合には不合格(NG)とした。
【0077】
〔実施例2〕
基本的には実施例1と同様としたが、位置規制リブの最大高さと最小高さとの差(凹み量)を0.15mmに変更した。また、収納エンボスの湾曲値を0.31mmに変更した。
〔実施例3〕
基本的には実施例1と同様としたが、位置規制リブの最大高さと最小高さとの差(凹み量)を0.20mmに変更した。また、収納エンボスの湾曲値を0.26mmに変更した。
【0078】
〔実施例4〕
基本的には実施例1と同様としたが、位置規制リブの最大高さと最小高さとの差(凹み量)を0.25mmに変更した。また、収納エンボスの湾曲値を0.19mmに変更した。
〔実施例5〕
基本的には実施例1と同様だが、位置規制リブの最大高さと最小高さとの差(凹み量)を0.30mmとした。また、収納エンボスの湾曲値を0.12mmとした。
【0079】
〔実施例6〕
基本的には実施例1と同様だが、位置規制リブの最大高さと最小高さとの差(凹み量)を0.35mmとした。また、収納エンボスの湾曲値を0.04mmとした。
〔実施例7〕
各収納エンボスの位置規制リブを第2の実施形態の形にプレス成形し、その他は実施例3と同様とした。
〔実施例8〕
各収納エンボスの位置規制リブを第3の実施形態の形にプレス成形し、その他は実施例3と同様とした。
【0080】
【表1】
【0081】
〔比較例1〕
連続した長尺のシートを用意し、このシートをヒータにより予熱して専用の金型にセットし、この金型を型締めしてシートの長手方向に複数の収納エンボスを一定の間隔でプレス成形し、各収納エンボスに
図18や
図19に示す従来の位置規制リブを一体化した。シートや各収納エンボスの大きさについては、実施例と同様とした。位置規制リブは、高さが常に0.35mmで一定の従来タイプとし、最大高さと最小高さとの差(凹み量)を0.00mmとした。
【0082】
シートに複数の収納エンボスをプレス成形し、各収納エンボスに高さが一定の位置規制リブを一体化したら、実施例と同様の製造方法により、電子部品用キャリアテープを製造した。巻取りリールについても、実施例と同様とした。
【0083】
次いで、製造した電子部品用キャリアテープを実施例と同様の環境下で保管し、電子部品用キャリアテープの湾曲した収納エンボスの湾曲値を焦点深度計〔ユニオン社製:非接触段差測定器〕により測定し、その測定結果を表2に記載した。測定の結果、収納エンボスの湾曲値は0.54mmであった。
【0084】
次いで、巻取りリールから引き出した電子部品用キャリアテープの収納エンボスに上記大きさの半導体パッケージを嵌入収納するとともに、シートの表面にカバーテープを貼着し、巻取りリールに電子部品用キャリアテープを再度巻回した。半導体パッケージのリードと収納エンボスの位置規制リブとは、クリアランスを介して対向させた。
【0085】
電子部品用キャリアテープを巻取りリールに巻回したら、この巻取りリールを梱包して梱包品とし、この梱包品を約1mの高さから落下させて落下試験を実施した。この落下試験は、実施例と同様の内容とし、試験の終了後、半導体パッケージのリードの変形の有無を目視により確認したり、測定したりして、その結果を表2に記載して検討・評価した。評価の基準は、実施例と同様とした。
【0086】
〔比較例2〕
電子部品用キャリアテープを
図16に示す構成とし、シートの収納エンボスに位置規制リブを一体化せず、省略した。この位置規制リブ以外は比較例1と同様としたが、収納エンボスの湾曲値は0.42mmとした。
【0087】
【表2】
【0088】
実施例1〜8の場合には、表1に示すように、半導体パッケージのリードと収納エンボスの位置規制リブとのクリアランスが0mmを越え、半導体パッケージのリードに変形が見られず、実に良好な結果を得ることができた。これらの実施例1〜8から、位置規制リブの最大高さと最小高さとの差(凹み量)を0.10mm以上に設定すれば、半導体パッケージのリードに変形が生じないのが判明した。
なお、位置規制リブを第2、第3の実施形態の形に変更してプレス成形しても、半導体パッケージのリードは変形せず、良好な結果を得ることができた。
【0089】
これに対し、比較例1、2の場合には、半導体パッケージのリードが変形し、十分な結果を得ることができなかった。