特許第6430891号(P6430891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6430891-カバー水栓 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6430891
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】カバー水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20181119BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   E03C1/042 E
   E03C1/044
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-99196(P2015-99196)
(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公開番号】特開2016-216911(P2016-216911A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】西岡 利明
(72)【発明者】
【氏名】野上 典秀
(72)【発明者】
【氏名】安岡 徹治
(72)【発明者】
【氏名】片岡 健介
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−290663(JP,A)
【文献】 特開2001−207495(JP,A)
【文献】 特開平10−204945(JP,A)
【文献】 特開2008−231874(JP,A)
【文献】 特開2002−285597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00− 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水混合栓の本体と、該本体の後方に位置する壁面に固定され、左右に並び、各々前記本体に接続される二つの接続管部と、該二つの接続管部を覆うカバーとを具備したカバー水栓であって、
前記カバーは前後にスライド可能に構成され、
前記カバーを前方に付勢する付勢手段を具備し、
該付勢手段によって、前記カバーは前記本体に当接した状態に維持されることを特徴とするカバー水栓。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記壁面に取り付けられる固定部材に設けられた板ばね部である請求項1に記載のカバー水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浴室等の壁の表側に設置される水栓に繋がる接続管部をカバーで覆うようにしたカバー水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、湯水混合栓の本体をもカバーで覆うようにしたカバー水栓が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−40546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなカバー水栓において、図4に示すように、湯水混合栓の本体4に接続される接続管部2はこれまでと同じくカバー3で覆いつつ、湯水混合栓の本体4自体はカバー3で覆わず露出させるようにしようとすると、以下のような問題が生ずる。
【0005】
すなわち、従来のカバー水栓では、湯水混合栓の本体4の左右に各々偏心管5が接続される。この偏心管5は湯水混合栓の背面側にある壁面内の配管(図示していない)に螺合接続されるものであり、その構造上、左右の偏心管5の前後の位置を相互に完全に一致させるのは困難である。そして、左右の偏心管5の位置が一致していない場合、湯水混合栓の本体4はその背面側にある壁面に対して厳密には斜めになり、これに起因して、偏心管5を覆うカバー3と本体4との間に僅かながらも隙間が生まれ、その結果、美観が低下する懸念がある。
【0006】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、美観の向上に寄与し得るカバー水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るカバー水栓は、湯水混合栓の本体と、該本体の後方に位置する壁面に固定され、左右に並び、各々前記本体に接続される二つの接続管部と、該二つの接続管部を覆うカバーとを具備したカバー水栓であって、前記カバーは前後にスライド可能に構成され、前記カバーを前方に付勢する付勢手段を具備し、該付勢手段によって、前記カバーは前記本体に当接した状態に維持される(請求項1)。
【0008】
上記カバー水栓において、前記付勢手段は、前記壁面に取り付けられる固定部材に設けられた板ばね部であってもよい(請求項2)。
【発明の効果】
【0009】
本願発明では、美観の向上に寄与し得るカバー水栓が得られる。
【0010】
すなわち、本願の各請求項に係る発明のカバー水栓では、本体に接続される左右の接続管部の前後の位置が相互に完全に一致していなくても、付勢手段の付勢作用により、本体にカバーを当接させた状態に維持し、本体との間に隙間が生じないようにすることができるので、美観の向上を図ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明のカバー水栓では、簡易な構成によって付勢手段を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係るカバー水栓の構成を概略的に示す説明図である。
図2】(A)〜(C)は、前記カバー水栓の横断面図、一部を切り欠いて示す正面図及び縦断面図である。
図3】(A)〜(F)は、前記カバー水栓の取付け手順を示す説明図である。
図4】従来のカバー水栓の構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0014】
本実施の形態に係るカバー水栓は、水栓1と、この水栓1に各々接続される二つの接続管部2を覆うカバー3とを有し、例えば浴室の壁面に設置されるものである。
【0015】
まず、水栓1について説明すると、図1及び図2(A)〜(C)に示すように、本例の水栓1は、左右方向に延びる略円筒状の外観を呈する本体4を有し、本体4の背面の左右には偏心管5を含む接続管部2を介して図外の給湯配管、給水配管が接続される湯水混合栓である。本体4の内部には、本体4内に別々に導入された給湯配管からの湯と給水配管からの水とが混合される混合室(図示していない)と、混合室の上流側に位置し、混合室への湯水の流入比を調節するための第一弁部と、混合室の下流側に位置し、混合室からの湯水の導出流路の切替え及び導出流量の調整を行うための第二弁部とが設けられる。そして、本体4の左右にはハンドル6,7が取り付けられ、一方のハンドル6は、第一弁部と連動して本体4から導出部(吐水口8またはシャワーエルボ9)を経て外部に導出される湯水の温度調節機能を司り、他方のハンドル7は、第二弁部と連動して導出流路の切替え(湯水を吐水口8から導出する状態とシャワーエルボ9から導出する状態との切替え)機能及び吐水流量の調整機能を司る。このような構成を備えた湯水混合栓は周知であり、斯かる構成のより詳細な説明は省略する。
【0016】
ここで、本例の接続管部2は、左右に並ぶ二つの偏心管5と、各偏心管5を本体4に繋ぐ二つの管継手(ニップル)10とによって構成されている。
【0017】
一方、カバー3は、図1に示すように、接続管部2を上方から覆う上カバー11と、下方から覆う下カバー12と、壁面に取り付けられる固定部材13と、化粧カバー14とを備えている。
【0018】
次に、本例のカバー水栓の構成のより詳細な説明も兼ね、カバー水栓の設置方法について説明する。本設置方法は、以下の手順(1)〜(4)で実施される。
【0019】
(1)図外の壁面(本体4の後方に位置することになる壁面)に二つの偏心管5を取り付ける(図3(A)参照)。本例では、壁面の裏側に配置された給湯配管及び給水配管の先端が壁面に設けられた開口から外部(表側)に臨んでおり、その先端にそれぞれ偏心管5を螺合する。但し、このような構成に限らず、二つの偏心管5を壁面に取り付ける手段には適宜の構成を採用可能である。
【0020】
(2)図外の壁面に固定部材13を固定するとともに(図3(B)参照)、二つの偏心管5に管継手10を介して本体4を連結する(図3(C)参照)。なお、固定部材13の固定と、偏心管5に対する本体4の連結とは、いずれを先に行ってもよい。
【0021】
(3)接続管部2に対して上カバー11及び下カバー12を装着する(図3(D)及び(E)参照)。
【0022】
(4)固定部材13に化粧カバー14を装着する(図3(F)参照)。
【0023】
ここで、上記手順(2)で用いる固定部材13は、図3(B)に示すように、二つの偏心管5の下方を通り略水平に延びる基部13aと、この基部13aの両端及び中央から立ち上がる三つの支柱部13bと、基部13aの両端から立ち上がり支柱部13bよりも前方に位置する支持部13cとを有し、支持部13cの上部には板ばね部(上カバー12及び下カバー12を前方に付勢する付勢手段の一例)13dが形成されている。そして、固定部材13における適宜の部位(本例では各支柱部13bの上部等)が壁面に例えばビス止めされる。
【0024】
また、図3(D)に示すように、上記手順(3)で用いる上カバー11には、二つの管継手10に弾性係合し、管継手10に沿って前後方向にスライド可能な略C字状の二つの係合部15が設けられている。さらに、二つの係合部15の間には、シャワーエルボ9の基部に弾性係合し、シャワーエルボ9の基部に沿って前後方向にスライド可能な略C字状の係合部16が設けられている。
【0025】
また、上記手順(3)で用いる下カバー12は、上カバー11に係合し、上カバー11とで接続管部2を覆う状態となるように構成されているとともに、図3(E)に示すように、接続管部2を覆う状態で、偏心管5の一部やシャワーエルボ9の先端を外部に露出させるように構成されている。
【0026】
そして、接続管部2に装着された状態の上カバー11の背面上部は、固定部材13の板ばね部13dによって前方に付勢され(図2(C)参照)、これにより、上カバー11の前端は本体4の外面に当接(密接)する。また、上カバー11に係合する下カバー12も、上カバー11と同様に前方に移動し、下カバー12の前端は本体4の外面に当接(密接)する。
【0027】
図3(F)に示す上記手順(4)で用いる化粧カバー14は、図1にも示すように、横倒しにした略コの字状を呈し、固定部材13の支柱部13bに係合するように構成されている。そして、化粧カバー14は、固定部材13に係合した状態において、上カバー11及び下カバー12と壁面との隙間を覆い、かつ、固定部材13における上カバー11及び下カバー12に覆われていない部位(本例では、両端の支柱部13bの略全体と中央の支柱部13の上部)を覆うように構成されている。
【0028】
上記のように構成されたカバー水栓では、左右の偏心管5の前後の位置が相互に完全に一致していなくても、固定部材13に設けた板ばね部13dの付勢作用により、湯水混合栓の本体4に上カバー11及び下カバー12を当接させた状態に維持し、本体4との間に隙間が生じないようにすることができるので、美観の向上を図ることができる。
【0029】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0030】
上記実施の形態では、接続管部2を覆うカバー3を上カバー11と下カバー12とに分離可能とし、接続管部2を側面から覆う部位は主として上カバー11に設けているが、これを下カバー12に設けてもよく、その他、上カバー11と下カバー12の形状は種々に変形可能である。接続管部2を覆うカバー3は、上カバー11と下カバー12というように上下に分離するものに限らず、例えば左右に分離可能であってもよく、分離するパーツ数も二つに限らず三つ以上であってもよい。
【0031】
また、上記実施の形態では、上カバー11に係合部15,16を設け(図3(D)参照)、上カバー11及び下カバー12を、管継手10及びシャワーエルボ9の基部に沿って前後方向にスライド可能としているが、これに限らず、上カバー11及び下カバー12が、偏心管5など接続管部2の他の部位に沿ってスライドしてもよいし、さらには、固定部材13や本体4に設けられた前後方向に延びる部位に沿って前後方向にスライドするようにしてもよい。
【0032】
また、板ばね部13dの位置も適宜変更可能であり、カバー3の上部に限らず、側部や下部などを付勢するようにしてあってもよい。さらに、カバー3を前方に付勢する付勢手段も、板ばね部13dに限らず、スプリング等の他の付勢手段を採用可能である。
【0033】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1 水栓
2 接続管部
3 カバー
4 本体
5 偏心管
6 ハンドル
7 ハンドル
8 吐水口
9 シャワーエルボ
10 管継手
11 上カバー
12 下カバー
13 固定部材
13a 基部
13b 支柱部
13c 支持部
13d 板ばね部
14 化粧カバー
15 係合部
16 係合部
図1
図2
図3
図4