特許第6430907号(P6430907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6430907
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20181119BHJP
   G01S 13/66 20060101ALI20181119BHJP
   G01S 13/93 20060101ALI20181119BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   G01S13/66
   G01S13/93 220
   B60R21/00 991
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-142925(P2015-142925)
(22)【出願日】2015年7月17日
(65)【公開番号】特開2017-27202(P2017-27202A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2017年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】赤峰 悠介
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 知彦
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康之
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−074803(JP,A)
【文献】 特開2003−149330(JP,A)
【文献】 特開平10−283462(JP,A)
【文献】 特開2009−294842(JP,A)
【文献】 改訂 レーダ技術,日本,社団法人電子情報通信学会,1996年10月 1日,pp.254-272,第10章 追尾レーダ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60R 21/00
G01S 13/66
G01S 13/93
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲に存在する物体を検知する物体検知手段(S110)と、
前記物体検知手段により検知された前記物体の移動先を予測する移動予測手段(S120)と、
前記移動予測手段によって予測された前記物体の移動先に応じて前記物体を追尾するための追尾範囲を前記物体の移動先を含めるが前記自車両から見て前記物体の移動先の背後となる領域を除外領域として除外するよう設定する範囲設定手段(S130、S140)と、
前記範囲設定手段によって設定された追尾範囲を用いて前記物体を追尾する物体追尾手段(S150、S160、S170)と、
前記物体追尾手段によって追尾される前記物体と前記自車両との衝突可能性を判断する衝突判断手段(S180)と、
前記衝突判断手段によって前記自車両と前記物体とが衝突する可能性があると判断された場合に、前記自車両と前記物体との衝突を回避するか、あるいは衝突による被害を軽減するための運転支援を実行する運転支援手段(S190)と、
を備えることを特徴とする運転支援システム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援システムにおいて、
前記除外領域には、
前記自車両と予測される前記物体の移動先との間の前記自車両の左右方向の距離が前記自車両と前記物体の現在位置との間の前記自車両の左右方向の距離よりも小さい場合に、前記自車両の前後方向に沿うとともに前記物体の現在位置を通る線分の前記自車両から見て向こう側となる領域が含まれること
を特徴とする運転支援システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の運転支援システムにおいて、
前記除外領域には、
前記自車両と予測される前記物体の移動先との間の前記自車両の前後方向の距離が前記自車両と前記物体の現在位置との間の前記自車両の前後方向の距離よりも小さい場合に、前記自車両の左右方向に沿うとともに前記物体の現在位置を通る線分の前記自車両から見て向こう側となる領域が含まれること
を特徴とする運転支援システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の運転支援システムにおいて、
前記除外領域には、
前記自車両と予測される前記物体の移動先との間の距離が前記自車両と前記物体の現在位置との間の距離よりも小さい場合に、予測される前記物体の移動方向に水平面上で直交する方向に沿うとともに前記物体の現在位置を通る線分の前記自車両から見て向こう側となる領域が含まれること
を特徴とする運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の周囲に存在する物体と自車両との衝突を回避するか、あるいは衝突による被害を軽減するための運転支援を実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラやレーダ等のセンサにより検出した自車両の周囲に存在する物体と自車両との衝突可能性を判断し、物体と自車両との衝突を回避するか、あるいは衝突による被害を軽減するための運転支援を実行する技術が知られている。
【0003】
このような運転支援に際しては、自車両の周囲に存在する物体を検知する物体検知が行われる。例えば、特許文献1には、物体検知を行う物体検知装置において、物体検知を行うレーダを備え、レーダにより検知される物体の追尾範囲を物体が検知される方向に応じて設定する点について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−74803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の技術では、次のような問題があった。すなわち、例えば、図4(a)に例示するように、歩行者など低速で移動する物体を追尾する場合には、物体を検出する所定周期(1サイクル)での物体の移動距離が小さいため、所定周期後の追尾範囲(A1)に、予測される所定周期後の物体の位置(P1)とともに、現在の物体の位置(P0)が含まれることがある。このような場合に、図4(b)に例示するように、追尾範囲(A1)中に他の物体(R1)が検出されると、この検出された物体(R1)も追尾対象となり、仮にこの物体(R1)が自車(Q1)に接近中であったとしても、この物体(R1)が現在の物体の位置(P0)から見て自車(Q1)とは反対側に位置する場合には、この物体(R1)が自車両から離れていくように認識され、物体(R1)の移動方向を誤って推定し、いわゆるロストが発生するおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、自車両の周囲に存在する物体と自車両との衝突を回避するか、あるいは衝突による被害を軽減するための運転支援に際して行われる物体検知において、精度良く物体を追尾する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次のような着眼点に基づいてなされている。すなわち、自車両から離れていく物体については、自車両と衝突する可能性が低く、運転支援に際して行われる物体検知における追尾対象として適切ではない。また、自車両に接近しているが離れる方向に検出される物体については、ロストの原因となるため、同様に追尾対象として適切ではない。よって、上述のような追尾対象として適切ではない物体が検知される可能性の高い領域については、物体を追尾するための追尾範囲に含めておくことは適切ではない。このような領域として、特に、自車両から見て物体の移動先の背後となる領域が挙げられる。
【0008】
そこで、本発明では、自車両の周囲に存在する物体を追尾するための追尾範囲を設定する際に、予測された物体の移動先を追尾範囲に含めるが、自車両から見て物体の移動先の背後となる領域を除外領域として追尾範囲から除外することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、追尾対象として適切ではない物体が検知される可能性の高い領域が、追尾範囲から除外されるので、追尾対象として適切ではない物体が検知される可能性が低くなる。
【0010】
したがって、本発明によれば、自車両の周囲に存在する物体と自車両との衝突を回避するか、あるいは衝突による被害を軽減するための運転支援に際して行われる物体検知において、精度良く物体を追尾することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】運転支援システム1の概略構成を示すブロック図および説明図である。
図2】運転支援処理を示すフローチャートである。
図3】運転支援処理を示す説明図である。
図4】従来の運転支援を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[1.運転支援システム1の構成の説明]
図1(a)に示す運転支援システム1は、車両に搭載され、自車両に物体が衝突する可能性がある場合、自車両と物体との衝突を回避するか、あるいは衝突による被害を軽減するために、警報やブレーキの作動等といった運転支援を行うシステムである。
【0013】
運転支援システム1は、運転支援装置10と、各種センサと、制御対象30と、を備えている。そして、運転支援システム1は、各種センサとして、例えば、カメラセンサ20、レーダセンサ22、ヨーレートセンサ24、車輪速センサ26等を備えている。
【0014】
カメラセンサ20は、例えば、物体までの距離を検出可能なステレオカメラとして構成されており、撮像画像に基づいて画像中の物体について、種類、形状、自車両との距離、自車両に対する物体の角度等の物体情報を検出する。カメラセンサ20は、物体の種類として、車両と、歩行者と、車両および歩行者以外とに分類してもよい。
【0015】
レーダセンサ22は、ミリ波等の指向性のある電磁波を物体に対して照射し、その反射波を受信することによって、物体について、自車両との距離、自車両に対する相対速度等の物体情報を検出する。図1(c)中のミリ波レーダがレーダセンサ22に相当する。なお、本実施形態では、図1(c)に示すように、4つのミリ波レーダが車両の四隅にそれぞれ設置されており、それぞれが、自車両の左前方向、自車両の右前方向、自車両の左後方向、自車両の右後方向を中心に左右方向の所定角度範囲を走査しながらミリ波を照射する。この所定角度範囲が各ミリ波レーダの物体検知領域となる。
【0016】
ヨーレートセンサ24は、自車両の旋回角速度を検出する周知のヨーレートセンサとして構成されている。車輪速センサ26は、車輪の回転速度に基づき自車両の車速を検出する。ヨーレートセンサ24が検出するヨーレート、ならびに車輪速センサ26が検出する車速により、自車両の走行情報を取得できる。
【0017】
運転支援装置10は、CPU12、ROM14、RAM16等を備えた周知のマイクロコンピュータにより主に構成されている。運転支援装置10は、各種センサによる検出結果等に基づいてROM14に格納されたプログラムをCPU12が実行することによって、各種処理を実行する。
【0018】
運転支援装置10は、各種センサから取得する検出結果に基づいて運転支援を行うために、制御対象30を作動させる。制御対象30としては、例えば、ブレーキ、ステアリング、シートベルト等を駆動するアクチュエータ、警報を発する警報装置等が挙げられる。
【0019】
また、運転支援装置10は、CPU12の各種処理の実行により実現される機能的構成として、図1(b)に示すように、物体検知部101と、移動予測部102と、追尾範囲設定部103と、追尾範囲限定部104と、衝突判定部105と、衝突警報部106と、を備える。以下に順に説明する。
【0020】
物体検知部101は、レーダセンサ22により検出された物体情報(センサ情報)を取得し、取得した物体情報に基づき、自車両の周囲に存在する物体を検知する機能を有する。この物体検知においては、図3(a)〜(c)に示す例えば自車両の中央位置を原点とする車幅方向のうちの右方向をX軸並びに車長方向のうちの前方方向をY軸とした場合のXY平面(水平面)上に、レーダセンサ22による物体情報が示す物体の位置を特定する。すなわち、物体の位置は自車両の中央位置に対する相対位置として特定される。
【0021】
移動予測部102は、物体検知部101により検知された物体の移動先を予測する機能を有する。具体的には、移動予測部102は、物体検知部101による物体の検知位置をRAM16などに時系列順に記憶しておき、記憶した物体の検知位置を物体毎に読み出して、XY平面における各物体の移動軌跡を算出する。そして、移動予測部102は、こうして算出した各物体の移動軌跡を基に物体が所定時間後に到達する位置を移動先として予測する。
【0022】
追尾範囲設定部103は、移動予測部102によって予測された物体の移動先に応じて物体を追尾するための追尾範囲を設定する機能を有する。具体的には、追尾範囲設定部103は、図3(a)〜(c)に示すように、移動予測部102によって予測された物体の移動先のX座標およびY座標を基準として、X座標およびY座標のそれぞれについて、所定の幅を持たせた領域を、物体を追尾するための追尾範囲として設定する。
【0023】
追尾範囲限定部104は、追尾範囲設定部103によって設定された追尾範囲から追尾除外領域(以下除外領域)を除外する機能を有する。除外領域については、自車両から見て物体の移動先の背後となる領域であり、次の(1)〜(3)のうちの一つの要件を満たす領域として設定される。なお、除外領域の設定については、予め実験等により設定してもよいし、自車両の走行状況や追尾対象である物体に関する物体情報等に基づき適宜設定するようにしてよい。また、物体の移動先自体については追尾範囲から除外せずに含めたままとする。
【0024】
(1)自車両の前後方向(Y軸方向)に沿うとともに物体の現在位置を通る線分の自車両から見て向こう側となる領域(図3(a)参照)
(2)自車両の左右方向(X軸方向)に沿うとともに物体の現在位置を通る線分の自車両から見て向こう側となる領域(図3(b)参照)
(3)予測される物体の移動方向に水平面(XY平面)上で直交する方向に沿うとともに物体の現在位置を通る線分の自車両から見て向こう側となる領域(図3(c)参照)
なお、上記(1)〜(3)のうちの一つの要件を満たす領域の全域または一部を限定領域として設定してもよい。また、上記(1)〜(3)のうちの何れかの要件を満たす領域の全域または一部を限定領域として設定してもよい。また、上記(1)〜(3)のうちの複数要件を同時に満たす領域の全域または一部を限定領域として設定してもよい。
【0025】
衝突判定部105は、物体と自車両との衝突可能性を判断する機能を有する。具体的には、衝突判定部105は、物体毎に、自車両に対する物体の相対速度と自車両と物体との距離とに基づいて車両と物体とが衝突するまでの衝突時間(time to collision:TTC)を算出する。さらに、衝突判定部105は、物体と自車両とが接近してTTCが短くなり閾値に達すると、自車両と物体とが衝突する可能性があると判断する。なお、閾値については、自車両に接近する物体の相対接近速度、相対位置、物体の種類、自車両の走行環境、カメラセンサ20およびレーダセンサ22による物体の検出結果の信頼性等に基づいて適宜設定される。また、自車両の走行環境とは、例えば雪や凍結により路面が滑りやすい状態であるか否か等を表わしている。
【0026】
衝突警報部106は、自車両と物体とが衝突する可能性があると衝突判定部105によって判断された場合に、自車両と物体との衝突を回避するか、あるいは衝突による被害を軽減するための運転支援として警報を発生させる機能を有する。具体的には、衝突警報部106は、衝突判定部105によって自車両と物体とが衝突する可能性があると判断された場合に、制御対象30を制御して、警報装置による警報を発生させる。
【0027】
[2.運転支援処理の説明]
次に、運転支援システム1が実行する運転支援処理を、図2のフローチャートおよび図3を参照して説明する。
【0028】
本処理は、例えば自車両が完全に停止している状態から車速が所定速度を上回ると起動され、自車両が完全に停止するまで繰り返し実行される。
最初のステップS110では、物体検知処理を実行する。具体的には、運転支援装置10が、レーダセンサ22により検出された物体情報を取得し、取得した物体情報に基づき、自車両の周囲に存在する物体を検知する。その後、S120に移行する。
【0029】
S120では、移動先を予測する。具体的には、運転支援装置10が、検知された物体の位置をRAM16などの記憶手段に時系列順に記憶しておき、記憶した物体の検知位置を物体毎に読み出して、XY平面における各物体の移動軌跡を算出し、こうして算出した各物体の移動軌跡を基に物体が所定時間後に到達する位置を移動先として予測する。その後、S130に移行する。
【0030】
S130では、追尾範囲を設定する。具体的には、運転支援装置10が、S120にて予測された物体の移動先のX座標およびY座標を基準として、X座標およびY座標のそれぞれについて、所定の幅を持たせた領域を、物体を追尾するための追尾範囲として設定する。その後、S140に移行する。
【0031】
S140では、追尾範囲を限定する。具体的には、運転支援装置10が、S130にて設定された追尾範囲から除外領域を除外することで、追尾範囲を限定する。除外領域の設定方法については既に説明したので、ここでは省略する。その後、S150に移行する。
【0032】
S150では、追尾範囲内に物体を検知したか否かを判断する。具体的には、運転支援装置10が、レーダセンサ22により検出された物体情報を取得し、取得した物体情報に基づき、S140にて除外領域を除外された後の追尾範囲内に物体を検知したか否かを判断する。肯定判断である場合には(S150:YES)、S160に移行する。一方、否定判断である場合には(S150:NO)、S170に移行する。
【0033】
S160では、追尾処理を実行する。具体的には、運転支援装置10が、今回の運転支援処理実行時(以下今回サイクル時)のS150にて検知された物体毎に、これら物体が前回の運転支援処理実行時(以下前回サイクル時)に検知された物体と履歴継続があって同一の物標であることを判定する。より具体的には、RAM16などの記憶手段の記憶内容を参照して、前回サイクル時に検知された物体について、XY平面における各物体の移動軌跡を算出し、算出した各物体の移動軌跡を基に各物体が今回サイクル時に到達する位置とその位置での移動方向および移動速度とを予測する。そして、予測した位置、移動方向および速度と今回サイクル時のS150にて検知された物体の位置、移動方向および速度との差分が、それぞれ予め設定された上限値より小さい場合に、履歴接続があると判断する。なお、今回サイクル時のS150にて検知された物体には、履歴接続のあると判断された前サイクル時に検知された物体に関する情報が順次引き継がれていく。その後、S180に移行する。
【0034】
S170では、外挿処理を実行する。具体的には、運転支援装置10が、今回サイクル時のS150にて物体が検知されなかったことを受けて、今回サイクル時のS150にて物体が検知されたと仮定して、前回サイクル時に検知された物体に対する履歴継続を行う。より具体的には、RAM16などの記憶手段の記憶内容を参照して、前回サイクル時に検知された物体について、XY平面における各物体の移動軌跡を算出し、算出した各物体の移動軌跡を基に各物体が今回サイクル時に到達する位置とその位置での移動方向および移動速度とを予測する。そして、予測した位置、移動方向および速度の通りに物標が検出されたと仮定し、このような物標を今回サイクル時にて検知された物体として外挿する。なお、このように外挿された物体には、仮定の基となった前サイクル時に検知された物体に関する情報が順次引き継がれていく。その後、S180に移行する。
【0035】
S180では、衝突の可能性があるか否かを判断する。具体的には、運転支援装置10が、物体毎に、自車両に対する物体の相対速度と自車両と物体との距離とに基づいてTTCを算出し、物体と自車両とが接近してTTCが短くなり閾値に達すると、自車両と物体とが衝突する可能性があると判断する。肯定判断である場合には(S180:YES)、S190に移行する。一方、否定判断である場合には(S180:NO)、本処理を終了する。
【0036】
S190では、警報を発生させる。具体的には、運転支援装置10が、S180にて自車両と物体とが衝突する可能性があると判断されたことを受けて、制御対象30を制御して、警報装置による警報を発生させる。その後、本処理を終了する。
【0037】
[3.実施形態の効果]
このように本実施形態の運転支援システム1によれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、本実施形態の運転支援システム1においては、自車両の周囲に存在する物体を追尾するための追尾範囲を設定する際に、予測された物体の移動先を追尾範囲に含めるが、自車両から見て物体の移動先の背後となる領域を除外領域として追尾範囲から除外する。つまり、追尾対象として適切ではない物体が検知される可能性の高い領域が、追尾範囲から除外されるので、追尾対象として適切ではない物体が検知される可能性が低くなる。したがって、精度良く物体を追尾することができる。
【0038】
[4.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0039】
(1)上記実施形態では、運転支援処理のS190において、自車両と物体とが衝突する可能性があると判断されたことを受けて、制御対象30を制御して、警報装置による警報を発生させるが、これには限られず、他の手法を用いて、自車両の周囲に存在する物体と自車両との衝突を回避するか、あるいは衝突による被害を軽減するための運転支援を実行してもよい。一例を挙げると、制御対象30を制御して、ブレーキやステアリング、シートベルト等を駆動するといった具合である。
【0040】
(2)上述した運転支援システムの他、当該運転支援システムを構成する運転支援装置、当該運転支援装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した記録媒体、運転支援方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1…運転支援システム、10…運転支援装置、12…CPU、14…ROM、16…RAM、20…カメラセンサ、22…レーダセンサ、24…ヨーレートセンサ、26…車輪速センサ、30…制御対象101…物体検知部、102…移動予測部、103…追尾範囲設定部、104…追尾範囲限定部、105…衝突判定部、106…衝突警報部。
図1
図2
図3
図4