特許第6431222号(P6431222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6431222
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】階層納骨構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20181119BHJP
【FI】
   E04H13/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-21064(P2018-21064)
(22)【出願日】2018年2月8日
【審査請求日】2018年3月5日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518047746
【氏名又は名称】株式会社三幸パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】浅香 良花
(72)【発明者】
【氏名】坂本 佳宣
(72)【発明者】
【氏名】山本 健市
【審査官】 小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−055844(JP,A)
【文献】 特開2000−110408(JP,A)
【文献】 実開平07−034740(JP,U)
【文献】 特開2006−328815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
A47G 33/00
A47B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層納骨ユニットと、
前記階層納骨ユニットと鉛直方向に沿って重なって隣接する少なくとも1つの階層納骨ユニットと
を備え、
前記階層納骨ユニットは、
遺骨を含む対象物を収容するための収容空間を、水平方向に沿って隣接する複数の区分収容空間に区分するフレーム部材と、
前記対象物を収容可能に、前記フレーム部材の少なくとも一部を覆う石部材と
を備え、
前記フレーム部材は、
鉛直方向に沿って延びる柱状の支柱部と、
前記支柱部の周面から前記支柱部の径方向外側に向けて延びている壁部と
を含み、
前記壁部は、
前記収容空間の底壁を形成する多角形板状の底壁部と、
前記底壁部から立設する複数の側壁部と
を含み、
前記複数の側壁部は、前記底壁部の対角線と重なるように前記支柱部の前記周面の周方向に沿って等間隔で配置され
前記石部材は、前記対象物が載置される載置面を有する床部材を含み、
前記複数の側壁部は、前記床部材を配置するための複数の配置領域に前記底壁部を区分し、
区分された前記底壁部は、貫通した孔部を有し、
前記床部材が前記孔部を覆うように前記配置領域に配置されると、前記載置面は、前記支柱部の前記径方向外側に向けて水平面に対して鉛直下方に傾斜する、階層納骨構造。
【請求項2】
前記支柱部の長手方向に沿った端部は、前記少なくとも1つの階層納骨ユニットと連結自在である、請求項1に記載の階層納骨構造
【請求項3】
前記階層納骨ユニットは、柱状の軸部材を更に備え、
前記支柱部は、前記軸部材の貫通可能な筒状であり、
前記軸部材は、前記支柱部を貫通して延びており、前記少なくとも1つの階層納骨ユニットの水平方向に沿った動きを規制する、請求項1又は請求項2に記載の階層納骨構造
【請求項4】
前記階層納骨ユニットは、前記軸部材に対して前記支柱部を回転自在に支持する軸受部を更に備え、
前記軸受部は、転がり軸受を含む、請求項3に記載の階層納骨構造
【請求項5】
数の前記階層納骨ユニットの鉛直方向に沿った上端部を覆う天壁部と、
前記複数の階層納骨ユニットの鉛直方向に沿った下端部の下に配置される台部と
更に備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の階層納骨構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層収容ユニット及び階層収容構造に関する。
【背景技術】
【0002】
石材で構成された複数の納骨室を備える納骨墓が知られている。このような納骨墓として、特許文献1に記載の納骨墓は、専用の扉を有する納骨室に複数の骨壷の各々を収容する。特許文献1に記載の納骨墓は、複数の納骨室で構成されるブロック体を多角柱状に積み重ねる。特許文献1に記載の納骨墓によれば、複数の骨壷を個別に整然と収容できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3167842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の納骨墓では、石材の重量が大きいため、複数のブロック体同士を位置決めして積み重ねることが容易ではない。従って、納骨のための収容空間を鉛直方向に沿って増減することが困難であった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、納骨のための収容空間を鉛直方向に沿って容易に増減できる階層収容ユニット及び階層収容構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る階層収容ユニットは、収容ユニットと鉛直方向に沿って重なるように隣接する。前記階層収容ユニットは、フレーム部材と、石部材とを備える。前記フレーム部材は、前記対象物を収容するための収容空間を、水平方向に沿って隣接する複数の区分収容空間に区分する。前記石部材は、前記対象物を収容可能に、前記フレーム部材の少なくとも一部を覆う。前記フレーム部材は、鉛直方向に沿って延びる柱状の支柱部と、前記支柱部の周面から前記支柱部の径方向外側に向けて延びている壁部とを含む。
【0007】
ある実施形態において、前記支柱部の長手方向に沿った端部は、前記収容ユニットと連結自在である。
【0008】
ある実施形態において、階層収容ユニットは、軸部材を更に備える。前記軸部材は、柱状である。前記支柱部は、前記軸部材の貫通可能な筒状である。前記軸部材は、前記支柱部を貫通して延びており、前記収容ユニットの水平方向に沿った動きを規制する。
【0009】
ある実施形態において、階層収容ユニットは、軸受部を更に備える。前記軸受部は、前記軸部材に対して前記支柱部を回転自在に支持する。
【0010】
ある実施形態において、前記フレーム部材を構成する材料は、金属である。前記壁部は、前記収容空間の底壁を形成する多角形板状の底壁部と、前記底壁部から立設する複数の側壁部とを含む。前記支柱部は、前記底壁部の中心から立設する。前記複数の側壁部は、前記底壁部の対角線と重なるように前記支柱部の前記周面の周方向に沿って等間隔で配置される。
【0011】
ある実施形態において、前記石部材は、床部材を含む。前記床部材は、前記対象物が載置される載置面を有する。前記複数の側壁部は、前記床部材を配置するための複数の配置領域に前記底壁部を区分する。前記床部材が前記配置領域に配置されると、前記載置面は、前記支柱部の前記径方向外側に向けて水平面に対して鉛直下方に傾斜する。
【0012】
本発明に係る階層収容構造は、上記に記載の階層収容ユニットと、少なくとも1つの前記階層収容ユニットと、天壁部と、台部とを備える。少なくとも1つの前記階層収容ユニットは、前記階層収容ユニットと鉛直方向に沿って隣接する。前記天壁部は、複数の前記階層収容ユニットの鉛直方向に沿った上端部を覆う。前記台部は、前記複数の階層収容ユニットの鉛直方向に沿った下端部の下に配置される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、納骨のための収容空間を鉛直方向に沿って容易に増減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る階層収容ユニットを示す斜視図である。
図2】(a)は、本発明の実施形態に係る階層収容ユニットのフレーム部材を示す平面図であり、(b)は、フレーム部材を示す側面図である。
図3】(a)は、本発明の実施形態に係る階層収容ユニットにおける床部材を示す平面図であり、(b)は、床部材を示す側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る階層収容構造を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る階層収容構造における、天壁部の一部を示す平面図である。
図6】本発明の実施形態に係る階層収容構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0016】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る階層収容ユニット1の基本構成を説明する。図1は、階層収容ユニット1を示す斜視図である。
【0017】
階層収容ユニット1は、例えば、多角柱状の柱体である。階層収容ユニット1は、他の階層収容ユニット1(「収容ユニット」に相当する。)と鉛直方向Zに沿って隣接する。階層収容ユニット1は、対象物Uを収容可能である。詳細には、階層収容ユニット1は、隣接する階層収容ユニット1とともに階層収容構造を構成する。階層収容構造は、例えば、階層構造を有する納骨堂である。対象物Uは、例えば、骨壷、又は小型の葬祭用具であるが、これらに限られない。納骨堂は、例えば、墓、又は対象物Uの一時的な収容施設として機能する。階層収容構造には、複数の対象物Uを収容可能である。なお、階層収容構造の構成については、図4を参照して後述する。
【0018】
階層収容ユニット1は、鉛直方向Zに沿って他の階層収容ユニット1と隣接して配置される。以下では、階層収容ユニット1(第1階層収容ユニット1A)と隣接する階層収容ユニット1を「隣接階層収容ユニット」、第1階層収容ユニット1A上に配置される隣接階層収容ユニットを「第2階層収容ユニット1B」、第1階層収容ユニット1A下に配置される隣接階層収容ユニットを「第3階層収容ユニット1C」と記載することがある。階層収容ユニット1と隣接階層収容ユニットとは、互いに同様の構成を備えることが好ましい。以下では、階層収容ユニット1と隣接階層収容ユニットとが同様の構成を備える実施形態について説明する。なお、実施形態の説明が煩雑になることを避けるため、同様の構成については図の記載と説明とを省略することがある。
【0019】
階層収容ユニット1は、フレーム部材10と、石部材20とを備える。フレーム部材10は、対象物Uを収容するための収容空間Sを複数の区分収容空間SSに区分する。複数の区分収容空間SSは、水平方向に沿って隣接する。具体的には、フレーム部材10を構成する材料は、SUS(Steel Use Stainless:ステンレス鋼)、又はチタン合金のような金属である。フレーム部材10は、石部材20を支持する。フレーム部材10は、支柱部11と、壁部12とを含む。
【0020】
支柱部11は、鉛直方向Zに沿って延びており、柱状である。支柱部11は、例えば、中実又は中空の円柱である。支柱部11の長手方向に沿った端部11Aは、隣接階層収容ユニット1と連結自在である。すなわち、端部11Aは、階層収容ユニット1と隣接階層収容ユニット1とを連結する連結機構を構成する。詳細には、端部11Aは、鉛直方向Zに沿った上端部11A1と下端部11A2とを含む。第1階層収容ユニット1Aの上端部11A1は、第2階層収容ユニット1Bの下端部11A2と当接する。第1階層収容ユニット1Aの下端部11A2は、第3階層収容ユニット1Cの上端部11A1と当接する。例えば、上端部11A1の形状は、下端部11A2の形状に対応して形成されている。階層収容ユニット1の上端部11A1と、対向する隣接階層収容ユニット1の下端部11A2とを当接又は離間すると、階層収容ユニット1同士を容易に連結でき、又は連結を解除できる。
【0021】
壁部12は、支柱部11の軸線に対して、支柱部11の周面11Bから支柱部11の径方向外側に向けて延びている。なお、壁部12の構成の詳細については、図2を参照して後述する。
【0022】
石部材20は、対象物Uを収容可能に、フレーム部材10の少なくとも一部を覆う。具体的には、石部材20を構成する材料は、花崗岩のような石である。石部材20は、例えば、矩形板状、略三角板状、略台形板状、又は角柱状である。石部材20は、収容空間Sの外部に対してフレーム部材10の一部を覆うように、フレーム部材10に固定される。例えば、石部材20は、フレーム部材10の表面に接着される。
【0023】
石部材20は、床部材21と、扉部材22とを含む。床部材21は、対象物Uが載置される載置面21Aを有する。扉部材22は、開放口M近傍の壁部12に、開放口Mを開閉自在に取り付けられる。開放口Mは、階層収容ユニット1の鉛直方向Zに沿った外周面に形成される。ユーザーは、例えば、扉部材22の外側面に吸盤部材(図示せず)を吸着させ、吸盤部材を把持しながら扉部材22を動作させる。
【0024】
フレーム部材10と石部材20とは、複数の収容室40を構成する。すなわち、支柱部11の周囲には、複数の収容室40が支柱部11を取り囲むように水平方向に沿って環状に連続して形成される。収容室40は、例えば、納骨室である。例えば、複数の収容室40の数が8室である実施形態において、複数の収容室40は、収容室40A、収容室40B、収容室40C、収容室40D、収容室40E、収容室40F、収容室40G、及び収容室40Hである。複数の区分収容空間SSの各々は、複数の収容室40A〜40Hの各々に対応する。複数の収容室40A〜40Hの各々は、支柱部11の周面11Bから支柱部11の径方向外側に向けて、階層収容ユニット1の外周面において開口している。複数の収容室40A〜40Hの各々は、例えば、1又2の対象物Uを開放口Mを介して収容可能である。
【0025】
以上、図1を参照して説明したように、本実施形態によれば、階層収容ユニット1は、他の階層収容ユニット1と鉛直方向Zに沿って重なるように隣接する。階層収容ユニット1は、フレーム部材10と、石部材20とを備える。フレーム部材10は、水平方向に沿って隣接する複数の区分収容空間SSに収容空間Sを区分する。石部材20は、フレーム部材10の少なくとも一部を覆う。フレーム部材10は、支柱部11と、壁部12とを含む。支柱部11は、鉛直方向Zに沿って延びており、柱状である。壁部12は、支柱部11の周面11Bから支柱部11の径方向外側に向けて延びている。このように階層収容ユニット1同士を支柱部11で位置決めして積み重ねることによって、納骨堂のような階層収容構造を軽量化しつつ構成し得る。従って、納骨のための収容空間Sを鉛直方向Zに沿って容易に増減できる。
【0026】
さらに、本実施形態によれば、支柱部11の長手方向に沿った端部11Aは、他の階層収容ユニット1の端部11Aと連結自在に構成し得る。これにより、階層収容ユニット1同士を積み重ねた姿勢を容易に安定させることができる。
【0027】
なお、図1に示すように、階層収容ユニット1は、軸部材30を更に備えることが好ましい。詳細には、軸部材30は柱状である。軸部材30は、例えば、中実の円柱である。軸部材30を構成する材料は、金属(例えば、SUS、又はチタン合金)である。階層収容ユニット1が軸部材30を備える実施形態において、支柱部11は、軸部材30の貫通可能な筒状である。支柱部11は、例えば、円筒状である。軸部材30の直径は、支柱部11の直径よりも小さい。
【0028】
軸部材30は、支柱部11を貫通して延びており、隣接階層収容ユニット1の水平方向に沿った動きを規制する。すなわち、軸部材30は、端部11Aとともに階層収容ユニット1と隣接階層収容ユニット1との連結機構を構成し得る。従って、複数の階層収容ユニット1同士を容易に位置決めできるとともに、階層収容構造の姿勢を更に容易に安定させることができる。さらに、軸部材30を軸として階層収容ユニット1を容易に回転させることができる。従って、収容室40の開放口Mの方角を調整する際の利便性を向上させることができる。その結果、納骨堂の設置場所(例えば、部屋の壁際、又は幅狭の屋内)の選択可能性を向上させることができる。なお、以下の本明細書では、階層収容ユニット1が軸部材30を備える実施形態について説明する。
【0029】
次に、引き続き図1を参照しつつ、図2を参照して、フレーム部材10の構成の詳細について説明する。図2(a)は、フレーム部材10を示す平面図である。図2(b)は、フレーム部材10を示す側面図である。
【0030】
図2(a)及び(b)に示すように、壁部12は、底壁部12Aと、複数の側壁部12Bとを含む。底壁部12Aは、例えば、多角形板状であり、収容空間Sの底壁を形成する。支柱部11は、底壁部12Aの中心から立設する。側壁部12Bは、例えば、矩形板状である。複数の側壁部12Bは、底壁部12Aから鉛直方向Zに沿って立設する。複数の側壁部12Bは、底壁部12Aの対角線と重なるように、支柱部11の周面11Bの周方向に沿って等間隔で配置される。すなわち、複数の側壁部12Bは、底壁部12Aを複数の区分底壁部12A1に区分する。区分底壁部12A1は、例えば、平面視において略三角形状、又は略台形状である。区分底壁部12A1は、孔部12A2を有し得る。孔部12A2は、区分底壁部12A1を貫通しているため、フレーム部材10の重量を低減できる。
【0031】
第1階層収容ユニット1A上に第2階層収容ユニット1Bが載置されると、第2階層収容ユニット1Bの底壁部12Aが第1階層収容ユニット1Aのフレーム部材10の上端面10Aの位置に配置され、収容空間Sの天井壁を兼ねる。換言すれば、第1階層収容ユニット1Aの支柱部11の上端部11A1と、側壁部12Bの上端部12B1とは、第2階層収容ユニット1Bの底壁部12Aの下面を、支柱部11の軸線に対して対称な位置で支持する。
【0032】
以上、図2を参照して説明したように、本実施形態によれば、フレーム部材10を構成する材料は、金属である。支柱部11は、底壁部12Aの中心から立設する。複数の側壁部12Bは、底壁部12Aから鉛直方向Zに沿って立設する。複数の側壁部12Bは、底壁部12Aの対角線と重なるように、支柱部11の周面11Bの周方向に沿って等間隔で配置される。このようにして、支柱部11の軸線に対して複数の区分収容空間SSを均等に形成できる。従って、複数の階層収容ユニット1が積み重ねられた際に、下方のフレーム部材10は、上方の階層収容ユニット1の重量を分散して支持できる。その結果、階層収容ユニット1に部分的な歪みが生じることを抑制できる。さらに、石の部材と金属の部材とを組み合わせて構成するため、階層収容ユニット1の総重量を低減できる。
【0033】
次に、引き続き図1図2とを参照しつつ、更に図3を参照して、床部材21の構成の詳細について説明する。図3(a)は、床部材21を示す平面図である。図3(b)は、床部材21を示す側面図である。対象物Uが載置される載置面21Aは、支柱部11の径方向外側に向けて水平面に対して鉛直下方に傾斜することが好ましい。詳細には、図3(a)に示すように、床部材21は、例えば、略三角形板状、又は略台形板状である。図2を参照して説明した区分底壁部12A1の上面は、図3(b)に示すように、床部材21を配置するための「配置領域」に相当する。
【0034】
床部材21が区分底壁部12A1に配置されると、載置面21Aは、支柱部11の径方向外側に向けて水平面に対して鉛直下方に傾斜する。すなわち、床部材21が区分底壁部12A1に配置された状態において、支柱部11の径方向Dに沿った床部材21の端部のうち、支柱部11の周面11Bから遠い端部21Cの高さH1は、周面11Bから近い端部21Bの高さH2よりも小さい。高さH1は、区分底壁部12A1の上面から端部21Cの上端までの高さを示す。高さH2は、区分底壁部12A1の上面から端部21Bの上端までの高さを示す。載置面21Aの傾斜状態は、床部材21の厚みの差で構成してもよいし、床部材21を傾けた状態で区分底壁部12A1に配置して構成してもよい。従って、階層収容ユニット1の内部に雨水が浸透した場合であっても、雨水が載置面21Aを伝って階層収容ユニット1の外部に排出される。その結果、不要な水分が階層収容ユニット1の内部に滞留することを抑制できる。
【0035】
次に、図1図3を参照しつつ、更に図4図6を参照して、本発明の実施形態に係る階層収容構造100の構成について説明する。図4は、階層収容構造100を示す斜視図である。図5は、階層収容構造100における天壁部130の一部を示す平面図である。図6は、階層収容構造100を示す側面図である。階層収容構造100は、図1図3を参照して説明した階層収容ユニット1と、少なくとも1つの隣接階層収容ユニット1とに加えて、台部120と、天壁部130とを備える。階層収容ユニット1と少なくとも1つの隣接階層収容ユニット1とは、階層収容構造本体110を構成する。階層収容構造本体110は、「複数の階層収容ユニット」に相当する。
【0036】
階層収容構造本体110は、例えば、図1図3を参照して説明した第1階層収容ユニット1Aと第2階層収容ユニット1Bと第3階層収容ユニット1Cとに加えて、第4階層収容ユニット1Dと、第5階層収容ユニット1Eとを含む。第4階層収容ユニット1Dは、鉛直方向Zに沿って第3階層収容ユニット1C下に隣接して配置される。第5階層収容ユニット1Eは、鉛直方向Zに沿って第4階層収容ユニット1D下に隣接して配置される。第4階層収容ユニット1Dと第5階層収容ユニット1Eとは、階層収容ユニット1と同様の構成を備えることが好ましい。階層収容構造本体110によれば、墓地の1聖地で、例えば、合計40室の収容室40(納骨室)を提供できる。従って、土地の面積当たりの収容力を向上させることができる。なお、実施形態の説明が煩雑になることを避けるため、同様の構成については図の記載と説明とを省略することがある。
【0037】
台部120は、階層収容構造本体110の鉛直方向Zに沿った下端部112の下に配置される。以下、階層収容構造本体110の鉛直方向Zに沿った下端部112を「本体下端部112」と記載する。具体的には、台部120は、階層収容構造本体110を支持する台である。台部120は、台石部材121と、台フレーム部材122とを含む。台石部材121を構成する材料は、石部材20と同様に、石である。台石部材121は、例えば、角柱状である。台石部材121は、例えば、2段の環状に並べて配置される。
【0038】
台フレーム部材122は、例えば、本体下端部112と台石部材121との間に配置され、本体下端部112を支持する。台フレーム部材122を構成する材料は、フレーム部材10と同様に、金属である。台フレーム部材122は、例えば、中心に貫通孔を有する多角形板状の部材を含む。図1を参照して説明した軸部材30は、台フレーム部材122の貫通孔を貫通可能である。台部120と階層収容構造本体110とは、階層収容ユニット1同士の連結機構による連結と同様に、連結自在である。
【0039】
天壁部130は、階層収容構造本体110の鉛直方向Zに沿った上端部111を覆う。以下、階層収容構造本体110の鉛直方向Zに沿った上端部111を「本体上端部111」と記載する。具体的には、天壁部130は、階層収容構造本体110の天壁を形成する。天壁部130は、天壁石部材131と、天壁フレーム部材132とを含む。天壁石部材131は、外部に対して天壁フレーム部材132を覆うように、天壁フレーム部材132に固定される。天壁石部材131を構成する材料は、石部材20と同様に、石である。天壁石部材131は、例えば、略三角板状、略台形板状、角柱状、又は団子形状である。
【0040】
天壁フレーム部材132は、本体上端部111と天壁石部材131との間に配置され、天壁石部材131を支持する。天壁フレーム部材132を構成する材料は、フレーム部材10と同様に、金属である。図5に示すように、天壁フレーム部材132は、例えば、多角形板部材133と棒部材134と円筒部材135とを含む。円筒部材135は、多角形板部材133の中心から立設する。図1を参照して説明した軸部材30は、円筒部材135を貫通可能である。天壁部130と階層収容構造本体110とは、階層収容ユニット1同士の連結機構による連結と同様に、連結自在である。図6に示すように、軸部材30は、例えば、支柱部11の軸線上を、天壁部130から階層収容構造本体110を経由して台部120まで挿通し得る。さらに、軸部材30の下部の先端は、台部120を挿通して地面に固定され得る。従って、階層収容構造100の姿勢を安定させることができる。その結果、階層収容構造100の耐震性を向上させることができる。
【0041】
なお、図6に示すように、階層収容ユニット1は、軸受部50を更に備えることが好ましい。軸受部50は、軸部材30に対して支柱部11を回転自在に支持する。具体的には、軸受部50は、軸受ユニットであり、例えば、円筒孔を有する転がり軸受ユニットである。軸受部50は、玉軸受のような転がり軸受と、軸受箱とを含む。軸受部50は、本体下端部112において支柱部11の下端部11A2近傍に配置されて、階層収容構造本体110と台部120とを接続する。例えば、軸受部50は、支柱部11の下端部11A2と、台フレーム部材122とを接続する。軸部材30は、軸受部50の円筒孔を挿通する。従って、階層収容ユニット1を更に容易に回転させることができる。その結果、収容室40の開放口Mの方角を調整する際の利便性を更に向上させることができる。なお、軸受部50は、本体上端部111において上端部11A1近傍に更に配置されていてもよい。すなわち、軸受部50は、階層収容構造本体110と天壁部130とを接続することもできる。
【0042】
以上、図面(図1図6)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
(1)図1図6を参照して説明した石部材20を構成する材料は、石であったが、本発明はこれに限られない。石部材20は、例えば、金属部材を含んでいてもよい。例えば、扉部材22は、金属材料で構成されるスライド式の蝶番部材を含み得る。このような実施形態において、蝶番部材は、側壁部12Bと矩形板状の石板部材とを接続する。蝶番部材は、側壁部12Bに対して石板部材を回動可能に石板部材の端部を保持する。
【0044】
(2)図1を参照して説明した支柱部11は、円柱状であったが、本発明はこれに限られない。支柱部11の形状は、隣接する階層収容ユニットの端部11Aが互いに当接可能でありさえすればよい。支柱部11は、例えば、角柱状及び角筒状であってもよい。具体的には、支柱部11は、例えば、中実又は中空の多角柱であってもよい。
【0045】
(3)図1を参照して説明した階層収容ユニット1と隣接階層収容ユニット1との連結機構において、支柱部11の上端部11A1の形状は、下端部11A2の形状に対応して形成されており、互いに当接していたが、本発明はこれに限られない。端部11Aの形状は、例えば、鉛直方向Zに沿って凹状又は凸状であってもよい。上端部11A1は、例えば、凹状に形成される。下端部11A2は、上端部11A1に対応して凸状に形成される。階層収容ユニット1の上端部11A1と、対向する隣接階層収容ユニット1の下端部11A2とを嵌合することによって、隣接する階層収容ユニット1同士を固定できる。従って、簡易な構成で階層収容ユニット同士を強固に連結できる。
【0046】
また、端部11Aの形状は、例えば、螺子状であってもよい。上端部11A1は、例えば、雌螺子状に形成される。下端部11A2は、上端部11A1に対応して雄螺子状に形成される。階層収容ユニット1の上端部11A1と、対向する隣接階層収容ユニット1の下端部11A2とを螺合することによって、隣接する階層収容ユニット1同士を固定できる。従って、簡易な構成で階層収容ユニット同士を更に強固に連結できる。
【0047】
また、筒状の支柱部11を軸部材30が挿通する実施形態では、端部11A同士は、互いに積み重ね可能な形状でありさえすればよい。すなわち、連結機構は、隣接する階層収容ユニット1同士による水平方向の位置ズレを抑制可能でありさえすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、階層収容構造の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1、1A、1B、1C、1D、1E 階層収容ユニット、収容ユニット
10 フレーム部材
100 階層収容構造
11 支柱部
11A 端部
111 上端部(本体上端部)
112 下端部(本体下端部)
11B 周面
12 壁部
120 台部
130 天壁部
20 石部材
S 収容空間
SS 区分収容空間
U 対象物
Z 鉛直方向
【要約】
【課題】納骨のための収容空間を鉛直方向に沿って容易に増減できる階層収容ユニットを提供する。
【解決手段】階層収容ユニット1、1Aは、収容ユニット1、1B、1Cと鉛直方向Zに沿って重なるように隣接する。階層収容ユニット1は、フレーム部材10と、石部材20とを備える。フレーム部材10は、対象物Uを収容するための収容空間Sを、水平方向に沿って隣接する複数の区分収容空間SSに区分する。石部材20は、対象物Uを収容可能に、フレーム部材10の少なくとも一部を覆う。フレーム部材10は、鉛直方向Zに沿って延びる柱状の支柱部11と、支柱部11の周面11Bから支柱部11の径方向外側に向けて延びている壁部12とを含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6