(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記放射線照射手段による放射線照射可能者の生体情報リストと、前記操作者の識別情報とを照合して前記操作者を識別し、当該操作者について前記放射線照射手段による照射の可否を判定することを特徴とする請求項1に記載の放射線照射システム。
前記制御手段は、前記放射線照射手段による放射線照射可能者の生体情報リストに、前記操作者の識別情報が含まれない場合、当該操作者について前記放射線照射手段による照射を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線照射システム。
前記制御手段は、前記撮影オーダの実行が指示されて前記放射線照射手段が放射線照射の準備モードへ移行してから前記操作指示手段により前記放射線の照射が指示されるまでの経過時間を無操作時間としてカウントし、前記無操作時間が所定時間以上になった場合に前記撮影オーダの実行を取り消すことを特徴とする請求項4に記載の放射線照射システム。
前記制御手段は、所定期間の累積被曝線量が所定量に達した操作者を、放射線照射可能者の生体情報リストから除外することを特徴とする請求項7に記載の放射線照射システム。
前記生体情報取得手段は、操作者の指紋、掌または指の静脈分布、虹彩、声紋のうち少なくとも1つ以上の生体情報を取得することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の放射線照射システム。
前記操作指示手段は、前記生体情報取得手段を動作させるための第一のボタンと、放射線照射信号を生成する第二のボタンとを含む少なくとも2段以上の押下ボタンを備え、
前記第一のボタンが前記第二のボタンよりも先に押下されることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の放射線照射システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、各実施形態に示される撮影モダリティの種類や数および各種表示部における表示内容、構成要素間の通信方式は、本文および図中に示す限りではない。
【0012】
(第1実施形態)
<1.放射線照射システムの構成>
まず
図1を参照して、第1乃至第3実施形態に係る放射線照射システム1の構成例を説明する。放射線照射システム1は、操作指示部10(操作指示装置10)と、制御部20(放射線照射制御装置20)と、放射線照射部30(放射線照射装置30)とを有する。操作指示部10は生体情報取得部100を備えている。
【0013】
操作指示部10は、放射線照射部30から被写体へ向けて放射線照射を実行するための操作指示を操作者から受け付ける。操作指示部10生体情報取得部100は、操作指示部10を操作している操作者から、例えば指紋情報、声紋情報、静脈情報、虹彩情報等の生体情報を取得する。
【0014】
操作指示部10は、操作者による放射線照射を実行するための操作指示に基づいて、生体情報取得部100により識別された操作者の生体情報とともに、放射線照射指示信号を制御部20へ送信する。
【0015】
制御部20は、操作指示部10から受信した生体情報に基づいて操作者を識別して、当該操作者による放射線照射の可否を判定する。放射線照射可能な操作者である場合、放射線照射指示信号を放射線照射部30へ送信する。制御部20は、放射線照射部30から照射が完了したことを通知されると、放射線照射部30による放射線照射履歴と、当該操作指示部10操作者とを関連付けて管理する。
【0016】
放射線照射部30は、制御部20から受信した放射線照射指示信号に応じて、被写体へ放射線を照射する。放射線照射部30は、照射が完了すると放射線を照射したことを制御部20に通知する。
【0017】
<2.操作部の構成>
次に、
図2を参照して、操作指示部10の外観構成の一例を説明する。まず
図2(a)に示すように、操作指示部10は放射線照射ボタン11を備えている。操作指示部10は、放射線照射ボタン11が所定の深さまで押込まれると、制御部20に対して放射線照射信号を送信する。また放射線照射ボタン11には、押込み時に操作者の親指が触れる面に生体情報取得部100として機能する指紋センサS1が設けられており、操作指示部10は、指紋センサS1により検出した親指の指紋情報を生体情報として制御部20に送信する。制御部20は、指紋情報から個人を特定するための指紋リストを備えており、当該指紋リストと指紋情報とを照合して操作者を識別する。
【0018】
図2(a)の構成の場合、操作者は放射線照射ボタン11を親指で押込む限り操作指示部10をどの方向から操作しても良く、制御部20に送信される指紋情報に向きの情報は含まれていない。ただし、指紋照合のためには取得する指紋の向きがそろっていることが望ましい。そこで、
図2(b)に示すように、操作者が操作指示部10を握る向きが限定される形状にしてもよい。すなわち、操作者にとって放射線照射ボタン11を押し易い向きが限定されており、親指で放射線照射ボタン11を押込む限り、得られる指紋情報には放射線照射ボタン11の傾斜に従った向き情報が付加される。
【0019】
さらに、
図2(c)に示すように、操作者が操作指示部10を把持する際に親指以外の指が触れる部分に接触検知部S0を設けてもよい。左右(図中では手前・奥)どちらの接触検知部に指の少なくとも一部が触れたかによって、左手/右手どちらの手で操作されたかを判定することで、得られた指紋情報に「どちらの手の、どの方向を向いた指か」という情報が付加されるため、操作者特定の精度が向上する。また、接触検知部S0が指の接触を検知しなかった場合、放射線照射ボタン11の操作を許可しないか、もしくは無効化するように制御してもよい。これにより、操作者情報が取得できないまま放射線が照射されることを防止することができる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態の操作部によれば、生体情報として指紋情報を使用し、操作者が放射線照射ボタンを押下するという従来と同様の操作を行うだけで操作者を識別することが可能となる。
【0021】
(第2実施形態)
第2実施形態では、生体情報取得部として静脈分布センサを使用する例について説明する。
図3を参照して、第2実施形態に係る操作指示部10の外観構成の一例を説明する。
図3(a)−
図3(d)に示すように、操作指示部10には、生体情報取得部100として、静脈情報を取得する静脈分布センサS2が操作の際に握られる胴体部分に設けられている。胴体部分は操作者の手で把持可能な楕円筒形状の部位を有する。
【0022】
静脈分布センサS2はセンシング対象によって種類と配置位置が異なっており、
図3(a)−
図3(c)の構成では掌がセンシング対象であり、
図3(d)の構成では指がセンシング対象となっている。そして掌もしくは指と接触位置と一致する位置に静脈分布センサS2がそれぞれ配置されている。いずれの例でも、静脈分布センサS2は、放射線照射ボタン11が押込まれたことを検知した場合にのみ動作するように構成し、誤検知を防止する。
【0023】
図3(b)−
図3(d)の構成は、
図3(a)の構成に対して操作指示部10が握られる方向を限定する形状にしたものである。さらに
図3(b)および
図3(c)の構成は、
図3(a)の構成に対して、掌が静脈分布センサS2に確実に密着されるように、放射線照射ボタン11を静脈分布センサS2から遠い位置に配置したものである。
【0024】
さらに
図3(c)の構成は、
図3(b)の構成に対し、操作者が操作指示部10を把持する際に親指以外の指が触れる部分に接触検知部S0を追加したものであり、左右(図中では手前・奥)どちらの接触検知部に指が触れたかによって、左右どちらの手で操作されたかを判定できる。接触検知部S0により得られた「どちらの手の、どの方向を向いた指か」という情報によって、操作者の特定精度がより向上する。
【0025】
また、接触検知部S0が指の接触を検知しなかった場合、放射線照射ボタン11の操作を許可しないか、もしくは無効化するように制御してもよい。これにより、操作者情報が取得できないまま放射線が照射されることを防止することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の操作部によれば、生体情報として静脈センサの情報を使用し、操作者が放射線照射ボタンを押下するという従来と同様の操作を行うだけで操作者を識別することが可能となる。
【0027】
(第3実施形態)
第3実施形態では、携帯情報端末を操作指示部10として機能させる例を説明する。
図4(a)−
図4(c)に示すように、操作指示部10は携帯情報端末により構成されている。
【0028】
操作指示部10は、被写体の氏名、撮影部位、放射線照射条件を含む撮影オーダを不図示の域内サーバから受信して表示部Dに表示させる。操作者が撮影オーダを実行する場合は、まず
図4(a)のように表示された撮影オーダ情報を確認した後、撮影実行ボタンBをタップする。続いて、
図4(b)、
図4(c)のような放射線を照射するか否かを確認するウィンドウを表示部Dに表示させる。操作者が放射線照射を意図する放射線照射ボタン11(YESボタン)をタップすると、操作指示部10が放射線照射信号を制御部20に送信する。その後、制御部20が放射線照射部30に放射線照射信号を送信することで、放射線照射部30から放射線が照射される。
【0029】
ここで操作指示部10は、生体情報取得部100として、表示部Dと同一面にカメラCを備えており、放射線照射ボタン11がタップされたことを検知すると、カメラCで操作者の顔を撮影し、撮影データを操作者情報として制御部20に送信する。なお、表示部D内に放射線照射ボタン11が映し出される位置は、
図4(b)のように画面下方であったり、
図4(c)のように画面上方であったりと毎回ランダムに変化する。これにより、操作者は放射線照射ボタン11をタップする際表示部Dを見るようになるので、カメラCが操作者の顔を確実に捉えることができる。
【0030】
また、操作指示部10は、カメラCで撮影した操作者の顔データから顔の輪郭やパーツ配置、虹彩を抽出する不図示の特徴量抽出部を備えてもよく、抽出された特徴量を操作者情報として制御部20に送信する構成としてもよい。この場合、制御部20に操作者の特徴量を解析する機能をアドオンすることにより、操作者の身元を特定することができるようにする。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作者が撮影オーダの内容を確認しながら放射線照射を実行することができるとともに、操作者情報を安定的に取得することができる。
【0032】
(第4実施形態)
次に
図5を参照して、第4及び第5実施形態に係る放射線照射システム2の構成例を説明する。放射線照射システム2は、操作指示部10と、制御部20と、放射線照射部30とを有する。操作指示部10は、生体情報取得部100と、操作管理部101とを備えている。操作管理部101は、放射線照射部30により放射線照射する権限のある操作者と、当該操作者の生体情報とを関連付けた放射線照射可能者の生体情報リストLを有している。
【0033】
操作管理部101は、生体情報取得部100から取得した操作者の生体情報と、放射線照射可能者の生体情報リストLとを照合して操作者を識別し、当該操作者が放射線照射可能であるか否かを判定する。ここで、操作者が放射線照射可能であると判定された場合、放射線照射信号と当該操作者情報とが操作指示部10から制御部20に送信される。これを受けて、制御部20は、放射線照射信号を放射線照射部30に送信し、これに応じて放射線照射部30から放射線が照射される。
【0034】
本実施形態に係る操作指示部10は、
図2または
図3に示した構成を有している。操作者が操作指示部10を操作し始めるタイミングで、生体情報取得部100としての指紋センサS1または静脈分布センサS2が、操作者の指紋情報または掌/指の静脈分布情報を取得する。これらの操作者の生体情報は、放射線照射可能者の生体情報リストLと照合されて、操作者が識別され、当該操作者による放射線照射の可否が判定される。
【0035】
操作者の生体情報が放射線照射可能者の生体情報リストLに含まれないと判定された場合、操作管理部101は、操作指示部10操作者による放射線照射ボタン11の操作を無効化し、操作指示部10放射線照射信号を制御部20に送信しない。ここで、操作管理部101は操作指示部10、放射線照射が許可されないことを操作者に対して音、光、テキスト表示等により通知してもよい。
【0036】
ここで、放射線照射ボタン11は、
図6(a)および
図6(b)にそれぞれ示すように2段式としてもよい。
図6(a)は生体情報取得部100として指紋センサS1を備えた構成であり、
図6(b)は同様に生体情報取得部100として静脈分布センサS2を備えた構成である。なお、放射線照射ボタン11はさらに他のボタンを含む2段以上の押下ボタンを有する構成であってもよい。
【0037】
図6(a)および
図6(b)において、放射線照射可能な操作者によって全段のボタンが所定の深さ以上押下された場合に放射線が照射される構成であってもよい。放射線照射ボタン11の1段目11Aが所定深さ以上押されたことを操作指示部10が検知すると、指紋センサS1もしくは静脈分布センサS2が指紋情報または掌/指の静脈分布情報の取得を開始する。取得された操作者の生体情報が放射線照射可能者の生体情報リストLに含まれると判定された場合、放射線照射信号を生成する放射線照射ボタン11の2段目11Bが押込み可能であるように制御する。一方、取得された操作者の生体情報が放射線照射可能者の生体情報リストLに含まれないと判定された場合、放射線照射ボタン11の2段目11Bが固定されて押込めないように制御する。これにより、該操作者による放射線照射が防止される。
【0038】
本実施形態によれば、物理的にボタンをロックすることにより、不適格者による放射線照射を効果的に防止することが可能となる。
【0039】
(第5実施形態)
第5実施形態では、携帯情報端末を操作指示部10として機能させる例を説明する。
図7(a)−
図7(b)に示すように、操作指示部10は携帯情報端末により構成されている。
【0040】
操作指示部10は、被写体の氏名、撮影部位、放射線照射条件に加えて、さらに実行予定者を含む撮影オーダを不図示の域内サーバから受信して、不図示の撮影オーダ記憶部に記憶するとともに表示部Dに表示させる。表示部Dの同一面には、生体情報取得部100として指紋センサS1が配置されている。
【0041】
操作者が撮影オーダを実行する場合はまず、
図7(a)のように表示された撮影オーダ情報を確認した後、撮影実行ボタンBをタップする。続いて、
図7(b)のような放射線を照射するか否かを確認するウィンドウを表示させ、YESの場合、操作者が指紋センサS1に指を接触させる。これにより指紋情報(操作者情報)が取得される。
【0042】
次に、
図8のフローチャートを参照して、本発明の一実施形態に係る操作指示部10が実施する処理の手順を説明する。
【0043】
S801において、操作管理部101は、生体情報取得部100により取得された指紋情報を放射線照射可能者の生体情報リストLと照合して操作者を識別する。S802において、操作管理部101は、操作者が生体情報リストLに含まれるか否かを判定する。リストに含まれると判定された場合(S802;Yes)、S803へ進む。一方、リストに含まれないと判定された場合(S802;No)、S806へ進む。
【0044】
S803において、操作管理部101は、操作者が撮影オーダの実行予定者と一致しているか否かを判定する。一致していると判定された場合(803;Yes)、S805へ進む。一方、一致していないと判定された場合(803;No)、S804へ進む。
【0045】
S804において、操作管理部101は、放射線照射信号を制御部20に送信することなく、操作者が撮影オーダの実行予定者でないことを表示部Dに表示させる。そして、操作管理部101は、操作者が撮影オーダの実行予定者と不一致であるものの放射線照射可能者の生体情報リストLに含まれることから、操作者に放射線照射を続行するか否かを問い合わせるためのテキストを表示部Dに表示させて、操作者からの入力に基づいて放射線照射を続行するか否かを判定する。
【0046】
例えば表示部Dに放射線照射ボタン11を表示させて当該放射線照射ボタン11がタップされた場合に放射線照射を続行すると判定する。放射線照射を続行すると判定された場合(804;Yes)、S805へ進む。一方、放射線照射を続行すしないと判定された場合(804;No)、S806へ進む。
【0047】
S805において、操作管理部101は、放射線照射信号および操作者情報を制御部20に送信する。その後、制御部20は、放射線照射信号を放射線照射部30に送信する。制御部20は、これらの情報を放射線照射履歴として記録する。S806において、操作管理部101は、放射線照射部30による放射線の照射を禁止し、撮影オーダの実行をキャンセルする。以上で
図8のフローチャートの処理が終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、予め入力された撮影オーダに指定された条件、実行予定者によって放射線照射が実行されるので、放射線撮影の安全性を確保することができる。また、何らかの理由で実行予定者以外の操作者に対し、放射線照射可能かどうかを判定した上で放射線照射を許可することができるので、撮影オーダを遅滞なく実行することができる。
【0049】
なお、操作管理部101は、撮影実行ボタンBがタップされてから放射線照射ボタン11がタップされるまでの経過時間を無操作時間としてカウントしてもよい。放射線照射部30は、撮影実行ボタンBがタップされると放射線照射の準備モードに移行するため、実際の放射線照射までの間にも電力を浪費することになる。
【0050】
そこで、無操作時間が所定時間以上になった場合、操作管理部101は、制御部20に対して放射線照射取消信号を送信すると共に、
図7(a)のように、表示部Dに撮影オーダ実行をやり直させるための表示を行う。放射線照射取消信号を受信した制御部20は放射線照射部30の放射線照射準備モードを停止させる。これにより、放射線照射部30の無駄な消費電力を抑えることができ、放射線撮影モダリティ全体での消費電力を抑えることができる。
【0051】
(第6実施形態)
次に
図9を参照して、第6実施形態に係る放射線照射システム3の構成例を説明する。放射線照射システム3は、操作指示部10と、制御部20と、放射線照射部30とを有する。制御部20は、放射線照射可能者の生体情報リストLと、表示部Dとを備えている。
【0052】
操作指示部10は、
図2または
図3に示した構成を有しており、放射線照射ボタン11が押し込まれたことを検知すると、生体情報取得部100としての指紋センサS1または静脈分布センサS2で得た操作者情報(指紋データまたは静脈分布データ)を、放射線照射信号と共に制御部20に送信する。
【0053】
制御部20は、操作者情報を放射線照射可能者の生体情報リストLと照合して操作者を識別し、当該操作者に対する放射線照射の可否を判定する。ここで、操作者が放射線照射可能と判定された場合、制御部20は、放射線照射信号を放射線照射部30に送信し、結果、放射線照射部30から放射線が照射される。一方、操作者が放射線照射可能でないと判定された場合、制御部20は放射線照射信号を送信せず、表示部D上で操作者が放射線照射不可能である旨を通知する。
【0054】
本実施形態によれば、放射線照射許可の有無を判定する機能は制御部にアドオンすることを前提としており、操作部には操作者情報を検出する機能のみ実装すればよいので、既存の放射線撮影モダリティへの適用を容易に行うことができる。
【0055】
(第7実施形態)
次に
図10を参照して、第7実施形態に係る放射線照射システム4の構成例を説明する。放射線照射システム4は、操作指示部10と、制御部20と、放射線照射部30とを有する。制御部20は、放射線照射可能者の生体情報リストLと、表示部Dと、撮影情報記憶部200とを備えている。
【0056】
撮影情報記憶部200は、不図示の域内サーバから受信する、被写体の氏名、撮影部位、放射線照射条件、実行予定者を含んだ撮影オーダを記憶する。
【0057】
操作者は、表示部D上で撮影オーダの内容を確認した上で、所定のボタンをタップして撮影オーダの実行を宣言した後、
図2または
図3の形態をした操作指示部10の放射線照射ボタン11を押すことで放射線照射を試みる。操作指示部10は、放射線照射ボタン11の所定量押込みを検知すると、生体情報取得部100としての指紋センサS1または静脈分布センサS2により取得された操作者情報(指紋データまたは静脈分布データ)を、放射線照射信号と共に制御部20に送信する。制御部20は、操作者情報を放射線照射可能者の生体情報リストLと照合して操作者を識別し、当該操作者による放射線照射の可否判定を行うと共に、撮影オーダの実行予定者と一致するかどうかを判定する。
【0058】
ここで、操作者が撮影オーダの実行予定者と一致すると判定された場合、制御部20は、放射線照射信号を放射線照射部30に送信し、これにより放射線照射部30から放射線が照射される。一方、操作者が実行予定者と不一致であると判定された場合、制御部20は放射線照射信号を送信せず、表示部Dに操作者が撮影オーダの実行予定者でない旨を表示する。
【0059】
ここで、操作者が撮影オーダの実行予定者と不一致であるものの放射線照射可能者の生体情報リストLに含まれる場合、操作者に放射線照射を実行するか否かを問い合わせるテキストを表示部Dに表示させる。放射線照射ボタン11がタップされると、放射線照射信号と共に操作者情報が制御部20に送信される。制御部20はそれらの情報を放射線照射履歴として撮影情報記憶部200に記録する。
【0060】
また、放射線照射によって、不図示の放射線画像検出器で生成された放射線画像は、制御部20が受信し、撮影オーダおよび対応する放射線照射履歴と関連付けられて撮影情報記憶部200に記憶される。
【0061】
本実施形態によれば、放射線照射許可の有無を判定する機能は制御部にアドオンすることを前提としており、操作部には操作者情報を検出する機能のみ実装すればよいので、既存の放射線撮影モダリティへの適用を容易に行うことができる。また、制御部では撮影オーダおよび取得した放射線画像、操作者を放射線撮影モダリティでの放射線撮影履歴として一元管理することができる。
【0062】
なお、完了した撮影オーダおよび取得した放射線画像、操作者をセットにして、不図示の域内サーバに送信してもよい。この場合、撮影情報が院内のどこからでもアクセスできるため、院内での撮影情報の共有が可能になる。
【0063】
(第8実施形態)
次に
図11(a)を参照して、第8実施形態に係る放射線照射システム5の構成例を説明する。放射線照射システム5は、操作指示部10と、制御部20と、放射線照射部30と、制御部20と通信可能な携帯情報端末40とを有する。操作指示部10は、生体情報取得部100と線量計102とを備えている。制御部20は、放射線照射可能者の生体情報リストLと、撮影情報記憶部200とを備えている。携帯情報端末40は、表示部Dと撮影情報記憶部41と備えている。
【0064】
図11(b)は、本実施形態に係る携帯情報端末40の一例を示す。携帯情報端末40は、各操作者と対応付けられている。携帯情報端末40は、被写体の氏名、撮影部位、放射線照射条件、実行予定者を含んでおり、該操作者を実行予定者とする撮影オーダを不図示の域内サーバから受信して撮影情報記憶部41に記憶すると共に、表示部Dに表示させる。操作者は、表示部Dで選択した撮影オーダについて撮影実行ボタンBをタップして実行を宣言すると、撮影オーダ情報が制御部20に送信されて撮影情報記憶部200に記憶される。
【0065】
同時に、操作指示部10が動作を開始し、操作指示部10の操作に応じて生体情報取得部100は操作者の生体情報を取得する。操作指示部10は放射線照射信号と操作者の生体情報を制御部20に送信する。制御部20は、受信した操作者の生体情報を放射線照射可能者の生体情報リストLと照合して識別し、操作者が放射線照射可能かどうか、さらには操作者が撮影オーダの実行予定者と一致するかどうかを判定する。
【0066】
操作者が放射線照射可能であり且つ実行予定者と一致した場合は、制御部20から放射線照射部30に放射線照射信号が送信され、当該放射線照射信号に基づいて放射線照射部30から放射線が照射される。一方、操作者が放射線照射可能ながら実行予定者と一致しないと判定された場合は、制御部20から放射線照射部30に放射線照射信号は送信されず、実行予定者と不一致である旨が携帯情報端末40に送信され、表示部Dに表示される。
【0067】
このとき、操作者は該表示を消して
図11(b)の表示まで復帰させる操作を行うことで実行予定者が当該操作者に変更され、撮影実行ボタンBをタップすることで、改めて撮影実行フローを開始することができる。制御部20は、放射線照射部30からの放射線照射が完了した旨を示す照射完了信号を受信すると、操作者情報を撮影オーダに対応した放射線照射履歴に追加して撮影情報記憶部200に記憶する。
【0068】
また、制御部20は、放射線照射部30に対して放射線照射信号を送信すると共に、放射線量を測定する線量計102に対して測定開始信号を送信する。そして、制御部20は、放射線照射部30から照射完了信号を受信すると、線量計102に測定終了信号を送信する。線量計102は、測定開始信号を受信してから測定終了信号を受信するまで、放射線照射による操作者の被曝線量を測定し、測定終了後に測定値を制御部20に送信する。
【0069】
制御部20は、線量計102から受信した測定値を、撮影オーダに対応した放射線照射履歴に追加して撮影情報記憶部200に記憶する。被曝線量は操作者ごとに集計できるので、所定期間の累積被曝線量が所定量に達した操作者を、放射線照射可能者の生体情報リストLから除外して、それ以上の被曝を防止することが可能になる。
【0070】
また、放射線照射によって、不図示の放射線画像検出器で得られた放射線画像は制御部20が受信し、撮影オーダに対応した放射線照射履歴に追加されて撮影情報記憶部200に記憶すると共に、制御部20は携帯情報端末40に撮影オーダに対応した放射線照射履歴を送信する。これにより携帯情報端末40の表示部Dで放射線照射履歴の確認が可能となる。
【0071】
ここで、放射線画像が目的の画質・内容に達していないと判定された場合は、入力の受付部として機能する表示部Dから入力された写損理由を添えられた上で「写損」として登録され、放射線照射履歴に追加される。写損の数と写損理由は操作者ごとに集計することができるので、操作者への再教育計画の立案に有効である。また携帯情報端末40は、最新情報が追加された放射線照射履歴を、不図示の域内サーバに送信する。
【0072】
本実施形態によれば、放射線照射許可の有無を判定する機能は制御部にアドオンすることを前提としており、操作部には操作者情報を検出する機能のみ実装すればよいので、既存の放射線撮影モダリティへの適用を容易に行うことができる。また、域内サーバで放射線画像、操作者、放操作者の被曝線量、写損の理由を一元管理すると共に、院内で容易に共有できる。
【0073】
(第9実施形態)
次に
図12(a)を参照して、第9及び第10実施形態に係る放射線照射システム6の構成例を説明する。放射線照射システム6は、操作指示部10と、制御部20と、放射線照射部30とを有する。
【0074】
制御部20は、放射線照射可能者の生体情報リストLと、表示部Dと、撮影情報記憶部200とを備えている。表示部Dは、操作者が撮影オーダの確認や処理を行うために各種表示(例えば
図12(b)示すような表示)を行う撮影情報記憶部200は、不図示の域内サーバから受信する、被写体の氏名、撮影部位、放射線照射条件、実行予定者を含んだ撮影オーダを記憶する。
【0075】
放射線照射部30は、
図12(a)及び
図12(c)に示すように生体情報取得部300を備えており、操作者が表示部D上の撮影実行ボタンBをタップして撮影オーダの実行を宣言すると、生体情報取得部300は操作者の生体情報を取得して制御部20に送信する。
【0076】
生体情報取得部300は例えば声紋センサS3である。放射線照射の直前には通常、操作者は被写体に対して「息を止めて下さい」などと声を掛けるため、声紋センサS3は、操作者の声から分析した声紋情報を制御部20に送信する。放射線照射時、被写体の近くに配置される放射線照射部30に声紋センサS3を設置してあるので、被写体に対して発せられた操作者の声をより確実に検出することができる。
【0077】
放射線照射部30から声紋情報を受信した制御部20は、放射線照射可能者の生体情報リストLと声紋情報とを照合して操作者を識別し、当該操作者が放射線照射可能かどうか、さらに操作者が撮影オーダの実行予定者と一致するかどうかを判定する。操作者が実行予定者と一致した場合は、操作指示部10が操作されることを許可する。操作指示部10が操作されて放射線照射信号が送信されると、制御部20から放射線照射部30に放射線照射信号が送信され、放射線照射部30から放射線が照射される。
【0078】
一方、制御部20は、操作者が放射線照射可能ながら実行予定者と一致しないと判定された場合は、操作指示部10で行われる操作を無効化し、実行予定者と不一致である旨と共に、操作者に対し撮影を続行するか否かを問い合わせるテキストを表示部Dに表示させる。
【0079】
この場合、操作者が表示部Dから撮影続行の指示を入力すると、実行予定者が操作者に変更され、操作指示部10の操作が許可され、結果として放射線照射が可能になる。そして制御部20は、放射線照射部30から放射線照射が完了したことを示す照射完了信号を受信すると、操作者情報を撮影オーダに対応した放射線照射履歴に追加して撮影情報記憶部200に記憶する。
【0080】
なお、制御部20は、放射線撮影で得られた画像と、不図示の線量計で測定した被曝線量、写損の理由を撮影情報記憶部200に記憶したり、不図示の域内サーバに送信したりしてもよい。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作者は、操作部を操作する前に自身が放射線を照射可能であるか否かを認識することができるので、撮影実行フローの遅滞を防止することができる。
【0082】
(第10実施形態)
第10実施形態では、
図12(c)に示すように生体情報取得部300が声紋センサS3ではなくカメラCである点が第9実施形態と異なっている。
【0083】
カメラCは、
図12(b)のような表示部D上で撮影実行ボタンBがタップされると、動画像の撮影および撮影された動画像の制御部20への送信を開始する。制御部20は、カメラCから受信している動画像から画像解析によって操作者の顔を検出する。また制御部20は、一旦捕捉した操作者の顔を追尾するようにカメラCを制御してもよい。さらに、制御部20は、検出した操作者の顔から虹彩の検出を試み、検出できれば得られた虹彩データを放射線照射可能者の生体情報リストLと照合して操作者を識別し、当該操作者に放射線照射を許可するかどうかを判定する。
【0084】
本実施形態は、通常、操作者は被写体を観察しながら放射線を照射することを利用したものであり、放射線照射部30に設けられたカメラCは被写体の近くに配置されているため、操作指示部10を操作しようとする操作者の虹彩を容易に捕捉することができる。
【0085】
しかし、操作者が被写体から目をそらしていれば、操作者の虹彩はカメラCで捉えることができない。そのため、制御部20は、カメラCから受信する動画像から操作者の虹彩が検出できる間に限り、操作者が撮影オーダの実行予定者と一致すれば、操作指示部10の操作を許可するように制御する。
【0086】
ここで、操作者が放射線照射可能者の生体情報リストLに含まれながら、撮影オーダの実行予定者と一致しない場合、制御部20は操作指示部10の操作を無効化すると共に、実行予定者と不一致である旨、および、操作者に対し撮影を続行するか否かを問い合わせるテキストを表示部Dに表示させる。この場合、操作者が表示部Dから撮影続行の指示を入力すると、制御部20は、実行予定者を操作者に変更し、引き続き操作者の虹彩の検出を試み、操作者の虹彩が検出できている間操に操作指示部10の操作を許可する。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作者は、操作部を操作する前に自身が放射線を照射可能であるか否かを認識することができるので、撮影実行フローの遅滞を防止することができる。また、操作者は被写体を観察しながらでないと操作部を操作できず放射線を照射できないので、放射線撮影における安全性をより高めることができる。
【0088】
以上、第1乃至第10実施形態で説明したように、本発明の実施形態に係る放射線照射システム(1、2、3、4、5)は、放射線を照射する放射線照射部(30)と、放射線照射部による放射線の照射を指示する操作指示部(10)と、操作指示部を操作する操作者の生体情報を取得する生体情報取得部(100、300、S1、S2、S3、C)と、生体情報取得部によって取得された生体情報に基づいて操作者を識別する操作者識別部(101、20)と、操作者識別部によって識別された操作者の識別情報に基づいて放射線照射部による放射線の照射の可否を制御する制御部(101、20)とを備える。
【0089】
これにより、操作者が放射線照射ボタンを押下するという従来と同様の操作を行うだけで、生体情報に基づいて自動的に操作者を識別し、照射の可否を制御することが可能となる。そのため、放射線照射が許可されている人物以外の人物が放射線を照射するのを防止し、撮影の安全性を向上させることができる。
【0090】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。