(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態のいくつかについて説明する。ただし、本発明の範囲は図示例に限定されるものではない。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係わる医用画像表示装置を含む医用画像表示システムの全体構成を示す図である。医用画像表示システムは、医用画像表示装置10とデータベース22を含んでおり、これらの装置は、通信手段の一例としてのLAN21を介して互いに通信可能に接続されている。データベース22は、医用画像データなどの検査情報を管理、格納する。医用画像表示装置10は、データベース22で管理された医用画像データを、LAN21を介して取得する。医用画像表示装置10は、医用画像データに対応するサムネイル画像を表示し、サムネイル画像の選択に応じてその医用画像データを表示領域に表示する。
【0014】
医用画像表示装置10は、その機能的な構成として、通信インターフェイス(通信IF31)、ROM32、RAM33、記憶部34、操作部35、表示部36、制御部37を具備する。通信IF31は、たとえば、LANカード等で実現され、LAN21を介した外部装置(たとえば、データベース22)と医用画像表示装置10との間の通信を司る。ROM(Read Only Memory)32は、不揮発性のメモリ等で実現され、各種プログラム等を記憶する。RAM(Random Access Memory)33は、揮発性のメモリ等で実現され、制御部37等が用いる各種情報を一時的に記憶する。記憶部34は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)等で実現され、各種情報を記憶する。操作部35は、たとえば、キーボードやマウス等で実現され、ユーザからの指示を装置内に入力する。表示部36は、たとえば、ディスプレイ等で実現され、各種情報を表示する。
【0015】
制御部37は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)等で実現され、医用画像表示装置10における処理を統括制御する。制御部37は、その機能部の構成として、医用画像取得部41、表示条件取得部42、サムネイル画像作成部43、領域情報取得部44、表示処理部45を具備する。なお、制御部37が具備するこれら各機能部の少なくとも一部は独立した装置として実現されてもよいし、夫々が機能を実現するソフトウェアとして実現されてもよい。本実施形態では各機能部は夫々ソフトウェアにより実現されているものとする。
【0016】
医用画像取得部41は、通信IF31とLAN21を介してデータベース22から医用画像データを取得し、サムネイル画像作成部43及び表示処理部45へ出力する。表示条件取得部42は、表示部36に表示されているメイン表示領域(たとえば、
図3のメイン表示領域102)の分割条件を取得しサムネイル画像作成部43へ出力する。分割条件は、メイン表示領域を複数の部分領域へ分割する態様を示している。サムネイル画像作成部43は、医用画像取得部41で取得された医用画像データと表示条件取得部42で取得されたメイン表示領域の分割条件を用いてサムネイル画像を作成する。領域情報取得部44は、表示部36に表示されているサムネイル画像内でユーザが操作部35を介して選択した領域を示す選択領域情報を取得し表示処理部45へ出力する。表示処理部45は、サムネイル画像作成部43で作成されたサムネイル画像を表示部36に表示する。また、表示処理部45は、領域情報取得部44で取得した選択領域情報に応じて、表示部36のメイン表示領域に医用画像取得部41から取得した医用画像データを表示する。
【0017】
次に
図2〜
図4を用いて、本実施形態における制御部37による全体の処理手順を説明する。
図2は、制御部37が行う処理のフローチャートである。
図3(A)及び
図4(A)は後述の処理によって表示部36に表示される画面の例である。
図3(B)及び
図4(B)は、
図3(A)及び
図4(A)で示されるサムネイル画像103をそれぞれより詳細に示した図である。
図3(A)及び
図4(A)に示されるように、表示処理部45が表示部36に表示する画面には、サムネイル表示領域101とメイン表示領域102が含まれる。サムネイル表示領域101には、医用画像データのサムネイル画像が表示される。
図3(A)の例では、サムネイル画像103〜106が表示されている。また、メイン表示領域102には、医用画像データが表示されるが、その表示領域を分割して得られた複数の部分領域(図示の例では、部分領域108〜111)のそれぞれに医用画像データを表示することもできる。
【0018】
本実施形態では、領域情報取得部44は、サムネイル画像をユーザが選択する際の当該サムネイル画像内の指示位置を取得し、表示処理部45は取得された指示位置に基づいてメイン表示領域102への医用画像データの表示方法を決定する。そして、表示処理部45は、決定された表示方法で医用画像データをメイン表示領域102に表示するように表示制御を行う。これにより、たとえば、
図4に示されるように、ユーザの指示位置(矢印116の指示位置)がサムネイル画像103の右下であった場合に、メイン表示領域102の右下の部分領域111に、サムネイル画像103に対応する医用画像データが表示される。以下、この処理についてより詳細に説明する。
【0019】
図2のステップS200において、医用画像取得部41は通信IF31とLAN21を介してデータベース22から医用画像データを読み出す。ステップS201において、表示条件取得部42は表示部36に表示されているメイン表示領域の部分領域への分割の態様を示す分割条件を取得する。たとえば、メイン表示領域の分割数をl、行数をn、列数をmとすると、
図3(A)の表示状態の場合、分割条件として(l、n、m)=(4、2、2)が取得される。なお、分割条件をどのように表すかはこれに限られるものではない。
【0020】
ステップS202において、サムネイル画像作成部43は以下の処理により、ステップS200で読み出された医用画像データに対応するサムネイル画像を作成する。まず、サムネイル画像作成部43は、ステップS200で読み出した医用画像データに対応する画像データ(以下、対応画像データ)を作成する。たとえば、読み出した医用画像データが2次元医用画像データ(一枚のスライス画像)の場合、対応画像データはスライス画像そのもののサイズを変更(たとえば縮小)した画像、またはその一部分を切り出した画像である。一方、読み出した医用画像データが3次元医用画像データ(複数枚のスライス画像)の場合、その3次元医用画像データを代表するスライス画像のサイズを変更(たとえば縮小)した画像、または予め決めた位置の(たとえば先頭の)スライス画像のサイズを変更した画像である。あるいは、そのようなスライス画像の一部分を切り出した画像でもよい。
【0021】
次に、サムネイル画像作成部43は、ステップS201で取得した分割条件に基づいて対応画像データを複数の分割領域へ分割する。たとえば、ステップS201で(l、n、m)=(4、2、2)を取得した場合、対応画像データも同様に(l、n、m)=(4、2、2)の条件で分割する。これにより、たとえば、
図3(A)のようなメイン表示領域102の分割条件に応じて
図3(B)に示されるような分割領域112〜115が得られる。続いて、サムネイル画像作成部43は、分割した領域が視認できるような境界線(
図3(B)の境界線L10)を生成し、生成した境界線を対応画像データにオーバーレイ表示して、境界線が描画されたサムネイル画像を作成する。サムネイル画像作成部43は、上述の処理をステップS200で読み出した医用画像データ全てに対して行う。表示処理部45は、サムネイル画像作成部43で作成したサムネイル画像(
図3(A)ではサムネイル画像103〜106)をサムネイル表示領域101に並べて表示する。なお、
図3、
図4に示されるようにメイン表示領域102の分割条件が2×2程度の場合であれば、部分領域の並びと分割領域の並びが一致していれば境界線を表示しなくても操作性を損なうことは無い。その場合、対応画像データがそのままサムネイル画像となる。いずれにしても、制御部37は部分領域と分割領域の対応付けを管理する。
【0022】
ステップS203において、制御部37は、メイン表示領域102の分割条件を取得し、分割条件の変更の有無を判定する。なお、メイン表示領域102の分割条件は、操作部35を介したユーザの指示により変更可能である。分割条件の変更方法としては、一般的な医用画像Viewerが有する既知の技術により実現されてもよい。ステップS203において、分割条件の変更がないと判定された場合はステップS204に進み、分割条件の変更があったと判定された場合はステップS201に戻る。
【0023】
ステップS204において、領域情報取得部44は、ユーザが操作部35を用いて選択したサムネイル画像の分割領域を示す情報を取得する。たとえば、ユーザがマウスを用いてサムネイル画像103の分割領域115をクリックすると、領域情報取得部44はこの分割領域115を示す情報を取得する。本操作時の表示部36における画面例を
図4(A)及び
図4(B)に示す。矢印116は、たとえば操作部35によって示される入力の指示位置(たとえば、マウスポインタ等)を表す。
図4(B)では、分割領域115が指示位置を含む分割領域となる。
【0024】
ステップS205において、表示処理部45は、ステップS204で選択されたサムネイル画像に対応した医用画像データを、指示された分割領域に対応したメイン表示領域102の部分領域に表示する。前述の例ではサムネイル画像103の分割領域115を選択したので、
図4(A)に示すようにメイン表示領域102の部分領域111にサムネイル画像103に対応した医用画像データが表示される。ここで、部分領域111に既に別の医用画像データが表示されていた場合は、既に表示されていた医用画像データを部分領域111から消去した後、サムネイル画像103に対応した医用画像データを表示する。
【0025】
ステップS206において、制御部37は、操作部35を介してユーザから読影終了の指示があったかどうかを判定する。読影終了の指示は、たとえば不図示の読影終了ボタンをユーザがクリックすることなどにより行われる。読影終了の指示があった場合は、
図2の処理を終了する。読影終了の指示がなかった場合は、ステップS203に戻る。
【0026】
以上のように、第1実施形態に係る医用画像表示装置によれば、メイン表示領域を分割して得られた複数の部分領域とサムネイル画像を分割して得られた複数の分割領域が対応づけられる。たとえば、
図3によって示される複数の部分領域108〜111と複数の分割領域112〜115のように、両者の相対的な位置関係が維持されるようにサムネイル画像が分割される。そして、ユーザによるサムネイル画像の選択時に、その指示位置が属する分割領域に対応するメイン表示領域の部分領域に、選択されたサムネイル画像に対応する医用画像データを表示するように表示方法が決定される。このような構成により、以下の効果を得られる。つまり、任意のサムネイル画像の任意の分割領域を選択することで、サムネイル画像に対応した医用画像データを、分割領域に対応したメイン表示領域の部分領域に表示できる。従って、読影する際に従来のドラックアンドドロップのような手間のかかる操作をする必要がなくなり、ユーザの手間が少ない医用画像表示装置及び医用画像表示方法を提供することができる。
【0027】
(変形例1−1)
上記の第1実施形態では、ステップS204において、ユーザは操作部35を介してサムネイル画像の分割領域を選択していた。この際に、選択される分割領域の視認性を高めるために、操作部35によって指示される現在の指示位置を含む分割領域を強調表示してもよい。なお、境界線L10は表示されていても表示されていなくてもよい。
図5(A)に、サムネイル画像の分割領域を強調表示した時の表示部36における画面例を示す。
図5(B)は、
図5(A)におけるサムネイル画像103をより詳細に示した図である。
図5の例では、矢印116が示す現在の指示位置がサムネイル画像103のサムネイル画像の分割領域113上にあるので、分割領域113にマーカをオーバーレイすることで強調表示している。
【0028】
ここで、マーカは、ユーザが他の分割領域と区別可能となるものであればどのような形態(色、形、サイズ等)であってもよい。ユーザが矢印116を別の分割領域上に移動させた場合は、移動後の分割領域が強調表示される。たとえば、矢印116を分割領域115上に移動させた場合は、分割領域113を強調表示していたマーカは削除し、分割領域115にマーカをオーバーレイする。なお、ここではマーカのオーバーレイによる強調表示を例にあげたが、強調表示の方法は、強調表示している領域をユーザが識別できれば、どのような方法でもよい。
【0029】
以上のような、変形例1−1のような構成によれば、サムネイル画像の選択が指示される前においてサムネイル画像内の指示位置が属する分割領域が、他の分割領域に対して識別可能になるように表示形態が変更される。そのため、ユーザはサムネイル画像が選択される前に、矢印116による現在の指示位置をより明瞭に把握することができ、どの部分領域に対応する医用画像が表示されるかをより容易に把握できる。
【0030】
(変形例1−2)
本実施形態における変形例1−1では、操作部35によって示される入力の現在位置によって指示されたサムネイル画像の分割領域を強調表示していた。しかし、分割領域の強調表示に代えて、あるいはそれに加えて、メイン表示領域における対応する部分領域を強調表示してもよい。
図6(A)にメイン表示領域の部分領域を強調表示している表示部36における画面例を示す。
図6(B)は、
図6(A)におけるサムネイル画像103をより詳細に示した図である。矢印116が示す現在の指示位置がサムネイル画像103の分割領域113上にあり、分割領域113に対応するメイン表示領域の部分領域109にマーカがオーバーレイされて強調表示されている。ユーザが矢印116をサムネイル画像103の別の分割領域上に移動させた場合は、移動後の分割領域に対応する、メイン表示領域102の部分領域が強調表示される。たとえば、矢印116を分割領域115に移動させた場合、制御部37は、部分領域109を強調表示していたマーカを削除し、部分領域111にマーカをオーバーレイする。なお、ここではマーカのオーバーレイによる強調表示を例にあげたが、強調表示の方法は、強調表示している領域をユーザが識別できれば、どのような方法でもよい。
【0031】
以上のような、変形例1−2によれば、サムネイル画像の選択が指示される前のサムネイル画像内の指示位置が属する分割領域に対応する、メイン表示領域の部分領域を、他の部分領域に対して識別可能になるように表示形態が変更される。たとえば、サムネイル画像103の分割領域113に矢印116を移動すると、分割領域113に対応する、メイン表示領域102の部分領域109の表示形態が図示のように他の部分領域と区別可能に変更される。そのため、ユーザは矢印116による現在の指示位置においてサムネイル画像の選択を指示した場合にどの部分領域に医用画像データが表示されるかを容易に把握できる。
【0032】
(変形例1−3)
上述した変形例1−1および変形例1−2では、メイン表示領域における医用画像データの表示状態に係らず、サムネイル画像103の分割領域やメイン表示領域102の部分領域を強調表示していた。変形例1−3ではメイン表示領域102における医用画像データの表示状態に応じて、強調表示方法を変更する。
図5(A)のメイン表示領域102を例として説明する。矢印116がサムネイル画像103の分割領域112または115(メイン表示領域102において医用画像データがすでに表示されている部分領域に対応するサムネイル画像の分割領域)を示した場合は、その分割領域を赤色で強調表示する。また、矢印116がサムネイル画像103の分割領域113または114(メイン表示領域102の医用画像データが表示されていない部分領域109,110に対応するサムネイル画像の分割領域)を示した場合は青色で強調表示する。
【0033】
このように、変形例1−3によれば、メイン表示領域102の各部分領域に既に医用画像データが表示されているか否かに応じて、指示位置が属する分割領域の表示の変更の仕方(たとえば、マーカの色や枠の太さといった強調方法)が変更される。そのため、たとえばサムネイル画像の選択に際して、医用画像データが表示されていない部分領域をより容易に指定することができる。
【0034】
(変形例1−4)
変形例1−4では、メイン表示領域における医用画像データの表示状態に応じて、その表示されている医用画像データに対応するサムネイル画像の、表示されている部分領域に対応する分割領域を強調表示する。
図7(A)に表示部36における画面例を示す。
図7(B)は
図7(A)のサムネイル画像103をより詳細に示した図である。
図7(C)は
図7(A)のサムネイル画像105をより詳細に示した図である。
図7(A)では、メイン表示領域102の部分領域108と111に、それぞれサムネイル画像103と105に対応する医用画像データが表示されている。サムネイル画像103に対応する医用画像データは部分領域111に表示されているため、サムネイル画像103における分割領域115にマーカをオーバーレイすることにより強調表示している。この強調表示は、メイン表示領域102における部分領域111の相対的な位置を示すものである。また、サムネイル画像105に対応する医用画像データはメイン表示領域102の部分領域108に表示されているため、サムネイル画像105における分割領域117にマーカをオーバーレイすることにより強調表示している。なおユーザの入力により、メイン表示領域102における表示状態が変化した際には、各サムネイル画像において強調される分割領域も連動して変化するようにすることが好ましい。
【0035】
以上のように、変形例1−4によれば、たとえば、メイン表示領域102の部分領域108に表示されている医用画像データに対応するサムネイル画像105の、部分領域108に対応する分割領域117の表示形態が、他の分割領域から識別可能に変更される。したがって、ユーザは、既に対応する医用画像データが表示中となっているサムネイル画像を、その表示先の部分領域とともに容易に把握することができる。
【0036】
(変形例1−5)
本実施形態では、ステップS205において、ステップS204で選択されたサムネイル画像の分割領域に対応するメイン表示領域の部分領域に既に別の医用画像データ(以下、既画像データ)が表示されていた場合は、既画像データを部分領域から消去していた。そして、後から選択されたサムネイル画像が示す医用画像データ(以下、選択画像データ)を優先して表示(以下、上書き表示処理)していた。しかし、既画像データと選択画像データを用いて、画像処理を行い、新たな画像データ(以下、新画像データ)を作成し、新画像データを表示(以下、新規画像作成処理)してもよい。たとえば、新規画像作成処理として、既画像データと選択画像データに対して既知のサブトラクション処理を行い、既画像データと選択画像データの差分画像データを新画像データとして作成し表示する。または、新規画像作成処理として既画像データと選択画像データに対して既知の位置合わせ処理および重ね合わせ処理を行って2つの医用画像データの重ね合わせ画像データを新画像データとして作成し表示する。
【0037】
この場合、上書き表示処理を実行するか新規画像作成処理を実行するかをユーザが容易に切り替えられるようにしてもよい。たとえば、ステップS204においてサムネイル画像の分割領域を選択する際の選択方法(ユーザ操作の形態)によって切り替えてもよい。たとえば、分割領域の選択を指示する操作部35がマウスであった場合に、右クリックが操作された際には上書き表示処理が行われ、左クリックが操作された際には新規画像作成処理が行われる。なお、上述した変形例1−1乃至変形例1−5は、第2実施形態以降の実施形態にも適用可能である。
【0038】
[第2実施形態]
第1実施形態では、メイン表示領域の分割の状態と、サムネイル画像の分割の状態を相似の関係として、メイン表示領域の各部分領域とサムネイル画像の各分割領域が対応するようにした。第2実施形態では、サムネイル画像の分割領域に、メイン表示領域のいずれかの部分領域に対応する分割領域(以下、対応領域)と、メイン表示領域の何れの部分領域にも対応しない分割領域(以下、非対応領域)とを含む。そして、サムネイル画像の選択において対応領域が指示された場合は、第1実施形態と同様に分割領域に対応する部分領域に医用画像データを表示する第1の表示方法を実行する。他方、サムネイル画像の選択において非対応領域が指示された場合には、医用画像データの表示を第1の表示方法とは異なる第2の表示方法(
図9により詳述する)で行う。
【0039】
図8に第2実施形態によるサムネイル画像の分割条件の例を示す。なお、ここでは、
図3(A)で示したように、メイン表示領域が4分割されている状態を例に挙げて説明する。
図8(A)〜(D)は、サムネイル画像801が対応領域(分割領域121〜124)と非対応領域(分割領域125)に分割されている例である。なお、第2実施形態に係る医用画像表示装置10の構成は第1実施形態に(
図1)と同様である。また、第1実施形態と同様に、制御部37の各機能部はソフトウェアにより実現されているものとする。以下、第2実施形態の全体の処理を、
図2のフローチャートを用いて説明する。
【0040】
ステップS200及びステップS201の処理は第1実施形態における処理と同様である。ステップS202において、サムネイル画像作成部43はサムネイル画像を作成する。まず、サムネイル画像作成部43は、ステップS200で読み出した医用画像データの対応画像データを生成する。次に生成した対応画像データを、ステップS201で取得した分割条件を利用して、対応領域及び非対応領域の両方の領域が生成されるように領域分割する。たとえば、
図8(A)乃至(D)で例示するようにサムネイル画像の領域分割を行う。
【0041】
図8(A)は、サムネイル画像801を対応領域(分割領域121〜124)に領域分割する際に生成される境界線(
図3(B)の境界線L10)の交点を中心とした領域に非対応領域である分割領域125を生成している例である。
図8(B)は、サムネイル画像801の端に孤立した領域として非対応領域である分割領域125を生成した例である。
図8(C)は、サムネイル画像801を対応領域(分割領域121〜124)に領域分割する際に生成される境界線とサムネイル画像801の枠線との交点を中心とした半円で示される領域に非対応領域である分割領域125を生成している例である。
図8(D)は、サムネイル画像801の枠線の角を中心とした4分円で示される領域に非対応領域である分割領域125を生成している例である。
【0042】
次に、サムネイル画像作成部43は、分割した領域が視認できるような境界線を生成し、対応画像データにオーバーレイすることでサムネイル画像801を生成する。このような処理をステップS200で読み出した医用画像データ全てに行い、生成されたサムネイル画像をサムネイル表示領域に並べて表示する。なお、
図8で挙げた例はあくまで一例であり、全ての領域が分離されておりさらに対応領域と非対応領域が容易に認識できるような分割であれば、上述の例に限定されない。ステップS203及びステップS204の処理は、第1実施形態における処理と同様である。また、境界線は描画されなくてもよい。
【0043】
ステップS205において、表示処理部45は、ステップS204で選択されたサムネイル画像に対応した医用画像データを、選択された分割領域に応じてメイン表示領域の対応する部分領域に表示する。ここで、選択された分割領域が対応領域の場合は、第1実施形態における処理と同様の処理(第1の表示方法)を行う。他方、選択されたサムネイル画像の分割領域が非対応領域の場合は、第1の表示方法と異なる第2の表示方法、たとえば、メイン表示領域の分割条件及び表示状態に依らない表示を行う。
【0044】
図9(A)乃至(D)は、ステップS204においてサムネイル画像103の非対応領域が選択された場合の、第2の表示方法によって実現される、表示部36における表示画面例である。
図9(A)は、サムネイル画像103が対応する医用画像データをメイン表示領域102の全体に1画面表示(以下、全画面表示という)した例である。
図9(B)は、メイン表示領域102を部分領域126〜128に領域分割し、サムネイル画像103に対応する医用画像データをMPR法(multi-planar reconstruction)で各断層方向に再構成した断層画像を表示(以下、MPR表示という)した例である。より具体的には、部分領域126に体の上下(頭尾)に平行な体軸方向に再構成した断層画像(axial画像)を表示する。さらに、部分領域127に体の前後(腹背)に平行な冠状方向に再構成した断層画像(coronal画像)を表示する。さらに、部分領域128に体の左右に平行な矢状方向に再構成した断層画像(sagittal画像)を表示する。
【0045】
図9(C)はメイン表示領域102を部分領域129〜131に分割し、各部分領域に同一患者の異なる日時に撮像された医用画像データを表示(以下、経時データ表示という)した例である。たとえば、部分領域129にサムネイル画像103に対応する医用画像データを表示する。さらに、部分領域130にサムネイル画像103が撮像される3か月前に撮像された同一患者の医用画像データを表示する。さらに、部分領域131にサムネイル画像103が撮像される1年前に撮像された同一患者の医用画像データを表示する。
図9(D)はメイン表示領域102を部分領域132〜134に分割し、各部分領域に異なる再構成条件で再構成された医用画像データを表示(以下、別条件データ表示)した例である。より具体的には、部分領域132にはサムネイル画像103に対応する医用画像データの内、肺野条件で再構成された医用画像データを表示する。部分領域133にはサムネイル画像103に対応する医用画像データの内、縦隔条件で再構成された医用画像データを表示する。部分領域134にはサムネイル画像103に対応する医用画像データの内、骨条件で再構成された医用画像データを表示する。これら非対応領域を選択した際の、メイン表示領域での表示条件は予め設定しておく。
【0046】
なお、上述の例では非対応領域を選択した際に、メイン表示領域の分割状態が変更されることになるが、サムネイル画像の分割条件は変更しなくてもよい。たとえば、サムネイル画像103が
図8(A)に示すように分割されており、非対応領域である分割領域125が選択されると、
図9(A)のようにメイン表示領域の分割状態が変化する。その際には、サムネイル画像103の分割状態は
図8(A)の状態を維持している。その後、対応領域である
図8(A)の分割領域124が選択されると、メイン表示領域102は
図4(A)に示される分割状態に戻る。そして、指示された分割領域124に対応する部分領域111に、選択されたサムネイル画像に対応する医用画像データが表示される。なお、
図9で挙げた例はあくまで一例であり、本発明はこれらの例に限定されない。ステップS206の処理は、第1実施形態における処理と同様である。
【0047】
以上のように,第2実施形態に係る医用画像表示装置によれば、第1実施形態で得られる効果に加えて、さらに以下の効果を得られる。つまり、任意のサムネイル画像の非対応領域を選択することで、メイン表示領域の分割条件に依らない表示をすることができる。従って、少ない手間でユーザの意図した状態で画像を表示することができる医用画像表示装置及び医用画像表示方法を提供することができる。
【0048】
(変形例2−1)
第2実施形態では、ステップS202において非対応領域が1領域である例を用いて説明していた。しかし、非対応領域は複数あってもよい。
図10に非対応領域が複数ある場合のサムネイル画像の領域分割の例を示す。
図10(A)及び(B)は、ともにサムネイル画像801を分割領域121〜124からなる対応領域と分割領域135〜137からなる非対応領域に分割した例である。また、この場合、どの非対応領域が選択されても同じ表示方法が採用されるようにしてもよいが、ステップS204においてユーザが選択した非対応領域に応じて、ステップS205で用いられる表示方法が変更されるようにしてもよい。すなわち、サムネイル画像内に複数の非対応領域が設定されており、それぞれの非対応領域には異なる表示方法が割り当てられているようにしてもよい。たとえば、
図10(A)の非対応領域である分割領域135が選択された場合は対応する医用画像データを全画面表示し、非対応領域である分割領域136が選択された場合は対応する医用画像データをMPR表示する。
図10で挙げたサムネイル画像の領域分割の例や、異なる非対応領域を選択した際のメイン表示領域における表示方法の例はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されない。
【0049】
(変形例2−2)
第2実施形態では、ステップS202において、ステップS200で読み出した医用画像データ全てに対して、同じ境界線を持つサムネイル画像を生成していた。つまり、全てのサムネイル画像が同じ分割条件で分割されていた。しかし、サムネイル画像に対応する医用画像データに付属している画像情報に応じてサムネイル画像の分割条件(非対応領域の配置状態)を変更してもよい。
【0050】
たとえば、
図14に示したように、DICOMヘッダ等から得られる画像情報と分割条件の対応を予め設定しておき、医用画像データに含まれる画像情報に対応する分割条件を用いてサムネイル画像を作成する。より具体的には、医用画像データの撮像モダリティがCTであり撮像部位が胸部であった場合は、
図8(A)のような境界線を持つサムネイル画像が生成される。これは、
図14に示されるようなテーブルを参照することにより、非対応領域の場所が中央で、形が円と決まるためである。また、撮像モダリティがMRIであり撮像部位が頭部であった場合は、
図14のテーブルの参照により非対応領域の場所が右上、形が円と決まるので、
図8(B)のような境界線を持つサムネイル画像が生成される。
【0051】
また、医用画像データに対して既知の画像処理を行った場合に得られる画像特徴量に基づいて分割条件を変更してもよい。たとえば、境界線をオーバーレイする前のサムネイル画像(対応画像データ)に対して、平滑化フィルタを用いてノイズ除去を行う。そして、画像の画素値に対する所定の閾値(たとえば、値100)を用いて二値化処理を行い、体内領域と体外領域を分離し、その分離結果に基づいて非対応領域が設定されるようにしてもよい。たとえば、体外領域の中で所定サイズ以上の大きさを持つ領域内に非対応領域が設定されるような境界線を持つサムネイル画像を生成する。なお、ここで説明した画像情報やそれを利用した分割条件はあくまで一例であり、本発明はこれらの例に限定されない。
【0052】
(変形例2−3)
ステップS205において、ステップS204で非対応領域が選択された場合、選択されたサムネイル画像に対応した医用画像データに付属する画像情報によって、メイン表示領域における表示条件を変更してもよい。たとえば、
図15のテーブルに示したように、DICOMヘッダ等から得られる画像情報とメイン表示領域における表示条件の対応を予め設定しておき、医用画像データに含まれる画像情報に対応する表示条件でメイン表示領域102に表示する。より具体的には、医用画像データの撮像モダリティがCTであり撮像部位が胸部であった場合は、
図15のテーブルの参照によりメイン表示領域の表示条件がMPR表示と決まるので、非対応領域の指定に応じて
図9(B)のように医用画像データが表示される。また、撮像モダリティがMRIであり撮像部位が頭部であった場合は、
図15の参照によりメイン表示領域の表示条件が経時データ表示と決まるので、非対応領域の指定に応じて
図9(C)のように医用画像データが表示される。
【0053】
また、医用画像データに対して既知の画像処理を行った場合に得られる画像特徴量を画像情報としてメイン表示領域における表示条件を変更してもよい。たとえば、医用画像データに対して既知の結節の検出処理を行い、結節が検出された場合には経時データ表示を行い、結節が検出されなかった場合にはMPR表示を行うようにしてもよい。ここで説明した画像情報や表示条件はあくまで一例であり、本発明はこれらの例に限定されない。
【0054】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る医用画像表示装置は、サムネイル画像を分割せずに、サムネイル画像に対して方向情報を付与することで、任意のサムネイル画像を任意のメイン表示領域に表示する例について説明する。
【0055】
図11に、第3実施形態に係る医用画像表示装置10の構成例を示す。第1実施形態に係る構成例(
図1)と比べると、領域情報取得部44が削除され、方向情報取得部46が新たに追加されている。方向情報取得部46は、表示部36に表示されているサムネイル画像に対して、ユーザが操作部35を介して入力した方向情報を受け付け、表示処理部45へ出力する。なお、第1実施形態と同様に、制御部37の各機能部はソフトウェアにより実現されているものとする。
【0056】
次に
図12及び
図13を用いて、本実施形態における制御部37による全体の処理手順を説明する。
図12は、制御部37が行う処理のフローチャートである。
図13は、
図3に示したサムネイル画像103に対して、ユーザが方向情報を入力する方法を説明するための図である。矢印116は、操作部35によって制御される位置情報(たとえば、マウスポインタ)を表す。R10は、矢印116が示す位置を中心Oとした円である。矢印116の真右方向を0°とした時、中心Oから0°、90°、180°、270°の方向に伸ばした直線と円R10とが交わる点を、それぞれ点A、B,C,Dとしている。
【0057】
ステップS1200の処理は、第1実施形態におけるステップS200の処理と同様である。ステップS1201の処理は、第1実施形態におけるステップS202の処理と同様であるが、サムネイル画像にオーバーレイする境界線の生成は不要である。
【0058】
ステップS1202において、ユーザは操作部35を介して、任意のサムネイル画像に対して方向情報を入力する。たとえば、マウスを用いて
図3で示すサムネイル画像103を選択し、任意の方向にドラックすることで方向情報を入力する。あるいは、表示部36がタッチパネル式のモニタである場合は、一般にフリックと呼ばれる操作方法を用いて、サムネイル画像103に対して方向情報を入力してもよい。たとえば、
図13において、サムネイル画像103をAの方向に指で弾く(フリックする)ことにより方向情報0°が入力される。またたとえば、線分OCと線分ODのちょうど中間に示した線分L20に沿った方向に指で弾く(フリックする)することにより方向情報225°が入力される。
【0059】
ステップS1203の処理は、第1実施形態におけるステップS201の処理と同様である。
【0060】
ステップS1204において、ステップS1202で方向情報を入力したサムネイル画像に対応した医用画像データを、メイン表示領域の部分領域のうちの方向情報に応じて決定される部分領域に表示する。たとえば、
図1のサムネイル画像103に対してステップS1202で入力された方向情報が、
図13で示される0°〜90°の範囲だった場合は、
図1の部分領域110に対応する医用画像データが表示される。同様に、入力された方向情報が90°〜180°の範囲であれば部分領域108に、入力された方向情報が180°〜270°の範囲であれば部分領域109に、入力された方向情報が270°〜0°の範囲であれば部分領域111に、医用画像データが表示される。また、サムネイル画像に対して方向情報を入力した操作とは別の操作を行うことにより、当該サムネイル画像に対応する医用画像データを第2実施形態に示した非対応領域を選択した際の表示条件(たとえば、
図9)で表示してもよい。ここで、別の操作とは、タッチパネル上におけるピンチイン、ピンチアウト、ダブルタップ等の操作である。なお、これらの操作は一例であり、他の操作であってもよい。
【0061】
ステップS1205の処理は、第1実施形態におけるステップS206の処理と同様の処理であり、読影終了の指示があったかどうかを判定する。読影終了の指示があった場合は
図12の処理を終了し、読影終了の指示がなかった場合は、処理はステップS1202に戻る。
【0062】
以上のように、第3実施形態に係る医用画像表示装置によれば、以下の効果を得られる。つまり、任意のサムネイル画像に対して方向情報を入力することで、サムネイル画像に対応した医用画像データを、方向情報に応じて決定されるメイン表示領域の分割領域に表示できる。従って、サムネイル画像を分割することなく、少ない手間で、ユーザの意図した状態で医用画像データを表示することができる医用画像表示装置及び医用画像表示方法を提供することができる。
【0063】
なお、上述した第1〜第3実施形態や、各実施形態で示した変形例は、適宜組み合わせて用いることが可能である。
【0064】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。