特許第6431306号(P6431306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6431306
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】発泡性飲料自動注出装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/12 20060101AFI20181119BHJP
   B67D 1/08 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   B67D1/12
   B67D1/08 Z
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-149059(P2014-149059)
(22)【出願日】2014年7月22日
(65)【公開番号】特開2016-22978(P2016-22978A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(72)【発明者】
【氏名】嘉藤 由秋
(72)【発明者】
【氏名】野津 真澄
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−237897(JP,A)
【文献】 特開2003−221098(JP,A)
【文献】 特開2002−096898(JP,A)
【文献】 特開2005−272008(JP,A)
【文献】 特開2006−036229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00− 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の前面上部に設けられて、弁機構部を液用開放状態または泡用開放状態とすることによって液状態と泡状態の発泡性飲料を選択的に注出する注出コックと、
前記注出コックの下側にて前記装置本体の前面に水平軸線回りに傾動可能に軸架された傾動基板と、この傾動基板の前側に取り付けられて前記注出コックから注出される発泡性飲料を受ける容器を載置する受台とを有する容器受台装置と、
前記装置本体の前部に設けられて、前記傾動基板が起立した起立姿勢と傾斜した傾斜姿勢との間で傾動させる受台傾動装置とを備え、
前記受台傾動装置によって前記傾動基板を前記起立姿勢から前記傾斜姿勢に傾動させることで前記受台に載置した容器を傾斜させ、この傾斜させた容器に前記弁機構部を開閉させることによって発泡性飲料を自動注出するように制御した発泡性飲料自動注出装置であって、
前記受台傾動装置によって前記傾動基板を前記傾斜姿勢に傾動させることで前記受台に載置した容器を傾斜させ、この傾斜させた容器に前記弁機構部を液用開放状態とすることによって液状態の発泡性飲料を所定量注出し、
前記傾動基板が前記傾斜姿勢から前記起立姿勢に戻る前から前記弁機構部を泡用開放状態とすることで前記容器に泡状態の発泡性飲料の注出を開始し、泡状態の発泡性飲料を注出させながら前記傾動基板を前記傾斜姿勢から前記起立姿勢に戻すように制御したことを特徴とする発泡性飲料自動注出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発泡性飲料自動注出装置において、
前記傾斜させた容器に前記弁機構部を液用開放状態とすることによって液状態の発泡性飲料を所定量注出するときに、前記傾斜させた容器から発泡性飲料が溢出するまで液状態の発泡性飲料を注出するように制御したことを特徴とする発泡性飲料自動注出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発泡性飲料自動注出装置において、
前記傾斜させた容器に前記弁機構部を液用開放状態とすることによって液状態の発泡性飲料を所定量注出した後に、
前記傾動基板を前記傾斜姿勢に維持した状態で、前記弁機構部を泡用開放状態として前記傾斜させた容器に泡状態の発泡性飲料の注出を開始し、前記容器の上縁から発泡性飲料の泡を溢出させながら前記傾動基板を前記傾斜姿勢から前記起立姿勢に戻すように制御したことを特徴とする発泡性飲料自動注出装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の発泡性飲料自動注出装置において、
前記傾動基板を前記傾斜姿勢から前記起立姿勢に戻した後も、前記容器の上縁から発泡性飲料の泡が溢出するように前記泡状態の発泡性飲料を継続的に注出するように制御したことを特徴とする発泡性飲料自動注出装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の発泡性飲料自動注出装置において、
前記傾動基板を前記傾斜姿勢から前記起立姿勢に戻すときに、前記傾動基板の前記起立姿勢側への復帰動作を一時的に停止させながら前記起立姿勢に戻すように制御したことを特徴とする発泡性飲料自動注出装置。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項に記載の発泡性飲料自動注出装置において、
前記傾動基板を前記傾斜姿勢から前記起立姿勢に戻すときに、前記傾動基板を傾斜姿勢側に一時的に再び傾動させながら前記起立姿勢に戻すように制御したことを特徴とする発泡性飲料自動注出装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の発泡性飲料自動注出装置において、
前記傾動基板の前側には前記容器の上縁から溢出する発泡性飲料の泡を下方に流すガイド溝を設けたことを特徴とする発泡性飲料自動注出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性飲料を自動注出する発泡性飲料自動注出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の発泡性飲料をグラス等の容器に注ぐときには、容器を斜めに傾けた状態としてその内周壁に沿って発泡性飲料を注ぐようにして、発泡性飲料が容器内で過剰に泡立つのを抑えるように注ぐと、発泡性飲料の味が良好となることが知られている。また、発泡性飲料は容器の上部にてきめ細かな(小さな)泡を有していると、発泡性飲料の風味の変化を抑える効果、発泡性飲料に含まれる炭酸ガスが抜けるのを防ぐ効果等を有していることが知られている。
【0003】
特許文献1には、ビール等の発泡性飲料を自動注出する発泡性飲料自動注出装置が開示されている。この発泡性飲料自動注出装置は、装置本体の前面上部に設けた注出コックと、注出コックの操作レバーを傾動させるコック駆動装置と、注出コックの下側にてその上端部が装置本体の前面に傾動可能に軸架された傾動基板の前側に発泡性飲料を受ける容器を載置する受台を有した容器受台装置と、傾動基板の後面を押動することにより、傾動基板の下端部を前方に押し上げて傾動基板を傾動させる受台傾動装置とを備えている。
【0004】
この発泡性飲料自動注出装置は、受台傾動装置により容器受台装置の傾動基板を略鉛直に起立した起立姿勢から後方に傾斜した傾斜姿勢まで傾動させることで、受台に載置した容器を略鉛直に起立した起立姿勢から後方に傾斜させた傾斜姿勢とし、コック駆動装置により操作レバーを一方に傾動させて液用の注出ノズルから傾斜姿勢とした容器の内周壁に沿って液状態の発泡性飲料を容器の7〜8割程度まで泡立たないように注出する。その後、受台傾動装置によって傾動させていた傾動基板を傾斜姿勢から起立姿勢に戻すことで受台に載置した容器を傾斜姿勢から起立姿勢に戻し、コック駆動装置により操作レバーを他方に傾動させて泡用の注出ノズルから容器に泡状態の発泡性飲料を注出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−261199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような特許文献1に記載の発泡性飲料自動注出装置においては、容器受台装置の受台に載置した容器を傾斜姿勢とし、傾斜姿勢とした容器の内周壁に沿って液状態の発泡性飲料を容器の7〜8割程度まで注出してから、受台に載置した容器を傾斜姿勢から起立姿勢に戻し、起立姿勢に戻した容器に泡状態の発泡性飲料を注出している。このように、受台に載置した容器が起立姿勢に戻ってから泡状態の発泡性飲料を注出しているので、発泡性飲料の注出時間が長くなる問題があった。特に発泡性飲料自動注出装置を設置した飲食店は繁忙期にできるだけ発泡性飲料の注出時間を短くして顧客を待たせないようにすることが望まれていた。
【0007】
また、容器受台装置の受台に載置した容器を略鉛直に起立した起立姿勢から後方に傾斜させた傾斜姿勢とし、コック駆動装置により操作レバーを傾動させて液用の注出ノズルから傾斜姿勢とした容器の内周壁に沿って液状態の発泡性飲料を容器の7〜8割程度まで注出している。しかし、液状態の発泡性飲料を傾斜姿勢とした容器の内周壁に沿って注ぐようにしても、液状態の発泡性飲料が容器の底部に当たる衝撃で大きな気泡を含んだ泡となることがあった。また、注出コックから液状態の発泡性飲料を注出開始するときと停止するときとにカニ泡と呼ばれる大きな気泡を含んだ泡が発生することがあった。容器内にて発泡性飲料の上部に大きな気泡を含んだ泡があると、上述した発泡性飲料の風味の変化を抑える効果、炭酸ガスが抜けるのを防ぐ効果等が得られないばかりか、容器に注がれた発泡性飲料の見栄えも悪くなる問題があった。本発明は、発泡性飲料自動注出装置において、注出時間をできるだけ短くすることと、容器内の発泡性飲料が大きな気泡を含んだ泡を含まないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、装置本体の前面上部に設けられて、弁機構部を液用開放状態または泡用開放状態とすることによって液状態と泡状態の発泡性飲料を選択的に注出する注出コックと、注出コックの下側にて装置本体の前面に水平軸線回りに傾動可能に軸架された傾動基板と、この傾動基板の前側に取り付けられて注出コックから注出される発泡性飲料を受ける容器を載置する受台とを有する容器受台装置と、装置本体の前部に設けられて、傾動基板が起立した起立姿勢に傾斜した傾斜姿勢との間で傾動させる受台傾動装置とを備え、受台傾動装置によって傾動基板を起立姿勢から傾斜姿勢に傾動させることで受台に載置した容器を傾斜させ、この傾斜させた容器に弁機構部を開閉させることによって発泡性飲料を自動注出するように制御した発泡性飲料自動注出装置であって、受台傾動装置によって傾動基板を傾斜姿勢に傾動させることで受台に載置した容器を傾斜させ、この傾斜させた容器に弁機構部を液用開放状態とすることによって液状態の発泡性飲料を所定量注出し、傾動基板が傾斜姿勢から起立姿勢に戻る前から弁機構部を泡用開放状態とすることで容器に泡状態の発泡性飲料の注出を開始し、泡状態の発泡性飲料を注出させながら傾動基板を傾斜姿勢から起立姿勢に戻すように制御したことを特徴とする発泡性飲料自動注出装置を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置においては、受台傾動装置によって傾動基板を傾斜姿勢に傾動させることで受台に載置した容器を傾斜させ、この傾斜させた容器に弁機構部を液用開放状態とすることによって液状態の発泡性飲料を所定量注出し、傾動基板が傾斜姿勢から起立姿勢に戻る前から弁機構部を泡用開放状態とすることで容器に泡状態の発泡性飲料の注出を開始し、泡状態の発泡性飲料を注出させながら傾動基板を傾斜姿勢から起立姿勢に戻すように制御したので、容器を傾斜させて発泡性飲料が過剰に泡立たないように注出しても、発泡性飲料の注出時間が長くならない。
【0010】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置においては、傾斜させた容器に弁機構部を液用開放状態とすることによって液状態の発泡性飲料を所定量注出するときに、傾斜させた容器から発泡性飲料が溢出するまで液状態の発泡性飲料を注出するように制御するのが好ましい。傾斜させた容器に液状態の発泡性飲料を注出したときに、発泡性飲料が容器内で大きな気泡となって泡立つことがあるが、容器内の大きな気泡の泡は傾斜させた状態で容器から溢出するまで注出される液状態の発泡性飲料によって容器から押し出されるようなり、容器内に注出された発泡性飲料は上部に大きな気泡を含んだ泡をなくすことができた。また、傾斜させた容器の上縁から発泡性飲料の泡を溢出させているので、発泡性飲料の泡は容器の傾斜させた方向の上縁から溢出するようになり、容器の発泡性飲料の泡によって汚れる部分を周面の一部に限定することができた。
【0011】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置においては、傾斜させた容器に弁機構部を液用開放状態とすることによって液状態の発泡性飲料を所定量注出した後に、傾動基板を傾斜姿勢に維持した状態で、弁機構部を泡用開放状態として傾斜させた容器に泡状態の発泡性飲料の注出を開始し、容器の上縁から発泡性飲料の泡を溢出させながら傾動基板を傾斜姿勢から起立姿勢に戻すように制御するのが好ましい。上述したように、傾斜させた容器に液状態の発泡性飲料を注出したときに、発泡性飲料が容器内で大きな気泡となって泡立つことがあるが、容器内の大きな気泡の泡は傾斜させた状態から引き続き注出される泡状態の発泡性飲料によって起立した状態に戻りながら容器から押し出されるようになり、容器内に注出された発泡性飲料は上部に大きな気泡を含んだ泡をなくすことができた。また、この場合にも、傾斜させた容器の上縁から発泡性飲料の泡を溢出させているので、発泡性飲料の泡は容器の傾斜させた方向の上縁から溢出するようになり、容器の発泡性飲料の泡によって汚れる部分を周面の一部に限定することができた。さらに、傾動基板を傾斜姿勢から起立姿勢に戻した後も、容器の上縁から発泡性飲料の泡が溢出するように泡状態の発泡性飲料を継続的に注出するように制御するのが好ましい。このようにしたときには、容器を傾斜した姿勢から起立した姿勢に戻しながら泡状態の発泡性飲料を注出しても、容器に大きな気泡を含んだ泡が残ることもあるが、起立した姿勢とした容器に継続的に泡状態の発泡性飲料を注出することで、容器に残っている発泡性飲料の大きな気泡を含んだ泡を押し出すことができ、容器内に注出された発泡性飲料は上部に大きな気泡を含んだ泡を確実になくすことができた。また、容器を傾斜させたときから継続的に発泡性飲料の泡を溢出させているため、容器の傾斜させた方向の上縁から発泡性飲料の泡の溢出する経路が既にできているため、起立した姿勢で容器から溢出する発泡性飲料の泡は引き続き容器の傾斜させた方向の上縁から溢出することになり、この場合にも、容器の発泡性飲料の泡によって汚れる部分を周面の一部に限定することができた。
【0012】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置においては、傾動基板を傾斜姿勢から起立姿勢に戻すときに、傾動基板の起立姿勢側への復帰動作を一時的に停止させながら起立姿勢に戻すように制御してもよいし、傾動基板を傾斜姿勢から起立姿勢に戻すときに、傾動基板を傾斜姿勢側に一時的に再び傾動させながら起立姿勢に戻すように制御してもよい。泡状態の発泡性飲料を注出して容器から大きな気泡を含んだ泡を押し出しているときに、傾動基板の復帰動作を一時的に停止させる、または、傾動基板を傾斜姿勢側に一時的に再び傾動させることで、容器内の大きな気泡を含んだ泡をさらに積極的に溢出させることができ、容器内に注出された発泡性飲料は上部に大きな気泡を含んだ泡をさらに確実になくすことができた。
【0013】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置においては、傾動基板の前側には容器の上縁から溢出する発泡性飲料の泡を下方に流すガイド溝を設けるのが好ましく、このようにしたときには、容器から溢出する発泡性飲料の泡がガイド溝に沿って流れるようになり、容器の発泡性飲料の泡によって汚れる部分を最小限に抑えることができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による発泡性飲料自動注出装置の一実施形態の正面図(a)でり、側面図(b)ある。
図2】容器受台装置にグラスを載置し、容器受台装置の傾動基板が起立姿勢にあるときの側面図(a)と、容器受台装置の傾動基板が傾斜姿勢にあるときの側面図(b)である。
図3】注出コックから発泡性飲料を液状態及び泡状態で注出するときの、コック駆動装置と受台傾動装置の作動を示すタイムチャートである。
図4】他の実施形態の図3に相当するタイムチャートである。
図5】さらに他の実施形態の図3に相当するタイムチャートである。
図6】容器受台装置において、発泡性飲料の泡を傾動基板の後側に導くようにした変形例の概略図である。
図7図6の容器受台装置の起立姿勢の側面概略図(a)と傾斜姿勢の側面概略図(b)である。
図8】傾動基板の後面下部にガイド部材を設けた変形例の図7に対応する側面概略図である。
図9】傾動基板の後面上部に泡受けを設けた変形例の斜め前方から見た概略図(a)と斜め後方から見た概略図(b)である。
図10】傾動基板の中央部に開口部を設けるとともに、傾動基板の後面に泡を流す通路を設けた変形例の斜め前方から見た概略図(a)と斜め後方から見た概略図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明による発泡性飲料自動注出装置の一実施形態を図面を参照して説明する。本発明の発泡性飲料自動注出装置10はビールをグラス(容器)Gにできるだけ泡立つことなく注出するものであり、ビール(発泡性飲料)の注出時間を短くしつつ、気泡の大きな泡を含まないようにすることを目的としたものである。
【0016】
図1及び図2に示したように、発泡性飲料自動注出装置10は、装置本体11の前面上部に設けられて、内蔵する弁機構部21aを液用開放状態または泡用開放状態とすることによって注出ノズル23(23a,23b)から液状態と泡状態のビールを選択的に注出する注出コック20と、注出コック20の下側にて装置本体11の前面に水平軸線回りに傾動可能に軸架された傾動基板31の前側にグラス(容器)Gを載置する受台32を有した容器受台装置30と、装置本体11の前部に設けられて傾動基板31が起立した起立姿勢と前後方向に傾斜した傾斜姿勢との間で傾動させる受台傾動装置40とを備えている。この発泡性飲料自動注出装置10は、受台傾動装置40によって傾動基板31を起立姿勢から傾斜姿勢に傾動させることで受台32に載置したグラスGを前後方向に傾斜させ、傾斜させたグラスGに弁機構部21aを開閉させることにより注出ノズル23からビールを自動注出するように制御したものである。この発泡性飲料自動注出装置10においては、受台傾動装置40によって傾動基板31を傾斜姿勢に傾動させることで受台42に載置したグラスGを前後方向に傾斜させ、この傾斜させたグラスGに弁機構部21aを液用開放状態とすることによって注出ノズル23bから液状態のビールを所定量注出し、傾動基板31が傾斜姿勢から起立姿勢に戻る前から弁機構部21aを泡用開放状態とすることでグラスGに注出ノズル23aから泡状態のビールの注出を開始するように制御したものである。以下に、この発泡性飲料自動注出装置10について詳述する。
【0017】
図1に示したように、発泡性飲料自動注出装置10は、装置本体11内に冷却水槽12と、この冷却水槽12内の冷却水を冷却する冷凍装置13とを内蔵している。冷却水槽12内には飲料冷却管(図示しない)が設けられており、飲料冷却管の導入端部には装置本体11の外部に設けたビア樽が接続され、飲料冷却管の導出端部には装置本体11の上部に設けた注出コック20が接続されている。なお、ビア樽にはガスボンベ(図示しない)が接続されており、ビア樽のビールはガスボンベの炭酸ガスの圧力によって飲料冷却管に送られるようになっている。
【0018】
図1及び図2に示したように、注出コック20は、容器受台装置30に載置したグラスGにビールを注出するものであり、弁機構部21aを内蔵した筒状の本体部21の上部に操作レバー22と、下部に注出ノズル23(23a,23b)とを備えている。本体部21の弁機構部21aは開放状態とすることによって注出ノズル23にビールを導くものである。また、弁機構部21aは、液用開放状態とすることで液用の注出ノズル23bに液状態のビールを導き、泡用開放状態とすることで泡用の注出ノズル23aに泡状態のビールを導く。操作レバー22は弁機構部21aを閉止状態と開放状態との開閉操作を行うためのものである。操作レバー22は、垂直に起立した位置にあるときには弁機構部21aを閉止状態とし、前方に傾動(前傾)させると弁機構部21aを液用開放状態とし、後方に傾動(後傾)させると弁機構部21aを泡用開放状態とする。注出ノズル23は弁機構部21aを通過したビールをグラスGに注出するものであり、本体部21の下部の前部にビールを泡状態で注出する泡用の注出ノズル23aと、本体部21の下部の後部にビールを液状態で注出する液用の注出ノズル23bとを備えている。
【0019】
コック駆動装置24は、サーボモータ(図示しない)の駆動により前後に移動するスライダ(図示しない)を用いて注出コック20の操作レバー22を前傾または後傾させるものである。
【0020】
容器受台装置30は、グラスGを載置するものであり、その上端部が装置本体11の前面に水平軸線回りに傾動可能に軸架された傾動基板31と、傾動基板31に取り付けた受台32(32a,32b)とを備えている。傾動基板31は後面が押動されると下端部が斜め前方に押し上げられて傾動する。受台32は傾動基板31の上下方向の中間部と下部とに上下2段に取り付けた受台32a,32bとからなる。上段の受台32aは主としてグラス等の小型の容器を載置するものであり、下段の受台32bは主としてジョッキ等の大型の容器を載置するものである。上段の受台32aは傾動基板31に対して水平軸線回りに回動可能に支持されており、下段の受台32bに容器を載置するときには、上段の受台32aを傾動基板31に沿うように退避させる。傾動基板31の前側にはカバー33が設けられており、カバー33の左右方向の中央部には後方に凹んだ上下方向に延びるガイド溝33aが形成されている。ガイド溝33aは後述するグラスGから溢出させたビールの泡を下方のドレンパン14に流す機能を有している。
【0021】
受台傾動装置40は、サーボモータ(図示しない)の駆動によって前後に伸縮するリンク機構41により容器受台装置30の傾動基板31を前方に押し出すものである。傾動基板31は受台傾動装置40のリンク機構41によって押し出されてないときには鉛直に垂下した起立姿勢となっており、傾動基板31はリンク機構41によって押し出されたときには前後方向に傾斜する傾斜姿勢となる。
【0022】
図1に示したように、発泡性飲料自動注出装置10は、制御装置50を備えており、制御装置50は、コック駆動装置24及び受台傾動装置40に接続されている。制御装置50は、マイクロコンピュータを備えており、マイクロコンピュータによって後述するタイムチャートに従ってコック駆動装置24及び受台傾動装置40の作動を制御することで、傾動基板31及び受台32に載置したグラスGの姿勢の状態(起立姿勢または傾斜姿勢)と注出コック20の弁機構部21aの開閉状態とを制御する。
【0023】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置10の作動について説明する。装置本体11内の冷却水槽12内の冷却水は冷凍装置13により冷却されている。この状態で、図2(a)に示したように、先ず上段の受台32aにグラスGを載置する。
【0024】
この状態で、コック駆動装置24の前面に設けた操作パネルの自動注出ボタンをオンすると、制御装置50は図3に示すタイムチャートに従ってコック駆動装置24及び受台傾動装置40の作動を制御することにより、傾動基板31及び受台32に載置したグラスGの姿勢の状態と注出コック20の弁機構部21aの開閉状態とを制御する。
【0025】
先ず、制御装置50は、図3のaのタイミングに示したように、受台傾動装置40により容器受台装置30の傾動基板31の後面を押動して前方に押し出す。図2(b)に示したように、傾動基板31は下端部が前方に押し上げられた傾斜姿勢となり、受台32aに載置したグラスGも傾斜した傾斜姿勢となる。この状態で、制御装置50は、図3のbのタイミングになると、コック駆動装置24により操作レバー22を前方に傾動させ、弁機構部21aを液用開放状態とすることで液用の注出ノズル23bから傾斜させたグラスGに液状態のビールを注出させる。ビールはグラスGの内壁面の上部から底部に沿って流れ落ちて、ビールはグラスG内での泡立ちができるだけ抑えられる。しかし、ビールはグラスGの底部に当たったときに大きな気泡となって泡立つことがある。
【0026】
傾斜させたグラスGの後部上縁からビール(ビールの気泡の大きな泡)が少し溢出するまで液状態のビールを注出した図3のcのタイミングとなると、制御装置50は、コック駆動装置24により操作レバー22を中立位置に戻し、弁機構部21aを閉止状態とすることで液状態のビールの注出を停止させる。なお、グラスGの後部上縁から溢れ出るビール(ビールの気泡の大きな泡)はグラスGの周面後部及び容器受台装置30のカバー33のガイド溝33aを流れ、装置本体11の前面下部のドレンパン14に落下する。
【0027】
引き続き、制御装置50は、図3のdのタイミングになると、コック駆動装置24により操作レバー22を後方に傾動させ、弁機構部21aを泡用開放状態とすることで泡用の注出ノズル23aから傾斜させたままのグラスGに泡状態のビールを注出させる。泡用の注出ノズル23aからグラスGに泡状態のビールの注出を開始したときにも、傾動基板31は引き続き傾斜姿勢であり、受台32aに載置されたグラスGも傾斜姿勢となっている。また、傾斜したグラスGに泡状態のビールの注出を開始するときには、傾斜したグラスGには溢出するまで液状態のビールを注出した直後であるので、傾斜したグラスGの後部上縁からビールの泡を溢れ出させながら泡状態のビールを注出することになる。この場合にも、グラスGの後部上縁から溢れるビールの泡はグラスの周面後部及び容器受台装置30のカバー33のガイド溝33aを流れ、装置本体11の前面下部のドレンパン14に落下する。
【0028】
傾斜姿勢のグラスGに泡状態のビールの注出を開始したあとで、制御装置50は、図3のeのタイミングになると、受台傾動装置40によって傾斜姿勢に維持されている傾動基板31をゆっくりと起立姿勢に戻すようにし、受台32aに載置したグラスGもゆっくりと傾斜姿勢から起立姿勢に戻す。図3のfのタイミングとなると、傾動基板31は起立姿勢に戻り、受台32aに載置したグラスGも起立姿勢に戻る。このとき、受台32aに載置した起立姿勢に戻ったグラスGには継続的に泡状態のビールが注出されており、グラスGのビールの泡は傾斜姿勢のときに溢出したグラスGの後部上縁から引き続き溢出する。グラスGの上部から十分にビールの泡を溢出させると、制御装置50は、図3のgのタイミングに示したように、コック駆動装置24により操作レバー22を中立位置に戻して泡状態のビールの注出を停止させる。
【0029】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置10においては、受台傾動装置40によって傾動基板31を傾斜姿勢に傾動させることで受台32aに載置したグラスGを前後方向に傾斜させ、この傾斜させたグラスGに弁機構部21aを液用開放状態とすることによって液状態のビールを所定量注出し、傾動基板31が傾斜姿勢から起立姿勢に戻る前として、傾斜姿勢にあるときから弁機構部21aを泡用開放状態とすることでグラスGに泡状態のビールの注出を開始するように制御した。これにより、グラスGを傾斜させてビールが過剰に泡立たないように注出しても、ビールの注出時間が長くならない。なお、この実施形態では、傾動基板31が傾斜姿勢から起立姿勢に戻る前として、傾斜姿勢にあるときから泡状態のビールの注出を開始するように制御したが、これに限られるものでなく、傾斜姿勢に戻り始めてから起立姿勢に戻る前までに弁機構部21aを泡用開放状態とすることでグラスGに泡状態のビールの注出を開始するように制御したものであってもよい。
【0030】
また、傾斜させたグラスGに液状態のビールを注出したときに、ビールがグラスG内で大きな気泡となって泡立つことがある。これに対し、傾斜させたグラスGに液状態のビールを所定量注出するときには、傾斜させたグラスGからビールが溢出するまで液状態のビールを注出するように制御した。これにより、グラスG内の大きな気泡の泡は傾斜させた状態でグラスGから溢出するまで注出される液状態のビールによってグラスGの後部上縁から押し出されるようなり、グラスG内に注出されたビールは上部に大きな気泡を含んだ泡をなくすことができた。
【0031】
また、従来の発泡性飲料自動注出装置では、傾斜姿勢としたグラスに液状態のビールを所定量注出し、グラスを起立姿勢に戻してから泡状態のビールを注出していた。傾斜姿勢としたグラスに液状態のビールを注出したときに、上述したように、大きな気泡を含んだ泡が発生することがあり、起立姿勢に戻したグラスに泡状態のビールを注出し、起立姿勢に戻したグラスからビールの泡を溢出させることも検討されていた。しかし、この場合には、起立姿勢に戻したグラスからビールの泡を溢出させたときに、ビールの泡はグラスの周面の不特定の場所から溢出し、ビールを自動注出するたびに、グラスの周面のビールの泡によって汚れる部分が変わることになっていた。これに対し、この実施形態の発泡性飲料自動注出装置10であれば、後方に傾斜させたグラスGからビールが溢出するまで液状態のビールを注出しているので、ビールの泡は必ずグラスGの後部上縁(グラスGの傾斜させた方向の上縁)から溢出するようになり、グラスGのビールの泡によって汚れる部分を周面の後部(一部)に限定することができた。
【0032】
上述したように、傾斜させたグラスGに液状態のビールを注出したときに、ビールがグラスG内で大きな気泡となって泡立つことがある。これに対し、傾斜させたグラスGに液状態のビールを所定量注出した後に、傾動基板31を傾斜姿勢に維持した状態で、弁機構部21aを泡用開放状態として傾斜させたグラスGに泡状態のビールの注出を開始し、グラスGの後部上縁からビールの泡を溢出させながら傾動基板31を傾斜姿勢から起立姿勢に戻すように制御した。これにより、グラスG内の大きな気泡の泡は傾斜させた状態から引き続き注出される泡状態の発泡性飲料によって起立した状態に戻りながらグラスGから押し出されるようになり、グラスG内に注出されたビールは上部に大きな気泡を含んだ泡をなくすことができた。なお、この実施形態では、上述したように、傾斜させたグラスGからビールが溢出するまで液状態のビールを注出した後に、傾動基板31を傾斜姿勢に維持した状態とし、傾斜させたグラスGに弁機構部21aを泡用開放状態として泡状態のビールの注出を開始している。本発明はこれに限られるものでなく、傾斜させたグラスGからビールが溢出しない程度に液状態のビールを注出した後に、傾動基板31を傾斜姿勢に維持した状態とし、傾斜させたグラスGに弁機構部21aを泡用開放状態として泡状態のビールの注出を開始したものであってもよい。このようにしたときには、傾斜させたグラスG内の大きな気泡を含んだ泡は液状態のビールにより押し出されることがないが泡状態のビールによって押し出すことができ、上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
また、この実施形態の発泡性飲料自動注出装置10においては、注出コック20の泡用の注出ノズル23aは受台32aに載置したグラスGの前部の上側に配置されている。後方に傾斜させたグラスGに液状態のビールに続いて泡状態のビールの注出を開始したときに、泡用の注出ノズル23aから注がれる泡状態のビールはグラスGの前部に注ぎ入れられ、グラスG内の大きな気泡を含んだ泡は泡用の注出ノズル23aから注がれる泡状態のビールによって斜め下側となっているグラスGの後部に押され、グラスG内の大きな気泡を含んだ泡はグラスGの後部上縁から溢出する。このように、泡用の注出ノズル23aをグラスGの前部の上側に配置していることで、グラスG内の大きな気泡を含んだ泡をグラスGの後部上縁から溢出させやすくできた。
【0034】
また、傾動基板31を傾斜姿勢から起立姿勢に戻した後も、グラスGの上縁からビールの泡が溢出するように泡状態のビールを継続的に注出している。グラスGを傾斜した姿勢から起立した姿勢に戻しながら泡状態のビールを注出しても、グラスGに大きな気泡を含んだ泡が残ることもある。しかし、起立姿勢としたグラスGに継続的に泡状態のビールを注出することで、グラスGに残っているビールの大きな気泡を含んだ泡を引き続き泡状態のビールによって押し出すことができ、グラスG内に注出されたビールは上部に大きな気泡を含んだ泡を確実になくすことができた。また、グラスGを傾斜させたときから継続的に発泡性飲料の泡を溢出させているので、ビールの泡の溢出する経路がグラスGの後部上縁に既にできており、起立した姿勢でグラスGから溢出するビールの泡は引き続きグラスGの後部上縁から溢出することになり、この場合にも、グラスGのビールの泡によって汚れる部分を周面の後部に限定することができた。
【0035】
上記の実施形態においては、傾動基板31を傾斜姿勢から起立姿勢に戻すときには、傾動基板31を連続的に起立姿勢に戻すようにしている。他の実施形態においては、傾動基板31を傾斜姿勢から起立姿勢に戻すときに、図4に示したように、傾動基板31の起立姿勢側への復帰動作を一時的に停止させながら起立姿勢に戻すように制御してもよいし、図5に示したように、傾動基板31を傾斜姿勢から起立姿勢に戻すときに、傾動基板31を傾斜姿勢側に一時的に再び傾動させながら起立姿勢に戻すように制御してもよい。傾動基板31の復帰動作を一時的に停止させたときには、グラスG内の大きな気泡を含んだ泡をさらに積極的に溢出させることができ、グラスG内に注出されたビールは上部に大きな気泡を含んだ泡をさらに確実になくすことができた。同様に、傾動基板31を傾斜姿勢側に一時的に再び傾動させながら起立姿勢に戻したときには、グラスG内の大きな気泡を含んだ泡をさらに積極的に溢出させることができ、グラスG内に注出されたビールは上部に大きな気泡を含んだ泡をさらに確実になくすことができた。
【0036】
また、この実施形態の発泡性飲料自動注出装置10においては、傾動基板31の前側にはグラスGの上縁から溢出するビールの泡を下方に流すガイド溝33aを設けた。これにより、グラスGから溢出するビールの泡がガイド溝33aに沿って流れるようになり、グラスGのビールの泡によって汚れる部分を最小限に抑えることができた。なお、この実施形態では、傾動基板31の前側にカバー33が設けられており、カバー33にガイド溝33aを設けるようにしたが、本発明はこれに限られるものでなく、傾動基板31の前側のカバー33を廃したものであるときには、傾動基板31の前面にガイド溝を形成するようにしたものであってもよく、このようにしたときにも上述した作用効果を得ることができる。
【0037】
さらに、この実施形態の発泡性飲料自動注出装置10は、グラスGの後部上縁からビールの泡を溢出させるようにしたことに関し、以下のような配慮をするのが好ましい。すなわち、図6に示したように、傾動基板31(及び/またはカバー33)にはビールの泡を後側に流す左右方向に長細い長孔31aを形成するとともに、傾動基板31(またはカバー33)の前面には長孔31aの下側にグラスGの後面上部を支持する支持部材34を設ける。支持部材34はグラスGの後面上部を支持する機能だけでなく、グラスGから溢出するビールの泡を長孔31aに導く機能を有している。このようにしたときには、図7に示したように、グラスGから溢出させたビールの泡が支持部材34によって長孔31aに導かれ、ビールの泡は長孔31aを通って傾動基板31の後面を流れ、下側のドレンパン14に落下するようになる(図7(b)の矢印にビールの泡の経路を示した)。また、図8に示したように、傾動基板31の後面下部にはビールの泡を直ぐ下側のドレンパン14に導くためのガイド部材35を設けるようにするのが好ましく、このようにしたときには、傾動基板31の後面を伝って流れ落ちるビールの泡が流下する勢いでドレンパン14を超えて飛び出すのを防ぐことができた(図8(b)の矢印にビールの泡の経路を示した)。
【0038】
また、図9に示したように、傾動基板31の後面には長孔31aの下側にてビールの泡を受ける泡受け36を設けるようにしてもよい。この泡受け36は左右方向の中央部が下側に凹んだ凹部36aを備え、泡受け36で受けたビールの泡を中央の凹部36aから下側のドレンパン14に落下させるようにしたものである。また、図10に示したように、傾動基板の上下及び左右方向の中央部にデザイン性を考慮して例えば開口部31bを形成したときに、傾動基板31の後面には長孔31aの下側にて開口部31bを通らないようにビールの泡を下側に導く通路部材37を設けるようにする。これらにより、傾動基板31(及び/またはカバー33)とグラスGにビールの泡が残りにくくなり、見栄えが悪くなるのを防ぐことができた。
【0039】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置10においては、発泡性飲料としてビールを注出するもので説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、発泡性飲料として発泡酒、酎ハイ、炭酸飲料等の炭酸ガスが混入して泡が発生する発泡性の飲料に適用できるものであり、これらの発泡性の飲料を注出するものであっても上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置10においては、注出コック20は本体部21に内蔵した弁機構部21aを操作レバー22によって閉止状態から液用開放状態または泡用開放状態に操作することで液状態または泡状態のビールを通過させるようにしたものである。本発明はこれに限られるものでなく、例えば、注出コック20に制御装置50の制御によって開閉動作する電磁弁等の開閉弁を設けたものであってもよい。この場合には、液用の開閉弁と泡用の開閉弁を別々に設け、各々の開閉弁を開閉動作させることによって、液状態と泡状態の発泡性飲料を選択的に注出できるようにする。
【0041】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置10においては、注出ノズル23は泡用の注出ノズル23aと液用の注出ノズル23bとからなるが、本発明はこれに限られるものでなく、1つの注出ノズル23から液状態及び泡状態の発泡性飲料を注出するようにしたものであってもよく、このようにしたときにも上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置10においては、受台傾動装置40は、サーボモータ(図示しない)の駆動によって前後に伸縮するリンク機構41により容器受台装置30の傾動基板31を前方に押し出すものであるが、本発明はこれに限られるものでなく、傾動基板31の上端の支持軸をモータにより直接回動させることにより、傾動基板31の下端部を前方に押し上げて傾動基板31を傾動させるものであってもよく、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることができる。また、容器受台装置30の傾動基板31の上端部を装置本体11の前面に水平軸線回りに傾動可能に軸架したが、本発明はこれに限られるものでなく、傾動基板31の上部、上下方向の中間部、下部または下端部のように上下方向の何れかの部分を装置本体11の前面に水平軸線回りに傾動可能に軸架したものであってもよく、このようにしたときにも上述したのと同様の作用効果を得ることができる。さらに、傾動基板31を前後方向に傾斜するように水平軸線回りに回動可能に支持したが、本発明はこれに限られるものでなく、傾動基板31を左右方向に傾斜するように水平軸線回りに回動可能に支持したものであってもよく、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
上記のように構成した発泡性飲料自動注出装置10においては、容器としてグラスGを用いて説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、容器としてジョッキ等を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0044】
10…発泡性飲料自動注出装置、11…装置本体、20…注出コック、21a…弁機構部、30…容器受台装置、31…傾動基板、32a…受台(上段の受台)、33a…ガイド溝、40…受台傾動装置。
図1
図2
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図10