特許第6431347号(P6431347)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6431347アームレスト付きシート及びそれに用いるアームレストのロック解除装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6431347
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】アームレスト付きシート及びそれに用いるアームレストのロック解除装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/75 20180101AFI20181119BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   B60N2/75
   A47C7/54 D
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-238845(P2014-238845)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-97926(P2016-97926A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】埜嵜 博之
(72)【発明者】
【氏名】本多 正明
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−046862(JP,U)
【文献】 実開平04−016948(JP,U)
【文献】 実開平02−009157(JP,U)
【文献】 特開2000−158988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/75
A47C 7/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックギアが弾性部材によって付勢されて回転中心に回動することでセクタギアとロックするように構成されており、レバーリンクブラケットを操作することでロックギアが引き起こされロックギアとセクタギアとのロックを解除するように動作するアームレストのロック解除装置であって、
前記ロックギアは前記回転中心とその重心位置を一致させたことを特徴とするアームレストのロック解除装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアームレストのロック解除装置であって、
前記レバーリンクブラケットはその回転中心に回動することで、該レバーリンクブラケットと前記ロックギアの係合部を介して該ロックギアはその回転中心に回動し、該ロックギアは前記セクタギアとのロックを解除するように動作することを特徴とするアームレストのロック解除装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載のアームレストのロック解除装置であって、
前記レバーリンクブラケットの操作は、該レバーリンクブラケットをその回転中心に回動させることであることを特徴とするアームレストのロック解除装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のアームレストのロック解除装置であって、
前記弾性部材はスプリングであることを特徴とするアームレストのロック解除装置。
【請求項5】
シートバックの側面に支持部を介して回動可能に支持されたアームレストを有するアームレスト付きシートであって、
該アームレストは、ロックギアが弾性部材によって付勢されて回転中心に回動することで前記支持部に固定されたセクタギアとロックしアームレストがロックされるように構成されており、レバーリンクブラケットを操作することでロックギアが引き起こされロックギアとセクタギアとのロックを解除することでアームレストのロックが解除されるように動作し、
前記ロックギアは前記回転中心と重心位置を一致させたことを特徴とするアームレスト付きシート。
【請求項6】
請求項5に記載のアームレスト付きシートであって、
前記レバーリンクブラケットはその回転中心に回動することで、該レバーリンクブラケットと前記ロックギアの係合部を介して該ロックギアはその回転中心に回動し、該ロックギアは前記セクタギアとのロックを解除するように動作することを特徴とするアームレスト付きシート。
【請求項7】
請求項5または6のいずれか1項に記載のアームレスト付きシートであって、
前記レバーリンクブラケットの操作は、該レバーリンクブラケットをその回転中心に回動させることであることを特徴とするアームレスト付きシート。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載のアームレスト付きシートであって、
前記弾性部材はスプリングであることを特徴とするアームレスト付きシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アームレスト付きシートに係り、特にアームレストのロック解除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートに腕などを休めるためのアームレストが設けられたアームレスト付きシートにおいて、例えば、自動車に設けられた場合、そのシートへの乗り降りを考慮して、アームレストが可動式となっているものがある。この可動式アームレストは、使用時はシートバックの側面にほぼ水平になるように固定され、格納時は上方へ持ち上げられシートバックの側面にほぼ垂直になるように固定されるのが一般的である。
【0003】
この可動式アームレストを使用するときは容易に動かないように固定する必要があり、また、使用せずに格納するときには、使用状態から一旦固定状態を解除して格納位置に可動させる必要がある。
【0004】
この固定状態を解除するロック解除の装置として、例えば、特表2000−500214号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、揺動ラチェット6(ロックギアに相当)が、回転中心である軸6A(回転中心)で揺動して、歯車6Bをロックする状態にラチェット6が固定される構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2000−500214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動車等に設けられたアームレスト付きシートの場合、例えば、車両衝突時にGを受けてアームレストのロック機構が解除されてしまう場合がある。そのために、容易にロック機構が解除されないように付勢するための耐Gスプリングが必要となる。
【0007】
特許文献1には、ロックギアに相当する揺動ラチェット6を付勢する弾性部材10を有しているが、ロックギアがGを受けた場合の対策として、この弾性部材10の小型化について考慮されていない。
【0008】
本発明はこれらの課題に鑑みなされたものであって、耐Gスプリングの小型化を実現できるアームレストのロック解除装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、ロックギアが弾性部材によって付勢されて回転中心に回動することでセクタギアとロックするように構成されており、レバーリンクブラケットを操作することでロックギアが引き起こされロックギアとセクタギアとのロックを解除するように動作するアームレストのロック解除装置であって、ロックギアはその回転中心と重心位置を一致させた構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐Gスプリングの小型化を実現できるアームレストのロック解除装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例におけるアームレスト付きシートの外観図である。
図2】実施例におけるアームレスト付きシートのアームレスト部分の斜視図である。
図3】実施例におけるアームレストのベースフレーム内の構造図である。
図4】従来例におけるアームレストのベースフレーム内の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本実施例におけるアームレスト付きシートの外観図である。図1において、1は自動車等に設けられるアームレスト付きシート、2はアームレスト、3はシートバックであり、(A)はアームレスト2を使用時の状態を表しており、アームレスト2はシートバック3の側面にほぼ水平になるように固定されている。(B)はアームレスト2が格納時の状態を表しており、アームレスト2は上方へ持ち上げられシートバック3の側面にほぼ垂直になるように固定される。すなわち、アームレスト2はシートバック3の側面に回動可能に支持されており、アームレスト使用時にはアームレストを固定するロック機構を有しており、格納しようとする際には回動可能なように、固定を解除するロック解除機構が必要である。
【0014】
アームレストは、ベースフレームとその周りを包むクッション部から構成されている。 図2は、本実施例におけるアームレストのベースフレームの斜視図である。図2において、(A)はシートバックの側面に回動可能に支持される側から見たベースフレーム4の斜視図であり、5がシートバックの側面と支持される支持軸を示している。また、(B)は(A)の反対側から見たベースフレーム4の斜視図である。
【0015】
ここで、まず、本発明の前提となる、従来のアームレストのロック解除装置について図面を用いて説明する。
【0016】
図4は、従来例のアームレストのベースフレーム内の構造図であり、ベースフレーム4の回転中心側、すなわちアームレストの回転中心側の構造を示している。図4において、6はベースフレーム4の回転中心軸、7はセクタギア、8はロックギア、9はレバーリンクブラケット、10はスプリング、11はワイヤ、12はレバーリンクブラケット9の回転中心、13はロックギア8とレバーリンクブラケット9の係合部、14はロックギア8の回転中心である。ロックギア8はスプリング10によって付勢されてセクタギア7とロックするように構成されており、ワイヤ11が図上の左方向に引かれると、レバーリンクブラケット9が回転中心12を中心に右周りに回転する。すると、レバーリンクブラケット9とロックギア8の係合部13を介して、ロックギア8は、回転中心14を中心に左回りに回転することで引き起こされ、ロックギア8とセクタギア7とのロックが解除されるように働く。
【0017】
ここで、例えば車両衝突時にGを受けると、ロックギア8は重心位置と回転中心14とが離れているために、回転中心14回りにロックギア8の重心の慣性モーメントが発生し、ロックギア8とセクタギア7とのロックが解除される可能性がある。よって、その対策のために、スプリング10の付勢力を耐G対策のために強化する必要が生じ、スプリング10が耐Gスプリングとして大型化する問題があった。以上の課題を解決するための本発明の実施例を、以下、図面を用いて説明する。
【0018】
図3は、本実施例におけるアームレストのベースフレーム内の構造図である。図3において、図4と同様の機能を有する構成については、同じ符号を付加し、その説明は省略する。図3において、図4と異なる点は、ロックギア15の回転中心16をその重心位置と一致させた点である。これにより、例えば車両衝突時にGを受けたとしても、ロックギア15は重心位置と回転中心16とが一致しているために、回転中心16回りにロックギア15の重心の慣性モーメントが発生することはなく、ロックギア15とセクタギア7とをロックするように付勢するスプリング17の付勢力を耐G対策のために強化する必要がなく、スプリング17の小型化が実現できる。すなわち、重心位置と回転中心が近いほど、モーメントアームが短縮され、発生モーメントを軽減することができる。よって、本実施例では、回転中心と重心位置とを一致させたが、完全に一致させなくても、近づけることでもスプリングの小型化を図ることが可能となる。
【0019】
なお、本実施例では、ロックギアの車両衝突時のGによる慣性モーメントについて説明したが、レバーリンクブラケットについても、その回転中心と重心位置とを一致させる、もしくは近づけることで、レバーリンクブラケットの車両衝突時のGによる慣性モーメントを低減でき、誤作動を防止することが出来る。また、スプリングは付勢力を与えるものであれば良く例えば板バネ等を含む弾性部材で良い。
【0020】
以上のように、本実施例は、ロックギアが弾性部材によって付勢されて回転中心に回動することでセクタギアとロックするように構成されており、レバーリンクブラケットを操作することでロックギアが引き起こされロックギアとセクタギアとのロックを解除するように動作するアームレストのロック解除装置であって、ロックギアはその回転中心と重心位置を一致させた構成とする。
【0021】
また、レバーリンクブラケットはその回転中心に回動することで、レバーリンクブラケットとロックギアの係合部を介してロックギアはその回転中心に回動し、ロックギアはセクタギアとのロックを解除するように動作するように構成する。
【0022】
このように、本実施例によれば、耐Gスプリングの小型化を実現できるアームレストのロック解除装置を提供することができる。
【0023】
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部を他の構成に置き換えることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1…アームレスト付きシート、2…アームレスト、3…シートバック、
4…ベースフレーム、5…支持軸、6…ベースフレームの回転中心軸、
7…セクタギア、8、15…ロックギア、9…レバーリンクブラケット、
10、17…スプリング、11…ワイヤ、12…レバーリンクブラケットの回転中心、
13…ロックギアとレバーリンクブラケットの係合部、
14、16…ロックギアの回転中心
図1
図2
図3
図4