(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配置された吸収体を具備し、着用時に着用者の前後方向に沿う物品長手方向と、該物品長手方向と直交する物品幅方向とを有する吸収性物品であって、
前記表面シートは、第1方向及びこれと直交する第2方向を有する複合シートから構成され、第1方向が、着用時に着用者の前後方向に沿う物品長手方向に一致しており、
前記複合シートは、積層された第1シート及び第2シートが部分的に接合されて複数の接合部が形成され、第1シートが、前記接合部以外の部位において第2シートから離れる方向に突出して、着用者の肌側に向かって突出する複数の凸部を形成しており、
前記接合部は、全部又は一部が、第1方向に沿う長さが第2方向に沿う長さより長い縦長の形状の縦長接合部であり、前記複合シートに、前記縦長接合部が第2方向に沿って2種類以上の間隔で規則的に配置された第2方向接合部列が、第1方向に複数列形成されており、
第2方向接合部列中の隣り合う2つの前記縦長接合部間に前記凸部が形成され、該凸部は、前記2つの縦長接合部と、該凸部を挟んで第1方向の両側に位置する2つの接合部とを含む合計4個以上の接合部に囲まれた領域内に形成されており、
前記縦長接合部は、第2方向に沿う長さが第1方向に沿う長さの70%以下20%以上である、吸収性物品。
第2方向接合部列として、第2方向における前記縦長接合部の配置位置が相互に異なる第2方向第1接合部列と第2方向第2接合部列とが、第1方向に交互に形成されている、請求項1に記載の吸収性物品。
第2方向接合部列に、第2方向に第1の間隔で近接配置された一対の前記縦長接合部からなる縦長接合部対が、第2方向に第1の間隔の2倍以上の間隔で間欠配置されており、前記凸部は、第2方向において隣り合う縦長接合部対どうし間に形成されている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
前記凸部は、複数の凸部が一定の間隔で第1方向に沿って直列した第1方向凸部列と、複数の凸部が一定の間隔で第2方向に沿って直列した第2方向凸部列と、複数の凸部が一定の間隔で、第1方向及び第2方向の両方向に対して傾斜した第3方向に沿って直列した第3方向凸部列とを有するように配置されている、請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2には、本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつ100(以下、単におむつ100ともいう)の基本的な構造が示されている。
おむつ100は、
図1及び
図2に示すように、液透過性の表面シート12、液不透過性の裏面シート13、及び両シート12,13間に配置された吸収体14を具備する。裏面シート13に関し、液不透過性とは、液難透過性も含む概念であり、裏面シート13が液を全く通さない場合の他、撥水性のシート等からなる場合等も含まれる。
【0011】
おむつ100は、着用時に着用者の前後方向と一致する方向である物品長手方向Xaと、おむつ100を、
図1に示すように平面状に広げた状態において、物品長手方向Xaと直交する物品幅方向Yaとを有している。また、おむつ100は、物品長手方向Xaに、着用時に着用者の腹側に配される腹側部A、着用時に着用者の背側に配される背側部B、及び腹側部Aと背側部Bとの間に位置する股下部Cに有している。おむつ100は、展開型の使い捨ておむつであり、背側部Bの両側縁部にファスニングテープ17が設けられており、腹側部Aの外表面に、そのファスニングテープ17を止着するランディングゾーン18が設けられている。
【0012】
おむつ100における吸収体14は、吸収性コア14aと該吸収性コア14aを包むコアラップシート14bとを備えている。吸収性コア14aは、例えばパルプ繊維等の吸液性繊維の積繊体や、吸液性繊維と吸水性ポリマーとの混合積繊体から構成することができる。吸液性繊維としては、例えば、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース等のセルロース系の親水性繊維が挙げられる。セルロース系の親水性繊維以外に、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂からなる繊維を界面活性剤等により親水化したものを用いることもできる。コアラップシート14bとしては、例えば、ティッシュペーパーや透水性の不織布が用いられる。コアラップシート14bは、1枚で吸収性コア14aの全体を包んでいても良いし、2枚以上を組み合わせて吸収性コア14aを包んでいても良い。裏面シート13としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布とのラミネートシート等が用いられる。
【0013】
おむつ100における長手方向の両側には、弾性部材15aを有する立体ギャザー形成用のシート15が配されており、その弾性部材15aの収縮により、着用状態における股下部Cに、着用者の肌側に向かって起立する立体ギャザーが形成される。また、股下部Cにおける脚周りに配される部位には、レッグ部弾性部材16が伸長状態で配されており、その収縮により、着用状態における股下部Cに着用者の脚周りへのフィット性を向上させるレッグギャザーが形成される。
【0014】
おむつ100は、表面シート12が、
図3及び
図4に示す複合シート10から構成されている。
図3は、複合シート10の一部を拡大して示す一部破断斜視図である。
【0015】
複合シート10は、
図3に示すように、積層された第1シート1及び第2シート2が部分的に接合されて複数の接合部31が形成されており、第1シート1が、該接合部31以外の部位において第2シート2から離れる方向に突出して、着用者の肌側に向かって突出する複数の凸部を形成している。複合シート10は、第2シート2側の面がほぼ平坦であり、第1シート1側に起伏の大きな凹凸が形成されている。
【0016】
第1シート1及び第2シート2は、シート材料から構成されている。シート材料としては、例えば不織布、織布及び編み地などの繊維シートや、フィルムなどを用いることができ、肌触り等の観点から繊維シートを用いることが好ましく、特に不織布を用いることが好ましい。第1シート1と第2シート2を構成するシート材料の種類は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0017】
第1シート1及び第2シート2を構成するシート材料として不織布を用いる場合の不織布としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。これらの不織布を2種以上組み合わせた積層体や、これらの不織布とフィルム等とを組み合わせた積層体を用いることもできる。これらのなかでも、エアスルー不織布又はスパンボンド不織布を用いることが好ましい。第1シート1及び第2シート2を構成するシート材料として用いる不織布の坪量は、好ましくは10g/m
2以上、より好ましくは15g/m
2以上であり、また好ましくは40g/m
2以下、より好ましくは35g/m
2以下である。不織布の坪量は10g/m
2以上40g/m
2以下であることが好ましく、15g/m
2以上35g/m
2以下であることが更に好ましい。
【0018】
不織布を構成する繊維としては、各種の熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上のブレンド物として用いることができる。また、芯鞘型やサイド・バイ・サイド型などの複合繊維の形態で用いることができる。
【0019】
複合シート10は、シートの面内に、第1方向X及びこれと直交する第2方向Yを有しており、おむつ100に組み込まれた状態においては、第1方向Xが、おむつ100の長手方向(物品長手方向)Xaに一致し、第2方向Yが、おむつ100の幅方向(物品幅方向)Yaに一致している。
また、複合シート10は、第1方向Xが、一般に、第1シート1及び第2シート2の原反の繰り出し方向と一致する場合が多い。第1シート1及び第2シート2が例えば不織布である場合には、複合シート10の第1方向Xは、不織布を構成する繊維の主たる繊維配向方向と一致する場合が多い。また、複合シート10の第1方向Xは、後述する方法で、複合シート10を製造するときの搬送方向(MD)でもある。
【0020】
複合シート10には、積層された第1シート1及び第2シート2が部分的に接合されて形成された接合部として、
図5に示すように、第1方向Xに沿う長さL3が第2方向Yに沿う長さL1より長い縦長の形状の縦長接合部31が形成されている。縦長接合部31はいずれも矩形をしており、その矩形の各辺は第1方向X又は第2方向Yと一致している。本実施形態に用いた複合シート10においては、全ての接合部が、縦長接合部31である。縦長接合部31においては、第1シート1と第2シート2とが一体的に加圧され、両シートは何れも他の部分に比して高密度化しており、好ましくは、一方又は両方のシートの構成樹脂の溶融及びその後の固化により両シート間が熱融着している。
【0021】
また本実施形態における複合シート10には、
図4に示すように、縦長接合部31が第2方向Yに沿って2種類の間隔L2,L4で規則的に配置された第2方向接合部列Rが、第1方向Yに複数列形成されている。より詳細には、第2方向接合部列Rは、第2方向Yにおける縦長接合部31どうし間の間隔として、第1の間隔L2と、第1の間隔L2よりも広い第2の間隔L4とを有しており、第2方向接合部列R中の複数の縦長接合部31は、これら2種類の間隔を第2方向に交互に有するように第2方向Yに間欠配置されている。
【0022】
個々の第2方向接合部列Rを構成する縦長接合部31は、第1方向Yにおける長さ及び配置位置が一致しており、第1方向Yにおいて隣り合う第2方向接合部列R間には一定の幅Wの隙間が形成されている。また、第1方向Yに複数列形成されている第2方向接合部列Rは、一列置きに、第2方向Yにおける縦長接合部31の配置位置が一致しており、隣り合う第2方向接合部列Rどうしは、第2方向Yにおける縦長接合部31の配置位置が相互に異なる。詳細には、本実施形態における複合シート10には、
図5に示すように、第2方向接合部列Rとして、第2方向における縦長接合部31の配置位置が相互に異なる第2方向第1接合部列R1と第2方向第2接合部列R2とが、第1方向Xに交互に形成されており、第2方向Yにおける縦長接合部31の配置位置に関しては、第2方向第1接合部列R1及び第2方向第2接合部列R2は、いずれか一方の接合部列R1(R2)における第2の間隔L4で隣り合う縦長接合部31どうし間に、他方の接合部列R2(R1)における第1の間隔L2で隣り合う一対の縦長接合部31が位置している。
【0023】
そして、
図5に示すように、第2方向接合部列R中において隣り合う2つの縦長接合部31,31を含む合計6個の接合部31に囲まれた領域内に凸部41が形成されている。本実施形態における合計6個の接合部31は、何れも縦長接合部31であり、詳細には、
図5に示すように、第2方向第1接合部列R1を構成する2個の縦長接合部31並びに第1方向Xにおいて、その第2方向第1接合部列R1に隣り合う2つの第2方向第2接合部列R2,R2を構成する4個の縦長接合部31の合計6個の縦長接合部31によって囲まれている。
【0024】
本実施形態の複合シート10においては、個々の第2方向接合部列Rに、第2方向Yに第1の間隔L2で近接配置された一対の縦長接合部31からなる縦長接合部対30が、第2方向Yに第1の間隔L2の2倍以上の間隔L4で間欠配置されており、凸部41は、第2方向Yにおいて隣り合う縦長接合部対30,30どうし間に形成されている。本実施形態における縦長接合部対30は、第2方向接合部列R中において最も狭い間隔L2で隣り合う一対の縦長接合部31からなる。
【0025】
複合シート10においては、接合部31がこのような態様で形成されていること、及び複合シート10の製造時に、合計6個の縦長接合部31に囲まれた領域に相当する部分を、裏面側から押圧したり、表面側から吸引したりすること等によって、複合シート10に、
図6に示すような断面形状の凸部41が多数形成されている。
【0026】
図3及び
図4に示されるとおり、複合シート10には、凸部41が、複合シート10の面内方向に分散した状態に形成されている。凸部41は、千鳥状に配置されている。より詳細には、凸部41は、
図4に示すように、複数の凸部41が一定の間隔で第1方向Xに沿って直列した第1方向凸部列4Xと、複数の凸部41が一定の間隔で第2方向Yに沿って直列した第2方向凸部列4Yと、複数の凸部41が一定の間隔で、第1方向X及び第2方向Yの両方向に対して傾斜した第3方向に沿って直列した第3方向凸部列4XYとを有するように配置されている。また、第1方向Xにおいて隣り合う第2方向凸部列4Yどうしは、凸部41の配置位置が、第2方向Yに半ピッチずれており、第2方向Yにおいて隣り合う第1方向凸部列4Xどうしは、凸部41の配置位置が、第1方向Xに半ピッチずれている。ここでいう半ピッチは、第1方向X及び第2方向Yのそれぞれにおいて隣り合う凸部41どうしの中心間距離である。
【0027】
複合シート10に形成された各凸部41は、
図4、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、平面視において、円形又は楕円形状であり、裏面側に中空部41Vを有している。凸部41は、6個の縦長接合部31に囲まれた領域の中央部に頂部を形成している。
また本実施形態の複合シート10は、
図5に示すように、第2方向凸部列Rにおける狭い間隔L2で隣り合う縦長接合部31,31間に、凸部41よりも高さの低い第2凸部42が形成されており、第1方向Xにおいて隣り合う第2方向凸部列Rの最も近い接合部31間に、凸部41よりも高さの低い第3凸部43が形成されている。また、
図5に示すように、複合シート10に形成された一つの凸部41aに着目したときに、該凸部41aと隣接する他の凸部41との間は、該凸部41aを囲む6個の接合部31と、それらの接合部31間に位置する第2凸部42及び第3凸部43とからなる環状凹部によって隔てられている。第2凸部42及び第3凸部43は文字どおり「凸部」ではあるが、第2凸部42及び第3凸部43は、何れも凸部41よりも相対的に高さが低いことから、これらの凸部41から見て相対的に凹部となる。
【0028】
縦長接合部31は、種々の手段で形成することができる。第1シート1及び第2シート2が熱融着可能な材料から構成されている場合には、熱、超音波、高周波による融着などを用いることができる。第1シート1及び第2シート2の材質にかかわらず、接着剤による接着を用いることもできる。熱、超音波による融着を採用して両シート1,2を接合して接合部31を形成すると、接合部31は、該接合部31以外の部位に比べて圧密化される。シート1,2が繊維シートからなる場合には、圧密化によって繊維間距離が短くなるか、又は繊維形態が失われてフィルム化が生じる。後述する複合シート10の製造方法においては、熱融着によって両シート1,2を接合して融着部からなる接合部31を形成している。
【0029】
本実施形態のおむつ100においては、以上の構成を有する複合シート10を、第1方向Xを物品長手方向Xa、第2方向Yを物品幅方向Yaに向けて表面シート12として用いている。本実施形態のおむつ100によれば、前述した構成の第2方向接合部列Rを有し、物品長手方向Xaに長い形状の縦長接合部31が物品幅方向Ya(第2方向Y)に複数配置されており、その縦長接合部31間に凸部41が形成されているため、着用中に、股下部における吸収体が着用者の脚によって圧縮されたときに、表面シート12が、個々の縦長接合部31を起点にして折れ曲がり、それによって、表面シート12全体に不規則なシワが生じることが防止される。特に、縦長接合部31間の間隔が相対的に狭い領域が存在することにより、着用時の動きの影響を受けにくく、間隔が狭い部位を有することによって、着用時の動きがあっても凹凸形状を維持しやすい。
【0030】
また本実施形態における複合シート10においては、狭い間隔L2で隣り合う一対の縦長接合部31からなる縦長接合部対30が、それよりも2倍以上広い間隔L4を開けて間欠配置されている。これにより、着用時の動きに対して一層凹凸形状が維持されやすくなる。前記間隔L4は、前記間隔L2の2倍以上であることが好ましく、より好ましくは2.5倍以上であり、また好ましくは5倍以下、より好ましくは4倍以下であり、より具体的には、間隔L2の2倍以上5倍以下が好ましく、より好ましくは2.5倍以上4倍以下である。
また、縦長接合部対30が着用時の動きの影響を受けにくくする観点から、縦長接合部対30における第1の間隔L2は、縦長接合部対30を構成する一対の縦長接合部31,31それぞれの第1方向Xの長さL3に対して、2倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.5倍以下であり、また好ましくは0.1倍以上、より好ましくは0.2倍以上であり、より具体的には、0.1倍以上2倍以下が好ましく、より好ましくは0.2倍以上1.5倍以下である。
【0031】
また、本実施形態においては、
図4に示すように、縦長接合部対30が、斜め格子状に配置されている。斜め格子状とは、縦長接合部対30が、物品長手方向Xa及び物品幅方向Yaのそれぞれに対して傾斜する斜めの縦長接合部対の列を形成しており、それらの列が格子状に交差していることを意味する。縦長接合部対30が、斜め格子状に配置されていると、表面シート12が着用者の脚の形状に沿って折れ曲がりやすく、股下部分に不規則なシワが更に形成されにくくなる。
【0032】
上述した一又は二以上の効果が一層確実に奏されるようにする観点から、第2方向接合部列の縦長接合部間に形成される凸部41は、表面シート12を構成する複合シートにおける高さが最大の凸部であることが好ましい。
【0033】
また、凸部41の高さH1は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下であり、具体的には、好ましくは0.5mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上4mm以下である。また、第2凸部42の高さは、凸部41の高さH1の70%以下であることが好ましく、より好ましくは50%以下であり、また好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、具体的には、好ましくは5%以上70%以下、より好ましくは10%以上50%以下である。また、第3凸部43の高さは、凸部41の高さH1の70%以下であることが好ましく、より好ましくは50%以下であり、また好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、具体的には、好ましくは10%以上70%以下、より好ましくは20%以上50%以下である。
【0034】
また、凸部41は、例えば、第1方向Xの長さLxは第2方向Yの長さLyに対して、好ましくは50%以上200%以下、より好ましくは70%以上130%以下である。凸部41の第1方向Xの長さLxは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下であり、具体的には、好ましくは0.5mm以上20mm以下、より好ましくは1mm以上10mm以下である。凸部41の長さLyは、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下であり、具体的には、好ましくは1mm以上20mm以下、より好ましくは2mm以上10mm以下である。第1方向Xの長さLxが第2方向Yの長さLyよりも長い場合には、着用者の脚の動きにより股下部における吸収体が幅方向に圧縮された際に、第1方向に並ぶ凸部列どうしの間に吸収体長手方向に折れ目が生じることにより股下領域に空間が形成され、排泄物のモレをより抑制できる。一方で、第1方向Xの長さLxが第2方向Yの長さLyよりも短い場合には、着用者の脚の動きにより股下部における吸収体が幅方向に圧縮された際に、凸部の形状が幅方向に縮むように変形することにより凸部の圧縮回復力が高まり、肌ざわりがより向上する。
【0035】
また、縦長接合部31の第1方向Xに沿う長さL3は0.5mm以上、特に1mm以上であることが好ましく、10mm以下、特に5mm以下であることが好ましく、より具体的には、0.5mm以上10mm以下、特に1mm以上5mm以下であることが好ましい。また、縦長接合部31の第2方向Xに沿う長さL1は0.1mm以上、特に0.5mm以上であることが好ましく、5mm以下、特に3mm以下であることが好ましく、より具体的には、0.1mm以上5mm以下、特に0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。
縦長接合部31は、第2方向Xに沿う長さL1が第1方向Xに沿う長さL3の、70%以下、特に50%以下であることが好ましく、20%以上、特に30%以上であることが好ましく、より具体的には、好ましくは20%以上70%以下であり、より好ましくは30%以上50%以下である。
【0036】
第2方向接合部列R中、縦長接合部31間の最も狭い間隔L2は、0.2mm以上、特に0.8mm以上であることが好ましく、10mm以下、特に5mm以下であることが好ましく、より具体的には、0.2mm以上10mm以下、特に0.8mm以上5mm以下であることが好ましい。
第2方向接合部列R中、縦長接合部31間の最も広い間隔L4は、1mm以上、特に2mm以上であることが好ましく、20mm以下、特に10mm以下であることが好ましく、より具体的には、1mm以上20mm以下、特に2mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0037】
第1方向Xにおける第2方向接合部列Rどうし間の間隔Wは、0mm以上、特に0.5mm以上であることが好ましく、10mm以下、特に5mm以下であることが好ましく、より具体的には、0mm以上10mm以下、特に0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。
【0038】
第1方向Xにおける第2方向第1接合部列R1どうし間の好ましい距離及び第2方向第2接合部列R2どうし間の好ましい距離は、それぞれ、第1方向Xに沿う凸部41の好ましい長さLxと同様である。
【0039】
次に、本実施形態の複合シート10の好適な製造方法について
図7ないし
図12を参照しながら説明する。複合シート10の製造方法は、
図7に示すとおり、周面が凹凸形状となっている第1ロール111と、第1ロールの凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第2ロール112とを互いに反対方向に回転させながら、両ロール111,112の噛み合い部に第1シート1を供給して、第1シート1を凹凸賦形する賦形工程を有している。また複合シート10の製造方法は、賦形工程の後、第1シート1を第1ロール111の周面部に沿わせてそのまま保持して噛み合い部分から移動させた後、第2シート2を第1シート1に重ね合わせるように供給して両シート1,2を、第1ロール111における凸部と第1ヒートロール113及び第2ヒートロール114との間で加熱下に挟圧して部分的に接合する接合工程を有している。
【0040】
図7に示すとおり、第1ロール111の周面に対して、第2ロール112、第1ヒートロール113及び第2ヒートロール114は対向配置されている。第2ロール112、第1ヒートロール113及び第2ヒートロール114は、第1ロール111の回転方向Rの上流側から下流側に向かって、その順に配置されている。周面が凹凸形状となっている第1ロール111及び第2ロール112の詳細は後述する。第1ヒートロール113及び第2ヒートロール114は、それぞれ周面に凹凸を有していないフラットなアンビルロールである。
【0041】
先ず、第1シート1の原反ロール(図示せず)から第1シート1を繰り出す。また、これとは別に、第2シート2の原反ロール(図示せず)から第2シート2を繰り出す。そして
図8に示すとおり、繰り出された第1シート1を、第1ロール111と第2ロール112との噛み合い部に噛み込ませて第1シート1を凹凸賦形する。このとき、第1ロール111をその周面からロール内部に向けて吸引して、第1シート1の凹凸賦形を促進させる。第1ロール111における吸引の機構については後述する。
【0042】
次いで
図7に示すとおり、第1シート1を第1ロール111の周面に引き続き吸引して賦形状態を保持したまま、第2シート2を重ね合わせ、その重ね合わせたものを、第1ロール111と周面平滑な第1ヒートロール113との間で挟圧する。このとき、第1ロール111と第1ヒートロール113の両方又は第1ヒートロール113のみを所定温度に加熱しておく。これによって、第1ロール111における凸部上に、つまり後述する各歯車(
図8参照)の歯の歯先面上に位置する第1シート1と第2シート2とを熱融着によって接合して接合部31を形成する。
【0043】
次いで、熱融着によって接合された第1シート1及び第2シート2の重ね合わせ体を、第1ロール111の周面に引き続き吸引保持した状態下で移動させ、該重ね合わせ体を、第1ロール111と周面平滑な第2ヒートロール114との間で挟圧する。このとき、第1ロール111と第2ヒートロール114の両方又は第2ヒートロール114のみを所定温度に加熱しておく。これによって、第1ロール111における凸部上に、つまり各歯車の歯の上に位置する接合部31において、第1シート1及び第2シート2を構成していた材料、例えば熱可塑性樹脂が溶融し、接合部31が更に強固に形成される。このようにして、目的とする複合シート10が連続的に製造される。
【0044】
図8には、
図7における第1ロール111を分解した状態の一部分の斜視図が示されている。第1ロール111は、第1歯車121及び第2歯車122並びにスペーサ123を複数枚組み合わせ、これらを軸芯124に同心状に取り付けてロール状に集積したものである。これらの歯車121,122及びスペーサ123の配置の順序については後述する。歯車121、歯車122及びスペーサ123はいずれも同じ幅(歯幅)を有している。2種類の歯車121,122及びスペーサ123はそれらの軸心が開口しており、その開口に回転軸(図示せず)が挿入される。2種類の歯車121,122及びスペーサ123にはそれぞれ切り欠き部(図示せず)が形成されており、該切り欠き部にキー(図示せず)が挿入される。これによって2種類の歯車121,122及びスペーサ123の空回りが防止される。
【0045】
スペーサ123は、中心から放射状に延びる多数の突起であるビーム125を有する形状となっている。スペーサ123における各ビーム125は、その長さがいずれも同じになっている。各ビーム125の先端を結ぶことで仮想的に形成される円の直径を便宜的に歯先円直径と定義すると、該歯先円直径は、第1及び第2歯車121,122の歯底円直径よりも小さくなっている。
【0046】
各歯車121,122には、回転軸(図示せず)が挿入される中心の開口を取り囲むように複数の開口部126,127が形成されている。各開口部126,127は同径であり、歯車の中心からそれぞれ等距離の位置に形成されている。隣り合う開口部126,127と歯車の中心とがなす角度はいずれも概ね等しくなっている。各歯車121,122における開口部126,127の個数は、上述したスペーサ123におけるビーム125の数と同数になっている。そして、各歯車121,122及びスペーサ123を組み付ける場合には、各開口部126,127が、スペーサ123における隣り合うビーム125間にそれぞれ位置するように、各歯車121,122及びスペーサ123を配置する。つまり、開口部126,127を、隣り合う2つのビーム125とスペーサ123の中心部とで構成される略V字形の領域内に位置させる。なお
図8は、前記の略V字形の領域内に開口部126,127の全域が包含されるようになされているが、これに代えて、略V字形の領域内に開口部126,127の一部のみが包含されてもよい。この略V字形の部位は、周面が凹凸形状になっている第1ロール111における凹部に相当する。一方、凹凸形状の凸部は、各歯車121,122の歯先及び歯底に相当する。
【0047】
以上のとおりに各歯車121,122及びスペーサ123を組み付けると、第1歯車121の開口部126と第2歯車122の開口部127が、第1ロール111の軸芯方向に連なって、該軸芯方向に延びる複数の吸引路(図示せず)が第1ロール111の内部に形成される。この吸引路を、ロール111外に設置された吸引装置に接続し、該吸引装置を作動させることで、第1ロール111をその周面に形成された凹部から内部に向けて吸引することが可能になる。
【0048】
図9には、第1ロール111の周面を平面に展開した状態が示されている。同図中、矢印Uで示す方向が第1ロール111の回転方向であり、矢印Vで示す方向が第1ロール111の軸芯方向である。また、同図中、細かいドットで示した矩形の領域が、各歯車121,122の歯先面を示している。同図に示すとおり、第1ロール111は、第1歯車121、スペーサ123、第2歯車122、スペーサ123、第1歯車121、スペーサ123、第2歯車122及びスペーサ123の8個の部材がこの順で集積されて1周期T
1をなし、この周期T
1が繰り返されてなる集積構造を有している。
【0049】
図9において、細かいドットで示した歯先面は、目的とする複合シート10における接合部31の形成予定位置である。具体的には、第1歯車121の歯121a及び第2歯車122の歯122aの歯先面は、縦長接合部31の形成予定位置である。各歯車121,122及びスペーサ123は、先に述べた
図4に示すような接合部31の配置パターンが得られるように適切に配置される。
【0050】
更に
図9において、第1ロール凹部領域141Aは、目的とする複合シート10における凸部41の形成予定位置であり、第1ロール第2凹部領域142Aは、目的とする複合シート10における第2凸部42の形成予定位置であり、第1ロール第3凹部領域143Aは、目的とする複合シート10における第3凸部43の形成予定位置である。
【0051】
図10には、第1ロール111と噛み合い関係になっている第2ロール112の周面を平面に展開した状態が示されている。同図中、矢印Uで示す方向が第2ロール112の回転方向であり、矢印Vで示す方向が第2ロール112の軸芯方向である。
図10に示すように、第2ロール112は、第3歯車131、スペーサ123及び第4歯車132からなる集積体から構成されている。同図中、粗いドットで示した矩形の領域が、歯車131,132の歯先面を示している。第2ロール112は吸引機構を有していなくてもよい。したがって、第1ロール111の第1歯車121及び第2歯車122に形成されている開口部126,127を、第2ロール112の歯車に形成することは不要である。
【0052】
図10に示すとおり、第2ロール112は、第3歯車131、スペーサ123、第4歯車132、スペーサ123の4個の部材がこの順で集積されて1周期T
2をなし、この周期T
2が繰り返されてなる集積構造を有している。
【0053】
図10において、第3歯車131の歯131a及び第4歯車132の歯132aによって、それぞれ第2ロール凸部141Bが形成される。第1ロール111と第2ロール112とが噛み合った状態においては、第2ロール凸部141Bは、第1ロール凹部領域141Aと嵌まり合う。
【0054】
図11には、第1ロール111の周面に、第2ロール112の凸部が噛み合った状態を平面に展開した状態が示されている。同図中、細かいドットで示した矩形の領域が、第1ロール111における歯車121,122の歯先面を示している。また、粗いドットで示した矩形の領域が、第2ロール112における歯車131,132の歯先面を示している。同図から明らかなとおり、第1ロール凹部領域141Aには、第2ロール凸部141Bが入り込んでいる。これとは対照的に、第1ロール第2凹部領域142A及び第1ロール第3凹部領域143Aには、第2ロール112の凸部は入り込んでいない。
【0055】
そして、第1ロール凹部領域141Aに第2ロール凸部141Bが入り込むことで、第1シート1(図示せず)が第1ロール111内に押し込まれて凸部41に対応する立体賦形が行われる。なお、第1ロール第2凹部領域142A及び第1ロール第3凹部領域143Aにおいては、該第2凹部領域142A及び第3凹部領域143Aから第1ロール111の内部に向けての吸引によって、第1シート1(図示せず)が該第2凹部領域142A及び第3凹部領域143A内に吸引されて立体賦形が行われる。その後、立体賦形が行われた第1シート1に対して第2シート2が貼り合わされることで、目的とする複合シート10が得られる。
【0056】
以上のようにして得られた複合シート10は、おむつ100の製造ラインに導入され、公知の方法により、使い捨ておむつ100の表面シート12とされる。
【0057】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば本発明の吸収性物品において表面シートとして使用される複合シートは、
図12に示す複合シート10Dであっても良い。
【0058】
図12に示す複合シート10Dにおいては、上述した複合シート10と同様に、積層された第1シート1及び第2シート2が部分的に接合されて複数の接合部31,34が形成され、その第1シート1が、該接合部31,34以外の部位において第2シート2から離れる方向に突出して、着用者の肌側に向かって突出する複数の凸部41,44を形成している。複合シート10Dにおいても、縦長接合部31が物品幅方向Yaに対応する第2方向Xに沿って2種類以上の間隔L2,L4で規則的に配置された第2方向接合部列Rが、物品長手方向Xaに対応する第1方向Yに亘って複数列形成されているが、縦長接合部34が第2方向Xに沿って一定の間隔で配置された第2方向第3接合部列R3が、第1方向Yにおける第2方向接合部列Rどうし間に形成されている。複合シート10Dにおける第2方向接合部列Rにも、複合シート10と同様に、第2方向Yに第1の間隔L2で近接配置された一対の縦長接合部31からなる縦長接合部対30が、第2方向Yに第1の間隔L2の2倍以上の間隔L4で間欠配置されており、凸部41が、第2方向Yにおいて隣り合う縦長接合部対30,30どうし間に形成されている。より詳細には、第2方向接合部列R中において隣り合う2つの縦長接合部31並びに第1方向Xにおいて第2方向接合部列R1に隣り合う2つの第2方向第3接合部列R3,R3それぞれの各1個の縦長接合部34からなる合計6個の縦長接合部31,34によって囲まれている領域内に凸部41が形成されている。
【0059】
また複合シート10Dにおいては、第1方向Xにおいて隣り合う2つの第2方向接合部列R中の各2個(合計4個)の縦長接合部31並びに第1方向Xにおいてそれらの第2方向接合部列R間に位置する1つの第2方向第3接合部列R3を構成する2個の縦長接合部34からなる合計6個の縦長接合部31,34によって囲まれている領域内に、凸部41よりも高さが高く、平面積も大きい凸部44が形成されている。凸部41及び凸部44は、平面視において、円形又は楕円形状であり、凸部44は、裏面側に中空部を有している。凸部41も、裏面側に中空部を有していることが好ましい。
【0060】
図12に示す複合シート10Dは、
図8に示す装置の第1ロール111として、歯車及びスペーサを、歯車の歯先面が
図13に示す配置となるように組み合わせた第1ロールを用いるとともに、
図8に示す装置の第2ロール112として、歯車及びスペーサを、歯車の歯先面が
図14に示す配置となるように組み合わせた第2ロールを用いることにより、前述した複合シート10の製造方法と同様にして製造することができる。その製造方法においては、第1ロール112の周面には、凸部41の形成予定領域である第1ロール第1凹部領域141A及び凸部44の形成予定領域である第1ロール第4凹部領域144Aが
図13に示すように形成されている一方、第2ロール112の周面には、
図14に示すような、第2ロール第1凸部141Bと第2ロール第4凸部144Bが形成されている。第1ロール111と第2ロール112とが噛み合った状態においては、第2ロール第1凸部141Bが、第1ロール第1凹部領域141Aと嵌まり合い、それにより第1シート1が変形して多数の凸部41が生じるとともに、第2ロール第4凸部144Bが、第1ロール第4凹部領域144Aと嵌まり合い、それにより第1シート1が変形して多数の凸部44が生じる。そして、その状態を維持したまま第1シートに第2シートが接合されて、複合シート10Dが得られる。複合シート10Dを表面シート12として用いた使い捨ておむつ等の吸収性物品によれば、着用状態において、前述した実施形態のおむつと同様の効果が奏される。
【0061】
また本発明に用いる複合シートにおいては、積層された第1シートと第2シートが接合されて形成された接合部は、その一部の接合部のみが、物品長手方向に相当する第1方向Xに長い縦長接合部であっても良い。例えば、複合シート10Dにおける、第2方向第3接合部列R3を構成する接合部34は、縦長形状のものに代えて、第1方向Xにおける長さと第2方向における長さが等しい正方形状であっても良い。また、第2方向第3接合部列R3を構成する接合部34として、第1方向Xに長い縦長接合部と正方形状の接合部等とを混在させても良い。
【0062】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の吸収性物品を開示する。
<1>
表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配置された吸収体を具備し、着用時に着用者の前後方向に沿う物品長手方向と、該物品長手方向と直交する物品幅方向とを有する吸収性物品であって、
前記表面シートは、第1方向及びこれと直交する第2方向を有する複合シートから構成され、第1方向が、着用時に着用者の前後方向に沿う物品長手方向に一致しており、
前記複合シートは、積層された第1シート及び第2シートが部分的に接合されて複数の接合部が形成され、第1シートが、前記接合部以外の部位において第2シートから離れる方向に突出して、着用者の肌側に向かって突出する複数の凸部を形成しており、
前記接合部は、全部又は一部が、第1方向に沿う長さが第2方向に沿う長さより長い縦長の形状の縦長接合部であり、前記複合シートに、前記縦長接合部が第2方向に沿って2種類以上の間隔で規則的に配置された第2方向接合部列が、第1方向に複数列形成されており、
第2方向接合部列中の隣り合う2つの前記縦長接合部を含む合計4個以上の接合部に囲まれた領域内に前記凸部が形成されている、吸収性物品。
【0063】
<2>
第2方向接合部列として、第2方向における縦長接合部の配置位置が相互に異なる第2方向第1接合部列と第2方向第2接合部列とが、第1方向に交互に形成されている、<1>に記載の吸収性物品。
<3>
第2方向接合部列Rは、第2方向Yにおける縦長接合部31どうし間の間隔として、第1の間隔L2と、第1の間隔L2よりも広い第2の間隔L4とを有しており、第2方向接合部列R中の複数の縦長接合部31は、これら2種類の間隔を第2方向に交互に有するように第2方向Yに間欠配置されている、<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
第2方向接合部列に、第2方向に第1の間隔L2で近接配置された一対の前記縦長接合部からなる縦長接合部対が、第2方向に第1の間隔の2倍以上の間隔L4で間欠配置されており、前記凸部は、第2方向において隣り合う縦長接合部対どうし間に形成されている、<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5>
前記間隔L4は、前記間隔L2の2倍以上であることが好ましく、より好ましくは2.5倍以上であり、また好ましくは5倍以下、より好ましくは4倍以下である、<3>又は<4>に記載の吸収性物品。
【0064】
<6>
前記縦長接合部対における第1の間隔L2は、該縦長接合部対を構成する一対の前記縦長接合部それぞれの第1方向の長さの2倍以下である、<4>又は<5>に記載の吸収性物品。
<7>
前記縦長接合部対における第1の間隔L2は、該縦長接合部対を構成する一対の縦長接合部それぞれの第1方向Xの長さL3に対して、2倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.5倍以下であり、また好ましくは0.1倍上、より好ましくは0.2倍以上である、<4>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記縦長接合部対が、斜め格子状に配置されている、<4>〜<7>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9>
前記複合シートは、第2シート側の面がほぼ平坦である、<1>〜<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10>
第1シートを構成するシート材料及び第2シートを構成するシート材料が、不織布である、<1>〜<9>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0065】
<11>
第1シート1及び第2シート2を構成するシート材料として用いる不織布の坪量は、好ましくは10g/m
2以上、より好ましくは15g/m
2以上であり、また好ましくは40g/m
2以下、より好ましくは35g/m
2以下であり、また好ましくは10g/m
2以上40g/m
2以下、より好ましくは15g/m
2以上35g/m
2以下である、<1>〜<10>の何れか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記縦長接合部においては、第1シートと第2シートとが何れも他の部分に比して高密度化しており、両シート間が熱融着している、<1>〜<11>の何れか1に記載の吸収性物品。
<13>
個々の第2方向接合部列Rを構成する縦長接合部は、第1方向Yにおける長さ及び配置位置が一致している、<1>〜<12>の何れか1に記載の吸収性物品。
<14>
第1方向Yに複数列形成されている第2方向接合部列Rは、一列置きに、第2方向Yにおける縦長接合部31の配置位置が一致している、<1>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15>
第2方向接合部列R中において隣り合う2つの縦長接合部を含む合計6個の接合部に囲まれた領域内に前記凸部が形成されている、<1>〜<14>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0066】
<16>
前記凸部は、複数の凸部が一定の間隔で第1方向Xに沿って直列した第1方向凸部列4Xと、複数の凸部が一定の間隔で第2方向Yに沿って直列した第2方向凸部列4Yと、複数の凸部が一定の間隔で、第1方向X及び第2方向Yの両方向に対して傾斜した第3方向に沿って直列した第3方向凸部列4XYとを有するように配置されている、<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
<17>
前記凸部は、複数の凸部が一定の間隔で第1方向Xに沿って直列した第1方向凸部列4Xと、複数の凸部が一定の間隔で第2方向Yに沿って直列した第2方向凸部列4Yとを有するように配置されており、
第1方向Xにおいて隣り合う第2方向凸部列4Yどうしは、凸部の配置位置が、第2方向Yに半ピッチずれており、第2方向Yにおいて隣り合う第1方向凸部列4Xどうしは、凸部の配置位置が、第1方向Xに半ピッチずれている、<1>〜<16>の何れか1に記載の吸収性物品。
<18>
第2方向凸部列Rにおける狭い間隔L2で隣り合う縦長接合部間に、前記凸部よりも高さの低い第2凸部が形成されている、<16>又は<17>に記載の吸収性物品。
<19>
第1方向Xにおいて隣り合う第2方向凸部列Rの最も近い接合部間に、前記凸部よりも高さの低い第3凸部が形成されている、<16>〜<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
<20>
前記複合シートに形成された一つの凸部に着目したときに、該凸部と隣接する他の凸部との間は、該凸部を囲む6個の接合部と、それらの接合部間に位置する、該凸部よりも高さの低い第2凸部及び第3凸部とからなる環状凹部によって隔てられている、<19>に記載の吸収性物品。
【0067】
<21>
前記縦長接合部は、第1方向Xに沿う長さL3が、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である、<1>〜<20>の何れか1に記載の吸収性物品。
<22>
前記縦長接合部は、第2方向Xに沿う長さL1が、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である、<1>〜<21>の何れか1に記載の吸収性物品。
<23>
前記縦長接合部は、第2方向Xに沿う長さL1が第1方向Xに沿う長さL3の、好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下であり、また、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である、<1>〜<22>の何れか1に記載の吸収性物品。
<24>
第2方向接合部列R中、縦長接合部31間の最も狭い間隔L2は、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.8mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である、<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0068】
<25>
第2方向接合部列R中、縦長接合部31間の最も広い間隔L4は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であることが好ましく、また好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である、<1>〜<24>の何れか1に記載の吸収性物品。
<26>
第1方向Xにおける第2方向接合部列Rどうし間の間隔Wは、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である、<1>〜<25>の何れか1に記載の吸収性物品。
【実施例】
【0069】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0070】
〔実施例1〕
図7ないし
図11に示す装置を用いて、
図3ないし
図6に示す複合シート10を製造した。複合シート10の原料となる第1シート1及び第2シート2として、坪量18g/m
2であり、繊度2.2dtexのポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの芯鞘型複合繊維からなるエアスルー不織布を用いた。製造装置における第1歯車121、第2歯車122及びスペーサの厚みはいずれも1mmとした。第1ヒートロール113は120℃に加熱しておき、第2ヒートロール114は200℃に加熱しておいた。第1ロール111はその周面の凹部からロール内部に向けて吸引を行い、その状態下に第1シート1の凹凸賦形を行った。
【0071】
このようにして得られた複合シート10は、全体の坪量が41g/m
2であり、第1凸部41の高さH1は2.0mm、第2凸部42の高さは1.0mm、第3凸部43の高さは0.3mmであった。また、縦長接合部31は、第1方向Xの長さL3が2.5mm、第2方向Yの長さL1が1mm、第2方向接合部列Rは、第1の間隔L2が1mm、第2の間隔L4が3mm、第2方向接合部列R間の幅Wは0.6mmであった。
【0072】
〔比較例1〕
実施例1において第1ロール及び第2ロールとして別の第1歯車及びスペーサを組み合わせて用い、
図16に示すパターンで、積層された第1シートと第2シートとの間が接合部35で部分的に接合された複合シートを得た。得られた複合シートは、全体の坪量が41g/m
2であり、6個の接合部35に囲まれた領域のそれぞれに凸部41が形成されており、それらの凸部41の高さは1.7mmであった。また、接合部35は、一辺の長さが1mmの正方形状であり、接合部35が第2方向Yに沿って2種類の間隔L2,L4で規則的に配置された第2方向接合部列R’が、第1方向Yに亘って複数列形成され、間隔L2は1mm、間隔L4は3mmであった。
【0073】
〔評価〕
花王株式会社の使い捨ておむつである「メリーズ(登録商標)さらさらエアスルーSサイズ」(2014年製)の表面シートを取り出し、その表面シートの代わりに、実施例及び比較例で得られた複合シートを表面シートとして固定し、試験用のおむつサンプルとした。
試験用のおむつサンプルを着用状態と同様に湾曲させた状態で、股下部に設定した股下領域(4×4cm
2)における表面シートの凸形状のつぶれ率を計測した。
<凸形状のつぶれ率の計測方法>
表面シートの凸形状を目視で観察し、凸形状の一部が陥没している凸部をつぶれ凸部とし、測定領域(4×4cm
2)におけるつぶれ凸部の個数を数えた。下記式に基づいてつぶれ率(%)を算出した。
つぶれ率(%)=(測定領域内のつぶれ凸部の個数/測定領域内の全凸部の個数)×100
なお、実施例及び比較例のいずれについても、凸形状の全体が潰れている凸部は存在しなかった。
【0074】
つぶれ率の計測の結果、実施例1については、つぶれ率が10%であるのに対して、比較例1においては、つぶれ率が21%であり、実施例1の複合シートが、比較例1の複合シートよりも凹凸の凸が安定に維持されることが確認された。おむつ着用状態において凸形状を安定して維持できるため、凸潰れにより生じる不規則な表面シートのシワの発生を抑制することができる。