(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蒸気タービンから排出される蒸気を、その内部空間で凝縮させる復水器の復水器本体に隣り合うように設けられ、導入されるドレンをフラッシュさせるフラッシュボックスであって、
ボックス本体と、
前記ボックス本体の内部空間に配置され、前記ボックス本体の内部空間に前記ドレンを導入するドレン導入部と、
前記ボックス本体と前記ドレン導入部との間に配置される遮熱部材と、を備え、
前記遮熱部材は、前記ドレン導入部を横断面で見たときに四方から囲むと共に、前記ボックス本体の側壁の全体を内側から覆うように設けられている、ことを特徴とするフラッシュボックス。
前記ボックス本体の内壁面と前記遮熱部材の外壁面との間に、冷却媒体を導入する冷却媒体導入装置をさらに備えている、ことを特徴とする請求項1に記載のフラッシュボックス。
前記ドレン導入部は、前記ボックス本体の壁部を貫通する状態で設けられるドレン部材に形成され、前記ドレン部材は、前記補強部材に沿って延びている、ことを特徴とする請求項8に記載のフラッシュボックス。
上部側に配置され、前記ドレン導入部から導入される、溶存酸素を含む前記ドレンから脱気された酸素を排出する脱気酸素排出部をさらに備えている、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のフラッシュボックス。
下部側に配置され、前記ドレン導入部から導入される前記ドレンを、前記復水器本体の内部空間に排出するドレン排出部をさらに備えている、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のフラッシュボックス。
蒸気タービンから排出される蒸気を、その内部空間で凝縮させる復水器本体と、この復水器本体に隣り合うように設けられる請求項1乃至14のいずれかに記載の前記フラッシュボックスと、を備えている、ことを特徴とする復水器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付の図面を参照して、各実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1には、第1の実施の形態によるフラッシュボックス10を備える復水器100が設置された発電システムの一例の概略系統図が示されている。
図1に示す発電システムでは、蒸気タービン1にタービン蒸気S1が供給されることで、蒸気タービン1が回転し、蒸気タービン1の回転が回転軸2を介して発電機3に伝達される。これにより、発電機3が回転して発電が行われるようになっている。
【0015】
このような発電システムにおいて、一例として、本実施の形態による復水器100は、蒸気タービン1から排出された排気蒸気S2を冷却水によって凝縮して復水Wとするために設置されている。
図1に示すように、本実施の形態による復水器100は、復水器本体101と、フラッシュボックス10と、を備えており、図示の発電システムにおいては、このうちの復水器本体101に排気蒸気S2が流入するようになっている。ここで、復水器本体101は、蒸気タービン1からの排気蒸気S2が流入し凝縮する内部空間を形成する筐体部分を意味する。
【0016】
また、図示の発電システムは、復水器本体101において凝縮された復水Wが加熱器4に流入すると共に、この加熱器4に、蒸気タービン1に供給されるタービン蒸気S1の一部が抽気蒸気S3として供給されるようになっている。この加熱器4においては、抽気蒸気S3が復水Wの加熱のために用いられ、抽気蒸気S3は、復水Wの加熱後に凝縮されることにより、液体であるヒータドレンDとされる。この例において、前記フラッシュボックス10は、加熱器4から排出されるヒータドレンDに含まれる溶存酸素を脱気して排出するために設置されている。
【0017】
以下、本実施の形態によるフラッシュボックス10を備える復水器100について詳述する。
図2は、復水器100の上面図を示し、
図3は、
図2のIII−III線に沿う断面図を示している。なお、
図3では、説明の便宜のために、フラッシュボックス10の断面が概略的に示されている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、本実施の形態による復水器100は、前述した復水器本体101と、フラッシュボックス10と、を備えており、フラッシュボックス10は、復水器本体101に隣り合うようにして設けられている。復水器本体101には、水室102が設けられている。この水室102は、復水器本体101内に流入する排気蒸気S2(
図1参照)を冷却するための冷却水を、復水器本体101内に配置される後述する細管群103に供給すると共に、細管群103を通過した冷却水を排出するための部材である。これら水室102及び細管群103の詳細については、後述する。
【0019】
本実施の形態の復水器本体101は、上側に配置される上側部101Uと、上側部101Uの下部に接続された下側部101Dと、を有しており、このうち、上側部101Uは、蒸気タービン1が排出する排気蒸気S2を下側部101Dに向けて通過させるための流路を形成している。また、下側部101Dは、上側部101Uを通過した排気蒸気S2を凝縮させる内部空間を形成している。
【0020】
下側部101Dは、横断面視で長方形状を有すると共に上下方向に延びる箱状に形成されている。詳しくは、下側部101Dは、互いに対向すると共に互いに沿って延びる一対の第1壁部111Aと、互いに対向すると共に互いに沿って延びる一対の第2壁部111Bと、を有している。一対の第1壁部111Aの一方の端部間が一対の第2壁部111Bのうちの一方によって連結され、一対の第1壁部111Aの他方の端部間が一対の第2壁部111Bのうちの他方によって連結されている。
【0021】
下側部101Dのうちの一対の第1壁部111Aの外壁面に、前述した水室102が設けられており、水室102は、流入側水室102Aと、流出側水室102Bと、を有している。このうち、流入側水室102Aが、一対の第1壁部111Aのうちの一方の外壁面に設けられ、流出側水室102Bが、一対の第1壁部111Aのうちの他方の外壁面に設けられている。これら流入側水室102A及び流出側水室102Bは、下側部101Dを挟んで互いに対向するように配置されている。本実施の形態では、このような水室102が、一対の第1壁部111Aの外壁面に、一例として2組設けられている。
【0022】
図3には、復水器本体101内に配置される、前述した細管群103が概略的に示されている。細管群103は、流入側水室102Aと流出側水室102Bとの間に架設され、下側部101Dを貫通するように配置されている。水室102では、流入側水室102Aに流入した冷却水を細管群103に供給するようになっている。また、流出側水室102Bは、細管群103を通過した冷却水を排出するようになっている。
【0023】
これにより、復水器本体101では、下側部101Dの内部空間に流入した排気蒸気S2を、細管群103を通過する冷却水によって冷却して凝縮することにより、復水Wとすることが可能となっている。なお、細管群111Cを通過させる冷却水としては、一般的に、海水が用いられるが、その他の冷却水が用いられても構わない。
【0024】
一方で、本実施の形態において、フラッシュボックス10は、下側部101Dのうちの一対の第2壁部111Bの外壁面のそれぞれに隣り合うようにして設けられている。なお、
図2及び
図3において、符号104は、
図1に示した加熱器4から排出されるヒータドレンDをフラッシュボックス10内に流入させるための複数の配管104を示している。これら配管104は、フラッシュボックス10に設けられる後述するドレン導入部12を有するドレン管13(
図4参照)に接続される。配管104からドレン管13にヒータドレンDが供給されることで、フラッシュボックス10の内部空間にヒータドレンDを導入することが可能となっている。
【0025】
以下、フラッシュボックス10について詳述する。
【0026】
図4(A)は、
図3に示されるZ領域で囲まれるフラッシュボックス10の詳細な断面図を示し、
図4(B)は、
図4(A)のIV−IV線に沿うフラッシュボックス10の断面図を示している。また、
図4(C)は、フラッシュボックス10に設けられる後述する遮熱部材14の横断面形状を示している。
【0027】
図4(A),(B)に示すように、本実施の形態のフラッシュボックス10は、ボックス本体11と、ボックス本体11の内部空間に配置され、ボックス本体11の内部空間にヒータドレンDを導入するドレン導入部12を有するドレン管(ドレン部材)13と、ボックス本体11とドレン導入部12との間に配置される遮熱部材14と、を備えている
【0028】
本実施の形態のボックス本体11は、横断面視で長方形状を有して上下方向に延びる側壁部21と、側壁部21の下端部を閉塞する矩形状の底壁部22と、側壁部21の上端部を閉塞する矩形状の頂壁部23と、を有している。これら側壁部21、底壁部22及び頂壁部23はそれぞれ、例えば、炭素鋼等により形成されている。
【0029】
図3及び
図4(A)に示すように、ボックス本体11の縦断面形状は、全体として、復水器本体101の下側部101Dのうちの第2壁部111Bに沿って長尺に延びる長方形状に形成されている。また、
図2を参照し、ボックス本体11のうちの側壁部21の横断面形状は、復水器本体101の下側部101Dのうちの第2壁部111Bに沿って長尺に延びる長方形状に形成されている。以下では、説明の便宜上、側壁部21の横断面視において、側壁部21が長尺に延びる長手方向を幅方向と呼び、側壁部21の長手方向に直交する短手方向のことを厚さ方向と呼ぶ。
【0030】
図4(A)に示すように、本実施の形態においては、側壁部21において厚さ方向で対向する壁部の間に複数の補強部材24が跨がって設けられている。これにより、ボックス本体11の剛性が確保されている。補強部材24は、図示の例では、パイプ材からなり、一方の端部が、側壁部21において厚さ方向で対向する壁部のうちの一方に接合され、他方の端部が、側壁部21において厚さ方向で対向する壁部のうちの他方に接合されている。
【0031】
詳しくは、
図4(B)に示すように、複数の補強部材24は、上下方向に間隔を空けて並ぶと共に、側壁21の幅方向に間隔を空けて並ぶように設けられている。より詳しくは、上下方向に並んだ補強部材24の列は、隣接する補強部材24の列に平行に位置しており、側壁21の幅方向に並んだ補強部材24の行は、隣接する補強部材24の行に平行に位置している。
【0032】
本実施の形態のドレン導入部12を有するドレン管13は、ボックス本体11の側壁部21を外側から貫通する状態で複数設けられており、それぞれが補強部材24に沿って延びている。詳しくは、各ドレン管13は、ボックス本体11の側壁部21における厚さ方向で対向する壁部のうちの復水器本体101側とは反対側の壁部を貫通している。ドレン管13の一端部は、外側に露出し、前述した配管104と接続されるようになっている。また、ドレン管13の他端部は、厚さ方向で対向する壁部のうちの復水器本体101側の壁部の内壁面に接合されている。
【0033】
図4(B)に示すように、複数のドレン管13は、上下方向に間隔を空けて並ぶと共に、側壁21の幅方向に間隔を空けて並ぶように設けられている。詳しくは、上下方向に並んだドレン管13の列は、隣接するドレン管13の列に平行に位置しており、側壁21の幅方向に並んだドレン管13の行は、隣接するドレン管13の行に平行に位置している。さらに、図示の例において、ドレン管13は、上下方向で隣接する補強部材24の間に位置するように設けられている。
【0034】
また、このドレン管13は、ボックス本体11の底壁部22側にヒータドレンDが貯留された際に、ヒータドレンDの液面からドレン導入部12が上方に離れる位置に配置されている。これは、ドレン管13のドレン導入部12からヒータドレンDが導入された際に、ヒータドレンDが、既にボックス本体11の底壁部22側に貯留されたヒータドレンD内に直接的に導入されてしまうと、ヒータドレンDから放出される溶存酸素を含む蒸気(フラッシュ蒸気)が、ヒータドレンDから放出され難くなるからである。
【0035】
そして、本実施の形態において、ドレン管13におけるドレン導入部12は、ドレン管13のうちのボックス本体11の内部に挿入された部分における両端部間に位置する中間部に設けられている。本実施の形態のドレン導入部12は、下方に向けて開放する開口(孔)として構成されており、各ドレン管13において複数形成されている。これにより、本実施の形態では、ドレン管13の一端部から流入され、ドレン管13の内部を通過したヒータドレンDが、ドレン導入部12から下方向に向けて導入されるようになっている。
【0036】
次に、
図4(C)には、本実施の形態の遮熱部材14の横断面形状が示されている。
図4(A)〜
図4(C)に示すように、本実施の形態の遮熱部材14は、横断面視で長方形状を有し上下方向に延びるように形成され、その上端部及び下端部は開放している。遮熱部材14の横断面形状は、復水器本体101の下側部101Dのうちの第2壁部111Bに沿って長尺に延びる長方形状に形成されている。なお、前述のボックス本体11と同様に、以下では、説明の便宜上、遮熱部材14の横断面視において、遮熱部材14が長尺に延びる長手方向を幅方向と呼び、遮熱部材14の長手方向に直交する短手方向のことを厚さ方向と呼ぶ。
【0037】
この遮熱部材14は、ドレン導入部12を横断面視で四方から囲むと共に、ボックス本体11の側壁部21の全体を内側から覆うように設けられている。ここで、遮熱部材14とボックス本体11の側壁部21との間には、50mm以上の隙間が設けられることが好ましい。また、この遮熱部材14は、例えば、炭素鋼等により形成されている。前述したようにボックス本体11も炭素鋼等により形成されているが、遮熱部材14の材質としては、ボックス本体11の材質よりも耐熱性に優れた部材を用いることが好ましい。
【0038】
また、本実施の形態においては、遮熱部材14のうちの厚さ方向に対向する壁部のそれぞれに、補強部材24を貫通させる複数の貫通孔及びドレン管13を貫通させる複数の貫通孔が設けられている。これらの貫通孔に補強部材24及びドレン管13が貫通して、少なくとも補強部材24が遮熱部材14の荷重を支持する。これにより、遮熱部材14が、補強部材24に固定支持されている。
【0039】
一方で、本実施の形態では、ボックス本体11の上部側に、ドレン管13から導入される、溶存酸素を含むヒータドレンDから脱気された酸素を排出する脱気酸素排出部26が設けられている。また、ボックス本体11の下部側に、ドレン管13から導入されるヒータドレンDを、復水器本体101の内部空間に排出するドレン排出部27が設けられている。
【0040】
脱気酸素排出部26は、ヒータドレンDから脱気された酸素をボックス本体11の内部空間に配置した受け入れ部26Aに流入させて、復水器本体101の内部空間における気相部に排出する。また、ドレン排出部27は、ボックス本体11の底壁部22側に貯留されたヒータドレンDを、ボックス本体11の内部空間に配置した受け入れ部27Aに流入させて復水器本体101の内部空間に排出する。ここで、ボックス本体11の底壁部22側にヒータドレンDが貯留された際には、その液面は、ドレン排出部27の受け入れ部27Aの上端近傍まで至り得る。したがって、ドレン管13及びドレン導入部12は、ドレン排出部27の受け入れ部27Aよりも上方に配置されることが好ましい。
【0041】
次に、以上に説明した構成を備える第1の実施の形態の作用について説明する。
【0042】
本実施の形態による復水器100によれば、
図1に示した発電システムが運転された際に、蒸気タービン1から排出された排気蒸気S2が復水器本体101に流入する。この際、復水器本体101の内部空間に流入した排気蒸気S2は、冷却水によって凝縮されて復水Wとなる。復水器本体101によって凝縮された復水Wは、加熱器4に流入すると共に、この加熱器4には、蒸気タービン1に供給されるタービン蒸気S1の一部が抽気蒸気S3として供給される。そして、加熱器4が抽気蒸気S3によって復水Wを加熱する。これにより、抽気蒸気S3は、復水Wの加熱後に凝縮されることにより、液体であるヒータドレンDとされる。このヒータドレンDは、配管104及びドレン管13を介して、ドレン導入部12からフラッシュボックス10の内部空間に導入される。
【0043】
本実施の形態では、ドレン導入部12とボックス本体11との間に、遮熱部材14が介在することで、ドレン導入部12から導入されたヒータドレンDが、ボックス本体11の側壁部21に直接的に接触することが抑制されて、ボックス本体11の内部空間に導入される。これにより、ヒータドレンDの熱によって、ボックス本体11の温度が上昇してボックス本体11に熱応力が生じたり、ヒータドレンDがボックス本体11の内壁面に直接的に接触することによって、エロ−ジョンが生じたりすることを防止することができる。
【0044】
そして、ヒータドレンDは、ボックス本体11の内部空間で膨張することにより、溶存酸素を含む蒸気(フラッシュ蒸気)を放出する。この蒸気によってヒータドレンDから溶存酸素が脱気する。脱気された酸素は、上方に浮上して、脱気酸素排出部26から排出される。一方、溶存酸素を含む蒸気を放出したヒータドレンDは、下方に落下して、ボックス本体11の底壁部22側に貯留された後、ドレン排出部27から復水器本体101の内部空間に排出されて、復水Wに混合する。その後、復水Wが加熱器4に流入する。ここで、フラッシュボックス10では、ヒータドレンDが下方に落下することにより冷却される。これにより、ヒータドレンDを、復水器本体101に支障なく、つまり、復水器本体101の温度上昇を抑制しつつ当該復水器本体101に排出することができる。
【0045】
以上のような本実施の形態によれば、フラッシュボックス10において、ドレン導入部12とボックス本体11との間に、遮熱部材14が介在することで、ドレン導入部12から導入されるヒータドレンDが、ボックス本体11に直接的に接触することが抑制される。これにより、フラッシュボックス10が、別の減温器等を設けることなく、簡易な構造で、支障なく高エネルギー流体であるヒータドレンDの流入を許容することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、フラッシュボックス10が、ボックス本体11(側壁部21)における対向する壁部の間に跨がって設けられる補強部材24をさらに備え、遮熱部材14は、補強部材24に固定支持されている。これによれば、フラッシュボックス10の剛性を確保するための部材を利用して、遮熱部材14を固定支持できるため、部品点数を抑制することができ、遮熱部材14の設置が容易になる。
【0047】
また、本実施の形態では、ドレン導入部12が、ボックス本体11の壁部を貫通する状態で設けられるドレン部材であるドレン管13に形成され、ドレン管13は、補強部材に沿って延びている。これによれば、フラッシュボックス10の内部空間において、スペース効率良くドレン管13が配置されるため、結果的に、ドレン導入部12を複雑化することなくコンパクトに設けることができる。また、ドレン管13と補強部材24とが互いに沿って配置されるので、これらの組立の際に、互いに干渉してしまうこと等が防止され、組立が容易になる。
【0048】
また、本実施の形態では、脱気酸素排出部26が、ヒータドレンDから放出される蒸気が上方に浮上する側であるフラッシュボックス10における上部側に配置されている。これにより、脱気酸素排出部26によって、脱気された酸素が効率的に排出される。これにより、フラッシュボックス10内に酸素が残存することを防止することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、ドレン排出部27が、ヒータドレンDが落下する側であるフラッシュボックス10の下部側に配置されている。これにより、ドレン排出部27によって、ヒータドレンDが効率的に排出される。これにより、ヒータドレンDを効率的に復水Wに合流させることができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態によるフラッシュボックス10について
図5を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうち、第1の実施の形態の構成部分と同様の構成部分については同一符号で示し、説明は省略する。
【0051】
図5に示すように、本実施の形態のフラッシュボックス10は、ボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面との間に、冷却媒体を導入する冷却媒体導入装置30を備えている。本実施の形態の冷却媒体導入装置30は、冷却媒体として冷却用の空気Aを用いる。
図5(A)に示すように、この例では、冷却媒体導入装置30の空気Aの導入位置(供給位置)が、ボックス本体11の下部側に配置されている。そして、冷却媒体導入装置30から導入された空気Aを排出する冷却媒体排出部31が、ボックス本体11の頂壁部23に複数設けられている。
【0052】
また、
図5(A),(B)に示すように、本実施の形態では、遮熱部材14が、その上端部に頂壁部14Aを有すると共に、その下端部に底壁部14Bを有し、上方及び下方に開放していない。これにより、ドレン導入部12から導入されるヒータドレンDが、遮熱部材14の外部には流出しないように構成されている。
【0053】
そして、本実施の形態では、脱気酸素排出部26が、ボックス本体11及び遮熱部材14の上部側を貫通して、遮熱部材14の内部空間から、ヒータドレンDから脱気される酸素を排出するようになっている。また、本実施の形態のドレン排出部27は、ボックス本体11及び遮熱部材14の下部側を貫通して、遮熱部材14の内部空間から、ヒータドレンDを排出するようになっている。
【0054】
このような本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用・効果が得られると共に、冷却媒体導入装置30から、ボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面との間に、冷却用の空気Aを導入することができ、遮熱部材14及びボックス本体11の冷却を行うことができる。このことにより、遮熱部材14の温度上昇を抑制して遮熱部材14に熱応力が生じることを防止することができる。また、ボックス本体11の温度上昇を抑制してボックス本体11に熱応力が生じることをより確実に防止することができる。また、冷却用の空気Aによって、ヒータドレンDを冷却することも可能であるので、ヒータドレンDを、復水器本体101に確実に支障なく排出することもできる。
【0055】
なお、第2の実施の形態では、冷却媒体として空気Aを用いたが、冷却媒体導入装置30から導入する冷却媒体として、冷却水が用いられてもよい。冷却水としては、復水器本体101で凝縮された復水W、海水、またはこれら以外の冷却水を用いることができる。冷却水を冷却媒体とした場合には、高い熱伝達率で、遮熱部材14及びボックス本体11の冷却を行うことができるので、冷却効果を向上させることができる。また、冷却水として復水Wを用いる場合には、比較的近い位置にある復水器本体101等から冷却水用の配管を延ばしてフラッシュボックス10に接続すればよいため、冷却用の配管が複雑化することを防止できる。また、冷却水として海水を用いる場合には、低温の冷却水を容易に大量に確保することができるため、冷却効果を向上させることできる。
【0056】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態によるフラッシュボックス10を備える復水器100について
図6を用いて説明する。本実施の形態における構成部分のうち、第1または第2の実施の形態の構成部分と同様の構成部分については同一符号で示し、説明は省略する。
【0057】
本実施の形態のフラッシュボックス10は、冷却水として復水器本体101で凝縮された復水Wを用いる冷却媒体導入装置30を備える。この冷却媒体導入装置30はボックス本体11の頂壁部23に設けられている。
【0058】
詳しくは、
図6(A)に示すように、本実施の形態のボックス本体11及び遮熱部材14の構成は、第1の実施の形態と同様である。この場合、ボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面との間には、上下方向に延びるとともに、横断面視で、ボックス本体11の内壁面及び遮熱部材14の外壁面に沿って延びる空間が形成される。ここで、
図6(B)に示すように、本実施の形態の冷却媒体導入装置30は、横断面視で、ボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面との間の空間に沿って並ぶように設けられたスリット状の複数の吐出孔30Aを有し、吐出孔30Aから、冷却水を上下方向に沿って下方に向けて導入するようになっている。具体的には、冷却水は、スプレー状に噴射される。なお、冷却水は、スプレー状に噴射されずに、吐出孔30Aから落下されてもよい。
【0059】
吐出孔30Aは、一定の間隔、例えば100mmの間隔を空けて配置されており、それぞれの吐出孔30Aは、ボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面との間の空間に、上下方向で対向している。また、
図8(B)に示すように、スリット状の吐出孔30Aの長手方向は、本実施の形態では、ボックス本体11の内壁面から遮熱部材14の外壁面に向かう方向に沿っている。そして、吐出孔30Aの長手方向の両端部のうちの一方は、ボックス本体11の内壁面に近接し、他方は、遮熱部材14の外壁面に近接している。なお、このようなスリット状の吐出孔30Aの長手方向は、その他の方向、例えば、横断面視で、ボックス本体11の内壁面及び遮熱部材14の外壁面に沿っていても構わない。
【0060】
そして、本実施の形態では、上述のような冷却媒体導入装置30が、ボックス本体11の側壁部21の厚さ方向における一方の壁部側と他方の壁部側にそれぞれ設けられている。側壁部21の厚さ方向における一方の壁部側と他方の壁部側に設けられた冷却媒体導入装置30のそれぞれにおいては、吐出孔30Aがボックス本体11の側壁部21の幅方向に沿って並んでいる。
【0061】
また、本実施の形態では、脱気酸素排出部26が、ボックス本体11及び遮熱部材14の上部側を貫通して、遮熱部材14の内部空間から、ヒータドレンDから脱気される酸素を排出するようになっている。また、本実施の形態のドレン排出部27は、ボックス本体11の下部側を貫通して、ボックス本体11の内部空間から、ヒータドレンDを排出するようになっている。ここで、本実施の形態では、ドレン排出部27が、冷却媒体導入装置30が導入した冷却水としての復水Wを排出するようになっている。なお、ヒータドレンDは、結果的に復水器本体101の内部空間で復水Wと混合されるため、冷却水が復水Wである場合には、これがヒータドレンDと混合しても、問題はない。
【0062】
このような本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用・効果が得られると共に、冷却媒体導入装置30から、ボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面との間に、冷却水を導入することができ、遮熱部材14及びボックス本体11の冷却を行うことができる。
【0063】
また、冷却媒体導入装置30は、横断面視で、ボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面との間の空間に沿って並ぶように設けられたスリット状の複数の吐出孔30Aを有し、吐出孔30Aから、冷却水を下方に向けて導入するようになっている。これによれば、冷却水を、均一に、遮熱部材14及びボックス本体11に供給し易くなる。すなわち、例えば、ボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面との間の空間に向けて、円形の孔からスプレー状に冷却水を噴射した場合には、噴射直後にボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面とに局部的に冷却水が噴射されてしまい、ボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面の特に下方側に冷却水が供給され難くなるのに対して、スリット状の複数の吐出孔30Aから冷却水が導入される場合には、円形の孔に比べて下方に向けた冷却水の指向性が高くなるため、冷却水を、均一にボックス本体11の内壁面と遮熱部材14の外壁面とに供給し易くなる。また、本実施の形態のように遮熱部材14が上方に開放した構成であっても、冷却媒体導入装置30から導入した冷却水が、遮熱部材14の内側においてヒータドレンDから放出される蒸気に干渉することが防止されるので、蒸気が上方に浮上し難くなることも防止することができる。
【0064】
また、本実施の形態では、スリット状の吐出孔30Aの長手方向がボックス本体11の内壁面から遮熱部材14の外壁面に向かう方向に沿っており、吐出孔30Aの長手方向の両端部のうちの一方は、ボックス本体11の内壁面に近接し、他方は、遮熱部材14の外壁面に近接している。これによれば、遮熱部材14及びボックス本体11により均一に冷却水を供給し易くすることができる。
【0065】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態によるフラッシュボックス10について
図7を用いて説明する。本実施の形態における構成部分のうち、第1乃至第3の実施の形態の構成部分と同様の構成部分については同一符号で示し、説明は省略する。
【0066】
図7に示すように、本実施の形態のフラッシュボックス10は、第3の実施の形態と同様に、ボックス本体11の頂壁部23に設けられた冷却媒体導入装置30を備えるが、本実施の形態の冷却媒体導入装置30では、冷却水として海水が用いられる。そのため、本実施の形態の遮熱部材14は、その上端部に頂壁部14Aを有すると共に、その下端部に底壁部14Bを有し、上方及び下方に開放していない。
【0067】
一方で、冷却媒体導入装置30から導入された冷却水である海水を排出する冷却媒体排出部31が、ボックス本体11の底壁部22側に設けられている。
【0068】
このような本実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様の作用・効果が得られると共に、冷却水として海水を用いることで、低温の冷却水を容易に大量に確保することができるため、冷却効果を向上することできる。
【0069】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態によるフラッシュボックス10について
図8を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうち、第1乃至第4の実施の形態の構成部分と同様の構成部分については同一符号で示し、説明は省略する。
【0070】
図8に示すように、本実施の形態のフラッシュボックス10は、ボックス本体11の外壁面から外側に突出する複数のフィン40をさらに備えている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態のフィン40は、棒状に形成されているが、
図9(A),(B)に示す変形例のように、T字形状または三角形状であってもよい。
【0071】
このような本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用・効果が得られると共に、フィン40によってボックス本体11の表面積が増大されることにより、ボックス本体11の放熱性が向上する。これにより、ヒータドレンDの影響により温度上昇したボックス本体11が冷却され易くなり、ボックス本体11の温度上昇を抑制することができる。なお、
図9(A),(B)の形状は、棒状に比較して表面積を増大させ易いため、冷却性能を確保し易い。なお、このようなフィン40は、第2乃至第4の実施の形態においても適用可能である。
【0072】
また、
図10には、第1乃至第5の実施の形態の遮熱部材14に共通する変形例が示されている。
図10に示すように、遮熱部材14は、波形状の板材から形成されていてもよい。この場合には、遮熱部材14の表面積が増大することで放熱性が向上し、ヒータドレンDの影響により温度上昇した遮熱部材14が冷却され易くなり、遮熱部材14の温度上昇を抑制することができる。また、第2乃至第4の実施の形態のように、冷却媒体が導入される構成においては、冷却媒体との接触面積が増えることで交換熱量が増え、遮熱部材14の温度上昇をより一層抑制し、ヒータドレンDの熱を効率良く冷却して、冷却効果を向上させることができる。
【0073】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記の実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0074】
例えば、
図1に示す発電システムは、上述した各実施の形態によるフラッシュボックス10を備える復水器100が設置される発電システムの一例を示したものであり、各実施の形態によるフラッシュボックス10を備える復水器100は、
図1とは異なる構成の発電システムにおいても適用され得ることは言うまでもない。
【0075】
また、上述した各実施の形態では、
図1に示す発電システムにおいて、フラッシュボックス10が加熱器4からヒータドレンDを供給される構成を説明したが、フラッシュボックス10は、他の機器からドレン(ボイラからの高温のドレン等)を供給されてもよい。また、上述の各実施の形態においてフラッシュボックス10のボックス本体11は、横断面視で長方形状の構造を有するものを説明したが、このような形状に限定されることはない。例えば、ボックス本体11の横断面視での形状が、略U字形状であり、ボックス本体11が、略U字形状の両端部を復水器本体101の壁部に接続させて閉断面形状を形成し、この閉断面形状の内部空間に、遮熱部材14等が配置されてもよい。