(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
微粒子の原料液である液体が通過する導電性の金属細管に直接高電圧を印加するとともに、該金属細管の一端側に開口する液体吐出口の周囲から微粒化用圧縮空気を噴出させることによって、前記液体を微粒化させて噴霧し、
噴霧により生じた帯電液滴の流れに対して、コロナ放電及び圧縮空気の噴射により生じさせた、前記帯電液滴と同極性に帯電した空気イオンを含むイオン搬送流を、角度を付けて吹き付ける、微粒子の製造方法。
前記イオン搬送流を生じさせるための圧縮空気を噴射する第2噴射口の中心軸と、前記液体吐出口の中心軸とが、該液体吐出口からの距離が2〜6mmの範囲内において40〜80度の交差角度で交差している、請求項1に記載の微粒子の製造方法。
圧縮空気の前記第2噴射口の中心軸と前記液体吐出口の中心軸とが、該液体吐出口から2〜6mmの範囲内において40〜80度の交差角度で交差している、請求項5に記載の微粒子の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を
−参照しながら説明する。
図1には、本発明の微粒子の製造装置の一実施形態の概略構成が示されている。
図1に示す微粒子の製造装置1は、微粒子の原料である液体3を噴霧させる液体噴霧部2と、液体噴霧部2に対して、原料液である液体を供給する原料液供給手段(図示せず)と、液体噴霧部2に対して圧縮空気4を供給する圧縮空気供給手段(図示せず)と、高電圧発生手段5と、液体噴霧部2に形成された液体吐出口23と対向配置された対向電極6とを備えている。
液体噴霧部2は、微粒子の原料液である液体3が通過する導電性金属製の金属細管21を備えた液体吐出ノズル22と、液体吐出ノズル22の一端に形成された液体吐出口23と、液体吐出口23の周囲から圧縮空気を噴出させる圧縮空気の第1噴射口24と、圧縮空気を噴射し、コロナ放電により生じた空気イオンを含むイオン搬送流を生じさせる第2噴射口25とを備えている。第2噴射口25には、コロナ放電用の針電極26が設けられている。
高電圧発生手段5は、導電性の金属細管21に高電圧を印加可能であるとともに、コロナ放電用の針電極26にもコロナ放電を生じさせるための高電圧を印加可能であり、導電性の金属細管及び針電極と前記対向電極との間に電位差を生じさせ得る。
対向電極6は、接地されるか、又は液体吐出口23から噴霧された帯電粒子とは逆極性の電圧が印可される。
【0014】
本実施形態について更に説明すると、本実施形態における液体吐出ノズル22は、導電性の金属細管21自体から構成されている。金属細管21は、通直な直管であり、内部を液体3が流通可能になっている。金属細管21の内径は、例えば0.1mm以上1.0mm以下で、好ましくは0.3mm以上0.5mm以下である。金属細管21の外径は、例えば0.2mm以上2.0mm以下で、好ましくは0.3mm以上1.5mm以下である。金属細管21の内径及び外径をこの範囲内に設定することで、粒子の原料液を、容易に、かつ定量的に送液できるとともに、ノズル周辺の狭い領域に電界が集中し、原料液を効率よく帯電させられる。
【0015】
金属細管21及び液体吐出ノズル22は、液体噴霧部2のケース体20に、共通する中心軸が一方向Xに延在するように支持されており、液体吐出ノズル22の一端に開口する開口部が、液体吐出口23を形成している。液体噴霧部2の正面視において、液体吐出口23は円形であり、その周囲に、圧縮空気を噴出させる圧縮空気の第1噴射口24が形成されている。
第1噴射口24は、
図2に示すように、液体吐出口23を囲む環状に形成されている。
液体噴霧部2の正面視とは、液体吐出ノズル22の液体吐出口23をその正面から視た状態をいい、本実施形態の装置1においては、液体噴霧部2を、
図1における下側から視た状態である。
【0016】
第1噴射口24は、圧縮空気供給手段によって圧縮空気が供給される内部空間42と連通した第1流路24Aの一端部に形成されており、圧縮空気供給手段によって内部空間42に圧縮空気4が供給されると、第1流路24Aを通過した圧縮空気が、第1噴射口24から微粒化用圧縮空気41として噴出する。また、原料液供給手段は、液体吐出ノズル22に対して微粒子の原料液である液体3を定量的に供給することができる。第1噴射口24から微粒化用圧縮空気を噴出させつつ、液体吐出ノズル22に原料液である液体3を供給することによって、液体吐出ノズル22及び第1噴射口24が、2流体ノズルとして機能し、原料液である液体3が微粒化されて液体吐出口23から噴霧される。
図1には、液体吐出ノズル22の中心軸の延在方向Xが鉛直方向に一致し、第1流路24Aが液体吐出ノズル22の軸方向に沿って延在する例を示したが、本発明において、圧縮空気4や微粒化した液体3を噴射させる方向は、特に制限されず、鉛直方向の下方に代えて、水平方向、斜め上方、斜め下方等としても良い。また、第1流路24Aは、液体吐出ノズル22の中心軸と平行でも良いし非平行でも良い。
【0017】
また、液体吐出ノズル22の液体吐出口23から離間した位置に、液体吐出口23と対向配置された対向電極6とを備えている。詳細には、対向電極6は、液体吐出ノズル22の液体吐出口23の開口の正面の位置において、液体吐出口23の開口に対面して配置されている。対向電極6は、金属等から構成されており導電性を有している。液体吐出ノズル22の先端と対向電極6との間の距離(最短距離)は、好ましくは200mm以上、より好ましくは300mm以上であり、また、好ましくは1500mm以下、より好ましくは1000mm以下である。前記最短距離が上記下限値以上とすることが、噴霧液滴を充分に乾燥させ、粒子として捕集する観点から好ましい。
【0018】
高電圧発生手段5は、
図1に示すように、液体吐出ノズル22の導電性の金属細管21と対向電極6との間に、高電圧を印加可能に構成されている。
図1に示す例では、液体吐出ノズル22の金属細管21に負電圧が印加されており、金属細管21が負極、対向電極6が接地されており、金属細管21と対向電極6との間には電界が生じる。なお、金属細管21と対向電極6との間に電界を生じさせるためには、
図1に示す電圧の印加の仕方に代えて、液体吐出ノズル22の金属細管21に正電圧を印加するとともに、対向電極6を接地してもよい。また、対向電極6は必ずしも接地する必要は無く、金属細管21とは逆極性の電圧を印加するようにしてもよい。高電圧発生手段5によって発生させる電圧は、直流電圧であることが好ましい。
【0019】
高電圧発生手段5には高圧電源装置などの公知の装置を用いることができる。金属細管21と対向電極6との間に加わる電位差は1kV以上、特に5kV以上とすることが好ましい。また金属細管21と対向電極6との間に加わる電位差は、好ましくは1kV以上60kV以下、より好ましくは5kV以上50kV以下である。
【0020】
液体噴霧部2は、圧縮空気を噴射し、コロナ放電により生じた空気イオンを含むイオン搬送流45を生じさせる第2噴射口25を備えている。
コロナ放電で生じさせる空気イオン(負イオン)としては、例えば、O
2-(H
2O)
n ,O
3-(H
2O)
n ,NO
2-(H
2O)
n ,NO
3-(H
2O)
n ,CO
3-(H
2O)
n ,NO
3- ,NO
3-(HNO
3)
n ,NO
3-NO
3 等が挙げられる。
本実施形態の製造装置における第2噴射口25は、
図2に示すように、液体吐出口23の中心からの距離が、第1噴射口24よりも遠く、また、第1噴射口24から第2噴射口25までの距離L3が、液体吐出口23の中心から第1噴射口24までの距離L1よりも長くなっている。第2噴射口25は、
図2に示すように、液体吐出口23を挟む両側の位置に一対形成されている。また、第2噴射口25は、
図3に示すように、液体吐出口23の周囲に、液体吐出口23との間に間隔を設けて形成された傾斜面27に形成されている。傾斜面27は、液体吐出口23に近い側に傾斜下端、液体吐出口23から近い側に傾斜上端を有している。傾斜面27は、平面状であることが好ましいが、凸曲面又は凹曲面状であっても良い。
第2噴射口25は、液体吐出口23を挟むように一対設けるのに代えて、液体吐出口23の周囲に均等に3個以上設けることもできる。
図5(a)は均等に4個、
図5(b)は均等に3個設けた例である。
図5(a)に示す例及び
図5(b)に示す例のそれぞれにおいて、複数個の第2噴射口25は、液体吐出口23の中心に中心を有する真円の円周上に等間隔に配置されている。
【0021】
第2噴射口25は、
図1及び
図4に示すように、遠位流路25A及び液体吐出ノズル22の中心軸に対して角度を有する傾斜流路25Bを介して、前述した内部空間42と連通している。圧縮空気供給手段によって内部空間42に圧縮空気4が供給されると、その一部が、前述したように、第1流路24Aを通って第1噴射口24から微粒化用圧縮空気41として噴出する一方、他の一部が、遠位流路25A及び傾斜流路25Bを通って、第2噴射口25から噴射される。第1流路24A、遠位流路25A及び傾斜流路25Bは、それぞれ内面が円筒状をなしていることが好ましい。
遠位流路25A及び傾斜流路25Bは、互いに連通して、第2噴射口25に空気を供給する連続流路を形成しており、遠位流路25Aは、傾斜流路25Bに比して第2噴射口25から遠い位置にある。
図4に示す遠位流路25Aは、液体吐出ノズル22の中心軸と平行に形成されているが、非平行であっても良く、また、傾斜流路25Bに対して角度を有する遠位流路25A自体が存在しなくても良い。
【0022】
また第2噴射口25には、コロナ放電を生じさせるための針電極26が設けられている。本実施形態の高電圧発生手段5は、針電極26にも、コロナ放電を生じさせるための高電圧を印加可能に構成されている。
図1に示すように、本実施形態においては、液体吐出ノズル22の金属細管21及び針電極26に、分岐させた金属導線51を介して、同極性の電圧が印加されるように構成されている。
針電極26は、その先端が、第2噴射口25から突出するように配置されていることが好ましい。針電極26は、遠位流路25A又は傾斜流路25Bの内面に固定されていても良く、また、遠位流路25Aの内面及び傾斜流路25Bの内面の何れにも接触しないように支持されていても良い。針電極26としては、放電用金属ワイヤ等を好ましく用いることができる。針電極として用いる放電用金属ワイヤの材質としては、タングステン、黄銅、銅、モリブデン等の導電性金属材料で腐食しにくいものが好ましい。また、針電極26は、圧縮空気の噴射に耐える強度を持ち、噴射を妨げない適度な太さであることが好ましく、例えば、針電極26の直径は、第2噴射口の口径の60%以下が好ましく、より好ましくは40%以下であり、第2噴射口の口径の20%以上が好ましく、より好ましくは30%以上である。例えば第2噴射口の口径が0.5mmの場合0.2〜0.3mmが好ましい。針電極26は、先端を針状に尖らせて、放電し易くして用いる。なお、針電極26として、先端が尖った金属ワイヤ等を用いる場合、針電極26の直径は、第2噴射口25の出口断面における直径とする。また、針電極26は、先端が尖っていない棒状体であっても良いが、先端が尖っている方が好ましい。
【0023】
また、針電極26の第2噴射口25からの突出長さL5(
図4参照)は、コロナ放電の生じ易さの観点から、好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは1mm以上であり、また空気の流れを妨げる程度を減らし、液の付着を防止する観点から、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下である。針電極26の突出長さL5は、好ましくは0.5mm以上3mm以下、更に好ましくは1mm以上2mm以下である。
なお、遠位流路25Aや傾斜流路25Bが形成されている部材が導電体である場合、その部材に針電極26を融着し、その部材に高電圧発生手段5からの金属導線51等を接続しても良い。
【0024】
図1に示す例は、針電極26に、液体吐出ノズル22の金属細管21と同じ負電圧が印加した場合であるが、
図1に示す電圧の印加の仕方に代えて、針電極26及び液体吐出ノズル22の金属細管21に正電圧を印加するとともに、対向電極6を接地してもよい。高電圧発生手段5によって発生させる電圧は、直流電圧であることが好ましい。
【0025】
針電極26と対向電極6との間に加わる電位差は、15kV以上、特に20kV以上とすることが、コロナ放電により空気イオンを大量に生じさせる点から好ましい。一方、この電位差は60kV以下、特に50kV以下とすることが、装置の絶縁を過大にする必要がない点から好ましい。針電極26と対向電極6との間に加わる電位差は、好ましくは15kV以上60kV以下、より好ましくは20kV以上50kV以下である。
高電圧発生手段5は、液体吐出ノズル22の金属細管に電圧を印加する装置とは別に、針電極26に電圧を印加する装置を有していても良く、相互に異なる電圧を発生させる機能を備えた電源装置を用いて、液体吐出ノズル22の金属細管と針電極26とに独立して異なる電圧を印加しても良い。
【0026】
本実施形態の製造装置1は、対向電極6の表面に、微粒子の捕集部7を備えている。微粒子の捕集部7は、導電性材料からなる対向電極6の表面であっても良いが、対向電極6の表面に、薄いフィルム等を被せて捕集部7として用いても良い。
【0027】
次に、上述した微粒子の製造装置を用いて微粒子を製造する方法、即ち本発明の微粒子の製造方法の実施態様について説明する。
本発明の微粒子の製造方法の好ましい実施態様においては、前述した製造装置1の液体噴霧部2に、圧縮空気供給手段により圧縮空気を供給するとともに、定量送液ポンプ等の公知の原料液供給手段(図示せず)により液体噴霧部2に、微粒子の原料液である液体3を供給する。圧縮空気の供給により、金属細管21の一端側に開口する液体吐出口23の周囲に位置する第1噴射口24から微粒化用圧縮空気41が噴出するとともに、第2噴射口25から、イオン搬送流を生じさせるための圧縮空気が噴射される。
【0028】
この状態で、高電圧発生手段5を作動させて、微粒子の原料液である液体が通過する導電性の金属細管21及び針電極26に負電圧の直流高電圧を印加すると、金属細管21内を流れる液体3にマイナスの電荷が帯電し、その帯電した液体3が、液体吐出口23から、液体吐出口23の周囲から噴出された微粒化用圧縮空気41によって微粒化されて噴霧される。液体3は、噴霧により液滴となるとともに帯電した帯電液滴31となっている。
【0029】
噴霧により生じた帯電液滴31は、第1噴射口24からの圧縮空気の噴射により生じた気流に乗り、また金属細管21と対向電極6に生じた電界に沿って対向電極6に向かって流れる。また、針電極26への負電圧の高電圧の印加により、針電極26からコロナ放電で生じて空気イオンが生じるとともに、第2噴射口25からの圧縮空気の噴射により、空気イオンを含む気流であるイオン搬送流45が生じる。イオン搬送流45中に含まれる空気イオンは、帯電液滴31と同じ極性であるマイナスに帯電している。
また第2噴射口25は、液体吐出口23に近い側に傾斜下端を有する傾斜面27に形成されており、空気イオンを含むイオン搬送流45は、
図1に示すように、前述した帯電液滴の流れFに対して、角度を付けて吹き付けらえる。
【0030】
帯電液滴31と同じ極性に帯電した空気イオンを含むイオン搬送流45を、噴霧により生じた帯電液滴の流れFに吹き付けることによって、流れF中の帯電液滴31の帯電量が増加する。帯電量が増加する理由は、通常、帯電液滴と空気イオンは同極性であり、平行流ならば反発して合一することは無いが、帯電液滴の流れFに角度をつけて高速の空気イオンを衝突させているので、帯電液滴に空気イオンが取り込まれ、その結果、帯電量が増加していると考えられる。
このように帯電液滴31の帯電量が増加することによって、帯電液滴31が飛翔中に溶媒が蒸発して表面電荷密度が高くなって電荷が反発しあい、この電荷反発力が液の表面張力に打ち勝って液滴が微小粒子に分裂していく現象、すなわちレイリー分裂が促進される。そして、複数回の分裂を繰り返して小粒径化した微粒子32が捕集部7に捕集される。捕集は、対向電極6を接地した状態で行っても良いし、対向電極に、微粒子と逆極性の電圧、即ち微粒子がマイナスに帯電している場合は
プラス、微粒子がプラスに帯電している場合は
マイナスの電圧を印加した状態で行ってもよい。
【0031】
イオン搬送流45の吹き付けによる帯電量の増大を一層効果的に生じさせる観点から、イオン搬送流を生じさせるための圧縮空気を噴射する噴射口である第2噴射口25の中心軸25cと、液体吐出口23の中心軸23cとが、液体吐出口23からの距離Lが2〜6mmの範囲内において40〜80度の交差角度θ(
図4参照)で交差するように設計することが好ましい。
距離Lを2〜6mmの範囲内とすることにより、イオン搬送流45を、帯電液滴があまり拡散せず、空気イオンの濃度も高い状態で、帯電液滴の流れFに吹き付けることができ、帯電効率が高くなり、交差角度θを40〜80度の範囲内とすることにより、イオン搬送流45を噴霧液滴の流れFに強く衝突させることができて帯電効率が高まるとともに、角度が大きすぎて液滴が広く飛散してしまうことも防止できる。
なお、第2噴射口25の中心軸25cと、液体吐出口23の中心軸23cとの交差は、中心軸どうしがねじれの位置にあっても該点Pにおいて交差しているとしてよい。液体吐出口23の中心軸23c上の点Pを中心とする半径0.5mmの球殻の内部を第2噴射口25の中心軸25cが通過することが好ましく、半径0.35mmの球殻の内部を第2噴射口25の中心軸25cが通過することがより好ましい。第2噴射口25の中心軸25cが液体吐出口23の中心軸23c上の点Pを中心とする前記半径の球殻の内部を通過していれば、該点Pにおいて交差しているとする。
【0032】
同様の観点から、第2噴射口25の中心軸25cと液体吐出口23の中心軸23cとは、液体吐出口23からの距離Lが3〜5mmの範囲内において45〜60度の交差角度θで交差することが更に好ましい。
液体吐出口23の中心軸23cは、液体吐出口23に隣接する流体3の流路の中心軸であり、該液体30の流路内に位置する部分に加えて、液体吐出口23から突出する、軸長方向への延長部分も含まれる。本実施形態における、液体吐出口23の中心軸23cは、液体吐出ノズル22の中心軸及びその軸長方向への延長部分と一致している。
第2噴射口25の中心軸25cは、第2噴射口25に隣接する流路、即ち前述した傾斜流路25Bの中心軸であり、該流路25B内に位置する部分に加えて第2噴射口25から突出する軸長方向への延長部分も含まれる。なお、
図5(a)及び
図5(b)の示す例においても、全ての第2噴射口25の中心軸が液体吐出口23の中心軸に対して、液体吐出口23からの距離が2〜6mmの範囲内において40〜80度の交差角度θ(
図4参照)で交差するようにすることが好ましく、該距離が3〜5mmの範囲内において45〜60度の交差角度θで交差することが更に好ましい。
【0033】
本発明の製造装置及び製造方法においては、噴霧量を比較的多くすることができる。例えば、液体吐出用ノズルへの液体3の供給量は、0.5mL/min以上とすることができ、エレクトロスプレー法の10倍以上とすることができる。また、液体吐出用ノズルへの液体3の供給量は、160mL/min以下であることが好ましい。
【0034】
微粒子の原料液は、製造する微粒子の種類に応じて適宜に決定することができるが、生じた微粒子の構成材料となる微粒子構成材料と、微粒子の噴霧過程で一部又は全部が蒸発する溶媒とを含み、導電性を有することが好ましい。
微粒子として、有機化合物を含む微粒子を製造する場合には、微粒子構成材料としては、アラミド、コラーゲン、セルロース、ナイロン、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフラテート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリエステルカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリスチレン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリビニルアルコール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリプロピレン、ポリペプチド、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ乳酸等が例示できる。用いられる有機化合物は1種類に限定されるわけではなく、前記例示した有機化合物から任意の複数種類を組み合わせて用いることができる。
【0035】
また、微粒子として、無機化合物の微粒子を製造する場合には、微粒子構成材料として、無機微粒子を含むことが好ましく、原料液中の無機微粒子の含有量は10〜20質量%であることが好ましい。ここでいう無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、ジルコニア、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化カルシウム等の金属酸化物あるいは酸化インジウム錫などの複合酸化物、金、銀、銅、白金などの金属、窒化アルミ、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、チタン酸バリウムシリコン、カーボンナノチューブ等が挙げられる。用いる無機微粒子は1種類に限定されるわけではなく、前記例示した無機微粒子から任意の複数種類を組み合わせて用いることができる。
【0036】
また、微粒子として、無機化合物と有機化合物とを含む微粒子を製造することもでき、この場合の原料液としては、有機化合物を含む微粒子を製造するための上述した微粒子構成材料の1種以上と、無機化合物の微粒子を製造するための上述した微粒子構成材料の1種以上とを含むものが挙げられる。
【0037】
溶媒としては、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸メチル、塩化エチル、塩化メチル、塩化メチレン、四塩化炭素、臭化エチル、臭化プロピル、臭化メチル、酢酸、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸メチル、水、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1−プロパノール、2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、m−キシレン、o−キシレン、p−キシレン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、アセトニトリル、アセトン、エタノール、ギ酸、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸メチル、クロロホルム、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ジベンジルアルコール、テトラエチレングリコール、テトラヒドロフラン、トリエチレングリコール、トリクロロエタン、トルエン、ピリジン、フェノール、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジメチル、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロイソプロパノール、ヘキサン、ベンゼン、メタノール、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等を例示することができる。用いる溶媒は1種類に限定されるわけではなく、前記例示した溶媒から任意の複数種類を選定し、混合して用いても構わない。
【0038】
その他に、原料液に高分子化合物を含むことができる。水溶性高分子としてはポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、キトサン、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β−グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、ゼラチン、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。非水溶性高分子としてはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブチルアルコール、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフラテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等が例示できる。用いられる高分子化合物は1種類に限定されるわけではなく、前記例示した高分子化合物から任意の複数種類を組み合わせて用いることができる。
【0039】
微粒子の原料液である液体は、高電圧を印加した金属細管により帯電させるため、導電性を有する必要がある。ここでいう導電性とは、例えば、導電率が1μS/m以上であることを意味する。
【0040】
なお、本発明の方法及び装置で好ましく製造される微粒子は、例えば、下記方法により求めた数平均粒子径が0.01μm以上10μm以下である微小なものであり、より好ましくは0.01μm以上5μm以下のものである。ただし、本発明で製造する粒子は、そのような数平均粒子径を有するものに制限されない。
〔平均粒子径の測定方法〕
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社、JSM−6510)を用いて、加速電圧20kV、倍率5000倍にて粒子の観察を行う。50〜200個の粒子が含まれる複数の視野中の全粒子の直径を画像上で実測し、その平均を数平均粒子径として算出した。
【0041】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、第1噴射口24から噴射される圧縮空気及び第2噴射口25から噴射される圧縮空気は、共通する内部空間42を経由することなく独立した経路で供給されたものであっても良い。
【0042】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の付記(微粒子の製造装置、微粒子の製造方法)を開示する。
<1>
微粒子の原料液である液体が通過する導電性の金属細管に直接高電圧を印加するとともに、該金属細管の一端側に開口する液体吐出口の周囲から微粒化用圧縮空気を噴出させることによって、前記液体を微粒化させて噴霧し、
噴霧により生じた帯電液滴の流れに対して、コロナ放電及び圧縮空気の噴射により生じさせた、前記帯電液滴と同極性に帯電した空気イオンを含むイオン搬送流を、角度を付けて吹き付ける、微粒子の製造方法。
【0043】
<2>
前記金属細管の内径は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上であり、また好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下であり、また好ましくは0.1mm以上1mm以下、より好ましくは0.3mm以上0.5mm以下である、前記<1>に記載の微粒子の製造方法。
<3>
前記金属細管の外径は、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.3mm以上であり、また好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下であり、また好ましくは0.2mm以上2mm以下、より好ましくは0.3mm以上1.5mm以下である、前記<1>又は<2>に記載の微粒子の製造方法。
<4>
前記微粒化用圧縮空気を、前記液体吐出口の周囲に環状に形成した第1噴射口から噴出させる、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<5>
前記液体吐出口がその正面視において円形である、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
【0044】
<6>
前記液体吐出口から離間した位置に、前記金属細管との間に電位差を生じさせる対向電極を配置して、前記微粒子の製造を行い、
前記液体吐出口と前記対向電極との間の最短距離を、好ましくは200mm以上、より好ましくは300mm以上であり、また、好ましくは1500mm以下、より好ましくは1000mm以下である、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<7>
前記金属細管には、負電圧又は正電圧を印加し、前記液体吐出口から離間した位置に配置した対向電極に、逆極性の電圧を印加するか、又は該対向電極を接地する、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<8>
金属細管と対向電極との間に加わる電位差が、好ましくは1kV以上、より好ましくは5kV以上であり、また好ましくは60kV以下、より好ましくは50kV以下であり、また、好ましくは1kV以上60kV以下、より好ましくは5kV以上50kV以下である、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<9>
前記微粒化用圧縮空気を、前記液体吐出口の周囲に環状に形成した第1噴射口から噴出させ、前記イオン搬送流を生じさせるための圧縮空気を、第2噴射口から噴出させ、
第2噴射口は、前記液体吐出口の中心からの距離が、第1噴射口よりも遠く、また、第1噴射口から第2噴射口までの距離L3が、前記液体吐出口の中心から第1噴射口までの距離L1よりも長くなっている。前記<1>〜<8>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<10>
前記イオン搬送流を生じさせるための圧縮空気を噴射する第2噴射口が、少なくとも、前記液体吐出口を挟む両側の位置に一対形成されている、前記<1>〜<9>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
【0045】
<11>
前記イオン搬送流を生じさせるための圧縮空気を噴射する第2噴射口は、前記液体吐出口の周囲に前記液体吐出口との間に間隔を設けて形成された傾斜面に形成されている、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<12>
前記イオン搬送流を生じさせるための圧縮空気を噴射する第2噴射口の中心軸と、前記液体吐出口の中心軸とが、該液体吐出口からの距離が2〜6mmの範囲内において40〜80度の交差角度で交差している、前記<1>〜<11>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<13>
前記空気イオンを、圧縮空気の噴射口から突出するように配置したコロナ放電用の針電極から発生させる、前記<1>〜<12>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<14>
前記針電極の圧縮空気の噴射口からの突出長さは、好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは1mm以上であり、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上3mm以下、更に好ましくは1mm以上2mm以下である、前記<13>に記載の微粒子の製造方法。
<15>
前記イオン搬送流を生じさせるための圧縮空気が、前記液体吐出口を端部に有する液体吐出ノズルの中心軸に対して傾斜した傾斜流路を通って噴射される。前記<1>〜<14>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
【0046】
<16>
前記空気イオンを、コロナ放電用の針電極から発生させ、該針電極は、前記イオン搬送流を生じさせるための圧縮空気を噴射する第2噴射口に圧縮空気を送る流路の内面に固定されているか、又は該流路の内面に接触しないように支持されている、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<17>
前記空気イオンを、コロナ放電用の針電極から発生させ、該針電極は、遠位流路、又は前記液体吐出口を端部に有する液体吐出ノズルの中心軸に対して傾斜した傾斜流路又は前記液体吐出口からの距離が該傾斜流路よりも遠い遠位流路の内面に固定されているか、又は該遠位管路の内面及び該傾斜管路の内面の何れにも接触しないように支持されている、前記<1>〜<16>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<18>
前記針電極の直径は、第2噴射口の口径の好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下であり、また好ましくは0.1%以上である、前記<1>〜<17>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<19>
前記微粒子の原料液が、無機微粒子を10〜20質量%含む導電性の液体である、前記<1>〜<18>の何れか1に記載の微粒子の製造方法。
<20>
前記針電極と前記対向電極との間に加える電位差が、好ましくは15kV以上、より好ましくは20kV以上であり、また好ましくは60kV以下、より好ましくは50kV以下であり、また好ましくは15kV以上60kV以下、より好ましくは20kV以上50kV以下である、前記<1>〜<19>に記載の微粒子の製造方法。
【0047】
<21>
微粒子の原料液である液体を噴霧させる液体噴霧部と、液体噴霧部に対して、原料液である液体を供給する原料液供給手段と、液体噴霧部に対して圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、高電圧発生手段と、液体噴霧部に形成された液体吐出口と対向配置された対向電極とを備えた、微粒子の製造装置であって、
前記液体噴霧部は、前記液体が通過する導電性の金属細管を備えた液体吐出ノズルと、液体吐出ノズルの一端に形成された液体吐出口と、該液体吐出口の周囲から圧縮空気を噴出させる圧縮空気の第1噴射口と、圧縮空気を噴射し、コロナ放電により生じた空気イオンを含むイオン搬送流を生じさせる第2噴射口とを備えており、前記イオン搬送流が噴射される第2噴射口の中心軸は前記液体吐出口の中心軸と交差しており、第2噴射口には、コロナ放電用の針電極が設けられており、
高電圧発生手段は、導電性の金属細管に高電圧を印加可能であるとともに、コロナ放電用の針電極にもコロナ放電を生じさせるための高電圧を印加可能であり、導電性の金属細管及び針電極と前記対向電極との間に電位差を生じさせ得る、微粒子の製造装置。
<22>
前記針電極と前記対向電極との間に加わる電位差が、好ましくは15kV以上、より好ましくは20kV以上であり、また好ましくは60kV以下、より好ましくは50kV以下であり、また好ましくは15kV以上60kV以下、より好ましくは20kV以上50kV以下である、前記<20>に記載の微粒子の製造装置。
<23>
第2噴射口の中心軸と前記液体吐出口の中心軸とが、該液体吐出口からの距離が2〜6mmの範囲内において40〜80度の交差角度で交差している、前記<21>〜<22>に記載の微粒子の製造装置。
<24>
第2噴射口の中心軸と前記液体吐出口の中心軸とが、該液体吐出口からの距離が3〜5mmの範囲内において45〜60度の交差角度で交差している、前記<23>に記載の微粒子の製造装置。
<25>
液体吐出用ノズルへの液体の供給量が、0.5mL/min以上200mL/min以下である、前記<21>〜<24>の何れか1に記載の微粒子の製造装置。
【0048】
<26>
有機化合物を含む微粒子を製造する、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の微粒子の製造方法又は前記<21>〜<25>の何れか1に記載の微粒子の製造装置。
<27>
微粒子の構成材料となる微粒子構成材料として、アラミド、コラーゲン、セルロース、ナイロン、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフラテート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリエステルカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリスチレン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリビニルアルコール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリプロピレン、ポリペプチド、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ乳酸から選択される1種又は2種以上の有機化合物を含む
原料液を使用する、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の微粒子の製造方法又は前記<21>〜<26>の何れか1に記載の微粒子の製造装置。
<28>
微粒子の構成材料となる微粒子構成材料として、原料液中に無機微粒子を10〜20質量%含む原料液を使用する、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の微粒子の製造方法又は前記<21>〜<27>の何れか1に記載の微粒子の製造装置。
<29>
前記無機微粒子として、シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、ジルコニア、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化カルシウム等の金属酸化物あるいは酸化インジウム錫などの複合酸化物、金、銀、銅、白金などの金属、窒化アルミ、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、チタン酸バリウムシリコン、カーボンナノチューブから選択される1種又は2種以上の無機微粒子を含む原料液を使用する、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の微粒子の製造方法又は前記<21>〜<28>の何れか1に記載の微粒子の製造装置。
<30>
溶媒として、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸メチル、塩化エチル、塩化メチル、塩化メチレン、四塩化炭素、臭化エチル、臭化プロピル、臭化メチル、酢酸、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸メチル、水、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1−プロパノール、2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、m−キシレン、o−キシレン、p−キシレン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、アセトニトリル、アセトン、エタノール、ギ酸、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸メチル、クロロホルム、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ジベンジルアルコール、テトラエチレングリコール、テトラヒドロフラン、トリエチレングリコール、トリクロロエタン、トルエン、ピリジン、フェノール、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジメチル、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロイソプロパノール、ヘキサン、ベンゼン、メタノール、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンから選択される1種又は2種以上を含む原料液を使用する、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の微粒子の製造方法又は前記<21>〜<29>の何れか1に記載の微粒子の製造装置。
【0049】
<31>
原料液に、水溶性の高分子化合物及び非水溶性の高分子化合物の何れか一方又は双方を含む原料液を用いる、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の微粒子の製造方法又は前記<21>〜<30>の何れか1に記載の微粒子の製造装置。
<32>
前記水溶性の高分子化合物が、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、キトサン、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β−グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、ゼラチン、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースから選択される1種又は2種以上である、前記<31>に記載の微粒子の製造方法又は製造装置。
<33>
前記非水溶性の高分子化合物が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブチルアルコール、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフラテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチドから選択される1種又は2種以上である、前記<31>又は<32>に記載の微粒子の製造方法又は製造装置。
<34>
微粒子の原料液である液体が導電性を有する、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の微粒子の製造方法又は前記<21>〜<33>の何れか1に記載の微粒子の製造装置。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0051】
(評価試験1)
図1に示す装置を用い、微粒子の原料液である液体に代えて水を噴射し、噴射された水の帯電量を測定することによって、液体に対する帯電性能を評価した。
評価試験には、
図6に示す評価装置8を用いた。評価装置8は、ファラデーケージ81、金属容器82、電荷量測定器83、及び定量送液ポンプ84を備えている。
ファラデーケージ81は、春日電機製のファラデーケージ(KQ−1400)を用い、電荷量測定器83は、春日電機製のクーロンメータ(NK−1002)を用い、定量送液ポンプ84としてはシリンジポンプを用いた。水は、導電性を有する水道水(8mS/m)を用いた。
図6中、符号88は、帯電した水であり、符号85〜87は、測定プローブ先端、測定プローブ、及びアースにつながる金属導線である。
【0052】
具体的には、ファラデーケージの金属容器82の質量を測定した後、金属容器82をファラデーケージにセットして電荷量測定器83をゼロにリセットした。液体噴霧部2の金属細管21との間及び針電極26との間に負電圧又は正電圧の高電圧を印加し、液体噴霧部2に圧縮空気4を供給して第1及び第2噴射口から噴射させた。次いで、定量送液ポンプ84を動作させ、液体吐出ノズル22の下端の液体吐出口23から水を噴霧した。水を適量噴霧した後、金属容器82に溜まった液88の質量を測定し、液の質量と電荷量測定器83の測定値から単位質量当たりの帯電量(C/g)を算出した。
評価試験1に使用した条件は下記の通りである。
金属細管21の外径:1mm
金属細管21の内径:0.35mm
距離L:4mm
交差角θ:50度
針電極26の材質: 放電用金属ワイヤ φ0.2(沖電線OS−Z)
針電極26の突出長さL5:1.5mm
液:水道水(8mS/m)
液流量:0.5mL/min
圧縮空気4の圧力:0.01MPa
液体吐出口23から金属容器82の上端までの距離:200mm
【0053】
(評価試験2)
針電極26を取り外し、コロナ放電を生じさせない以外は、評価試験1と同様にして、針電極26からの放電をしない場合の帯電量を算出した。
【0054】
評価試験1及び2の結果を
図7に示す。
図7に示す結果から判るように、正極性及び負極性のいずれに帯電させた場合も、20kV以上では、明らかに針電極26からの放電を行った場合の方が帯電量が増加した。また、負極性の方が、帯電量が多くなることも確認された。なお、印加電圧が−30kVの場合、グラフ中のC1部分が、針電極26からのコロナ放電により増加した帯電量であり、グラフ中のC2部分が、針電極26以外の金属部分からのコロナ放電による帯電量であり、グラフ中のC3部分が、金属細管21中の液体に直接帯電させた帯電量であると推定される。
【0055】
(実施例1)
図1に示す微粒子の製造装置を用いて、下記処方の微粒子の原料液を噴霧させて、微粒子を製造した。
原料液の処方
高分子化合物 ヒト゛ロキシフ゜ロヒ゜ルセルロース
(HPC-SSL,2.0〜2.9mPa・s、和光純薬) :3%
無機微粒子 シリカ粒子分散液
(平均粒径20nm、固形分濃度40%、日産化学ST-40):17%
溶媒 超純水(比抵抗18 MΩ・cm以上) :70%
EtOH(乾燥速度調整用) :10%
導電率: 51mS/m
実施例に使用した条件は下記の通りである。
金属細管21の外径:1mm
金属細管21の内径:0.35mm
距離L:4mm
交差角θ:50度
針電極26の材質:放電用金属ワイヤ φ0.2(沖電線OS−Z)
針電極26の突出長さL5:1.5mm
液流量:0.5mL/min
圧縮空気4の圧力:0.4MPa
液体吐出口から対向電極(捕集部)までの距離:850mm
印加電圧:−30kV
【0056】
(比較例1)
針電極26を取り外し、コロナ放電を生じさせない以外は、実施例1と同様にして、微粒子を製造した。
【0057】
(評価)
実施例1及び比較例1において得られた微粒子の電子顕微鏡(SEM)写真から粒径を測定した。計測した微粒子の数は300〜400とした。
結果を
図8に実施例1及び比較例1の粒径分布を示し、各種平均粒径を表1に示した。
ここで、数平均粒子径、体積平均粒子径は、下記の式で算出される。
数平均粒子径=Σ(di・ni)/Σni ※diは粒子の直径、niは計測数
体積平均粒子径=Σ(Vi・di)/Σ(Vi) ※Viは粒子の体積
また、ザウター平均粒子径は粒子の体積の総和と表面積の総和の比より、下記の式で算出される。
ザウター平均粒子径=Σdi3・ni/Σdi2・ni
【0058】
【表1】
【0059】
図8及び表1に示す結果から、本発明のように、針電極26からのコロナ放電を行うことにより微粒子化が促進されたことが判る。
図8に示す結果から、針電極26からのコロナ放電を行ってイオン搬送流を角度を付けて吹き付けることにより、コロナ放電を行なわない比較例に対して、3μm以上の大粒径の粒子は減少し、1μm以下の小粒径の粒子が増加していることが判る。また、表1に示す平均粒径の計算結果からも、針電極26からのコロナ放電を行うことにより、微粒子化が促進されたことが判る。すなわち、針電極26からのコロナ放電を行うことによって噴霧液滴の帯電量が増加し、これによりレイリー分裂が促進されて微粒子を効率的に製造することが可能となる。