(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6431460
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】三次元オブジェクトのプリンタにおける動作不能なインクジェットの検出のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/112 20170101AFI20181119BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20181119BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20181119BHJP
【FI】
B29C64/112
B29C64/386
B33Y30/00
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-179133(P2015-179133)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2016-68560(P2016-68560A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2018年8月24日
(31)【優先権主張番号】14/503,492
(32)【優先日】2014年10月1日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン・ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エヌ・スウィング
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エム・フロム
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・エム・ラッセル
【審査官】
一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第8783819(US,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0111807(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元オブジェクトプリンタであって、
材料を排出するように構成された複数のインクジェットを有する少なくとも1つのプリントヘッドと、
選択的に回転するように構成されたシャフトと、
前記シャフトの円形断面との接線で光を発するように配置された少なくとも1つの光源と、
前記シャフトの前記円形断面との前記接線上で光を受け取るように配置された少なくとも1つの光センサと、
前記少なくとも1つのプリントヘッド、前記シャフト、前記少なくとも1つの光源、および前記少なくとも1つの光センサに動作可能に接続されたコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記シャフト上に材料を排出するように前記少なくとも1つのプリントヘッド内の前記インクジェットの第1のグループを動作させ、前記シャフト上の材料が前記少なくとも1つの光源と前記少なくとも1つの光センサとの間で前記シャフトの前記円形断面との前記接線上に存在して、前記少なくとも1つの光センサが前記シャフト上の複数の位置で材料の高さを示す信号を生成できる位置に前記シャフトを回転させ、前記少なくとも1つの光センサによって生成され前記信号を期待される高さの値と比較して、前記少なくとも1つのプリントヘッド内の動作不能なインクジェットを識別するように構成される、三次元オブジェクトプリンタ。
【請求項2】
ワイパーをさらに備え、前記コントローラは前記ワイパーに動作可能に接続され、前記コントローラはさらに、前記シャフト上に排出された前記材料を前記シャフトから除去するために前記ワイパーを動かすように構成される、請求項1に記載の三次元オブジェクトプリンタ。
【請求項3】
前記コントローラはさらに、前記少なくとも1つの光センサが前記シャフト上の前記複数の位置で材料の前記高さを示す信号を生成できる前記位置に前記シャフトを回転させた後、前記シャフト上に材料を排出するように前記少なくとも1つのプリントヘッド内のインクジェットの第2のグループを動作させるように構成され、インクジェットの前記第1のグループは、インクジェットの前記第2のグループと異なる、請求項2に記載の三次元オブジェクトプリンタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプリントヘッドに動作可能に接続されたアクチュエータをさらに備え、前記コントローラは、前記アクチュエータに動作可能に接続され、前記コントローラはさらに、前記少なくとも1つのプリントヘッド内の前記複数のインクジェットが前記シャフト上に材料を排出できるように、前記アクチュエータを動作させて、前記少なくとも1つのプリントヘッドが駆動されてオブジェクトを構築するエリアから前記シャフトに最も近い位置に前記少なくとも1つのプリントヘッドを動かすように構成される、請求項1に記載の三次元オブジェクトプリンタ。
【請求項5】
前記コントローラはさらに、前記少なくとも1つのプリントヘッドが駆動されてオブジェクトを構築する前記エリアにおいて前記少なくとも1つのプリントヘッドが所定数の動作を行った後、前記アクチュエータを動作させて、前記シャフトに最も近い前記位置に前記少なくとも1つのプリントヘッドを動かすように構成される、請求項4に記載の三次元オブジェクトプリンタ。
【請求項6】
前記コントローラはさらに、インクジェットの前記第1のグループを2回以上の所定回数動作させて、インクジェットの前記第1のグループに対応する、前記シャフト上の複数の位置に材料を蓄積させるように構成される、請求項5に記載の三次元オブジェクトプリンタ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源および前記少なくとも1つの光センサは、前記シャフトの縦方向の長さに沿って移動するように構成される、請求項1に記載の三次元オブジェクトプリンタ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光源はさらに、前記シャフト上の前記複数の位置に対応するように配置された複数の発光器を含み、
前記少なくとも1つの光センサはさらに、前記複数の発光器と向き合うように配置された複数の光受容器を含む、請求項1に記載の三次元オブジェクトプリンタ。
【請求項9】
前記複数の光源および前記複数の光受容器はそれぞれ、前記シャフトの縦方向の長さ全体に亘って線形アレイに並べられる、請求項8に記載の三次元オブジェクトプリンタ。
【請求項10】
前記複数の光受容器および前記複数の光受容器はそれぞれ、前記シャフトの縦方向の長さ全体に亘って二次元アレイに並べられる、請求項8に記載の三次元オブジェクトプリンタ。
【請求項11】
前記シャフトはさらに、排出された液滴と前記シャフトの三次元画像データを前記少なくとも1つの光センサで生成できるように、前記少なくとも1つの光源と前記少なくとも1つの光センサとの間で3つの位置を通って回転するように構成される、請求項8に記載の三次元オブジェクトプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるデバイスは、三次元オブジェクトを生成するプリンタに関し、より詳細には、そのようなプリンタ内の故障の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル積層造形法としても知られる、デジタル三次元造形法は、デジタルモデルから事実上どんな形状の三次元固体オブジェクトをも製作する処理である。三次元プリントは、1つ以上のプリントヘッドが基板上に異なる形状の連続する材料の層を排出するアディティブ法である。基板が、プラットフォームに動作可能に接続されたアクチュエータの動作により三次元で動かされ得るプラットフォーム上で支持されるか、または、単数のプリントヘッドまたは複数のプリントヘッドが、オブジェクトを形成する層を生成するための単数のプリントヘッドまたは複数のプリントヘッドの制御された動きのために1つ以上のアクチュエータに動作可能に接続されるか、のいずれかである。三次元プリントは、切削または穿孔といったサブトラクティブ法によるワークピースからの材料の除去にほとんど依拠する従来のオブジェクト形成技法とは区別され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのプリンタによる三次元オブジェクトの生成は、数時間、またはいくつかのオブジェクトでは数日間さえも必要とし得る。三次元プリンタによる三次元オブジェクトの生成において生じる1つの問題は、オブジェクトを形成するインク滴を排出するプリントヘッドにおけるインクジェットの一貫した機能である。オブジェクトのプリント中、1つ以上のインクジェットが、所望の量未満の液滴体積によって材料を排出し得るか、または完全に詰まってしまうことさえある。これらの体積上の差は、オブジェクトを形成する複数の層のプリント中に蓄積し得るので、より小さな液滴を排出するインクジェットによって形成された材料の柱は、他のインクジェットによって形成された周囲の材料の柱よりも短いものであり得る。これらの表面のばらつきは、オブジェクトのスクラップを必要とするに足るほど顕著であり得る。プリントジョブは、オブジェクトを生成するのに何時間または何日間も必要とし得るので、オブジェクトのこのスクラップは、高価で時間のかかるものであり得る。オブジェクトのプリント中に動作不能なインクジェットを検出し、識別することができるプリンタは有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
オブジェクトのプリント中の動作不能なインクジェットの検出を容易にする三次元オブジェクトプリンタが開発されている。プリンタは、材料を排出するように構成された複数のインクジェットを有する少なくとも1つのプリントヘッドと、選択的に回転するように構成されたシャフトと、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光センサと、少なくとも1つのプリントヘッド、シャフト、少なくとも1つの光源、および少なくとも1つの光センサに動作可能に接続されたコントローラとを含み、コントローラは、シャフト上に材料を排出するように少なくとも1つのプリントヘッドにおけるインクジェットの第1のグループを動作させ、シャフト上の複数の位置における材料の高さを示す信号を発生させることを少なくとも1つのセンサに可能にさせるために少なくとも1つの光源と少なくとも1つの光センサとの間にあることをシャフト上の材料に可能にさせる位置にシャフトを回転させ、少なくとも1つのプリントヘッドにおける動作不能なインクジェットを識別するために、少なくとも1つの光センサによって発生させられた信号を期待される高さの値と比較するように構成される。
【0005】
オブジェクトのプリント中の動作不能なインクジェットの検出を容易にする三次元オブジェクトプリンタを動作させるための方法が開発されている。方法は、シャフト上に材料を排出するようにコントローラによって少なくとも1つのプリントヘッドにおけるインクジェットの第1のグループを動作させることと、光源と光センサとの間にシャフト上の材料を動かすようにコントローラによってシャフトを回転させることと、シャフト上の複数の位置における材料の高さを示す信号を光センサによって発生させることと、少なくとも1つのプリントヘッドにおける動作不能なインクジェットを識別するために、コントローラによって、光センサによって発生させられた信号を各々の位置について期待される高さと比較することとを含む。
【0006】
プリント中にインクジェットにおける体積上の液滴のばらつきを検出し、オブジェクトのプリント動作中にこれらのばらつきを補償する装置またはプリンタの上記態様および他の特徴が、添付図面と関連して考慮される以下の説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一次元または二次元の光源および光センサを使用して三次元オブジェクトプリンタにおける動作不能なインクジェットを識別するためのシステムを示す図である。
【
図2】三次元オブジェクトプリンタにおける動作不能なインクジェットが検出される処理を示す図である。
【
図3】三次元オブジェクトプリンタにおける動作不能なインクジェットを識別し、報告するための方法の流れ図である。
【
図4】点光源と単一の光受容器とを使用して三次元オブジェクトプリンタにおける動作不能なインクジェットを識別するためのシステムを示す図である。
【
図5】プラテン上でオブジェクトを構築する従来技術の三次元オブジェクトプリンタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において開示されるデバイスのための環境ならびにそのデバイスについての詳細の一般的な理解のために、図面が参照される。図面において、同一の参照番号は、同一の要素を指定する。
【0009】
従来技術の三次元オブジェクトプリンタの実施形態が
図5に示されている。同一の構成要素のために同一の参照番号を使用して、プリンタ400は、プラテン14、プリントヘッド(単数または複数)22、アクチュエータ24、硬化ステーション30、コントローラ34、ラスタデータを発生させるラスタイメージプロセッサ38、およびプリントヘッドドライバ46を含む。コンピュータ支援設計(CAD)システムによって生成されるもののような三次元パーツファイル40が、三次元ラスタイメージプロセッサ38によって受信され、三次元ラスタイメージプロセッサ38が、パーツ26を形成するためにプリントされる層のためのラスタイメージデータを発生させる。ラスタイメージプロセッサ38が、プリントヘッドドライバ46にラスタイメージデータを渡し、ドライバが、プリントヘッドにおけるエジェクタを動作させるためだけでなく、プラテン14およびプリントヘッド(単数または複数)22の動きを制御するための、ピクセル化されたデータを発生させる。コントローラ34は、図に示されているように、プリントヘッド(単数または複数)22とプラテン14の一方または両方を、正および負のX、Y、Z方向に動かすために、ドライバ46によって発生させられたデータに関連してアクチュエータ24を動作させる。必要に応じて随時、オブジェクトを形成するために排出されている材料が硬化を必要とする場合、プリントヘッド(単数または複数)22が、プラテン14にわたる位置から退却させられ、コントローラ34が、材料を硬化させるためにオブジェクトにわたって硬化デバイス30を動かすようにアクチュエータ24の1つを動作させる。硬化動作が終了すると、コントローラ34が硬化ステーション30を位置に戻すようにアクチュエータ24を動作させるので、プリントヘッド(単数または複数)22がプラテン14にわたる位置に戻されることができ、オブジェクトプリントが再開し得る。すべてのラスタデータが、オブジェクトを形成するようプリントヘッド(単数または複数)22を動作させるために使用されてしまうと、プリントヘッド(単数または複数)22がプラテンから位置へと退却させられて、オブジェクトがプラテン14から取り出され得る。
【0010】
図1は、
図5に示された従来技術の三次元プリンタの変更としての三次元オブジェクトプリンタにおいて動作不能なインクジェットを識別するためのシステムを示す。プリンタ100は、プリンタ400の構成要素のすべてを含み、加えて、シャフト50、センサ70、および光源60を含む。光源60は、点光源、点光源の線形アレイ、または点光源の二次元アレイ、たとえば、LED等であり得る。点光源は、コリメートされた光のビームを生成するものである。あるいは、光源は、ライトパイプの長さに沿って光を発するライトパイプであり得る。光源60は、シャフト50付近に設けられ、シャフトのわずか下に設置されるので、光源は、シャフト50との接線で光を発する。センサ70は、プリンタにおけるプリントヘッドの分解能に対応する、単一の光受容器、光受容器の線形アレイ、または光受容器の二次元アレイ、たとえば、光検出器またはCCDであり得る。たとえば、プリントヘッドが300dpiのプリントヘッドであり、インターリーブされない場合、光受容器は、1インチあたり約300個の受容器によって配列される。300dpiのプリントヘッドがインターリーブされる場合、光受容器は、1インチあたり約600個の受容器によって配列される。この配列は、プリンタにおけるインクジェットがシャフト上に材料を向けるシャフト上の場所に対応することを各々の光受容器に可能にさせる。センサ70は、シャフト付近に設けられ、シャフトのわずか上に設置されるので、光受容器は、光源60によって発せられた光のビームがシャフト50を通過した後のビームの経路にある。光源60、光センサ70、およびシャフトは、アクチュエータ24に動作可能に接続されるので、コントローラ34は、シャフト上の材料の高さを示す信号を発生させるために、以下に説明されるごとく、これらの3つの構成要素の動きを同期させることができる。
【0011】
光源および光受容器のこれらのさまざまな組み合わせが、シャフト上に排出される材料の液滴の画像データを発生させるために、以下の手法で使用される。
図4に示されているもののような、点光源と単一の光受容器とを有する実施形態では、点光源および光受容器が、シャフト上の排出される液滴の高さに対応する位置で、互いに向き合うように構成される。加えて、点光源60および光受容器70は、1つ以上のアクチュエータに動作可能に接続されるので、コントローラ34は、アクチュエータ(単数または複数)を動作させ、シャフト上の液滴の一次元スキャンを提供するためにシャフトの軸方向の長さに沿って光源とセンサを動かすことができる。シャフトは、液滴が光の経路に突き出る位置に置かれる。光源とセンサがシャフトの長さをトラバースするにつれ、光受容器によって発生させられた信号が、各々の期待される液滴の場所で、光が遮られたかまたは受容されたかを示す。光が遮られた場合には、液滴は、期待される場所に期待される高さで存在する。光が受容された場合には、液滴が存在しないか、または期待される場所にないか、または期待される高さに到達しなかったか、のいずれかである。これらの条件は、エジェクタが正常に動作していないこと、プリントヘッドが点検修理を必要とすることを示す。
【0012】
点光源および単一の光受容器がまた、シャフトの中心縦軸に対し放射状に動くように構成された実施形態では、排出された液滴の二次元画像が発生させられ得る。この実施形態において、点光源および光受容器は、上述されているように、シャフトの長さをトラバースする。光源60および光受容器70はまた、シャフトの円周に接する線に沿って光を向けるようにシャフトに向かって放射状に動くように構成される。光源とセンサがシャフトの長さをトラバースするにつれ、光受容器によって発生させられた信号が、各々の期待される液滴の場所で、光が遮られたかまたは受容されたかを示す。光が遮られた場合には、液滴の位置が、第1の通過においてその場所で得られた画像データと比較される。液滴がその場所で以前に検知されなかった場合には、誤った液滴が設けられているか、またはエジェクタが期待されるよりも小さな液滴を排出しているか、のいずれかである。両方の条件は、プリントヘッドを点検修理する必要を示す。光が受容された場合には、その場所に対応するエジェクタがまったく動作していない。
【0013】
いくつかの実施形態では、単一の光源60および単一の光受容器70が、二次元画像データ発生のために構成される。これらの実施形態において、シャフトはまた、精確に排出された場合に液滴の完全な高さが検出され得る位置のわずかに前の位置での、また、精確に排出された場合に液滴の完全な高さが検出され得る位置のわずかに後ろの位置での、シャフトおよび液滴の撮像のために動かされる。この構成は、三次元画像データが発生させられることを可能にするので、シャフト上の液滴の位置だけでなく、液滴の高さと幅も、検出されることができる。
【0014】
光源60を形成する発光器の線形アレイと光センサ70を形成する受光器の線形アレイとを有する実施形態では、線形アレイは、
図1に示されているようにシャフトの縦軸に平行な向きである。したがって、上述された一次元画像データは、排出された液滴が、精確に排出された場合にそれらの最大の高さが識別され得る場所に設けられるように、シャフトが設置された状態で得られる。結果的に、光源および光センサは、何の動きも必要としない。
【0015】
発光器および受光器の線形アレイが
図1に示されているようにシャフトの縦軸に平行な向きの状態で二次元データを得るために、光源60のためのエミッタおよび光センサ70のための受容器の線形アレイは、シャフト上の排出された液滴の画像データを提供するために、上述されたごとく、シャフトの中心に対し放射状に動かされる。この二次元データは、上述されたように、プリントヘッドが点検修理を必要とするか否かを決定するために解析される。三次元画像データは、上述されているごとく、精確に排出された場合に液滴の完全な高さが検出され得る位置のわずかに前の位置に、また、精確に排出された場合に液滴の完全な高さが検出され得る位置のわずかに後ろの位置に、シャフト位置を動かすことにより、光源60のための発光器および光センサ70のための受光器の線形アレイがシャフトの縦軸に平行な向きの状態で得られる。かくして、シャフトの軸方向の発光器および光受容器の動きは何も必要とされないので、発光器および光受容器の線形アレイは、プリントヘッドのテスト動作のより効率的な動作を可能にする。
【0016】
発光器および光受容器の二次元アレイを有する実施形態では、精確に排出された場合に排出された液滴の期待される高さが検出されることを可能にするために、シャフトが、光源60の発光器と光センサ70の光受容器との間に設置される。発光器は、エミッタの一列からの光がエミッタの真正面でない受容器の列に向けられないことを保証するために、コリメートされた光を発生させる。これらの実施形態において、シャフトは、単一の照明およびデータ取り込みによる二次元データにおいて液滴の最大の高さおよび縦位置を検出することを光源およびセンサに可能にさせるように設置される。加えて、三次元データは、精確に排出された場合に液滴の完全な高さが検出され得る位置のわずかに前の位置に、また、精確に排出された場合に液滴の完全な高さが検出され得る位置のわずかに後ろの位置に、シャフトを回転させることにより得られ得る。この構成は、三次元画像データが発生させられることを可能にするので、シャフト上の液滴の位置だけでなく、液滴の高さと幅も、次元的に検出されることができる。
【0017】
上述された実施形態において、センサ70における光受容器は、センサ70における光受容器によって発生させられた信号の受信をコントローラ34に可能にさせるために、コントローラ34に動作可能に接続される。これらの信号は、対応するインクジェットが材料を排出したかどうかまたは適切な量の材料を排出したかどうかを決定するために、シャフト50上にテストパターンを形成するようにプリントヘッド(単数または複数)22を動作させるために使用された画像データと比較される。コントローラ34は、上述された一次元、二次元、または三次元のデータを提供するために、光源60および光センサ70の動きとシャフト50の回転とを同期させるように、アクチュエータ24を動作させる。センサにおける単数の受容器または複数の受容器の単数の位置または複数の位置は、インクジェットが正常に動作したかどうかを決定するために画像データと比較されるデータ値のアレイをコントローラに提供するために受容器によって発生させられた各々の信号と相関させられる。
【0018】
プリントヘッド(単数または複数)22は、(
図2に示された)複数のインクジェット15を備え、材料を排出するためにインクジェット15を使用する。一実施形態では、いくつかのインクジェット15が構築材料を排出する一方で、他のインクジェット15は支持材料を排出する。プリントヘッド(単数または複数)22がプラテン14にわたる場合、それらは、一連のインクリメンタルな構築サイクルを通じてパーツ(単数または複数)26を構築する。コントローラ34は、どれほど多くの構築サイクルがプリントヘッド(単数または複数)22によって行われるかを追跡する。所定数の構築サイクルの後、コントローラ34は、シャフト50に最も近くてシャフト50の上部の場所にプリントヘッド(単数または複数)22を動かすようにアクチュエータ24を動作させる。この位置にくると、プリントヘッド(単数または複数)22が、シャフト上50に材料を排出する。コントローラ34が続いて、プラテン14にわたる位置にプリントヘッド(単数または複数)22を戻すようにアクチュエータ24を動作させるので、それは次の構築サイクルを続行し得る。コントローラ34は、プリントヘッド(単数または複数)22によって堆積させられた材料が光源60とセンサ70との間にくる位置まで回転するようにシャフトを動作させる。コントローラ34は、センサ70に向かって光のビームを発するように光源60を動作させる。センサ70は、センサ70における光受容器によって発生させられた信号をコントローラ34に出力する。各々の信号は、センサ70における各々の光受容器に到達した光の量に対応する。コントローラ34が続いて、プリントヘッド(単数または複数)22におけるインクジェット15によってシャフト50上に堆積させられた材料が最小の高さに到達しているかどうかを決定するために、センサ70における光受容器から受信された各々の信号の値をしきい値と比較する。コントローラ34が所定数の構築サイクルが再び行われたと決定した場合、プリントヘッド(単数または複数)22がシャフト50上に材料を排出するシャフト50にわたる位置にプリントヘッド(単数または複数)22が戻った状態で、処理が繰り返される。一実施形態では、異なるプリントヘッド22、または、プリントヘッド(単数または複数)22内のインクジェットの異なるグループが、シャフト50上に材料を排出する。シャフト50は、以前に排出された材料の高さがセンサ70によって識別されることを可能にするように回転させられるので、インクジェットの第2のグループが材料を排出するシャフト50の部分は清浄である。
【0019】
図2は、三次元オブジェクトプリンタにおける動作不能なインクジェットが検出される処理を示す。処理は、6つの動作によって示されており、6つの動作は、シャフト50が4つの位置を通じて回転させられるにつれ、番号2.1〜2.6を振られている。各々の説明図は、インクジェット15、シャフト50、光源60、センサ70、およびワイパー80とともに、プリントヘッド22を描いている。シャフト50は、場所A、B、C、およびDを含む。処理全体を通したデバイスの動作は、コントローラ34(
図1)のようなコントローラによって制御される。
【0020】
動作2.1において、シャフトが位置Aに設けられる一方で、インクジェット15がシャフト50上に材料の液滴を排出する。
図2におけるインクジェット15は、インクジェットの列の一端に設置された単一のインクジェットである。列におけるすべてのまたは選択されたインクジェットが、テストパターンを形成するように動作させられ得る。一実施形態において、各々の液滴は、位置Aのシャフト50上に同時に排出される。別の実施形態では、材料は、インクジェット15からの一連の排出によって位置Aのシャフト50上に蓄積される。一連の排出が完了して材料を排出するために使用された各々のインクジェットのための材料の柱が形成された後、プリントヘッド(単数または複数)22は、1つ以上の構築サイクルのためにプラテン14上の構築エリアに戻る。動作2.2では、シャフト50が、90度回転して、位置Bをプリントヘッドの最も近くに、位置Aを光源60とセンサ70との間に配置すると、インクジェット15が、位置Bでシャフト50上に材料を排出し得る。その間に、センサ70における光受容器および光源60がシャフト上の材料の画像データを発生させるために上述された手法の1つで動作させられる。三次元データが発生させられる場合には、シャフトは、三次元データが発生させられることを可能にするために上述されたようにこの位置の周りをインクリメンタルに回転させられる。コントローラがこれらの信号を受信し、各々の信号を、インクジェットを動作させてテストパターンを形成するために使用された画像データに対応する値と比較する。信号が、インクジェットから材料を排出するために使用された画像データに対応する高さのところで光をセンサ70に到達させないように遮るシャフト50上の材料の量に対応する光の量に対応する場合には、インクジェットは正常に動作している。信号が、光をセンサ70に到達させないように遮ったシャフト50上の材料が、インクジェットから材料を排出するために使用された画像データに対応する材料の量を所定のしきい値だけ上回るかまたは下回る高さである、ということを示す光の量に対応する場合には、そのような信号を発生させるそれらの受容器に対応するインクジェットは、動作不能であるか、または各々の排出時に適切な量の材料を排出していないか、のいずれかである。一実施形態において、位置Bでシャフト50上にインクを排出するインクジェット15は、位置Aでシャフト50上にインクを排出したインクジェット15とは異なる。このタイプの動作は、インクジェットの異なるグループが各々のテストパターンによってテストされることを可能にする。
【0021】
動作2.3では、インクジェット15が位置Bでシャフト50上に材料を排出し終える。動作2.4では、位置Cがプリントヘッド22の最も近くにあり、位置Bが光源60およびセンサ70の最も近くにあり、位置Aがワイパー80の最も近くにあるように、シャフト50が90度回転させられている。インクジェット15の別のグループが位置Cでシャフト50上に材料を排出し始め、センサ70が、上述されているように、光源60から受容された光の量と位置Bでの材料の高さとに対応する信号を発生させる。動作2.5では、インクジェット15が位置Cでシャフト50上に材料を排出し終える。動作2.6では、シャフト50上の位置Dがプリントヘッド22の最も近くにあり、位置Cが光源60およびセンサ70の最も近くにあり、位置Bがワイパー80の最も近くにあるように、シャフト50が90度回転させられている。回転中、ワイパー80が、位置Aから材料を除去し、インクジェット15のグループが、位置Dでシャフト50上に材料を排出し始め、センサ70が、光源60から受容された光の量と位置Cでの材料の高さとに対応する信号を発生させる。
【0022】
図3は、三次元オブジェクトプリンタにおける動作不能なインクジェットを識別し、報告するための方法300の流れ図である。この方法の以下の説明において、処理が何らかのタスクまたは機能を行っている記述は、データを操作するために、または、タスクまたは機能を行うようにプリンタにおける1つ以上の構成要素を動作させるために、コントローラまたはプロセッサに動作可能に接続された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラムされた命令を実行する、コントローラまたは汎用プロセッサに言及する。上述されたコントローラ34がそのようなコントローラまたはプロセッサであり得る。あるいは、これらのコントローラは、2つ以上のプロセッサならびに関連づけられた回路および構成要素によって実現され得、それらの各々は、本明細書において説明される1つ以上のタスクまたは機能を形成するように構成される。
【0023】
方法300は、三次元オブジェクトプリンタがプラテン14上でオブジェクト26を形成するために構築サイクルを実行することによって始まる(ブロック310)。各々の構築サイクルの後、コントローラ34は、プリンタが所定数の構築サイクルを実行したかどうかを決定する(ブロック320)。所定数に到達している場合、別の構築サイクルが行われる。構築サイクルの数が到達されている場合、アクチュエータがプリントヘッド(単数または複数)22をシャフト50に最も近い位置へと動かす。この位置から、インクジェット15が、シャフト上50に材料を排出する(ブロック340)。コントローラが続いて、プリントヘッド(単数または複数)22を構築エリアへと動かすようにアクチュエータを動作させ(ブロック350)、シャフト50を90度回転させるように別のアクチュエータを動作させる(ブロック360)。構築エリアにくると、カウントされた構築サイクルの数はリセットされ、プリントヘッド(単数または複数)22が構築サイクルを実行し、構築サイクルのカウントが再開する。
【0024】
シャフト50の回転が、シャフト50上に排出される材料がセンサ70と光源60との間にあることを可能にするように、インクジェット15から排出される材料を設置する(ブロック360)。センサ70における各々の光受容器が、受容された光の量と、受容器と光源60との間の材料の高さとを示す、信号を発生させ、信号がコントローラに送信される(ブロック370)。コントローラ34が、センサ70によって発生させられた信号を、インクジェットを動作させるために使用された画像データに対応する材料の期待される高さに対応する値と比較する(ブロック380)。二次元または三次元のデータがセンサ70によって発生させられる場合には、データは、液滴の軸方向の位置のみまたは軸方向と円周方向の位置が正常かどうかを決定するために、インクジェットを動作させるための画像データと比較される。期待される高さまたは位置がセンサ70における光受容器に対応するインクジェットによって排出された材料について達成されなかった場合には、コントローラ34が動作不能なインクジェットを報告する(ブロック390)。処理300がプリントヘッド(単数または複数)22をシャフト50にわたる位置に再び戻すと、インクジェット15の別のグループがシャフト50上に材料を排出する。
【0025】
一実施形態において、シャフト50上に材料を排出するインクジェット15は、最初にシャフト50上に材料を排出したインクジェット15とは異なる。一実施形態において、インクジェット15は、シャフトを回転させる前に同一の位置において複数回シャフト50上に材料を排出する。この実施形態において、コントローラは、プリントヘッド(単数または複数)22をプラテン14上の構築エリアに戻し、シャフト50を回転させることに進む前に、インクジェットが所定回数動作させられたかどうかを決定する。
【0026】
動作において、三次元オブジェクトプリンタは、シャフト50、光源60、センサ70によって構成され、コントローラ34は、これらの構成要素を動作させ、プラテン14およびシャフト50に対しプリントヘッド(単数または複数)22を動かすように、上述された手法の1つで構成される。所定数の構築サイクルが行われた後、プリントヘッド(単数または複数)22がシャフト50上に材料を排出するために動かされ、プリントヘッド(単数または複数)22が構築エリアに戻され、シャフト50が回転させられ、光源60およびセンサ70が、シャフト上に材料を排出するように動作させられたインクジェットの中の任意の動作不能なインクジェットを識別することをコントローラ34に可能にさせる信号を発生させるように動作させられる。1つ以上の動作不能なインクジェットが検出された場合、構築サイクルが終了させられるか、または、欠損しているインクジェットの補償スキームが動作不能なインクジェットに対処するために実現される。