特許第6431688号(P6431688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6431688セパレータ用コーティング材料、スラリー、セパレータ、および二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6431688
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】セパレータ用コーティング材料、スラリー、セパレータ、および二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/16 20060101AFI20181119BHJP
【FI】
   H01M2/16 P
   H01M2/16 L
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-93575(P2014-93575)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2015-211006(P2015-211006A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100103115
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 康廣
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 恵理
(72)【発明者】
【氏名】吉永 輝政
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−020818(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/029502(WO,A1)
【文献】 特開2010−055972(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/050708(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/085416(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素原子数3〜6の不飽和炭化水素成分50〜99質量%および不飽和カルボン酸成分0.5〜20質量%を含むポリオレフィン樹脂(ただし、ポリオレフィン樹脂にニトリル基を含むものは除く。)が、塩基性化合物とともに水性媒体に分散されていることを特徴とするセパレータ用コーティング材料。
【請求項2】
前記ポリオレフィン樹脂が0.5μm以下の数平均粒子径を有し、かつ1〜2.6の粒径分布分散度を有する請求項1に記載のコーティング材料。
【請求項3】
不揮発性水性化助剤を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1または2に記載のコーティング材料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング材料および非導電性粒子を含むセパレータ形成用スラリー。
【請求項5】
前記ポリオレフィン樹脂と非導電性粒子との含有質量比が70/30〜1/99である請求項4に記載のスラリー。
【請求項6】
多孔性基材の少なくとも片面に、請求項4または5に記載のスラリーを塗布してなる多孔質層を有するセパレータ。
【請求項7】
多孔性基材を構成する素材がポリオレフィン樹脂である請求項6に記載のセパレータ。
【請求項8】
請求項6または7に記載のセパレータを具備する二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータ用コーティング材料、そのコーティング材料を用いたセパレータ形成用スラリー、そのスラリーを用いて製造されたセパレータ、およびそのセパレータを用いた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型軽量化、多機能化、コードレス化の要求に伴い、高性能二次電池の開発が積極的に進められている。二次電池の例としては、カドミウムを用いて得られるニッケル−カドミウム二次電池(ニカド電池)、水素吸蔵合金を用いて得られるニッケル−水素二次電池(Ni−MH電池)、リチウム化合物を用いた非水電解液二次電池(リチウムイオン電池)などが挙げられる。
【0003】
このような二次電池は一般に、電解液中において、正極と負極との間にセパレータが配置された構造を有する。
【0004】
二次電池の正極および負極はそれぞれ所定の活物質粒子および所望の添加剤を金属集電体の表面に結着させてなるものである。活物質粒子を集電体表面に結着させるために、ポリマーを水性媒体中に溶解または分散させたバインダーが使用される。このような電極用バインダーには、活物質粒子を金属集電体表面に結着させるための結着性だけでなく、電解液中においても当該結着性を維持するための耐電解液性が要求されている。
【0005】
電極用バインダーとしては、種々のバインダーが報告されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0006】
二次電池のセパレータは、正極と負極との間で短絡を防止しつつ、充放電時においてリチウムイオンなどのイオンを通過させる多孔質体である。二次電池のセパレータは、過充電などにより二次電池の熱暴走が生じた際には、高温時の安全機能として、基材である熱可塑性樹脂が溶解し空孔を塞ぐことで電流を遮断するシャットダウン性能を有しており、ポリオレフィン多孔性基材がセパレータとして広く用いられている。特にセパレータの耐熱性を付与させるための提案は多く、例えば、耐熱性を有する非導電性粒子をバインダーによって多孔性基材に接着させることで、高温時の寸法安定性を高める方法が提案されている(引用文献4)。非導電性粒子を多孔性基材表面に接着させるために、通常、ポリマーを水性媒体中に溶解または分散させたコーティング材料が使用される。このようなコーティング材料には、電極用バインダーと類似の要求特性、すなわち非導電性粒子を多孔性基材表面に接着させるための接着性、電解液中においても当該接着性を維持するための耐電解液性だけでなく、熱暴走時でも当該接着性を維持するための耐熱性(高温環境下でのセパレータの寸法安定性)および充放電時に電解液中でイオンを透過させるためのセパレータの透気性を確保することが要求されている。
【0007】
しかしながら、セパレータ用コーティング材料として、従来の電極用バインダーを使用すると、以下の問題が生じた。多孔性基材の空孔を詰まらせ透気度の低下や二次電池性能の低下をもたらした。そこで、セパレータの透気性を確保しようとバインダー量を減量すると、非導電性粒子同士および非導電性粒子−多孔性基材間の接着性が低下し、高温時の寸法安定性が低下し安全性に課題が生じた。そこで、所望の接着性を確保しようとすると、透気性が低下した。透気性が低下すると、二次電池の電池特性が低下した。
【0008】
セパレータ用コーティング材料として、種々のコーティング材料が報告されているが(特許文献5)、所定のセパレータ透気性を備えると同時に接着性に優れ、かつ良好な耐電解液性および耐熱性を有するコーティング材料を開発するには至っていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−50894号公報
【特許文献2】WO2008/029502A1
【特許文献3】JP2010−55972A
【特許文献4】JP2013−237203A
【特許文献5】JP2013−173283A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、非導電性粒子同士および非導電性粒子−多孔性基材間の接着性および得られるセパレータの透気性に同時に優れ、かつ電解液に対する耐電解液性および発熱に対する耐熱性が良好なセパレータ用コーティング材料、そのコーティング材料用いたセパレータ形成用スラリー、そのスラリーを用いて製造されたセパレータ、およびそのセパレータを用いた二次電池を提供することを目的とする。
【0011】
本明細書中、セパレータに関する接着性は、所定の透気性を維持しつつ、非導電性粒子同士および非導電性粒子−多孔性基材間の十分な結合を達成する観点からの接着性を意味し、透気性を考慮する必要のない電極に関する結着性とは区別して使用するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、炭素原子数3〜6の不飽和炭化水素成分50〜99質量%および不飽和カルボン酸成分0.5〜20質量%を含むポリオレフィン樹脂が、塩基性化合物とともに水性媒体に分散されていることを特徴とするセパレータ用コーティング材料に関する。
【0013】
本発明はまた、上記コーティング材料および非導電性粒子含むセパレータ形成用スラリーに関する。
【0014】
本発明はまた、多孔性基材の少なくとも片面に、上記スラリーを塗布してなる多孔質層を有するセパレータに関する。
【0015】
本発明はまた、上記セパレータを具備する二次電池に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るセパレータ用コーティング材料を用いて形成されたセパレータは、非導電性粒子同士および非導電性粒子−多孔性基材間の接着性および透気性に同時に優れ、かつ電解液に対する耐電解液性および発熱に対する耐熱性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[セパレータ用コーティング材料]
本発明に係るセパレータ用コーティング材料は、ポリオレフィン樹脂が塩基性化合物とともに水性媒体に分散された水性分散体である。
【0018】
ポリオレフィン樹脂は主成分のモノマー単位として炭素原子数3〜6、好ましくは炭素原子数3〜4、最も好ましくは炭素原子数3の不飽和炭化水素成分をポリオレフィン樹脂の構成成分全量に対して50〜99質量%含有することが必要であり、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは70〜99質量%、特に好ましくは73〜95質量%含有する。炭素原子数3〜6の不飽和炭化水素の含有量が50質量%未満では、非導電性粒子同士および非導電性粒子−多孔性基材間の接着性が低下する場合がある。一方、99質量%を超えると、不飽和カルボン酸単位の含有量が相対的に低下してしまうため、樹脂の水性化が困難になる場合がある。不飽和炭化水素成分の50%以上が炭素原子数2の不飽和炭化水素であると、耐熱性が低下する。不飽和炭化水素成分の50%以上が炭素原子数7以上の不飽和炭化水素であると、樹脂の水性化が困難になる。
【0019】
炭素原子数3〜6の不飽和炭化水素成分の具体例としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等のアルケン類や、ブタジエンやイソプレン等のジエン類が挙げられる。不飽和炭化水素成分として2種類以上の化合物が含有されてもよく、その場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。なかでも、樹脂の製造のし易さ、水性化のし易さ、非導電性粒子同士の接着性、非導電性粒子と多孔性基材との接着性等の点から、プロピレンまたはブテン(特に1−ブテン)の少なくとも一方を含むことが好ましく、両者を併用することもできる。ブテンは1−ブテンおよびイソブテンなどを包含する。プロピレンおよびブテンの合計含有量はポリオレフィン樹脂の構成成分全量に対して50〜99質量%が好ましい。
【0020】
ポリオレフィン樹脂はモノマー単位として、上記した炭素原子数3〜6の不飽和炭化水素成分以外に、エチレンをポリオレフィン樹脂の構成成分全量に対して1.5〜45質量%含有していることが好ましく、0.5〜30質量%含有していることがより好ましく、0.5〜25質量%含有していることがさらに好ましい。エチレンを含有することで、樹脂の柔軟性が増し、その結果、接着性が向上するだけでなく水性化しやすくなる。
【0021】
ポリオレフィン樹脂は、炭素原子数3〜6の不飽和炭化水素成分として、プロピレンまたは1−ブテンを主成分とすることが好ましい。プロピレンまたは1−ブテンを主成分とする、とは、プロピレンまたは1−ブテンが炭素原子数3〜6の不飽和炭化水素成分の全量に対して50質量%以上、好ましくは70〜100質量%含まれるという意味である。ポリオレフィン樹脂はプロピレンとエチレンとを含むか、またはプロピレンと1−ブテンとを含むことがより好ましい。ポリオレフィン樹脂は1−ブテンとエチレンとを含むものでもよい。ポリオレフィン樹脂がプロピレンまたは1−ブテンのいずれかとエチレンとを含むものである場合の、好ましい構成比率は、プロピレンまたは1−ブテンとエチレンとの総和を100質量%としたときに、プロピレンまたは1−ブテンが50〜90質量%、エチレンが10〜50質量%である。
【0022】
ポリオレフィン樹脂の特に好ましい構成は、プロピレン、エチレンの2成分または、プロピレン、ブテンおよびエチレンの3成分を含有することである。この場合の好ましい構成比率は、この2成分または3成分の総和を100質量%としたときに、プロピレン8〜99質量%、ブテン0〜90質量%、エチレン1〜49質量%であり、より好ましい比率は、プロピレン50〜99質量%、ブテン0〜40質量%、エチレン1〜40質量%である。
【0023】
ポリオレフィン樹脂は、その分散性、分散時の粒子径の点から、その構造中にモノマー単位として不飽和カルボン酸成分をポリオレフィン樹脂の構成成分全量に対して0.5〜20質量%有している必要がある。不飽和カルボン酸成分は、0.5〜15質量%であることが好ましく、0.5〜12質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましく、1〜8質量%であることが特に好ましい。不飽和カルボン酸成分が0.5質量%未満の場合は、ポリオレフィン樹脂を水性化することが困難になる。一方、20質量%を超える場合は、分散時の粒子径は小さくなり、分散性は良くなることから樹脂の水性化は容易になるが、耐電解液性が低下し、耐熱性も劣る傾向がある。
【0024】
不飽和カルボン酸成分は、1分子中、少なくとも1つのラジカル重合性結合(特に二重結合)と少なくとも1つのカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸およびその無水物である。その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等を挙げることができる。そのほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等のように、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物を挙げることもできる。不飽和カルボン酸成分として2種類以上の化合物が含有されてもよく、その場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい)。なかでも、ポリオレフィン樹脂への導入のし易さの点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。ポリオレフィン樹脂に導入された酸無水物単位は、乾燥状態では酸無水物構造を取りやすく、塩基性化合物を含有する水性媒体中では、その一部または全部が開環してカルボン酸またはその塩の構造となる傾向がある。
【0025】
ポリオレフィン樹脂は、水性化がし易くなる点や様々な材料に対する接着性が向上する点から、(メタ)アクリル酸エステルをポリオレフィン樹脂の構成成分全量に対して20質量%以下の割合で含有していてもよい。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
【0026】
ポリオレフィン樹脂は、上記成分以外に下記の成分を、ポリオレフィン樹脂の構成成分全量に対して20質量%以下含有していてもよい。例えば、1−オクテン、ノルボルネン類等の炭素数7以上のアルケン類やジエン類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類;ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルアルコール;2−ヒドロキシエチルアクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;スチレン;置換スチレン;ハロゲン化ビニル類;ハロゲン化ビリニデン類;一酸化炭素;二酸化硫黄などが挙げられる。これらの混合物を用いることもできる。
【0027】
ポリオレフィン樹脂において、不飽和カルボン酸成分を除く各成分の共重合形態は、特に限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合等が挙げられる。なかでも、重合のし易さの点から、ランダム共重合が好ましい。
【0028】
不飽和カルボン酸成分は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その共重合形態の具体例としては、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。グラフト共重合する場合は、例えば、ラジカル発生剤の存在下、不飽和カルボン酸成分を含まないポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸とを、ポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱溶融して反応させる方法や、ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、攪拌して反応させる方法が挙げられる。操作が簡便である点から前者の方法が好ましい。グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類が挙げられる。これらは、反応温度にもとづいて適宜選択して使用すればよい。
【0029】
ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、非導電性粒子同士の接着性、非導電性粒子と多孔性基材との接着性、および樹脂の水性化容易性のさらなる向上の観点から、20,000以上であることが好ましく、20,000〜150,000であることがより好ましく、30,000〜120,000であることがさらに好ましく、30,000〜100,000であることが特に好ましく、30,000〜90,000であることが最も好ましい。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
【0030】
ポリオレフィン樹脂の融点は、非導電性粒子同士の接着性、非導電性粒子と多孔性基材との接着性、多孔性基材としての耐熱性、および樹脂の水性化容易性のさらなる向上の観点から、70〜200℃であることが好ましく、80〜180℃であることがより好ましく、90〜175℃であることがさらに好ましく、100〜170℃であることが最も好ましい。樹脂の融点は、DSC(Perkin Elmer社製DSC−7)により求めることができる。
【0031】
ポリオレフィン樹脂としては、組成、分子量および/または融点が異なる2種以上のポリオレフィン樹脂が含有されてもよい。このとき、2種以上のポリオレフィン樹脂全体の構成成分の比率が上述の範囲となればよい。各ポリオレフィン樹脂の構成成分の比率が上述の範囲であることが好ましい。
【0032】
本発明に使用されるポリオレフィン樹脂として、次のものを挙げることができる。例えば、アメリカのレキセン(Rexene)社製の「レクスタック(REXTAC)」、ドイツのヒュルス(Huls)社製の「ベストプラスト408」や「ベストプラスト708」、宇部レキセン社製の「ウベタックAPAO」等の市販の樹脂を用い、これらの市販樹脂に前記の方法で不飽和カルボン酸成分を導入したポリオレフィン樹脂を挙げることができる。上記の市販樹脂のうち、ベストプラスト408、ベストプラスト708を用いることが好ましい。
【0033】
本発明に使用するポリオレフィン樹脂は、架橋していても良く、架橋の効果で接着性をさらに向上することができる。本発明のポリオレフィン樹脂を予め水性化前に架橋させる方法としては、上述のポリオレフィン樹脂にさらに電子線や放射線などの活性エネルギー線を照射する方法や、樹脂を溶解又は溶融させた状態で架橋剤と反応させる方法などが挙げられる。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤や、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する架橋剤や、多価の配位座を有する金属錯体などが挙げられる。架橋剤として、より詳細には、たとえば、通常は界面活性剤としては用いられない水に不溶性の、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール類が挙げられる。さらに、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤が挙げられる。
【0034】
本発明のセパレータ用コーティング材料は、上記のポリオレフィン樹脂を、塩基性化合物とともに水性媒体に分散したものである。塩基性化合物によって、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基は、その一部または全部が中和され、生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。
【0035】
塩基性化合物の常圧時の沸点は、250℃未満であることが、耐水性、乾燥性等の点から好ましい。なお本明細書において、常圧時とは、大気圧時との意味である。沸点が250℃以上の場合は、塩基性化合物を乾燥によって樹脂塗膜から飛散させることが困難であり、特に低温乾燥時の塗膜の耐水性や基材との接着性等が悪化する場合がある。塩基性化合物の具体例は、特に限定されるものではない。たとえば、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、エチルアミン、ジエチルアミン、イソブチルアミン、ジプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2,2−ジメトキシエチルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピロール、ピリジン等を挙げることができる。
【0036】
塩基性化合物の添加量は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であることが好ましく、0.8〜2.5倍当量であることがより好ましく、0.9〜2.0倍当量であることが特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、3.0倍当量を超えると、塗膜形成時の乾燥時間が長くなったり、水性分散体の安定性が悪化したりする場合がある。
【0037】
本発明のセパレータ用コーティング材料中における塩基性化合物の添加量は、上記したポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対する添加当量が上記範囲内であれば特に限定されるものではないが、通常はコーティング材料全量に対して0.01〜5.0質量%が好ましく、0.03〜3.0質量%が好ましい。
【0038】
ポリオレフィン樹脂を水性媒体に分散する方法は、特に限定されない。例えば、加圧下、ポリオレフィン樹脂、塩基性化合物および水性媒体を密閉容器中で加熱、攪拌することで分散する方法を用いることができる。水性媒体は、水を主成分とする液体であり、前記した塩基性化合物を予め含有していてもよい。後述する水溶性の有機溶剤もまた水性媒体に予め含有されていてもよいし、または水性媒体と同時に容器中に添加されてもよい。
【0039】
本発明のセパレータ用コーティング材料中に分散しているポリオレフィン樹脂の粒径分布における分散度(体積平均粒径(Dv)/数平均粒子径(Dn))は、セパレータの透気性を確保しながらも、非導電性粒子同士および非導電性粒子−多孔性基材間の接着を達成する観点から、1〜2.6が好ましく、より好ましくは1〜2.3、最も好ましくは1〜2.1である。このような分散度を達成することにより、実施例で測定されるセパレータの透気度および接着性について、透気度300秒/100ml以下を確保しつつ、4.0N/cm以上の接着性を簡便に達成できる。より好ましくは透気度280秒/100ml以下を確保しつつ、4.8N/cm以上の接着性を簡便に達成できる。最も好ましくは透気度250秒/100ml以下を確保しつつ、5.1N/cm以上の接着性を簡便に達成できる。セパレーターの透気度が300秒/100mlを超えると、二次電池の電池特性が低下する。なお、透気度の下限は好ましくは210秒/100mlである。接着性の上限は通常、5.5N/cm、好ましくは6.0N/cmである。
【0040】
分散度(Dv/Dn)は1に近いほど、粒子がシャープな粒度分布を持つことになり、1より大きい程、粒子径にばらつきが大きい。
ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径(Dn)および体積平均粒子径(Dv)は、微粒物質の粒子径を測定するために一般的に使用されている動的光散乱法によって測定される。
【0041】
本発明のセパレータ用コーティング材料における上記分散度は、例えば、ポリオレフィン樹脂、塩基性化合物および水性媒体を密閉容器中で加熱、攪拌することで分散した後、分散液を水浴中で室温まで積極的に冷却することにより、達成することができる。
【0042】
数平均粒子径(Dn)は、セパレータの透気性を確保しながらも、非導電性粒子同士および非導電性粒子−多孔性基材間の接着を達成する観点から、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることが特に好ましい。ポリオレフィン樹脂の体積平均粒子径は、同様の観点から、1.0μm以下であることが好ましく、0.7μm以下であることがより好ましく、0.4μm以下であることが特に好ましい。数平均粒子径、体積平均粒子径の好ましい下限は通常、0.01μmである。
【0043】
コーティング材料中の固形分濃度は、コーティング材料の取扱い性の観点から、コーティング材料の総量に対して1〜50質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。
【0044】
本発明のセパレータ用コーティング材料の製造においては、ポリオレフィン樹脂の水性媒体への分散化を促進し、分散粒子径を小さくするために、分散化の際に有機溶剤を添加することが好ましい。使用する有機溶剤量は、水性媒体中の50質量%以下であることが好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%であることがさらに好ましく、3〜35質量%であることが特に好ましい。
【0045】
有機溶剤としては、良好な水性分散体を得るという点から、20℃における水に対する溶解性が10g/リットル以上のものが好ましい。さらに好ましい溶解性は20g/リットル以上、特に好ましい溶解性は50g/リットル以上である。また有機溶剤としては、コーティング材料やスラリーからの除去の容易さの点から、沸点が250℃未満のものが好ましく、50℃以上かつ185℃未満のものが特に好ましい。沸点が250℃以上の有機溶剤は、樹脂塗膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、そのために材料間の接着性を悪化させる場合がある。
【0046】
使用される有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類や;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類や;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類や;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体や;1−メトキシ−2−プロパノールや;1−エトキシ−2−プロパノールや;3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールや;メトキシブタノールや;アセトニトリルや;ジメチルホルムアミドや;ジメチルアセトアミドや;ジアセトンアルコールや;アセト酢酸エチルや;1,2−ジメチルグリセリンや;1,3−ジメチルグリセリンや;トリメチルグリセリンや;N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
上記の有機溶剤の中でも、樹脂の水性化促進に効果が高いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、N−メチルピロリドンが好ましい。これらの中でも水酸基を分子内に1つ有する有機溶剤がより好ましく、少量の添加で樹脂を水性化できる点からn−プロパノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールアルキルエーテル類がさらに好ましい。
【0048】
ポリオレフィン樹脂の分散化の際に上記の有機溶剤を用いた場合には、分散化の後に、その一部を、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって系外へ留去させ、有機溶剤量の低減を図ることができる。ストリッピングにより、コーティング材料(水性分散体)中の有機溶剤含有量は、10質量%以下とすることができる。これを5質量%以下とすれば、環境上好ましい。
【0049】
本発明のセパレータ用コーティング材料においては、不揮発性水性化助剤を実質的に含有しないことが好ましい。「不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない」とは、こうした助剤を二次電池セパレータ用コーティング材料の製造時に用いず、得られる二次電池セパレータ用コーティング材料が結果的にこの助剤を含有しないことを意味する。したがって、こうした水性分散化助剤は、含有量がゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、二次電池セパレータ用コーティング材料中の不揮発性成分(固形分)に対して3質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%未満程度含まれていても差し支えない。
【0050】
本明細書でいう沸点とは、全て常圧(大気圧)における沸点の意味である。また、常圧において沸点を有さない水性化助剤は、本発明でいう不揮発性水性化助剤に該当するものとする。ここで、「不揮発性」とは、沸点が250℃以上であることを指し、「水性化助剤」とは、水性分散体の製造において、水性化の促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことをいう。
【0051】
本発明における不揮発性水性化助剤としては、例えば、界面活性剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子、ポリオール等が挙げられる。
【0052】
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、反応性界面活性剤等が挙げられる。一般に乳化重合に用いられるもののほか、乳化剤類も含まれる。
【0053】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル塩;高級アルキルスルホン酸およびその塩;オレイン酸、ステアリン酸、パルチミン酸等の高級カルボン酸およびその塩;アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩;ビニルスルホサクシネート等が挙げられる。
【0054】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等のポリオキシエチレン構造を有する化合物が挙げられる。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタン誘導体等が挙げられる。
【0055】
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0056】
反応性界面活性剤としては、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩等の、反応性2重結合を有する化合物が挙げられる。
【0057】
保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール;カルボキシル基変性ポリビニルアルコール;カルボキシメチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;変性デンプン;ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸およびその塩;カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックス等の、重量平均分子量が通常は5,000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩;アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩;スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が20質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩;ポリイタコン酸およびその塩;アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体;ゼラチン;アラビアゴム;カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
【0058】
不揮発性のポリオールとしては、水溶性のジオール類、ポリオキシアルキレンジオール類、多価アルコール等が挙げられる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン等を挙げることができる。
【0059】
本発明のセパレータ用コーティング材料には、必要とされる性能に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂分散体を加えることができる。樹脂分散体としては、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂(以下、「他の樹脂」と称す)や、架橋剤などの樹脂分散体が挙げられる。
【0060】
樹脂分散体の添加量は、目的に応じて適宜設計すればよいが、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.1〜300質量部であることが好ましく、3〜200質量部であることがより好ましく、5〜100質量部であることが特に好ましい。樹脂分散体に分散している樹脂の添加量は、コーティング材料中のポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜300質量部の範囲で適宜選択される。
【0061】
樹脂分散体に分散している樹脂の粒径分布における分散度および数平均粒子径はそれぞれ、前記した本発明のセパレータ用コーティング材料中に分散しているポリオレフィン樹脂の粒径分布における分散度および数平均粒子径と同様の範囲内であることが好ましい。
【0062】
他の樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール、上記したポリオレフィン樹脂以外のポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、エチレン−アミノアクリルアミド共重合体、エチレン−アミノアクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アミノアルキルマレイミド共重合体、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン系エラストマー、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、変性ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエチレンイミン、UV硬化型樹脂などが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの樹脂を添加する際は、これらを樹脂分散体又は水溶液としたものを使用することが好ましい。
【0063】
本発明のセパレータ用コーティング材料には、接着性を向上させるために、各種の添加剤を適宜用いることができる。添加剤としては、架橋剤、粘着性付与剤が挙げられる。両者を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤や、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する架橋剤や、多価の配位座を有する金属錯体などが挙げられる。たとえば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤が挙げられる。架橋剤の添加量は、コーティング材料中のポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.01〜100質量部の範囲で適宜選択される。
【0065】
粘着性付与剤としては、公知の各種のものを使用できる。たとえばロジン類、ロジン誘導体、テルペン系樹脂等が挙げられる。これらの1種を単独で、または2種以上を混合して、使用することができる。
【0066】
ロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの原料ロジンが挙げられる。または、前記原料ロジンを不均化もしくは水素添加処理した安定化ロジンや重合ロジン等が挙げられる。
【0067】
ロジン誘導体としては、ロジンエステル類、ロジンフェノール類が挙げられる。このうち、ロジンエステル類としては、ロジン類と多価アルコールとをエステル化反応させて得られたロジンエステルや、原料ロジンを部分的にフマル化もしくはマレイン化し、次いでエステル化して得られる、部分マレイン化もしくは部分フマル化ロジンの多価アルコールエステルや、原料ロジンを部分的にフマル化もしくはマレイン化させた後、不均化し、次いでエステル化して得られる、部分マレイン化もしくは部分フマル化不均化ロジンの多価アルコールエステル等が挙げられる。ロジンフェノール類とは、ロジン類にフェノール類を付加させ熱重合したもの、または次いでエステル化したものをいう。エステル化に用いられる多価アルコールは、特に制限はされず、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール等の各種公知のものを利用できる。
【0068】
テルペン系樹脂としては、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂や;α−ピネン、β−ピネン等のテルペン類とスチレン等の芳香族モノマーとを共重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂や;これらの水素化物等を利用できる。
【0069】
これらの粘着性付与剤の中でも、ロジンエステル類又はテルペン系樹脂を用いると、接着性が向上するため好ましい。これらの粘着性付与剤は、この粘着性付与剤を含む水性分散体としてからセパレータ用コーティング材料に添加してもよく、またはこの粘着性付与剤を溶解した溶液としてからセパレータ用コーティング材料に添加してもよい。
【0070】
粘着性付与剤を添加する場合、その量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して70質量部以下であることが好ましく、接着性および透気性の観点から、1〜50質量部であることがより好ましく、2〜40質量部であることがさらに好ましく、3〜30質量部であることが特に好ましい。
【0071】
本発明のセパレータ用コーティング材料には、架橋による接着性の向上を目的として、放射線を照射することができる。
【0072】
この場合において使用する放射線の線源としては、α線、β線(電子線)、γ線、X線、紫外線等を使用することができる。そのうち、コバルト60からのβ線、γ線、X線が好ましく、なかでもγ線、電子加速器の使用によるβ線照射処理がより好ましい。これら放射線は、1種を単独で照射してもよいし、または2種以上を同時に照射してもよく、さらには一定期間をおいて1種以上の放射線を照射してもよい。
【0073】
放射線を水性分散体に照射する際には、容器に入れた水性分散体を放射線源付近に配置する。このとき、照射中に線源または容器の位置を変えるか、または水性分散体を攪拌するかのいずれかによって、実質的に均一に照射することが好ましい。あるいは、ラジカルを発生させるために、水性分散体の一部をガンマ線源付近に配置して照射した後に、残りの水性分散体と混合してもよい。さらに、水性分散体をポンプ等で送液しつつ放射線を照射してもよい。
【0074】
放射線の照射線量は、特に限定されないが、10〜400kGyが好ましく、より好ましくは20〜300kGy、さらに好ましくは25〜200kGyである。照射線量が10kGyより少ないと架橋が不十分になる。反対に400kGyを超えると、架橋が進みすぎて、柔軟性、機械的特性が低下し、クラックが発生しやすくなるおそれがある。
【0075】
放射線の照射時の雰囲気には特に制限はないが、酸素濃度が低いほど放射線の照射線量を小さくすることができる。雰囲気を窒素やアルゴンなどの不活性ガスで置換してもよい。
【0076】
セパレータ用コーティング材料には、架橋の促進の目的で、放射線照射により活性ラジカル種を発生可能な公知の化合物や、放射線により架橋する公知の化合物を含有させることができる。例えば、前者としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の、商品名:イルガキュア 184、907等を挙げることができる。後者としては、日本化成社製の、商品名:タイク トリアリルイソシアヌレート(日本国における登録商標)、タイク プレポリマー(日本国における登録商標)等を挙げることができる。こうした化合物の好ましい使用量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部である。
【0077】
放射線照射後のポリオレフィン樹脂が架橋していることは、ポリオレフィン樹脂をこの樹脂の良溶媒に溶解したときの不溶解分(ゲル)の有無により確認できる。
【0078】
[セパレータ形成用スラリーおよびセパレータ]
本発明のセパレータ用コーティング材料を用いてセパレータを製造するときには、まず、セパレータ用コーティング材料および非導電性粒子を混合して、セパレータ形成用スラリーを製造する。そして、このスラリーを多孔性基材の少なくとも片面、好ましくは両面、に塗布し、乾燥し、所望により、ロールプレスを用いて成形することにより、セパレータを製造する。このほかに、多孔性基材をセパレータ形成用スラリーに浸したのち、乾燥して、セパレータを製造することもできる。
【0079】
非導電性粒子は、正極と負極との短絡を防止できる程度の非導電性を有する粒子であれば特に限定されず、無機粒子、有機粒子またはそれらの混合物が使用される。
無機粒子の具体例として、例えば、電気絶縁性の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等を挙げることができる。具体的にはアルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)、窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化硼素(BN)、窒化チタン(TiN)、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、カオリナイトと非結晶の石英の結合物等を好適に用いることができる。これら無機粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、耐熱性や塗料に加工した際の密着性を考慮するとシリカ、カオリナイト、アルミナが好ましい。
有機粒子の具体例として、例えば、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、メラミン、ベンゾグアナミン等が挙げられる。
【0080】
非導電性粒子の数平均粒子径は、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μmであり、0.5〜4μmが特に好ましい。
数平均粒子径は、電子顕微鏡により得た写真を、粒子径計測器で解析する方法により測定された値を用いている。
【0081】
セパレータ形成用スラリーにおける、セパレータ用コーティング材料と非導電性粒子との配合比は、セパレータにおける透気性、耐熱性および多孔性基材と非導電性粒子との接着性のさらなる向上の観点から、当該コーティング材料中のポリオレフィン樹脂と非導電性粒子との含有質量比が70/30〜1/99、好ましくは50/50〜2/98、より好ましくは40/60〜2/98となるような比率であることが好ましい。
【0082】
セパレータ形成用スラリーには、この他、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、触媒、光触媒、UV硬化剤、濡れ剤、浸透剤、柔軟剤、増粘剤、分散剤、撥水剤、帯電防止剤、老化防止剤、加硫促進剤などの各種薬剤、顔料あるいは染料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ガラス繊維、オキシラン環含有化合物、カルボキシメチルセルロース等を添加してもよい。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0083】
セパレータ形成用スラリーを製造する条件や方法は、特に限定されず、たとえばセパレータ用コーティング材料、非導電性粒子および所望の他の添加剤を常温若しくは適当に制御された温度で混合した後、機械的分散処理、超音波分散処理等を適用することができる。非導電性粒子および他の添加剤は、予め濡れ剤と水とに分散させてから、セパレータ用コーティング材料と混合してもよい。
【0084】
セパレータ形成用スラリーの分散性を高めるために、分散処理装置を用いてもよい。高剪断力を与えてスラリーと壁面との剪断力により分散を行わせる分散処理装置として、コロイドミル、ロールミルのほか、ボールミルやサンドミルに代表されるメディアミルが挙げられる。また、スラリーにジェット流を発生させ、スラリーの速度差すなわち処理物同士の液−液間の剪断により分散を行わせる分散処理装置として、ホモジナイザー型分散処理装置が挙げられる。分散処理装置としてこのホモジナイザー型分散処理装置を用いることが好ましい。
【0085】
セパレータ形成用スラリーの製造においては、濡れ剤として少量の水溶性ポリマーを加えてもよい。用いる水溶性ポリマーとしては、特に制限はないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体が効果的である。これらのセルロース誘導体は、非導電性粒子、多孔性基材の各材料間の濡れ性を向上させる。その配合量は、ポリオレフィン樹脂、非導電性粒子の合計質量100質量部に対して0.01〜3質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部である。
【0086】
多孔性基材は、微細な多孔構造を有する基材であれば特に限定されない。多孔性基材の、強度、強度分布プロファイル、破断強度、伸度、硬度、一定条件下での伸度保持率、突き刺し伸度、破断伸度、一定条件下での熱収縮率、一定割合(%)で収縮する際の収縮温度、曲路率、ヤング率、引き裂き強度、孔径、銀圧入法により測定した平均細孔直径、繊維の平均太さ、目付、繊維径、空孔率、厚み、厚み偏差、透気抵抗、有機溶媒の浸透性、有機溶媒の浸透速度、有機溶媒の浸透時間変化率、有機溶媒へ溶解度、有機溶媒へ膨潤性、ゲル分率、ガラス転移温度、メルトフローレート、固有粘度、分子量、分子量分布、融点、軟化点、結晶化度、延伸倍率、接着強度、動・静の摩擦係数、表面の粗さ、クッション率、ループスティフネスなどの各種特性や、各種特性の組み合わせやその割合、一定条件で処理した際の各種特性の保持率などは公知のものを採用することができる。さらにはこのような各種特性や、各種特性の組み合わせやその割合、一定条件で処理した際の各種特性の保持率などは、セパレータへの加工適正、セパレータとしての保存性、安定性、安全性、耐久性、接着性、耐薬品性、難燃性、耐熱性、形状保持性、シワの抑制、通気性、電解液浸透性、耐電解液性、シャットダウン性、耐異物性、突き刺し特性、セパレータを二次電池に組み込む際の加工適正、二次電池とした際の二次電池の保存性、安定性、安全性、耐久性、耐薬品性、難燃性、耐熱性、形状保持性、形状保持性、出力特性、電池特性などの各種性能を考慮して適宜設計すればよい。
【0087】
本発明の効果をより顕著に発揮するための多孔性基材の形態としては、微多孔フィルム、不織布、織編物、ナノファイバー布帛、紙などが好ましく、微多孔フィルム、不織布がより好ましく、微多孔フィルムが特に好ましい。これらは単独でも複数を組み合わせても構わない。また、多孔性基材の材料としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリアリーレンスルフィド系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられ、中でもポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。ここで「〜系樹脂」とは、「〜樹脂」を含む樹脂組成物のことであり、「〜樹脂」単体、「〜樹脂」が共重合された樹脂組成物、「〜樹脂」がブレンドされた樹脂組成物などが挙げられる。
【0088】
ポリオレフィン系樹脂からなる微多孔フィルムとしては、例えば、国際公開WO10/104077号記載のポリオレフィン第1および第2微多孔層、特開2013−023673号公報記載のポリプロピレンを含む微多孔性フィルム、特開2011−233542号公報記載のポリオレフィン製微多孔膜、国際公開WO10/070930号記載のポリオレフィン製微多孔膜、国際公開WO09/136648号記載のポリオレフィン製微多孔膜、特開2013−032505号公報記載の多孔性ポリオレフィンフィルム、特開2012−229406号公報記載のポリオレフィン系樹脂を含む多孔性樹脂フィルム、特開2012−177106号公報記載の多孔性ポリプロピレンフィルム、特開2012131990号公報記載のポリオレフィン系多孔フィルム、特開2012−072380号公報記載の多孔性ポリプロピレンフィルム、特開2013−014103号公報記載のポリオレフィン系多孔性樹脂フィルム、特開2012−007156号公報記載の多孔性ポリプロピレンフィルム、特開2011−171290号公報記載のポリオレフィン系多孔フィルム、特開2011−168048号公報記載のポリプロピレン樹脂を含む多孔性樹脂フィルム、国際公開WO10/008003号記載のポリオレフィン系多孔フィルム、国際公開WO07/046226号記載のポリプロピレンを主成分とする微多孔フィルム、特開2013−026165号公報記載のポリオレフィン製の多孔質膜、特開2011−065850号公報記載のポリオレフィン製微多孔質膜などに例示される公知のものを用いることが可能である。中でも、β晶法やβ晶核剤などを用いて得られるβ晶分率を高めたポリプロプレンの微多孔フィルムは好適である。
【0089】
ポリオレフィン系樹脂からなる不織布としては、例えば、特開2011−210701号公報記載のポリオレフィン系不織布、特開2011−070904号公報記載のポリプロピレン繊維を使用した不織布、特開2006−236991号公報記載の複合高強度ポリプロピレン系繊維の融着成分が融着した不織布、国際公開WO04/073094号記載の不織布などに例示される公知のものを用いることが可能である。
【0090】
ポリエステル系樹脂からなる不織布としては、例えば、特開2012−138235号公報記載の湿式不織布、特開2010−238448号公報記載のポリエステル系短繊維を含有してなる不織布、国際公開WO06/123811号記載のポリエチレンテレフタレートからなる不織布などに例示される公知のものを用いることが可能である。
【0091】
次に、多孔性基材の少なくとも片面に、二次電池セパレータ用塗料を塗布して多孔質層を積層する方法について説明する。本発明の二次電池セパレータ用塗料は、多孔性基材の少なくとも片面に塗布した後、塗布した二次電池セパレータ用塗料中の水性媒体の一部または全てを乾燥することで多孔質層を形成することができる。
【0092】
二次電池セパレータ用塗料の塗布および乾燥方法としては、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などにより多孔性基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理又は乾燥のための加熱処理に供することにより水性媒体の一部または全てを乾燥し、均一な塗膜、即ち多孔質層を多孔性基材表面に密着させて形成することができる。乾燥温度は特に限定されないが、50〜120℃の範囲で良好に乾燥することができ、60〜100℃の範囲がより好ましい。乾燥の際は、水性媒体の全てを乾燥させることが、密着性や耐熱性を良好にする観点から好ましい。また乾燥の後に、エージング処理などの熟成処理を施しても構わない。
【0093】
なお、塗料の塗布前に多孔性基材の塗布面に、予め表面活性化処理がなされていても構わない。表面活性化処理としては、例えば、コロナ放電処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理、オゾン処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、薬品処理、溶剤処理、アンカーコート処理、プライマー処理などが挙げられる。
【0094】
本発明における多孔質層の厚みとしては、耐熱性、電解液の透過性、浸透性および電池性能の観点から、0.5〜10μmの範囲とすることが好ましく、1〜9μmであることがより好ましく、2〜8μmであることが特に好ましく、3〜7μmであることがさらに好ましい。
【0095】
上記の方法で、多孔性基材の少なくとも片面に多孔質層を積層することで、本発明の二次電池セパレータを得ることが可能となる。本発明の二次電池セパレータには、その表面の少なくとも一部に、多孔性基材および多孔質層以外の、別の機能層を設けても構わない。機能層としては、例えば、公知の添加剤や安定剤からなる層、帯電防止層、易接着層、滑り層、レベリング層、難燃化層、電解液との馴染を良くする層、酸化防止層、潤軟化層などが挙げられる。機能層の厚さは、包装材料としての適性、積層する場合の加工性を考慮して決定すればよく、特に制限されない。
【0096】
本発明の二次電池セパレータにおける、強度、強度分布プロファイル、破断強度、伸度、硬度、一定条件下での伸度保持率、突き刺し伸度、破断伸度、ヤング率、引き裂き強度、一定割合(%)で収縮する際の収縮温度、曲路率、孔径、銀圧入法により測定した平均細孔直径、繊維の平均太さ、目付、繊維径、空孔率、厚み、厚み偏差、透気抵抗、有機溶媒の浸透性、有機溶媒の浸透速度、有機溶媒の浸透時間変化率、有機溶媒へ溶解度、有機溶媒へ膨潤性、ゲル分率、ガラス転移温度(Tg)、メルトフローレート、固有粘度、分子量、分子量分布、融点、軟化点、結晶化度、延伸倍率、接着強度、動・静の摩擦係数、表面の粗さ、クッション率、ループスティフネスなどの各種特性や、各種特性の組み合わせやその割合、一定条件で処理した際の各種特性の保持率、多孔性基材の各種特性と多孔質層の各種特性の組合せやその割合などは、セパレータとしての保存性、安定性、安全性、耐久性、接着性、耐薬品性、難燃性、耐熱性、形状保持性、シワの抑制、通気性、電解液浸透性、耐電解液性、シャットダウン性、耐異物性、突き刺し特性、セパレータを二次電池に組み込む際の加工適正、二次電池とした際の二次電池の保存性、安定性、安全性、耐久性、耐薬品性、難燃性、耐熱性、形状保持性、形状保持性、出力特性、電池特性などの各種性能を考慮して適宜設計すればよい。
【0097】
スラリーを塗布する前の多孔性基材の透気度は通常、150〜700秒/100mLであり、好ましくは150〜500秒/100mLである。異なる多孔性基材を2種以上、または同種の多孔性基材を2枚以上、重ねて使用してもよく、その場合、当該重ね合わせ後の多孔性基材の透気度が上記範囲内であればよい。
本明細書中、透気度は100mLの空気を透過させるのに要する時間で表され、具体的には後述する方法で測定された値を用いている。
【0098】
本発明で得られるセパレータは、透気度が通常、210〜300秒/100mLであり、好ましくは210〜250秒/100mLである。
【0099】
[二次電池]
本発明のセパレータ形成用スラリーを用いて形成されたセパレータは、電解液中、セパレータを電極間の短絡の防止のために使用するあらゆる二次電池に使用可能である。電解液としては、例えば、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート類;水酸化カリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液に水酸化ナトリウム及びまたは水酸化リチウムを添加したアルカリ性水溶液類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;スルホラン類;アセトニトリルなどのニトリル類;イオン性液体などが挙げられる。本発明において好ましい電解液は、カーボネート類である。
【0100】
本発明のセパレータ形成用スラリーを用いて形成されたセパレータを使用できる二次電池として、例えば、カドミウムを用いて得られるニッケル−カドミウム二次電池(ニカド電池)、水素吸蔵合金を用いて得られるニッケル−水素二次電池(Ni−MH電池)、リチウム化合物を用いた非水電解液二次電池(リチウムイオン電池)などが挙げられる。
【0101】
このような二次電池は、上述した方法で作製されたセパレータと、電極と、電解液とを、常法に従って容器に封入することにより作製される。このとき、電極や電解液などの、セパレータ以外の構成部材は、それぞれ公知のものを使用できる。
【0102】
例えば、リチウムイオン電池のセパレータ以外の構成部材として、電解液としては、カーボネート類、好ましくはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの非水溶媒の1種類、または2種類以上混合した混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウムなどの支持電解塩が添加されたものを用いる。正極は、コバルト酸リチウムなどの活物質に、金属粉やカーボンなどの導電性材料とバインダーとを添加し、N−メチル−2−ピロリドンの存在下で混練・調製したペーストを、ドクターブレードにより金属集電体に塗布し、乾燥することにより、バインダーによってコバルト酸リチウムなどの活物質と導電性材料とを相互に結着し、これをさらに金属集電体に結着したものである。負極は、活物質である炭素材料にバインダーを添加し、水等の存在下で混練・調製したペーストを、ドクターブレードにより金属集電体に塗布し、乾燥することにより、バインダーによってカーボン材料を金属集電体に結着したものである。
【実施例】
【0103】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、本発明は下記実施例によって何ら制限されるものではない。
【0104】
各種の特性は、以下の方法によって測定または評価した。
【0105】
(ポリオレフィン樹脂粒子の体積平均粒子径、数平均粒子径の測定)
日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、体積平均粒子径(Dv)、数平均粒子径(Dn)および分散度(Dv/Dn)を求めた。ここで、粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
最も好ましい分散度A;2.1以下。
より好ましい分散度B;2.3以下;
好ましい分散度C;2.6以下;
【0106】
(透気度の測定)
二次電池セパレータについて、JIS P 8117に準拠した方法で透気度の測定を行った。なお、測定は、旭精工株式会社製のデジタル型王研式透気度試験器(EG01型)を用いて測定した。セパレータを装置にセットして、空気100mlが通過するのに要する時間を測定した。場所を変えて5回測定し、その平均値を算出した。透気度が高いほど、電池内部抵抗が低く、電池性能に優れる。
◎;250秒/100ml以下;
○;280秒/100ml以下;
△;300秒/100ml以下(実用上問題なし);
×;300秒/100ml超。
【0107】
(接着性)
二次電池セパレータから、幅2.5cm、長さ10cmの測定サンプルを切り出し、微多孔フィルムの塗料塗工していない面を十分な厚みを有する鋼板に両面テープで貼り合わせた。塗料塗工した多孔質層側にセロハンテープ(ニチバン社製、CT−18、18mm幅)を貼り付け、その一辺から180°の方向に50mm/分の速度で引き剥がしたときの応力を測定した。なお測定は各サンプル3回実施し、その平均値を剥離強度とし接着性を評価した。
◎;5.1N/cm以上;
○;4.8N/cm以上;
△;4.0N/cm以上(実用上問題なし);
×;4.0N/cm未満。
【0108】
(耐電解液性)
ポリオレフィン樹脂水性分散体を80℃、100℃、120℃でそれぞれ2時間ずつ乾燥し、500mgのシート状乾燥物を作製した。乾燥物を電解液(エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/メチルエチルカーボネート(1/1/1 重量比))に浸漬し、60℃で2週間保存し、電解液から取り出し後、表面の電解液を軽くふき取り重量と厚みを測定し、重量変化率、厚み変化率を算出した。
【数1】
重量変化率:
◎;14%以下;
○;19%以下;
△;24%以下(実用上問題なし);
×;24%超。
厚み変化率:
◎;5%以下;
○;10%以下;
△;15%以下(実用上問題なし);
×;15%超。
【0109】
(耐熱性(135℃熱収縮率))
二次電池セパレータをMD方向およびTD方向に長さ150mm×幅10mmの長方形に切り出し試験片とした。試験片に100mmの間隔で標線を描き、3.5gのおもりを吊して135℃に加熱した熱風オーブン内に1時間設置し加熱処理を行った。熱処理後、試験片を取り出し、室温で24時間静置し、標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、寸法安定性の指標とした。測定は各試験片ともMD方向およびTD方向に3サンプル実施して平均値で評価を行った。
MD方向:
◎;1.6%以下;
○;2.6%以下;
△;3.6%以下(実用上問題なし);
×;3.6%超。
TD方向:
◎;2.3%以下;
○;3.5%以下;
△;4.7%以下(実用上問題なし);
×;4.7%超。
【0110】
(充放電サイクル試験)
以下の方法に従って二次電池を製造し、試験を行った。
・正極の作製
正極活物質であるLiCoO:85質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部、およびバインダーであるPVDF:5質量部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、活物質塗布長が表面320mm、裏面250mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅43mmになるように切断して、長さ340mm、幅43mmの正極を作製した。更に、この正極のアルミニウム箔の露出部にアルミニウム製のタブを接続した。
【0111】
・負極の作製
負極活物質である黒鉛:90質量部と、バインダーであるSBR:2質量部と粘度調整剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC):3質量部を、水を加え均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に、活物質塗布長が表面20mm、裏面260mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、幅45mmになるように切断して、長さ330mm、幅45mmの負極を作製した。更に、この負極の銅箔の露出部に銅製のタブを接続した。
【0112】
・電池の組み立て
上記のようにして得られた正極と負極とを、本発明で得られたセパレータを介して重ね合わせ、渦巻状に巻回して巻回電極体とした。この巻回電極体を押しつぶして扁平状にし、厚み4.2mm、幅34mmの角形状の電池ケース内に挿入し、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを1:2の体積比で混合した溶媒に、LiPFを1.2mol/Lの濃度で溶解させた溶液)を注入し、電池ケースの開口部を封止し、リチウム二次電池を作製した。電池組み立て後の予備充電(化成充電)では、電池の定格容量750mAhに対して20%にあたる電気量となるように、150mAで4.2Vまでの定電流充電と、その後4.2Vでの定電圧充電を、合計6時間行い、その後、150mAで3Vまで定電流放電を行った。
【0113】
・試験方法
二次電池を、25℃の恒温槽中で、前述の予備充電の後、0.5C−4.0V定電流定電圧充電後、0.5C−2.5V定電流放電を繰り返し行うことにより、サイクル特性の評価を行った。初期容量を100%とし、500サイクル後の電池容量を求め、維持率を算出した。
◎;86%以上;
○;83%以上;
△;80%以上(実用上問題なし);
×;80%未満。
【0114】
(高温保存安定性)
二次電池を、前述の予備充電の後、充放電サイクル試験と同じ条件で0.5C−4.0V定電流定電圧の充放電を5サイクル繰り返し充電した後、50℃の恒温槽に電池を入れて2週間貯蔵した。その後、電池を取り出して0.5C−2.5V定電流放電を行い、高温保存後の放電容量維持率を算出した。なお、50℃の恒温槽で貯蔵する直前の放電容量を100%とした。
◎;75%以上;
○;70%以上;
△;65%以上(実用上問題なし);
×;65%未満。
【0115】
(不飽和カルボン酸単位の含有量)
ポリオレフィン樹脂の酸価をJIS K5407に準じて測定し、その値から不飽和カルボン酸単位の含有量を求めた。
【0116】
(不飽和カルボン酸単位以外の単位の構成)
オルトジクロロベンゼン(d)中で、120℃にて、1H−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製の分析装置を使用、300MHz)を行い求めた。13C−NMR分析では、定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
【0117】
(ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量)
重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KF−804L2本、KF805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1ml/min、40℃の条件で測定した。約10mgの樹脂をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFEメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作製した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合はオルトジクロロベンゼンで溶解した。
【0118】
(ポリオレフィン樹脂の融点)
DSC(Perkin Elmer社製DSC−7)を用いて、−50℃から200℃まで昇温速度10℃/分で昇温させた後、500℃/分で急冷して−50℃で5分間保持した。その後、−50℃から200℃まで昇温速度10℃/分で再昇温させて融点を測定した。
【0119】
(コーティング材料の固形分濃度)
セパレータ用コーティング材料を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱したのち、秤量することにより、固形分濃度を求めた。
【0120】
(スラリーの乾燥塗布量)
スラリーの塗布前後の多孔性基材の重量から塗布量を求めた。塗布後の重量は完全に乾燥させた後の重量である。
【0121】
(ポリオレフィン樹脂「P−1」の製造)
プロピレン−エチレン共重合体(プロピレン/エチレン=81.8/18.2質量%、重量平均分子量85,000)280gを、4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた。その後、系内温度を180℃に保って、撹拌下、不飽和カルボン酸としての無水マレイン酸14.0gとラジカル発生剤としてのジ−t−ブチルパーオキサイド6.0gとをそれぞれ2時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、ポリオレフィン樹脂「P−1」を得た。
【0122】
(ポリオレフィン樹脂「P−2」の製造)
無水マレイン酸の量を30gに変更した以外は、ポリオレフィン樹脂「P−1」と同じ方法で、ポリオレフィン樹脂「P−2」を得た。
【0123】
(ポリオレフィン樹脂「P−3」の製造)
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)280gを、4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた。その後、系内温度を170℃に保って、撹拌下、不飽和カルボン酸としての無水マレイン酸30.0gとラジカル発生剤としてのジクミルパーオキサイド6.0gとをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、ポリオレフィン樹脂「P−3」を得た。
【0124】
(ポリオレフィン樹脂「P−4」の製造)
プロピレン/1−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=70/30)280gを4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸25.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、ポリオレフィン樹脂「P−4」を得た。
【0125】
(ポリオレフィン樹脂「P−5」の製造)
プロピレン/1−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=46/54)280gを4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸45.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、ポリオレフィン樹脂「P−5」を得た。
【0126】
(ポリオレフィン樹脂「P−6」の製造)
無水マレイン酸の量を5gに変更した以外は、ポリオレフィン樹脂「P−1」と同じ方法で、ポリオレフィン樹脂「P−6」を得た。
【0127】
【表1】
【0128】
(コーティング材料(水性分散体)E−1〜E−6の製造)
ポリオレフィン樹脂として、表1に示した特性を有したポリオレフィン樹脂「P−1」〜「P−6」を用いた。撹拌機を備えたヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、ポリオレフィン樹脂「P―1」〜「P−6」のいずれかを75g、イソプロピルアルコール(IPAと略す)を90g、トリエチルアミン4.5g及び蒸留水130.5gを仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、ガラス容器を水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なコーティング材料(水性分散体)を得た。
ポリオレフィン樹脂として、表1に示したポリオレフィン樹脂「P−1」〜「P−6」から、それぞれコーティング材料(水性分散体)「E−1」〜「E―6」が得られた。固形分濃度は25質量%であった。コーティング材料におけるポリオレフィン樹脂の体積平均粒子径、数平均粒子径および分散度を表2に示す。ポリオレフィン樹脂「P―6」からは水性分散体が得られず、樹脂が残存した(比較例2参照)。
【0129】
(コーティング材料E−7の製造;不揮発性分散助剤の使用)
ポリオレフィン樹脂(A)として、表1に示した特性を有したポリオレフィン樹脂「P−1」を用いた。撹拌機を備えたヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75gの「P―1」、90gのイソプロパノール、15gの乳化剤(ニューポールPE−75、三洋化成社製)、120gの蒸留水を仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、ガラス容器を水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なコーティング材料(水性分散体)「E−7」が得られた。固形分濃度は25質量%であった。
【0130】
(微多孔フィルムの製造)
93.0質量%のホモポリプロピレン〔MFR15g/10分(230℃・2.16Kg)、密度0.9g/cm3〕、6.5質量%のエチレン−オクテン−1共重合体〔MFR18g/10分(190℃・2.16Kg)〕、0.3質量%のN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、0.2質量%の酸化防止剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製IRGANOX1010)をドライブレンドした混合物を、二軸押出機に供給し、290℃で溶融混練を行いペレット化した。次いでこのペレットを単軸押出機に供給して210℃で溶融押出を行い、20μmカットの焼結フィルターで異物を除去したあと、Tダイから表面温度を115℃に制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに12秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。次いで、115℃のセラミックロールで予熱を行いフィルムのMD方向に5倍延伸を行った。一旦冷却後、次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、TD方向に145℃で7倍に延伸した。そのまま、TD方向に10%のリラックスを掛けながら150℃で5秒間の熱セットし、厚み20μmの微多孔フィルムを得た。得られた微多孔フィルムのMD方向の135℃熱収縮率は5%、TD方向の135℃熱収縮率は18%であった。透気度は210秒/100mLであった。
【0131】
<実施例1>
7gのコーティング材料「E−1」、8gの数平均粒子径が1.5μmのシリカ粒子、5gのイソプロパノール、80gの蒸留水を室温で混合し攪拌し、二次電池セパレータ用スラリー(塗料)を得た。
【0132】
得られた二次電池セパレータ用スラリーを1枚の微多孔フィルムの片面(溶融押出時にドラムに接触した面)に、乾燥後の多孔質層の厚みが4μmになるようにワイヤーバー(♯12)を用いてバーコーター方式で塗布し、100℃で1分間乾燥させて多孔質層を形成し、二次電池セパレータを作製した。
【0133】
<実施例2〜4および比較例1〜3>
表2に示すコーティング材料を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、二次電池セパレータ用スラリーと二次電池セパレータを得た。なお、「E−6」はコーティング材料が得られず、二次電池セパレータ用スラリーは得られなかった。
【0134】
各実施例/比較例で使用したコーティング材料および得られたセパレータおよび二次電池の評価結果を表2に示した。
【0135】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明のセパレータ用コーティング材料および非導電性粒子を含むセパレータ形成用スラリーを用いて製造されたセパレータを備えた二次電池は、特にその用途に制限はないが、例えば自動車、携帯電子機器、バックアップ電源等の用途に有用である。