(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、所定の地図上に各水素ステーションを示すアイコンが表示された画面を提供し、その後、いずれかの水素ステーションが選択されると、選択された水素ステーションについての前記センサデータを時系列で表示する画面を提供する、請求項1に記載の水素ステーションの管理装置。
前記表示部は、所定の地図上に各水素ステーションを示すアイコンが表示された画面を提供し、その後、いずれかの水素ステーションが選択されると、前記複数の水素ステーションの前記画像データのうち選択された水素ステーションの前記画像データのみを表示する画面を提供する、
請求項4に記載の水素ステーションの管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水素ガスは可燃性のガスであり、その取扱いや保管などに十分な注意を要する。このため、事業者等は前記水素ステーションを構成する各設備などを適切に管理しなければならない。
【0005】
しかし、前記水素ステーションの設置数が増えると、前記事業者等の負担も大きくなるため、前記事業者等の負担の増加を抑制することが望まれている。また、災害時などにおいては、前記水素ステーションで発生した異常等に対する現地での対応が困難になるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、このような課題に対処し得る水素ステーションの管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、複数の水素ステーションを管理する水素ステーションの管理装置が提供される。前記複数の水素ステーションのそれぞれは、
水素ガスが充填された水素カードルと、前記水素カードルからの水素ガスを昇圧する圧縮機と、前記圧縮機で昇圧された水素ガスを貯蔵する蓄圧器と、車両に搭載された燃料タンクに前記蓄圧器に貯蔵された水素ガスを充填すると共に前記車両から当該車両に関連する車両関連データを取得可能に構成されたディスペンサーと、前記燃料タンクに充填される水素ガスを冷却するプレクーラーと、
前記水素カードルからの水素ガスを前記圧縮機、前記蓄圧器、前記プレクーラー、前記ディスペンサーの順に流す水素ガス配管と、を含む。前記水素ステーションの管理装置は、前記複数の水素ステーションのそれぞれにネットワークを介して接続され、各水素ステーションからそこに設置された各種センサのセンサデータ及び前記ディスペンサーによって取得された前記車両関連データを取得するデータ取得部と、前記データ取得部で取得された前記センサデータ及び前記車両関連データを読み出し可能に記憶する記憶部と、前記データ取得部によって取得された前記センサデータ及び前記車両関連データに基づく情報を水素ステーション関連情報として表示可能な表示部と、前記ネットワークを介して前記水素ステーションを構成する設備を操作するための遠隔操作部と、を有する。前記各種センサは、
前記水素カードル内の水素ガスの温度を検知するセンサ、前記水素カードル内の水素ガスの圧力を検知するセンサ、前記蓄圧器内の水素ガスの温度を検知するセンサ、前記蓄圧器内の水素ガスの圧力を検知するセンサ、
前記ディスペンサー内の水素ガスの温度を検知するセンサ、前記ディスペンサー内の水素ガスの圧力を検知するセンサ、及び、前記水素ガス配管を流通する水素ガスの流量を検知するセンサを含み、前記車両関連データは、前記車両の前記燃料タンクの温度及び圧力の少なくとも一方を示す情報を含む。
前記水素ステーションの管理装置は、前記データ取得部によって取得された前記センサデータに基づいて各水素ステーションにおける異常の発生を判定する異常判定部をさらに有し、前記表示部は、前記異常判定部によっていずれかの水素ステーションに異常があると判定された場合にその旨を表示すると共に、前記センサデータのうち前記異常判定部による異常発生判定の基礎となったセンサデータについての所定期間における時系列データをグラフ化したものと他の水素ステーションにおける対応するセンサデータについての前記所定期間における時系列データとをグラフ化したものを併せて表示可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
前記水素ステーションの管理装置によると、複数の水素ステーションの状況を監視すると共に各水素ステーションを構成する設備を遠隔操作することが可能となる。このため、各水素ステーションに配置される作業者等の数を減らすことができ、事業者等の負担が軽減される。また、各水素ステーションで異常等が発生した場合に、現地での対応に加えて前記遠隔操作部による対応も可能となるので、各水素ステーションの安全性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による水素ステーション集中管理システム1の概略構成を示している。水素ステーション集中管理システム1は、複数(ここでは四つ)の水素ステーション2a,2b,2c,2dと、中央管理装置3と、を含む。各水素ステーション2a,2b,2c、2bと中央管理装置3とはネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、専用ネットワーク、公衆ネットワークのいずれであってもよい。
【0011】
水素ステーション2a,2b,2c,2dは、主に燃料電池車10に搭載された燃料タンクに水素ガスを供給(充填)する。本実施形態において、水素ステーション2a,2bは設置場所が固定された固定式水素ステーションであり、水素ステーション2c,2dは設置場所を変更可能な移動式水素ステーションである。
【0012】
図2は、水素ステーション2a〜2dの概略構成を示している。
図2に示すように、水素ステーション2a〜2dは、水素カードル21と、圧縮機22と、蓄圧器23と、プレクーラー24と、ディスペンサー25と、水素ガスを圧縮機22、蓄圧器23、プレクーラー24、ディスペンサー25の順に流す水素ガス配管26と、撮像装置27と、制御装置28と、を含む。なお、図示は省略するが、移動式水素ステーションである水素ステーション2c,2dは、上述の各要素が運搬用車両等に搭載されて構成される。
【0013】
水素カードル21は、水素ガスを充填した複数の水素充填容器を含む。水素カードル21は、他の場所で複数の前記水素充填容器のそれぞれに水素ガスが充填され、その後、各水素ステーション2a〜2dに搬送されたものである。
【0014】
圧縮機22は、水素カードル21(の各水素充填容器)から供給される水素ガスを所定圧力に昇圧する。但し、これに限るものではない。図示省略するが、圧縮機22は、水素カードル21に代えて又は加えて、脱硫ガソリンやエタノールなどの燃料を改質して水素ガスを取り出す改質装置、メチルシクロヘキサンなどの飽和六員環を有する化合物から脱水素反応により水素ガスを取り出す有機ハイドライド装置などから供給される水素ガスを所定圧力に昇圧するように構成されてもよい。
【0015】
蓄圧器23は、圧縮機22から供給される水素ガス、すなわち、圧縮機22で昇圧された水素ガス(高圧水素ガス)を貯蔵する。なお、
図2には、蓄圧器23が一つしか示されていないが、複数の蓄圧器23が設けられてもよいことはもちろんである。
【0016】
プレクーラー24は、水素ガス配管26を流通する水素ガス、さらに言えば、燃料電池車10の前記燃料タンクに充填される水素ガスをあらかじめ冷却する設備である。プレクーラー24は、例えば水素ガス配管26を流通する水素ガスと冷媒との熱交換を行う熱交換器24aと、前記冷媒を冷却して循環させる冷凍機24bとを含む。
【0017】
ディスペンサー25は、蓄圧器23に貯蔵された水素ガス、より具体的には蓄圧器23から放出されてプレクーラー24で冷却された水素ガスを燃料電池車10の前記燃料タンクに供給(充填)する装置である。ディスペンサー25は、前記燃料タンクに着脱可能に装着される充填ノズル25aを有しており、この充填ノズル25aを介して燃料電池車10の前記燃料タンクに水素ガスを充填する。
【0018】
また、本実施形態において、ディスペンサー25は、水素ガスを前記燃料タンクに充填する際に、併せて燃料電池車10から燃料電池車10に関する各種情報(以下「車両関連データ」という)を取得可能に構成されている。例えば、ディスペンサー25は、燃料電池車10の制御ユニット等(図示省略)に接続されるケーブル(図示省略)を有しており、このケーブルを介して燃料電池車10から前記車両関連データを取得する。あるいは、ディスペンサー25は、燃料電池車10に搭載された車両無線機との間で無線通信を行う無線機を有しており、この無線機を介して可能な燃料電池車10から前記車両関連データを取得する。ここで、前記車両関連データは、燃料電池車10の識別情報、燃料電池車10の前記燃料タンクの容積、充填率、温度及び/又は圧力を示す情報、前記燃料タンクからの水素ガスの漏洩の有無などを示す情報を含む。
【0019】
水素ガス配管26には、水素カードル21側から順に、第1開閉バルブ51、第2開閉バルブ52、第3開閉バルブ53、第4開閉バルブ54、流量制御バルブ55、第5開閉バルブ56が配設されている。第1〜第5開閉バルブ51〜54及び56は水素ガス配管26を開閉する、すなわち、水素ガス配管26を開放し又は遮断するバルブである。流量制御バルブ55は水素ガス配管26を流通する水素ガスの流量、換言すれば、燃料電池車10の前記燃料タンクに充填される水素ガスの流量を調整するバルブである。なお、図示省略するが、水素ガス配管26には、水素カードル21(の各水素充填容器)の内部と水素ガス配管26を連通させ又は遮断するバルブ、蓄圧器23の内部と水素ガス配管26とを連通させ又は遮断するバルブなどがさらに配設されてもよい。
【0020】
撮像装置27は、ディスペンサー25及びその周囲の動画を撮像する。但し、これに限るものではなく、撮像装置27は、ディスペンサー25及びその周囲の静止画を連続的又は断続的に撮像するものであってもよい。
【0021】
制御装置28は、各水素ステーション2a〜2dに設置された図示省略の各種センサのセンサデータ及び撮像装置27によって撮像された画像データを所定周期で入力すると共に、ディスペンサー25によって取得された前記車両関連データを入力する。また、制御装置28は、各水素ステーション2a〜2dを構成する各設備、ここでは、主に圧縮機22、プレクーラー24、ディスペンサー25及びバルブ51〜56を制御する。さらに、制御装置28は、ネットワークNに接続されており、中央管理装置3との間で各種データや各種コマンドなどの送受信を行う。本実施形態において、制御装置28は、前記所定周期で入力される前記各種センサのセンサデータ及び撮像装置27によって撮像された前記画像データと、ディスペンサー25から入力される前記車両関連データとを、ネットワークNを介して中央管理装置3に送信するように構成されている。また、制御装置28は、中央管理装置3からネットワークNを介して所定のコマンドを受信すると、受信したコマンドに基づく処理を実行するように構成されている。
【0022】
なお、前記各種センサは、水素ステーション2a〜2dを構成する各設備の稼働状況や異常の有無などを把握するために必要な情報を検知するセンサであり、それぞれが水素ステーション2a〜2d内の所定位置に設置される。設置されるセンサの種類、個数及び場所などは水素ステーション2a〜2d毎に任意に設定され得る。前記各種センサは、特に制限されるものではないが、水素カードル21又はその周囲の温度を検知するセンサ、水素カードル21内の水素ガスの温度を検知するセンサ、水素カードル21内の水素ガスの圧力を検知するセンサ、圧縮機22の入口側温度を検知するセンサ、圧縮機22の入口側圧力を検知するセンサ、圧縮機22の出口側温度を検知するセンサ、圧縮機22の出口側圧力を検知するセンサ、蓄圧器23又はその周囲の温度を検知するセンサ、蓄圧器23内の水素ガスの温度を検知するセンサ、蓄圧器23内の水素ガスの圧力を検知するセンサ、プレクーラー24内の水素ガスの温度を検知するセンサ、プレクーラー24内の前記冷媒の温度を検知するセンサ、プレクーラー24内の前記冷媒の流量を検知するセンサ、ディスペンサー25又はその周囲の温度を検知するセンサ、ディスペンサー25内の水素ガスの温度を検知するセンサ、ディスペンサー25内の水素ガスの圧力を検知するセンサ、水素ガス配管26の所定部位における水素ガスの温度を検知するセンサ、水素ガス配管26の所定部位における水素ガスの圧力を検知するセンサ、水素ガス配管26を流通する水素ガスの流量を検知するセンサ、水素ガスの漏洩を検知するためのセンサ、火炎(特に水素火炎)を検知するセンサなどである。また、特に移動式水素ステーション2c,2dにおいては、前記各種センサに、水素ステーション2c,2dの位置を検知するための位置検出センサ(例えばGPSセンサ)が含まれる。
【0023】
図1に戻って、中央管理装置3は、水素ステーション2a〜2dのそれぞれの状況(稼働状況や異常の有無等)を管理する。本実施形態において、中央管理装置3は、オペレータ操作部31と、通信部32と、記憶部33と、表示部34(第1表示部34A,第2表示部34B、第3表示部34C)と、表示制御部36と、異常判定部37と、報知部38と、出力部39と、を含む。
【0024】
オペレータ操作部31は、オペレータの各種指示を入力する。オペレータ操作部31はオペレータ指示が入力されると、当該オペレータ指示に応じて所定の制御信号又は所定のコマンドを通信部32、表示制御部36及び/又は出力部39に送信する。
【0025】
通信部32は、ネットワークNに接続されている。通信部32は、各水素ステーション2a〜2d(の制御装置28)から送信される前記センサデータ、前記画像データ及び前記車両関連データを受信する。したがって、本実施形態においては通信部32が本発明の「データ取得部」に相当する。また、通信部32は、オペレータ操作部31から送信されるコマンドを各水素ステーション2a〜2d(の制御装置28)に送信する。
【0026】
記憶部33は、通信部32によって受信された各水素ステーション2a〜2dの前記センサデータ、前記画像データ及び前記車両関連データを記憶する。より具体的には、記憶部33は、通信部32によって受信された前記センサデータ、前記画像データ及び前記車両関連データを水素ステーション2a〜2d毎に読み出し可能に記憶する。
【0027】
表示部34は、各水素ステーション2a〜2dに関する情報(以下「水素ステーション関連情報」という)を表示する。前記水素ステーション関連情報とは、主に通信部32によって受信された、各水素ステーション2a〜2dの前記センサデータ、前記画像データ及び前記車両関連データに基づく情報のことである。本実施形態において、第1表示部34Aは、主に通信部32によって受信された各水素ステーション2a〜2dの前記画像データ又はその加工データ(すなわち、前記画像データに基づく情報)を前記水素ステーション関連情報として表示するように構成され、第2表示部34Bは、主に通信部32によって受信された各水素ステーション2a〜2dの前記センサデータに基づく情報を前記水素ステーション関連情報として表示するように構成され、第3表示部34Cは、主に前記車両関連データに基づく情報を前記水素ステーション関連情報として表示するように構成されている。
【0028】
表示制御部36は、第1〜第3表示部34A〜34Cの表示動作を制御する。表示制御部36による第1〜第3表示部34A〜34Cの表示動作の制御については後述する。
【0029】
異常判定部37は、通信部32によって受信されたデータ、すなわち、各水素ステーション2a〜2dの前記センサデータ、前記画像データ及び/又は前記車両関連データに基づいて各水素ステーション2a〜2dにおける異常の有無を判定する。例えば、異常判定部37は、前記各種センサのそれぞれについて異常判定用の閾値を有し、通信部32によって受信された各水素ステーション2a〜2dの前記センサデータと、対応する閾値とを比較することによって各水素ステーション2a〜2dにおける異常の有無を判定する。また、異常判定部37は、例えば、前記画像データから人物を抽出し、抽出された人物の行動パターンと、予め定められた正常行動パターン(又は異常行動パターン)とを比較することによって各水素ステーション2a〜2dにおける(ディスペンサー25周囲の)異常の有無を判定する。さらに、異常判定部37は、例えば、前記車両関連データに含まれた、前記燃料タンクの圧力を示す情報や前記燃料タンクからの水素ガスの漏洩の有無を示す情報を確認することによって各水素ステーション2a〜2dにおける(燃料電池車10の)異常の有無を判定する。そして、異常判定部37は、水素ステーション2a〜2dのいずれかに異常が発生したと判定すると、異常が発生した水素ステーションの識別情報を含む異常発生信号を、表示制御部36及び報知部38に送信する。好ましくは、異常判定部37は、異常が発生した水素ステーションの前記識別情報と、異常発生判定の基礎となったセンサデータを特定するセンサ特定情報又は異常発生判定の原因(ディスペンサー25周囲や燃料電池車10における異常であること)を示す原因情報とを含む前記異常発生信号を、表示制御部36及び報知部38に送信する。
【0030】
報知部38は、異常判定部37からの前記異常発生信号を受信すると、前記識別情報が示す水素ステーションに異常が発生したことをあらかじめ登録された報知先に報知する。このとき、報知部38は、前記異常発生信号に前記センサ特定情報又は前記原因情報が含まれている場合には、前記センサ特定情報に基づいて判定される異常発生箇所又は異常発生判定の原因についても併せて前記報知先に報知する。なお、前記報知先は、特に制限されないが、水素ステーション2a〜2dの運用事業者、消防署、管理会社、警備会社などを含む。例えば、異常判定部37が水素ガスの漏洩を検知するセンサのセンサデータに基づいて水素ステーション2aに異常が発生したと判定した場合、報知部38は、水素ステーション2aに水素ガス漏れが発生したこと及び水素ガス漏れの発生位置などを前記報知先に報知する。
【0031】
出力部39は、オペレータ操作部31に入力される印刷出力指示に基づいて、各水素ステーション2a〜2dの稼働状況報告書を印刷出力する。前記稼働状況報告書は、特に制限されないが、例えば、前記各種センサのうちあらかじめ選択された複数のセンサの一日分又は複数日分(例えば1週間部や1か月分)のセンサデータ(すなわち、時系列データ)を含む。前記稼働状況報告書は、一例として、水素カードル21内の水素ガスの温度及び圧力の時系列データ、蓄圧器23内の水素ガスの温度及び圧力の時系列データ、ディスペンサー25内の水素ガスの温度及び圧力の時系列データなどを含むことができる。
【0032】
次に、表示制御部36による第1〜第3表示部34A〜34Cの表示動作の制御について例を挙げて説明する。
【0033】
まず、通常時において、表示制御部36は、各水素ステーション2a〜2dの前記画像データを分割画面にて表示するように第1表示部34Aを制御する。また、表示制御部36は、
図3に示すように、所定の地図上に各水素ステーション2a〜2dを示すアイコンが配置された画面(以下「通常画面」という。)を表示するように第2表示部34Bを制御する。その際、移動式水素ステーションである水素ステーション2c,2dを示すアイコンの位置は、それぞれの位置検出センサのセンサデータに基づいて決定される。また、表示制御部36は、前記車両関連データを各水素ステーション2a〜2dごとに表示するように第3表示部34Cを制御する。
【0034】
ここで、表示制御部36は、稼働中の水素ステーション、すなわち、通信部32によって前記センサデータ及び前記画像データが受信された水素ステーションのみを前記通常画面においてアイコン表示する。但し、これに限るものではなく、表示制御部36は、稼働中の水素ステーションを示すアイコンと、稼働していない水素ステーションを示すアイコンとを異なる態様で表示するように第2表示部34Bを制御するようにしてもよい。これにより、オペレータは、各水素ステーションから離れた場所において、稼働中の水素ステーション、稼働中の各水素ステーションの位置(特に移動式水素ステーション2c、2dの現在位置)、稼働中の各水素ステーションにおけるディスペンサー25周りの状況及び稼働中の各水素ステーションにおいて主に水素ガスを充填中の燃料電池車10の状況を把握することができる。
【0035】
次に、オペレータがオペレータ操作部31を介して前記通常画面におけるいずれかの水素ステーション(ここでは水素ステーション2aとする。)を選択すると、オペレータ操作部31は水素ステーション2aが選択されたことを示す選択信号を表示制御部36に送信する。表示制御部36は、前記選択信号を受信すると、選択された水素ステーション2aの前記画像データのみを表示するように第1表示部34Aを制御する。すなわち、第1表示部34Aの表示画面が水素ステーション2a〜2dの前記画像データを表示する分割画面(ここでは四分割画面)から水素ステーション2aの前記画像データのみを表示する単一画面に切り替わる。これにより、オペレータは、特定の水素ステーションにおけるディスペンサー25周りの状況をより詳細に把握することができる。
【0036】
また、表示制御部36は、前記選択信号を受信すると、
図4に示すように、選択された水素ステーション2aについてのセンサデータの一部又は全部を時系列で表示するように第2表示部34Bを制御する。すなわち、表示制御部36は、記憶部33から水素ステーション2aについてのセンサデータを読み出し、読み出したセンサデータを時系列で第2表示部34Bに表示させる。なお、ここでは水素カードル21内の水素ガスの温度及び圧力に時系列データ、蓄圧器23内の水素ガスの温度及び圧力の時系列データ、及び、ディスペンサー25内の水素ガスの温度及び圧力の時系列データが第2表示部34Bに表示されているが、表示されるセンサデータは任意に選択され得る。また、表示制御部36は、読み出したセンサデータを時系列で第2表示部34Bに表示することに代えて、例えば、読み出したセンサデータを時系列でグラフ化して第2表示部34Bに表示させるようにしてもよい。これにより、オペレータは、特定の水素ステーションについて稼働状況等を詳細に把握することができる。
【0037】
さらに、表示制御部36は、異常判定部37から前記異常発生信号を受信すると、そこに含まれる識別情報が示す水素ステーションに異常が発生したことを表示するように第2表示部34Bを制御する。例えば異常判定部37から受信した前記異常発生信号が水素ステーション2aを示す識別情報を含む場合、表示制御部36は、前記通常画面において水素ステーション2aを示すアイコンを他の水素ステーション2b〜2dを示すアイコンとは異なる態様で表示するように第2表示部34Bを制御する。一例を挙げれば、表示制御部36は、
図5に示すように、前記通常画面において、異常が発生した水素ステーション2aを示すアイコンを、異常が発生していない他の水素ステーション2b〜2dを示すアイコンよりも大きく表示するように第2表示部34Bを制御する。但し、これに限るものではなく、表示制御部36は、水素ステーション2aのアイコンを、他の水素ステーション2b〜2dを示すアイコンとは異なる色(例えば赤色)で表示したり、点滅表示したりするように第2表示部34Bを制御してもよい。これより、オペレータは、異常が発生した水素ステーションを速やかに把握することができる。なお、前記異常発生信号に含まれるセンサ特定情報がディスペンサー25又はその近傍に配置されたセンサを示す場合、表示制御部36は、水素ステーション2aの前記画像データのみを表示するように第1表示部34Aを制御してもよい。
【0038】
ここで、水素ステーション2a〜2dのいずれかに異常が発生したことを把握したオペレータは、オペレータ操作部31に稼働停止指示を入力することよって、異常が発生した水素ステーションを構成する設備を遠隔操作し、これにより異常が発生した水素ステーションの稼働を停止させることができる。例えば水素ステーション2aに異常が発生した場合、オペレータはオペレータ操作部31に水素ステーション2aに対する稼働停止指示を入力する。すると、オペレータ操作部31は通信部32を介して稼働停止コマンドを水素ステーション2aの制御装置28に送信する。水素ステーション2aの制御装置28は、前記稼働停止コマンドを受信すると、例えば圧縮機22、プレクーラー24及びティスペンサー25を停止させると共に第1〜第5開閉バルブ31〜33、35、37を閉弁させて、水素ステーション2aの稼働を停止させる。これにより、異常の発生した水素ステーションの稼働が速やかに停止されることとなって安全性が確保される。
【0039】
また、オペレータは、異常の発生の有無にかかわらず、オペレータ操作部31に所定の指示を入力して各水素ステーション2a〜2dを構成する設備を遠隔操作することができる。例えば、オペレータは、災害時などにおいて、オペレータ操作部31に水素ステーション2a〜2dの全てに対する稼働停止指示を入力することによって、水素ステーション2a〜2dの全ての稼働を速やかに停止させることができる。また、オペレータは、第2表示部34Bに表示される各水素ステーション2a〜2dの前記センサデータに基づく情報(前記センサデータの一部又は全部の時系列データやこれをグラフ化したものなど)に基づいて、各水素ステーション2a〜2dを構成する設備を選択的に遠隔操作することもできる。さらに、オペレータは、第1表示部34Aに表示される前記画像データ(ディスペンサー25周りの状況)に応じて、オペレータ操作部31に充填停止指示を入力することによって、各水素ステーション2a〜2dのディスペンサー25を停止させる(充填できない状態にロックする)こともできる。したがって、本実施形態においてはオペレータ操作部31及び通信部32が本発明の「遠隔操作部」を構成する。
【0040】
さらにまた、水素ステーション2a〜2dのいずれかに異常が発生したことを把握したオペレータは、オペレータ操作部31にデータ表示指示を入力することによって、第2表示部34Bに、異常判定部37による異常発生判定の基礎となったセンサデータの所定期間の時系列データと、他の水素ステーションにおける対応するセンサデータの前記所定期間の時系列データとを併せて(対比可能に)表示させることができる。すなわち、オペレータがオペレータ操作部31に前記データ表示指示を入力すると、オペレータ操作部31はデータ表示信号を表示制御部36に送信する。すると、表示制御部36は、例えば異常判定部37にアクセスして異常発生判定の基礎となったセンサデータを特定し、特定したセンサデータ及び他の水素ステーションにおける対応するセンサデータを記憶部32から読み出し、読み出したセンサデータを水素ステーション2a〜2d毎に時系列で第2表示部34Bに表示させる。なお、表示制御部36は、読み出したセンサデータを時系列で第2表示部34Bに表示させることに代えて、読み出したセンサデータを時系列でグラフ化したものを第2表示部34Bに表示させるようにしてもよい。これにより、オペレータは、異常が発生した水素ステーションのセンサデータと、異常が発生していない水素ステーションのセンサデータとを比較を容易に行うことができる。したがって、オペレータは、例えば異常が発生した水素ステーションのセンサデータの時系列変化と、異常が発生していない水素ステーションのセンサデータの時系列変化との類似性に基づいて、異常が発生していない水素ステーションに異常が発生するおそれがあるか否かを判定することも可能となる。すなわち、オペレータは、異常が発生していない水素ステーションにおける異常の発生を予測することが可能となる。
【0041】
本実施形態によれば、複数の水素ステーション2a〜2dの状況を一つの中央管理装置3によって監視することができると共に、当該一つの中央管理装置3によって各水素ステーション2a〜2dを構成する設備を操作することができる。このため、各水素ステーション2a〜2dに配置される作業者等の数を減らすことができ、事業者等の負担が軽減される。また、各水素ステーション2a〜2dで異常等が発生した場合に、現地での対応に加えて中央管理装置3による対応も可能であるので、各水素ステーション2a〜2dの安全性がより向上する。特に、災害時等においては複数の水素ステーション2a〜2dの稼働を一括して停止させることができ、速やか且つ確実な安全性の確保が可能である。
【0042】
なお、上述の実施形態において、中央管理装置3は、主に各水素ステーション2a〜2dの前記画像データに基づく情報を前記水素ステーション関連情報として表示する第1表示部34Aと、主に各水素ステーション2a〜2dの前記センサデータに基づく情報を前記水素ステーション関連情報として表示する第2表示部34Bと、主に各水素ステーション2a〜2dにおいて水素ガスの充填を行う燃料電池車10の車両関連データに基づく情報を前記水素ステーション関連情報として表示する第3表示部34Cと、を有している。しかし、これに限るものではない。中央管理装置3が有する表示部の個数や各表示部に表示させる情報は任意に設定され得る。例えば、中央管理装置3は、第3表示部34Cを有さなくてもよいし、第1表示部34Aのみ又は第2表示部34Aのみを有してもよい。また、中央管理装置3は、管理対象である水素ステーションの数と同数又は整数倍の表示部を有してもよい。
【0043】
また、上述の実施形態においては、水素ステーション2a〜2dのいずれかに異常が発生したことを把握したオペレータがオペレータ操作部31に前記稼働停止指示を入力することよって、異常が発生した水素ステーションの稼働を停止させている。しかし、これに限るものではなく、異常判定部37が、直接、異常が発生した水素ステーションの稼働を停止させるように構成してもよい。すなわち、異常判定部37が通信部32を介して前記稼働停止コマンドを異常が発生した水素ステーションの制御装置28に送信するように構成されてもよい。
【0044】
また、上述の実施形態においては、オペレータが、第2表示部34Bに表示された、異常が発生した水素ステーションのセンサデータと異常が発生していない水素ステーションのセンサデータとを比較することによって、異常が発生していない水素ステーションにおける異常の発生を予測するようにしている。しかし、これに限るものではなく、
図6に示すように、中央管理装置3が異常予測部40をさらに有してもよい。この場合、異常予測部40は、オペレータがオペレータ操作部31に異常予測指示を入力することによって又は異常判定部37が水素ステーション2a〜2dのいずれかに異常が発生したと判定したときに、上述した方法と同様にして、異常が発生していない(他の)水素ステーションにおける異常の発生を予測する。
【0045】
すなわち、オペレータがオペレータ操作部31に前記異常予測指示を入力すると、オペレータ操作部31は異常予測信号を異常予測部40に送信する。すると、異常予測部40は、例えば異常判定部37にアクセスして異常発生判定の基礎となったセンサデータを特定し、特定したセンサデータ及び他の水素ステーションにおける対応するセンサデータを記憶部32から読み出す。又は、異常判定部37は水素ステーション2a〜2dのいずれかに異常が発生したと判定すると異常予測信号を異常予測部40に送信する。すると、異常予測部40は、異常発生判定の基礎となったセンサデータ及び他の水素ステーションにおける対応するセンサデータを記憶部32から読み出す。そして、異常予測部40は、異常が発生した水素ステーションのセンサデータの時系列変化と、異常が発生していない水素ステーションのセンサデータの時系列変化との類似性に基づいて、異常が発生していない水素ステーションにおける異常の発生を予測する。
【0046】
そして、異常予測部40は、異常の発生が予測される水素ステーションがある場合には、当該水素ステーションの識別情報を含む異常予測信号を表示制御部36に送信する。すると、表示制御部36は、異常予測部40から前記異常予測信号を受信すると、そこに含まれる識別情報が示す水素ステーションに異常が発生するおそれがあることを表示するように第2表示部34Bを制御する。例えば、表示制御部36は、前記通常画面において、異常が発生した水素ステーションを示すアイコンと、異常の発生が予測される水素ステーションを示すアイコンと、異常が発生しておらず且つ異常の発生も予測されない水素ステーションを示すアイコンとを異なる態様で表示するように第2表示部34Bを制御する。これにより、オペレータは、異常が発生した水素ステーションはもちろん、異常の発生が予測される水素ステーションを把握することができ、異常の発生が予測される水素ステーションの速やかな点検や修繕を作業者や管理者に促すことができる。
【0047】
さらに、上述の実施形態において、水素ステーション2a〜2dは主に燃料電池車10に搭載された燃料タンクに水素ガスを充填している。しかし、水素ステーション2a〜2dは、燃料電池車10だけではなく、水素を燃料とする水素燃料車(レシプロエンジン車やロータリエンジン車などを含む)に搭載された燃料タンクに水素を充填可能であることはもちろんである。
【0048】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態やその変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形や変更が可能である。