(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
白色インクと、少なくとも1つのカラーインクとを含むインクから成る少なくとも第1の層を印刷するステップであって、前記インクから成る第1の層が、白色インクとカラーインクとの所定の第1の比を有するステップと、
前記白色インクと、前記少なくとも1つのカラーインクとを含むインクから成る少なくとも第2の層を印刷するステップであって、前記インクから成る第2の層が、前記第1の比とは異なる、白色インクとカラーインクとの所定の第2の比を有するステップと、
前記白色インクと、前記少なくとも1つのカラーインクとを含むインクから成る少なくとも第3の層を印刷するステップであって、前記インクから成る第3の層が、前記第2の比および前記第1の比とは異なる、白色インクとカラーインクとの所定の第3の比を有するステップと、
前記白色インクと、前記少なくとも1つのカラーインクとを含むインクから成る少なくとも第4の層を印刷するステップであって、前記インクから成る第4の層が、前記第3の比、前記第2の比および前記第1の比とは異なる、白色インクとカラーインクとの所定の第4の比を有するステップと、
を含むカラー印刷の方法であって、
前記第1の比が前記第2の比よりも白色インクの割合が大きく、前記第2の比は前記第3の比よりも白色インクの割合が大きく、前記第3の比は前記第4の比よりも白色インクの割合が大きく、
前記第2の層に印刷される白色インクの量が前記第1の層に印刷される白色インクの量より少なく、前記第3の層に印刷される白色インクの量が前記第2の層に印刷される白色インクの量より少なく、前記第4の層に印刷される白色インクの量が前記第3の層に印刷される白色インクの量より少なく、
前記第2の層に印刷される前記少なくとも1つのカラーインクの量が前記第1の層に印刷される前記少なくとも1つのカラーインクの量よりも大きく、前記第3の層に印刷される前記少なくとも1つのカラーインクの量が前記第2の層に印刷される前記少なくとも1つのカラーインクの量よりも大きく、前記第4の層に印刷される前記少なくとも1つのカラーインクの量が前記第3の層に印刷される前記少なくとも1つのカラーインクの量よりも大きく、
前記第2の層は前記第1の層上に印刷され、前記第3の層は前記第2の層上に印刷され、前記第4の層は前記第3の層上に印刷されることにより、多重印刷層の領域が形成される、方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の議論および添付図面により、何らかの基材(たとえば、テキスタイルまたは合成材料)上にカラー印刷するための方法およびシステムを開示する。印刷された材料は、任意のカラーまたは不透明性を有し、および混合された白色およびカラー印刷材料から成る多重層の印刷によって、カラーマネジメント、カラー耐久性および耐摩耗性を実現する。開示した方法およびシステムは、何らかの適当な3D印刷システムを用いてもよい。
【0013】
「忠実な色のカラー」および「カラー精度」という用語は、この開示全体を通して用いる場合、正確な表現、模倣、描写、プルーフィング、ビューイング、または他の形での、印刷された1つ以上のカラーが、CMYK色モデルで白い基材上に印刷された1つ以上のカラーとの実質的に見分けがつかない可視カラー差別化を実現するように、白色のまたは白くない基材上に印刷された1つ以上のカラーの他の観測を指すものとする。また、「カラー印刷」、「インクジェット印刷」、「CMYK印刷」、「CMYKインクジェット印刷」および「カラーインクジェット印刷」という用語は、この開示全体を通して用いる場合、1つ以上のインクの液滴を吐出することによる画像の印刷を指すものとする。しかし、公知の「カラー印刷」、「インクジェット印刷」、「CMYK印刷」、「CMYKインクジェット印刷」および「カラーインクジェット印刷」とは違って、ここに開示した「カラー印刷」、「インクジェット印刷」、「CMYK印刷」、「CMYKインクジェット印刷」および「カラーインクジェット印刷」は、任意のカラーの基材上に対するカラー精度を実現する。一方、公知の印刷方法は、白紙等の白い被印刷物に対して同じかまたは同様のカラー精度を実現するために、白い被印刷物上への印刷を要する。また、「カラー耐久性」という用語は、この開示全体を通して用いる場合、スクラッチ、摩耗、または、印刷されたカラーに対するその他の傷付き(マーリング)またはダメージに関する視認性に耐えるか、または他の形でその視認性を最小限にするための印刷されたカラーの能力を指すものとする。
【0014】
「基材」という用語は、この開示全体を通して用いる場合、本発明の実施形態による印刷をその上に行うことができる何らかの材料、たとえば、紙、プラスチック、金属、アパレル製品、スポーツ器具、テキスタイル、天然繊維、合成繊維、ニット、織布材料、不織布材料、メッシュ、革、合成皮革、ポリマー、ゴムおよび発泡材料、または、これらのいずれかの組合せを指すものとする。
【0015】
本発明の実施形態によれば、基材は、たとえば、繊維であってもよい。この開示全体を通して用いる際、「繊維」は、一般的には、何らかのテキスタイル、天然繊維、合成繊維、ニット、織布材料、不織布材料、メッシュ、革、合成皮革、ポリマー、ゴムおよび発泡材料から選択された材料を指すのに用いてもよく、また、何らかの天然または合成繊維または材料、たとえば、綿、ウール、麻、絹、ナイロン、エラステイン(すなわち、スパンデックス)、ポリエステル、レーヨンおよびオレフィン(すなわち、ポリプロピレン)等を指すのにも用いてもよく、また、これらの材料のいずれかから成る組合せをさらに含んでもよい。また、「印刷」または「印刷された」および「付着している」または「付着された」という用語は、この開示全体を通して用いる際、それぞれ同義的に用いられ、および材料のソースから、受け入れる表面または対象物までの材料の関連を指すことが意図されている。
【0016】
また、実施形態によれば、基材は、たとえば、アパレル製品であってもよい。したがって、「アパレル製品」および「繊維」という用語は、この開示全体を通して用いる場合、ソックスまたはシャツを含む、繊維に関連しているか、または、繊維から作られた何らかのテキスタイルおよび何らかの材料を含み、また、何らかの衣料製品、アパレル製品または装備品に適用してもよい。たとえば、本発明の実施形態では、縁のある帽子、縁なし帽子、シャツ、ジャージ、ジャケット、ソックス、ショーツ、パンツ、下着、スポーツ用サポート下着、手袋、リストバンド/アームバンド、スリーブ、ヘッドバンド、何らかのニット材料、何らかの織布材料、何らかの不織布材料、スポーツ用品等に適用してもよい。従って、この開示全体を通して用いる際、「アパレル製品」という用語は、縁のある帽子、縁なし帽子、シャツ、ジャージ、ジャケット、ソックス、ショーツ、パンツ、下着、スポーツ用サポート下着、手袋、リストバンドまたはアームバンド、スリーブ、ヘッドバンド、何らかのニット材料、何らかの織布材料、何らかの不織布材料等を含む何らかの衣料品または衣類を指してもよい。
【0017】
この開示全体を通して記載されているシステムおよび方法に従って、白色インクと、少なくとも1つのカラーインクとを含むインクから成る少なくとも第1の層を印刷することであって、前記インクから成る第1の層が、白色インクとカラーインクとの所定の第1の比を有することと、前記白色インクおよび前記少なくとも1つのカラーインクを含むインクから成る少なくとも第2の層を印刷することであって、前記インクから成る第2の層が、前記第1の比とは異なる、白色インクとカラーインクとの所定の第2の比を有することとを含み、前記第1の比が前記第2の比よりも大きい、カラー印刷する方法が提供される。
【0018】
この開示全体を通して記載されているシステムおよび方法に従って、多重印刷層を含む少なくとも1つのカラーを基材上に印刷することを含み、前記多重印刷層が、白色インクと少なくとも1つのカラーインクとを含むインクから成る少なくとも第1の層であって、白色インクとカラーインクとの所定の第1の比を有する第1の層と、前記白色インクおよび前記少なくとも1つのカラーインクを含むインクから成る少なくとも第2の層であって、前記第1の比とは異なる、白色インクとカラーインクとの所定の第2の比を有する第2の層とを備え、前記第1の比が前記第2の比よりも大きい、カラーマネジメントの方法も提供される。
【0019】
この開示全体を通して記載されているシステムおよび方法に従って、不透明材料と、少なくとも1つの半透明着色材料とから成る溶融物を基材上に印刷することを含み、前記不透明材料および前記少なくとも1つの半透明着色材料が異なる印刷ヘッドから供給され、前記不透明材料および前記少なくとも1つの半透明着色材料が前記基材上で混合し、前記印刷することは、前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とから成る多重印刷層を含む少なくとも1つのカラーを印刷することをさらに含み、前記多重印刷層は、前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第1の層であって、不透明材料と半透明着色材料との所定の第1の比を有する第1の層と、前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第2の層であって、前記第1の比とは異なる、不透明材料と半透明着色材料との所定の第2の比を有する第2の層とを備え、前記第1の比が前記第2の比よりも大きい、ホットメルト印刷の方法が提供される。
【0020】
この開示全体を通して記載されているシステムおよび方法に従って、混合された半透明カラーインクと不透明白色インクとの加法印刷によって、所望のカラーを白くない基材上に印刷する方法であって、不透明白色インクと、少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第1の混合物を含むインクから成る少なくとも第1の層を、前記白くない基材上に印刷することであって、前記インクから成る第1の層が、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第1の比を有することと、前記不透明白色インクと前記少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第2の混合物を含むインクから成る少なくとも第2の層を、前記白くない基材上に印刷することであって、前記インクから成る第2の層が、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第2の比を有することとを含み、前記第1の比と前記第2の比とが実質的に等しく、前記第1の印刷層と第2の印刷層との合計が、可視スペクトルにおいて、不透明カラーインクを用いて白色基材上に印刷された同じカラーと光学的に見分けがつかない前記所望のカラーを生じさせる方法が提供される。
【0021】
この開示全体を通して記載されているシステムおよび方法に従って、混合された半透明のカラーインクと不透明白色インクとの加法印刷によって、少なくとも1つの所望のカラーを白くない基材上に印刷することを含むカラーマネジメントの方法であって、前記所望のカラーが多重印刷層を含み、前記多重印刷層が、不透明白色インクと、少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第1の混合物を含むインクから成る少なくとも第1の層であって、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第1の比を有する第1の層と、前記不透明白色インクと前記少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第2の混合物を含むインクから成る少なくとも第2の層であって、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第2の比を有する第2の層とを備え、前記第1の比と第2の比とが実質的に等しく、前記第1の印刷層と第2の印刷層との合計は、可視スペクトルにおいて、不透明カラーインクを用いて白色基材上に印刷された同じカラーと光学的に見分けがつかない前記所望のカラーを生じさせる方法も提供される。
【0022】
この開示全体を通して記載されているシステムおよび方法に従って、不透明材料と、少なくとも1つの半透明着色材料とから成る溶融物を、白くない基材上に印刷することを含むホットメルト印刷の方法であって、前記不透明材料および前記少なくとも1つの半透明着色材料が異なる印刷ヘッドから供給され、前記不透明材料および前記少なくとも1つの半透明着色材料が前記基材上で混合し、前記印刷することは、前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とから成る多重印刷層を含む少なくとも1つの所望のカラーを印刷することをさらに含み、前記多重印刷層が、前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第1の層であって、1:1以下の不透明材料と半透明着色材料との所定の第1の比を有する第1の層と、前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第2の層であって、1:1以下の不透明材料と半透明着色材料との所定の第2の比を有する第2の層とを備え、前記第1の比と前記第2の比とが実質的に等しく、前記第1の印刷層と第2の印刷層との合計が、可視スペクトルにおいて、不透明カラーインクを用いて白色基材上に印刷された同じカラーと光学的に見分けがつかない前記所望のカラーを生じさせる方法が提供される。
【0023】
追加的な特徴および利点は、以下の説明にある程度記載されており、その説明から明らかであるか、または、実施形態の実施によって分かるであろう。上記の説明および以下の説明はともに例示的かつ説明的であり、およびクレームされている実施形態のさらなる説明を与えることが意図されている。
【0024】
インクジェット印刷に用いられるCMYK色モデルは、1つ以上の印刷カラーインクのカラーの正確な色表現を実現するために、白色基材、たとえば一枚の白い紙、の存在に依拠している。「CMYK」は、カラーインクジェット印刷に用いられる4つのカラーインク、すなわち、シアン「C」、マゼンタ「M」、イエロー「Y」およびブラック「K」を指す。カラーインクジェット印刷は、印刷ヘッド、インクジェットカートリッジ、または、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのインクタンクを含んでもよい。
【0025】
CMYK印刷は、
図1に示すCMYKベン図によって例示されているように、さまざまな組合せのカラーインクを印刷して混ぜることにより、可視スペクトルにおいて任意のカラーを生じさせるか、または、本質的に近似することができる。
図1を参照すると、シアン、マゼンタおよびイエローインクを印刷中に混合して、図示されているような赤、緑および青のうちの1つ以上のカラーを生成してもよい。
【0026】
印刷中のさらなるカラーの混合は、
図1に示すように、赤、緑および青の、または、シアン、マゼンタおよびイエローの三原色を超える、より多くのカラーを生成するのに用いることができる。また、シアン、マゼンタおよびイエローインクは、ブラックを生成するために混合してもよい。しかし、
図1のCMYKベン図に示すように生成されたブラックは、観察者に対して、非常に暗いか、または忠実なブラックの代わりに、より明るいブラックとして視覚的に見える可能性がある。そのため、CMYKプリンタは、忠実なブラックの印刷のための黒インクが充填された独立したカートリッジまたはタンクも含んでもよい。
【0027】
CMYK印刷インクは、一般的には、印刷されたCMYKカラーインクから成る1つ以上の層で、下にある白色基材を少なくとも部分的にマスキングすることによる反射可視光によって見た場合、その白色基材の白色度を本質的に低下させるという点で、実際には減法的と見なされている。また、CMYKインクは、典型的には水性であり、印刷後に基材の表面で混合して乾燥する。
【0028】
CMYKカラーインクの印刷は、印刷されたインクが少なくとも半透明であり、および忠実な色の印刷は、人の眼にとって認識可能である可視スペクトルのカラーを実現するために、印刷されたカラーインクを介して、下にある白色基材から反射された光に依存するため、典型的には、白色基材を必要とする。
【0029】
図2を参照すると、本発明の実施形態に従って、インクジェットカートリッジ105を備えるインクジェットプリンタ100が図示されている。カートリッジ105は、シアン「C」用カートリッジ110と、マゼンタ「M」用カートリッジ112と、イエロー「Y」用カートリッジ114と、ブラック「K」用カートリッジ116と、白色「W」用の2つのカートリッジ118,120とを備えている。
図2には、白色用の2つのカートリッジが描かれているが、実施形態に従って、プリンタ100は、1つのみの白色用カートリッジを含んでもよく、または、図示されているように、1つ以上の白色用カートリッジを含んでもよい。また、白色用カートリッジ118,120に収容されるインクは、以下でさらに説明する理由で、不透明インクであってもよい。
【0030】
さらに
図2を参照すると、本発明の実施形態に従って、カートリッジ105は、インクの液滴125を基材130上に印刷することができる。基材130は、上述したように、一枚の紙、または、テキスタイルまたは繊維等の他の何らかの基材であってもよい。インク液滴125は、1つ以上のカートリッジ105から吐出されて、インク液滴運動方向135で示すように、基材130の方に向かわせることができる。インク液滴125が印刷される際、カートリッジ105は、方向140で示すように、基材130を横切って移動することができるが、印刷を容易にするために、基材130を、方向145で示すように、方向140に直角に移動させてもよい。このようにして、画像、グラフィックス、デザインおよびテキスト等の形状構成150の印刷を、基材130上に実現することができる。
【0031】
実施形態によれば、CMYK色モデルおよび印刷方法の利用は、白色または白くない基材上で遂行することができる。
図2に示すプリンタと同様のプリンタを用いて、白くない基材上にカラーを印刷するために、
図3に、従来の印刷方法200を用いて印刷された層が図示されている。
【0032】
図3を参照すると、たとえば、従来の印刷方法200を用いて印刷された層は、下にある白色基材上に印刷された最終的な印刷カラーのカラー精度を実現するために、まず、その基材の再現、模倣または形成を要する。そのため、
図3は、それぞれの印刷層を印刷するのに用いられる印刷ヘッドの図とともに、白くない基材上にカラーインクを印刷するのに用いられる従来の印刷方法200によって印刷された一連の印刷層の斜視図を示している。
【0033】
図3に図示されているように、多重印刷層205の部分が斜視図で示されている。層205は、白色の6つの印刷層210,212,214,216,218および220を備えている。
図3には、白色の6つの層が図示されているが、従来の印刷方法200を用いて、より多くの、または、より少ない白色の層を印刷してもよい。白色層210,212,214,216,218および220は、その上にカラー印刷を行うことができる白色基材を形成するのに用いられる。カラー層222は、白色層に重ねて印刷され、およびCMYKモデルに従って印刷された任意のカラーとすることができる最終的な印刷層である。
【0034】
さらに
図3を参照すると、印刷カートリッジまたはヘッド230の図は、白色の6つの層210,212,214,216,218および220を印刷するのに用いられるインクを示している。たとえば、印刷されたインクによって白色基材を形成する6つの白色の層を印刷するために、白色インクカートリッジ232,234が、白色インク236の液滴を吐出するのに用いられるが、残りのカラーカートリッジは、不作動のままである。白色インク236は、後に印刷される1つ以上の半透明カラーインクの下で白色基材を模倣するために、その表面に当たる可視光を反射するであろう不透明インクであってもよい。また、白色インク236は、後のカラーの印刷をその上で行うであろう白くない基材の領域を覆うように機能する。
【0035】
さらに、
図3の印刷カートリッジまたはヘッド240の図は、6つの白色の不透明層の印刷終了時に、カラー層222を印刷するのに用いられるインクを示している。カラー層222は、下にある印刷済みの不透明な白色インク236からの可視光の反射を可能にするために、半透明インクを印刷することによって形成してもよい。たとえば、カラー層222は、
図3に図示されているように、シアンカートリッジ242およびイエローカートリッジ244によって印刷されるインクを用いることによって実現される、忠実な色の緑色の印刷層であってもよい。そのため、カートリッジ242および244が、半透明のシアンインク246および半透明のイエローインク248の液滴を吐出するのに用いられるが、残りのカートリッジは不作動である。液滴246および248は、最上の白色層220への印刷時に混ざって、
図3に示す実施例においては、カラー層222において、忠実な色の緑色を形成する。カラー層222の忠実な色の緑色は、層222を通って観察者の眼に入る、下にある白色層220から反射された光を見ることによって、視覚的に観察することができる。
図3に関連して説明した実施例においては、緑色が用いられているが、CMYK色モデルまたはパレットを用いて、任意のカラーを印刷してもよい。その場合、そのようなカラーは、最初に、最終的な印刷カラー層の下に白色基材が形成されていれば、その後観察することができる。
【0036】
さらに
図3を参照すると、従来の印刷方法200を用いて印刷された層に関する欠点は、忠実な色のカラーを白くない基材上に印刷するために、多くの追加的なインクの層の印刷を要するということである。たとえば、後に印刷されるカラー層の下にある白色基材を有効に模倣するためには、まず、不透明な白色インクから成るいくつかの層を印刷しなければならない。この方法は、より多くの印刷時間、より多くの印刷層、およびより高密度でより大量の印刷インクを必要とする。さらに、最終的な印刷カラー層が引っかかれ、摩耗し、または他の形で傷付けられるかまたは破損した場合、その印刷されたカラーは、その引っかき、摩耗または傷付きの領域において剥がれる可能性がある。したがって、1つ以上の下にある白色層が露出して、それによって、最終的な印刷カラー層と、露出した下にある白色層との間で好ましくない高コントラストを呈する可能性がある。その結果、従来の方法を用いて白くない基材上に印刷するためのコストは、最終的に印刷される忠実な色のカラーを実現することに関してより高くなり、およびより多くの複雑さを有している。
【0037】
対照的に、本発明の実施形態に従って、
図4は、印刷方法300によるそれぞれの印刷層に用いられる印刷ヘッドの図とともに、忠実な色のカラーを白くない基材上に生じさせる一連の印刷インク層の斜視図を示している。
【0038】
図4を参照して説明するように、印刷方法300は、プリンタ100が、カラーインクと同時に白色インクを印刷してもよいという点で公知の方法とは異なっている。インク液滴の印刷パターンは、本質的にはカオス的な確率的ドットパターンを含んでもよく、それらの液滴は、インクが基材上に吐出される際に、または、基材上への印刷の直後にそれ自体と混合する。その結果、印刷された白色インクおよびカラーインクは、印刷業界がソリッドカラーまたはスポットカラーとして識別する可能性のあるものと同様に、基材上への印刷時に混合してもよい。混合され印刷された白色インクおよびカラーインクは、要求に応じて、ならびに基材上への印刷時に、家の塗装と似た方法で混合され、その結果、この混合された白色インクとカラーインクとから成る多重層の印刷は、多重印刷層の過程で不透明性を作り出す。この作り出された不透明性は、公知の印刷方法200とは対照的に、印刷カラー層の下の白色基材を模倣するか、または再現する必要性を回避して、より少ない印刷層およびより少ないインク使用量で、忠実な色のカラーを白くない基材上に印刷することを可能にする。
【0039】
図4に図示されているように、プリンタ100を用いて印刷された多重印刷層305の一部が斜視的に示されている。層305は、印刷材料から成る4つの層310,312,314および316を備えている。
図4の実施例には、混合された白色インクおよびカラーインクから成る4つの層が図示されているが、所望の忠実な色のカラーの印刷を実現するために、より多くの、またはより少ない層を印刷してもよい。そのため、各連続する印刷層に関して、白色インクとカラーインクとの比を低下させることによって、印刷用の所望の忠実な色のカラーが、層310,312,314および316の各々を印刷する過程で作り出されることになる。すなわち、第1の印刷層310における白色インクとカラーインクとの比は高くしてもよいが、最後の印刷層316における白色インクとカラーインクとの比は低くすることができる。たとえば、白色インクの量は、連続的に印刷される層310,312,314および316の各々において減らしてもよいが、カラーインクの量は、それに応じて、連続的に印刷される層310,312,314および316の各々において増やしてもよい。以下、印刷方法300の詳細についてさらに説明する。
【0040】
従来の方法200とは対照的に、印刷方法300に従って印刷された最終的な印刷層316は、必ずしも、CMYKモデルに従って印刷された最終的な所望の忠実な色のカラーである必要はない。すなわち、印刷方法300は、最上の印刷層だけが、独立した印刷層として忠実な色のカラーであることを必要としない。むしろ、CMYKモデルに従って印刷された所望のカラーのためのカラー精度をまとまって生み出す印刷層310,312,314および316の各々の組合せである。印刷層310,312,314および316の各々は、混合された半透明のカラーインクおよび不透明の白色インクを含んでいるため、印刷層のさまざまな成分の半透明性および不透明性の混合は、最終的な所望の印刷カラーの観察可能なカラー精度を実現するために協働する。このことは、可視光が層310,312,314および316を通過して、それらの層から反射して戻ってくる際に観察することができる。このことについては、
図13を参照してさらに詳細に後述する。
【0041】
さらに、
図4を参照すると、印刷カートリッジまたはヘッド330,340,350および360の図は、混合されたカラーインクおよび白色インクから成る4つの層310,312,314および316をそれぞれ印刷するのに用いられるインクを示している。
【0042】
たとえば、印刷方法300に従って、忠実な色の緑色を印刷するために、第1の印刷層310は、印刷ヘッド330の構成を用いて印刷してもよい。印刷ヘッド330の部分として、シアンカートリッジ331、イエローカートリッジ333および白色カートリッジ332および334を、白色インク336の液滴と、シアンインク335およびイエローインク337の液滴とを吐出するのに用いてもよい。2つの白色カートリッジ332,334が描かれているが、
図2に関連して上述したように、1つ以上の白色カートリッジがプリンタ100内にあってもよい。
図4において、白色カートリッジ332および334は、シアンカートリッジ331がシアンインク335を吐出し、およびイエローカートリッジ333がイエローインク337を吐出するのよりも、より多くの白色インク336を吐出するように質的に描かれている。したがって、第1の層310は、印刷方法300に従って印刷される不透明性が最高の層(ひいては最大量の印刷白色インク)を有する可能性があるが、その層は、完全に白色でなくてもよい。第1の層310においては、比較的少量の印刷半透明シアンインク335および半透明イエローインク337が、不透明な白色インク336と混ざって層310を形成する。
【0043】
さらに
図4を参照すると、第2の印刷層312を、印刷ヘッド340の構成を用いて印刷してもよい。印刷ヘッド340の部分として、シアンカートリッジ331、イエローカートリッジ333および白色カートリッジ332および334を、白色インク346の液滴と、シアンインク345およびイエローインク347の液滴とを吐出するのに用いてもよい。
図4においては、白色カートリッジ332および334は、依然として、シアンカートリッジ331がシアンインク345を吐出し、およびイエローカートリッジ333がイエローインク347を吐出するのよりも、より多くの白色インク346を質的に吐出するように描かれている。
【0044】
しかし、第2の層312は、第1の層310が白色インク336を含むのよりも、より少ない白色インク346を含んでいてもよい。すなわち、第2の層312は、第1の層310よりもより半透明なカラーインクを含み、および第1の層310の不透明性は、第2の層312の不透明性よりも大きくてもよい。第2の層312においては、より多くの量の印刷半透明シアンインク345および半透明イエローインク347が、不透明な白色インク346と混合するが、層312は、それでもやはり、白色インク346の大部分を含んでいてもよい。
【0045】
さらに
図4を参照すると、第3の印刷層314を、印刷ヘッド350の構成を用いて印刷してもよい。印刷ヘッド350の部分として、シアンカートリッジ331、イエローカートリッジ333および白色カートリッジ332および334を、白色インク356の液滴と、シアンインク355およびイエローインク357の液滴とを吐出するのに用いてもよい。
【0046】
ここでは、白色カートリッジ332および334はもはや、シアンカートリッジ331がシアンインク355を吐出し、およびイエローカートリッジ333がイエローインク357を吐出するのよりも、より多くの白色インク356を吐出するように描かれてはいない。第3の層314は、第2の層312と同様に、第2の層312が白色インク346を含んでいるのよりも、より少ない白色インク356を含んでいてもよい。すなわち、第3の層314は、第1の層310よりも、さらに多くのカラーインクを含んでいてもよい第2の層312よりも、より多くのカラーインクを含んでいてもよい。さらに、印刷方法300に従って印刷された第2の層312の不透明性は、第3の層314の不透明性よりも大きくてもよい。第3の層314においては、さらに大量の印刷半透明シアンインク355および半透明イエローインク357が、不透明な白色インク356と混合し、その結果、層314は、カラーインクの大部分を含んでいる。
【0047】
さらに
図4を参照すると、第4の印刷層316を、印刷ヘッド360の構成を用いて印刷してもよい。印刷ヘッド360の部分として、シアンカートリッジ331、イエローカートリッジ333および白色カートリッジ332および334を、白色インク366の液滴と、シアンインク365およびイエローインク367の液滴とを吐出するのに用いてもよい。
【0048】
ここでは、白色カートリッジ332および334は、シアンカートリッジ331がシアンインク365を吐出し、およびイエローカートリッジ333がイエローインク367を吐出するのよりも、実質的により少ない白色インク356を吐出する。第4の層316は、第3の層314が白色インク356を含んでいるのよりも、より少ない白色インク366を含んでいてもよい。すなわち、第4の層316は、同様に第2の層312よりもより多くのカラーインクを含んでいてもよい第3の層314よりもさらに多くのカラーインクを含んでいてもよく、第2の層312は同様に第1の層310よりもより多くのカラーインクを含んでいてもよい。さらに、印刷方法300に従って印刷された第3の層314の不透明性は、第4の層316の不透明性よりも大きくてもよい。第4の層316においては、さらに大量の印刷半透明シアンインク365および半透明イエローインク367が、不透明な白色インク366と混合し、その結果、層316は、第3の層312よりも多くのカラーインクの大部分を含んでいる。
【0049】
したがって、
図4に示す方法300は、印刷されたインクによって、白色基材を模倣し、再現し、または作り出すために、独立した、または下にある白色の層の印刷を必要としない。
図4に示す方法300は、混合された半透明カラーインクと不透明な白色インクとの可変比から成る層を介して加法的に印刷される1つ以上の忠実な色のカラーを生じさせることができる。
【0050】
図4に示す実施例において、忠実な色の緑色は、層310,312,314および316の印刷によって生じさせることができる。
図4のそれらの層に示されている混合された半透明カラーインクと不透明白色インクとの比は、4つの層310,312,314および316の各々で低から高に変化してもよい。その結果、半透明特性および不透明特性の両方を備えるこれらの層の各々の一部が存在する可能性があるため、可視光の反射が、4つの層310,312,314および316のうちの1つ以上を介して起きる可能性がある。所望の忠実な色のカラー、たとえば、
図4の実施例で用いられている忠実な色の緑色の印刷を実現するために、印刷層の数と、層内でのカラーインクと白色インクとの比を計算してもよい。たとえば、層310,312,314および316によって実現される忠実な色の緑色は、それらの層のうちの1つ以上から反射して、観察者の眼を通る光を見ることによって観察することができる。
図4に関連して記載されている実施例においては、忠実な色の緑色の実現が用いられているが、印刷方法300とともに、CMYK色モデルまたはパレットを用いて、任意のカラー(1または複数)を白くない基材上に印刷してもよい。その場合、このようなカラーは、印刷されたカラー層の下にある白色基材の存在を要することなく、後に観察することができる。
【0051】
したがって、
図4に関連して説明したように、および実施形態によれば、印刷方法300は、多くの余分なインクの層の印刷を必要としない可能性があり、および白色基材を生じさせるために、白色インク層の印刷を必要としない可能性がある。その結果、印刷方法300は、印刷時間、印刷層の数を低減し、また、従来の方法200に伴うインクよりも少ないインクを用いて、忠実な色のカラー印刷を実現することができる。さらに、最終的な印刷カラー層が引っかかれ、摩耗し、または他の形で損傷されるか、または傷付けられた場合、印刷されたカラーは、その引っかき、摩耗または傷付きの領域において部分的に剥がれるだけである可能性がある。したがって、下にある印刷層のうちの1つ以上が露出された場合でも、下にある各層は、依然として、一定の割合のカラーインクを含んでおり、およびそれによって、引っかかれたカラー層と、すぐ上かまたは下の1つ以上の層との間で、低コントラストだけを呈することができる。その結果、方法300を用いて白くない基材上に印刷するためのコストは、従来の方法200のコストよりも低くなり、および、引っかかれ、摩耗し、または他の形で損傷されるか、または傷付けられた場合に、より少ないコントラストの変化を呈する最終的に印刷された忠実な色のカラーを実現する。
【0052】
実施形態に従って、
図5は、印刷方法302によるそれぞれの印刷層に用いられる印刷ヘッドの図とともに、忠実な色のカラーを白くない基材上に生じさせる別の一連の印刷インク層の斜視図を示している。
図5を参照して説明するように、印刷方法302は、プリンタ100が、
図4に関連して上述した実施形態と同様に、カラーインクと同時に白色インクを印刷してもよいという点で公知の方法とは異なっている。この実施形態によれば、印刷方法302に従って印刷されたインク液滴の印刷パターンもまた、本質的にはカオス的な確率的ドットパターンを含んでもよく、それらの液滴は、要求に応じて混合され、インクが基材上に吐出される際に、または、基材上への印刷の直後にそれ自体と混合する。その結果、印刷された白色インクおよびカラーインクは、印刷業界がソリッドカラーまたはスポットカラーとして識別する可能性のあるものと同様に、基材上への印刷時に混合してもよい。混合され印刷された白色インクおよびカラーインクは、基材上への印刷時に、家の塗装と似た方法で混合され、その結果、この混合された白色インクとカラーインクとから成る多重層の印刷は、多重印刷層の過程で不透明性を作り出す。この作り出された不透明性は、公知の印刷方法200とは対照的に、印刷カラー層の下の白色基材を模倣するか、または再現する必要性を回避して、より少ない印刷層およびより少ないインク使用量で、忠実な色のカラーを白くない基材上に印刷することを可能にする。
【0053】
図5に図示されているように、プリンタ100を用いて印刷された多重印刷層307の一部が斜視的に示されている。層307は、印刷材料から成る4つの層315を備えている。
図5の実施例には、混合された白色インクおよびカラーインクから成る4つの層が図示されているが、所望の忠実な色のカラーの印刷を実現するために、より多くの、またはより少ない層を印刷してもよい。そのため、各連続する印刷層における白色インクとカラーインクとの所定の比の印刷を繰り返すことにより、印刷用の所望の忠実な色のカラーが、層315の各々を印刷する過程で作り出されることになる。すなわち、第1の印刷層における白色インクとカラーインクとの比は、1:1以下であってもよく、これは、多重印刷層307の任意の数の連続的に印刷される層に適用される同じ比であってもよい。以下、印刷方法302の詳細についてさらに説明する。
【0054】
従来の方法200とは対照的に、印刷方法302に従って印刷された多重層307の最終的な印刷層315は、必ずしも、CMYKモデルに従って印刷された最終的な所望の忠実な色のカラーである必要はない。すなわち、印刷方法302は、
図4に関して説明した印刷方法300のように、最上の印刷層だけが、独立した印刷層として忠実な色のカラーであることを必要としない。むしろ、CMYKモデルに従って印刷された所望のカラーのためのカラー精度をまとまって生み出す多重層307の各層の組合せである。多重層307の各々の層は、混合された半透明のカラーインクおよび不透明の白色インクを含んでいるため、印刷層のさまざまな成分の半透明性および不透明性の混合は、最終的な所望の印刷カラーの観察可能なカラー精度を実現するために協働する。このことは、可視光が多重層307を通過して、それらの層から反射して戻ってくると見なした場合、印刷カラーの機器検査中にも同様に視覚的に観察することができる。このことについては、
図14を参照してさらに詳細に後述する。
【0055】
さらに
図5を参照すると、印刷カートリッジまたはヘッド330,340,350および360の図は、多重層307から成る4つの層をそれぞれ印刷するのに用いられるインクを示している。たとえば、印刷方法302に従って、忠実な色の緑色を印刷するために、多重層307の第1の印刷層315は、印刷ヘッド330の構成を用いて印刷することができる。印刷ヘッド330の部分として、シアンカートリッジ331、イエローカートリッジ333および白色カートリッジ332および334を、白色インク376の液滴と、シアンインク375およびイエローインク377の液滴とを吐出するのに用いることができる。(
図4と同様に)2つの白色カートリッジが描かれているが、
図2に関連して上述したように、1つ以上の白色カートリッジがプリンタ100内にあってもよい。
【0056】
図5において、印刷方法302は、シアンインク375およびイエローインク377よりも多くの白色インク376を質的に使用している。したがって、多重層307の第1の層315は、
図4に示す層314および316の不透明性の間の不透明性を生じさせる白色インクとカラーインクとの比を有していてもよく、および完全に白色でなくてもよい。たとえば、多重層307の第1の印刷層315は、1:1以下の白色インクとカラーインクとの比を有していてもよい。さらに、
図5に示す多重層307の第2、第3および第4の印刷層315は、第1の印刷層315の比と同じ、白色インクとカラーインクとの比を有していてもよい。
【0057】
したがって、
図5に示す方法302は、同様に、印刷されたインクによって、白色基材を模倣し、再現し、または作り出すために、独立した、または下にある白色の層の印刷を必要としない。
図4に示す方法300と同様に、
図5に示す方法302は、混合された半透明カラーインクと不透明な白色インクとの1つ以上の所定比から成る層を介して加法的に印刷される1つ以上の忠実な色のカラーを生じさせることができる。
【0058】
図5に示す実施例において、忠実な色の緑色は、多重層307の層315の印刷によって生じさせることができる。したがって、
図5のそれらの層に示されている混合された半透明カラーインクと不透明白色インクとの比は、多重層307の層315の各々において同じ比であってもよい。その結果、半透明特性および不透明特性の両方を備えるこれらの層の各々の一部が存在する可能性があるため、可視光の反射が、
図5に示す4つの層315のうちの1つ以上を介して起きる可能性がある。所望の忠実な色のカラー、たとえば、
図5の実施例で用いられている忠実な色の緑色の印刷を実現するために、印刷層の数と、層内でのカラーインクと白色インクとの比を計算してもよい。たとえば、多重層307によって実現される忠実な色の緑色は、それらの層のうちの1つ以上から反射して、観察者の眼を通る光を見ることによって観察することができる。
【0059】
図5に関連して記載されている実施例においては、忠実な色の緑色の実現が用いられているが、印刷方法302とともに、CMYK色モデルまたはパレットを用いて、任意のカラー(1または複数)を白くない基材上に印刷してもよい。その場合、このようなカラーは、印刷されたカラー層の下にある白色基材の存在を要することなく、後に観察することができる。
【0060】
したがって、
図5に関連して説明したように、本発明の実施形態によれば、印刷方法302は、多くの余分なインクの層の印刷を必要としない可能性があり、および白色基材を生じさせるために、白色インク層の印刷を必要としない可能性がある。その結果、印刷方法302は、印刷時間、印刷層の数を低減し、また、従来の方法200に伴うインクよりも少ないインクを用いて、忠実な色のカラー印刷を実現することができる。さらに、最終的な印刷カラー層が引っかかれ、摩耗し、または他の形で損傷されるか、または傷付けられた場合、印刷されたカラーは、その引っかき、摩耗または傷付きの領域において部分的に剥がれるだけである可能性がある。したがって、多重層307の下にある印刷層のうちの1つ以上が露出された場合でも、下にある各層315は、依然として、一定の割合のカラーインクを含んでおり、およびそれによって、引っかかれたカラー層と、すぐ上かまたは下の1つ以上の層との間で、低コントラストだけを呈することができる。その結果、方法302を用いて白くない基材上に印刷するためのコストは、従来の方法200のコストよりも低くなり、および引っかかれ、摩耗し、または他の形で損傷されるか、または傷付けられた場合に、より少ないコントラストの変化を呈する最終的に印刷された忠実な色のカラーを実現する。
【0061】
図6に図示されているように、および実施形態によれば、忠実な色のCMYKカラーを白くない基材上に印刷するための一般的プロセス450は、ステップ452から始まる。プロセス450のいくつかまたはすべてのステップは、履物、衣料品または機器の製造会社または経営者によって完了されてもよい。他の事例においては、以下に記載したいくつかのステップは、製造会社によって遂行されてもよく、およびその他のステップは、別の製造会社、経営者、小売業者または他の何らかの実体を含む別の関係者によって遂行されてもよい。ある場合においては、それらのステップのうちの1つ以上は、任意的であってもよい。他の事例においては、いくつかのステップは、異なる順で完了させてもよい。
【0062】
図5を参照して、ステップ452において、印刷用の所望の半透明カラー(c)が選択される。カラー(c)は、CMYK色モデルを用いて印刷することができる任意の忠実な色のカラーとすることができる。ステップ454においては、忠実な色のカラーを印刷するための、印刷のための層の所望の数(n)が選択される。
【0063】
さらに
図6を参照すると、ステップ456において、各層の印刷カラーが、層の数(n)に基づいて計算される。ステップ458において、現時点の層(m)が印刷される。ステップ460においては、印刷が終了した(n=m)か否かを確認するために、カラー印刷の進み具合を評価する。印刷が終了している場合には、プロセス450は完了する。ステップ460において、印刷が終了していない場合には、プロセス450は、ステップ462へ進む。ステップ462において、印刷は、次の層(m=m+1)に関して続行した後、ステップ458に戻ることができる。
【0064】
図7に図示されているように、ステップ456についてさらに詳細に説明する。ステップ470において、層の数(n)およびカラー(c)の強度は、最終的な層のカラー(CF)を決定するのに用いられる。ステップ472において、層の残りの数(n−1)が計算される。次いで、ステップ474において、残りの各層の場合の色強度が、CFの割合として計算される。ステップ476において、CFおよびnは、カラーグレーディングルールを生成するのに用いられる。ステップ478において、そのグレーディングルールは、各印刷層の色強度を計算するのに用いられる。グレーディングルールの実施例のグラフを
図8および
図9に示す。
【0065】
図8を参照して、この実施形態によれば、忠実な色の印刷カラーを実現するために、3つの層が印刷される可能性がある場合のグレーディングルールに関するグラフが図示されている。そのグラフにおいて、グレーディングルールは、対数関数として図示することができる。しかし、グレーディングルールは、印刷のための所望のカラーにより、線形関数、対数関数、指数関数、放物線関数、または、他のどのようなシーケンスまたは式であってもよい。
【0066】
さらに
図8を参照すると、各層の色強度は、印刷された層の数に基づいて、所望のCFの一定の割合としてもよい。たとえば、
図8に示すように、3つの層が印刷される場合、CF1は、第1の印刷層n=1の場合の色強度の割合である。同様に、CF2は、第2の印刷層n=2の場合の色強度の割合であり、CF3は、第3の印刷層n=3の場合の色強度の割合である。多重層が印刷されるため、層n=1,2,3の各々における色強度は、各印刷層に一定の割合のカラーを印刷するという加法的特質により、所望のCFよりも低くなる。
【0067】
図9を参照して、この実施形態によれば、忠実な色の印刷カラーを実現するために、5つの層が印刷される可能性がある場合のグレーディングルールに関する別のグラフが図示されている。そのグラフにおいて、グレーディングルールは、対数関数として図示することができる。しかし、グレーディングルールは、印刷のための所望のカラーにより、線形関数、対数関数、指数関数、放物線関数、または、他のどのようなシーケンスまたは式であってもよい。さらに
図9を参照すると、各層の色強度は、印刷された層の数に基づいて、所望のCFの一定の割合としてもよい。
【0068】
たとえば、
図9に示すように、5つの層が印刷される場合、CF1は、第1の印刷層n=1の場合の色強度の割合である。同様に、CF2は、第2の印刷層n=2の場合の色強度の割合であり、CF3は、第3の印刷層n=3の場合の色強度の割合であり、CF4は、第4の印刷層n=4の場合の色強度の割合であり、CF5は、第5の印刷層n=5の場合の色強度の割合である。多重層が印刷されるため、層n=1,2,3,4,5の各々における色強度は、各印刷層に一定の割合のカラーを印刷するという加法的特質により、所望のCFよりも低くなる。
【0069】
さらに、
図8および
図9のグラフは、たとえば、グレーディングルール曲線は、印刷層の数(n)が増加するにつれて、より緩やかな勾配を有してもよいことを示している。すなわち、CF1,CF2,CF3,CF4およびCF5の各々は、5つの層を印刷する場合には、CFのより小さな割合であってもよく、それに対して、3つのみの層を印刷する場合には、CFのより大きな割合であってもよい。
【0070】
図示されているように、および
図4〜
図9に関連して説明したように、本発明の実施形態によれば、CFは、所望の忠実な色の最終的なカラーCのより高い割合であってもよい。たとえば、n=3の場合には、CFは、Cの約95%とすることができ、n=4の場合には、CFは、Cの約90%とすることができ、n=5の場合には、CFは、Cの約85%とすることができる等である。これらの割合は、印刷された層の数に基づいて変えるだけではなく、印刷のために選択された忠実な色のCMYKカラーにも依存して変えてもよい。たとえば、より明るいカラー、たとえば、ピンク(
図12を参照して後述する)の印刷は、CFがCのさらに高い割合(ピンク)であることを求める可能性がある。逆に、たとえば、より暗いカラー、たとえば、ダークブルーの印刷は、CFがCの全体的により低い割合(ダークブルー)であることを求める可能性がある。さらに、
図5に関連して上述した実施形態の場合において、印刷層の各々における色強度は、各印刷層におけるカラーの一定の割合を印刷するという加法的特性により、印刷層nの各々において実質的に等しい所定の中間値において、所望のCFよりも低くてもよい。
【0071】
図10に示すように、本発明の実施形態によれば、忠実な色のCMYKカラーを白くない基材上に印刷するための別の一般的プロセス500は、ステップ505から始まる。プロセス500のいくつかまたはすべてのステップは、履物、衣料品または機器の製造会社または経営者によって完了されてもよい。他の事例においては、以下に記載したいくつかのステップは、製造会社によって遂行されてもよく、およびその他のステップは、別の製造会社、経営者、小売業者または他の何らかの実体を含む別の関係者によって遂行されてもよい。ある場合においては、それらのステップのうちの1つ以上は、任意的であってもよい。他の事例においては、いくつかのステップは、異なる順で完了させてもよい。
【0072】
図10を参照すると、ステップ505において、印刷用の所望の半透明カラー(c)が、不透明な白色(w)とともに選択される。カラー(c)は、CMYK色モデルを用いて印刷することができる任意の忠実な色のカラーとすることができる。ステップ510においては、忠実な色のカラーを印刷するための、印刷層の所望の数(n)が選択される。
【0073】
さらに
図10を参照すると、ステップ515において、印刷層の数に応じて印刷されるカラーインクおよび白色インクのためのカラーマネジメントグレーディング(CMG)がコンピュータを用いて計算される。すなわち、(c+w)n、ここで、(c,w≠0)である。ステップ515において、計算されたCMGは、各印刷層が、印刷された半透明カラーインクおよび不透明な白色インクの組合せを含むことと、各印刷層におけるカラーインクと白色インクとの比が、印刷された層の数に応じて変化してもよいことを実現できる。
【0074】
ステップ520においては、カラーインクおよび白色インクから成る第1の層が、計算されたCMGに従って印刷され、印刷されたカラーインクの量は、印刷された白色インクの量よりもかなり少ない。ステップ525において、カラーインクおよび白色インクから成る第2の層が、計算されたCMGに従って印刷され、印刷されたカラーインクの量は、印刷された白色インクの量よりも少ないが、ステップ520で印刷されたカラーよりも多くのカラーが印刷される。ステップ530において、カラーインクおよび白色インクから成る第3の層が、計算されたCMGに従って印刷され、印刷されたカラーインクの量は、印刷された白色インクの量よりも多く、およびステップ525で印刷されたカラーインクの量よりも多い。ステップ535において、カラーインクおよび白色インクから成る第4の層が、計算されたCMGに従って印刷され、印刷されたカラーインクの量は、ステップ530で印刷されたインクと比較して、印刷された白色インクの量よりもさらに多い。
【0075】
このようにして、プロセスはステップ540に進み、カラーおよび白色インクから成るn番目の層を、計算されたCMGに従って印刷することができる。それにより、各連続的に印刷される層に伴って、カラーインクと白色インクとの比を増加させ続けてもよい。白色とカラーインクとの比を変化させて印刷するこのプロセスは、たとえば、
図4に示す図に似ている。あるいは、たとえば、
図5に示す非限定的な図の場合、カラーインクと白色インクとの比は、ステップ520,525,530および535における各連続的に印刷される層に対して、所定のおよび実質的に同一の中間値に固定してもよい。
【0076】
ステップ545において、n番目の層を介して印刷された計算されたCMGが所望の忠実な色のCMYKカラー(c)に等しいか否かを確認するために、カラー印刷の進み具合を評価してもよい。混合されたカラーおよび白色インクから成る印刷層の数が、忠実な色の所望のCMYKカラー(c)を生じている場合には、プロセス500は完了する。ステップ545において、n番目の層を介して印刷された計算されたCMGが、所望の忠実な色のCMYKカラー(c)に等しくない場合には、プロセス500は、ステップ550に進むことができる。
【0077】
ステップ550においては、所望の忠実な色のCMYKカラー(c)を実現するために必要である可能性のある追加的な印刷層の数を決定するために、ステップ520〜ステップ540において既に印刷された層の数に基づいて、CMGを再計算することができる。ステップ555において、カラーインクおよび白色インクから成る(n+1)番目の層が、再計算されたCMGに従って印刷され、それにより、カラーインクと白色インクとの比が増加させ続けられる。このようにして、プロセスはステップ560に進み、カラーおよび白色インクから成る(n+x)番目の層が、再計算されたCMGに従って印刷され、それにより、カラーインクと白色インクとの比が増加させ続けられる。
【0078】
ステップ565において、(n+x)番目の層を介して印刷された再計算されたCMGが所望の忠実な色のCMYKカラー(c)に等しいか否かを確認するために、カラー印刷の進み具合を再評価してもよい。混合されたカラーおよび白色インクから成る印刷層の数が、忠実な色の所望のCMYKカラー(c)を生じている場合には、プロセス500は完了する。ステップ565において、(n+x)番目の層を介して印刷された再計算されたCMGが、所望の忠実な色のCMYKカラー(c)に等しくない場合には、プロセス500は、ステップ550に戻ることができる。
【0079】
図11に示すように、実施形態によれば、忠実な色の緑色を白くない基材上に印刷するためのプロセス600が記載されており、そのプロセスは、ステップ605から始まる。プロセス600のいくつかまたはすべてのステップは、履物、衣料品または機器の製造会社または経営者によって完了されてもよい。他の事例においては、以下に記載したいくつかのステップは、製造会社によって遂行されてもよく、およびその他のステップは、別の製造会社、経営者、小売業者または他の何らかの実体を含む別の関係者によって遂行されてもよい。ある場合においては、それらのステップのうちの1つ以上は、任意的であってもよい。他の事例においては、いくつかのステップは、異なる順で完了させてもよい。さらに
図11を参照すると、ステップ605において、印刷用の所望の忠実な色の緑色(C−緑)が選択される。C−緑は、CMYK色モデルを用いて印刷することができる忠実な色の緑とすることができる。ステップ610においては、忠実な色のC−緑を印刷するための、4つの層の印刷が選択される。
【0080】
さらに
図11を参照すると、ステップ615において、印刷のために選択された4つの層に応じた印刷カラーインクおよび白色インクのために、忠実な色の緑色(CM−緑)のためのカラーマネジメントグレーディングが、コンピュータを用いて計算される。プロセス600において、CM−緑はC−緑に等しい。すなわち、CM−緑を実現するために、選択された4つの層上に印刷されるべきカラーは、公知の方法によって印刷された忠実な色の緑色(C−緑)から見て見分けがつかないであろう。ステップ615において、計算されたCM−緑は、各印刷層におけるカラーインクと白色インクとの比が、印刷される層の数に応じて変化するように、各印刷層が、一定の割合の印刷半透明カラーインクおよび一定の割合の印刷不透明白色インクを含むことを実現できる。
【0081】
ステップ620において、インクから成る第1の層が、計算されたCM−緑に従って印刷され、およびこの実施例においては、印刷されたインクから成る第1の層は、不透明な白色インクを90%、半透明のシアンインクを5%および半透明のイエローインクを5%含んでいる。ステップ625において、インクから成る第2の層が、計算されたCM−緑に従って印刷され、およびこの実施例においては、印刷されたインクから成る第1の層は、不透明な白色インクを80%、半透明のシアンインクを10%および半透明のイエローインクを10%含んでいる。したがって、第2の層に印刷されたカラーインクの量は、第1の層に印刷されたカラーインクの量よりも多い。ステップ630においては、インクから成る第3の層が、計算されたCM−緑に従って印刷され、およびこの実施例においては、印刷されたインクから成る第3の層は、不透明な白色インクを50%、半透明のシアンインクを25%および半透明のイエローインクを25%含んでいる。ステップ635においては、インクから成る第4の層が、計算されたCM−緑に従って印刷され、およびこの実施例においては、印刷されたインクから成る第4の層は、不透明な白色インクを20%、半透明のシアンインクを40%および半透明のイエローインクを40%含んでいる。
【0082】
あるいは、たとえば、
図5に示す非限定的な図と同様に、カラーインクと白色インクとの比は、ステップ620,625,630および635における各連続的に印刷される層に対して、所定のおよび実質的に同一の中間値に固定してもよい。あるいは、たとえば、印刷されたインクから成る各層は、同じC−緑を実現するために、不透明な白色インクを約35%、半透明のシアンインクを約32.5%および半透明のイエローインクを約32.5%含んでもよく、または、ステップ630〜ステップ635の割合の間の別の所望の割合で含んでもよい。
【0083】
ステップ640においては、CM−緑がC−緑に等しいか否かを確認するために、忠実な色のC−緑のカラー印刷の進み具合を評価してもよい。CM−緑がC−緑に等しく、忠実な色の緑が、印刷された白くない基材上で可視的になっている場合には、プロセス600は完了する。ステップ645において、計算されたCM−緑がC−緑に等しくない場合には、プロセス600は、ステップ645に進むことができる。
【0084】
ステップ645においては、所望の忠実な色のC−緑を実現するために必要である可能性のある追加的な印刷層の数を決定するために、ステップ620〜ステップ635において既に印刷された4つの層に基づいて、CM−緑を再計算することができる。ステップ650において、カラーおよび白色インクから成る1つ以上の追加的な層を、再計算されたCMGに従って印刷することができる。このようにして、プロセスはステップ655に進み、再計算されたCM−緑がC−緑に等しいか否かを確認するために、カラー印刷の進み具合を再評価してもよい。CM−緑がC−緑に等しく、忠実な色の緑が、印刷された白くない基材上で可視的になっている場合には、プロセス600は完了する。ステップ655において、計算されたCM−緑がC−緑に等しくない場合には、プロセス600は、ステップ645に戻ることができる。
【0085】
図12に示す実施形態によれば、忠実な色のピンクを白くない基材上に印刷するためのプロセス700が記載されており、そのプロセスは、ステップ705から始まる。プロセス700のいくつかまたはすべてのステップは、履物、衣料品または機器の製造会社または経営者によって完了されてもよい。他の事例においては、以下に記載したいくつかのステップは、製造会社によって遂行されてもよく、およびその他のステップは、別の製造会社、経営者、小売業者または他の何らかの実体を含む別の関係者によって遂行されてもよい。ある場合においては、それらのステップのうちの1つ以上は、任意的であってもよい。他の事例においては、いくつかのステップは、異なる順で完了させてもよい。
【0086】
さらに
図12を参照すると、ステップ705において、混合された半透明カラーインクと不透明な白色インクとから成る4つの層が白くない基材上に印刷される過程にわたって、印刷用の所望の忠実な色のピンク色が選択される。選択されたピンク色は、CMYK色モデルを用いて印刷することができる忠実な色のピンクとすることができる。
【0087】
さらに
図12を参照すると、ステップ710において、不透明な白色インクを95%、半透明のマゼンタインクを5%含むインクから成る第1の層が印刷される。ステップ715においては、不透明な白色インクを90%、半透明のマゼンタインクを10%含むインクから成る第2の層が印刷される。ステップ720において、不透明な白色インクを85%、半透明のマゼンタインクを15%含むインクから成る第3の層が印刷される。ステップ725においては、不透明な白色インクを80%、半透明のマゼンタインクを20%含むインクから成る第4の層が印刷される。
【0088】
このようにして、
図12に示すプロセス700は、インクから成る4つの層を白くない基材上に印刷する過程にわたって変化する半透明のマゼンタインクと不透明な白色インクとの割合に基づいて実施することができる。しかし、実施形態によれば、CMYK色モデルで何らかの所望の忠実な色のカラーを実現するために、より多くのまたはより少ないインクから成る層を印刷してもよい。
【0089】
あるいは、たとえば、および
図5に示す非限定的な図と同様に、カラーインクと白色インクとの比は、ステップ710,715,720および725における各連続的に印刷される層に対して、所定のおよび実質的に同一の中間値に固定してもよい。たとえば、印刷インクの各層は、CMYK色モデルを用いて印刷することができる忠実な色のピンクを生じさせるために、代替的に、不透明な白色インクを82.5%、半透明のマゼンタインクを17.5%含んでもよい。
【0090】
図13を参照すると、本願明細書に開示されている1つ以上の方法に従って印刷された印刷面は、その印刷面と、公知の方法に従って印刷された印刷面とがともに白くない基材上に印刷される場合、目視で検査してもよく、または、装置を使って検査してもよく、または、公知の方法に従って印刷された印刷面と比較してもよい。
【0091】
この実施形態によれば、観察者805は、
図4に関連して図示および説明したプリンタ100を用いて印刷された多重印刷層305から反射した光を観察することができる。
図4に図示されているように、層305は、印刷材料から成る4つの層310,312,314および316を備えている。
図13に図示されているように、入射可視スペクトル光840の一部は、印刷材料から成る4つの層310,312,314および316の各々を通過して、それらの層のうちの1つ以上から反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。これは、層310,312,314および316の各々が、半透明のシアンインクと、半透明のイエローインクと、不透明な白色インクとから成る混合物を含んでいるためである。
【0092】
この実施形態によれば、光線815,820,825および830に分けられる光840が
図13に図示されている。光線815は、最上の印刷層316を通過して、層316を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。光線820は、印刷層316および314を通過して、層314および316を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。光線825は、印刷層316,314および312を通過して、層312,314および316を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。最後に、光線830は、印刷層316,314,312および310を通過して、層310,312,314および316を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。
【0093】
層310,312,314および316の各々は、混合された半透明のカラーインクおよび不透明な白色インクを含んでいるため、その結果、光840の一部は、4つすべての印刷層を貫通する可能性があり、または、1つ以上の印刷層のみを貫通する可能性がある。したがって、観察者805は、層305のうちの1つ以上から反射して、観察される忠実な色のカラーを形成する光線840の組合せを見ることになる。しかし、これは、
図13に図示されているように、
図3に示す従来の方法に従って印刷された白色層220から反射した光850を見たときに観察者805が見るものとは対照的である。
【0094】
たとえば、
図13において、観察者805は、
図3の公知の方法200に関連して説明した層205の印刷カラー層222から反射した光も観察できる可能性がある。
図13に図示されているように、入射可視スペクトル光850は、カラー層222が半透明のシアンインクおよびイエローインクを含み、同時に、白色層220(および白色層210〜白色層218)が不透明インクを含んでいるため、層205のカラー層222を通過して、白色層220の最上面で反射する可能性がある。すなわち、
図3の公知の方法に関連して既に説明したように、忠実な色の印刷のために下にある白色基材を形成するために、公知の方法によって下にある白色層を印刷する必要があるため、観察者805には、層222内だけにある印刷カラーが有効に見える。
【0095】
さらに
図13を参照すると、および開示した印刷方法の有効性を実証すると、観察者805は、それでもなお反射光850および840の各々を見るとともに、同じカラーを見ることになる。
【0096】
図4に関連して説明したカラー印刷方法から導かれた
図3の場合、
図3の公知の方法とは対照的に、観察者805は、反射光850および反射光840の各々を見たときに、忠実な色の緑色を見ることになる。すなわち、
図4に記載されている印刷方法300は、視覚的におよび装置を使った検査で、従来の方法200によって印刷された忠実な色の緑色と見分けがつかないような忠実な色の緑色を生じさせるであろう。
【0097】
図14を参照すると、本願明細書に開示されている1つ以上の方法に従って印刷された印刷面は、その印刷面と、従来の方法に従って印刷された印刷面とがともに白くない基材上に印刷された場合、目視で検査してもよく、または、装置を使って検査してもよく、または、公知の方法に従って印刷された印刷面と比較してもよい。実施形態によれば、観察者805は、
図5に関連して図示および説明したプリンタ100を用いて印刷された多重印刷層307から反射した光を観察することができる。
図4に図示されているように、層307は、印刷材料から成る4つの層315を備えている。
図14に図示されているように、入射可視スペクトル光940の一部は、印刷材料から成る4つの層315の各々を通過して、それらの層のうちの1つ以上から反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。これは、層315の各々が、半透明のシアンインクと、半透明のイエローインクと、不透明な白色インクとから成る混合物を含んでいるためである。
【0098】
実施形態によれば、光線915,920,925および930に分けられる光940が
図14に図示されている。光線915は、最上の印刷層315を通過して、層315を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。光線920は、第1および第2の印刷層315を通過して、それらの層を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。同様に、光線925は、第1、第2および第3の印刷層315を通過して、それらの層を通って反射して、図示されているように観察者805に戻ってくる可能性がある。最後に、光線930は、第1、第2、第3および第4の印刷層を通過して、それらの層を通って反射して、図示されているように観察者805に戻ってくる可能性がある。
【0099】
多重印刷層307を形成している印刷層315の各々は、
図5に図示されているように、所定のおよび実質的に同一の、混合された半透明カラーインクと不透明な白色インクとの比を備えることができるため、その結果、光940の一部は、4つすべての印刷層を貫通する可能性があり、または、1つ以上の印刷層だけを貫通する可能性がある。
【0100】
したがって、観察者805は、層307のうちの1つ以上から反射して、観測される忠実な色のカラーを形成する光線940の組合せを見ることになる。しかし、
図14にも図示されているように、および
図13に図示されているものと同様に、これは、
図3に示す従来の方法に従って印刷された白色層220から反射した光850を見たときに観察者805が見るものとは対照的である。たとえば、
図14において(および
図13に図示されているものと同様に)、観察者805は、
図3の公知の方法200に関連して説明した層205の印刷カラー層222から反射した光も観察することができる。
【0101】
さらに
図14を参照し、開示した印刷方法の有効性を実証すると、観察者805は、それでもなお反射光850および940の各々を見るとともに、同じカラーを見ることになる。すなわち、たとえば、反射光850および940の各々は、それらの印刷層の目視による検査および装置を使った検査時に、同じカラーとして見えるであろう。
【0102】
図5に関連して説明したカラー印刷方法から導かれた
図14の場合、
図3の公知の方法とは対照的に、観察者805は、反射光850および反射光940の各々を見たときに、忠実な色の緑色を見ることになる。すなわち、
図5に記載されている印刷方法302は、視覚的におよび装置を使った検査で、従来の方法200によって印刷された忠実な色の緑色と見分けがつかないような忠実な色の緑色を生じさせるであろう。
【0103】
したがって、
図15を参照し、実施形態では、観察者805は、反射光850,840および940の各々を見て、同じカラーを見ることができる。
図4および
図5に関連して説明したカラー印刷方法から導かれた
図15においては、
図3の公知の方法とは対照的に、観察者805は、反射光850、反射光840および反射光940の各々を見たときに、忠実な色の緑色を見ることになる。
【0104】
すなわち、
図4および
図5に関連して説明した印刷方法300および302は、視覚的におよび装置を使った検査で、互いに見分けがつかないような、および従来の方法200によって印刷された忠実な色の緑色と見分けがつかないような忠実な色の緑色を生じさせるであろう。
【0105】
図16を参照して、および実施形態に従って、開示した印刷方法に関するさらなる利益について、印刷カラー面が引っかかれ、摩耗し、または他の形で損傷されるか、または傷付けられる状況において議論する。
【0106】
図16に図示されているように、本願明細書に開示されている1つ以上の方法に従って印刷された印刷面は、その印刷面と、公知の方法に従って印刷された印刷面とがともに白くない基材上に印刷される場合、およびそれらの両印刷面が、少なくとも1つのスクラッチ、摩耗または傷付きを含んでいる場合、目視で検査してもよく、および公知の方法に従って印刷された印刷面と比較してもよい。たとえば、印刷層305は、スクラッチ、摩耗または傷付き905を含んでいる可能性があり、また、印刷層205は、同様に、実質的に同一のスクラッチ、摩耗または傷付き910を含んでいる可能性がある。
【0107】
さらに
図16を参照すると、観察者805は、
図4に関連して図示および説明したプリンタ100を用いて印刷された多重印刷層305から反射した光を観測することができる。
図16に図示されているように、入射可視スペクトル光1040の一部は、印刷材料から成る4つの層310,312,314および316の各々を通過して、それらの層のうちの1つ以上から反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。これは、層310,312,314および316の各々が、半透明のシアンインクと、半透明のイエローインクと、不透明な白色インクとから成る混合物を含んでいるためである。また、光1040は、クラック905の1つ以上の部分を通過して、そこから反射してくる可能性もある。
【0108】
実施形態によれば、光線1015,1020,1025および1030に分けられる光1040が
図16に図示されている。光線1015は、最上の印刷層316およびその中のクラック905の一部を通過して、層316を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。光線1020は、印刷層316および314と、その中のクラック905の一部とを通過して、層314および316を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。光線1025は、印刷層316,314および312と、クラック905とを通過して、層312,314および316を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。最後に、光線1030は、印刷層316,314,312および310と、クラック905とを通過して、層310,312,314および316を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。
【0109】
層310,312,314および316の各々は、混合された半透明のカラーおよび不透明な白色インクを含んでいるため、その結果、光1040の一部は、4つすべての印刷層を貫通する可能性があり、または、クラック905の存在に関係なく、1つ以上の印刷層のみを貫通する可能性がある。したがって、観察者805は、層305のうちの1つ以上から反射し、およびクラック905によって露出された領域から反射した光線1040の組合せを見る可能性がある。したがって、クラック905を含む印刷層305を見た場合、観察者805は、クラック905を観察する可能性があるが、クラック905は、層305によって印刷された忠実な色のカラー全体よりもわずかに明るいカラーまたはわずかに暗いカラーで見えるにすぎない可能性がある。しかし、
図16にも図示されているように、これは、白色層220およびクラック910から反射した光950を見たときに観察者805が見るものとは対照的である。
【0110】
たとえば、
図16において、観察者805は、
図3の公知の方法200に関連して説明した層205の印刷カラー層222から反射した光も観察できる可能性がある。
図16に図示されているように、入射可視スペクトル光950の一部は、層205のカラー層222を通過して、白色層220の最上面から反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。これは、カラー層222が、半透明のシアンインクおよびイエローインクを含み、同時に、白色層220(および白色層210〜白色層218)が、不透明インクを含んでいるためである。すなわち、
図3の公知の方法に関連して既に説明したように、忠実な色の印刷のために下にある白色基材を形成するために、公知の方法によって下にある白色層を印刷する必要があるため、観察者805には、層222内だけにある印刷カラーが有効に見えることになる。しかし、その光950もまた、1つ以上のクラック910の部分を通過してそこから反射される可能性がある。
【0111】
さらに
図16を参照すると、光950は、クラック910の領域内で、最上の印刷カラー層222を通過して、下にある白色層220,218等のうちの1つ以上から反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。この場合、光950は、クラック910の領域内のカラー層222を通って戻ってこない可能性がある。したがって、クラック910を含む印刷層205を見た場合、クラック910は、クラック910の領域内のカラー層222を通過することなく、1つ以上の下にある白色層220,218等からの反射により白く見える可能性があるため、観察者805は、クラック910を容易に観察することができる。したがって、クラック910は、観察者805によって見られたときに、カラー層222に対して高いコントラストで見える可能性がある。
【0112】
図17を参照して、本発明の実施形態に従って、開示した印刷方法に関するさらなる利益について、印刷カラー面が引っかかれ、摩耗し、または他の形で損傷されるか、または傷付けられる状況において議論する。
【0113】
図17に図示されているように、本願明細書に開示されている1つ以上の方法に従って印刷された印刷面は、その印刷面と、公知の方法に従って印刷された印刷面とがともに白くない基材上に印刷される場合、およびそれらの両印刷面が、少なくとも1つのスクラッチ、摩耗または傷付きを含んでいる場合、目視で検査してもよく、または装置を使って検査してもよく、および公知の方法に従って印刷された印刷面と比較してもよい。たとえば、
図5に示す方法302に関連して上述したように印刷された印刷層307は、スクラッチ、摩耗または傷付き907を含んでいる可能性があり、また、印刷層205は(同様に
図16に示すように)、同様に、実質的に同一のスクラッチ、摩耗または傷付き910を含んでいる可能性がある。
【0114】
さらに
図17を参照すると、および実施形態によれば、観察者805は、
図5に関連して図示および説明したプリンタ100を用いて印刷された多重印刷層307から反射した光を観察することができる。
図17に図示されているように、入射可視スペクトル光1140の一部は、印刷材料307から成る4つの層315の各々を通過して、それらの層のうちの1つ以上から反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。これは、層315の各々が、半透明のシアンインクと、半透明のイエローインクと、不透明な白色インクとから成る実質的に同一の所定の混合物を含んでいるためである。
【0115】
実施形態によれば、光線1115,1120,1125および1130に分けられる光1140が
図17に図示されている。光線1115は、最上の印刷層315およびその中のクラック907の一部を通過して、最上の印刷層315を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。光線1120は、第1および第2の印刷層315と、その中のクラック907の一部とを通過して、それらの層を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。光線1125は、第1、第2および第3の印刷層と、クラック907とを通過して、それらの層を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。最後に、光線1130は、第1、第2、第3および第4の印刷層と、クラック907とを通過して、それらの層を通って反射して観察者805に戻ってくる可能性がある。
【0116】
印刷材料307の各々の層は、所定のおよび実質的に同一の、混合された半透明カラーインクと不透明な白色インクとの比を備えることができるため、その結果、光1140の一部は、クラック907の存在に関わらず、4つすべての印刷層を貫通する可能性があり、または、1つ以上の印刷層だけを貫通する可能性がある。したがって、観察者805は、それらの層のうちの1つ以上から、およびクラック907によって露出された領域から反射した光線1140の組合せを見る可能性がある。したがって、クラック907を含む印刷層307を見た場合、観察者805は、クラック907を観察する可能性があるが、クラック907は、層307の組合せによって印刷された忠実な色のカラー全体よりもわずかに明るいカラーまたはわずかに暗いカラーで見えるにすぎない可能性がある。しかし、
図17にも図示されているように、
図16に図示されているものと同様に、これは、白色層220およびクラック910から反射した光950を見たときに観察者805が見るものとは対照的であり、この場合、クラック910は、観察者805によって見られたときに、カラー層222に対して高いコントラストで見える可能性がある。
【0117】
したがって、
図18を参照すると、観察者805は、反射光1040および1140の各々を見て、同じカラーを見ることができる。
【0118】
図16および
図17に関連して説明したカラー印刷方法から導かれた
図18においては(
図3の公知の方法とは対照的に)、観察者805は、反射光1040および反射光1140の各々を見たときに、忠実な色の緑色を見ることができる。すなわち、
図4および
図5に関連して説明した印刷方法300および302は、印刷層のうちの1つ以上がクラック905またはクラック907によって引っかかれるか、または他の形で傷付けられた場合であっても、視覚的におよび装置を使った検査で互いに見分けがつかないような忠実な色の緑色を生じさせるであろう。
【0119】
この違いは、
図19に図示されているように例証することができる。
図19を参照すると、この実施形態によれば、サッカーシューズ1800等の運動靴は、1つ以上の印刷領域1805を備えていてもよい。印刷領域1805は、たとえば、本願明細書において
図4〜
図12に関連して議論した印刷方法に従って印刷することができる。サッカーシューズ1800の場合、運動競技用途は、靴の表面仕上げに対して、かなりの損傷を与える可能性がある。このような損傷は、印刷領域1805の表面仕上げにおいて、いくつものスクラッチ、摩耗または傷付きの形態をとる可能性がある。印刷領域1805の表面仕上げに対するそのようなダメージは望ましくない可能性があるが、それは、靴1800に要求される激しい使用中には避けられない可能性もある。そのため、靴1800の使用可能な耐用年数の間のそのような何らかのダメージの視認性を最小限にすることが望ましい。このような最小限化は、本願明細書で開示された印刷方法を実施することによって実現することができる。
【0120】
実施形態によれば、およびさらに
図19を参照すると、損傷が、靴
1800のスクラッチ1810によって図示されている。図示されているように、および
図16および
図17に関連して既に説明したように、印刷領域1805を通過する光線は、印刷領域1805の印刷領域と、スクラッチ1810の印刷領域との間に高いコントラスト差をもたらさない。既に説明したように、観察者は、印刷層1805の1つ以上の層から、およびクラック1810によって露出された領域から反射した光線の組合せを見る可能性がある。すなわち、下にある印刷層は、半透明のカラーインクと、不透明な白色インクとの混合物を含んでいるため、1つ以上の露出した下にある層からのカラーは、それら1つ以上の下にある層がクラック1810によって露出された場合に、観察者に見えることになる。したがって、印刷領域1805およびクラック1810を見た場合、クラック1810は、印刷領域1805の全体のカラーよりもわずかに明るいカラーまたはわずかに暗いカラーで見えるにすぎない可能性がある。しかし、
図19にも図示されているように、これは、従来の方法に従って印刷された領域を含む靴から同様に反射された光を見た場合に観察できるものとは対照的である。
【0121】
さらに
図19を参照すると、別の損傷が、サッカーシューズ1850のスクラッチ1860によって図示されている。サッカーシューズ1850は、1つ以上の印刷領域1855を備えていてもよい。印刷領域1855は、たとえば、
図3に関連して既に説明した従来の印刷方法に従って印刷することができる。
【0122】
図示されているように、
図16に関連して既に説明したように、印刷領域1855を通過する光線は、印刷領域1855の領域と、クラック1860の領域との間に、高いコントラスト差をもたらすことになる。既に説明したように、観察者は、クラック1860によって露出された開口部を通過して、下にある印刷された白色層のうちの1つ以上から反射して観察者に戻ってくる光を見る可能性がある。しかし、その光もまた、1つ以上のクラック1860の部分を通過してそこから反射される可能性がある。したがって、印刷領域1855およびクラック1860を見た場合、クラック1860は、1つ以上の下にある不透明な白色層の露出により、印刷領域1855に対して高いコントラスト差で見える可能性がある。
図19にも図示されているように、クラック1860は、印刷領域1855の調和に対して白いマークとして見える可能性がある。
【0123】
そのため、実施形態によれば、カラー耐久性は、開示した方法による印刷カラーによって実現することができる。すなわち、開示した方法を用いて印刷された表面への引っかき、摩耗または他の形での傷付きによるダメージは、従来の方法を用いる表面印刷に対する同様のダメージよりも見えにくいであろう。開示した方法によるカラー印刷は、より耐久性があり、およびダメージが少なく見えるであろう。
【0124】
たとえば、ストール(Stoll)摩耗法を適用すると、公知の印刷方法に従って印刷された印刷層のカラー耐久性は、その印刷カラーが著しく損傷される前に、約100〜約120回転のストール摩耗ディスクを実現できるにすぎない。これは、従来の印刷方法は、本質的に、印刷された白色のいくつかの層に積層された印刷カラーの最上層を1つだけ有しているためである。その最上のカラー層への何らかのダメージは、下にある白色層が露出される可能性があるため、より容易に見えるであろう。したがって、カラー耐久性は低いことになる。
【0125】
対照的に、ストール摩耗法を、本発明の実施形態に従って印刷された印刷層に適用すると、印刷カラーが著しく損傷される前に、約400〜約450回転のストール摩耗ディスクを実現することができる。これは、開示した方法が、不透明な白色とともに印刷された半透明カラーから成る多重層を有しており、その結果、カラーが、印刷された層のすべてにわたって印刷されるためである。最上のカラー層に対する何らかのダメージは、下にある印刷層も、白色と混合されたカラーを含んでいるため、はっきりとは見えなくなるであろう。それらの下にある層のうちの1つ以上に関する露出の可能性にもかかわらず、あまり目立たない色の変化を観察することができる。したがって、カラー耐久性は高くなる。
【0126】
また、実施形態によれば、開示した印刷方法は、ホットメルト印刷にも適用可能であり、それにより、固体、たとえば、不透明なポリウレタンと、少なくとも1つの半透明着色材料とが溶融されて粘性流体にされて印刷される。たとえば、不透明なポリウレタンの印刷は、基材上への印刷時に互いに混ざるであろう半透明着色材料と組合せてもよいため、耐摩耗性も、開示した印刷方法をホットメルトプリンタに用いて実現することができる。
【0127】
さまざまな実施形態について説明してきたが、その説明は、限定ではなく、例示的であることが意図されており、また、本発明の範囲内にあるさらに多くの実施形態や実施態様が可能であることは、当業者には明らかであろう。すべてのそのような追加的なシステム、方法、特徴および利点が、この説明の範囲内に含まれており、およびこの概要が、本発明の範囲内にあり、および以下のクレームによって保護されることが意図されている。
本発明の精神および範囲は、添付する特許請求の範囲の中に存在するが、本願の出願時に特許請求の範囲として存在し、その一部は補正により削除された、以下の[予備的な特許請求の範囲]の中にも潜在する。この[予備的な特許請求の範囲]の記載事項は、本願明細書の開示に含まれるものとする。
[予備的な特許請求の範囲]
[請求項1]
ホットメルト印刷の方法であって、
印刷材料としての不透明材料および少なくとも1つの半透明着色材料から成る溶融物を基材上に印刷するステップであって、前記不透明材料および前記少なくとも1つの半透明着色材料が、異なるプリントヘッドから供給されるステップを含み、
前記不透明材料および前記少なくとも1つの半透明着色材料は前記基材上で混合され、前記印刷するステップは、
前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とから成る多重印刷層を含む少なくとも1つのカラーを印刷するステップをさらに含み、前記多重印刷層は、
前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第1の層であって、不透明材料と半透明着色材料との所定の第1の比を有する第1の層と、
前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第2の層であって、前記第1の比とは異なる、不透明材料と半透明着色材料との所定の第2の比を有する第2の層と、を備え、
前記第1の比は、前記第2の比よりも前記不透明材料の割合が大きい、方法。
[請求項2]
前記多重印刷層は、
前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第3の層であって、前記第2の比および前記第1の比とは異なる、不透明材料と半透明着色材料との所定の第3の比を有する第3の層と、
前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第4の層であって、前記第3の比、前記第2の比および前記第1の比とは異なる、不透明材料と半透明着色材料との所定の第4の比を有する第4の層と、をさらに備え、
前記第2の比は前記第3の比よりも前記不透明材料の割合が大きく、および前記第4の比は前記第3の比よりも前記半透明着色材料の割合が大きい、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
カラー精度は、前記印刷層の少なくとも部分的な摩耗があっても維持される、請求項1または請求項2に記載の方法。
[請求項4]
前記基材は、テキスタイルまたは繊維材料である、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の方法。
[請求項5]
前記印刷材料は、異なる印刷ヘッドから同時に吐出される、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の方法。
[請求項6]
白くない基材上に印刷した場合に、カラー精度が維持される、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の方法。
[請求項7]
引っかきまたは摩耗基材の損傷が、前記半透明着色材料から成る薄い色を露出させる、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の方法。
[請求項8]
前記基材は、テキスタイル、天然生地、合成生地、ニット材料、織布材料、不織布材料、天然繊維、合成繊維、綿、ウール、麻、絹、ナイロン、スパンデックス、ポリエステル、レーヨン、ポリプロピレン、メッシュ、革、合成皮革、ポリマー、ゴム、発泡材料、衣類、履物、縁のある帽子、縁なし帽子、シャツ、ジャージ、ジャケット、ソックス、ショーツ、パンツ、下着、スポーツ用サポート下着、手袋、リストバンド/アームバンド、スリーブ、ヘッドバンドおよびこれらの素材のうちのいずれかの組合せから選択される、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の方法。
[請求項9]
前記印刷材料は、インク、染料、樹脂、アクリル、ポリマー、熱可塑性材料、熱硬化性材料および光硬化材料から選択される、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の方法。
[請求項10]
混合された半透明カラーインクと不透明白色インクとの加法印刷によって、所望のカラーを白くない基材上に印刷する方法であって、
不透明白色インクと、少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第1の混合物を含むインクから成る少なくとも第1の層を、前記白くない基材上に印刷するステップであって、前記インクから成る第1の層が、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第1の比を有するステップと、
前記不透明白色インクと、前記少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第2の混合物を含むインクから成る少なくとも第2の層を、前記白くない基材上に印刷するステップであって、前記インクから成る第2の層が、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第2の比を有するステップと、を含み、
前記第1の比と前記第2の比とは実質的に等しく、および
前記第1の印刷層と前記第2の印刷層との合計は、可視スペクトルにおいて、不透明カラーインクを用いて白い基材上に印刷された同じカラーと光学的に見分けがつかない前記所望のカラーを生じさせる、方法。
[請求項11]
前記不透明白色インクと、前記少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第3の混合物を含むインクから成る少なくとも第3の層を、前記白くない基材上に印刷するステップであって、前記インクから成る第3の層が、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第3の比を有するステップと、
前記不透明白色インクと、前記少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第4の混合物を含むインクから成る少なくとも第4の層を、前記白くない基材上に印刷するステップであって、前記インクから成る第4の層が、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第4の比を有するステップと、をさらに含み、
前記第1の比と、前記第2の比と、前記第3の比と前記第4の比とは実質的に等しく、および
前記第1の印刷層と、前記第2の印刷層と、前記第3の印刷層と、前記第4の印刷層との合計は、可視スペクトルにおいて、不透明カラーインクを用いて白い基材上に印刷された同じカラーと光学的に見分けがつかない前記所望のカラーを生じさせる、請求項2に記載の方法。
[請求項12]
混合された半透明カラーインクと不透明白色インクとの加法印刷によって、少なくとも1つの所望のカラーを白くない基材上に印刷する方法であって、前記所望のカラーが多重印刷層を備え、前記多重印刷層は、
不透明白色インクと、少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第1の混合物を含むインクから成る少なくとも第1の層であって、前記インクから成る第1の層が、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第1の比を有する第1の層と、
前記不透明白色インクと、前記少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第2の混合物を含むインクから成る少なくとも第2の層であって、前記インクから成る第2の層が、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第2の比を有する第2の層と、を備え、
前記第1の比と前記第2との比とは実質的に等しく、および
前記第1の印刷層と前記第2の印刷層との合計は、可視スペクトルにおいて、不透明カラーインクを用いて白い基材上に印刷された同じカラーと光学的に見分けがつかない前記所望のカラーを生じさせる、方法。
[請求項13]
前記多重印刷層は、
前記不透明白色インクと、前記少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第3の混合物を含むインクから成る少なくとも第3の層であって、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第3の比を有する第3の層と、
前記不透明白色インクと、前記少なくとも1つの実質的に半透明のカラーインクとから成る第4の混合物を含むインクから成る少なくとも第4の層であって、1:1以下の白色インクとカラーインクとの所定の第4の比を有する第4の層と、
をさらに備え、
前記第1の比と、前記第2の比と、前記第3の比と前記第4の比とは実質的に等しく、および
前記第1の印刷層と、前記第2の印刷層と、前記第3の層と、前記第4の層との合計は、可視スペクトルにおいて、不透明カラーインクを用いて白い基材上に印刷された同じカラーと光学的に見分けがつかない前記所望のカラーを生じさせる、請求項12に記載の方法。
[請求項14]
不透明材料と少なくとも1つの半透明着色材料とから成る溶融物を、白くない基材上に印刷するホットメルト印刷の方法であって、前記不透明材料および前記少なくとも1つの半透明着色材料が、異なるプリントヘッドから供給されるステップを含み、
前記不透明材料および前記少なくとも1つの半透明着色材料は前記基材上で混合し、前記印刷するステップは、
前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とから成る多重印刷層を含む少なくとも1つの所望のカラーを印刷するステップをさらに含み、前記多重印刷層は、
前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第1の層であって、1:1以下の不透明材料と半透明着色材料との所定の第1の比を有する第1の層と、
前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第2の層であって、1:1以下の不透明材料と半透明着色材料との所定の第2の比を有する第2の層と、を備え、
前記第1の比と前記第2の比とは実質的に等しく、および
前記第1の印刷層と前記第2の印刷層との合計は、可視スペクトルにおいて、不透明カラーインクを用いて白い基材上に印刷された同じカラーと光学的に見分けがつかない前記所望のカラーを生じさせる、方法。
[請求項15]
前記多重印刷層は、
前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第3の層であって、1:1以下の不透明材料と半透明着色材料との所定の第3の比を有する第3の層と、
前記不透明材料と前記少なくとも1つの半透明着色材料とを含む少なくとも第4の層であって、1:1以下の不透明材料と半透明着色材料との所定の第4の比を有する第4の層と、をさらに備え、
前記第1の比と、前記第2の比と、前記第3の比と、前記第4の比とは実質的に等しく、および
前記第1の印刷層と、前記第2の印刷層と、前記第3の印刷層と、前記第4の印刷層との合計は、可視スペクトルにおいて、不透明カラーインクを用いて白い基材上に印刷された同じカラーと光学的に見分けがつかない前記所望のカラーを生じさせる、請求項14に記載の方法。