特許第6432006号(P6432006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6432006
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】化粧品用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/24 20060101AFI20181119BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   B65D81/24 K
   B65D81/20 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-544582(P2018-544582)
(86)(22)【出願日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】JP2018021057
【審査請求日】2018年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2017-116118(P2017-116118)
(32)【優先日】2017年6月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509119197
【氏名又は名称】株式会社エイエムジー
(74)【代理人】
【識別番号】100127328
【弁理士】
【氏名又は名称】八木澤 史彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 宏紀
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−099941(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3210878(JP,U)
【文献】 特開2014−015224(JP,A)
【文献】 特表2014−508691(JP,A)
【文献】 特開2016−043110(JP,A)
【文献】 特開平11−046858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/24
B65D 81/20
A45D 34/00
A45D 44/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用組成物を格納する化粧品用容器であって、
水素不透過材で形成された容器本体と、
少なくとも一部が水素透過性シートで形成され、水素ガスが封入された複数の水素格納部を備え、
前記水素透過性シートが水素ガスを透過する水素透過率は、複数の前記水素格納部において異なるように構成されており、
複数の前記水素格納部の前記水素透過性シートが前記容器本体に格納された前記化粧用組成物と接触するように構成されている、化粧品用容器。
【請求項2】
一部の前記水素格納部の前記水素透過性シートの水素透過率は、他の前記水素格納部の前記水素透過性シートよりも低く規定されている、
請求項1に記載の化粧品用容器。
【請求項3】
前記水素透過率が相対的に高い前記水素透過性シートには、相対的に少量の水素ガスが封入されており、
前記水素透過率が相対的に低い前記水素透過性シートには、相対的に多量の水素ガスが封入されている、
請求項2に記載の化粧品用容器。
【請求項4】
前記化粧品用容器には、一または複数のフェイスマスクが格納されている、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の化粧品用容器。
【請求項5】
前記水素格納部は、扁平な形状に形成されており、前記フェイスマスクの主面と前記水素格納部の主面が対面するように配置されている、
請求項4に記載の化粧品用容器。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧用ローション等の化粧用組成物を含浸させた基材シートで形成されている顔用のフェイスマスクが、美容に使用されてきた(例えば、特許文献1)。
【0003】
そして、化粧用組成物に水素を含ませることよって、美容効果が向上することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−313248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
化粧用組成物を水素不透過材としてのアルミニウム製のパッケージに密封した場合であっても、水素は徐々に抜けていくという問題がある。
【0006】
本発明は、上記を踏まえて、化粧用組成物に水素を溶存させ、かつ、水素を溶存させた状態を長期間維持することができる化粧品用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の発明は、化粧用組成物を格納する化粧品用容器であって、水素不透過材で形成された容器本体と、少なくとも一部が水素透過性シートで形成され、水素ガスが封入された複数の水素格納部を備え、前記水素透過性シートが水素ガスを透過する水素透過率は、複数の前記水素格納部において異なるように構成されており、複数の前記水素格納部の前記水素透過性シートが前記容器本体に格納された前記化粧用組成物と接触するように構成されている、化粧品用容器である。
【0008】
化粧用組成物に水素を長期間溶存させるためには、水素格納部から水素ガスを微量ずつ透過させればよいのであるが、あまりにも微量であると、使用者が化粧用組成物を使用するときに、化粧用組成物に含有される水素の量が不十分である場合がある。この点、本発明の発明者は、化粧用組成物に相当量の水素を比較的早期に含有させるための構成と、含有させた水素の量を維持する構成に想到した。第一の発明の構成によれば、複数の水素格納部の間において水素透過率が異なるから、一部の水素格納部から水素ガスが排出され尽くした後においても、他の水素格納部からの水素ガスの排出は継続し、水素ガスの化粧用組成物への溶け込みを継続する。すなわち、水素ガスが化粧用組成物に比較的早期に相当量溶け込み、その後、水素ガスが化粧用組成物から抜け出たとしても、新たな水素ガスが継続的に化粧用組成物に溶け込む。これにより、化粧用組成物に水素を溶存させた状態を長期間維持することができる。
【0009】
第二の発明は、第一の発明の構成において、一部の前記水素格納部の前記水素透過性シートの水素透過率は、他の前記水素格納部の前記水素透過性シートよりも低く規定されている、化粧品用容器である。
【0010】
第三の発明は、第二の発明の構成において、前記水素透過率が相対的に高い前記水素透過性シートには、相対的に少量の水素ガスが封入されており、前記水素透過率が相対的に低い前記水素透過性シートには、相対的に多量の水素ガスが封入されている、化粧品用容器である。
【0011】
第四の発明は第一の発明乃至第三の発明のいずれかの構成において、前記化粧品用容器には、一または複数のフェイスマスクが格納されている、化粧品用容器である。
【0012】
第五の発明は、第四の発明の構成において、前記水素格納部は、扁平な形状に形成されており、前記フェイスマスクの主面と前記水素格納部の主面が対面するように配置されている、化粧品用容器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる化粧品用容器によれば、化粧用組成物に水素を溶存させ、かつ、水素を溶存させた状態を長期間維持することができる化粧品用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかるフェイスマスクの概略平面図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる化粧品用容器の概略斜視図である。
図3】水素格納部の壁を水素が透過する様子を示す概念図である。
図4】水素格納部の水素量を示す概念図である。
図5】化粧用組成物中の水素含有量を示す概念図である。
図6】本発明の第二の実施形態にかかる化粧品用容器の概略斜視図である。
図7】水素格納部の水素量を示す概念図である。
図8】化粧用組成物中の水素含有量を示す概念図である。
図9】本発明の第三の実施形態にかかる水素格納部の概略斜視図である。
図10】本発明の第三の実施形態にかかる化粧品用容器の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第一の実施形態>
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態を説明する。なお、当業者が適宜実施できる構成については説明を省略し、本発明の基本的な構成についてのみ説明する。本明細書において、化粧用組成物とは、コロイド溶液を含む液体の化粧料を言い、具体的には美容液及び化粧液をはじめ歯磨剤、浴用剤などを含む。
【0016】
図1に示すように、フェイスマスク1は、基材シート2で構成されている。基材シート2は、例えば、不織布で形成されている。不織布の材質は、例えば、キュプラ、レーヨン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール等である。基材シート2には、化粧用組成物が含侵される。
【0017】
基材シート2は、使用者の顔の全体を好適に覆うように構成されている。そのために、基材シート2は、使用者の顔面形状に基材シート2を合わせるための切込み4a,4b,4c,4d,4e及び4fが形成されている。また、基材シート2には、使用者の目を露出させるための眼用開口部6a及び6b、口を露出させるための口用開口部10が形成されている。さらに、基材シート2には、使用者の鼻の形状に合わせるための鼻部用スリット8が形成されている。
【0018】
図2に示すように、化粧品用容器20(以下、「容器20」という。)の最外層は容器本体20aとなっている。容器本体20aは、水素不透過材で形成されている。水素不透過材とは、例えばレトルトパウチに使用される軟質の積層シートが該当し、外層にポリエステル(PET)、中間層にアルミ箔、内層に無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いて積層加工を行って製作する。容器本体20aには、フェイスマスク1を取り出すための切り欠き用部20bが形成されている。切り欠き用部20bを切り欠くことで、内部のフェイスマスク1を取り出すようになっている。
【0019】
容器本体20aには、化粧用組成物22が格納されている。化粧用組成物22の主成分は水分であり、さらに、以下の美容成分のうち少なくともいずれか一つを含む。美容成分は、例えば、ヒトオリゴペプチド−1、ヒトオリゴペプチド−13、アセチルヘキサペプチド−8、パルミトイルペンタペプチド−4、水溶性コラーゲン、加水分解コラーゲン、サクシノイルアテロコラーゲン、リン酸アスコルビルMg、サッカロミセス(黒砂糖、プラセンタエキス)発酵液、ヒアルロン酸Na、アセチルヒアルロン酸Na、ヒアルロン酸クロスポリマーNa、セレブロシド、アルブチン、アスパラギン酸Mg、グリチルリチン酸2K、グルコン酸銅、グルコン酸亜鉛、プラセンタエキス、サイタイエキス、水溶性プロテオグリカン、白金、酒粕エキス、イワベンケイ根エキス、リンゴ果実培養細胞エキス、ビタミンA油、トコフェロール、サッカロミセスセレビシアエエキス、セレブロシド、PCA−Na、ナットウガム、アボカド油、カニナバラ果実油、アンズ核油、ヒマワリ種子油、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、アミノカプロン酸、ベタインである。
【0020】
また、容器本体20aの内部には、水素格納部30及び32が備えられている。水素格納部30及び32は、少なくとも一部が水素透過性シートで形成され、水素ガスが封入されている。水素格納部30及び32において、少なくとも一部の面は水素透過性シートで構成されている。本実施形態において、水素格納部30及び32の一つの面が水素透過性シート30a及び32aとなっている。水素透過性シートとは、水素がそのシートを一定の割合で透過するシートをいい、通常のビニールシートが該当する。水素が透過する程度(水素透過率)については、シートを構成する材料により調整可能である。例えばシリカを混入すると、透過する水素の割合は減少する。
【0021】
水素格納部30と32において、水素透過率は異なるように構成されている。水素格納部30の水素透過性シート30aの水素透過率は水素格納部32の水素透過性シート32aの水素透過率よりも大きい。水素格納部30及び32の水素透過性シート30a及び32aが化粧用組成物22と接触するように構成されており、水素透過性シート30a及び32aを透過した水素が化粧用組成物22に溶け込むようになっている。
【0022】
図3に示すように、水素格納部30及び32から水素が徐々に排出されて化粧用組成物22に溶け込む。図3(a)に示すように、水素格納部30の内部に封入された水素ガスが、矢印X1に示すように、水素透過性シート30aを透過する。同様に、図3(b)に示すように、水素格納部32の内部に封入された水素ガスが、矢印X1に示すように、水素透過性シート32aを透過する。水素透過性シート32aは、水素透過性シート30aと同一の組成であるが、2倍の厚さであり、水素透過率は低く、例えば、水素透過率は水素透過性シート30aの約50%(パーセント)である。あるいは、図3(c)に示すように、水素透過性シート32aと水素透過性シート30aとは同一の厚さとしつつ、水素透過性シート32aの材料に水素透過性シート30aの材料よりも多くのシリカを混入することで、水素透過性シート32aの水素透過率を水素透過性シート30aの水素透過率よりも低くするように構成してもよい。
【0023】
図4に示すように、水素格納部30と32には、Ammの(立法ミリメートル)の水素ガスを格納しているが、水素ガスは水素透過性シート30a及び32aを透過し、徐々に排出される。水素格納部30からは時間t1において水素ガスは排出し尽くされるが、水素格納部32からの水素ガスの排出は時間t2の時点まで継続する。
【0024】
図5に示すように、化粧用組成物22に含有される水素ガスの濃度は、時間t1まで増加し、appm(ピーピーエム)となる。化粧用組成物22の水素含有量がappmとなるまでの間において、水素不透過性の材料で形成されている容器本体20aからも水素ガスが微量ではあるが抜けていき、化粧用組成物22からも水素ガスは抜けていくのであるが、水素格納部30及び32から排出される水素ガスの量が抜けていく水素ガスの量よりも多いことにより、化粧用組成物22に含有される水素ガスの濃度は時間t1まで増加する。時間t1以降は、水素格納部32からのみ水素ガスが排出される。そして、化粧用組成物22から抜けていく水素ガスの量と水素格納部32から排出されて化粧用組成物22に溶け込む水素ガスの量がほぼ等しいため、時間t2まで水素ガスの濃度は維持される。
【0025】
なお、化粧用組成物22に溶存する水素ガスの濃度を長期間維持するだけであれば、例えば、容器20が水素格納部32だけを備え、水素透過性シート32aの水素透過率を非常に低くすることでも十分なのであるが、使用者が容器20及びフェイスマスク1を使用する時期に合わせるために、化粧用組成物22に溶存する水素ガスの濃度を早期に上昇させる必要がある。そして、化粧用組成物22に溶存する水素ガスの量が所定の濃度に至った後は、その濃度を長期にわたって維持する必要がある。このため、容器20は、相対的に水素透過率が高い水素格納部30と、相対的に水素透過率が低い水素格納部32の双方を備え、水素格納部30は比較的早期に化粧用組成物22の水素含有量を増加させるように機能し、水素格納部32は、主に、化粧用組成物22の水素含有量を維持するように機能するように構成したのである。
【0026】
<第二の実施形態>
図6乃至図8を参照して、第二の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。図6に示すように、第二の実施形態の容器20は、複数枚のフェイスマスク1を格納している。そして、容器本体20aには、開閉可能なファスナー20cが形成されている。ファスナー20cを閉じることによって、容器20の内部を密封することができる。ファスナー20cは、例えば、ジップロック(登録商標)と呼ばれるファスナーである。
【0027】
図7に示すように、水素格納部30にはAmmの水素ガスが封入されており、水素格納部32にはそれよりも多いBmmの水素ガスが封入されている。このため、水素格納部30に封入された水素ガスが排出され尽くしても、水素格納部32から長期間にわたって水素ガスの排出が継続する。
【0028】
図8に示すように、化粧用組成物22に含有される水素ガスの濃度は、時間t1まで増加する。時間t1までの間においても、容器本体20aから水素ガスが微量ではあるが抜けていき、化粧用組成物22からも水素ガスは抜けていくのであるが、水素格納部30及び32から排出される水素ガスの量が抜けていく水素ガスの量よりも多いので、化粧用組成物22に含有される水素ガスの濃度は時間t1まで増加する。時間t1以降は、水素格納部32からのみ水素ガスが排出される。そして、化粧用組成物22から抜けていく水素ガスの量と水素格納部32から排出されて化粧用組成物22に溶け込む水素ガスの量がほぼ等しく、しかも、水素格納部32に封入されていた水素ガスの量が水素格納部30に封入されていた水素ガスの量よりも多いため、時間t3まで水素含有量は維持される。
【0029】
<第三の実施形態>
図9及び図10を参照して、第三の実施形態を説明する。なお、第二の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。図9に示すように、水素格納部30A及び32Aは、扁平に形成されており、図10に示すように、フェイスマスク1の主面と水素格納部30A及び32Aの主面が対面するように配置されている。図10において、水素格納部30A及び32Aは、複数のフェイスマスク1の間に配置されている。
【0030】
これにより、水素ガスが、フェイスマスク1に含侵した化粧用組成物22に溶け込み易くなる。
【0031】
なお、本発明の化粧品用容器は、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 フェイスマスク
2 基材シート
20 化粧品用容器
22 化粧用組成物
30,30A,32,32A 水素格納部
30a,32a 水素透過性シート
【要約】
【課題】化粧用組成物に水素を溶存させ、かつ、水素を溶存させた状態を長期間維持することができる化粧品用容器を提供すること。
【解決手段】化粧用組成物22を格納する化粧品用容器20は、水素不透過材で形成された容器本体20aと、少なくとも一部が水素透過性シートで形成され、水素ガスが封入された複数の水素格納部30及び32を備え、水素透過性シートが水素ガスを透過する水素透過率は、複数の水素格納部30及び32において異なるように構成されており、複数の水素格納部30及び32の水素透過性シートが容器本体20aに格納された化粧用組成物22と接触するように構成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10